公開日:2025.02.19
店舗併用住宅とは、建物の一部分を店舗として利用する住宅です。自宅で開業するために、店舗併用住宅の建築・取得を検討する人もいるでしょう。店舗併用住宅でも住宅ローンを利用できますが、一般住宅とは条件や注意すべき点が異なります。
この記事では、店舗併用住宅で住宅ローンを組む場合の条件やメリット・デメリット、注意点を解説します。
店舗併用住宅でローンを組む場合、基本的に居住部分は住宅ローン、店舗部分は事業用ローンを利用します。ただし、一定の要件を満たせば、居住部分と店舗部分をまとめて住宅ローンを利用できる金融機関もあります。
まずは、一般的な銀行とフラット35の利用条件について見ていきましょう。
銀行の場合、店舗併用住宅で住宅ローンを利用できるかは金融機関によって異なります。多くの金融機関では、「居住部分の床面積割合」「店舗部分の使用目的」などを条件として設定しています。
例えば、住信SBIネット銀行の利用条件は以下のとおりです。
出典)住信SBIネット銀行「〔住宅ローン〕 店舗(事務所)併用物件でも利用することはできますか?」
住信SBIネット銀行では、居住部分の床面積が50%未満の場合、店舗部分を他人に貸し出す場合は店舗併用住宅で住宅ローンを組むことはできません。条件は金融機関によって異なるので、住宅ローンを申し込む予定の金融機関に店舗併用住宅の利用条件を確認するとよいでしょう。
フラット35の場合、以下4つのすべての条件を満たす場合は店舗併用住宅でも住宅ローンを組めます。ただし、借り入れの対象となるのは居住部分のみです。
出典)フラット35「一部分を店舗や事務所として利用するような住宅(内部で行き来できるもの)は融資の対象になりますか。」
店舗併用住宅でフラット35を利用するなら、店舗部分については事業用ローンの利用を検討する必要があるでしょう。
店舗併用住宅で住宅ローンを組む際には、以下のようなメリットがあります。
店舗部分の建築費や店舗部分の面積に応じたローンの利息は、事業の経費に計上できます。テナント料がかからないので、自宅とは別に店舗を借りるよりも支出を抑えられるかもしれません。
居住部分は住宅ローン控除など対象となるため、税負担の軽減が期待できます。また、住宅ローンは事業用ローンよりも金利が低い傾向にあることから、利払いの負担軽減にもつながるでしょう。
一方で、店舗併用住宅で住宅ローンを組むことには、以下のようなデメリットもあります。
特に店舗併用住宅は一般住宅に比べると購入を検討する人が少なく需要が低いので、売却がしにくいのが最大のデメリットしてあげられるでしょう。
店舗併用住宅で住宅ローンを組む際の主な注意点は以下2つです。
店舗併用住宅では、住宅ローン控除の適用範囲などに注意して税制優遇を有効活用できるように、居住部分と店舗部分の割合をどうするかを検討しておくことが大切です。そもそも居住部分が50%以上ないと、住宅ローン控除が使えない点にも注意が必要です。
また、店舗併用住宅は需要が少なく、売却が難しい傾向にあります。将来お店の場所を移転したり、事業を辞めたりする可能性を考慮し、どのように売却するかを考えておきましょう。
その他、店舗併用住宅で火災保険に加入する際にも注意が必要です。店舗併用住宅も火災保険の対象となる建物ですが、建物の用途は住居のみに使用する「専用住宅」ではなく、一部を店舗として使用する「併用住宅」となります。そのため、一般住宅に比べると保険料が高くなる場合があります。
店舗併用住宅で住宅ローンを組むことは可能ですが、通常は居住部分の床面積割合や店舗部分の使用目的などの条件が定められています。金融機関に申し込みをする前に、店舗併用住宅で住宅ローンを組む場合の条件を確認しておくことが大切です。
フラット35の場合は借り入れ対象が居住部分に限られるため、店舗部分は事業用ローンの利用を検討しましょう。
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