公開日:2024.11.27
不動産仲介で物件を売却する場合、買主がなかなか見つからず、売却が予定通りに進まないことで現金化できないリスクがあります。このリスクを回避する手段として、「不動産買取保証」を利用することが選択肢の一つとなるでしょう。この記事では、不動産買取保証の仕組みとメリット・デメリットを詳しく解説します。
不動産買取保証とは、不動産仲介と不動産買取を組み合わせた売却方法です。「買取保証付き仲介」と呼ばれることもあります。まずは仲介で売却活動を行い、一定期間が経過しても売却できない場合に不動産会社が物件を買い取る仕組みです。
※筆者作成
不動産の売却方法は、主に不動産会社が買主を探す「仲介」と、不動産会社が直接物件をを買い取る「買取」の2種類があります。仲介は相場に近い価格で売却できますが、買主が見つかるまでに時間がかかることがあります。買取は速やかに現金化できますが、売却価格は相場より安くなる傾向にあります。
不動産買取保証は、まずは相場で売却できるように販売活動を行い、売れない場合は最終的に不動産会社が買い取るため、仲介と買取の併用型といえるでしょう。
不動産買取保証には次のようなメリット・デメリットがあります。両者を比較して、自分の意向に適しているかを確認しましょう。
不動産買取保証のメリットは、不動産が売却できないリスクを回避できる点にあります。仲介で一定期間が経過しても売却できない場合、不動産会社が買い取ってくれるため、現金化が必要な際にも計画通りに売却を進めることが可能です。
また、買取となった場合は買主が不動産会社になるため、「仲介手数料が無料になる」「契約不適合責任が免責になる」といったメリットがあります。
仲介手数料の上限額は「(売買価格×3%+6万円)+消費税(税率10%)」です(売買価格400万円超の場合)。売買価格が3,000万円であれば、仲介手数料の上限額は税込105.6万円となります。
契約不適合責任とは、売却した不動産が契約内容に適合していない場合に、売主が買主に対して負わなくてはならない責任のことです。不動産買取の場合、この契約不適合責任が免責となるため、売却後に修繕費用の負担や損害賠償が生じるリスクを避けられます。
不動産買取保証のデメリットは以下のとおりです。
仲介で一定期間が経過しても売却できない場合は、買取に切り替わり、相場よりも安い価格で現金化することになります。不動産買取保証を取り扱っている不動産会社は多くないため、依頼先を探すのに苦労するかもしれません。
また、不動産会社が「自社で買い取り再販したい」と考えている場合、仲介での売却活動が積極的に行われない恐れもあります。
不動産買取保証が向いているのは、できるだけ高い価格で物件を売却したいが、売却期限が決まっている場合です。具体的には、次のような状況が当てはまります。
いずれもスケジュールを見据えながら、確実に不動産の売却を進めることが重要です。相続は相続税の納付期限があるため、納税資金を確保しなくてはなりません。任意売却では、売却価格などを決めたうえで金融機関の同意を得る必要があります。
不動産買取保証での売却の流れは以下のとおりです。
不動産買取保証を取り扱っている不動産会社を探し、安心して依頼できる会社が見つかったら媒介契約(専属専任媒介契約)を締結します。不動産会社と協力しながら、売買価格の設定や物件情報の掲載、内覧対応などの売却活動を行いましょう。
売却活動の期間中に買主が見つかれば、一般的な売買契約締結に向けて手続きを進めます。一定期間が経過しても売却できない場合には、不動産会社による買取手続きを行うことになります。
不動産買取保証では専属専任媒介契約を締結するため、一度不動産会社を決めると媒介契約の期間である3か月程度は仲介会社の変更ができません。そのため、複数の不動産会社を比較検討して、契約する会社を選ぶことが大切です。
エリアや物件種別によって不動産会社ごとに得意とする分野が違うので、慎重に見極めましょう。不動産会社選びでは、営業担当者の対応が丁寧で信用できるかも重要なポイントになります。
不動産買取保証は、仲介で一定期間が経過しても売却できなければ不動産会社が買い取るため、期限までに不動産を売却しなくてはならない場合に向いています。不動産買取保証を利用する場合は、複数の不動産会社を比較検討して信頼できる会社を選びましょう。
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