公開日:2024.04.17
債務超過になると、すぐに倒産することはなくても、さまざまなデメリットがあるため、早期に対策を講じる必要があります。債務超過に陥った場合、経営者はどのように対処すればよいのでしょうか。
この記事では、債務超過のデメリットや解消方法、中小企業が利用できる支援策について紹介します。
債務超過とは、貸借対照表の負債が資産を上回り、純資産がマイナスの財政状態のことです。このような状態では、仮に会社を清算し保有資産を全て売却したとしても、借入金などが返済できず、負債が残ってしまいます。
出典)J-Net21「わが社の帳簿が債務超過の状態になってしまいました。解消するにはどうすればよいでしょうか?」
債務超過だからと言って、必ずしも倒産するわけではありませんが、さまざまなデメリットがあり、できるだけ早期に解消することが望ましいでしょう。
債務超過に陥ると、以下のようなデメリットがあります。
債務超過は企業の財政状態が悪化していることを意味するため、仕入先や販売先から取引を打ち切られる恐れがあります。
銀行からの信用度が低下するのも重要な問題です。返済能力が乏しいと判断されると、新規借り入れが困難になるうえに、借入金の早期返済を求められることもあります。
債務超過に陥っても、現金預金や売掛金などの流動資産に余裕があり、当面の支払いに対応できるならすぐに倒産することはないでしょう。しかし、上述のデメリットによって資金繰りがさらに苦しくなる恐れもあります。
債務超過を解消するには、長期的な視点では経営体質を改善し、毎期利益が出るように体制を整えるしかありません。一方で、短期的な視点では以下のような解消方法があります。
増資とは、投資家から出資を受けて資本金を増加させることです。外部から出資を募る場合は経営権に影響し、手続き費用も発生する点に注意が必要です。
代表者や役員からの借入金を資本金に振り替える方法は、債務超過の解消に加えて、借入金の返済と利息の支払いが不要になるのがメリットです。一方で、役員からの借入金を資本金に振り替える場合、その役員の経営への影響力が強まる恐れもあります。
利益を生み出さない遊休資産を売却し、その売却代金で負債を返済すれば、債務超過の解消が期待できるでしょう。資産の圧縮によって総資本経常利益率などの指標が改善し、銀行からの信用度が上がる可能性もあります。
これらの方法は専門知識が求められるため、税理士などの専門家に相談したうえで実行するか判断しましょう。
債務超過が原因で銀行から融資を受けられず、資金繰りが苦しい中小企業向けに、次のような支援策が用意されています。
セーフティネット貸付や事業再生支援資金など、事業再生支援を目的とした様々な融資制度が用意されています。債務超過であっても、一時的な運転資金や経営再建資金、災害復旧資金などに利用できる融資を受けられるかもしれません。
ただし、それぞれ利用できる融資制度や諸条件が異なるため、まずは各機関の窓口で相談してみましょう。
地域金融機関や中小企業活性化協議会等の事業再生支援機関、顧問税理士などの外部機関と連携し、過剰債務の対応や経営危機への改善支援があります。事業再生に向けた支援プログラムを作成することで、資金繰りのサポートが受けられる可能性があります。
都道府県や市区町村が国の中小企業支援策と連動し、各自治体が独自に運用している融資制度です。地方自治体の制度融資では、債務超過であっても運転資金などの融資を受けられる可能性があります。まずは自治体の担当窓口に相談してみましょう。
中小企業等経営強化法に基づき、低利融資制度などの支援措置を利用できる可能性があります。支援措置を受けるには、具体的な数値目標を含んだ経営革新計画を作成し、都道府県(または国)の承認を得なくてはなりません。
ハードルは高いかもしれませんが、経営革新計画を立てることで課題が明確になり、経営体質の改善効果が期待できるでしょう。
中小企業活性化協議会とは、すべての都道府県に設置されている中小企業の支援機関です。商工会議所などが運営しており、収益力や財務の改善、保証債務の整理などについて相談できます。債務超過の解消を目的とした再生計画の作成支援を受けることも可能です。
経営安定特別相談室とは、破産や倒産の不安を抱えている中小企業向けの相談窓口です。全国の主要商工会議所や都道府県の商工会連合会で設置されています。資金繰りが厳しいなどの経営難に直面している中小企業は、弁護士などの専門家に無料で相談できます。
債務超過になったからといって、必ずしも倒産するとは限りません。しかし、取引先や銀行からの信用度が下がるため、売上や利益が減少したり、資金調達に支障が出たりする恐れがあります。
資金繰りの悪化による倒産を防ぐためにも、国や自治体の支援をうまく活用しながら、なるべく早く債務超過を解消するための対策を講じましょう。
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