公開日:2025.04.09
企業の創業時や事業の拡大時など、事業運営では設備投資が必要になる場面があります。まとまった費用がかかるため、資金調達に悩む経営者や個人事業主の方も多いのではないでしょうか。この記事では、設備資金の概要や運転資金との違い、融資を受ける方法などを解説します。
設備資金とは、事業用の設備の購入に必要となる資金のことです。創業時や事業の拡大時などは、設備や施設の購入などに伴い、一時的にまとまった費用が発生します。設備投資に必要な資金を自己資金でまかなうのが難しい場合は、設備資金として金融機関から資金を調達する方法もあります。
設備資金の内容は業種によって異なり、例えば以下のような資金が設備資金として該当します。
業種 | 設備資金の例 |
---|---|
製造業 | 事務所の敷金・保証金、事務所や工場などの増設、拡張など |
建設業 | 事務所の敷金・保証金、建設機械、事業用車両の購入など |
飲食業 | 店舗の敷金・保証金、厨房機器、テーブル、椅子の購入費など |
小売業 | 店舗の敷金・保証金、陳列棚、什器購入費など |
事業に関連して一時的に発生する支出であっても、以下の資金は設備資金に含まれません。あくまでも、事業をする上で必要となる設備に対しての支出が設備資金となります。
設備資金と混同しやすい資金として、運転資金があります。
運転資金とは、事業を継続するために必要な資金です。具体的には、人件費や仕入れ代金、家賃、光熱費など事業を継続するうえで必要な資金が運転資金に該当します。
設備資金と運転資金は、主に支払いのタイミングや継続性に違いがあります。設備資金は、設備などを購入する際に、一時的にまとまった費用がかかるのが特徴です。一方、運転資金は、事業を運営している限り継続的にかかります。
設備資金の融資を受ける方法は、主に以下の3つがあります。
銀行などの民間金融機関では、設備資金の融資を行っています。経営状況や事業計画、返済能力などを審査されます。事業の将来性や財政状態を審査したうえで、融資条件が決定されます。
公的融資の一つである日本政策金融公庫は、主に中小企業や個人事業主の資金調達支援を行っている政府系金融機関です。設備資金の融資も取り扱っており、すでに事業を行っている企業だけでなく、これから新規開業する個人も利用できる可能性があります。
銀行ではないノンバンクを利用して設備資金の融資を受ける方法もあります。無担保での融資だけでなく不動産担保ローンを利用する方法もあり、商品としてはビジネスローンに該当します。
不動産担保ローンは、土地や建物などの不動産を担保に借り入れができるローン商品です。資金使途が幅広く、設備資金としても利用できます。「開業したばかりで事業の実績がない」「赤字決算で資金調達が難しい」といったケースでも、担保不動産に価値があれば融資を受けられるかもしれません。
設備資金の融資を受けるには、借入先の審査に通過する必要があります。ここでは、融資申し込み時の必要書類について説明します。
設備資金の融資に限らず、融資を受ける際には資金使途を明確にする必要があります。設備資金のみの融資を受けるのであれば、もちろん資金使途は設備投資に限られます。そのため、調達した資金を何に使うのか、使用目的や金額が記載された書類が必要になります。主な書類は以下のとおりです。
借主の財務の健全性や返済能力なども審査の判断基準になるため、経営状況や事業の見通しがわかる書類も必要です。主な書類は以下のとおりです。
設備資金の融資を受ける際は、以下の点に注意しましょう。
借入金額や返済期間は、経営状況に合わせて慎重に判断する必要があります。借入金額を増やしすぎたり、返済期間を短くしすぎたりすると、資金繰りの悪化を招く恐れがあります。事業運営に支障が出ることがないように、無理のない返済計画を立てましょう。
設備資金として融資を受けた資金は、設備投資にしか使えません。運転資金など、その他の目的に使用すると契約違反になる可能性があります。
設備資金は、事業の成長・拡大に不可欠な設備投資に必要な資金です。
自己資金でまかなうのが難しい場合は、金融機関から融資を受ける必要があります。金融機関によって特徴が異なるため、経営状況にあわせて最適な借入先を選択しましょう。
不動産担保ローンの疑問にお答えします。
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