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「お金」の記事一覧

  • リフォーム予定のシニアは約4割、一方で2割が資金に悩む

    リフォーム予定のシニアは約4割、一方で2割が資金に悩む

    60歳を越えると、定年退職や子供の自立など、ライフスタイルが大きく変わる人も少なくないでしょう。自身が所有する住まいについても同様に、設備の故障や経年劣化によって、リフォームを検討する人も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、持ち家がある60歳以上の男女500名を対象に、リフォームに関するアンケートを実施した調査結果をご紹介します。 詳細はこちら シニアのリフォーム予定は約4割、その半数が費用を200万円未満と想定、資金不足に悩むシニアは約2割!~SBIエステートファイナンスが「シニアのリフォーム」に関するアンケート調査を実施~ 約4割がリフォームを予定している Q. 今、住んでいる物件のリフォームを検討していますか? 「リフォームを予定している」と回答した方は約4割でした。この回答から、60代にもなるとリフォームの必要性を感じる方が多いことがわかります。 Q. 何年後にリフォームを予定していますか?(リフォームを予定していると回答した方) リフォームの予定時期は「半年以内」が10%、「1年以内」が11%と、1年以内にリフォームを計画している人が約2割いることがわかりました。また、未定が4割であることから、いずれリフォームが必要と考えているが、それほど緊急度の高いリフォームではないことも推察されます。 リフォーム費用は約5割が200万円以下という結果に Q. リフォーム費用はどの程度で考えていますか?(リフォームを予定していると回答した方) リフォームの費用は、最も多い回答が「100万円以上200万円未満」で30%、「100万円未満」が17%となり、200万円以下のリフォームに留める方が約半数であることがわかりました。このことから、大規模な修繕工事ではなく、最低限の修繕にとどめたリフォームを検討していることが多いことがわかります。 Q. リフォーム費用はどのように準備する予定ですか?(リフォームを予定していると回答した方) リフォーム費用は、約8割の人が貯金から準備する予定であり、「資産(株、投資信託等)の売却」を足すと9割以上となります。このことから大半の人が保有する資産の中からリフォーム費用を準備することがわかりました。 一方で、リフォームを予定しているが、「ローン」を利用するという人が4%、「当てがない」という人も4%おり、リフォームは必要になると考えているものの、どのようにリフォーム資金を準備するか悩んでいる人も一定数いるようです。 全体の2割近くが資金面を理由にリフォームを予定していない Q. リフォームを予定していない理由はなぜですか?(リフォームを予定していないと回答した方) リフォームを予定していない理由は、「現在の住宅に全く不満がない」という理由が34%でした。また、既にリフォームを実施済の人も25%いることから、リフォームを予定していないシニアの方の約6割はライフスタイルに合った自宅に住んでいることが推察されます。 一方で、リフォームを予定していない理由の中には、「費用がかかりそう」が15%、「費用が用意できない」が15%といったように、資金面で悩みがあることもわかりました。この結果とリフォームを予定しているが資金面で悩んでいる人を足し合わせると、資金面でリフォームに悩んでいる人は回答者全体の約2割となることがわかりました。 まとめ 今回の調査によると、シニア世代のほとんどが貯金などからリフォーム費用を準備する一方で、資金面で悩んでいる人が全体の2割を占めることがわかりました。また、リフォーム費用を低く見積もる方も多く、どれくらいの費用をかければどの程度のリフォームができるかを正しく把握できていない可能性もありそうです。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 シニアがリフォームする際のポイントや間取り事例を紹介 年齢を重ねてくると、購入当時の住まいでは生活のしづらさを感じる場面が増えてくるものです。ライフスタイルに合った住環境を作るために、選択肢の1つとしてリフォームを考えることもあるでしょう。しか...記事を読む

  • iDeCo加入時に住宅ローン控除との併用で注意すること

    iDeCo加入時に住宅ローン控除との併用で注意すること

    iDeCoと住宅ローン控除はともに税金対策としてメリットがあります。しかし、両者には、「税額控除」と「所得控除」という違いがあることをご存じでしょうか。 この記事では、iDeCoと住宅ローン控除を併用する際の、注意点について解説します。 iDeCoの掛金は「所得控除」 個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は原則60歳まで(2022年5月からは原則65歳まで)加入できる老後資金を準備するための制度です。拠出した掛金は「所得控除」の対象となり、所得税と住民税の税金対策になる点がメリットの1つとされています。拠出したお金は投資信託や、預金や保険などの元本確保型商品で運用できます。 自営業者や会社員、公務員等の区分によって、拠出できる掛金には上限があります。下図は、所得税の課税額算出の流れです。所得税は、1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。 図:課税所得算出の流れ iDeCoで拠出した掛金は所得控除に当たるので、所得税と住民税(所得割額)を算出する課税所得から控除できます。例えば、所得税率10%の人が毎月23,000円のiDeCo積立を行った場合、年掛金276,000円に対し、年55,200円(所得税27,600円、住民税27,600円)の税金対策となります*。 ※あくまで概算です。 関連記事はこちらiDeCo(イデコ)の仕組みとは?メリット・デメリットを解説 住宅ローン控除は「税額控除」 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを借りてマイホームを取得・リフォームした場合に、一定要件を満たせば、所得税から控除できる仕組みです。年末のローン残高に応じて、定率を所得税額から控除できます。 控除できる上限は、物件が新築か中古かで適用となる年数が異なるほか、2022年以降は、物件が認定住宅かどうかによっても変わります。「図:課税所得算出の流れ」のとおり、住宅ローン控除は算出された所得税から控除できる税額控除です。控除額が所得税を上回った場合は、翌年の住民税から一定額まで控除することもできます。 出典)国税庁 No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除) 関連記事はこちら【令和5年版】住宅ローン控除とは?取得した住宅の状況に分けて解説 そもそもどのような人がiDeCoを活用すべき? ところで、そもそもどのような人がiDeCoを活用すべきなのでしょうか。iDeCoは、原則60歳まで(2022年5月からは原則65歳まで)が加入できる制度で、国民年金加入者(第1号~第3号)であれば加入できます。「iDeCoを活用すべき人」を明確にするために、まず、iDeCoに加入できない人や、iDeCoが向かない人を整理してみましょう。 iDeCoに加入できない人 iDeCoに加入できない人は以下の3通りです。 国民年金の未納がある人 年齢要件を満たさない人 勤務先が企業型年金との併用を認めていない人 iDeCoはあくまで公的年金を補完する役割であるため、国民年金保険料を支払っていることが条件となります。また、加入のためには20歳以上60歳未満(2022年10月からは65歳未満)という年齢制限があります。 他にも会社員の場合には勤務先の企業年金の規約を確認する必要があります。勤務先によっては企業型年金とiDeCoの併用を認めていない場合があり、その場合にはiDeCoへの加入ができません。 iDeCoが向かない人 また、iDeCoに加入できたとしても向いていない人もいます。 20代や30代前半の専業主婦(夫) 配偶者の扶養の範囲で働くパート主婦(夫) 結婚資金や子どもの教育資金などを先に貯める必要がある人 上記のように、収入が少なく所得控除の恩恵を受けづらい人や、老後資金の準備よりも目先でまとまったお金が必要になる人は、中途解約や引き出しのできないiDeCoは向いていません。 これらの人で資産形成を考えているのであれば、当面は必要な時に引き出せる「NISA」の方が向きます。30代後半や40代になり、本格的に老後資金作りを進める際には、iDeCoが候補になります。所得控除による恩恵がない主婦(夫)等でも、口座維持手数料が低い金融機関を選べば、運用益は非課税、受取時は所得控除の適用対象などのメリットは享受できます。 他にも、毎月の収支に余裕がない人や、金利の高い借り入れがある人は、まずは家計の正常化を図ることが先決です。 住宅ローン控除とiDeCoの併用時の注意点 住宅ローン控除とiDeCoはいずれも税金対策になるものの、支払う所得税や住民税の上限を超えてしまうと、税金対策としてのメリットは受けられません。たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。 iDeCo既加入者が住宅ローン控除を利用する場合 住宅ローン控除対象者がiDeCoに加入する場合 iDeCo既加入者が住宅ローン控除を利用する場合 すでにiDeCoを利用している30代後半の共働き夫婦が、マイホーム購入を検討しているケースです。夫が1人で住宅ローンを組んで、住宅ローン控除を利用しようとしたところ、iDeCoと住宅ローン控除の両方が重なることで、所得税と住民税の納税額を控除額が越えることになりました。 このようなケースでは、iDeCoの拠出額の見直しを検討しましょう。iDeCoは国民年金の加入区分ごとに上限金額が決まっていますが、いずれの区分でも最低金額は5,000円からの拠出が可能です。ただし、iDeCoは原則途中解約ができない点や、掛け金の変更は年に一回までです。 住宅ローン控除対象者がiDeCoに加入する場合 住宅ローンは単独で夫が組み、住宅ローン控除を受けている30代半ばの正社員夫婦がiDeCoを始めようと検討しています。税金対策になるか試算したところ、夫はiDeCoによる節税金額が少ないと判明しました。このようなケースでは、以下のような加入を検討しましょう。 妻がiDeCoに加入をする 夫が所得控除のメリットがある範囲内で掛金を設定する 当面のiDeCoの加入を見送る 夫の控除額が少ないのであれば、妻が加入をするか、所得控除のメリットがある範囲内での加入が良いでしょう。住宅ローン控除で受けられる控除額は年々減っていくうえ、受けられる期間も決まっているので、当面は加入を見送るというのも選択肢の一つです。 まとめ iDeCoをうまく活用することで節税効果が見込める一方で、住宅ローン控除と併用した際には思ったよりも効果が得られない場合もあります。また、加入できたとしてもiDeCoを活用することがベストな選択肢とならない人もいるでしょう。単に運用益の非課税メリットだけで考えるのであれば、iDeCoよりも流動性が高いNISAを活用することをおすすめします。 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 夫婦の老後資金はいくら必要?足りない時の対処法も紹介 「人生100年時代」や「老後2,000万円問題」などに起因して、「老後資金」という言葉が注目を集めています。老後破産に陥らないためにも、夫婦で必要な老後資金を把握し、なるべく早くから準備して...記事を読む

  • 赤字になったら確定申告は必要か?

    赤字になったら確定申告は必要か?

    個人事業主の中には、「事業が赤字で税金を払わなくてもいいから、確定申告は必要ないだろう」、「赤字申告だと融資を受けられなくなるから、確定申告をするのをやめよう」などと考えている方がいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。この記事では、赤字でも確定申告をするメリットや、赤字決算でも可能な資金調達法をご紹介します。 確定申告とは? 確定申告は、毎年1月1日から12月31日の1年間に生じたすべての所得金額と、所得税額を計算して納税する制度のことです。納税者本人が税金を計算して納税することから、「申告納税制度」と呼ばれています。 確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日の約1カ月間で、申告期限が土日・祝日の場合は、その翌日が期限になるのが一般的です。期間内には原則として確定申告書の提出と、所得税の納付をしなければなりません。なお、別途手続きが必要ですが、口座振替納税も選択することが可能です。 関連記事はこちらリースバックの契約までの流れと必要書類、注意点を解説 確定申告のルール 確定申告はルールを守ってスムーズに終わらせましょう。その際の主なポイントは次の3つです。 申告書の作成時に必要な書類とは? 確定申告では、申告内容に応じてさまざまな書類の添付や提示が必要になります。国税庁が公開しているチェックリストを参考にして、事前に準備しておきましょう。 出典)国税庁HP 『申告書に添付・提示する書類』 申告書の提出方法は? 作成した申告書の提出方法は、税務署に直接持参・郵送する方法と、e-Taxを使って提出する方法があります。それぞれ以下で解説します。 1.税務署に直接持参・郵送する 税務署に直接持参する場合には、確定申告の書類一式に加えてマイナンバーカードか、マイナンバーが分かる書類と運転免許証などの身分証の提示、郵送する場合は、それぞれの写しを添付する必要があります。 出典)国税庁HP 『申告書に添付・提示する書類』 2.e-Taxを使って提出する e-Taxを使って提出する場合には、マイナンバーカードを読み込むICカードリーダライタが必要です。ICカードリーダライタは家電量販店などで販売されていますので、事前に購入してセットアップしておきましょう。また、令和3年分の確定申告から、パソコン上に表示された2次元バーコード(QRコード)をスマホで読み取れば、ICカードリーダライタを使わなくてもe-Tax送信ができるようになりました。スマホで申告をする場合には、お持ちのスマホが対応機種なのかもチェックしておきましょう。 ペナルティに注意しよう! 確定申告で注意しなければならないのは、ルールを守らないとペナルティがあることです。 たとえば、確定申告書を提出しても、期限内に税金を納付しなかった場合、残高不足等で口座振替ができなかった場合は延滞税が課せられることがあります。また、確定申告をしなければならない人が正当な理由なく申告しなかった場合や、申告期限を過ぎてから申告した場合は、延滞税だけでなく加算税が課せられてしまいます。 もし、確定申告書の提出後間違いに気付いたら、申告期限内であれば訂正した申告書を提出すればペナルティ対象にはなりません。申告期限を過ぎてしまった場合でも、申告内容を修正できますが、税額を少なく申告していたときには延滞税や加算税が課せられることがあります。間違いに気付いたら早めに修正申告をしましょう。 そのほか、決算書類や帳簿、領収書などは、「確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければならない(白色申告の場合、所得金額などによって異なる)」などのルールもあり、保存をしていないと、税務調査を受けたときに支出を証明することが難しくなってしまうので、注意が必要です。 赤字申告をするメリット 確定申告は手間がかかるので、「赤字決算だし、納付する税金もないから申告をするのはやめよう」と考えてしまうかもしれません。しかし実は、赤字決算でも確定申告をすると次のようなメリットがあります。 損失を繰り越して、翌年以降の黒字と相殺できる 確定申告には「青色申告」と「白色申告」があり、青色申告の場合には赤字決算でも申告をすれば次の年から3年間にわたって損失を繰り越すこと(純損失の繰り越し)ができます。また、前年も青色申告をしていれば、損失の繰り越しのかわりに、前年分の所得税から還付を受けること(純損失の繰り戻し)もできます。 一方、白色申告には、青色申告のような損失の繰り越し・繰り戻しの制度はありませんが、漁業や水産物の養殖など、年によって大きく変動する可能性がある変動所得や、災害などによって被害を受けた被災事業用資産の損失については、損失の繰り越しが認められています。 各種証明書が入手できる 事業資金の融資やローンの審査、クレジットカード申し込みの際などには所得証明が必要になることがありますが、確定申告をしていないと所得証明書を発行してもらえません。また、所得証明書と同様に、課税証明書も確定申告をしないと発行してもらえません。税金を納めていないから、課税証明書は発行されないと思うかもしれませんが、課税額が「0円」であることの証明書が発行されます。 国民健康保険の保険料優遇が受けられる 個人事業主が加入する国民健康保険は、保険料を正しく計算するために、所得の申告が必要です。確定申告をしないと、収入がなくても保険料の軽減措置を受けられなかったり、高額療養費の自己負担限度額が高くなったりする場合があります。 赤字申告の場合、お金は借りられるのか? 銀行など金融機関は、確定申告書や決算書をもとに融資の審査をします。そのため、黒字決算、赤字決算に限らず、確定申告をしていないことで融資自体を断られたり、確定申告をするよう求められたりすることがあります。 一方で、赤字申告だと新たに融資を受けるのは簡単ではありません。赤字申告が続いていると、すでに受けている融資の返済を求められることもあります。ただし、全くお金を借りられないというわけではなく、ビジネスローンや不動産担保ローンであれば、融資を受けられるかもしれません。また、リースバックの利用も検討してみましょう。 ビジネスローン ビジネスローンは事業者向けのローンで、主にノンバンクなどが取り扱っています。担保や保証人がなくても利用できるローンもあるため、赤字申告でもお金を借りられる可能性があります。 不動産担保ローン 不動産担保ローンは、土地や建物、マンションなどの不動産を担保にしてお金を借りられるローンです。不動産を担保にするため、まとまった金額を無担保ローンに比べて低い金利で借りられる可能性があります。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 リースバック リースバックは、不動産を所有している方が利用できる資金調達法です。自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却した後も同じ家に住み続けることができます。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 まとめ 個人事業主は、原則として毎年確定申告をしなければなりません。また、ご紹介したように、赤字決算でも確定申告をするメリットがあるため、ルールに従って期日までに申告をしましょう。さらに、赤字申告であっても全く融資を受けられないわけではないので、それぞれの状況に合った方法を検討しましょう。 執筆者紹介 菊地 則夫(Norio Kikuchi)/税理士法人スマートシンク代表税理士 成城大学経済学部卒、日本大学大学院法学研究科税法松澤智研究室卒。 得意分野は相続税や不動産税務。「不動産所得」と「住まいと暮らしの税金」のプロフェッショナル集団、税理士法人スマートシンクの代表として日々、土地・建物の税金問題に取り組む。 <主な著書> 「住宅ローン&マイホームの税金がスラスラわかる本2021」エクスナレッジ、「相続の手続と節税が全部わかる本」あさ出版、「不動産税務の手引別巻」大成出版、「不動産実業の手引き別巻」清文社、その他雑誌「家主と地主」、「賃貸Life」新聞など著書多数 赤字決算で法人税はどうなる?資金調達は可能? 営利目的で事業を行う企業や個人事業主は、売上アップや経費削減に取り組むことで利益の確保(黒字決算)を目指します。しかし、不況の煽りを受けて資金繰りが厳しくなり、赤字決算となってしまうこともあ...記事を読む

    2022.03.30資金調達
  • 50代以上に聞いた!老後に対する不安は?

    老後に対する不安の1位は健康、2位は資金、約6割が老後資金不足で悩む

    近年「老後2,000万円問題」など、老後に対して不安を覚える情報が様々なメディアで取り沙汰されています。しかし、実際に老後資金としていくら必要と考えているのか、いくら用意できているのかは三者三様です。 そこで今回は、持ち家がある50歳以上の男女200名を対象に、老後の生活資金や持ち家の所有・管理についてどのような不安を抱いているのか、アンケート調査を実施しました。 老後の不安は「健康」「老後の生活資金」「介護」 Q1:老後の暮らしに不安がありますか?不安がある方は、どのようなことに不安を感じているか、選んでください。 老後の不安に対する調査をしたところ、91.0%が不安を感じていました。「健康面で不安がある」が51.5%で一番多く、「老後の生活資金について不安がある」が48.5%、「介護について不安がある(自身・配偶者・親など)」が41.5%と続いていました。老後の不安を解消するには、健康だけでなく、お金の面でも十分な準備をしておく必要がありそうです。 老後資金は「2,000万円以上」あると安心 Q2:老後の不安を解消するため、いくらくらいの老後資金があれば安心と考えていますか?(厚生年金などの年金を考慮しない場合) 老後の不安を解消するため「2,000万円以上必要」と回答した方は58.0%いました。価格帯別では「2,000万円以上~3,000万円未満」が21.0%と最も多く、「4,000万円以上~5,000万円未満」が12.5%、「3,000万円以上~4,000万円未満」が11.5%と続いています。 かつて、金融庁の報告書で「老後30年間で約2,000万円が不足する」と受け取れる試算が示され、大きな話題になりましたが、「わからない」を除くと約8割が2,000万円以上あれば安心と考えていることがわかりました。 老後資金を思うように準備できていない人は約6割 Q3:老後の資金について、現時点でいくらくらい準備できていますか? 老後資金を現時点で2,000万円以上準備できている方は27.0%にとどまっています。一方で、27.0%が「全く準備できていない」と回答したほか、14.5%が「500万円未満」と回答するなど、老後資金を思うように準備できていない方が6割近くになりました。 Q4:持ち家とその借入を除く、現金、預貯金、有価証券、不動産などの資産はどのくらいですか?なお、計算する際には、老後資金として準備している金額(Q3)も含めてください。 また、持ち家とその借入を除く資産額を調査したところ、2,000万円以上の資産を保有している方は27.0%にとどまりました。さらに気になるのは、32.5%の方が「わからない」と回答したことです。老後不安を解消するためには、必要な生活資金を早めに確保しておきたいところです。そのためにも、まずは自身の資産状況を把握しておきましょう。 持ち家に住み続けたいがリフォームに関して約半数が不安 Q5:今後、持ち家をどのように利用する予定ですか? 現在の持ち家を「住み続ける」と回答した方は66.5%で、そのほかには「売却する」が7.0%や「生前のうちに子どもに譲る」が5.5%など、具体的なプランをお持ちの方がいました。一方で13.5%が「考えたことがない」と回答しています。持ち家に長く住み続ける予定の方が多数を占めましたが、一方で約8割が持ち家に対して何らかの不安を抱いていました。 Q6:持ち家の今後についてどのような不安を抱いていますか? 具体的な不安として、最も多かったのは「修繕費やリフォーム代、固定資産税など維持をするための費用が心配」の48.5%でした。そのほかには「家は残したいが、誰も継いでくれない」が12.5%や「費用以外の問題で、今の家に住み続けるのが難しくなりそう」が11.0%など、切実な悩みを抱えている方もいました。 持ち家に資産価値がある人は過半数 Q7:持ち家はどのような経緯で取得しましたか? 持ち家を「住宅ローンで購入し、現在も返済中」と回答した方は19.5%でした。一方で、持ち家に抱いている不安は、6.5%が「住宅ローンを完済できるか心配」と回答しています。これらを重ね合わせてみると、住宅ローン返済中の3人に1人が「完済できるか不安」と感じており、家計が厳しい方も少なくないようでした。 約半数が持ち家の資産価値を「わからない」と回答 また、持ち家の資産価値を「住宅ローン残高のほうが多い」と回答した方は2.5%とわずかで、27.5%が住宅ローン残高を差し引いた資産価値で「1,000万円以上ある」と回答するなど、半数以上の方が持ち家に資産価値があると考えていました。 なお、持ち家を現金化できる方法を提示したところ約12人に1人が老後の不安が軽減したと回答しました。老後の不安の程度は「変わらない」が多数を占めましたが、持ち家を現金化することで不安が和らぐと考えている方は一定数いるようです。 一方で、持ち家を現金化できるかどうか以前に、持ち家の資産価値を把握していない方が約半数を占めていました。いざという時に持ち家を有効活用するため、自宅の資産価値を把握しておくことで、不安が解消される可能性もあると考えられそうです。 まとめ 老後の暮らしに多くの方が不安を抱いているものの、計画的に老後資金を用意できていない方は多いようです。一方、持ち家を使って老後資金を調達できれば、老後不安の解決につながると感じている方もいました。老後の暮らしや持ち家に対する考え方・悩みはそれぞれ違いますが、暮らし方やニーズが一致すれば、不動産を有効活用することで老後不安を解消できるかもしれません。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンを完済したがお金がない!そんな時の持ち家活用術とは? 50代になると、子どもの教育費もピークを迎えます。また、親も70代を超え、入院したり、介護が必要になったりすることも。あるいは、不動産投資や事業を始める資金が必要になるケースもあるかもしれま...記事を読む

  • 老齢年金の繰り上げと繰り下げ、どっちがお得?

    老齢年金の繰り上げと繰り下げ、どっちがお得?

    老齢年金の受給開始年齢が近づいてくると、受給開始年齢の繰り上げや繰り下げを検討する人も多いのではないでしょうか。受給開始年齢を変更することで、受け取れる年金の見込み額は大きく変わります。 この記事では、受給開始年齢の変更でもらえる年金額が、どのように変わるのか解説します。 老齢年金制度について 老齢年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類があります。老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取れます。また、20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた人は、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れます。 老齢厚生年金は、厚生年金の被保険者期間があって、老齢基礎年金を受け取るのに必要な受給資格期間を満たした人が65歳になったときに、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受け取れます。 出典)日本年金機構 老齢年金 老齢年金の受給開始年齢の変更と増減率 老齢基礎年金を65歳から受け取れる人は、月単位で65歳より前への繰り上げや66歳以後への繰り下げによる受給もできます。ただし、繰り上げた場合には受給額が減額され、繰り下げた場合には受給額が増額される点を考慮する必要があります。増減額される金額の詳細は、以下のとおりです。 <昭和37年4月1日以前生まれの場合> 繰り上げの減額率:(繰上げ請求月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数)×0.005 繰り下げの増額率:(65歳到達月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.007 <昭和37年4月2日以降生まれの場合> 繰り上げの減額率:(繰上げ請求月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数)×0.004 繰り下げの増額率:(65歳到達月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.007 出典) ・日本年金機構 65歳前に老齢年金の受給を繰上げたいとき ・日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき 想定される老齢基礎年金額 前述のとおり、老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上である場合、65歳になったときに受け取れます。また、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年に満たない場合でも、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が10年以上である場合には、老齢基礎年金を受け取れます。 なお、令和5年4月分からの年金額は満額の場合795,000円です。つまり、老齢基礎年金が満額もらえる場合に、想定される受け取れる年金の見込み額は下記の計算式によって求めることができます。 受け取れる老齢基礎年金の見込み額 = 795,000円 × 受給期間(年) 次項で具体的に計算していきましょう。なお、昭和37年4月2日以降生まれの場合を想定して計算します。 65歳から老齢基礎年金を受け取った場合 まずは、受給開始年齢を変更しなかった場合、もらえる年金額は795,000円です。しかし、受給期間が何年になるかはわからないため、ここでは男性と女性の平均寿命から計算していきます。 厚生労働省の発表する『令和4年簡易生命表』によると、平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳です。つまり、65歳から年金を受け取る場合、受給期間は男性が16.05年、女性が22.09年です。そして、前述の計算式によって、もらえる見込み額は下記のように求めることができます。 男性の場合:12,759,750円(795,000円 × 16.05年) 女性の場合:17,561,550円(795,000円 × 22.09年) 60歳から老齢基礎年金を受け取った場合 次に、受給開始年齢を60歳まで繰り上げた場合を考えます。60歳まで繰り上げた場合、繰り上げ年数は5年(60か月)のため、減額率は24%(0.004 × 60)です。つまり、老齢基礎年金額は604,200円(795,000円 × 76%)です。一方で、受給期間は5年長くなり、男性が21.05年、女性が27.09年となるので、もらえる見込み額は下記のように求めることができます。 男性の場合:12,718,410円(604,200円 × 21.05年) 女性の場合:16,367,778円(604,200円 × 27.09年) 70歳から老齢基礎年金を受け取った場合 最後に、受給開始年齢を70歳まで繰り下げた場合を考えます。70歳まで繰り下げた場合、繰り下げ年数は5年(60か月)のため、増額率は42%(0.007 × 60)です。つまり、老齢基礎年金額は1,128,900円(795,000円 × 142%)です。一方で、受給期間は5年短くなり、男性が11.05年、女性が17.09年となるので、もらえる見込み額は下記のように求めることができます。 男性の場合:12,474,345円(1,128,900円 × 11.05年) 女性の場合:19,292,901円(1,128,900円 × 17.09年) 出典) ・日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金 ・厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況 最もお得な選択は? これまで説明してきたように、受け取れる年金の見込み額はもらえる年金額と何歳までもらえるかという受給期間の二つの要素の掛け合わせによって決定します。仮に平均寿命まで生きると仮定した場合、上述の3つのシミュレーションを加味すると下記のような結果が得られます。 受給開始年齢別の受け取れる年金の見込み額(単位:円) 60歳からの受給65歳からの受給70歳からの受給 男性の場合(81.05歳)12,718,41012,759,75012,474,345 女性の場合(87.09歳)16,367,77817,561,55019,292,901 このように上記3つの受給開始年齢の選択の中では、男性の場合は受給開始年齢を変更しない時、女性は受給開始年齢を繰り下げた時に受け取れる年金の見込み額が最大であることがわかります。ただし、受給開始年齢は月ごとに変更できるため、何歳まで年金を受け取れるかによって、最大化される受給開始年齢が異なる点には注意が必要です。 受給開始年齢の選択と受け取れる年金の見込み額 下図は年金をいつから受け取るかによって、どのように受け取れる年金の見込み額が変化するかを表した図です。 ※筆者作成 図のように何歳まで年金を受け取れるかによって、受け取れる年金の見込み額は大きく異なります。シミュレーションすることで、下記のようなことがわかります。 75歳11か月まで年金を受け取る場合は、60歳から受給すると受け取れる年金の見込み額が最大である 96歳10か月以降も年金を受け取る場合は、75歳から受給すると受け取れる年金の見込み額が最大である 76歳~96歳9か月の間まで年金を受け取る場合は、寿命が長くなるほど、受給を遅らせると受け取れる年金の見込み額が最大になる 何歳まで年金を受け取るかにかかわらず、62歳6か月~66歳10か月(繰上30か月~繰下22か月)の間から受給した場合は、受け取れる年金の見込み額が最大になることはない まとめ いかがでしたでしょうか。年金を受け取るにあたって、受給期間が何年か仮定する事で、受け取れる年金の総額を最大化することは可能です。一方で、年金を請求する時点では、自身が何年間受け取れるかは誰にもわかりません。自身の貯蓄の状況や何歳まで働くかなどを加味して慎重に判断するようにしましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老後の一人暮らしに生活費はいくら必要? 近年、未婚率の増加や子どもとの同居の減少により、一人暮らしの高齢者のは増えています。一人暮らしと言っても、未婚の独身者だけではなく、現在は家族と暮らしていても、配偶者との死別などで一人暮らし...記事を読む

  • 介護施設・老人ホームにかかる費用と選び方を解説

    老人ホームや介護施設にかかる費用、選び方を解説

    老後の住まいを考えたとき、老人ホームや介護施設などの、高齢者向け住宅を検討するかもしれません。一方で、これらの施設にかかる費用がいくらなのか、そもそもどのような人が、どのような施設を選ぶべきなのか、など、わからないことも多いでしょう。 この記事では、老人ホームや介護施設にかかる費用と、その選び方について解説します。なお、高齢者向け住宅については、以下の記事で詳しく解説しています。 >老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説 老人ホームと介護施設の違いとは 「老人ホーム」と「介護施設」という言葉は、世間一般で使用されますが、実は正式に定義がされていません。たとえば、厚生労働省のホームページでは、これらの施設を総称して、「高齢者向け住まい・施設」という表記が用いられています。そのため、前述した記事と同様に、この記事でも「老人ホーム」と「介護施設」を以下のように定義します。 老人ホーム:広義の高齢者向け住まい・施設 介護施設:介護サービスを受けられる高齢者向け住まい・施設 なお、厚生労働省の資料では、「高齢者向け住まい・施設」の利用者数は下図のようになっています。 出典)厚生労働省「介護分野をめぐる状況について」 直近、最も利用が多かったのは、介護老人福祉施設です。次いで、有料老人ホーム、介護老人保健施設と続きます。また、有料老人ホームの種別としては、住宅型有料老人ホームが介護付き有料老人ホームの約1.5倍であることがわかります。 老人ホームの種類と費用の目安 では、老人ホームの種類と費用の目安を整理しておきましょう。それぞれの施設の特徴などは前述した記事を参照してください。 なお、以下で紹介する費用はあくまで目安額のため、要介護度などにより変わることもあります。また、施設によっては入所・入居時に一時金が発生する場合もあります。特に有料老人ホームは、グレードが高いものほど一時金が高くなる傾向があり、中には数千万円の一時金がかかるものもあります。 一方で、同じ部屋に対し、一時金があるプランと、一時金がない、もしくは少額である代わりに月額が高めのプランを用意しているところもあります。 介護施設を除く老人ホーム 施設公的/民間一時金(目安)月額(目安) 軽費老人ホーム(自立型)公的0~数百万円8~20万円 住宅型有料老人ホーム民間0~数千万円15~30万円 養護老人ホーム公的不要0~12万円 サービス付き高齢者向け住宅民間0~数十万円10~25万円 シルバーハウジング民間敷金1~13万円 介護施設 施設公的/民間一時金(目安)月額(目安) 介護老人福祉施設公的不要5~20万円 介護老人保健施設公的不要5~20万円 介護医療院公的不要7~17万円 介護療養型医療施設*公的不要7~17万円 軽費老人ホーム(介護型)公的0~数百万円10~25万円 認知症対応型共同生活介護民間0~数十万円10~25万円 介護付有料老人ホーム民間数十万円~数千万円15~30万円 ※介護療養型医療施設は2023年度末で廃止 ※執筆者作成 老人ホームの探し方 老人ホームを選ぶ際には、入所する人の経済状態や要介護度をはじめ、いくつかの条件で絞り込む必要があります。主なポイントは「健康状態」「予算」「立地」の3点です。 健康状態 まずは、入所者の健康状態を確認します。大きな軸としては、「自立している」か「要支援・要介護の状態である」かに分かれます。要支援や要介護の場合は、どの段階なのかということや、認知症であるか否か、ということも重要です。 たとえば、要介護状態で医療的措置が必要な人は、介護医療院や介護療養型医療施設、介護老人福祉施設が候補となります。 予算 次に、自身の経済状況を踏まえた予算設定が必要です。一般的に、民間施設よりも公的施設の方は費用が安いです。しかし、公的施設は需要過多の状態が続いており、入所待ちが常に発生している状況です。 一方で、有料老人ホームなどの民間施設は、公的施設よりも費用が高いものの、供給数が多いため、経済状況に合わせた選択肢もあるかもしれません。予算設定の際には、入所の際に発生する一時金や、毎月負担できる月額を考えましょう。貯金がない場合には、毎月の収入である年金や金融資産、いずれ住まなくなる自宅の活用などを加味して検討します。 立地 親族との近居をした方がいいのか、必要ないかなど、立地条件から絞り込むこともできます。家族が訪れやすいよう利便性を重視する場合は、地域を限定して探すことになります。地域が限定されるのであれば、自身が居住する地域の地域包括支援センターなどで相談をすると、空室状況なども教えてもらえます。 施設見学や体験入所で候補を絞る 老人ホームを前述のような条件で絞り込んだ後は、次のような5つのポイントを確認して施設を決めましょう。 設備:浴室や食堂、リハビリ施設、トイレなど 介護・医療サービス:施設スタッフによる介護か、外部サービスの施設か、看護スタッフがいるかなど 食事:食事がおいしいか、病気に合わせて減塩、低糖などの配慮をしてくれるかなど 入院時や看取り:病院に入院すると退所となるか、看取り(施設で亡くなること)ができるのかなど 経営状態:施設の運営母体の財務状況に問題がないか、倒産時にどのような保証があるかなど 2025年は団塊世代が後期高齢者になり始めることから、大介護時代が始まるとされています。たとえば、介護老人福祉施設は要介護3以上が条件の施設ですが、首都圏を中心に空きがなく要介護度4でも入居待ちとなっているところもあります。 また、公的な介護施設は、重度の人が優先となり、軽度の人の選択余地はなくなることも考えられます。公的施設が難しく、有料老人ホームに入る場合は、具体的に施設を見学し、いくつか候補を絞っておくのがいいでしょう。施設見学や体験入所もできるので、元気なうちに候補を絞っておくと安心です。 まとめ 老後の住まいを決めるのは、元気に動けるときが一番です。人生100年時代とも言われる現在、目先の費用だけでなく、100歳まで長生きをしても払い続けられるかなど、持続性も確認しましょう。費用を捻出するために、自宅という資産を活用する選択肢があるのかどうかを確認しておくことも安心です。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説 誰でも年をとると、身の回りのことができなくなったり、思ったようにできなくなったりしていきます。体が弱ってきたとき、あるいは要介護状態になったとき、自宅以外の住まいの選択肢として、どのような候...記事を読む

  • 自営業者が加入可能な国民年金基金とは?

    自営業者が加入可能な国民年金基金とは?

    自営業者やフリーランスは、会社員に比べて年金が少ないと言われています。しかし、国民年金に上乗せして国民年金基金に加入すれば、年金額を増やすことが可能です。 国民年金基金について名前は聞いたことがあっても、どんな制度なのかはよくわからないのではないでしょうか。国民年金基金にはデメリットもあるため、加入する前に特徴を理解しておくことが大切です。 そこでこの記事では、国民年金基金の仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説します。 国民年金基金とは 国民年金基金とは、自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者が安心して老後を過ごせるように、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして加入できる公的な年金制度です。掛金を納めた期間に応じた年金が将来支給されます。 国民年金のほかに厚生年金や企業年金に加入している会社員に比べると、国民年金のみに加入している自営業者の年金額は少ない傾向にあります。厚生労働省の資料によれば、2019年度の平均年金額は厚生年金が月額146,162円に対し、国民年金は月額56,049円です。 自営業者が国民年金基金に加入すれば、会社員との年金格差の解消が期待できます。 出典)厚生労働省「令和元年(2019年)度 厚生年金保険・国民年金事業の概況P8、P20」 国民年金基金に加入できる人 国民年金基金の加入資格は以下のとおりです。 20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者 60歳以上65歳以下または海外居住者で、国民年金に任意加入している人 上記要件を満たしていれば、学生や主婦でも加入可能です。しかし、国民年金保険料を免除されている人は、国民年金基金には加入できません。 国民年金基金の成り立ち 1980年代後半に国会で「自営業者にも2階建ての年金を整備すべき」との議論が行われ、1989年に国民年金基金制度の導入が決定し、1991年に施行されました。当初は全国47都道府県で地域型国民年金基金、25の業種で職能型国民年金基金が設立されました。 その後の2019年には、加入員・受給者の利便性向上や運営基盤の安定性を図るために全国国民年金基金が成立し、全国47都道府県の地域型国民年金基金と22の職能型国民年金基金が合併しました。 国民年金基金の運営状況 2020年度末の国民年金第1号被保険者数(任意加入を含む)は1,449万人です。それに対して、国民年金基金の加入員数は2003年度末の約78万人をピークに減少が続いており、現存加入員数は約34万人にとどまります。 国民年金基金連合会の運用報告書によれば、2020年度の運用実績は国内外の株価上昇などもあって、年度ベースの収益率は24.44%で、1997年以降の累積実績では年率4.24%の収益率です。また、2021年3月末時点の積立金の運用残高は4兆6,679億円です。 足元の収益率の上昇の一方で、責任準備金は直近10年以上の不足が続いており、財政状況が好調とは言い難い状態が続いています。このまま加入員数の減少や財政運営の悪化が続くようであれば制度が破綻する可能性も低いとは言えなくなる恐れがあります。 出典) ・厚生労働省「令和2年(2020年)度の国民年金の加入・保険料納付状況P1」 ・国民年金基金「事業の概況・状況(現存加入員数の状況)」 ・国民年金基金連合会「2020年度 運用報告書」 国民年金基金のメリット 国民年金基金には以下3つのメリットがあります。 終身年金である 国民年金基金は、65歳から一生涯受け取れる終身年金が基本です。掛金によって将来受け取る年金額が確定するため、老後の資金計画を立てやすいでしょう。 終身年金のほかに、受取期間が決まっている確定年金も用意されています。終身年金に確定年金を組み合わせるなど、ライフプランに合わせて年金額や受取期間を自由に設計できます。 掛金の上限額は月額68,000円で、加入後も口数単位で年金額や掛金額の増減が可能です。iDeCo(個人型確定拠出年金)と併用できますが、その場合は国民年金基金とiDeCoを合わせて月額68,000円が掛金の上限額となります。 万が一のときには家族に一時金が出る 国民年金基金の掛金は掛け捨てではなく、万が一早期に亡くなったときには家族に遺族一時金が支給されます。年金受給前や保証期間中に亡くなった場合は、保証期間に応じた一時金を遺族に残すことができます。 税制優遇がある 国民年金基金には以下3つの税制優遇があります。 掛金は全額社会保険料控除の対象 受け取る年金も公的年金等控除の対象 遺族一時金は全額非課税 掛金は全額が所得控除の対象となるため、確定申告によって所得税・住民税が軽減されます。将来受け取る年金には「公的年金等控除」が適用され、一定額までは非課税で受け取れます。万が一のときに支給される遺族一時金も全額非課税です。 国民年金基金のデメリット・注意点 国民年金基金には以下のようなデメリット・注意点もあります。 任意脱退、中途解約ができない 国民年金基金への加入は任意ですが、自己都合での脱退や中途解約はできません。途中で掛金を払えなくなった場合は、払い込みの一時中断が可能です。年金額は未納期間に応じて減額されます。未納分は後から納付することも可能です(納付可能期間は2年以内)。 なお、自己都合の解約は認められませんが、国民年金第1号被保険者でなくなるなど、加入資格を失う場合は脱退となります。脱退した場合は加入期間の長さを問わず、納めた掛金は将来年金として給付されます。 加入期間中の死亡時には、遺族一時金が掛金を下回ることがある 国民年金基金は年金受給前や保証期間満了前に死亡すると、遺族に一時金が支給されます。しかし、遺族一時金の額は掛金を下回ることがあります。そのため、あらかじめ加入前に遺族一時金の額を確認しておきましょう。 破綻リスクがある 国民年金基金は国民年金法に基づいて運営されている公的な制度ですが、解散する可能性もあります。 上述のように好調な相場環境もあって、直近では収益率や積立金の額は上昇しています。しかし、加入者数は減少が続いており、ピーク時の半分程度に落ち込んでいます。財政運営も一時的に回復していますが、令和2年度の責任準備金の不足分は約8,000億円となっており、今後の状況によっては破綻リスクもゼロとはいえません。 もし解散する場合は、解散時点の残余財産を加入員および受給者で分配することになっており、分配額はそれまで支払った掛金額を下回ることがあります。 まとめ 国民年金基金は一生涯受け取れる終身年金であり、税制優遇を受けられるのが魅力です。国民年金に上乗せして加入できるので、自営業者やフリーランスの年金対策として活用できます。 ただし、任意脱退や中途解約はできないので、メリット・デメリットをよく比較した上で加入を検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 個人事業主などの自営業者は年金が少ない?年金対策も解説 個人事業主などの自営業者は、会社員に比べて年金が少ないと言われます。しかし、具体的にはどのくらい異なるのでしょうか。年金額が少ないと言われる理由は、自営業者と会社員では、適用される年金制度が...記事を読む

    2021.12.29制度年金
  • 年金生活者支援給付金とは?給付対象や手続き方法を解説

    年金生活者支援給付金とは?給付対象や手続き方法を解説

    年金生活者支援給付金についてご存じでしょうか。この制度を利用することで、一定の条件を満たした方は、受け取れる年金の額が多くなる可能性があります。年金生活者支援給付金について知らない方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。 年金生活者支援給付金とは? 年金生活者支援給付金は、生活の支援を図ることを目的に、年金に一定額を上乗せして支給する制度です。本給付金を受けるためには、以下のような要件を満たさなければなりません。 年金を受給していること 所得が一定額以下であること 年金生活者支援給付金の給付対象 年金生活者支援給付金の給付対象は下記3種類の年金受給者です。 老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金 年金生活者支援給付金の給付額と受給要件について、年金の種類ごとに見ていきましょう。 老齢基礎年金 老齢基礎年金受給者における給付金は月額5,140円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出します。また、老齢基礎年金の受給者が年金生活者支援給付金を受けるための要件は以下のとおりです。 65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が878,900円以下であること 障害基礎年金 障害基礎年金受給者における給付金は障害等級2級が月額5,140円、障害等級1級が月額6,425円です。また、障害基礎年金の受給者が年金生活者支援給付金を受けるための要件は以下のとおりです。 障害基礎年金の受給者であること 前年の所得が4,721,000円以下であること* ※ただし、扶養親族等の数に応じて増額 遺族基礎年金 遺族基礎年金受給者における給付金は月額5,140円ですが、2人以上の子が受給している場合には、5,140円を子の数で割った金額です。また、遺族基礎年金の受給者が年金生活者支援給付金を受けるための要件は以下のとおりです。 遺族基礎年金の受給者であること 前年の所得が4,721,000円以下であること* ※ただし、扶養親族等の数に応じて増額 年金生活者支援給付金の留意事項 ここでは、年金生活者支援給付金を受けるにあたり、確認しておきたい留意事項をお伝えしていきます。 給付額の改定について 年金ごとの給付額については上述のとおりですが、こちらは令和5年10月時点の金額です。毎年物価の変動による改定が行われるため、確認するようにしましょう。なお、給付手続きをした後に、給付額の改定が行われると「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が送られてきます。 給付金が受給できないケース 以下のようなケースでは、給付金は受給できません。 日本国内に住所がない 年金が全額支給停止されている 刑事施設等に拘禁されている 手続きできない人はどうする? 目が見えない方や認知症の方など、自筆で書くことが困難な場合には、代理人による代筆が認められています。また、耳や発生が不自由な方はファックスなどで問い合わせすることも可能です。 年金生活者支援給付金の手続き方法 年金生活者支援給付金は請求手続きしなければ受給できませんが、請求手続き自体は非常に簡単に済ませることが可能です。日本年金機構から送られる封筒の中に、はがき型の請求書が入っているので、太枠内の必要事項(提出日や氏名、電話番号のみ)を記入し、切手を貼って送付すれば手続き完了です。 請求書を紛失した場合の手続き 請求書を紛失した場合、日本年金機構のホームページからダウンロードできる請求書に必要事項を記入し、近隣の年金事務所に持参する形で手続きができますが、以下のような内容を記入しなければなりません。 マイナンバーまたは基礎年金番号 氏名 生年月日 住所 届出年月日 はがき型と比べると記入内容が増えますが、いずれにせよ簡単に手続きできます。なお、本人が窓口で手続きする場合はマイナンバーカードやマイナンバーの分かる書類、身元証明書などの書類が必要です。 請求に関するよくあるご質問 最後に、請求に関してよくある質問について見ていきましょう。 所得はどう証明するの? 給付金を受けるには、所得の条件を満たす必要があります。この所得の判定は、市町村から所得情報等の提供を受けて行われるため、基本的には書類の提出は不要です。ただし、所得情報等を確認できない場合には、別途提出しなければならないこともあります。 給付金請求書はいつ届くの? 給付金請求書は、令和5年分については9月1日より順次発送が開始されています。万が一手元に届いていない場合は給付金専用ダイヤルか近隣の年金事務所に問い合わせするとよいでしょう。 毎年手続きが必要なの? 一度給付金の手続きをした場合、給付金の要件を満たしていれば、2年目以降の手続きは原則不要です。ただし、一度給付金の手続きをしたものの、所得が増えた等の理由で給付金の支給が停止された方が、再度要件を満たした場合には、改めて支給手続きをしなければなりません。 まとめ この記事では、年金生活者支援給付金についてお伝えしました。この制度は、簡単な手続きで利用を開始できるので、要件を満たしているのにまだ給付金を受けていないという方は、本記事の内容を参考に、手続きを進めると良いでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 個人事業主などの自営業者は年金が少ない?年金対策も解説 個人事業主などの自営業者は、会社員に比べて年金が少ないと言われます。しかし、具体的にはどのくらい異なるのでしょうか。年金額が少ないと言われる理由は、自営業者と会社員では、適用される年金制度が...記事を読む

  • iDeCo(イデコ)の仕組みとは?メリット・デメリットを解説

    iDeCo(イデコ)は、公的年金だけでは不足する老後資金を準備するための制度です。iDeCoについて聞いたことはあっても、その特徴はよくわからない方もいるのではないでしょうか。iDeCoは2022年に制度改正が予定されているため、その内容を理解しておくことも大切です。 この記事では、iDeCoの仕組みやメリット・デメリット、加入手続きの流れ、制度改正の内容について詳しく解説します。 iDeCo(イデコ)とは iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分で掛金を拠出し、商品を選んで運用する私的年金です。運用した掛金は、原則60歳以降に一時金または年金として受け取ることができます。 iDeCoには税制上の優遇措置が講じられており、一般的な貯蓄や運用では得られない節税効果が期待できるのが特徴です。公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せして加入できるため、老後資金を準備する手段として活用できます。 加入資格 iDeCoの加入資格は以下のとおりです。 自営業者や会社員、公務員など多くの人が加入対象となっています。ただし、会社員は勤務先の年金制度によっては加入できない場合があります。詳しくは、勤務先の担当者に確認するといいでしょう。 出典)iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の仕組み 掛金の上限額 iDeCoの掛金額は、加入資格に応じて以下のように上限額が決まっています。 加入資格掛金の上限額 自営業者月額6.8万円(年額81.6万円)※国民年金基金または付加保険料との合算 企業年金がない会社員月額2.3万円(年額27.6万円) 企業型DCに加入している会社員月額2.0万円(年額24.0万円) DB(確定給付年金)のみに加入している会社員DBと企業型DCに加入している会社員公務員等月額1.2万円(年額14.4万円) 専業主婦(夫)月額2.3万円(年額27.6万円) 国民年金のみの自営業者は、会社員や公務員に比べて掛金の上限額が大きくなっています。ただし、国民年金基金または国民年金付加保険料との合算となる点に注意が必要です。たとえば、付加年金に加入している場合、iDeCoの掛金上限額は月額6.7万円となります。 iDeCoは月々5,000円から始められ、1,000円単位で自由に設定できます。掛金額は1年(12月分~翌年11月分)に1回のみ変更可能です。 運用商品 iDeCoは、金融機関が提示する運用商品の中から、自分で商品を選んで運用する必要があります。運用商品は投資信託が中心ですが、定期預金や保険などの元本保証商品も用意されています。 運用商品を選定する際は、自分の運用方針に沿って配分比率(どの商品に掛金の何%を振り向けるか)を決めます。 掛金の給付 iDeCoの掛金は、原則として60歳以降に老齢給付金として受け取れます。受け取り方法は以下3つから選択可能 です。 一時金として一括で受け取る 年金として受け取る 一時金と年金を組み合わせて受け取る 一時金は、70歳までの間に受け取ります。年金は、5年以上20年以下の期間で金融機関(運営管理機関)が定める方法で受け取ることになります。金融機関によっては、一時金と年金を組み合わせて受け取ることも可能です。 iDeCoの通算加入期間が10年以上の場合は、60歳から受給を開始できます。通算加入期間が10年に満たない場合は、加入期間に応じて受給開始年齢が61~65歳に繰り下げられます。 出典)iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の給付(受取方法)について 年金制度間の移換(ポータビリティ) iDeCoは、転職や離職の際に年金制度間での移換(ポータビリティ)が可能です。たとえば、会社員から自営業者になる場合、加入していた企業型DCやDBの資産をiDeCoに持ち運ぶことができます。移換手続きについては、金融機関の窓口で相談しましょう。 iDeCoの3つの節税メリット iDeCoは税制上の優遇措置が講じされており、節税効果が高いのが魅力です。具体的には、以下3つの節税メリットがあります。 掛金は全額所得控除 iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となるため、所得税と住民税が軽減されます。たとえば、掛金額が月額1万円で、所得税率と住民税率がそれぞれ10%だとすると、年間2.4万円の節税となります。 ただし、もともと税金を払っていない専業主婦(夫)は、所得控除のメリットを受けられないので注意が必要です。 自営業者は、国民年金基金連合会が発行する「小規模企業共済等掛金払込証明書」を使って確定申告を行いましょう。会社員は勤務先で年末調整を受けることが可能です。 運用益は非課税 投資信託などの金融商品の利益には、通常約20%の税金がかかります。しかし、iDeCoの運用益は非課税であるため、税金はかかりません。通常なら差し引かれる税金分を投資に回せるので、効率的に資産を増やせます。 受取時は所得控除の適用対象 iDeCoは、60歳以降に給付を受け取るときにも所得控除が適用されます。一時金で受け取るときは「退職所得控除」、年金の場合は「公的年金等控除」が適用されるため、一定額は非課税になります。 受け取り方法によって控除額が変わるため、状況に応じて有利な方法を選択することが大切です。自分で判断できない場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。 出典)iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の3つの税制メリット iDeCoのデメリット・注意点 iDeCoは老後資金づくりに適した制度ですが、以下のようなデメリット・注意点もあります。 原則60歳まで引き出せない iDeCoの掛金は原則60歳まで引き出せません。掛金を無理に増やすと、手元資金が不足する恐れがあります。将来への備えは大事ですが、無理のない範囲で掛金を設定することが大切です。 運用成績によっては給付額が減少する iDeCoは、運用成績によって将来もらえる給付額が変動します。投資信託には価格変動リスクがあるので、運用がうまくいけば給付額は増えますが、資産価格の下落によって元本割れする可能性もあります。 運用のリスクを軽減するには、国内外の資産に分散投資ができる低コストの投資信託を選び、短期の値動きに一喜一憂せずに積み立てを長く続けることが大切です。 金融庁の資料によれば、資産や地域を分散した積立投資を長期間続けることで、結果的に元本割れの可能性が低くなる傾向にあります。どうしても元本割れを避けたい場合は、定期預金などの元本保証商品を検討しましょう。 出典)金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」 手数料がかかる iDeCoは加入時や運用期間中に手数料がかかります。手数料は国民年金基金連合会に支払うものと、金融機関(運営管理機関)に支払うものの2種類があります。国民年金基金連合会の手数料は以下のとおりです。 加入・移換手数料(初回1回のみ):2,829円 加入者手数料(掛金納付の都度):105円 金融機関の手数料は、各機関によって異なります。比較検討した上で、なるべく手数料が安い金融機関を選ぶといいでしょう。 出典)iDeCo公式サイト 国民年金基金連合会の手数料について 金融機関によって運用商品が異なる iDeCoは投資信託や定期預金、保険商品などで運用できますが、金融機関によって運用商品の種類や数が異なります。特に投資信託は、商品によって投資対象資産や手数料(信託報酬など)に違いがあります。 複数の金融機関を比較して、自分の運用方針に合った商品を扱っている金融機関を選びましょう。iDeCoの金融機関は途中で変更も可能です。 iDeCoの加入手続きの流れ iDeCoの加入手続きの流れは以下のとおりです。 事前準備を行う 取扱金融機関へ申込書類を提出する ID・パスワードを受け取る 運用開始 まずは加入資格を確認し、掛金額や運用方針を決めます。複数の金融機関に資料請求を行い、手数料や商品ラインナップを比較しましょう。加入する金融機関が決まったら、申込書類を提出して加入手続きを行います。 国民年金基金連合会で確認・手続きが完了すると、加入者サイトにログインするためのID・パスワードが発行され、運用が開始されます。手続きについてわからないことがあれば、金融機関のコールセンターなどに確認しましょう。 企業型DC加入者は注意! 企業型DCに加入している会社員がiDeCoに加入するには、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金、これらの合計額について以下の要件を満たす必要があります。 企業型DCに加入している人がiDeCoに加入する場合企業型DCとDBに加入している人がiDeCoに加入する場合 企業型DCの事業主掛金(①)55,000円以内27,500円以内 iDeCoの掛金(②)20,000円以内12,000円以内 合計(①+②)55,000円以内27,500円以内 実際にiDeCoへの加入を検討する場合は、まず勤務先の担当者に確認するといいでしょう。 出典)厚生労働省「令和4(2022)年10月から企業型DC加入者がiDeCoを利用しやすくなります」 iDeCoの制度改正予定 iDeCoは法改正により、2024年12月1日から以下の制度変更が予定されています。 掛金上限の見直し 現状企業型DCやDBなどに加入している人がiDeCoにも加入する場合、iDeCoの掛金上限は12,000円となっています。この上限が、2024年12月1日より20,000円まで引き上げられることが決まっています。 ただし、企業型DC、DB、iDeCo等の合計金額の上限は55,000円です。そのため、iDeCo以外の制度での掛金合計額が35,000円を超えてしまう場合には、iDeCoの掛金の上限が20,000円を下回ってしまうので、注意が必要です。 出典)iDeCo公式サイト「2022年の制度改正について」 まとめ iDeCoは「掛金が全額所得控除」などの税制優遇があり、節税効果が高いのが魅力です。原則60歳まで掛金を引き出せませんが、公的年金だけでは不足する老後資金を確保できます。老後の生活費に不安がある場合は、iDeCoの活用を検討しましょう。 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/ 個人事業主などの自営業者は年金が少ない?年金対策も解説 個人事業主などの自営業者は、会社員に比べて年金が少ないと言われます。しかし、具体的にはどのくらい異なるのでしょうか。年金額が少ないと言われる理由は、自営業者と会社員では、適用される年金制度が...記事を読む

  • 自営業の年金はいくら?年金対策も解説

    個人事業主などの自営業者は年金が少ない?年金対策も解説

    個人事業主などの自営業者は、会社員に比べて年金が少ないと言われます。しかし、具体的にはどのくらい異なるのでしょうか。年金額が少ないと言われる理由は、自営業者と会社員では、適用される年金制度が異なるためです。 この記事では、個人事業主などの自営業者がもらえる年金額や年金対策について解説します。 自営業者の年金制度 個人事業主などの自営業者の年金は、基本的に国民年金のみです。日本に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者は、国民年金の第1号被保険者に該当します。 国民年金保険料は、収入や所得に関係なく1ヵ月あたり16,520円(令和5年度)で、国民年金に加入することで以下のような給付を受けられます。 老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金 第1号被保険者の独自給付(付加年金・寡婦年金・死亡一時金) 短期在留外国人の脱退一時金 出典)国民年金に加入することで受けられる給付の種類 一方、会社員は勤務先で厚生年金に加入します。厚生年金保険料は給与(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)の18.3%で、被保険者(従業員)と事業主との折半負担となっています。厚生年金には国民年金が含まれるため、同一加入期間であれば、会社員のほうが年金額は多いでしょう。 出典)日本年金機構「国民年金保険料」 年金制度の基礎知識 日本の年金制度は下図のような3階建て構造になっています。 図:年金制度の仕組み ※著者作成 まず、被保険者については以下のとおり3種類に分類されます。 第1号被保険者 日本国内に在住の20歳以上60歳未満の自営業者、農業者、学生および無職の人とその配偶者(厚生年金保険や共済組合等に加入しておらず、第3号被保険者でない人)。 第2号被保険者 厚生年金保険や共済組合等に加入している会社員や公務員の人(65歳以上の老齢基礎年金などを受ける権利を有している人は除く)。 第3号被保険者 第2号被保険者に扶養されている配偶者で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の人(厚生年金保険の加入要件にあてはまる人を除く)。 1階部分の国民年金は、日本在住の20歳以上60歳未満の人はすべて加入する公的年金のひとつで、「基礎年金」とも呼ばれます。 2階部分は、1階部分に上乗せされて支払われる公的年金で、第2号被保険者を対象とした厚生年金と、厚生年金に加入できない第1号被保険者のために創設された国民年金基金が該当します。なお、国民年金基金は任意加入であることから、3階部分と解釈される場合もあります。 3階部分は私的年金にあたり、任意で加入することによって1階、2階から更に上乗せして加入できる年金です。確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金などが該当します。 出典)日本年金機構「国民年金の「第1号被保険者」、「第3号被保険者」とは何ですか。」 自営業者の年金はいくら? 個人事業主などの自営業者が受け取る老齢基礎年金は、令和6年度に満額受け取れる場合、月額68,000円(令和5年度は66,250円)です。 日本年金機構の主要統計(令和4年度版)によると、国民年金の平均年金月額は55,422円となっています。一方で、厚生年金の平均年金月額は144,982円です。このように、国民年金と厚生年金では年金額に2.6倍程の差があることがわかります。 出典) ・日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」 ・日本年金機構「日本年金機構の主要統計(令和4年度版)」 老齢基礎年金の算出方法 老齢基礎年金は、保険料の納付済期間と免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に65歳から支給されます。40年間(20~60歳)すべての保険料を納めると、老齢基礎年金を満額受け取れます。保険料を全額免除された期間は年金額が2分の1、半額免除は4分の3で算出します。 将来もらえる年金見込額を知りたい場合は、日本年金機構の「ねんきんネット」を利用するか、最寄りの年金事務所に確認しましょう。 出典)日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」 関連記事はこちら「ねんきんネット」はこんなに便利!使い方を詳しくご紹介 自営業者が受け取れるその他の年金 公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の場合、生活支援を目的に以下の給付金が年金に上乗せして支給されます。(令和5年時点) 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金 老齢年金生活者支援給付金は、以下の支給要件をすべて満たす人に支給されます。 65歳以上の老齢基礎年金の受給者 同一世帯の全員が市町村民税非課税 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が881,200円以下 関連記事はこちら年金生活者支援給付金とは?給付対象や手続き方法を解説 出典)日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」 障害年金生活者支援給付金 障害年金生活者支援給付金は、以下の支給要件をすべて満たす人に支給されます。 障害基礎年金(※1)の受給者 前年の所得(※2)が「4,721,000円+扶養親族の数×38万円(※3)」以下 ※1 旧法の障害年金、旧共済の障害年金であって、政令で定める年金についても対象です。 ※2 障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。 ※3 同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円となります。 障害年金などの非課税収入は、前年の所得には含まれません。所得基準額は扶養親族の人数に応じて変動します。給付額は、障害等級1級が月額6,638円、2級が月額5,310円です。 出典)日本年金機構「障害年金生活者支援給付金の概要」 遺族年金生活者支援給付金 遺族年金生活者支援給付金は、以下の支給要件をすべて満たす人に支給されます。 遺族基礎年金の受給者 前年の所得(※1)が「4,721,000円+扶養親族の数×38万円(※2)」以下 ※1 遺族年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。 ※2 同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円となります。 所得基準額などの考え方は障害年金生活者支援給付金と同様で、給付額は月額5,310円です。ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5,310円を子の人数で割った金額がそれぞれ支給されます。 出典)日本年金機構「遺族年金生活者支援給付金の概要」 自営業者の年金対策 会社員より年金が少ない自営業者は、どのような対策を取ればよいのでしょうか。ここでは、自営業者ができる年金対策を4つ紹介します。 国民年金基金 国民年金基金とは、自営業者と会社員の年金額の差を解消するために創設された制度です。自営業者(国民年金第1号被保険者)は任意で加入でき、掛金を納めた期間に応じて年金が上乗せされます。国民年金基金には以下のようなメリットがあります。 掛金は全額社会保険料控除の対象 受け取る年金も公的年金等控除の対象 遺族一時金は全額非課税 国民年金基金の掛金は全額が所得控除の対象で、年金を受け取るときにも所得控除が適用されるため、所得税や住民税が軽減されます。また、年金受取前や保障期間中に亡くなった場合は、遺族に一時金が支払われます。一方で、以下のようなデメリットもあります。 一度加入すると脱退できない(減額は可能) 死亡時に遺族一時金が掛金額を下回ることがある 国民年金基金は一度加入すると脱退できないため、加入は慎重に判断する必要があります。また、国民年金基金は国民年金法に基づいて設立されていますが、解散する恐れもあるので注意しましょう。解散する場合は、基金の解散時点での残余財産額を加入員および受給者等で分配され、分配額は支払った掛金額の合計を下回ることがあります。 出典)国民年金基金「重要なお知らせ」 関連記事はこちら自営業者が加入可能な国民年金基金とは? 付加年金 付加年金とは、国民年金保険料に付加保険料(月額400円)をプラスして納付すると付加年金が上乗せされる制度です。住所地の市区町村役場で申し込みできます。 付加年金のメリットは、保険料に対して受け取れる額の割合が高いことです。付加年金は「200円×付加保険料納付月数」で算出します。計算上は2年間で元が取れるため、お得な制度といえるでしょう。 付加年金のデメリットは、年金支給前に死亡すると付加保険料が戻ってこないことです。また、国民年金基金との併用ができない点にも注意が必要です。 出典)日本年金機構「付加年金」 iDeCo(個人型確定拠出年金) iDeCoとは、自分で掛金を拠出して運用を行う私的年金です。掛金は将来給付として受け取れるため、年金の不足分を補うことができます。iDeCoには以下のようなメリットがあります。 自分で運用先を決定できる 年金が上乗せされる 掛金が全額所得控除などの税制優遇がある iDeCoは、保険商品や投資信託などから自分で運用先を選べるため、運用次第で給付額を増やすことも可能です。掛金は全額所得控除で、運用益は非課税などの税制優遇も用意されています。 一方で、iDeCoは運用損が生じる場合があるのがデメリットです。運用がうまくいかなければ、給付が掛金を下回る場合があります。また、原則60歳まで掛金を引き出せないため、資金繰りにも注意が必要です。 関連記事はこちらiDeCo(イデコ)の仕組みとは?メリット・デメリットを解説 個人年金保険 個人年金保険は、保険会社が提供する保険商品の一種です。個人年金保険は、積み立てた保険料を原資に一時金もしくは年金受取が可能で、以下のようなメリットがあります。 保険料控除を受けられる 年金が上乗せされる 「生命保険契約者保護機構」によって一定の契約者保護がある 毎年40,000円を上限に、保険料控除を受けられます。保険料控除を受けることで、所得税や住民税の税金対策ができます。また、一定期間にわたって保険料を払うことで、年金の不足分を補うことが可能です。 万が一保険会社が破綻した場合は、生命保険契約者保護機構によって一定の補償を受けられます。商品を検討する際には、保険会社ごとに年金の受取期間や保険料が異なる点に注意しましょう。 出典)国税庁「No.1140 生命保険料控除」 年金が不足した際に活用できる商品・サービス 前述のような対策を講じた上でも老後の生活費が不足する場合、持ち家であれば不動産が資金源となるかもしれません。自宅を担保に融資を受けたり、売却したりすることで、まとまった資金が手に入ります。具体的には、以下3つの方法があります。 不動産担保ローン 不動産担保ローンとは、不動産を担保にお金を借りることができるローンです。自宅を所有している場合、まとまった資金を準備する手段として活用できます。不動産担保ローンには以下のようなメリットがあります。 無担保のカードローンより低金利で利用できる 借入限度額が大きい(不動産評価によって億単位の借り入れも可能) 最長35年など長期間にわたって借りられる 資金使途は原則自由 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 リースバック リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅をリースバック運営会社に売却後、その会社に家賃を払うことで、同じ家に住み続けることができます。リースバックには以下のようなメリットがあります。 自宅を売却した後も同じ家に住み続けられる 自宅の売却でまとまった資金が手に入る 月々の支出が定額化される 家の所有リスクを無くせる 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リバースモーゲージ リバースモーゲージは、自宅を担保に老後資金の融資を受けられます。毎月の支払いは利子のみで、債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する仕組みです。リバースモーゲージには以下のようなメリットがあります。 自宅に住み続けながら資金を調達できる 毎月の支払いが利子のみで返済負担が少ない 関連記事はこちらリバースモーゲージとは?メリット・デメリットや仕組みを解説 自営業者の年金に関するよくある質問 自分の基礎年金番号の確認方法を教えてください。 基礎年金番号は下記の書類で確認が可能です。 基礎年金番号通知書 青色の年金手帳 国民年金保険料の口座振替額通知書 国民年金保険料の納付書、領収書 年金証書 各種通知書等(年金額改定通知書、年金振込通知書等) ねんきん定期便 国民年金の保険料はいくらですか。 令和5年度は月額16,520円です。なお、国民年金の保険料は毎年見直しが行われています。 出典)日本年金機構 国民年金保険料 年金手帳や基礎年金番号通知書をなくした場合、どうすればいいのですか。 年金制度改正法(令和2年法律第40号)等の一部施行により、令和4年3月31日をもって年金手帳が廃止されたため、令和4年4月1日より基礎年金番号通知書の発行が行われます。 年金手帳から基礎年金番号通知書への切替えにともない、令和4年3月31日までに「年金手帳再交付申請書」をご提出した場合であっても、処理状況によって交付年月日が令和4年4月1日以降となるものについては、基礎年金番号通知書が発行されます。 出典)日本年金機構 基礎年金番号通知書の再交付を受けようとするとき 65歳になると年金は自動的に受けられるのですか。 年金は自動的に支払われるわけではなく、手続きが必要です。この年金を受ける手続きを決定請求といいます。国民年金の決定請求の手続きは市・区役所または町村役場の国民年金の窓口(第3号被保険者期間がある場合は年金事務所または街角の年金相談センター)で行います。65歳の誕生日が過ぎてから決定請求を行ってください。 出典)日本年金機構 国民年金に若いときから加入しています。65歳になると年金は自動的に受けられるのですか。 住所が変わった場合に何か手続きは必要ですか。 住所表示の変更のため、番地が変わった場合でも、日本年金機構にマイナンバーが収録されている人は住所変更届出は原則不要です。 日本年金機構にマイナンバーが未収録の人や住民票の住所と違う場所に住んでいる場合や、成年後見を受けている人等は、「年金受給権者 住所変更届」に、新しい住居表示、マイナンバーカードに記載されているマイナンバーまたは、年金証書に記載されている基礎年金番号と年金コード、生年月日などを記入して年金事務所または街角の年金相談センターに提出が必要です。なお、市区町村名のみの変更の場合、日本年金機構が対象の人の住所を一括して変更しますのでこの届は必要ありません。 出典) ・日本年金機構 住居表示が変わったとき。 ・日本年金機構 年金Q&A まとめ 個人事業主などの自営業者は国民年金のみであるため、老後の生活費を年金だけでカバーするのは難しいでしょう。ただし、国民年金基金やiDeCoなど、年金対策として利用できる制度が用意されています。将来の年金見込額を確認し、なるべく早く老後資金の準備を始めましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 小規模企業共済とは?メリット・デメリットと加入までの流れを解説 小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者向けの退職金制度です。自営業の方が、国民年金以外の老後資金を準備する手段として活用できます。一方で、小規模企業共済は、状況によっては損をする恐...記事を読む

  • 空き家を相続したらどうするべき?対処方法や税制特例について解説

    空き家を相続したらどうするべき?対処方法や税制特例について解説

    相続で取得した実家に住む予定がない場合、何もしなければ空き家になってしまいます。空き家の状態で放置することには、さまざまなリスクが存在します。 そのため、空き家を相続する予定があるなら、どのように対処するかを事前に考えておくことが大切です。この記事では、相続した空き家を放置するリスクや対処方法、税制特例について解説します。 空き家問題は深刻化している 総務省の「住宅・土地統計調査(2018年)」によると、全国の空き家率は13.6%で過去最高となりました。「居住世帯のない住宅」のうち空き家は846万戸で、2013年からの5年間で26万戸(3.2%)増加しています。 空き家数はこれまで一貫して増加が続いており、空き家問題は深刻化しています。2014年11月には「空き家等対策特別措置法」が公布され、さまざまな対策が講じされていますが、空き家の増加を抑制できていないのが現状です。 出典) ・総務省統計局「2018年(平成30年)住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要」 ・e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」 相続した空き家を放置するリスク 相続した空き家を放置すると、以下のようなリスクがあります。 固定資産税の負担が増える 住宅用地の固定資産税は、特例措置によって以下のように減額されています。 小規模住宅用地(200㎡以下の部分:6分の1に減額) 一般住宅用地(200㎡を超える部分:3分の1に減額) しかし、適切な管理を行わずに空き家を放置すると特例措置の対象から除外されるため、固定資産税の負担が増えてしまいます。 出典)国土交通省「空家の除却等を促進するための土地に係る固定資産税等に関する所要の措置(令和5年度税制改正」 劣化による資産価値下落リスク 実物資産である不動産は、適切に管理を行わないと建物が劣化して資産価値が下落するリスクがあります。特に居住者がいない物件は特に劣化が早いため、早めに対策をする必要があるでしょう。 資産価値が下がるとなかなか買い手が見つからず、売却が困難となります。「賃貸に出す」「不動産を担保に融資を受ける」など、資産として活用することも難しくなるでしょう。 周辺住民とのトラブル 空き家を放置して建物が劣化すると、倒壊や屋根・外壁の落下、火災が発生する恐れがあります。また、ゴミの不法投棄、衛生の悪化、悪臭、雑草などにより、周辺環境に大きな影響を与えます。何も対策を講じなければ、周辺住民とトラブルになりかねません。 空き家を相続したときの対処方法 空き家を相続したら、まずは相続登記を行いましょう。相続登記とは、相続した不動産の所有権(名義)を前の所有者から相続人に移転する手続きです。名義変更を行わないと、売却などの取引を行うことができません。 相続登記を自身で行うのが難しい場合は、司法書士に代行してもらうといいでしょう。相続登記が済んだ後は、以下3つの対処方法が考えられます。 売却する 相続した空き家を売却して現金化する方法です。複数の相続人がいる場合、現金化することで遺産を分割しやすくなるでしょう。売却後は維持費が不要となり、管理の手間がかからなくなるのもメリットです。 賃貸に出す 相続した空き家を入居希望者に貸し出す方法です。空き家を賃貸に出せば、毎月家賃収入を得られます。 ただし、空き家を賃貸に出せる状態にするには、リフォームやハウスクリーニングが必要です。また、入居者がいないと賃料を得られないので、賃貸需要があるかを見極めることが大切です。 住居として使う 相続した空き家を自身の住居として利用する方法もあります。築年数が古く、間取りがライフスタイルに合わなくても、リフォームを行って住みやすくすることは可能です。すでに持ち家に住んでいる場合は、セカンドハウスとして利用してもいいでしょう。 関連記事はこちら相続時の不動産評価方法は?評価に関する特例も併せて解説 相続した空き家を売却するときの税制特例 不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、通常は譲渡所得税がかかります。しかし、空き家の売却で一定の要件を満たすと以下の税制特例が適用されるため、譲渡所得税の節税になります。 相続不動産についての特例については下記のコラムで詳しく解説しています。 関連記事はこちら相続不動産の売却にかかる税金とその税制特例について解説 売却が難しい場合は相続放棄も選択肢 相続した実家が遠方にあって住む予定がなく、売却も難しい場合は「相続放棄」も選択肢となります。 ただし、相続財産をすべて放棄することになるため、プラスの財産(預貯金など)があっても引き継ぐことができません。また、相続放棄をしても、相続財産管理人が管理を開始するまでは実家の管理責任はなくなりません。 相続放棄するほうがよいかは状況によって異なるので、弁護士などの専門家に相談して判断しましょう。 まとめ まずは空き家を相続する前に、相続した後にどのように活用するかを考え、売却が出来ないなど扱いに困るような物件であれば相続放棄をするという選択肢があります。一方で、需要のあるエリアなどの不動産であれば、売却や賃貸に出すなどの選択肢があるでしょう。自身で判断できない場合には、専門家に依頼するなどして、後悔のない選択をしましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 相続時の不動産評価方法は?評価に関する特例も併せて解説 不動産の評価は一物五価とも呼ばれ、同じ不動産でも指標によって評価額は変化します。そして、相続の際の不動産評価額のことを、「相続税評価額」と言います。では、この相続税評価額はどのように算出すれ...記事を読む 不動産相続について徹底解説!知っておきたい手続きや費用 不動産を相続することになった場合、さまざまな手続きが必要になります。不動産相続では、相続税や遺産分割で、トラブルが発生することもあります。不動産相続をスムーズに進めるには、手続きの流れを理解...記事を読む

    2021.09.08相続税金
  • 老後は家の建て替えが必要?資金はどうやって準備する?

    老後は家の建て替えが必要?資金はどうやって準備する?

    子どもが独立したり、定年が近づいてきたりすると、老後の住まいについて考える機会が増えるのではないでしょうか。戸建てに住んでいる場合は、住み替えやリフォームだけでなく、建て替えも検討するかもしれません。 建て替えによって自宅が新しくなれば、安心して老後を過ごせるかもしれません。一方で、建て替え資金をどうやって準備するかという問題もあります。この記事では、老後に自宅を建て替えるメリット・デメリット、資金を準備する方法について解説します。 高齢者の住宅事情について まずは高齢者世帯の持ち家率や建て替えの現状など、高齢者の住宅事情について確認していきましょう。 高齢者世帯の持ち家率 総務省の調査によると、65歳以上の高齢者がいる世帯の持ち家率(2018年)は82.1%となっています。持ち家率は減少傾向にあるものの、高齢者の8割超が持ち家に住んでいるのが現状です。 図:高齢者世帯の持ち家比率 ※調査結果から著者が作成 出典)総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要P8」 建て替えの現状 総務省の調査によると、2018年の持ち家の取得方法のうち「建て替え」は565万6,000戸で、全体の17.2%となっています。 建て替えを行った住宅の建築時期で最も多いのは、1991~2000年の141万6,000戸(21.2%)です。次いで、1981年~1990年の104万8,000戸(18.3%)です。築30~40年で建て替えを実施するケースが多く、建て替え全体の約4割を占めています。 図:建て替えの現状 ※調査結果から著者が作成 ただし、建て替えが必要かどうかは、物件の構造や状態によって異なります。適切にメンテナンスを行っていれば、築年数が古くなったとしても、必ずしも建て替えが必要になるとは限りません。 出典)総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要P6」 老後に建て替えを検討するきっかけ 多くの人は、どのようなきっかけで自宅の建て替えを検討するのでしょうか。老後に建て替えを行う理由として以下のようなことが考えられます。 若いときに建てた自宅が老朽化している 二世帯住宅/賃貸併用住宅に対応するため 賃貸暮らしだったが実家を相続した 20代で自宅を建てた場合、定年を迎える頃には築30~40年となります。建物や設備の老朽化が気になる場合、リフォームだけでなく、建て替えは選択肢の1つとなるでしょう。 また、子ども世帯と一緒に住むための二世帯住宅、家賃収入を得るための賃貸併用住宅に対応することを目的に建て替えを検討するケースも考えられます。 さらに、相続した実家への住み替えも、建て替えのきっかけになるでしょう。建物が老朽化している場合は、建て替えを選択肢に入れるかもしれません。 老後に自宅を建て替えるメリット 老後に自宅を建て替えるメリットは以下のとおりです。 ライフスタイルにあった家を建てられる 老後を安心して過ごせる 若いときに建てた自宅が、老後のライフスタイルに合うとは限りません。例えば、子どもが独立して夫婦だけの生活になれば、間取りが広すぎると感じることもあるでしょう。老後に建て替えを行えば、ライフスタイルの変化に対応した住みやすい家を建てられます。 また、建物が老朽化することで地震や台風などの災害リスクも高まります。建て替えによって建物を新しくすれば、耐震性や耐久性が高まり、老後を安心して過ごせます。 関連記事はこちらシニアが住み替える際の4つのポイント 老後に自宅を建て替えるデメリット 一方で、老後の建て替えには以下のようなデメリットもあります。 まとまったお金がかかる 建て替えが完了するまでの仮住まいが必要 自宅を建て替えるにはまとまった資金が必要です。しっかりとした資金計画を立てておかないと、老後の生活費が不足する可能性があります。また、建て替えが完了するまでは自宅に住めないため、仮住まいを用意しなくてはなりません。賃貸物件を借りる場合は、家賃の支払いが必要です。 建て替え資金はいくら必要? 自宅の建て替えにかかる費用は、大きく「工事費用」と「諸費用」の2つに分けられます。 工事費用 建て替えの際は、現在住んでいる家の解体工事と新築する建物の本体工事が行われます。また、給排水や電気・ガスなどの付帯工事も必要です。 工事費用は、「坪(㎡)数 × 各工事の単価」によって概算金額を算出できます。物件によって異なりますが、解体工事は坪4~8万円、本体工事は坪50~70万円が相場です。また、付帯工事は本体工事の20%程度が相場となります。 あくまでも目安なので、実際に建て替えを行う場合は事前に見積もりをとって、正確な金額を把握する必要があります。 諸費用 建て替えの際は以下のような諸費用もかかります。 印紙代(契約時) 登記費用 火災保険料 住宅ローン手数料(利用する場合のみ) 各種申請費用(長期優良住宅認定、建築確認申請等) 上記のほかに、引っ越し費用や仮住まいにかかる費用、新調する家電・家具などの購入費用も必要です。支払い時に困らないように、事前に費用を確認した上で多めに資金を用意しておきましょう。 関連記事はこちら住み替えの流れや費用、利用できる税制上の特例を解説 老後の建て替え資金にはリ・バース60 建て替え資金を自己資金で準備できない場合は、住宅ローンを組むのが基本です。しかし、高齢になると住宅ローンを組むのが難しいかもしれません。その場合は「リ・バース60」を検討しましょう。 リ・バース60は高齢者向けの住宅ローンで、満60歳以上の方でも借り入れが可能です。毎月の支払いは利息のみで、元金の支払いは債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して返済するか、現金で一括返済するかを選べます。 リ・バース60については、以下の記事で詳しく説明しています。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 まとめ 自宅の建て替えを行えば、理想の住まいで老後を豊かに過ごせるかもしれません。ただし、建て替えにはまとまった資金がかかるため、老後の生活費に影響が出る恐れもあります。 建て替えを行う場合はしっかりとした資金計画を立て、必要に応じてローンの利用を検討しましょう。 商品選びに困った方はこちら リ・バース60の商品詳細はこちら お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 老後生活への準備として住み替えやリフォームをする場合、まとまった資金が必要になります。しかし、高齢になると、一般的な住宅ローンやリフォームローンの審査に通りにくくなります。 このような時に活...記事を読む

  • 老後の一人暮らし、生活費はいくら必要?

    老後の一人暮らしに生活費はいくら必要?

    近年、未婚率の増加や子どもとの同居の減少により、一人暮らしの高齢者のは増えています。一人暮らしと言っても、未婚の独身者だけではなく、現在は家族と暮らしていても、配偶者との死別などで一人暮らしになることもあるでしょう。老後の一人暮らしで必要な生活費は、なるべく早いうちに見積もり、準備しておくことが大切です。 この記事では、老後に一人暮らしに生活費はいくら必要なのか、資金が足りないときにどのような対処方法があるのかについて解説します。 そもそも老後に一人暮らしの人はどれぐらいいる? 出典)内閣府「2022年(令和4年)版 高齢社会白書(第1章 第1節 3 家族と世帯)」 内閣府の高齢社会白書によると、1980年以降、65歳以上の一人暮らし世帯は男女ともに一貫して増加傾向にあります。2020年の65歳以上人口に占める一人暮らしの割合は、男性は15.0%、女性は22.1%で、男性は約7人に1人、女性の約5人に1人が老後に一人暮らしをしています。 また、今後も一人暮らしの割合は増加が続き、2040年には男性は20.8%、女性は24.5%に達すると予測されています。 老後に独身の人はどれぐらいいる? 「総務省統計局 令和2年国勢調査」によると、未婚の割合は男性が60から64歳が17.3%、65から69歳が14.1%で、女性が60から64歳が8.5%、65から69歳が6.4%です。つまり、60代では、男性は15.7%、女性は7.4%が独身といえます。 また、前回の「平成27年度国勢調査」時点では、70歳以上の男性も女性も5%未満であったのに対し、今回は男性は70代、女性も70から74歳で5%を上回る結果となりました。近年は未婚率の割合が上昇していることから、老後に独身である人の割合は、今後も増加していくことが予測されます。 出典) ・総務省統計局 平成27年国勢調査 ・総務省統計局 令和2年国勢調査 老後の一人暮らしに必要な生活費 老後に一人暮らしをする場合、毎月の生活費はいくら必要なのでしょうか。総務省の家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯の家計収支は下図のとおりです。 出典)総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要P18」 収入と支出それぞれの詳細について確認していきましょう。 老後の一人暮らしの生活費:収入 高齢単身無職世帯の実収入(月平均額)は134,915円で、内訳は下表のとおりです。 高齢単身無職世帯の実収入(月平均額) 社会保障給付121,496円 その他(仕送り金、事業・内職など)13,419円 実収入合計134,915円 年金などの社会保障給付が約12万円で、実収入全体の約9割を占めています。その他は仕送り金や事業・内職などによる収入です。全体の約1割と少額ですが、月平均額であるため、人によって金額に大きな差があると考えられます。 老後の一人暮らしの生活費:支出 高齢単身無職世帯の消費支出と非消費支出の合計(月平均額)は155,495円で、内訳は下表のとおりです。 高齢単身無職世帯の消費支出と非消費支出の合計(月平均額) 食料37,485円 住居12,746円 光熱・水道14,704円 家具・家事用品5,956円 被服及び履物3,150円 保険医療8,128円 交通・通信14,625円 教養娯楽14,473円 その他の消費支出(雑費・交際費など)31,872円 非消費支出(直接税・社会保険料)12,356円 支出合計155,495円 住居費が12,746円と低いのは、持ち家率が高いことが理由だと考えられます。賃貸の場合は家賃が発生することから、住居費は更にかかるでしょう。保険医療費は8,128円ですが、年齢とともに負担は増えるかもしれません。 また、交通費は住環境に大きく左右されます。都市部のインフラが整備された地域に比べ、地方で自家用車が必要な場合、車両代やガソリン代、保険料などの維持費もかかるため、平均より負担は大きくなるでしょう。 年金だけでは老後の生活費が月3.5万円不足する? 年金収入が約12万円、支出合計が約15.5万円とすると、老後の一人暮らしの生活費は月3.5万円不足します。この不足額のまま今後の生活を続けると、生活費は10年で約420万円、30年で約1,260万円不足することになります。 統計より収入が多く、支出が少ない場合などは年金だけでも生活できるかもしれません。総務省の家計収支はあくまでも平均結果ですが、老後の一人暮らしの生活費を把握する際の参考にはなります。まずは自身の家計を整理して、老後の生活費がいくら必要かを把握することが大切です。 出典)総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要P18‐19」 関連記事はこちら老後破産とは?その原因と事前の準備・対策を解説 老後の一人暮らしの生活費が不足する時の対処法 老後の一人暮らしで生活費が不足した時、持ち家であれば自宅が資金源となるかもしれません。自宅を担保に融資を受けたり、売却したりすることで、まとまった資金が手に入ります。 不動産担保ローン 不動産担保ローンとは、不動産を担保にお金を借りることができるローンです。自宅を所有している場合、まとまった資金を準備する手段として活用できます。不動産担保ローンには以下のようなメリットがあります。 無担保のカードローンより低金利 借入限度額が大きい 資金使途が自由 一方で、不動産担保ローンは返済不能になると、金融機関に不動産が処分されるリスクなどもあるので、メリット・デメリットを理解したうえで利用を検討しましょう。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 リースバック リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅をリースバック運営会社に売却後、その会社に家賃を払うことで、同じ家に住み続けることができます。リースバックには以下のようなメリットがあります。 自宅を売却した後も同じ家に住み続けられる まとまった資金が手に入る 家の所有リスクを無くせる 一方で、リースバックは市場価格よりも売却価格が安くなるなどの特徴があります。そのため、メリット・デメリットを理解したうえで利用を検討しましょう。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 まとめ 老後の一人暮らしで年金収入のみの場合、生活費が不足し、貯金を切り崩して生活しなければならないこともあるでしょう。まずは家計の状況を整理して、老後資金がいくら必要かを把握することが大切です。持ち家で資金が足りない場合は、不動産担保ローンやリースバックなどの利用を検討しましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 夫婦の老後資金はいくら必要?足りない時の対処法も紹介 「人生100年時代」や「老後2,000万円問題」などに起因して、「老後資金」という言葉が注目を集めています。老後破産に陥らないためにも、夫婦で必要な老後資金を把握し、なるべく早くから準備して...記事を読む

    2021.07.21老後のお金
  • 不動産相続で知っておきたい手続きと費用

    不動産相続について徹底解説!知っておきたい手続きや費用

    不動産を相続することになった場合、さまざまな手続きが必要になります。不動産相続では、相続税や遺産分割で、トラブルが発生することもあります。不動産相続をスムーズに進めるには、手続きの流れを理解して早めに準備をすることが大切です。 この記事では、不動産相続で知っておきたい手続きや費用について詳しく解説します。 不動産相続の手続きの流れ 不動産相続では、以下のような流れで手続きを進めます。 相続人や相続財産を確認する 遺産分割協議で遺産の分け方を決める 相続不動産の名義を変更する 相続税の申告・納付をする 相続人や相続財産を確認する まずは、相続人や相続財産を確認する必要があります。 相続人の確定 誰が遺産を相続する権利を持っているのかをはっきりさせるために、相続人を確定させます。そのためには、被相続人(亡くなった人)の相続関係を調査しなくてはなりません。 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得し、相続情報を調査して法定相続人を確定させましょう。必要書類を準備して法務局に依頼すれば、相続関係が一覧でわかる「法定相続情報一覧図」を作成してもらうことも可能です。 遺言書の確認 相続が発生したら、被相続人が遺言書を残していないかを確認します。遺言書がある場合は、遺言書の内容に従って相続を進めなくてはなりません。また、遺言書で法定相続人以外の人を相続人として指定している可能性もあります。 遺言書は、主に「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2つがあります。公正証書遺言は情報が登録されているので、公証人役場に確認すれば、遺言書の有無を確認できます。一方、自筆証書遺言の場合は、被相続人の机の引き出しや金融機関の貸金庫など、思い当たる場所を探す必要があります。 遺産の確認 被相続人がどのような財産を残しているかを確認しましょう。相続財産は現金や預貯金、有価証券や不動産以外にも、死亡保険金やゴルフ会員権が資産にあたります。資産だけでなく、負債も調べる必要があります。相続では、基本的に資産だけを引き継ぐことはできません。そのため、負債のほうが多い場合は、相続放棄を検討する必要があります。 遺産分割のやり直しを避けるためにも、被相続人のすべての財産(資産と負債の両方)を調べましょう。 遺産分割協議で遺産の分け方を決める 相続人と相続財産が確認できたら、遺産の分け方を決めます。被相続人が遺言書を残している場合は、遺言書の内容に従って財産を分割します。遺言書がない場合には、遺産分割協議へと進みます。民法では目安となる相続の割合が決められているので、相続人の優先順位を確認しましょう。 相続人の優先順位 法定相続人の優先順位は以下のとおりです。 相続人の範囲 第1順位死亡した人の子供 第2順位死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など) 第3順位死亡した人の兄弟姉妹 また、財産の原則的な相続割合のことを「法定相続分」、被相続人が遺言で定めた相続分のことを「指定相続分」といいます。指定相続分は法定相続分に優先するため、遺言書がある場合は、遺言書の内容に従って相続財産を分割することになります。 法定相続分 相続人 相続分 配偶者と子供の場合配偶者1/2 子ども1/2 配偶者と直系尊属の場合配偶者2/3 直系尊属1/3 配偶者と兄弟姉妹の場合配偶者3/4 兄弟姉妹1/4 たとえば、配偶者と子2人が法定相続人の場合、法定相続分は配偶者が二分の一、子どもはそれぞれ四分の一ずつです。仮に相続財産が1億円であれば、配偶者が5,000万円(1億円×1/2)、子A、Bがそれぞれ2,500万円(1億円×1/4)を相続します。 出典)国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分 相続人の遺留分 遺言によっては、一人の親族や第三者に財産を遺すように書かれていることもあります。そのような場合には、一定の相続人に「遺留分」が認められています。遺留分とは、配偶者や子供、直系尊属(※1)など、一部の法定相続人(※2)が取得できる一定割合の相続財産のことです。 たとえば、遺言書に法定相続人以外の人に財産をすべて残すと書かれていても、配偶者や子などには遺留分が認められます。遺言書がない場合は、遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは、相続人が集まって相続財産をどう分けるかを話し合う手続きのことです。 遺産分割について合意したら、遺産分割協議書を作成して相続人全員が署名・捺印します。遺産分割協議がまとまらない場合は、調停が必要になることもあるので、弁護士などの専門家に相談しましょう。 ※1被相続人の父母、父母がどちらも亡くなっている場合は祖父母 ※2兄弟姉妹や兄弟姉妹が先に亡くなっている場合に相続人となる甥姪には遺留分が認められていません 相続不動産の名義を変更する 遺産分割協議が終了して相続する財産が決まったら、相続不動産の名義変更を行います。実家の土地・建物などを相続する場合、不動産の所有権を相続人に移転する相続登記が必要です。不動産の相続登記は、必要書類を準備した上で、対象不動産を管轄する法務局に申請します。法定相続分どおりに相続する場合、相続登記の必要書類は以下のとおりです。 登記申請書 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 法定相続人の戸籍謄本 法定相続人の住民票 登録免許税(収入印紙) その他、遺産分割協議によって財産を分割する場合は、遺産分割協議書や相続人の印鑑証明書も必要です。なお、相続登記はこれまで任意でしたが、所有者不明土地の発生予防のために申請が義務化されました。施行日は2024年(令和6年)4月1日なので、注意しましょう。 関連記事はこちら所有者不明土地の解消に向けた法改正とは?2つのポイントを解説 相続税の申告・納付をする 最後に相続税の申告・納付を行います。手続きの流れは以下のとおりです。 相続税の課税遺産総額を確認 相続税は、正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた課税遺産総額に対して課税されます。正味の遺産額とは、相続等によって取得した財産の価額と相続時精算課税の適用を受ける財産の価額を合計した金額から、債務や葬式などの金額を差し引いたものです。 >相続時精算課税制度の詳しい説明はこちら たとえば、法定相続人が配偶者と子の2人の場合、基礎控除額は4,800万円(3,000万円 + 600万円 × 3人)です。正味の遺産額が1億円の場合、課税遺産総額は5,200万円(1億円 - 4,800万円)となります。相続財産が4,800万円以下であれば、課税遺産総額は0となるため、相続税はかかりません。 相続税申告書の作成 課税遺産総額を求めたら、相続税を計算して申告書を作成します。相続税は自身で計算することもできますが、難しい場合は税理士に代行してもらうことも可能です。 相続税の申告・納付 相続税の申告書が作成できたら、必要書類を添えて所轄税務署に提出し、税金を納付します。相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。 本人確認書類や相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書の写し、相続人全員の印鑑証明書などを添付します。 また、不動産相続の場合は、固定資産税評価証明書や登記事項証明書なども必要です。 出典)相続税の申告の際に提出していただく主な書類 不動産相続の手続き上の注意点 相続が発生したとき、遺産を相続したくない場合などは、所定の期間内に対応しなければならない事項があります。具体的には以下のような手続きです。 相続放棄をする場合 限定承認をする場合 故人の準確定申告が必要な場合 相続放棄をする場合 相続放棄をする場合は、3ヵ月以内に手続きをする必要があります。相続財産を調べた結果、借金など負債のほうが多いなどは、相続放棄も選択肢の1つです。相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所に申述すれば、相続放棄ができます。 出典)国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分 限定承認をする場合 限定承認をする場合は、3ヵ月以内に手続きをする必要があります。限定承認とは、被相続人の資産の範囲内で負債を相続することです。 相続では、資産と負債がどれくらいあるのか、すぐに把握できないこともあります。そのような時、限定承認を選択すれば、たとえ債務があっても資産の範囲で引き受けられるので安心です。ただし、限定承認は相続人全員が共同で家庭裁判所に申述する必要があります。 故人の準確定申告が必要な場合 故人の準確定申告が必要な場合は、4ヵ月以内に手続きをする必要があります。準確定申告とは、被相続人の1月1日から死亡した日までに確定した所得金額および税金を計算して確定申告をすることです。 相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に準確定申告をしなくてはなりません。準確定申告が必要な場合は、期限までに申告、納税を行いましょう。 出典)国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告) 不動産相続でかかる税金 不動産相続では、登録免許税と相続税がかかります。登録免許税は、不動産の相続登記を行う際にかかる税金です。登録免許税の税額は「不動産価格×0.4%」で、不動産価格は市町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格になります。 また、基礎控除額を超える財産を相続する場合は相続税もかかります。相続税を算出する際のイメージは、以下のとおりです。 課税遺産総額を法定相続分で分割したものとして各人の取得金額を算出する 各人の課税額を算出し、合計して相続税総額を算出する 相続税総額を各人の相続分に按分して、実際に収める税金を決定する 各人の課税額を算出する際には、取得金額に基づき、速算表から以下のように計算します。 2,600万円 × 15% - 50万円 = 340万円 相続税の速算表 法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額 1,000万円以下10%- 3,000万円以下15%50万円 5,000万円以下20%200万円 1億円以下30%700万円 2億円以下40%1,700万円 3億円以下45%2,700万円 6億円以下50%4,200万円 6億円超55%7,200万円 この速算表で計算した各人の課税額の合計が、相続税総額となります。そして、各人が実際に相続した相続分に従って相続税総額を案分し、各人の税額を算出します。 相続税は財産の評価方法や計算方法が複雑で、相続開始から10ヵ月以内に申告・納付を行わなくてはなりません。土地の相続税を引き下げる特例などもあるので、実際に相続税を計算する際は、税理士などの専門家に相談しながら進めるのが確実です。 関連記事はこちら相続時の不動産評価方法は?評価に関する特例も併せて解説 出典)国税庁 No.4155 相続税の税率 相続不動産の分割方法 不動産は預貯金のように均等には分割しづらいため、複数の相続人がいる場合は以下4つの分割方法から選択します。 現物分割 代償分割 換価分割 共有分割 現物分割 現物分割とは、遺産を現物のまま、その形状や性質を変更することなく分割する方法です。たとえば、特定の相続人が1人で被相続人の自宅を相続する場合が該当します。 現物分割は、特定の相続人のみが不動産を相続するので、手続きが比較的簡単ですが、他の相続人から不満が出ることも考えられます。そのため、相続財産が不動産に偏っている場合など、相続人間で公平に分割するための協議がまとまらない時には、代償分割や換価分割で対応することになるでしょう。 代償分割 代償分割とは、特定の相続人が不動産を相続し、その他の相続人に対して法定相続分に応じた代償金を支払う方法です。たとえば、3,000万円の不動産を子2人で相続する場合、法定相続分は兄弟ともに2分の1です。兄が不動産を相続し、弟に代償金1,500万円を支払えば、それぞれ1,500万円を相続したことになります。 代償分割は代償金が支払われるため、不公平が出にくいです。ただし、不動産を取得した相続人はまとまった資金を準備しなくてはなりません。手元資金だけで代償金や納税資金を準備するのが難しい場合は、不動産を担保に融資を受けるなどの対応が必要です。 換価分割 換価分割とは、相続不動産を売却して売却代金を相続人で分割する方法です。たとえば、3,000万円の不動産を諸経費300万円かけて売却したとき、子2人で相続する場合には、2,700万円を2人で分けた1,350万円が受け取れます。 換価分割は現金化してから分けるので、公平に分割できるのがメリットです。ただし、売却には諸経費だけでなく時間もかかるため、希望条件どおりに売却できるとは限りません。 共有分割 共有分割とは、不動産を複数の相続人で共同所有する方法です。不動産はそのままにして、法定相続分に応じた共有持分を取得します。不動産にかかる固定資産税などは、共有持分に応じてそれぞれが負担することになります。 遺産分割協議がまとまらない場合は、「とりあえず共有分割にする」という選択肢もあるかもしれません。ただし、1つの不動産を共同所有すると、1人の意思で自由に不動産を活用できなくなります。 相続人の誰かが「賃貸に出したい」「売却したい」と思っても、共有持分者の同意が必要です。共有持分者が亡くなって新たな相続が発生すれば、権利関係はさらに複雑になります。共有分割はトラブルが発生しやすいため、なるべく避けるのが無難といえます。 不動産相続トラブルを避けるには? 不動産は相続財産に占める割合が大きいと、均等に分割することが難しいなどの理由から相続争いの原因となる場合があります。トラブルを防ぐには、被相続人が元気なうちに準備しておくことが重要です。具体的には、以下の3点について確認をしておきましょう。 そもそも相続させない 不動産を相続させないことによってトラブルを防ぐ方法です。不動産相続を避ける手段としては、「生前贈与」や「リースバック」が考えられます。 生前贈与 生前贈与は、生きているうちに被相続人の意志で不動産を渡す人を決められます。不動産を引き継いでほしい人を選んで好きなタイミングで贈与できるので、相続人同士での分割協議や共有を避けられます。 一方で、不動産を生前贈与すると、贈与税や不動産取得税などの税金がかかります。特に贈与税は評価額が減額される特例がないので、通常は相続で取得するより税負担が重くなります。税負担が重荷であれば、相続時精算課税制度を検討してもいいかもしれません。 関連記事はこちら相続時精算課税制度とは?メリット・デメリットを紹介 リースバック リースバックは、不動産をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、引き続き同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を売却してもそのまま家に住み続けられるので、住み替え先を探す必要もありません。 ただし、リースバックの売却価格は市場価格より安くなるのが一般的です。また、賃貸借契約が定期借家契約の場合は、契約更新ができないこともあります。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 不動産登記を確認する 法務局で登記簿謄本を取得し、登記内容を確認しておくことも不動産相続のトラブル防止につながります。 所有権や住所情報に誤りがないか、抵当権が設定されている場合は、返済予定や残債、団体信用生命保険の有無などを確認しておきましょう。不動産の名義が被相続人でないなど、記載内容に誤りがあると相続トラブルの原因となります。 関連記事はこちら登記簿謄本(登記事項証明書)とは?取得方法や記載内容を解説 遺言書を作成する 不動産相続のトラブルを防ぐには、遺言書の作成も有効な手段です。意思能力があるうちに遺言書を作成しておけば、遺産分割でもめる可能性は低くなります。遺言書は、「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2つにわかれます。 公正証書遺言は、証人2人が立会いのもと公証役場で作成する遺言です。一定の手数料は必要ですが、公証人が作成してくれるため遺言が無効となるリスクは低いです。公証役場に原本が保管されるので遺言書の紛失・破棄の心配がなく、安全に管理できます。 自筆証書遺言は自分で作成するため、いつ書いてもよく、費用もかかりません。ただし、作成した遺言書に法的な不備があれば、無効となる可能性があります。遺言書による相続を実現させたい場合は、専門家が作成に関わる公正証書遺言を選ぶのが確実です。 不動産相続の相談先 ここまで確認してきたように、不動産相続ではさまざまな手続きが必要です。そのため、専門知識がない個人が、すべての手続きを行うのは難しいでしょう。不動産相続は、相談内容によって以下のように依頼先を選定すべきです。 相続登記についての相談:司法書士 税金についての相談:税理士 トラブルについての相談:弁護士 まず、相続登記は司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士によって金額は異なりますが、登録免許税とは別に10万円程度の費用が発生します。 次に、相続税をはじめとする税金については、税理士に依頼するといいでしょう。相続財産の確認や税金計算、申告書の作成などを任せられます。相続税申告の費用は税理士によって異なりますが、課税遺産総額の0.5~1.0%程度が相場となります。つまり、課税遺産総額が5,000万円であれば、25~50万円程度が目安です。 最後に、相続トラブルに備えたい場合は、弁護士に依頼することを検討しましょう。状況によっては遺言書の検認が必要だったり、相続放棄を検討したりすることもあります。弁護士に依頼するときは相談料や着手金、報酬金などがかかります。弁護士によって費用は異なるので、事前に金額を確認してから依頼しましょう。 上記以外に、不動産相続で納税資金などが必要な場合は、金融機関に相談するのがおすすめです。相続税の納税資金などが足りない場合、相続不動産を担保に融資を受けられる可能性があります。 関連記事はこちら相続で不動産担保ローンを活用する4つの事例を紹介 まとめ 親が亡くなった場合は、相続以外にもしなくてはならないことが多くあります。不動産相続は手続きが複雑で時間がかかりますが、相続手続きの多くには期限が設けられているため、じっくり考える余裕がないのが実情です。 そのため、不動産を相続する予定があるなら、実際に相続が発生したときに慌てずに済むように、早めに準備しておくとよいでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 相続時の不動産評価方法は?評価に関する特例も併せて解説 不動産の評価は一物五価とも呼ばれ、同じ不動産でも指標によって評価額は変化します。そして、相続の際の不動産評価額のことを、「相続税評価額」と言います。では、この相続税評価額はどのように算出すれ...記事を読む

    2021.07.14相続
  • 相続で不動産担保ローンを利用する4つの事例を紹介

    相続で不動産担保ローンを活用する4つの事例を紹介

    不動産を含む相続が発生した時、相続税の支払いや遺産分割の方法によっては、まとまったお金が必要になることがあるでしょう。そのような時、不動産担保ローンを活用できるかもしれません。 この記事では、相続時に不動産担保ローンを活用する4つの方法をご紹介していきます。 相続で不動産担保ローンを活用する4つの事例 一口に「相続で不動産担保ローンを活用できる」と言っても、「相続が発生してから」活用する場合と「相続が発生する前に」活用する場合の大きく2つが考えられます。 また、相続が発生してから不動産担保ローンを利用するケースは、「相続税の支払いに利用する」「法定相続分の支払いに利用する(代償分割)」「遺留分の支払いに利用する」ケースの3つにわかれます。さらに、相続が発生する前に不動産担保ローンを利用するケースは、「親族間売買をする」ケースが考えられます。順に解説します。 相続税の支払いに利用する 相続が発生し、その相続財産の価値が控除分を超えるとき、相続税を支払う必要があります。そして、相続税として納める税金は基本的に現金で用意しなければなりません。相続財産として不動産だけでなく、まとまった現金も相続した場合では、相続税の支払いを現金で用意できるかもしれません。一方で、相続財産が不動産だけの場合など、現金が足りないこともあるでしょう。 相続税は相続があったことを知ったときから10カ月以内に納める必要があります。流通性の高い不動産であれば、期間内に相続不動産を売却して相続税の支払いをすることもできますが、流通性が低く売却までに時間がかかることもあります。このような時に、不動産担保ローンの活用は有効な手段の一つです。 法定相続分の支払いに利用する(代償分割) 相続方法にはいくつかの種類がありますが、代償分割を選んだ場合にも、不動産担保ローンを活用できます。代償分割とは、相続人の内の誰かひとりまたは数人が不動産などの現物を相続し、その他の相続人に対して相続分に応じた現金を支払う方法です。 法定相続分の支払いに利用する事例 たとえば、相続財産が3,000万円で、配偶者と子2人の相続人がいるケースを考えてみましょう。配偶者と子の場合の法定相続分は配偶者と子が2分の1ずつです。そのため、子供が2人のとき、配偶者の法定相続分は2分の1、子の法定相続分は4分の1ずつとなります。 相続財産3,000万円が全て現金であれば、配偶者に1,500万円、子に750万円ずつ相続させることが可能です。しかし、相続財産が不動産しかない場合、簡単に分割することができません。こうした場合に、ひとりの子が不動産を相続して、不動産を相続しなかった配偶者や子に法定相続分に応じた支払いをするといった方法があります。この方法を代償分割と呼びます。 上記の場合、他の相続人に支払うための資金を現金で用意しなければなりませんが、多額の現金を手元から支払うのは難しいでしょう。不動産担保ローンを活用すれば、相続不動産を担保に代償分割のための資金を借りられます。 遺留分の支払いに利用する 遺留分の支払いに不動産担保ローンを活用することも考えられます。遺留分とは配偶者や子、直系尊属(※1)など、一部の法定相続人(※2)が取得できる一定割合の相続財産のことです。その遺留分の総額は相続財産全体の2分の1で、法定相続人が直系尊属のみの場合は3分の1となります。また、遺留分の総額から法定相続人の法定相続分に応じて遺留分が決定します。 ※1被相続人の父母、父母がどちらも亡くなっている場合は祖父母 ※2兄弟姉妹や兄弟姉妹が先に亡くなっている場合に相続人となる甥姪には遺留分が認められていません。 法定相続人にはそれぞれ法定相続分が決められていますが、遺言によって、法定相続人以外や法定相続分とは異なる配分で相続がなされることがあります。しかし、遺留分が認められている法定相続人は、自分に認められた遺留分までであれば、相続後に遺留分減殺請求を求めることができます。 遺留分の支払いに利用する事例 例えば、先ほどと同様に相続財産が3,000万円で、配偶者と子2人の相続人がいる場合で、被相続人の遺言によって、子の内の1人だけにこの3,000万円の相続がされるケースを考えてみましょう。 相続人が配偶者と子なので、相続財産全体の2分の1が遺留分の総額として扱われます。そして、法定相続分は配偶者と子ともに2分の1となるので、遺留分は配偶者が4分の1、子が8分の1ずつとなります。つまり、相続財産を受け取れない配偶者は、相続財産の4分の1である750万円、子は相続財産の8分の1である375万円分の遺留分減殺請求できます。 遺留分減殺請求を受けた側は現金で支払わなければなりませんので、相続不動産を担保とした、不動産担保ローンを活用することで問題を解決できるかもしれません。 親族間売買をする 相続発生前に、あらかじめ不動産の親族間売買をする場合には、不動産担保ローンの利用が考えられます。居住用財産で、自己居住用であれば住宅ローンを利用することも考えられますが、そうでない場合には住宅ローンの利用はできません。また、銀行などの金融機関では一般的に親族間売買を取り扱っていません。 一方で、不動産担保ローンであれば住宅ローンのように自己居住用でなければならないといった制約はなく、親族間売買でも取り扱うことの出来る可能性があります。ただし、住宅ローンと比べると金利が高いなど、融資条件が悪くなってしまう点には注意が必要です。 まとめ 相続時に不動産担保ローンを利用する4つの事例を解説しました。不動産の相続では相続税の支払いに現金を用意できず困る場合があるでしょう。また、速やかに売却活動を行っても、中々買い手が見つからず、相続税の支払いに間に合わない場合もあります。 このような場合、不動産担保ローンを有効に活用出来るかもしれません。その他にも、遺留分や代償分割など活用できる機会は多いため、手元資金が不足する時には、不動産担保ローンを検討してみるといいでしょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 相続時の不動産評価方法は?評価に関する特例も併せて解説 不動産の評価は一物五価とも呼ばれ、同じ不動産でも指標によって評価額は変化します。そして、相続の際の不動産評価額のことを、「相続税評価額」と言います。では、この相続税評価額はどのように算出すれ...記事を読む

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