老後のことが知りたい

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「シニア」の記事一覧

  • 持ち家の場合、老後資金はいくら必要?資金不足の対処方法も紹介

    夫婦の老後資金はいくら必要?足りない時の対処法も紹介

    「人生100年時代」や「老後2,000万円問題」などに起因して、「老後資金」という言葉が注目を集めています。老後破産に陥らないためにも、夫婦で必要な老後資金を把握し、なるべく早くから準備しておくことが大切です。 この記事では、夫婦の老後資金の目安や、足りないときの対処法について紹介します。 そもそも老後資金とは? そもそも「老後資金」という言葉に明確な定義はありません。しかし、一般的には、定年後にかかる費用を全て含めた資金を指します。定年後にかかる費用すべてなので、日々の生活費や医療費だけでなく、趣味のための娯楽費なども含みます。 老後はこれらの定常的にかかる費用に加え、事故や病気などで、まとまった資金が必要になることもあるので、ゆとりをもった老後資金を確保しておく必要があります。 老後資金はいくら必要? 「老後資金がいくら必要か?」という問いに対し、多くの人が2,000万円くらいというイメージを持つかもしれません。これは、2019年に話題になった「老後資金2,000万円問題」のためでしょう。 この「老後資金2,000万円問題」で計算の際に活用されたのが、総務省「家計調査」の高齢無職世帯の家計(夫65歳以上、妻60歳以上)です。この統計を基に、改めて必要な生活費を考えてみましょう。 「2,000万円」の計算根拠 まずは、前述の「2,000万円」という数値がどのように算出されたのかを確認しましょう。「老後資金2,000万円問題」が話題になったのは、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書が公表されたためです。 この報告書を見ると、「(前略)高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。」という記述がされており、その後述として「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。」と書かれています。 そして、この一部が切り取られて「老後資金2,000万円問題」が話題になったと考えられます。しかし、果たしてこれは根拠として正しいのでしょうか。よくよく資料を見てみると、「毎月の赤字額は約5万円」という根拠は、「第21回市場ワーキング・グループ 厚生労働省資料」という出典元です。そして、この資料を確認すると、下図のとおり、出所は総務省「家計調査」(2017年)ということが分かります。 出典)金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)議事次第 2017年のデータだけを見ると、確からしい数値にも思えます。一方で、他の年次のデータを確認しても同じ結果が得られるでしょうか。 2019年データの計算結果 まずは、2019年の「家計調査年報(家計収支編)」のデータを見てみましょう。夫婦無職世帯の毎月の実収入と支出の内訳は下図のとおりです。 出典)総務省「家計調査年報(家計収支編)」2019年 上図を確認すると、毎月の支出が270,928円であるのに対し、毎月の実収入は237,659円のため、毎月の不足額は33,269円です。仮に20と30年分の累計額を計算すると、800万円~1,200万円です。 最新データの計算結果 さらに、執筆(2023年9月)時点で最新の総務省「家計調査」(2022年)を確認すると、夫婦無職世帯の毎月の実収入と支出の内訳は下図のとおりです。 出典)総務省「家計調査年報(家計収支編)」2022年 上図を確認すると、毎月の支出が268,507円であるのに対し、毎月の実収入は246,237円のため、毎月の不足額は22,270円です。仮に20と30年分の累計額を計算すると、530万円~約800万円です。 老後資金を心配する必要はない? 直近のデータで再度計算を行ったことで、「老後資金2,000万円問題」が話題になって以降の状況は、大幅に改善されていることが分かりました。 では、以前ほど老後資金を心配する必要がなくなったかというと、必ずしもそうとは言い切れません。家計調査の費用はあくまで基本的な生活費であり、実際に必要になる費用は高くなる恐れがあるからです。 住居費は状況によって大きく変動する 家計調査の支出に占める住居費がかなり少なく、高齢世帯の多くが持ち家であることが要因であると考えられます。持ち家であれば住居費が少額で済むため、平均額としてかなり低くなります。 なお、この住居費には住宅ローンの返済が含まれていません。そのため、賃貸に居住している世帯や、住宅ローンの返済が老後も続く世帯では、上記平均住居費よりも住居費が高くなります。 また、自宅がマンションの場合は、管理費や修繕積立金、固定資産税がかかるので、住宅ローンを完済していても上記平均住居費より高くなります。 ゆとりある老後生活には更に費用が必要になる 生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和4年度)」によると、夫婦2人で老後生活を送るうえでの「ゆとりある老後生活費」の回答(対象:18~69歳)の平均額は月37.9万円です。老後資金に「旅行やレジャー」「趣味や教養」「日常生活費の充実」などが上乗せされた金額です。 仮にこの37.9万円と家計調査の実収入を比べてみると、月13.3万円のマイナスであり、30年分の累計額を計算すると、4,788万円ものマイナスです。これを実現するには、老後資金を手厚く準備することが必要です。 出典)生命保険文化センター 令和4年度「生活保障に関する調査」 ライフイベント費も考慮しなければならない 老後には基本的な生活費以外にも次のようなライフイベント費がかかります。 <老後のライフイベント費> 住宅のリフォームや建替え費用 車の買替え費用 家具・家電の買替え費用 交際費・慶弔費用 医療費・介護費用 葬儀費用 例えば、介護費用の平均額は在宅・施設混合のデータで約582万円(一時費用74.4万円、毎月8.3万円、要介護期間61.1カ月)です。有料老人ホーム等への入所を考えている場合はさらに費用がかかり、在宅介護だけに限ると約358万円(一時費用73.3万円、毎月4.8万円、要介護期間59.4カ月)です。 このように、老後は基本的な生活費以外にもまとまった資金が必要になるので、こうした費用も見積もったうえで準備をしなければなりません。 出典)生命保険文化センター「2021(令和3)年度「生命保険に関する実態調査」」 関連記事はこちら老後の一人暮らしに生活費はいくら必要? 老後に必要な資金を調べる方法 老後にいくら必要なのかは世帯によって異なります。そのため、自分の家計ではどれくらいの資金が必要なのか順を追って確認しましょう。 家計収入を把握する 家計支出を把握する 家計のキャッシュフロー表を作る 1.家計収入を把握する 老後は公的年金が主な収入源という家庭が多いのではないでしょうか。年金額は何年支払ったかだけでなく、その支払額や国民年金か厚生年金なのか等によっても個人差があります。公的年金がいくらもらえるかについては、後述します。 公的年金の他に事業やアルバイトによる収入がある人は、その見込み収入額を踏まえた上で世帯収入がいくらになるのか把握しましょう。 2.家計支出を把握する 月々の支出額を明確にし、各費用にいくら使っているか把握しましょう。食費や日用品費のような変動費は、一定期間の平均値を取って試算するのがおすすめです。その他にも、不定期で発生する住居のメンテナンス費用なども一定額計上しておくことで、より正確な費用を見積もることができます。 なお、総務省の家計調査報告では平均23万円程度*という結果が出ていますが、家計支出は現役世代の生活水準などによって異なるので、あくまで参考程度にしたほうが無難です。 出典)総務省 「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)表1 二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯の家計収支―2020年―」 3.家計のキャッシュフロー表を作る 毎月の収入や支出を計算したら、数十年先までの収支をシミュレーションしてみましょう。エクセルで自作したり、ノートなどにまとめたりするのが大変であれば、日本FP協会が公開している「家計のキャッシュフロー表*」などを利用すると、数値を入力するだけで簡単に作成できます。 出典)日本FP協会 便利ツールで家計をチェック Appendix:簡易的な試算方法をご紹介 老後に必要な資金の目安は、次のように試算することもできます。 (老後の基本的な生活費-年金予想額)×(100歳-働く年齢)+ライフイベント費 例えば、老後の基本的な生活費が年間300万円、公的年金が年間240万円、65歳を定年として、ライフイベントに1,500万円を見積もった場合は下記のように算出されます。 (300万円-240万円)×(100歳-65歳)+1,500万円=3,600万円 まとめ 老後の生活費は、持ち家でも月4万円程度不足する可能性があることがわかりました。ただし、あくまでも平均額であるため、まずは自身に必要な生活費を把握することが大切です。この記事で紹介した内容を参考に、老後資金の準備を始めましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 老後に賃貸と持ち家ではどう違う?メリット・デメリットを解説 賃貸暮らしをしていると、老後に向けて自宅を購入すべきか悩むのではないでしょうか。賃貸か持ち家かによって、老後の生活においてそれぞれメリット・デメリットがあるので、ライフスタイルに応じてどちら...

    2021.05.26老後のお金
  • 住まいの終活で考えておくべきポイントをFPが解説

    住まいの終活で考えておくべきポイントをFPが解説

    「終活」という言葉が一般に広がるなか、近年、「住まいの終活」についても注目されるようになってきました。どのような内容なのか、どうしたらいいのかなどについて考えてみましょう。 「住まいの終活」とは? そもそも「終活」とは、自分の人生の終わり方を考え、そのために必要な準備をすることを言います。明日かもしれないし、30年以上先かもしれない。いつ訪れるかわからない「もしもの時」に備えて、身辺整理をしておくことを言います。 ただし、最近は「人生100年時代」と言われ、亡くなるまでの期間も長くなっているため、終活といっても「人生の幕引き」だけではなく、セカンドライフの生活を考えることも、「終活」に含まれます。 こうした「終活」に関して、最近は特に、住まいに関しても考える必要性が問われるようになってきました。理由としてはいくつか挙げられます。 経年劣化等によって、住居に不具合が生じる 住居の生活利便性が低く、車を手放すと生活が厳しい 要介護となった結果、生活が出来ない 将来的に老人ホームの利用を検討しており、住居を持て余す このようなことから、老後を意識し始める頃から、「終活」とともに「住まいの終活」についても真剣に考え、準備をしておく必要があります。自身の老後を見据え、よく検討しましょう。 一方で、「住まいの終活」といっても、状況によってポイントや準備方法が異なります。どのように行えばいいのかを以下の状況別に考えてみましょう。 住み替えの希望や必要があるか 老後資金に問題がないか 死後に住居をどうする予定か 関連記事はこちら終活とは?終活では何を準備すればいい? 住み替えの必要があるか 定年後になると、通勤を考えずに住まいを決めることが出来るので、今後の住まいについて考える人も多いのではないでしょうか。そして、今後の住まいを考えるときには、住み替えを検討するかもしれません。住み替えをすることでより良い条件で生活を送れる可能性がありますが、多額の資金が必要となるため、慎重に検討する必要があります。 そこで、住み替えをするかどうかを判断する際には、自分が死ぬまで現在の住まいで生活をする場合に何か不都合が生じるか、という切り口で判断するといいでしょう。特に下記のポイントに該当する場合には、住み替えを検討してもいいかもしれません。 経年劣化等により、この先何十年も暮らしていくのが難しい 生活するためには車が必須で、生活利便性が低い立地である 子供と離れて暮らしているため、親族のサポートが期待できない 経年劣化等の理由であれば、リフォームという選択肢もあります。一方で、建物をリフォームするだけでは問題が解決できない場合には、住み替えを検討するといいでしょう。住み替えは、新しく住みやすい家に引っ越したいという希望だけでなく、住み替えにお金を使っても老後の生活費に問題がないかなど、資金面でも慎重に検討する必要があります。 老後資金に問題がないか 次に、住み替えに限らず、リフォームを検討している場合にも、老後資金が不足しないかどうかを慎重に検討する必要があります。高齢になると住宅ローンを組むことが難しく、住み替えの場合は手元資金を多く出さなければならないケースが多いでしょう。また、リフォームをするにしても、ローンが組めずに全額手元から融通する必要があるかもしれません。 老後資金が不足することを見据えて不動産売却を視野に入れている人もいるでしょう。しかし、不動産売却をすると新しい住み替え先も決めておかなければなりません。そのため、不動産売却以外の資金の捻出方法も考えておいた方が良いかもしれません。 住宅を活用して、老後資金を捻出する方法としては次のようなものが挙げられます。 リバースモーゲージ 自宅に住み続けながら、自宅を担保に一時金や月々の生活費を借りる仕組み。金融機関によって、エリアや不動産の種類、最低評価額が決められていることがあります。エリアは首都圏中心と限定されていることが多く、一定評価額以上の戸建てが中心であることが多くなっています。 リースバック 自宅をリースバック専門の不動産会社へ売却し、売却代金を受け取る一方で、買主にリース料(家賃)を支払って元の自宅に住み続ける仕組み。売却代金は一括一時金で受け取ることができ、使途に制限はありません。物件の立地は流動性の高いエリアであることが一般的です。 不動産担保ローン 不動産を担保にして借りるローン。実際には、担保となる不動産に抵当権を設定して借り入れをします。土地や一戸建て、マンション等が対象ですが、物件の立地は流動性の高い主要都市に限られる金融機関が多いようです。 その他にも、以下のコラムで詳細を解説していますので、ご参考ください。 関連記事はこちら住宅ローンを完済したがお金がない!そんな時の持ち家活用術とは? 死後の住居をどうする予定か 自分自身の問題をクリアした後は、死後の住居についても考えておく必要があります。相続人が一人の場合には、不動産を含めた財産分与の問題は生じないでしょう。しかし、相続人が複数いる場合には、不動産をどう相続するかあらかじめ決めておいた方が良いでしょう。 なぜなら、不動産は所有権のみならず、誰が居住するかという問題が起こるため、相続人が複数いる場合は平等に分けるのが難しく、相続でトラブルになることもあります。また、現金化しておくことで均等に分割できますが、生前に売却すると「老後の住まいをどうするか」という問題が生じます。 死後の住まいの選択肢については以下のコラムで解説していますので、ご参考ください。 関連記事はこちら住まいの終活とは?3つの選択肢と準備しておくべきこと まとめ 住まいの終活を考える際には、できるだけ子供たちも含めて話し合うことが大事です。子供たちに家を残せない可能性が高い場合はなおさらです。 そのほか、金融資産があまりなくて遺産が不動産中心の場合、相続人同士でもめないようにするために、遺言などを作成しておくことも大事です。公正証書遺言でなく、自筆証書遺言でも今は法務局で預かってもらうこともできます。 定年が見えてきた50代後半以降は、終活や住まいの終活、場合によっては相続などについてしっかり考え、家族にも「こうしたい」ということを伝えておきましょう。特に、今後の住まい方をリアルに想定し、必要な準備をするとともに、家族と話しておくことは重要ですね。 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 次に読むべき記事 終活とは?終活では何を準備すればいい? 昔に比べて平均寿命が延びて老後の期間が長くなったことから、「終活」を行う人が増えています。終活と聞くと、葬儀やお墓、相続など自分が亡くなった後のことをイメージするかもしれません。しかし、実際...

  • 住宅ローンを比較する5つのポイント

    住宅ローンを比較する5つのポイント

    マイホームは、住宅ローンを利用して購入するのが一般的です。さまざまな金融機関が住宅ローンを扱っているので、どのように選べばよいかわからないのではないでしょうか。 自分に合った住宅ローンを選ぶには、比較するポイントを理解しておくことが大切です。この記事では、住宅ローンを比較する5つのポイントをお伝えします。 住宅ローンの比較ポイント1:審査基準 住宅ローンでは、基本的に審査金利と返済比率が独自に決められています。 まず、審査金利とは、住宅ローン審査で使われる金利のことで、通常は適用金利よりも高めに設定されています。次に、返済比率は年収に対する年間返済額の割合(年間返済額÷年収)を意味し、一般的には30~35%が基準といわれています。 高めの金利で審査が行われると借入可能額が下がるため、借入希望額によっては審査に落ちる可能性があります。また、連帯債務者の収入を返済比率にどのように組み込むかによっても、審査結果は変わってきます。 注文住宅の場合は、土地先行決済の分割融資(つなぎ融資、土地先行融資)への対応が可能かどうかも確認しておきたいポイントです。 まずは不動産会社や金融機関の担当者に話を聞き、借りられそうだと判断できる場合は仮審査に申し込んでみましょう。 関連記事はこちら住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介 住宅ローンの比較ポイント2:金利 住宅ローンは適用金利が下がるほど、毎月の返済額や総返済額を減らすことができます。金利タイプが同じであれば、最も金利が低い住宅ローンを選ぶといいでしょう。 住宅ローンで比較が難しいのが、固定金利期間選択型(当初固定型)の住宅ローンです。固定金利期間が終了すると、一般的に変動金利に切り替わるため、当初の固定金利だけでなく、変動金利も考慮して比較する必要があります。 住宅ローンの比較ポイント3:手数料 住宅ローンを借りる際は以下の手数料がかかります。 事務手数料 保証料 司法書士に払う登記費用 事務手数料は、借入金額にかかわらず定額の場合もあれば、借入金額の一定割合(借入金額×〇%)の場合もあります。借入金額が大きいときは、定額を選ぶと費用を抑えられる可能性があります。 保証料は、保証会社に支払う費用です。債務者が住宅ローンを返済できなくなった場合、保証会社が代わりに返済する仕組みになっています。保証料は一括で払うか、0.2%程度の金利が上乗せされます。 保証料が無料の住宅ローンもありますが、その場合は事務手数料が高くなることがあります。そのため、事務手数料と保証料はセットで比較するといいでしょう。 住宅ローンを借りる際は所有権の移転登記や抵当権を設定する必要があるため、司法書士に払う登記費用もかかります。司法書士は一般的に自分で探すのではなく、金融機関や不動産会社に紹介してもらえます。 また、繰り上げ返済や借り換えなどを見据えて、一部繰上返済手数料や全額繰上返済手数料も忘れずに確認しておきましょう。 住宅ローンの比較ポイント4:団体信用生命保険 住宅ローンの団体信用生命保険(団信)とは、債務者が返済期間中に死亡または高度障害状態になった場合に、住宅ローンの残債が全額弁済される保険のことです。団体信用生命保険は、特約の種類や上乗せされる保険料(金利)が比較対象となります。 特約については、特定の疾病にかかると住宅ローン残高が0円になる、一定期間の返済相当額を保障してくれるなど、さまざまな種類があります。住宅ローンを比較する際は、特約の種類をそろえるとわかりやすいでしょう。 団体信用生命保険は、基本的に年齢や性別による保険料の違いはありません。一方で、医療保険やがん保険で保障を確保しようとすると、年齢が高くなるほど保険料が割高になるため、借入時の年齢が上がれば上がるほど団体信用生命保険による保障が有利に働きます。 住宅ローンの比較ポイント5:口座開設の手間、返済のしやすさ 住宅ローンでは、他の金融機関の口座を返済口座に指定できないことが多いため、口座を持っていない場合は新たに口座開設が必要になります。 マイホームを購入するときはやることが多いので、金利差が小さい場合はすでに口座を持っている金融機関で住宅ローンを借りるのも一つの考え方です。取引の実績があれば、金利優遇などを受けられる可能性もあります。 ただし、口座開設の手続きはアプリ上で完結するなど、短時間で済むこともあります。また、他の金融機関から手数料無料で返済口座に資金移動ができたり、他行の口座を返済口座に指定できたりする銀行もあります。 住宅ローンを選ぶときは、口座開設の手間や返済のしやすさについても比較しましょう。 まとめ 上記で紹介した5つのポイント以外にも、住宅ローンを利用すると、特典を受けられることがあります。たとえば、金融機関によっては、振込手数料やATM手数料が一定回数まで無料になります。また、新たな借り入れの際に金利優遇が適用されることもあります。住宅ローンの特典内容は金融機関によって異なるので、どのような特典を受けられるかも確認しておくといいでしょう。 住宅ローンは、比較するポイントを明確にすると選びやすくなります。ただし、希望条件をすべて満たす住宅ローンがあるとは限らないので、何を重視するか優先順位をつけることが大切です。マイホームを購入するときは、今回紹介したポイントを参考に住宅ローンを比較してみましょう。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローンの返済額を計算する方法とは?金利と利子の違いを解説 住宅ローンを借りるとき、「金利が低いかどうか」が気になる人は多いと思います。一方で、その金利を用いてどのように住宅ローンの返済額が決まるのかまで正しく理解できている人は、意外に少ないかもしれ...

  • 定年後に自宅を住み替えるメリットと注意点とは?

    定年後に自宅を住み替えるメリットと注意点とは?

    現役世代は、子どもの学校や通勤を考えて自宅を購入するのが一般的です。しかし、子どもの独立や定年退職などでライフスタイルが変化すると、立地や間取りが生活に合わなくなることがあります。 その場合は、利便性の高さや資産性を重視して住み替えるのも一つの方法です。ただし、定年後の住み替えには注意点もあるので、住み替え以外の選択肢も含めて老後の住まいについて考えることが大切です。 この記事では、定年後に住み替えるメリットと注意点、住み替え以外の選択肢について説明します。 定年後に住み替えるメリット 定年後に住み替える場合、以下のようなメリットが考えられます。 希望に合わせた間取りを選択できる 将来を見据えたバリアフリー対応の住居を選択できる 利便性の高いエリアの住居を選択できる 子供部屋が不要になることから、部屋数を少なくして収納が多い物件を選択するなど、自身のライフスタイルに合わせた間取りを選択することが出来ます。加えて、バリアフリー対応の住居に住み替えることで、自身が高齢になっても住みやすい環境で生活できます。高齢になると少しの段差でも転倒しやすくなったり、ちょっとしたケガが生活に大きく影響したりするため、バリアフリー対応の重要度は高いといえるでしょう。 また、高齢になると車を手放すことなどによって、生活の行動範囲も狭まりやすいことから、徒歩圏にスーパーや公共施設、病院が近くにあるなど、利便性の高いエリアに自宅を構えることも可能となります。 定年後の住み替えの注意点 定年後に住み替えをする際は、以下の点に注意が必要です。 購入資金をどのように確保するか 定年後の住み替えでは、新居の購入資金をどのように確保するかが課題となります。「新居購入後に現在の自宅を売却する」という流れで住み替えを進める場合、先行して新居の購入代金を用意しなくてはなりません。 しかし、高齢の場合は一般的な住宅ローンを組むのが難しくなります。そのため、定年後の住み替えで新居の購入資金を準備する方法として、下記のような方法が考えられます。 リースバック リ・バース60 リースバックとは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。リースバックで自宅を売却すれば、売却資金を手に入れながら新居を購入するまで現在の自宅を仮住まいとして利用できます。 一方、リ・バース60とは、満60歳以上の方でも借り入れができる高齢者向けの住宅ローンです。毎月の支払いは利息のみで、債務者が亡くなったときに担保不動産(新居)を売却して返済するか、現金で一括返済するかを選択する仕組みになっています。 自宅を売却して新居の購入資金を準備したい場合はリースバック、ローンを利用して新居を購入したい場合はリ・バース60を検討するといいでしょう。 >リースバックとは? >リ・バース60とは? 売却や相続を考慮して物件を選ぶ 定年後の住み替えでは、売却や相続を考慮して物件を選ぶことも大切です。老後生活では、配偶者との死別や自身の体調不良などを理由に、高齢者施設への入居を検討する可能性があります。 また、相続が発生したときは、資産価値の高いマンションであれば比較的売却しやすく、相続後の選択肢が広がります。一方で、戸建てはマンションに比べると流動性が低く、売却しにくい点に注意が必要です。 老後の生活費をシミュレーションしておく 定年後の住み替えを検討する際は、老後の生活費のシミュレーションも必要です。不動産は高額の買い物なので、しっかりとした収支計画を立てておかないと生活費が不足するリスクがあります。 相続なども考えて資産性を考慮することは大事なことですが、身の丈に合わない高額の物件を購入した結果、生活が立ち行かなくなっては意味がありません。最悪の場合、老後破産となる恐れもあります。必ず物件を選ぶ前に費用を試算した上で、無理のない住み替え計画を立てましょう。 住み替え以外の選択肢は? ここまで住み替えについて確認してきましたが、住み替えをしなくても住環境を改善することは可能です。住み替え以外の選択肢として、大きく「リフォーム」と「建て替え」の2つが考えられます。 リフォームして住みやすくする バリアフリー化を目的に自宅をリフォームする場合、改修費用の助成や補助、税負担の軽減などの支援制度を利用できる可能性があります。自宅のバリアフリー化に関する主な支援制度は以下のとおりです。 高齢者住宅改修費用助成制度(地方自治体) 長期優良住宅化リフォーム推進事業(国土交通省) バリアフリー改修に関する特例措置(国土交通省) 自治体の「高齢者住宅改修費用助成制度」を利用すれば、バリアフリー改修工事費について助成や補助を受けられます。自治体によって内容が異なるため、お住いの自治体の窓口に確認してみるといいでしょう。 また、国土交通省も、バリアフリー改修工事を行った場合の補助や税負担の軽減(所得税の控除、固定資産税の減額)などを用意しています。 バリアフリー化を目的に自宅のリフォームを行う場合は、国や自治体の支援制度を積極的に活用しましょう。 出典) ・東京都福祉保健局「住宅改善事業(バリアフリー化等)区市町村別事業概要一覧」 ・国立研究開発法人 建築研究所「長期優良住宅化リフォーム推進事業」 ・国土交通省「住宅リフォームにおける減税制度について」 建て替えを行う 戸建ての場合は、バリアフリー対応の住宅へ建て替える方法もあります。建て替えならバリアフリー化はもちろん、間取りも自由に選べるため、理想の住まいを実現できるでしょう。 ただし、建て替えは工事中の仮住まいが必要になるほか、まとまった費用がかかるため、資金の確保が課題となります。そのため、老後の生活費が不足しないように、住宅ローンを利用できるかも確認した上で、無理のない建て替え計画を立てることが大切です。 まとめ 子どもの独立などによって自宅の間取りがライフスタイルに合わなくなったら、住み替えを検討するタイミングです。定年後の住み替えでは、住みやすさなどの生活利便性だけでなく、老後の生活費が不足しないように、しっかりとした収支計画を立てる必要があります。 また、新居の購入資金を自己資金で準備するのが難しい場合は、リースバックやリ・バース60の利用を検討しながら、無理のない住み替えにしましょう。 リースバックの商品詳細はこちら リ・バース60の商品詳細はこちら SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住み替えの流れや費用、利用できる税制上の特例を解説 ライフスタイルの変化などから、「住み替え」を検討することがあるかもしれません。しかし、住み替えたいと思っても、どのように住み替えを進めていいか、わからないことが多いかもしれません。また、住み...

  • 老後破産とは?その原因と事前の対策を解説

    老後破産とは?その原因と事前の準備・対策を解説

    「老後破産」は、日本人の高齢化などにより、取り上げられるようになったテーマの一つです。様々なメディアなどで目にする機会も増え、老後の生活を不安に感じる人もいるでしょう。 この記事では、老後破産の原因やその実態、老後破産に陥らないための準備や対策を解説します。 老後破産とは まず、「老後破産」という言葉に明確な定義はありません。そのため、この記事では「定年後の生活の中で、家計を維持できなくなること」と定義します。 自分はそれなりに貯蓄もあるし、関係のない話と思う人もいるかもしれません。しかし、仮に貯蓄が豊富にあったとしても、定年後20年、30年と暮らしていくことで、老後破産に陥るかもしれません。定年後は現役時代よりも収入が少なくなる、という人は多いでしょう。そうすると、現役時代と同じ生活水準を続けるには、貯蓄を切り崩しながら生活することになります。つまり、老後破産に陥る人は貧しい人ではなく、身の丈に合わない生活水準で、亡くなるまでに所有資産が尽きてしまう人とも言えます。 老後破産の実態 公的機関が行った調査から、老後破産の実態を探ります。 老後破産の割合は増加傾向 まずは、破産者における高齢者の割合を見てみましょう。「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、60歳以上の破産債務者の割合が増加しています。2002年調査では約17%でしたが、2020年調査では約25%となっています。一方で、あくまで「高齢者の割合」なので、件数が増加しているとも限りません。また、人口動態として、高齢者の割合が増加していることも、この結果の要因となるでしょう。 出典)内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)」 老後の所得や貯蓄額 最後に、世帯主が65歳以上の世帯の所得や貯蓄を見てみましょう。先ほどの「令和4年版高齢社会白書(全体版)」によると、高齢者世帯の平均所得は312.6万円、貯蓄の中央値は1,555万円です。この結果から、所得にある程度余裕があると思うかもしれません。 しかし、最も多い所得階層は、150~200万円の12.3%、次いで100~150万円の12.0%です。さらに50万未満の2.0%、50~100万円の10.7%を足せば、高齢者世帯の37%の所得が150万円以下であることがわかります。 この結果から、貯蓄を切り崩しながら生活している人が多数いると考えられます。つまり、これらの所得が少ない人の貯蓄額によっては、老後破産予備軍は、先ほどの7%という結果よりも多くなるのかもしれません。 出典)

  • 住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点

    住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点

    住宅ローンの借り換えとは、新たな住宅ローンを借りて既存の住宅ローンを一括返済することです。現在より低金利の住宅ローンに借り換えることで、総返済額を減らせる可能性があります。 ただし、住宅ローンの借り換えは諸費用がかかるため、必ず効果が出るとは限りません。金利やローン残高、返済期間といった諸条件によっては損をするケースもあるため、住宅ローンを借り換えるべきかを冷静に見極めることが大切です。 この記事では、住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点について説明します。 借り換えの効果が期待できないケースがある 住宅ローンの借り換えを検討するときは、総返済額だけに注目しないことが大切です。借り換えによって総返済額が減少したとしても、諸費用を合算して考えると、実際には総返済額がほとんど変わらない、または損をするケースもあります。 一般的に、住宅ローンの借り換え効果が期待できる目安は以下のとおりです。 金利差1.0%以上 ローン残高1,000万円以上 残存返済期間10年以上 これら3つの条件に当てはまる場合は、借り換えを検討してみるといいでしょう。住み替えの予定があるなど完済までの期間が短い、または借り換え前と後の金利差が小さい場合は、住宅ローンの借り換え効果は期待できません。 住宅ローンの借り換えには諸費用がかかる 住宅ローンの借り換えを検討する際は、どのような諸費用がかかるかを理解しておくことが大切です。借り換えでかかる主な諸費用をまとめました。 完済にかかる費用:繰り上げ返済手数料、抵当権抹消登記費用など 借入にかかる費用:保証料、事務手数料、抵当権設定費用、印紙税など 既存の住宅ローンを完済するときは、繰り上げ返済手数料や抵当権を抹消するための費用がかかります。また、新たに借りる住宅ローンについては、保証料や事務手数料、抵当権の設定費用などが必要です。 住宅ローンに関する各種手数料は、金融機関によって異なります。また、店頭とインターネットのどちらで手続きするかによって、手数料が変わることもあります。 借り換えにかかる諸費用が高額になると、費用を回収するまでに長期間かかるので注意しましょう。 諸費用を組み込んで借り換えをすると元金が増加する 住宅ローン借り換えの諸費用を準備できないときは、諸費用を組み込んで借り換えをすることも可能です。すべての諸費用をローンに組み込めるとは限りませんが、準備するお金は少なく済みます。 ただし、諸費用を組み込むと元金が増加し、諸費用を別途支払うより月々の返済額や総返済額が増えてしまうため、結果として借り換え効果が小さくなります。 金利などの諸条件によっても変わりますが、基本的には諸費用を元本に組み込まずに借り換え・返済する計画を立てましょう。 住宅ローンの借り換えをうまく利用するには 住宅ローンの借り換えをうまく利用するには、借り換えによって得られる効果やリスクをはっきりさせることが大切です。具体的には、以下の3点について検討しましょう。 将来的な住み替えの可能性は? 将来的に現在の持ち家を売却して、別の家に住み替える可能性はないでしょうか。住み替えの予定があるなら、あと何年住んだら借り換えのメリットが出るのかを試算しておきましょう。退職金などの臨時収入で早期に完済した場合も借り換え効果が少なくなります。 具体的な予定がなくても、子どもが独立して夫婦二人の生活になれば、現在よりコンパクトな物件に住み替えたいと考えるかもしれません。 ライフスタイルの変化に対応できるように、住み替えや早期完済の可能性を考慮して住宅ローンの借り換えを検討することが大切です。 毎月の返済額の軽減効果は? 住宅ローンの借り換えを検討するときは、毎月の返済額の軽減効果も判断材料となります。毎月の返済軽減額と借り換えにかかる諸費用を比較し、何年で諸費用を回収できるかを試算しましょう。 実際に計算をしてみると、予想以上に諸費用の回収に期間がかかることもあります。最終的には総返済額を減らすことができても、一時的に手元資金が不足して急な出費に対応できなくなる恐れがあるので注意が必要です。 諸費用を含めた総返済額の軽減効果は? 諸費用を含めて総返済額の軽減効果を得られないと、住宅ローンの借り換えを行うメリットはありません。「元々の総返済額」と「借り換え後の総返済額+諸費用」を比較し、どれだけ返済負担が軽減できるのかを確認しましょう。 住宅ローンの借り換えでは2つの金融機関と同時やり取りする必要があり、手続きも煩雑で時間と手間がかかります。「労力に見合った借り換え効果を得られるか」という視点で、借り換えを行うか判断するといいでしょう。 まとめ 持ち家で住宅ローンを返済している場合、新しい住宅ローンに借り換えることで総返済額を軽減できる可能性があります。ただし、ここ数年の低金利の環境下に借り入れをした人にとっては、住宅ローンの借り換えでメリットが出せるケースはそれほど多くありません。 借り換えを行うか判断する際は、諸費用を含めて総返済額の軽減効果を得られるか見極めることが大切です。ホームページで「住宅ローンの借り換えシミュレーション」を提供している金融機関もあるので、借り換えを検討するときに活用してみましょう。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳未満編) 住宅ローンの返済に追われて貯金する余裕がないと、老後に不安を感じるのではないでしょうか。さらに、自宅の住み替えを予定している場合は、より多くの資金を準備しなくてはなりません。現在の年齢が60...

  • 住まいの終活とは?3つの選択肢と準備しておくべきこと

    長寿化に伴い、自身の老いや死に関するさまざまな事柄に備える「終活」が注目されるようになりました。終活の中でも「住まいをどうするか」は大きなテーマの一つではないでしょうか。住まいが持ち家の場合、家族に残すこともできますが、相続トラブルになることもあります。 この記事では、「住まいの終活」における3つの選択肢と準備しておくべきことを解説します。 住まいの終活とは 「住まいの終活」という言葉に定義はありません。そのため、この記事の中では「生前のうちに、亡くなった後の持ち家のことを考えること」とします。持ち家の場合、自身が亡くなった後に相続人がその家をどうするか、影響が大きいためです。 不動産は所有権を分割することはそれほど難しくはありません。一方で、所有権を分割したその家に、誰が居住するかという問題が起こります。そのため、相続人が複数いる場合は、平等に分けるのが難しく、相続でトラブルになることもあります。また、不動産を現金化しておくことで、より公平に分割できますが、生前に売却すると「住まいをどうするか」という問題が生じます。 関連記事はこちら終活とは?終活では何を準備すればいい? 住まいの終活における3つの選択肢 「住まいの終活」を始める場合、大きく以下3つの選択肢が考えられます。 生前に贈与する 1つ目は、持ち家を生前贈与する方法です。同居している親族に贈与すれば、贈与後も同じ家に住み続けられます。不動産を贈与すると、贈与された親族には贈与税がかかりますが、「相続時精算課税制度」を利用すれば、贈与税の負担を軽減できます。 相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。同一の贈与者からの非課税限度額は2,500万円で、限度額を超えた部分については一律20%の贈与税率が適用されます。 相続時には、相続時精算課税制度の贈与財産と他の相続財産を合計して相続税を計算します。税金が免除されるわけではなく、贈与財産は相続税の課税対象となる点に注意が必要です。 関連記事はこちら相続時精算課税制度とは?メリット・デメリットを紹介 生前に売却する 2つ目は、生前に持ち家を売却する方法です。あらかじめ持ち家を売却しておけば、現金化できます。子どもに持ち家を残したいなら、親から子に持ち家を売却する「親子間売買」が選択肢となるでしょう。 親族間売買をしたとき、税金の取り扱いは、基本的に通常の不動産売却と同様です。ただし、実勢価格より著しく安い価格で売却すると贈与とみなされ、贈与税が課税される場合があるので、検討の際には専門家などに相談した方が良いでしょう。 関連記事はこちら不動産の親子間売買は難しい?デメリットと手続きについて解説 親族に持ち家を残さない場合は、通常の不動産売却やリースバックが選択肢となります。通常の不動産売却は、実勢価格で売却できる反面、新しい住まいを探さなければなりません。一方で、リースバックを利用すれば、実勢価格よりも低い価格での売却になるものの、今までの家に住み続けられます。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 相続させる(何もしない) 3つ目は、何もせずに持ち家を相続させる方法です。生前贈与や売却をせずに、何もしないのも選択肢の一つとなります。何もしないことで相続トラブルの懸念がありますが、あらかじめ親族間で話し合えば回避もできるでしょう。折り合いがつかない場合には、専門家に相談するなどの対策も取れます。また、「遺言書を書く」「公正証書を作成する」といった準備をしておくと安心です。 関連記事はこちら住まいの終活で考えておくべきポイントをFPが解説 住まいの終活の注意点 住宅ローンが残っているかどうかは重要 住まいの終活のうえで、持ち家を担保としたローンが残っているかどうかは重要です。住宅ローンの残債がなければ、終活を行う際の選択肢が広がります。たとえば、贈与や相続では、債権がないことで資産価値だけを鑑みて評価することができます。また、不動産売却では、売却代金でのローン完済が不要です。 相続人がいない場合はどうする 独身で両親も兄弟もいないなど、持ち家でも相続人がいない場合は、何も対策を行わないと管理者不在の空き家となります。相続人がいない場合、第三者に財産分与を行うこともできるため、持ち家を相続させたい人がいる場合は、専門家に相談して遺言書を作成するといいでしょう。 まとめ 「住まいの終活」では自身の老後の生活はもちろん、相続人となる家族にも大きな影響を与えます。持ち家に関するトラブルを防ぐには、亡くなるまでのプランを立て、早めに準備にとりかかることが大切です。老後の生活を豊かなものにするためにも、住まいの終活を始めてみてはいかがでしょうか。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 終活とは?終活では何を準備すればいい? 昔に比べて平均寿命が延びて老後の期間が長くなったことから、「終活」を行う人が増えています。終活と聞くと、葬儀やお墓、相続など自分が亡くなった後のことをイメージするかもしれません。しかし、実際...

  • 住宅ローンの返済が厳しくなった人はどうすればいい?FPが解説

    コロナ禍が追加!自然災害債務整理ガイドラインとは?

    コロナ禍による収入減で、住宅ローンの返済に苦しむ人も増えているようです。住宅ローンの返済が厳しくなったときにできることは何があるでしょう? また、2020年12月から「自然災害債務整理ガイドライン」にコロナ禍で失業・収入減となり返済が困難になった人に適用される特則が加わったことによる変更点についても知っておきましょう。 住宅ローンを払えないときは延滞前に金融機関に相談を コロナ禍の影響で、2020年冬のボーナスは減額や支給がない企業も増えました。特に、中小企業への影響は大きく、飲食・観光含むサービス業などではボーナスどころか、会社の存続すら危ぶまれるところもあるようです。 コロナ禍による収入減や、ボーナス減・不支給で、住宅ローンの返済に苦しむ人はどうしたらいいのでしょうか。選択できる方法を考えてみましょう。 まず、最初のステップで絶対にやってはいけないのは、住宅ローンの延滞です。家計が厳しい、住宅ローンの返済ができないという場合は、とにかく金融機関へ相談に行きましょう。この段階では他の方法はありません。 関連記事はこちら融資のリスケとは?メリットやデメリットを解説! 金融機関に相談して認められれば、返済期間を延ばしてもらう、しばらく利息だけの返済にしてもらうなどの方法が適用されます。ただし、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)などの状況によっては適用されない場合もあるので注意が必要です。 フラット35では次のような選択肢がありますが、適用を受けるには一定条件もあります。 <フラット35の返済方法の変更メニュー> 返済期間の延長(最長15年、完済時の年齢上限80歳) 最長3年間、元金の支払いを据置いて利息だけ支払う(返済期間は変わらず) ボーナス払いの見直し(ボーナス返済分を月払いに変更など) 機構団信特約料が別払いならその支払いの猶予も可 出典)住宅金融支援機構「新型コロナウイルス感染症の影響により機構の住宅ローンのご返済にお困りの方へのお知らせ」 民間の住宅ローンについては、金融機関によって対応が異なりますが、選択できる方法としては、次のようなもの挙げられます。ただし、現在の家計や返済負担率などの状況によっては、適用されないケースもありますので、個別に相談をして確認しましょう。 <民間の返済方法の変更メニュー> 返済期間の延長 返済猶予(一定期間、利息だけの支払いとする) ボーナス払いの見直し(ボーナス返済分を月払いに変更など) 金利タイプの変更(例:固定金利期間選択型→変動金利型) ※家計や返済負担率などの状況によっては、適用されないケースもある 例えば、残債2800万円の住宅ローン(詳細条件は下記のとおり)で、条件変更や返済猶予が受けられた場合、どれくらい軽減されるかを試算したものです。 <現在のローン> 残債2800万円 毎月返済額(ボーナス払い分)82,782円(191,016円) 残返済期間28年 全期間固定金利1.4% ボーナス払いなしに変更した場合 残債2800万円 毎月返済額100,780円 残返済期間28年 全期間固定金利1.4% ボーナス払いなし&変動金利0.5%に変更した場合 残債2800万円 毎月返済額89,321円 残返済期間28年 変動金利0.5% ボーナス払いなし&変動金利&返済期間を5年延長した場合 残債2800万円 毎月返済額76,716円 残返済期間33年 変動金利0.5% 住宅ローンの返済が苦しくなったときの最初の方法としては上記のようなものとなりますが、あくまでも一時しのぎにすぎません。これによって時間を稼いでいる間に、家計や収入の立て直しを図ることがマストです。それが難しい場合は、後述する売却などの手段を検討することになります。 関連記事はこちら自宅売却の流れや損をしないためのポイントを解説 住宅ローンを払えず延滞し続けるとどうなる? 最初の段階で延滞してはいけないと前述しましたが、もしも延滞してしまったらどうなるのかについても知っておきましょう(金融機関によっても異なる場合があるので、実際には借りている金融機関で確認を)。 延滞1カ月 延滞をしてしまうと、返済する予定だった住宅ローンの元金部分に遅延損害金が発生します(遅延日数分)。さらに、金融機関によっては金利優遇が受けられなくなることもあり、店頭金利の適用となって返済額が大きく増加する場合もあります。 延滞2~3カ月 金融機関から催告書や督促状が届き、延滞損害金の請求もあります。 延滞4~6カ月 金融機関から、「期限の利益の喪失」に関する通知が届き、住宅ローン債務の一括返済を求められます。保証会社を利用している住宅ローンでは、保証会社が金融機関に対して「代位弁済」し、以降は保証会社から請求されます。 *延滞3カ月超は信用情報機関に載り、一定期間、借入れやクレジットカードの使用などが制限される可能性もあります。 延滞7~12カ月 住んでいたマイホームは任意売却(残債がある状態で抵当権を解除しての売却)をしたり、競売にかけられたりします。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 競売や任意売却をしても住宅ローンが完済しきれずに残ってしまうと、その債務を返済しながらの生活になってしまいます(無担保ローンで高金利)。これを解消できるよう、後述する「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」がコロナ禍も対象とする特則もできました。 住宅ローンを払えないときの対処法は? コロナ禍で住宅ローンの返済が困難な状態にあり、返済猶予などをしても収入回復のメドが立たないという場合もあるでしょう。その場合は、傷が深くなる前に、売却など別の方法を検討する必要があります。 最も避けなくてはいけないことが、一時しのぎで高金利のカードローンやキャッシングなどに手を出す行為です。 どうしても、今後3カ月から半年以内に家計や収入の立て直しが難しいときは、家計のダメージが広がらないうちに住宅を手放すことを考えましょう。自主的な売却の方が競売よりも高く売れる可能性が高いです。ただし、有利に売却しようと考えたら、時間がかかります。不動産業者の直接買い取りだと早めに売れますが、価格は2~3割程度安くなります。 なお、自宅を売却してもそのまま住み続けたい場合にはリースバックという選択肢もあります。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 「自然災害債務整理ガイドライン」にコロナ禍が加わった 最後に1つ、重要な変更点を押さえておきましょう。 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に、新型コロナウイルス感染症の影響で失業や収入減となり住宅ローンの返済が困難になった人に適用される特則ができ、2020年12月1日から適用となりました。 この特則は、住宅ローンを借りている人が、債務免除を受けて、生活再建を行うことを目的としています。自己破産等の法的倒産手続きではなく、特定調整手続きを活用した債務整理による債務免除を行うことで、信用情報に登録されることもありません。 対象となるのは、2020年2月1日以前からの債務(住宅ローンやその他のローンが幅広く含まれる)に加え、2020年10月30日までに新型コロナ対応のために負担した債務です。 関連記事はこちらコロナで住宅ローンの返済がお困りの方へ、ローン減免制度を紹介! 特定調停手続で債務整理をした場合は、以下のようなメリットを受けながら、対象債務の減免が受けられます。 特別定額給付金などの差押禁止財産に加え、財産の一部を手元に残せる 信用情報登録機関に登録されないので、その後の借入の可能性を残せる 弁護士、不動産鑑定士など専門家の支援が無償で受けられる 一定の財産を残しつつローンの減額や免除を受けることができ、住宅を手放さずに、住宅ローン以外のローンだけを減免する方法もあるようです。 簡易裁判所の特定調停手続を行う必要がありますが、弁護士などの登録支援専門家が必要な書類の作成や債権者との協議などの手続を無償で支援してくれます。利用するには、最も借入残高が多い債権者から、制度利用の同意を得た上で弁護士などに手続支援を依頼します。こうした制度も上手に活用しましょう。 出典)自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインについて リースバックの仮査定はこちら SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 次に読むべき記事 任意整理完済後は住宅ローンが借りれない!ではどうする? 借金の返済が出来なくなってしまった場合など、任意整理をすれば返済負担を軽減できる可能性があります。しかし、任意整理はどのように行うのか、任意整理をした場合に自宅などの所有資産がどうなるか気に...

  • 終活とは?いつから始める?老後資金が足りないと気づいたら?

    終活とは?終活では何を準備すればいい?

    昔に比べて平均寿命が延びて老後の期間が長くなったことから、「終活」を行う人が増えています。終活と聞くと、葬儀やお墓、相続など自分が亡くなった後のことをイメージするかもしれません。しかし、実際は家族や友人関係、医療・介護、財産など、生前のうちに確認し、準備しておくべきことはたくさんあります。 老後の不安を解消し、残りの人生を自分らしく生きるには、終活について理解しておくことが大切です。この記事では終活ですることや始めるタイミング、老後資金の準備について解説します。 終活とは 終活は週刊誌によって作られた言葉で、「人生の最期を迎えるための活動」といった意味に加え、「残りの人生をより前向きに自分らしく生きるための活動」という意味もあります。 終活が注目されるようになった背景には、高齢化によって老後破産や孤独死、認知症、相続トラブルなどの増加が社会問題化していることがあります。厚生労働省の簡易生命表(2019年)によれば、男性の平均寿命は81.41年、女性は87.45年です。また、90歳まで生存する人の割合は男性27.2%、女性51.1%となっています。 このような背景から「老後生活の不安を解消したい」「家族に負担をかけたくない」と考える人が増え、終活に取り組む人が増えていると考えられます。 出典)厚生労働省「2019年(令和元年)生命簡易表の概況」 終活はいつから準備する? 終活を始めるタイミングは人それぞれで正解はありません。「仕事を辞めて年金生活になった」「一定の年齢に達した」など、人生の転機を迎えたときや死を意識したタイミングで、少しずつ進めていくといいでしょう。 ただし、認知症を患うなど、意思表示ができなくなると始めるのは難しくなります。そのため、まだ元気なうちに、「少し早いかな」と思うぐらいのタイミングで始めるのがおすすめです。 終活では何を準備する? 終活では、現在の状況と将来するべきことを整理するために、エンディングノートを作成するといいでしょう。エンディングノートに法的な効力はなく、書き方のルールもないので、好きな方法で作成して構いません。エンディングノートでは、主に以下の内容について整理します。 自身や家族、友人のこと 自身の基本情報(氏名、生年月日、住所、本籍地など)や趣味などを書いておけば、誰が書いたものかが一目でわかります。スマホやインターネットなど、自身が契約しているサービスについても伝えておくと家族は助かるでしょう。また、家族や友人の連絡先、自身との関係なども書いておくと、必要に応じて連絡をとることができます。 医療や介護のこと 判断力が低下したり、意思表示ができなくなったりしたときのために、かかりつけ医や持病、飲んでいる薬、アレルギーなどについて書いておくといいでしょう。また、介護や延命治療に関する希望を伝えておくと、もしものときに家族が判断しやすくなります。 財産に関すること 老後生活が長くなるほど、財産を適切に管理することの重要性は高まります。収入や支出の項目・金額を整理して、老後の家計収支を把握しましょう。また、預貯金や不動産、金融資産など保有中の資産を一覧にしておくことも大切です。 葬儀やお墓のこと 最近では、葬儀やお墓に対する考え方が多様化しており、その様式もさまざまです。たとえば、葬儀は一般葬の他に、参列者が親族のみの家族葬や一日葬などもあります。また、お墓も代々受け継いでいく家族墓だけでなく、永大供養墓や散骨といった形もあります。そのため、葬儀やお墓についての希望、連絡先のリストなどを書いておくといいでしょう。 相続のこと 相続トラブルを避けるには、相続人や相続財産について整理する必要があります。また、預貯金や不動産といった資産だけでなく、借金などの負債も相続財産に含まれる点に注意が必要です。相続について希望がある場合は、遺言書の作成も検討しましょう。 終活をするメリット 終活をするメリットとしては下記のようなことが挙げられます。 万が一の備えになる 医療や介護に関する希望を家族に伝えておいたり、エンディングノートに記載をしておくことは万が一の際の備えになります。例えば、認知症になって判断力が低下したり、意識不明や重篤な状態に陥ってしまった場合に、延命治療や介護の希望などを伝えておくと、家族が判断をしやすくなります。 また、エンディングノートに自身のアレルギーや持病、常備薬を記載しておくことももしものときの備えになります。 相続をスムーズに進められる 財産の整理や相続の準備をしておくことで、残された家族が相続をスムーズに進められます。例えば、エンディングノートに保有している金融資産や不動産などをまとめて記載しておくと、残された家族が財産を把握しやすくなります。 また、相続について希望がある場合は、遺言書を作成しておくことも有効です。財産の整理や遺言書の作成をしておくことで相続をスムーズに進められるだけでなく、トラブルを回避することにもつながります。 葬儀やお墓の手配をスムーズに進められる 葬儀やお墓の希望について家族に伝えておくことで、手配をスムーズに進めることができます。自身の死後、葬儀やお墓のことなど残された家族には決めるべきことが多くあります。そこで、葬儀やお墓について希望を伝えておくことで、家族が段取りをしやすくなり、負担を軽減することができます。 また、事前に自身でお墓を用意しておいたり葬儀費用を準備しておくことも、残された家族の負担を軽減することができます。 自身の経済状況を把握できる エンディングノートに自身の財産等をまとめることで経済状況を把握できます。そして、自身の経済状況を把握することは、健全な家計収支の維持にもつながります。 自身の経済状況を把握し、今後の人生をどのように過ごすのか改めて見直すことは充実した老後生活を送るためにも大切です。 備忘録になる エンディングノートに保有している銀行口座や保険、株式をまとめておくと備忘録になります。また、各種暗証番号等を記載しておけるエンディングノートなどもあります。 このようにエンディングノートを備忘録として活用するのも一つの有効な方法であると言えます。 人生の振り返りができる 終活は自身の人生を振り返る良い機会でもあります。エンディングノートには様々な種類があり、中には自分史や思い出について記載できるものもあります。このようなことを改めて整理することで、今までの自身の人生を振り返ることができます。 今後の人生をより良く生きるためにこれまでの自身の人生を振り返ることもおすすめです。 生きがいや目標を発見できる 終活では、残された家族の負担を軽減することにフォーカスされることが多いです。しかし、自身の人生を振り返り、今後の人生をより良く自分らしく生きることができるようにするというのも終活を行う目的の一つです。 終活に際しては、これからのセカンドライフで何をしたいか、だれと会いたいかなどを整理してみるとよいでしょう。そうすることで、新たな生きがいや目標を発見することができるかもしれません。 終活をしなかった場合に生じる問題 終活をしなかった場合、下記のような問題が生じる可能性があります。 医療や介護に関する希望を把握できない 年を重ねるにつれて医療や介護が必要になる可能性が高くなります。万が一意識不明や重篤な状態に陥り意思表示が難しくなった場合に、延命治療や介護の希望がわからないと家族が判断をしにくくなります。 相続トラブルが発生する 終活によって自身の財産の整理や相続に関する希望を遺しておかなかった場合、相続トラブルが生じる可能性が高くなります。相続トラブルは遺産内容が不透明であることや遺産分割の割合に偏りがあることに起因するケースが多いです。 葬儀やお墓の準備に手間がかかる 自身の死後、葬儀やお墓のことなど残された家族には決めるべきことが多くあります。例えば、葬儀の日程や形式、寺院の選定、訃報を知らせるべき方の選定などです。これらのことを一から決めるのは非常に手間がかかります。 残された家族が財産を把握できない 自身の財産をまとめて記録しておかないと、残された家族が財産を把握しにくくなります。近年ではパソコンやスマートフォンなどに保存しているデジタルデータなど目に見えない財産も増えています。これらの財産は、家族に伝えておいたり、エンディングノートに記載をしておかないと把握できない可能性が高いです。 十分な老後資金が準備できているかを確認する 終活の中でも、優先的に取り組んでおきたいのが老後資金の問題です。残された家族のことを思えば、自身が亡くなった後のことについて考えるのは大切なことです。しかし、終活では、自身の老後生活に問題がないかを確認するのが、最優先で取り組むべき課題です。 現在の家計収支や資産状況を整理・把握して、十分な老後資金が準備できているかを確認しましょう。もし老後資金が不足するようなら、早急に対策をたてる必要があります。 終活に「リースバック」という選択肢も 老後資金が足りない場合、持ち家があるなら「リースバック」という選択肢があります。リースバックとは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるサービスです。 リースバックはローン商品ではなく、売却と賃貸が一体となった不動産取引であるため、利用にあたって年齢や収入の制限はありません。また、持ち家を売却すると、通常は別の住居を確保する必要がありますが、リースバックならそのまま住み続けることが可能です。 加えて、リースバックを利用して不動産を現金化すれば財産を分配しやすくなるため、相続トラブルを回避するための手段としても活用できます。 終活に関するよくある質問 終活をしている人はどのような理由で始めますか? インターネット調査会社マクロミルの調査によると、終活を始めている人のうち約89%の方が「家族に迷惑をかけたくないから」と回答しました。また、約48%の方が「病気やけがなどで寝たきりになったりした場合に備えて」、約35%の方が「自分の人生の終わり方は自分で決めたいから」と回答しています。 出典)PRTIMES「デジタル終活知っている?希望するお墓のカタチは?20~70代にきく終活に関する意識調査(マクロミル調べ)」 生前整理として残しておくべきものはどういうものですか? 生前整理として残しておくべきものには、生活必需品などの現在使用しているものに加え、相続にかかわる財産、形見として残したいものなどがあります。特に、相続にかかわる財産は自身の死後に保管場所がわかるようエンディングノートに記載しておくなど工夫が必要です。 終活として断捨離しておくと良いものはありますか? 不用なものやしばらく使用していないものは処分をしてしまうことをおすすめします。特に、家具などの処分に労力を要するものは、事前に処分しておくと残された家族の負担を減らすことができます。また、目に見えるものだけでなく、パソコンに保管されたデータなどのデジタルデータも整理しておくと良いでしょう。 終活をする上での注意点は何ですか? 終活をする人を狙った詐欺や悪徳商法が増加しています。お金が絡むものは、自身で決めるのではなく、家族と相談するなど慎重に判断することをおすすめします。 出典)消費者庁 「第1部 第1章 第4節(4)高齢者が巻き込まれる詐欺的なトラブル」 《Appendix》エンディングノートの記載例 以下はエンディングノートに記載する内容の一例です。 自分自身や家族、友人のこと 自分自身の基本情報(氏名、生年月日、住所、本籍地など)や家族、友人についての記載例です。下記の内容以外にも自身で書きたいことがあれば記載しておくと誰が書いたのか分かりやすくなります。また、家族や友人については、自身の死後に連絡を希望するかまで記載をしておくと家族が判断をしやすくなるでしょう。 自分のこと 名前山田 太郎 生年月日1950年1月1日 住所〒〇〇〇ー〇〇〇〇東京都新宿区西新宿〇ー〇〇 本籍地〒〇〇〇ー〇〇〇〇東京都渋谷区道玄坂〇ー〇〇ー〇〇 血液型A型 趣味釣り読書 家族・友人のこと 氏名関係住所連絡先訃報について 山田 花子妻東京都新宿区〇〇・・・〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇知らせる 山田 次郎子東京都世田谷区〇〇・・・〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇知らせる 山田 二郎弟埼玉県〇〇市・・・〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇知らせない 佐藤 三郎友人福島県〇〇市・・・〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇知らせない 医療や介護のこと 医療や介護についての記載例です。持病については、常備薬やかかりつけの病院まで記載をしています。また、万が一の際に備えて延命治療や介護の希望についても記載をしておくと良いでしょう。 医療や介護のこと 持病高血圧 常備薬〇〇、〇〇〇〇 かかりつけの病院〇〇病院 〇〇科 担当医:〇〇 アレルギー卵、えび、かに、いか 延命治療希望しない 介護の希望自宅で家族に介護をしてもらいたい 財産のこと 財産についての記載例です。下記では、預貯金と株式について記載していますが、それ以外でも、資産を保有している場合は一覧にしてまとめておくと良いでしょう。 預貯金のこと 金融機関名〇〇銀行支店名〇〇支店 口座番号〇〇〇〇〇〇〇口座名義山田 太郎 口座種別普通備考 株式のこと 預入証券会社〇〇証券口座番号〇〇〇〇〇〇〇 名義人山田 太郎備考〇〇の株式を100株保有 葬儀やお墓のこと 葬儀やお墓についての記載例です。葬儀については、下記のような事項について記載をしておくと葬儀の準備がスムーズに進みやすいです。また、下記以外にも葬儀に参列してほしい人を表にしてまとめておいたり、納棺時の服装や棺に入れてほしいものなどを記載することもあります。 葬儀のこと 葬儀を希望する/しない希望する 葬儀会社・斎場株式会社〇〇住所:東京都新宿区〇ー〇〇 費用について準備している 葬儀の種類家族葬 宗教の希望仏教 遺影についてあり(机の引き出しの一番上) 戒名についてこだわりはありません お墓のこと お墓の有無先祖代々のお墓 埋葬方法の希望永代供養墓 お墓がある場合墓地・霊園の名称:〇〇霊園住所:東京都練馬区〇〇ー〇〇連絡先:〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇 相続のこと 下記は遺言書についての記載例です。遺言書がある場合は、保管している場所まで記載をしておくと良いでしょう。また、遺言書の有無以外にも、遺産分割や遺品の処分について希望がある場合は、記載をしておくことをおすすめします。 相続のこと 遺言書の有無有 遺言書の種類自筆証書遺言(机の一番下の引き出し) 遺言書の関係者弁護士:〇〇連絡先:〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇 まとめ 終活は、家族の負担を減らせるのはもちろん、残りの人生を自分らしく生きることにも役立ちます。終活ですることはたくさんありますが、最優先して取り組むべきことは財産整理です。家計収支や資産状況を整理した結果、持ち家があって老後資金が不足しそうな場合はリースバックの活用を検討しましょう。 リースバックならSBIスマイル さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。 ※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リースバックとは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法で、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続け... { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "終活をしている人はどのような理由で始めますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "インターネット調査会社マクロミルの調査によると、終活を始めている人のうち約89%の方が「家族に迷惑をかけたくないから」と回答しました。その次に約48%の方が「病気やけがなどで寝たきりになったりした場合に備えて」、約35%の方が「自分の人生の終わり方は自分で決めたいから」と回答しています。" } }, { "@type": "Question", "name": "生前整理として残しておくべきものはどういうものですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"生前整理として残しておくべきものには、生活必需品などの現在使用しているものに加え、相続にかかわる財産、形見として残したいものなどがあります。特に、相続にかかわる財産は自身の死後に保管場所がわかるようエンディングノートに記載しておくなど工夫が必要です。" } }, { "@type": "Question", "name": "終活として断捨離しておくと良いものはありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"不用なものやしばらく使用していないものは処分をしてしまうことをおすすめします。特に、家具などの処分に労力を要するものは、事前に処分しておくと残された家族の負担を減らすことができます。また、目に見えるものだけでなく、パソコンに保管されたデータなどのデジタルデータも整理しておくと良いでしょう。" } }, { "@type": "Question", "name": "終活をする上での注意点はありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"終活をする人を狙った詐欺や悪徳商法が増加しています。お金が絡むものは、自身で決めるのではなく、家族と相談するなど慎重に判断することをおすすめします。 " }} ] }

  • リースバックとリバースモーゲージの違いを徹底解説

    リースバックとリバースモーゲージの違いとは?向いている人の特徴や判断基準を解説

    近年、まとまった老後資金を確保する手段として「リースバック」や「リバースモーゲージ」が注目されています。もし、まとまった老後資金の確保を目的として利用を検討する場合には、リースバックとリバースモーゲージの違いをしっかりと理解しておくことが大切です。 この記事では、リースバックとリバースモーゲージの違いと、どちらが自分に向いているかを判断する基準について解説します。 リースバックとリバースモーゲージの概要 リースバックの概要 リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結して毎月家賃を払うことで、売却後も同じ家に住み続けられます。図で表すと以下のとおりです。 リースバックは不動産取引であるため、基本的に年齢制限や年収基準、家族の同居制限はありません。また、賃借権は相続されるので、契約者にもしものことがあっても配偶者は住み続けられます。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リバースモーゲージの概要 リバースモーゲージとは、自宅を担保に借り入れができる高齢者向けのローン商品です。毎月の支払いは利息のみで、債務者の死亡後に相続人が自宅の売却もしくは現金一括で元本を返済します。図で表すと以下のとおりです。 一般的なローンとは異なり、毎月の支払いは利息のみなので、月々の返済額を抑えられるのがメリットです。 ただし、元金は据え置きなので、長生きするほど利息負担が増えるリスクがあります。また、自宅の売却代金よりローン残債の方が多かった場合、残った債務が相続人に引き継がれることがあります。 関連記事はこちらリバースモーゲージとは?メリット・デメリットや仕組みを解説 リースバックとリバースモーゲージの共通点と違い リースバックとリバースモーゲージの共通点 まず、リースバックとリバースモーゲージの共通点は以下のとおりです。 不動産を活用した資金調達方法 不動産を売却する商品・サービス リースバックとリバースモーゲージは、自宅を活用して資金調達できるのは同じです。タイミングは異なりますが、どちらも最終的には自宅を売却するため、相続後に不動産が残らないのも共通点です。 リースバックとリバースモーゲージの違い リースバックとリバースモーゲージは不動産を活用して資金を調達できるという点から似ていると感じるかもしれませんが、リースバックは不動産売買+賃貸借契約、リバースモーゲージは不動産担保融資であり、その特徴や仕組みは大きく異なります。 具体的には、以下のような違いがあります。 所有権移転のタイミング 資金の受け取り方(売却と融資) 月々の支払い(家賃と利息) リースバックは、自宅を売却して賃貸に切り替えた時点で所有権は運営会社に移転します。それに対して、リバースモーゲージは債務者の死亡後、自宅を売却して元本を返済する仕組みなので、債務者が生きている間は自宅の所有権は移転しません。 また、リースバックは売却資金を受け取り、その後は毎月家賃を払うのに対し、リバースモーゲージは融資金を受け取り、毎月利息を払う点も異なります。 リバースモーゲージと比較したリースバックのメリット リバースモーゲージと比較したリースバックのメリットは以下の4つです。 誰でも利用できる リースバックは不動産売却なので、基本的に与信面で断られることはありません。また、年齢制限や年収基準がないので、持ち家があれば高齢者でも利用しやすいでしょう。 一方で、リバースモーゲージは自宅を担保とした融資であるため、金融審査があります。年齢制限や年収基準が設定されていることが多く、一定の収入がないと与信面で否決される可能性があります。 ローンを完済できる リースバックは不動産売却なので、住宅ローンが残っていても売却資金で完済できます。ただし、売却資金が住宅ローンの残債を上回る必要がある点には注意が必要です。 一方で、リバースモーゲージは融資なので、ローンが残っている状態がずっと続きます。毎月の支払いは利息のみですが、市場金利が上昇すれば、毎月の返済額が増えて支払いが困難になる可能性があります。 相続対策になる リースバックは自宅を売却して現金化するため、相続時に財産分与しやすいのがメリットです。特に複数の相続人がいる場合、自宅をどのように分けるかを考える必要がないので、相続問題を回避しやすくなります。 一方で、リバースモーゲージは、債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する仕組みですが、売却資金がローン残債より少ない場合、残った債務は相続人に引き継がれます(リコース型の場合)。ノンリコース型なら債務が残っても相続人に返済義務は生じませんが、リコース型に比べて適用金利が高い傾向にあります。 持ち家の所有リスクを移転できる リースバックで自宅を売却すれば、持ち家の所有リスクを移転できます。そのため、自宅の維持管理のためのメンテナンスコストが不要である点や、突発的な地震や台風といった自然災害で住居に被害が出ても、修繕費用は運営会社が負担してくれるので安心です。 一方で、リバースモーゲージは、資金調達後も持ち家であることに変わりはないので、メンテナンスコストや建物に被害が出たときの修繕費用は自身で負担しなくてはなりません。住まいに関する資金も借り入れする事ができますが、借入金が膨らんでしまう点には注意が必要です。 リバースモーゲージと比較したリースバックのデメリット 一方で、リバースモーゲージと比較したリースバックのデメリットは以下の2つです。この2つのデメリットを考慮したうえで、どちらがいいかを判断しましょう。 所有権を手放すことになる リースバックを利用する場合は自宅を売却するので、所有権を手放すことになります。所有権を手放せばその家は自分のものではなくなり、自由にリフォームを行うこともできなくなります。 一方で、リバースモーゲージは資金調達後も持ち家であることに変わりはないので、自由にリフォームを行うことができます。 自宅を相場より安い金額で売却してしまう リースバックを利用した場合、自宅の売却価格は相場の7割程度となってしまいます。そのため、売却価格にだけ着目すると、リースバックは取引時点で損失を確定することになります。 一方で、リバースモーゲージの場合、リバースモーゲージを利用することが自宅の売却価格に影響を及ぼすことはありません。ただし、最終的に自宅を売却するまでに価値が下がり、結果的に損失が出る場合もあるので注意しましょう。 リースバックとリバースモーゲージに向いている人とは 上述のメリットとデメリットを踏まえて、リースバックとリバースモーゲージのそれぞれに向いている人を紹介します。 リースバックに向いている人 リースバックに向いているのは、自由に使用できるまとまった資金を必要としている人です。具体的には、住宅ローンを完済したい、老後の生活費を確保したい、事業資金を調達したい、といった理由が考えられるでしょう。 また、リースバックは金融審査がないので、リバースモーゲージでは審査に通らなかった人でも利用できる可能性があります。さらに、住み替えを検討している人にもおすすめです。リースバックを利用することで、住み替え時の悩みを解消し、住み替えをスムーズに進められる可能性があります。詳細は以下の記事で解説しています。 関連記事はこちら住み替えにリースバックを利用するメリットを解説 リバースモーゲージに向いている人 リバースモーゲージに向いているのは、必要な金額が少額である人や、資金が必要な期間が限定されていて、一時的な利用を検討している人です。例えば、一時的にリフォーム資金などのまとまった資金を必要としている場合は、リバースモーゲージが向いています。 また、リバースモーゲージの場合、返済が滞りさえしなければ、自宅の所有権を持ち続けられます。リースバックの場合は所有権を手放すため、上述のとおりリフォームを自由に行うことができなくなるのは勿論、賃貸である以上必ず住み続けられる保証はなくなってしまいます。 関連記事はこちらリースバックの退去について解説!強制退去させられることはある? まとめ リースバックとリバースモーゲージを比較すると、利用しやすさや相続対策、所有リスクを移転できる点などはリースバックの方が優れています。しかし、自身の状況によっては必ずしもリースバックがいいとも限りません。 リースバックとリバースモーゲージのどちらを利用すべきか悩んでいる場合は、専門家や金融機関に相談するのも有効です。両者の違いを十分に理解したうえでどちらを利用すべきかを判断しましょう。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 リースバックと不動産担保ローンの違いとは リースバックと不動産担保ローンは、不動産を活用して資金調達するところは同じですが、特徴や仕組みには違いがあります。両者の違いを理解しておくことで、ご自身のライフスタイルや考え方に合わせて最適...

  • 老後にリースバックを利用すると得られる4つのメリット

    老後にリースバックを利用すると得られる4つのメリット

    リースバックは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるサービスです。リースバックを利用することで老後の不安を解消し、より快適な生活が送れるようになるかもしれません。この記事では、老後にリースバックを利用すると得られる4つのメリットを紹介します。 メリット①:老後資金を確保できる 持ち家があって老後の生活費が足りない場合、通常は自宅の売却を検討するのではないでしょうか。しかし、自宅を売却すると転居先を決めたり、引っ越しの手間や費用が発生したりします。また、慣れ親しんだ自宅に住み続けたいのであれば、リースバックも選択肢のひとつとなるでしょう。 リースバックで自宅を売却すれば、まとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられます。また、住宅ローンの返済が苦しくて老後資金を貯められない場合も、リースバックの売却資金で住宅ローンを一括返済すれば、家計収支を改善できます。 関連記事はこちら老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳以上編) メリット②:相続問題が解決される リースバックは、複数の相続人がいる場合に、相続問題を解決する手段としても利用できます。不動産は実物資産であるため、複数の相続人がいる場合は簡単に分けられません。相続資産の大部分を自宅が占める場合、財産をどのように分けるか折り合いがつかず、相続争いが起こることもあります。 しかし、リースバックで自宅を売却すれば、所有権がリースバック運営会社に移転するため、自宅をどう分けるかを考えなくて済みます。特に相続財産が自宅と預貯金のみの場合、不動産を現金化すれば相続財産は預貯金のみとなるので、均等に分配しやすくなります。 関連記事はこちら相続争いを生まないためのリースバックという選択肢 メリット③:固定費の増加要因や突発的な支出がなくなる 老後の家計収支を安定させるには、固定費を下げたり、突発的な支出を減らしたりすることが大切です。 持ち家の場合、家賃を払う必要はありませんが、固定資産税がかかります。また、マンションなら、管理費や修繕積立金の支払いも必要です。他にも、設備の故障などで急にまとまった支出が発生する可能性もあるでしょう。 そのようなときにリースバックで賃貸に切り替えて、毎月一定額の家賃を払うようにすれば、家計管理がしやすくなります。また、固定資産税や管理費・修繕積立金がなくなり、家賃のみの支払いになるほか、老朽化などで設備が故障した場合の費用がオーナー負担となるのも安心材料です。 関連記事はこちら老後に賃貸と持ち家ではどう違う?メリット・デメリットを解説 メリット④:自然災害リスクを減らせる リースバックで自宅を売却して賃貸に切り替えれば、自然災害で住居に被害が出ても、修繕費用などはリースバック運営会社が負担してくれます。しかし、持ち家の場合は、修繕や建て替えにかかる費用は自分で負担しなくてはなりません。 持ち家の場合には火災保険や地震保険に加入することで備えることもできますが、保険に加入していても、保険金で費用を全額カバーできず、持ち出しが発生する場合があります。また、災害などで住むことができない状態になったとしても、住宅ローンが残っている場合、基本的にローン返済は免除されません。 近年では、地球温暖化の影響により、台風や洪水などの自然災害リスクが高まっています。また、日本は地震大国でもあり、過去には阪神・淡路大震災や東日本大震災といった大地震も発生しているので、楽観視できないでしょう。そのため、自宅に住み続けながら自然災害リスクに備えたいなら、リースバックは有効な手段となるでしょう。 関連記事はこちら地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 老後のリースバックに関するよくあるご質問 老後にリースバックを利用するにあたり、よくあるご質問を3つ紹介します。 Q. リースバックを利用した後、ずっと住み続けられますか? リースバックの賃貸借契約には、「定期借家契約」と「普通借家契約」の2種類があります。定期借家契約の場合は再契約できる保証がなく、2~3年の契約期間満了後に退去しないといけなくなる恐れがあります。できるだけ長く住み続けたい場合は、普通借家契約が可能な運営会社を選ぶと安心です。 Q. 毎月の家賃を安くすることはできますか? リースバックの家賃は売却価格と家賃のバランスで決まり、売却価格が安くなると家賃も安くなります。そのため、運営会社と交渉して売却価格を抑えることで、周辺の賃料相場より家賃をかなり安く設定することも可能です。ただし、売却価格を抑えすぎると調達できる資金が少なくなります。リースバックの家賃を安くしたい場合は、売却価格とのバランスを検討してから交渉しましょう。 Q. 配偶者が契約を引き継ぐことができますか? 自宅をリースバックで売却した場合、残された配偶者が契約者である夫(妻)が死亡した後も住み続けられるか気になるのではないでしょうか。賃貸借契約は相続の対象になるため、夫(妻)の死亡後も配偶者が契約を引き継ぐことが可能です。念のため、運営会社に契約を引き継げるかを確認しておくと安心です。 デメリットは「家を遺せないこと」 リースバックの最大のデメリットは、家を遺せないことにあります。自宅の所有権が運営会社に移転してしまうので、子供に家を遺したい場合は、リースバックを利用すべきではありません。 家を遺すことにこだわりがなければ、老後資金や相続問題など、自身の抱えている悩みがリースバックによって解決できるのかどうかを考えてみましょう。ご自身で判断が難しければ、専門家に相談してみるのもおすすめです。 まとめ 「家を遺せない」というデメリットを許容できるのであれば、老後のリースバックはいくつかの問題を解決する選択肢となります。持ち家があり、老後資金や相続、自然災害などの不安を抱えているなら、リースバックを検討してみてはいかがでしょうか。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...

  • 老後に賃貸と持ち家ではどう違う?メリット・デメリットを解説

    老後に賃貸と持ち家ではどう違う?メリット・デメリットを解説

    賃貸暮らしをしていると、老後に向けて自宅を購入すべきか悩むのではないでしょうか。賃貸か持ち家かによって、老後の生活においてそれぞれメリット・デメリットがあるので、ライフスタイルに応じてどちらがいいかは変わってきます。 老後に持ち家があることで、老後の生活費が不足したときに資金調達手段として活用できるかもしれません。そのため、老後に賃貸と持ち家のどちらで暮らすかは、老後資金も考慮して選択することが大切です。 この記事では、賃貸と持ち家で老後の生活がどう違うかについて解説します。 老後に賃貸で暮らすメリット・デメリット 老後に賃貸で暮らす主なメリット・デメリットは以下のとおりです。 賃貸のメリット 老後の賃貸暮らしには、以下のようなメリットがあります。 メンテナンス費用がかからない 災害リスクがない 自宅の老朽化や設備の故障などにより物件設備の交換が必要になった場合、賃貸であれば、物件の所有者であるオーナーがメンテナンス費用を負担してくれます。そのため、突発的な支出が生じる可能性は少ないでしょう。 また、地震や台風などの災害で建物に被害が出たときも、修繕にかかる費用はオーナー負担です。被災して住めない状態になった場合は、住めるようになるまで家賃を払う必要もありません。ただし、家財はオーナーに補償してもらえないため、火災保険に加入して備えておく必要があります。 このように、賃貸であれば自宅にかかる定期的なメンテナンスコストや突発的に発生する災害のリスクを回避できるメリットがあります。 賃貸のデメリット 一方で、老後の賃貸暮らしには、以下のようなデメリットもあります。 家賃の支払いが一生続く 契約・更新できない可能性がある 老後に賃貸で暮らす場合には、家賃の支払いが一生続くことになります。そのため、老後資金に余裕がある場合には問題ありませんが、老後の生活資金を確保していないと家計収支が立ち行かなくなり、最悪の場合は老後破綻になりかねません。 また、賃貸で暮らす場合は高齢になって安定収入がなくなると、信用上の問題から契約が更新できなくなる恐れもあります。高齢になるほど保証人を求められるケースが増えてくるため、家族など頼める人がいないと契約や更新を断られる可能性があります。 なお、老後の生活ではバリアフリー対応が必要になることもありますが、賃貸は内装や間取りの仕様変更ができません。一方で、賃貸であれば、自身の状況に応じた高齢者向け住宅へ転居する選択肢があるので一概にデメリットとはいえないでしょう。 老後の生活に配慮した賃貸物件の選び方 老後に賃貸で暮らす場合は、以下のような点を考慮して物件を選ぶと良いでしょう。 家計に合った物件を選ぶ 老後に賃貸で暮らす場合、自身の家計に合った物件を選ぶことが重要です。特に、家賃に関しては、住み続ける限り一生支払わなければならず大きな負担となるため、家計とのバランスを考慮する必要があります。老後は収入が年金のみとなり、働いていた頃の給与収入よりも少なくなることが一般的です。自身の家計に見合った家賃でなければ、生活費を圧迫したり老後資金の不足に繋がる可能性があります。そのため、自身の収入や貯蓄額、ライフプランを考慮した上で家計に見合った物件を選ぶようにしましょう。また、断捨離をしてワンサイズ小さな物件を選ぶなど、家賃を抑えるために工夫をすることも一つの方法です。 バリアフリーが充実している物件を選ぶ 老後に賃貸で暮らす場合は、バリアフリーが充実している物件を選ぶことをおすすめします。例えば、段差が多い家や広すぎる家は移動が大変であり、大きな負担となります。さらに、現在は元気であっても高齢になるにつれて予期せぬ怪我や病気のリスクが高まりますので、将来的に体が不自由になってしまう可能性もあります。そのような場合に、バリアフリーが充実している物件を選択しておくことで、転居をする必要が無く今までの住まいで生活を続けることが可能です。安全、快適に長く暮らすためにも、現在の健康状態や将来的なリスクを踏まえた上で、物件を選ぶと良いでしょう。 周辺の環境が充実している物件を選ぶ 老後に賃貸で暮らす場合、周辺の環境が充実しているかも確認するようにしましょう。特に、スーパーや病院、公共施設など日常的に利用する施設が近くにあるかを確認すると良いでしょう。これらの施設が自宅から遠い場合、毎日の生活に影響し、大きな負担となってしまいます。加えて、周辺に騒音や臭いなど将来的にトラブルに繋がりそうな施設が無いかもチェックしておくことで、事前にトラブルを回避することができます。老後に住む賃貸物件は、物件だけでなく、周辺環境も考慮した上で選択すると良いでしょう。 老後に持ち家で暮らすメリット・デメリット 老後に持ち家で暮らすメリット・デメリットは以下のとおりです。 持ち家のメリット 持ち家には以下のようなメリットがあります。 住居費の負担が小さい 内装や間取り変更が自由にできる 持ち家は、住宅ローンを完済していれば、住居費の負担が少なく済みます。住宅ローンの返済以外に固定資産税や修繕費用は必要ですが、賃貸のように毎月家賃を支払う必要はありません。そのため、持ち家は長生きするほど、賃貸よりも経済的なメリットがあると言えるでしょう。 また、持ち家であれば、リフォームやリノベーションが自由にできます。引っ越しをしなくても、ライフスタイルの変化に応じて自分に合った住環境を整えられるのは、持ち家ならではのメリットといえるでしょう。 持ち家のデメリット 一方で、持ち家には以下のようなデメリットもあります。 災害リスクがある メンテナンス費用がかかる 簡単に引っ越しできない 持ち家は、地震や台風などで建物に被害を受けた場合、修繕費用を自身ですべて負担しなくてはなりません。修繕費用は保険金でまかなうことも可能ですが、被害の状況によっては、住める状態になるまで時間がかかります。また、設備は定期的なメンテナンス費用が発生します。 持ち家は、賃貸に比べて簡単に引っ越しができないのもデメリットです。体調が悪くなって高齢者向け住宅に移りたいと思っても、持ち家があると簡単には決断できないでしょう。 老後に資金が足りない場合の選択肢 老後に賃貸と持ち家のどちらで暮らすかは、ライフスタイルだけでなく、老後資金も考慮して選ぶことが大切です。賃貸ならメンテナンス費用がかからず、災害リスクを回避できますが、一生家賃を払い続けなくてはなりません。そのため、持ち家よりも多くの資金を準備する必要があります。 しかし、持ち家であれば老後資金が不足したとしても、自宅を売却してまとまった資金を手に入れることが可能です。また、売却以外にもリースバックを活用して資金調達できます。 リースバックを利用すれば、売却によってまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるので、老後に持ち家である時に発生するデメリットを回避できます。また、持ち家は相続争いが起こることもありますが、リースバックなら自宅の所有権がリースバック運営会社に移転するため、相続対策として活用できる側面もあります。 関連記事はこちら夫婦の老後資金はいくら必要?足りない時の対処法も紹介 まとめ 老後に賃貸と持ち家のどちらで暮らすにしてもそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらが合っているかはライフスタイルによって異なります。一方で、持ち家であれば、老後資金が足りない場合に自宅を活用して資金調達できる可能性がありほか、そもそも持ち家であるという安心感もあるでしょう。老後に賃貸と持ち家のどちらで暮らすかは、老後資金も考慮して選択しましょう。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リースバックとは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法で、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続け...

  • 相続争いを生まないためのリースバックという選択肢

    相続争いを生まないためのリースバックという選択肢

    自宅を所有していると、老後も住み続けられる安心感がある一方で、相続に不安を感じることもあるのではないでしょうか。不動産は実物資産であるため、相続人が複数いると簡単に分けられません。また、相続財産の大部分を不動産が占める場合は、財産をどう分けるか折り合いがつかず、相続争いが生まれる可能性があります。 しかし、リースバックで自宅を売却すれば、同じ家に住み続けながら相続争いを回避できます。この記事では、リースバックで相続問題を解決できる理由について説明します。 なぜ相続争いが生まれるのか 相続争いが生まれる理由はさまざまですが、その最たる例のひとつが不動産(自宅)に関連する理由です。たとえば、相続財産が不動産と預貯金のみで、不動産が占める割合が大きいと相続争いが生まれやすくなります。なぜなら、複数の相続人がいる場合、相続人全員が納得する形で財産を分けるのが難しいからです。 均等に財産を分けるという観点で考えれば、不動産は持分相続ができるので、1つの不動産を複数人で相続することも可能です。しかし、相続後にその不動産を1人の使用者が専有した場合には、相続人の間に不平等が生まれることになります。親族間で賃貸借契約を結んで適正な家賃を支払うことで平等に近い形に是正することは可能ですが、あまり現実的な方法とは思えません。 相続争いの具体例を紹介 不動産の相続の難しさがイメージできるように、具体例を1つ紹介します。相続財産が不動産(4,000万円)と預貯金(2,000万円)の合計6,000万円、相続人が配偶者と子2人のケースについて確認しましょう。法定相続分は配偶者が1/2、子はそれぞれ1/4です。相続財産は合計6,000万円なので、法定相続割合で分けると以下のようになります。 配偶者:3,000万円(6,000万円×1/2) 子(A):1,500万円(6,000万円×1/4) 子(B):1,500万円(6,000万円×1/4) また、法定相続割合で不動産と預貯金を均等に分割する場合、相続財産は以下のように分けられます。 配偶者:不動産2,000万円、預貯金1,000万円(合計3,000万円) 子(A):不動産1,000万円、預貯金500万円(合計1,500万円) 子(B):不動産1,000万円、預貯金500万円(合計1,500万円) 不動産に持分を設定することで、上記のように資産を均等に分けることができます。しかし、その不動産を配偶者のみが占有して利用する場合には、当然平等であるとは言えないでしょう。 リースバックで相続問題を解決できる理由 先程紹介したようなケースの場合、リースバックを利用することで相続問題を解決できます。リースバックとは、自宅を売却したうえで賃貸借契約を結び、家賃を払うことで売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。 相続争いを避けるために自宅を売却すると、通常は別の住居を探さなくてはなりません。しかし、リースバックなら家賃を払うことで、売却後も同じ家に住み続けられます。また、不動産を現金化することで、相続財産は預貯金のみとなるため、相続財産を均等に分配できます。 先ほどのケースで、リースバックを利用しており、不動産を2,800万円*で売却していた場合には下記のような遺産分割となります。 ※一般的にリースバックの買取価格は評価額の7割程度とされているため、4,000万円×70%=2,800万円としています。 配偶者:預貯金2,400万円 子(A):預貯金1,200万円 子(B):預貯金1,200万円 上述のとおり、相続財産が預貯金のみであれば、相続人同士でもめることなくスムーズに遺産分割ができるでしょう。加えて、もしその家に住み続けたい相続人がいた場合でも、賃貸借契約を承継し、自らが家賃を支払ってその家に住み続けることになるので、公平と言えます。 リースバックを利用するタイミング リースバックの利用は相続争いを無くすという点からは、生前に行うことが理想ですが、相続発生後であっても可能です。しかし、相続発生後に手続きをすると、相続税や所得税などの税金面で複雑化することや、持分相続の場合に共有者全員の同意が必要などの制限が発生します。 このような点から相続発生後のリースバック利用にも争いが生まれる可能性があり、相続発生後にリースバックを利用するのであれば、生前にリースバックを利用しておいた方が良いと言えるでしょう。 もう一つの選択肢としての不動産担保ローン 相続する不動産に長期的な視点で資産価値がある場合やその不動産への愛着が強いなどの理由で所有権を手放したくない場合には、不動産担保ローンを利用するといいでしょう。不動産担保ローンとは、土地や建物、マンションなどの不動産を金融機関に担保として差し入れるかわりにお金を借りられる融資方法の一つです。 そのため、相続財産である不動産を担保に融資を受けることで、相続人同士の金銭的な不平等を解決するための資金を用意することができます。 関連記事はこちら相続で不動産担保ローンを活用する4つの事例を紹介 Appendix:リースバックで相続税対策できる? 不動産の相続税評価額は、おおよそ実際に売却できる金額の7~8割程度の金額となるため、不動産を売却して現金化するよりも相続税を抑えることができると考えられます。そのため、一般的には資産を現金として持っておくよりも不動産として持っておく方が、相続税対策になると言われています。 一方で、リースバックは元々相場の7割程度の価格で売却する仕組みであり、運営会社と話し合って月々の家賃と売却価格も抑えることができる場合もあります。そうして手元に入る現金が、不動産の相続税評価額を下回るのであれば、相続税対策になることもあるでしょう。 まとめ 相続財産の大部分を不動産が占める場合、複数の相続人がいると相続争いが生まれる恐れがあります。しかし、リースバックを利用すれば、住む家を確保しながら財産を均等に分配できない問題を解決できます。自宅の相続に不安を感じているなら、リースバックを活用した相続対策も検討してみましょう。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...

  • 老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳以上編)

    近年、60歳を過ぎて老後を迎えても、住宅ローンを完済していない人が増えています。定年後も働いて安定収入がある人や預貯金が十分にある人であれば、住宅ローンが残っていても問題なく生活できるかもしれません。 しかし、老後に十分な余裕がない場合、住宅ローンの返済は家計に大きな負担となります。そして、住宅ローンが残っている状況で老後資金を確保するには、不動産をうまく活用することが大切です。この記事では、60歳以上の人が老後資金を確保するための住宅ローン返済術を紹介します。 住宅ローンの状況を整理する リ・バース60の取り扱いを開始致しました。詳細はこちら 不動産を利用して老後資金を確保するために、まずは住宅ローンの状況を整理しましょう。具体的には、以下の項目について確認します。 年齢(現在の年齢、完済予定年齢) 借入金額(現在の残債、当初の借入金額) 借入金利(変動金利の固定金利のどちらか) 返済期間(残返済期間、当初返済期間) これらの状況によって、とるべき解決策は変わってきます。退職希望年齢は、今のところの予定で問題ありません。その他の項目は、住宅ローンの返済予定表で確認できます。 不動産を利用して老後資金を確保する方法をケース別に紹介 住宅ローンや家計の状況などによって、最適な解決策は異なります。ここでは、4つのケース別に、不動産を利用した老後資金対策を紹介します。 ①住宅ローンの返済額が大きく、毎月の返済が厳しい 住宅ローンの返済が厳しい場合は、毎月の支払い額を抑えて返済負担を軽減することが大切です。具体的には、以下2つの解決策があります。 (1)リバース60 リバース60とは、住宅ローンの一種で満60歳以上の方向けの商品です。通常の住宅ローンとは違い、毎月の支払いは利息のみです。元金は債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して返済するか、現金で一括返済するかを選べます。 現在の住宅ローンをリバース60へ借り換えることで元金の返済義務がなくなり、毎月の返済が利息のみとなるので、毎月の支払い額を減らせます。ただし、元金は据え置きのため、支払いが生涯続くことになる点に注意が必要です。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 (2)リースバック リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられます。 リースバックで賃貸に切り替えることで、住宅ローンの返済額と管理費や修繕積立金、固定資産税を併せた金額より家賃のほうが低くなれば、毎月の支払い額を減らせます。運営会社との相談にはなりますが、毎月の家賃は売却価格との調整が可能です。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 ②お金が必要となったが、預貯金がほとんどない 十分な預貯金がない場合、不動産(自宅)を担保とした借り入れを検討しましょう。ただし、住宅ローンの残債がある程度減っていることが条件となります。利用できるローン商品は以下2つです。 (1)不動産担保ローン 不動産担保ローンは文字どおり、不動産を担保に借り入れができるローンです。無担保ローンよりも金利が低く、長期間の借り入れができるので、返済額を抑えながら必要な資金を確保できます。 不動産担保ローンは事務手数料や印紙代、登記費用などがかかりますが、借入金額と相殺されるため、手元資金を用意する必要はありません。一方で、万が一返済不能となった場合は不動産を失う可能性もあるので、無理のない返済計画を立てることが大切です。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 (2)リバースモーゲージ リバースモーゲージとは、自宅を担保に借り入れができる高齢者向けのローン商品です。毎月の支払いは利息のみで、債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する仕組みとなっています。 不動産担保ローンと異なり、毎月の返済は利息のみなので、月々の支払いをさらに抑えることができます。ただし、元金は据え置きのため、借入金額が増加するほど支払いが厳しくなり、返済期間が長期化する恐れがあります。 関連記事はこちらリバースモーゲージとは?メリット・デメリットや仕組みを解説 ③住宅ローン完済の見通しが立たない 住宅ローン完済の見通しが立たない場合は、以下のサービスを利用して住宅ローンを完済し、少しずつ家計収支を改善していくのがおすすめです。 (1)リバース60 60歳を過ぎると通常の住宅ローンを組むのは難しくなりますが、リバース60は対象年齢が「満60歳以上」で、収入が公的年金のみでも利用できます。毎月の支払いは利息のみで済むので、毎月の返済額を抑えられるのもメリットです。借り入れた資金で住宅ローンを完済しながら、家計収支の改善が期待できます。 (2)リースバック 住宅ローンの返済が難しい場合は、自宅の売却を検討しなくてはなりません。リースバックなら、自宅を売却した資金で住宅ローンを完済した後も、家賃を払うことで同じ家に住み続けられます。今後も自宅に住み続けたいなら、リースバックも選択肢のひとつになるでしょう。 老後資金を確保するための住宅ローン返済事例 ここでは、老後資金を確保するために不動産を活用した事例を2つ紹介します。 事例①:住宅ローン+管理費の支払額が大きく、毎月の返済がつらい Aさんの住宅ローンの状況 年齢63歳(住宅ローン借入年齢40歳) 借入金額1,700万円(当初借入金額4,000万円) 借入金利2.0% 返済期間12年(当初借入期間35年) 毎月返済15.7万円(ローン返済 + 管理費等) Aさんは、自宅マンションの購入で借りた住宅ローンの返済がまだ12年残っていますが、ローン返済と管理費の支払額が大きく、家計を圧迫しています。そこで、毎月の収支を改善するためにリースバックを利用しました。 Aさんのリースバック利用後の状況 年齢63歳 借入金額0円 家賃11万円 リースバックを利用したことで、住宅ローンを完済したうえで、手元資金300万円を確保しました。買取の金額は2,500万円まで可能とのことでしたが、毎月の支払いを抑えるために調整した結果、毎月の支払い額を4.7万円削減することができました。 事例②:急遽お金が必要となったが預貯金がほとんどない Bさんの住宅ローンの状況 年齢67歳(住宅ローン借入年齢35歳) 借入金額300万円(当初借入金額3,500万円) 借入金利2.0% 返済期間3年(当初借入期間35年) 毎月返済11.6万円 Bさんは急遽まとまったお金が必要になりましたが、預貯金がほとんどない状況です。住宅ローンの返済は残り3年で残債も少なくなっていたので、必要資金の借り入れと併せて、返済負担の大きい住宅ローンの完済のため、以下の条件で不動産担保ローンを借りることにしました。 Bさんの不動産担保ローン利用後の状況 年齢67歳 借入金額500万円 借入金利5.0% 返済期間10年 毎月返済5.3万円 自宅を担保に不動産担保ローンを利用することで、住宅ローンの完済費用と急遽必要となった資金を調達できました。また、返済期間を10年としたことで、毎月の返済金額を6.3万円削減することに成功しました。なお、諸費用は20万円程度かかりましたが、融資金で精算することで、持ち出しなく融資を受けることが出来ました。 まとめ 60歳を過ぎて住宅ローンの返済が残っていると、老後の生活費に不安を感じるかもしれません。しかし、不動産(自宅)をうまく利用すれば、毎月の支払額を減らしたり、まとまった資金を調達したりすることも可能です。不動産を利用した老後資金の確保を検討してみましょう。 リ・バース60の商品詳細はこちら SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 夫婦の老後資金はいくら必要?足りない時の対処法も紹介 「人生100年時代」や「老後2,000万円問題」などに起因して、「老後資金」という言葉が注目を集めています。老後破産に陥らないためにも、夫婦で必要な老後資金を把握し、なるべく早くから準備して...

  • 老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳未満編)

    老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳未満編)

    住宅ローンの返済に追われて貯金する余裕がないと、老後に不安を感じるのではないでしょうか。さらに、自宅の住み替えを予定している場合は、より多くの資金を準備しなくてはなりません。現在の年齢が60代未満であれば、老後を迎えるまで一定の期間があるので、今のうちに住宅ローンを見直し、計画的に返済していけば、老後資金を確保することは十分に可能です。そこでこの記事では、60代未満の人が老後資金を確保するための住宅ローンの返済方法をパターン別に紹介します。 まずは住宅ローンの現状を整理する 住宅ローンを返済しながら老後資金を確保するために、まずは返済している住宅ローンの現状を整理することから始めましょう。具体的には、以下の項目について確認しておくことが大切です。 年齢(現在の年齢、完済予定年齢、退職希望年齢) 借入金額(当初の借入金額、現在の残債) 借入金利(変動金利の固定金利のどちらか) 返済期間(当初の借入期間、残りの返済期間) 余裕資金があるか 毎月の収支に余裕があるか これらの状況によって、最適な返済方法は変わってきます。金利や残返済期間、余裕資金があるかどうかによって、「借り換えを検討するか」「繰り上げ返済をするか」といった判断材料となるので、紙やテキストファイルに書き出して整理しておきましょう。 老後資金を確保するための住宅ローン返済方法をケース別に紹介 住宅ローンの金利や残りの返済期間、返済年齢、退職希望年齢などによって、最適な返済方法は異なります。ここでは、4つのケースについて、住宅ローンをどのように返済すべきかを説明します。 ①現在の借入金利が高く、残りの返済期間が長い場合 現在の住宅ローン金利が高く、返済期間が長く残っている場合は、住み替えの予定の有無によって対応が変わります。 住み替えの予定がない場合は、新たな住宅ローンに借り換えるのがおすすめです。借り換えによって金利が下がれば、月々の返済額や総返済額を減らせるので、結果として老後資金を確保しやすくなります。また、借り換え時に返済条件を変更して返済期間を短くすれば、完済時期を早めることも可能です。 一方、住み替えの予定がある場合は、そのまま返済を続けるのがおすすめです。住み替えの際には、現在所有している不動産を売却する費用に加え、新しく購入する不動産を購入する費用など多くの資金が必要となります。そのため、住宅ローンの返済を続けながら、余剰資金は住み替え予定の物件購入の頭金のために貯金しておくといいでしょう。 ②現在の借入金利が高く、残りの返済期間が短い場合 現在の住宅ローン金利が高く、残りの返済期間が短い場合は、そのまま返済を続けるのがおすすめです。手元資金に余裕があると、繰り上げ返済を検討するかもしれませんが、残債が少ないにも関わらず繰り上げ返済をしても、利息軽減効果はそれほど期待できません。そのままローン返済を続けながら、老後のために余剰資金を貯金に回すといいでしょう。 ③現在の借入金利が低く、残りの返済期間が長い場合 現在の住宅ローン金利が低く、残りの返済期間が長い場合は、退職希望年齢と住宅ローンの完済時年齢によって対応が変わります。 完済時年齢が退職希望年齢より遅い場合(退職希望年齢<完済年齢)、手元資金に余裕があるなら期間短縮型の繰り上げ返済がおすすめです。期間短縮型とは、毎月の返済額は変わりませんが、残りの返済期間が短くなる繰り上げ返済方法です。繰り上げ返済によって、短縮された期間の支払利息が減るので、総返済額を減らしながら完済までの期間を早めることができます。しかし、余裕資金がなければそのまま返済を続け、余剰資金ができたタイミングで繰り上げ返済を検討しましょう。 一方で、完済年齢が退職希望年齢より早い場合(退職希望年齢>完済年齢)は、そのまま返済を続けるのがおすすめです。住宅ローンは各種ローンの中でも金利が低いため、繰り上げ返済をしたとしても効果がほとんどないこともあります。予定どおり返済を続ければ、退職時に住宅ローンを完済できるゆとりがある状態なので、住宅ローンについては特に手当てが必要ないでしょう。 ④現在の借入金利が低く、残りの返済期間が短い場合 現在の住宅ローン金利が低く、残りの返済期間が短い場合は、そのまま返済を続けるのがおすすめです。すでに金利が低く、残債も少ないので、繰り上げ返済や借り換えを検討する必要性は低いでしょう。 老後資金を確保するための住宅ローン返済事例 ここでは、住宅ローンの返済方法の見直し事例を2つ紹介します。 事例①:住み替えの予定がないので、住宅ローンの借り換えを実行 Aさんの住宅ローンの状況 年齢45歳 借入金額3,000万円(残2,000万円) 借入金利2% 返済期間30年(残18年) Aさんは住み替えを予定していないため、より多くの老後資金を確保するために住宅ローンの借り換えを行いました。3,000万円を金利2%(期間30年)で借りて12年間返済してきており、残債は約2,000万円、残りの返済期間は18年です。この状況で、2,000万円を金利1%(期間18年)の条件で借り換えるときの効果は以下のとおりです。 毎月の返済額:約11万円→約10万円(約1万円減) 総返済額:約2,360万円→約2,190万円(約170万円減)※手数料は考慮外 現在より低金利の住宅ローンに借り換えることで、総返済額を約170万円減らすことができました。 事例②:退職前の住宅ローン完済を目指して繰り上げ返済を実行 Bさんの住宅ローンの状況 年齢52歳 借入金額4,000万円(残2,300万円) 借入金利2% 返済期間30年(残15年) 住宅ローンを返済中のBさんは、このままでは65歳の退職希望年齢後も返済が続くため、退職前のローン完済を目指して期間短縮型の繰り上げ返済を行いました。4,000万円を金利2%(期間30年)で借りた住宅ローンについて、16年1ヵ月目に500万円を期間短縮型で繰り上げ返済したときの効果は以下のとおりです。 借入期間:30年→26年5ヵ月(3年7ヵ月短縮) 総返済額:約5,330万円→約5,190万円(約140万円減)※手数料は考慮外 繰り上げ返済によって借入期間を約3年半短縮でき、総返済額を約140万円減らすことができました。 まとめ 住宅ローンの現状を整理し、計画的に返済していけば、ローン返済を続けながら老後資金を確保できます。60代未満の人は、老後までの時間が残されているうちに住宅ローンの見直しを行ってみてはいかがでしょうか。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳未満編) 住宅ローンの返済に追われて貯金する余裕がないと、老後に不安を感じるのではないでしょうか。さらに、自宅の住み替えを予定している場合は、より多くの資金を準備しなくてはなりません。現在の年齢が60...