不動産買取のメリット・デメリットとは?不動産業者の選び方も解説

公開日:2024.08.09

一般的に不動産を売却する場合は「不動産買取業者へ売却する方法」と「不動産仲介業者を通して売却する方法」の2種類があります。どのような場合に不動産買取を利用し、どのような不動産業者を選べばわからない人もいるかもしれません。

この記事では、不動産買取業者の選び方のポイントや注意点について詳しく解説します。

不動産買取のメリット

まずは、不動産買取のメリットについて解説します。不動産買取業者へ直接売却する場合は、不動産仲介で売却するより手間がなくスピーディーなのが特徴です。不動産会社に買い取ってもらう方法は、即時買取と買取保証の2種類があります。

  • 即時買取
  • 買取保証

即時買取は、売却にかかる期間が短いのがメリットです。不動産仲介で売却を行う場合、買主を探すための期間が必要なため、概ね約3か月〜半年程度の時間がかかります。そのため、離婚や相続などすぐに不動産を売却したい場合は即時買取が向いているでしょう。

買取保証は、不動産買取と不動産仲介の両方の面を持った売却方法です。まずは、市場価格で売却できるように販売活動を行い、売れない場合は最終的に買取業者が買い取ってくれるのがメリットです。買取保証は、売却までに時間がある方やなるべく高値で売りたい方に向いているでしょう。

不動産買取のデメリット

一方で、不動産買取にはデメリットもあります。

不動産買取業者で売却する場合は、不動産仲介よりも売却価格が低くなる傾向があるのがデメリットです。不動産買取業者は、購入した不動産のリフォームやリノベーション、解体などを行い、利益がでるように再販する仕組みです。

そのため、それらの諸費用を引いた買取価格となるため、売却価格が低くなってしまいます。 なるべく高値で売りたい方は、不動産仲介で依頼すると良いかもしれません。不動産仲介で売却する場合は、短期間で売却することが難しい一方で、市場価格に近い価格で売却しやすいです。

不動産買取業者の選び方

不動産買取業者の中には、高額な手数料を取ったり、嘘をついて契約する悪質な業者も存在します。ここからは、不動産買取業者の選び方について解説します。

不動産買取業者の対応エリアを確認

不動産買取業者を選ぶ際は、不動産の対応エリアの確認をしましょう。不動産会社は大手の不動産業者だとしても、すべての地域の不動産買取に対応している訳ではありません。事前に対応しているエリア内であるか確認してから査定をしてもらう必要があります。

また、対応エリアを確認したら、エリア内での買取実績を確認しましょう。地域の相場を調査することで、適正な価格相場が把握でき、高値で買い取ってもらう交渉がしやすくなるかもしれません。

不動産買取業者の専門分野を確認する

不動産会社を選ぶ際は、不動産買取業者の専門分野を確認しましょう。不動産買取業者によって、戸建て、マンション、土地など、買取の専門分野が異なるので、相場に見合わない価格を提示されてしまうケースがあります。

専門分野を確認すると、「戸建ての買取のみ」「マンションの買取のみ」といった物件種別が限られていることもあります。不動産買取業者の専門分野を確認し、より経験や知識が豊富な業者を選定しましょう。

買取実績が豊富な不動産買取業者を選ぶ

不動産買取業者を選ぶ際は、買取実績や事例が豊富な業者を選ぶことも重要なポイントです。買取の実績が豊富であれば、地域の不動産買取の相場や需要なども把握しているため、よりよい条件で買取してくれる可能性があります。

特に戸建ての買取は、地域密着型の不動産買取業者を選ぶのがおすすめです。大手の不動産業者でも買取を行っていますが、地域の環境やニーズを細かく把握しておらず、適正価格を見極めにくい傾向があります。

できるだけ高く買い取ってほしい場合は、買取実績が豊富な買取業者に何社かに見積もりを依頼し、比較検討しましょう。

目的に合ったサービスや対応力を確認する

不動産買取業者を選ぶ際は、目的にあったサービスや対応力も確認しましょう。例えば、即時買取や買取保証を行っているのかは、売却活動を行う上で重要です。さらに、リースバックを取り扱っているかどうかもポイントになるかもしれません。

また、営業担当者の対応力も大切なポイントとなります。資格を持っているか、経験や知識が豊富か、疑問点にも誠実に答えてくれるかなどを確認し、スムーズに取引できるか確認しましょう。

買取価格を比較する

不動産買取業者を選ぶ際は、複数の買取業者の価格を比較しましょう。さまざまな買取業者の査定を受けることで、買取価格の交渉がしやすくなります。

最低でも、2~3社に見積もりを出してもらうのがおすすめです。不動産買取業者によって得意とする物件種別や実績が変わってくるため、より高く売りたい方は複数の業者に見積もりをお願いしましょう。

不動産買取の流れ

ここからは、不動産買取の流れについて解説します。

1.不動産会社の選定

上述のようなポイントに基づき情報収集を行いましょう。売りたい不動産のエリアの買取価格の相場を把握することで、適切な価格で売却でき、買取時の損失を抑えられるでしょう。

また、不動産会社には得意とする専門分野がある場合や、物件種別によっては買取を受け付けていない場合もあります。口コミやWebサイトなどの情報を参考に、売りたい不動産がどこで高く売れそうか情報収集を行いましょう。

2.不動産の査定

近年、物件の条件や住所などを入力するだけで、簡易査定を行ってくれるサービスが増えています。不動産買取業者を扱うポータルサイトでは、複数社に簡単に査定依頼を申し込めます。

「早く売りたい」、「高い査定額を提示する会社に売りたい」という方は、簡易査定に申し込みましょう。ただし、より正確な買取金額を試算してもらうためには、訪問査定が必要となります。

また、査定後に会社を比較する際は、別途手数料が発生しないか、不当な条件になっていないかなどの確認が必要です。付帯するサービスの質や営業担当の対応力についても確認しておきましょう。

3.不動産会社と売買契約

不動産会社の買取金額や契約内容に納得したら、不動産会社と売買契約を結びます。契約書には、不動産の売却価格、支払い条件、引き渡し日などが記載されているため、納得できれば契約を締結します。

契約書は、誤りがないか隅々まで確認をすることが重要です。契約書に印を押した後は、簡単に契約内容を変更できないため注意しましょう。

4.引き渡し

一般的に、売買契約書で定めた日程に、不動産の引き渡しと決済が行われます。決済日は司法書士の立ち合いのもと、登記手続きを行います。また、決済日には、不動産の権利証や固定資産税・都市計画税納税通知書など司法書士に提出する書類が必要となるため、事前に必要なものについて確認しておきましょう。

引き渡し前には、契約時と物件の状況が変わっていないか、物件の状態の最終確認も行われます。

不動産買取の注意点

ここからは、不動産買取の注意点について解説します。

1.買取に対応できない場合もある

不動産買取業者は、不動産会社が買取した物件をリフォームやリノベーション、解体などをして再販することで利益を得ます。そのため、立地の悪い土地や地盤が弱い土地など、再販が期待できない物件は買取をしてくれる不動産業者が限られるでしょう。

ただし、たとえ1社に断られた場合でも、ほかの不動産会社は買い取ってもらえる可能性もあるため、複数の不動産買取業者に査定してもらうようにしましょう。

2.不動産仲介よりも買取相場が安い傾向にある

不動産買取は、不動産仲介よりも買取相場が安い傾向にあります。不動産の買取価格は、不動産会社がリフォームや解体などの付加価値をつけて再販することが前提で買取を行うため、リフォームやリノベーション、解体などにかかる費用が想定されて差し引かれるからです。

ただし、不動産仲介の場合は物件の価格帯や築年数・エリア・不動産の状態などによって、そもそも売却しづらい場合もあります。不動産仲介か不動産買取か迷ったら、不動産会社に相談するのがよいでしょう。

3.仲介手数料はないが、税金が発生する

不動産買取には仲介手数料はありませんが、不動産仲介での売却と同様に税金が発生します。不動産売却時にかかる税金は、「譲渡所得税」、「登録免許税」、「印紙税」の3種類です。

  • 譲渡所得税:不動産を売却して利益が生じる場合にかかる税金。
  • 登録免許税:抵当権抹消登記の際にかかる税金。登録免許税額は不動産1個につき1,000円。
  • 印紙税:不動産売買契約書に貼付する収入印紙代。

出典)
国税庁「土地や建物を売ったとき」
津地方法務局「抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税」

4.不動産売却時は住宅ローンを完済する必要がある

不動産売却時は、住宅ローンを組んだ不動産に設定された抵当権を抹消する必要があり、そのためにはローンを完済しなければなりません。住宅ローンを売却額で補えない場合は、自己資金から支払う必要があるため注意しましょう。

まとめ

不動産買取は、不動産を早く売却しやすい点がメリットです。しかし、不動産仲介よりも買取価格が安い傾向があるなどの注意点について理解しておくことが大切です。

また、不動産買取業者を選ぶ際は、複数の会社に査定してもらい、高額な価格で買い取ってくれる業者を選ぶことがポイントです。不動産買取業者を選ぶ際は、本記事の買取業者の選び方を参考にしてみてください。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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