更新日: / 公開日:2024.03.06
フラット35子育てプラスとは、子育て世帯や若年夫婦世帯に向けた新たな金利引き下げ制度です。一定の要件を満たすと子供の人数などに応じて金利が引き下げられるため、住宅ローンの負担軽減が期待できます。
この記事では、フラット35子育てプラスの内容や金利引き下げの条件、注意点を解説します。
フラット35子育てプラスは、子育て世帯が良質な住宅を取得できるように、金利負担を軽減することを目的とした住宅ローンの制度です。この制度は、少子化対策及び子育て支援の一環として2023年11月29日に成立した、令和5年度(2023年)補正予算において拡充されました。
なお本制度は、2024年2月13日以降の資金受取分から適用されています。
フラット35の子育てプラスの概要は以下のとおりです。
新設されたフラット35子育てプラスは、子育て世帯だけでなく若年夫婦世帯も支援対象に含まれます。本制度の子育て世帯とは、借入申込年度の4月1日において、子ども(胎児および孫を含む。孫の場合は同居が必要。)の年齢が18歳未満である世帯を指し、若年夫婦世帯とは、借入申込年度の4月1日において、夫婦(同性パートナーを含む)のいずれかが40歳未満である世帯を指します。
ただし、借入申込年度の4月1日で条件を満たしていない場合でも、資金実行時(金融機関が資金実行日、融資金利などを登録する手続日をいいます。)までに上記の要件を満たせば、本制度を利用することができます。詳細は申し込みをした金融機関に確認しましょう。
子育てプラスの金利引き下げメニューが加わった制度拡充では、新しいポイント制度も導入されています。
家族構成や住宅、エリアに応じてポイントが加算され、そのポイント合計数に応じて金利引き下げが適用される仕組みです。
図:金利引き下げの条件の考え方
出典)住宅金融支援機構「【フラット35】子育てプラスA3チラシ」
ここでは、上図を参考に、フラット35子育て支援の金利引き下げの条件について確認していきましょう。
まずは、家族構成に応じて加算されるポイント数をチェックしましょう。
家族構成 | 加算ポイント数 |
---|---|
若年夫婦世帯 | 1ポイント |
子ども1人 | 1ポイント |
子ども2人 | 2ポイント |
子ども3人 | 3ポイント |
子どもN人 | Nポイント |
子どもの人数が多いほど加算ポイントが増える仕組みです。子どもがいない若年夫婦世帯には1ポイントが加算されます。
住宅は「性能」と「管理・修繕」の2つについて、それぞれポイントが加算されます。
【性能】
住宅の技術基準レベル | 加算ポイント数 |
---|---|
フラット35s(ZEH) | 3ポイント |
フラット35s(金利Aプラン) | 2ポイント |
フラット35s(金利Bプラン) | 1ポイント |
フラット35リノベ(金利Aプラン) | 4ポイント |
フラット35リノベ(金利Bプラン) | 2ポイント |
省エネルギー性や耐震性など、フラット35Sの技術基準をクリアしている住宅の場合は、レベルに応じてポイントが加算されます。中古住宅を取得してリノベーションを実施し、フラット35リノベが適用される場合も同様です。
【管理・修繕(フラット35維持保全型)】
対象住宅 | 加算ポイント数 |
---|---|
長期優良住宅 | 1ポイント |
予備認定マンション ※1 | 1ポイント |
管理計画認定マンション ※2 | 1ポイント |
安心R住宅 ※2 | 1ポイント |
ホームインスペクション実施住宅 ※2 | 1ポイント |
既存住宅売買瑕疵保険付保住宅 ※2 | 1ポイント |
※1 新築マンションのみ
※2 中古住宅のみ
「新築戸建住宅」「新築マンション」「中古住宅」の取得について、フラット35維持保全型が適用される場合は、対象住宅の種類に応じてポイントが加算されます。
住宅を取得するエリアが住宅金融支援機構と連携している場合は、フラット35地域連携型やフラット35地方移住支援型を利用できる場合があります。これらは、地方公共団体による補助金や移住支援金の交付とあわせて、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度です。
エリア | 加算ポイント数 |
---|---|
フラット35地域連携型(子育て支援) | 2ポイント |
フラット35地域連携型(空き家対策) | 2ポイント |
フラット35地域連携型(地域活性化) | 1ポイント |
フラット35地方移住支援型 | 2ポイント |
地方公共団体の支援があるエリアであれば、その内容に応じてポイントが加算されます。なお、住宅金融支援機構と連携しているエリアかどうかは、フラット35のホームページで確認することができます。(詳細はこちら)
最後に、「家族構成」「住宅」「エリア」の各項目で加算されたポイント数を合計しましょう。以下のように、合計ポイントに応じて金利引き下げが適用されます。なお、合計ポイントが5~8ポイントの場合は6~10年目、9~12ポイントの場合は11~15年目も金利が引き下げられます。
出典)住宅金融支援機構「【フラット35】子育てプラスA3チラシ」
総返済額の引き下げ額は、1ポイントだと約-40万円、5ポイントだと約-195万円、9ポイントだと約-375万円にもなります。自分が受けられる金利引き下げを確認したい人は、フラット35のホームページで確認できます。(詳細はこちら)
子育てには子どもの学費など、まとまったお金が必要となるライフイベントが発生します。固定金利で住宅ローンを組めば、毎月の返済額が固定されるため、資金計画を立てやすくなります。
一方で、固定金利型の住宅ローンは、変動金利に比べて適用金利が高い傾向にあります。適用要件を満たして金利が低くなるのであれば、フラット35子育てプラスの利用を検討しても良いのではないでしょうか。
ただし、金利引き下げはずっと続くわけではなく、5~15年の期間限定です。変動金利型やフラット35以外の固定金利型の住宅ローンと比較したうえで、本当に自分に合うかを判断する必要があるでしょう。
既にフラット35を借りている人の中には、「自分も要件に当てはまっているが利用できないのか」と思われる人もいるかもしれません。
しかし、本制度はあくまで新規で借り入れるタイミングを基準に対象者を判断しているため、後から申請し、フラット35子育てプラスを利用することはできません。既に子育てプラスを利用していて、後から子供が増えた場合も同様です。
加えて、新たにフラット35に借り換える場合も、フラット35子育てプラスを利用することができません。子育てプラスを利用するために借り換えることはできないので注意しましょう。
なお、フラット35子育てプラスは利用できなくても、フラット35への借り換えによって、総返済額や月返済額を軽減できる可能性があります。詳細は以下の記事で解説しています。
フラット35子育てプラスを利用することで、子どもの人数等に応じて金利引き下げの適用を受けることができます。ZEHや長期優良住宅といった質の高い住宅を取得する場合は、さらに金利が優遇されるかもしれません。
住宅取得を計画している子育て世帯は、2024年2月13日にスタートした「フラット35子育てプラス」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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