公開日:2023.02.08
不動産投資は長期の安定収入が期待できますが、投資である以上、損失が生じるリスクもあります。ただし、事前に対策を講じることで、ある程度リスクを軽減できます。物件を購入する前に、どんなリスクがあるかを知っておくことが大切です。
この記事では、不動産投資の8つのリスクとその対策について解説します。
空室が生じて、家賃収入を得られなくなるリスクです。入居者が見つからず、空室期間が長引くと収益性が低下します。融資を利用して物件を購入する場合は、ローン返済に支障が出る恐れもあるので注意が必要です。
空室リスクを下げるには、賃貸需要のあるエリアの物件を選ぶことが有効です。「人口が多い」「ターミナル駅に近い」「大学や工場が近くにある」「スーパーなどの施設が充実している」などの要件を満たす物件は、一定の賃貸需要を見込める可能性があります。
また、不動産会社などが発表している「住みたい街ランキング」をもとにエリアを選定するのも1つの方法です。
賃貸管理を委託する場合は、入居者募集に強い賃貸管理会社を選ぶことも有効です。賃貸管理会社によって、実績やノウハウに差があります。入居率や平均空室期間などを参考に、入居者募集に強い賃貸管理会社を選びましょう。
入居者が家賃を滞納して、収入を得られなくなるリスクです。入居者保護の観点から、家賃滞納が発生しても強制的に退去させるのは難しいため、発生防止に力を入れる必要があります。
家賃滞納を防ぐには、入居審査を厳しくすることが有効です。経歴や年収、勤務先、人柄といった属性から、家賃滞納を起こす恐れがないかを見極めましょう。
なお、入居者募集は賃貸管理会社に任せられますが、自分でも入居希望者の属性に問題がないかを確認した上で賃貸借契約を締結することが大切です。
家賃保証会社を利用すれば、家賃滞納が発生した際に保証会社が立て替えてくれまが、家賃保証会社だけでなく、連帯保証人も立ててもらうとより安心です。両親や親戚など入居者にとって身近な人に連帯保証人になってもらうことで、「迷惑をかけられない」という気持ちが働き、家賃滞納への抑止力となることが期待できます。
地震や火災、水害などで建物に被害が出るリスクです。近年では、地球温暖化の影響で自然災害が多発しています。必ずしも避けることのできるものではありませんが、リスクを抑えることはできます。
物件を購入する際は、火災保険や地震保険に加入しておくと安心です。 建物に被害が出ても、保険金で復旧費用をカバーできます。火災保険だけでは、地震が原因の火災の場合に補償してもらえないため、地震保険にも加入することをお勧めします。
地震への対策として、1981年以降に建てられた「新耐震基準」の物件を選びましょう。新耐震基準は「震度6以上でも倒れない」とされており、大地震が発生しても建物倒壊を回避できる可能性があります。
ただし、築年数が経過している物件は、適切なメンテナンスや修繕が行われているかで建物の状態が変わります。そのため、「築浅物件や管理状態が良好な物件を選ぶ」「投資エリアを分散する」といった対策も有効です。
ハザードマップを活用し、災害に強い地域の物件を選ぶことも有効です。自治体のホームページに掲載されているので、物件購入前に災害リスクを確認しておきましょう。
経年劣化により、建物や設備が老朽化するリスクです。不動産投資では、設備や建物の老朽化が、入居者募集や家賃、資産価値、売却活動などに大きな影響を与えます。
不動産は実物資産であるため、年数が経過するほど建物や設備の老朽化が進みます。ただし、適切なメンテナンスや修繕を行うことにより、老朽化のスピードを遅らせ、建物を長く良好な状態に保つことは可能です。
あらかじめメンテナンスや修繕の計画を立てておき、その計画を実行できるように修繕費用を確保しておきましょう。また、物件の購入前のシミュレーションには必ず設備の交換費用や、管理費や修繕積立金の増加を見込んでおきましょう。
不動産価格が下落して、物件の資産価値が低下するリスクです。購入時より資産価値が大きく低下すると、売却時に損失が生じて、最終的な損益がマイナスになる恐れがあります。
新築の物件価格にはいわゆる「新築プレミアム」が上乗せされており、購入から数年で価格が2割程度下落することも珍しくありません。一方で、中古物件は新築に比べて不動産価格の下落ペースが緩やかな傾向にあります。
ただし、中古物件であっても築年数の経過とともに資産価値は下落するため、定期的に査定依頼をして、売却時期を検討することが大切です。そのほか、再販業者の利益が大幅に乗っている物件や、市場価格よりも高値で売り出されている物件ではないかの確認は必ずしましょう。
不動産価格の推移は、エリアによって差があります。直近はもちろん、長期の価格推移も確認して、値動きが比較的安定している地域の物件を選ぶと良いでしょう。また、地方自治体から出されている「将来人口推計」を確認して、人口減少が見込まれている地域を避けるのも有効です。
家賃が下落して、不動産投資の収益性が低下するリスクです。ほとんどの場合、築年数が経過するほど家賃は下落します。
家賃下落を抑えるには、賃貸需要が見込める物件を選ぶことが有効です。人気が高いエリアの物件は家賃相場が安定しており、築年数が経過しても家賃が下落しにくい傾向にあります。
買い手が見つからず、所有物件を売却できなくなるリスクです。不動産投資は売却によって最終的な損益が確定するため、売却も想定しておく必要があります。
購入時に立地や築年数、建物の構造を考慮して、売却しやすい物件を選ぶことが重要です。たとえば、築年数が経過した地方の一棟アパートよりも、首都圏の築浅区分ワンルームのほうが買い手を見つけやすいでしょう。
また、周辺物件よりグレードが高い、同じくらいの築年数の物件が少ないなどの差別化要素があれば、よりリスクを減らせるかもしれません。
定期的に査定を依頼して、物件の資産価値を確認することも大切です。不動産は、基本的に築年数が経過するほど資産価値は下落し、買い手を見つけにくくなります。査定額の変化から、売却時期を見極めましょう。
不動産投資ローンの適用金利が上昇して、返済負担が増えるリスクです。融資を利用しており、変動金利の場合、市場金利の動向に応じて定期的に適用金利が見直されます。
不動産投資ローンを借りる際は、自己資金を多めに準備しましょう。頭金を多く入れて借入金額を少なくすれば、金利が上昇しても支払利息の負担を抑えられます。
不動産投資は、他人資本(借入金)を活用して効率的に資産を増やせるのが魅力です。しかし、融資を受けられるとしても、無理な借り入れをしないことが金利上昇リスクへの対策となります。
長期の借り入れを行う場合は、固定金利を選ぶのも選択肢です。契約時の適用金利は変動金利より高くなりますが、固定金利であれば、市場金利が上昇しても適用金利は変わりません。
契約時に毎月の返済額や総返済額が確定するため、返済計画を立てやすいのもメリットです。
不動産投資にはさまざまなリスクがありますが、事前に対策を講じることで、リスク軽減が期待できます。成功率を高めるためにも、物件購入前に不動産投資のリスクと対策を理解しておきましょう。
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