【FP相談事例】国際結婚の婚活・結婚・住まいの費用に困ったら

更新日: / 公開日:2020.01.21

まじめに仕事に専念してきて、結婚のタイミングを逃してしまった男性も多いのではないでしょうか?いざ落ち着いて、結婚を考えようと思ったら、女性とはなかなかご縁がなく、子供などは絶望的と悩む声も実際よく聞きます。
この記事では、そんな悩みを払しょくすべく、稼業を継いで、国際結婚に前向きに行動する48歳の男性の例をご紹介します。

[ ご相談者 Kさん ]
48歳 男性。独身で、実家の印刷会社を継いだ。
一人息子で、自分の跡継ぎなど結婚への圧力が強く、婚活で苦戦していたが、年齢の差を嫌がることなく会ってくれる国際結婚に方針を変更。
結婚後は、実家の離れを少しリフォームして住む予定。
まずは、仲人さんとともに海外を往復して手続きをする費用やリフォーム費について相談したい。

子供が欲しい婚活で気になる年齢差、国際結婚は年齢関係なく可能性あり

Kさん: 実家の稼業のことでいろいろあって、この歳になるまで忙しく、結婚を本気で考えてこなかったのですが、一人息子だし、やっぱり子供が欲しいと思って婚活をしています。

FP吹田:なるほど。実家の印刷業を継がれて、今は落ち着かれたのですね。お子さんを希望される結婚の場合、やはりお相手は、年下の方をお探しなのでしょうか?

Kさん: はい。でも、この年齢まで仕事に専念してきたこともあり、なかなか良いご縁に恵まれませんでした。事業も小さな印刷会社ですし。そこで、仲人さんのご紹介で、国際結婚に切り替えました。タイやフィリピンなどですが、そちらの女性は年齢を気にせず、日本での生活を楽しみにしてくれるようなのです。

FP吹田:なるほど。日本は治安もよく、清潔だし、真面目で働き者だから日本人男性は人気があるというのは私も聞いたことがあります。今後、ご実家の事業も、仮に海外展開の可能性があれば、国際結婚がビジネスにも相乗効果をもたらすかもしれませんよね。

Kさん:  はい、印刷業だって今までの延長ではダメで、日本以外のルートや新技術にも目を向けているので、ちょうどいいかとは思っています。先日も、現地のお見合いで何より新鮮で、新しいエネルギーに感動し、国際結婚で幸せになりたいと本気で思ったほどです(照れながら)。あとはお金の問題ですね。

FP吹田:なるほど、気持ちの面では不安はなく、前向きそのものですね。お金についてはどのようなことが気になるのですか?

不動産担保ローンと住宅ローンの違いって?

Kさん: 国際結婚は、現地でのお見合いや渡航費用の他、国ごとの手続きなどから、式などの結婚費用まで入れて全体として500万~600万円程度はかかると言われています。そのうち一部は納付済みですが、日本で暮らす際の環境整備として、住まいの一部をリフォームすることも考えないといけないと思っています。

FP吹田:住まいのほうは、どなたの名義になりますか?

Kさん: 実家の離れで、まだ父親の名義です。いずれ自分が相続する予定ではありますが。リフォームの予算もまだわからず、国際結婚の諸費用と合わせて余裕を持たせて捻出できればと思っているのですが、これだと住宅ローンやリフォームローンは無理でしょうか?

FP吹田:そうですね。住宅ローンやリフォームローンは資金使途がどうしても限定されるので厳しくなりそうです。住宅ローン・リフォームローンのほか、資金使途の制限が少ない不動産担保ローンの3つを比較してみましたので、ご覧ください。

不動産担保ローンと住宅ローン・リフォームローンの違い

不動産担保ローン住宅ローンリフォームローン
担保不動産選択できる場合が多い
資金使途制限が少ない自宅の購入・増改築に限る住宅の増改築・改装と付随費用に限る
対象者所有者本人のほか、家族でも可能購入・所有者本人で安定収入など信用がある人所有者本人や家族で、安定収入など信用がある人
住宅ローン控除なし※ありなし

※購入を伴う場合は住宅ローン控除の対象となります。

Kさん: 不動産担保ローンですか。資金使途の制限が少なく、担保とする不動産が父の名義の不動産でもよいということですね。

FP吹田:はい、ご家族の所有の不動産も有効活用できるローンです。住宅ローンはいわゆる不動産担保ローンの一部で、担保がご自身名義の自宅に限定されていると思っていただくとよいかと思います。

Kさん: わかりました。さすがに借入が何千万もいくほどではないと思うので、借入期間も住宅ローンのように長期ではなく、短めに考えられると思います。

FP吹田:あと住宅ローンとの大きな違いとしては、不動産担保ローンは、所得税や住民税が軽減される住宅ローン控除が適用できない点が挙げられます。

Kさん: それは問題ありませんよ。おそらく借入は1千万円弱で期間も10年くらいで返せる程度と思うので、影響もないかと。

FP吹田:ご自身で優先順位をしっかりとお考えなのはさすがです。考えてみると、結婚も人生で最大の投資ですものね。

Kさん: はい、まさにそう思います。自分の人生がパートナーとともにいろいろチャレンジできるものになるなら、そこにはしっかり初期投資をしてよいと思っています。

FP吹田:それを聞けて良かったです。住まいのリフォームなど具体的なプランについては、お父様ともご相談されて決められると思うので、今の想いや将来のビジョンをぜひご家族と共有されるとよいと思います。

Kさん: わかりました。資金準備の選択肢があるとわかって、ホッとしました。不動産を担保にする場合は、当然、父にも協力を仰ぐことになるので、しっかり話すことにします。

FP吹田:はい、不動産担保ローンは、ご自身が所有していない物件を親族等から担保に提供してもらう場合は物上保証人になって頂く必要がありますし、場合によっては連帯保証人を求められることがあるので、最終的には取り扱い担当者にも確認してくださいね。

Kさん: はい、父親に迷惑をかけるようなことはしたくないので、しっかりと家族に相談して、担当者にも問い合わせてみます。

まとめ

国際結婚に伴う費用や住まいのリフォームをまとめて資金調達したい場合

住宅ローンやリフォームローンの可能性は?

・資金使途が住宅購入や改築に関するものに限定されてしまうため一般的に厳しい。

不動産担保ローンの可能性は?

・資金使途の制限が少なく、可能性大。
・担保にできる不動産は家族所有まで幅広い。
・ただし、住宅ローン控除は適用されない(購入を伴う場合は住宅ローン控除の対象となります)。
・仮に返済できなくなった場合、担保とした不動産を失うことになるので、担保提供者などの保証人を必要とする場合があることに注意。

執筆者紹介

吹田 朝子( Tomoko Suita )
人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント
(社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長
一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。
<主な著書>
「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など