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シニア向け分譲マンションは、高齢者向けのマンションです。シニア向け分譲マンションに限らず、高齢者向け住宅にはさまざまな種類があるため、他の住宅との違いを理解しておくことが大切です。この記事では、シニア向け分譲マンションの特徴や、メリットとデメリットについて解説します。 シニア向け分譲マンションとは? シニア向け分譲マンションとは、高齢者が住みやすいように配慮された分譲マンションです。高齢者向けの設備やサービス、共用施設が充実しており、法律上は一般的な分譲マンションと変わりません。 購入後は物件の所有権を取得するため、売却や賃貸への転用が可能です。また、所有者が死亡した場合は相続が発生します。入居条件はマンションによって異なりますが、基本的には自立した生活ができる高齢者が対象です。入居後に介護が必要になった場合は、外部の業者に介護サービスを依頼する必要があります。 入居時点で要支援、要介護の認定を受けていても、入居可能な物件もありますが、基準はマンションによって異なります。介護度によっては入居が難しい場合もあるため、事前に入居条件を確認しておくことが大切です。 シニア向け分譲マンションのメリット シニア向け分譲マンションには、以下のようなメリットがあります。 バリアフリー化されている シニア向け分譲マンションは、高齢者が安全に生活できるように室内や共用部分がバリアフリー化されています。つまずいて転倒しないように手すりが設置されていたり、間取りも広めにとられていたりするため、老後も生活しやすいでしょう。 高齢者向けサービスを利用できる シニア向け分譲マンションには、高齢者向けのサービスが付随しています。例えば、レストランでの食事提供や見守りサービス、生活相談などの高齢者向けサービスを利用できるマンションもあります。なお、具体的なサービス内容は施設によって異なるので注意が必要です。 また、医療、介護サービスを利用する場合、基本的には自分で外部の業者を探して契約しなくてはなりません。ただし、入居者が円滑に医療、介護サービスを受けられるように、マンションが外部の医療機関や介護事業者と提携している場合もあります。 共用施設が充実している シニア向け分譲マンションは、温泉やレストラン、フィットネスジムなどの共用施設が充実しています。図書館やプール、ゲストルーム、カラオケ、シアタールームなどが利用できるマンションもあるため、趣味を充実させたい人に向いているでしょう。コンシェルジュが常駐しており、困ったことがあればすぐに対応してもらえる物件もあります。 シニア向け分譲マンションのデメリット 一方で、シニア向け分譲マンションには以下のようなデメリットもあります。 費用が高い シニア向け分譲マンションは設備やサービスが充実している分、その維持費のために一般的な分譲マンションよりも費用は高くなります。費用相場は以下のとおりです。 物件価格:数千万円~数億円 月額利用料:10~30万円 分譲形式のため、家賃を払うのではなく、物件を購入することになります。住宅ローンを組むことも可能ですが、金融機関に相談したうえで、無理のない返済計画を立てる必要があるでしょう。 月額利用料の中には、管理費や修繕積立金、食費、水道光熱費、その他サービス利用料などが含まれます。マンションによって料金が異なるため、金額や内訳を確認しておくことが大切です。入居中に介護が必要になった場合は、介護サービス費の負担も追加で発生します。 選択肢が少ない シニア向け分譲マンションは、一般的な分譲マンションに比べて選択肢が少なくなります。また、市場が未成熟で供給戸数はそれほど多くないため、売却したいと思っても簡単に買い手が見つからない恐れがあります。介護施設などへの移動が必要になった場合、なかなか売却できずに困るかもしれません。 シニア向け分譲マンション以外の選択肢 老後の住まいとして高齢者向け住宅を検討する場合、シニア向け分譲マンションの他に以下のような選択肢があります。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、高齢者が住みやすいように配慮された賃貸住宅です。一般的な賃貸住宅と同じように、毎月賃料を払って利用します。バリアフリーに対応しており、安否確認と生活相談の提供が義務付けられているのが特徴です。 所有権は得られませんが、その分シニア向け分譲マンションに比べると費用負担を抑えられます。死ぬまで住み続けられるか不安に思うかもしれませんが、「終身建物賃貸借契約」を選択できる施設であれば、死ぬまで住み続けることが可能です。 関連記事はこちら終身建物賃貸借契約とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説 シニア向け分譲マンションと同様、自立した生活ができる高齢者が対象であるため、医療、介護サービスを受けるには外部業者との契約が必要です。ただし、施設内で必要な介護サービスを受けられる「特定施設」の指定を受けているサ高住もあります。 関連記事はこちらサービス付き高齢者向け住宅とは?入居条件や費用を解説 有料老人ホーム 有料老人ホームとは、介護サービスや生活支援などのサービスを受けられる居住施設です。「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類があります。介護付と住宅型は介護サービスを受けられます。健康型は自立した生活ができる高齢者が対象で、要介護となった場合は退去しなくてはなりません。 入居一時金と月額利用料が必要で、金額は施設によって異なります。契約方法は、利用権方式や建物賃貸借方式、終身建物賃貸借方式があります。利用権方式の場合は、入居時に一時金を払うことによって、専用居室や共用施設などを利用できる権利が保障されます。 関連記事はこちら有料老人ホームとは?費用やサービスをわかりやすく解説 まとめ シニア向け分譲マンションは高齢者に配慮した設備やサービスに加えて、温泉やフィットネスジムなどの共用施設も充実しています。一般的な分譲マンションに比べると費用は高めですが、趣味を充実させたい人に向いているでしょう。 サ高住や有料老人ホームとの違いを理解したうえで、老後の住まいとしてシニア向け分譲マンションを検討してみてはいかがでしょうか。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 老後に豊かな生活を送るには、ライフスタイルに合わせて住まいを選ぶ必要があります。しかし、住まいを選ぶ際には多くの選択肢があるので、どのように選べばよいかわからないのではないでしょうか。 老後...記事を読む
有料老人ホームは、さまざまな種類や提供サービスの違いから、詳しくはわからないという人も多いでしょう。また、高齢者向けの住宅は、有料老人ホーム以外にも複数の形態があるので、検討の際には詳しく理解しておく必要があります。 この記事では、有料老人ホームの入居条件や費用、利用状況などを詳しく解説します。 有料老人ホームとは 「有料老人ホーム」とは、老人福祉法第29条第1項の規定に基づき、高齢者の心身の健康保持及び生活の安定のために設置される施設です。老人を入居させたうえで以下のいずれかのサービス(複数可)を提供している施設を、有料老人ホームと呼びます。 食事の提供 介護(入浴・排泄・食事)の提供 洗濯・掃除等の家事の供与 健康管理 なお、根拠法である老人福祉法では、「老人」という言葉に、年齢等の具体的な条件は定義されていません。 有料老人ホームの類型 有料老人ホームは、「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3つの類型に分けられます。 介護付有料老人ホーム 介護付有料老人ホームは、介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護等が必要となっても、施設が提供する介護サービスである「特定施設入居者生活介護」を利用しながら、施設での生活を継続することが可能です。 住宅型有料老人ホーム 住宅型有料老人ホームは、生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護が必要となった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら、施設の生活を継続することが可能です。 健康型有料老人ホーム 健康型有料老人ホームは、食事等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護が必要となった場合には、契約を解除し退去しなければなりません。 有料老人ホームの費用 有料老人ホームの費用について、根拠法である老人福祉法の第29条で以下のとおり定められています。 有料老人ホームの設置者は、家賃、敷金及び介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価として受領する費用を除くほか、権利金その他の金品を受領してはならない。 出典)老人福祉法(e-Gov法令検索) この定義からわかるように、有料老人ホームでは、施設の利用上必要となる範囲の費用しか、基本的にはかかりません。厚生労働省の「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」によると、利用料が以下のとおり定められています。 家賃 家賃は、施設の整備に要した費用、修繕費、管理事務費、地代に相当する額等を基礎として合理的に算定され、近傍同種の住宅の家賃から算定される額を大幅に上回らないこと (厚生労働省の令和3年度調査*によると、介護付は月84,790円、住宅型は月40,926円) 敷金 敷金を受領する場合には、その額は6か月分を超えないこととし、退去時に居室の原状回復費用を除き全額返還すること (厚生労働省の令和3年度調査*によると、介護付は月94,710円、住宅型は月45,367円) サービス費用 サービス費用は、入居者に対するサービスに必要な費用の額(食費、介護費用その他の運営費等)を基礎とする適切な額とすること (厚生労働省の令和3年度調査*によると、介護付は月122,457円、住宅型は月72,480円) ※令和3年度「高齢者向け住まいにおける運営形態の多様化に関する実態調査研究事業」報告書を参考としています。健康型のデータがないのは、健康型は施設数が他2類型と比較してかなり少ないため、十分な調査ができなかったものと推測されます。 有料老人ホーム入居時の前払い金 上述の主な費用に加えて、入居時に終身にわたって受領すべき家賃又はサービス費用の全部又は一部を前払金として一括して受領する、前払い方式を採用している施設もあります。前払金がない施設もあれば、1,000万円を超える施設もあります。前払金は老人福祉法の第29条で以下のとおり定められています。 有料老人ホームの設置者のうち、終身にわたって受領すべき家賃その他厚生労働省令で定めるものの全部又は一部を前払金として一括して受領するものは、当該前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ、当該前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならない。 出典)老人福祉法(e-Gov法令検索) また、厚生労働省の「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」によると、基本的な前払金の算定方法を以下のとおり記載されています。 ①期間の定めがある契約の場合 (1ヶ月分の家賃又はサービス費用)×(契約期間(月数)) ②終身にわたる契約の場合 (1ヶ月分の家賃又はサービス費用)×(想定居住期間※(月数))+(想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備えて受領する額) ※想定居住期間は、入居者の終身にわたる居住が平均的な余命等を勘案して想定される期間と、同指導指針内で定義されています。 有料老人ホームの費用を抑える方法 有料老人ホームに入居する場合、以下の制度を利用することで、入居中の費用を抑えられる可能性があります。 高額介護サービス費制度 月々の利用者負担額(福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く。)の合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合、その超えた分が介護保険から支給される制度です。詳細な上限額(月額)は以下のとおりです。 ・高額介護サービス費制度の負担の上限額(月額) ※厚生労働省ホームページを基に編集者作成 支給対象者には、各自治体から高額介護サービス費支給申請書が送られてきます。受け取ったらしっかりと申請手続きを行いましょう。 高額医療、高額介護合算制度 同じ医療保険の世帯内で、医療保険と介護保険両方に自己負担が生じた場合は、合算後の負担額が軽減されます。決められた上限額(年額)を500円以上超えた場合、医療保険者に申請をすると超えた分が支給されます。詳細な上限額(年額)は以下のとおりです。 ・高額医療、高額介護合算制度の負担の上限額(年額) ※厚生労働省ホームページを基に編集者作成 合算期間は8月1日から翌年の7月31日までの1年間で、各自治体の窓口に申請することで利用することができます。 その他の老健施設との違い 一般的に老人ホームと呼ばれるものの中には、有料老人ホーム以外の施設も存在します。どのような施設があるのかを紹介します。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) サービス付き高齢者向け住宅は、「状況把握サービス、生活相談サービス等の福祉サービスを提供する住宅」です。有料老人ホームとは異なり、1日のスケジュールが決められているわけではないため、食事や入浴の時間などは自分のペースで決められます。 見守りサービスや生活相談といったサービスが付いているので、一人暮らしに不安を感じられている方にとって、適度なサポートを受けながら自由な暮らしができます。 関連記事はこちらサービス付き高齢者向け住宅とは?入居条件や費用を解説 特別養護老人ホーム(特養) 特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設とも呼ばれており、要介護状態の高齢者が入居できる公的施設であるのが特徴です。公的施設という性質上、民間の有料老人ホームと比べると安い費用で入所できます。 ただし、人気があるので申請から入所まで、時間がかかってしまう点に注意しておきましょう。 関連記事はこちら特別養護老人ホームとは?費用や入居条件、サービス内容を解説 まとめ 有料老人ホームには3つの類型があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。生活状況や介護の有無、将来的な費用負担なども考慮し、利用する施設を検討することが大切です。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説 誰でも年をとると、身の回りのことができなくなったり、思ったようにできなくなったりしていきます。体が弱ってきたとき、あるいは要介護状態になったとき、自宅以外の住まいの選択肢として、どのような候...記事を読む
サービス付き高齢者向け住宅とは、サ高住とも呼ばれる高齢者のための集合住宅です。サービス付き高齢者向け住宅への入居を検討しているなら、あらかじめ必要な情報を集めておくことが大切です。 この記事では、サービス付き高齢者向け住宅の入居条件や費用、利用状況などを詳しく解説します。 サービス付き高齢者向け住宅とは サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、「状況把握サービス、生活相談サービス等の福祉サービスを提供する住宅」です。「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」に基づき、都道府県から登録を受けた住宅をサービス付き高齢者向け住宅と呼びます。 サービス付き高齢者向け住宅の登録基準は以下のとおりです。 住宅に関する基準 サービス付き高齢者向け住宅では、高齢者が生活するのに相応しい規模と設備を確保する目的で、住宅に関する基準が設けられています。詳細は以下のとおりです。 各専用部分の床面積は、原則25㎡以上(※1) 各専用部分に、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備えたものであること(※2) バリアフリー構造であること ※1:ただし、居間、食堂、台所そのほかの住宅の部分が、高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合は18㎡以上 ※2:ただし、共用部分に共同して利用するため適切な台所、収納設備または浴室を備えることにより、各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保される場合は、各戸に台所、収納設備または浴室を備えずとも可 サービスに関する基準 サービス付き高齢者向け住宅では、専門家が日中建物に常駐してサービスを提供することが、認定の基準となっています。サービス内容は、安否確認と生活相談の2つが必須のサービスとして定められています。 なお、施設によって違いがありますが、食事の提供などの生活支援サービスを提供している施設もあります。実際に入居を検討する際には、どういったサービスが受けられるのかを施設に確認しておくことが大切です。 契約内容に関する基準 サービス付き高齢者向け住宅では、高齢者が安心して長く住み続けられるように、契約内容に関する基準も設けられています。いくつか抜粋して紹介します。 専用部分が明示された契約であること 長期入院などを理由に事業者から一方的に解約できないことになっている等、居住の安定が図られていること 敷金などの、家賃、サービスの対価以外の金銭を受領しないこと サービス付き高齢者向け住宅の入居条件 サービス付き高齢者向け住宅の入居対象者は、「60歳以上の方」もしくは「要介護、要支援認定を受けている60歳未満の方」です。ただし、施設によっては、認知症や感染症に関する独自の入居条件を追加している施設もあります。申し込みの前に確認しておきましょう。 同居者の入居条件 サービス付き高齢者向け住宅では、一定の条件を満たせば同居することも可能です。同居者の入居条件は以下のとおりです 入居者の配偶者 60歳以上の入居者の親族 要介護、要支援認定を受けている入居者の親族 特別な理由で知事から認められている者 なお、施設によっては2人部屋がなく、部屋が別々になることもあります。あらかじめ施設に確認しておくといいでしょう。 サービス付き高齢者向け住宅の入居費用 サービス付き高齢者向け住宅は、賃貸借契約を事業者と締結して入居する形となるため、初期費用や毎月の家賃などが発生します。国土交通省が公表している資料によると、令和2年8月時点でのサービス付き高齢者向け住宅の入居費用は概ね10万円前後です。 ・サービス付き高齢者向け住宅の入居費用 出典)厚生労働省「第5回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料」 なお、サービス付き高齢者向け住宅では、上図の費用に含まれない「家賃、サービスの対価以外の金銭」を受領しないことが、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)で定められています。 サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームとの違い 有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違いは、下図のようになります。 ・図:有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い ※厚生労働省が公表している図を元に編集者が作成 サービス付き高齢者向け住宅のうち約96%が有料老人ホームにも該当することが分かっています。 高齢者向け施設のうち、①食事の提供、②介護(入浴、排泄、食事)の提供、③洗濯や掃除等の家事の供与、④健康管理のいずれかをひとつでも提供していれば、有料老人ホームと呼ばれます。 この4つのサービスは、どれもサービス付き高齢者向け住宅と認定されるために必要なサービスに含まれません。しかし、サービス付き高齢者向け住宅の約96%が①食事の提供、を行っており、結果的に有料老人ホームにも該当するのが実態です。 介護が受けられるサービス付き高齢者向け住宅とは 上図の「有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い」のとおり、サービス付き高齢者向け住宅の中には、特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設も一定数存在します。 平成26年の国土交通省の調査によると、「特定施設入居者生活介護の指定を受ける予定はない」と回答したサービス付き高齢者向け住宅が95.1%と多数を占めていることが分かっています。 約10年前の調査結果ではありますが、特定施設入居者生活介護の指定を受けたサービス付き高齢者向け住宅が少数である状況は、現在も大きくは変わっていないと推測されます。 サービス付き高齢者向け住宅の利用者 国土交通省が公表している「サービス付き高齢者向け住宅の現状等」を基に、入居者の要介護度や年齢の分布を紹介します。自分の状況が、サービス付き高齢者向け住宅の利用者の状況に該当するかを、参考にすることもおすすめです。 要介護度 サービス付き高齢者向け住宅の入居者を要介護度別で見ると、どの区分も一定数入居していることが分かります。 ・サービス付き高齢者向け住宅入居者の要介護度別比率 出典)厚生労働省「第5回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料」 ※編集者が一部加工 年齢 入居者の年齢は、85歳以上が全体の57.3%と最も高く、75~84歳も30.8%となっており、全体の約9割が75歳以上であることが分かります。 ・サービス付き高齢者向け住宅入居者の年齢別比率 出典)厚生労働省「第5回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料」 サービス付き高齢者向け住宅の利用が向いている人 サービス付き高齢者向け住宅に向いている人は、「自立した生活を送りたい人」です。サービス付き高齢者向け住宅はあくまでも「状況把握サービス、生活相談サービス等の福祉サービスを提供する住宅」であり、基本的に24時間の医療体制や充実した介護サービスが付いている施設ではありません。 そのため、申し込み時点で介護なしで生活するのが困難な人や、健康面の不安を抱えており、常に見守りを必要としている人は、サービス付き高齢者向け住宅ではなく、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームを検討する方が安心して生活できる可能性があります。 ただし、サービス付き高齢者向け住宅は要介護度の高い人が住めない施設ではありません。自身の希望や健康状態を考慮したうえで、施設選びを行いましょう。 >特別養護老人ホームとは? まとめ サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリーに配慮した設計になっており、見守りサービスや生活相談などに対応してくれるのが特徴です。自立した生活を送りながらも、適度なケアを受けたいという方は、サービス付き高齢者向け住宅の利用を検討してみましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 介護老人保健施設とは?費用や入所条件をわかりやすく解説 介護老人保健施設は、介護保険施設のひとつです。老健とも称され、介護保険法に基づいてサービスが提供されます。介護老人保健施設への入所を検討しているなら、あらかじめ必要な情報を集めておくことが大...記事を読む
介護老人保健施設は、介護保険施設のひとつです。老健とも称され、介護保険法に基づいてサービスが提供されます。介護老人保健施設への入所を検討しているなら、あらかじめ必要な情報を集めておくことが大切です。 この記事では、介護老人保健施設の特徴や費用、入所条件などの基本的な内容と、施設を選ぶ際のポイントと注意点について解説します。 介護老人保健施設とは 介護老人保健施設とは、要介護者を対象に、在宅復帰や在宅療養支援を行うための施設です。リハビリを中心とした心身の機能維持と改善の役割を担っており、長く入所することを目的とした施設ではありません。介護保険法では、次のように定義されています。 介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。(介護保険法第8条第28項) 出典)e-Gov法令検索「介護保険法」 介護老人保健施設は、施設の人員数や設備の基準が厚生労働省によって細かく定められています。 施設の人員数に関する基準 介護老人保健施設は、厚生労働省によって、サービスを提供するうえでの必要な人員が、以下のとおり定められています。 ・介護老人保健施設の人員基準 出典)厚生労働省「介護老人保健施設(参考資料)」 介護老人保健施設は常勤の医師がおり、看護職員もしくは介護職員が24時間常駐しています。夜間対応の体制が整えられているため、専門職員による医療ケアを受けられます。 施設及び設備に関する基準 介護老人保健施設は、厚生労働省によって、サービスを提供するうえでの必要な設備が、以下のとおり定められています。 ・介護老人保健施設の施設及び設備 出典)厚生労働省「介護老人保健施設(参考資料)」 介護老人保健施設は入所者が適切な環境で過ごせるよう、設備にも基準が設けられています。適切な環境で専門職員による、介護やリハビリ等のサービスを受けられます。 介護老人保健施設の費用 介護老人保健施設にかかる費用は、「施設サービス費」「居住費と食費」「その他日常生活費」の大きく3つに分けられます。 まず、「施設サービス費」は、介護保険の対象となるサービスに該当するため、利用者の自己負担額は1割~3割です。自己負担の割合は所得があるか否か、などによって変わります。たとえば、要介護5の人が多床室を利用し、自己負担額を1割とした時、1か月の自己負担額の目安は、約25,200円です。 次に、「居住費や食費」「その他日常生活費」は、介護保険の対象外となるため、全額が自己負担です。前述と同様に、たとえば、要介護5の人が多床室を利用した場合、居住費が約25,650円、食費が約43,350円、日常生活費が約10,000円です。 つまり、自己負担額1割の要介護5の人が介護老人保健施設の多床室を利用する場合、1か月の負担額は約104,000円です。なお、介護老人保健施設にかかる費用として、実際に自己負担額として支払った金額は、全て医療費控除の対象となります。 出典)厚生労働省「サービス利用者の費用負担等」 介護老人保健施設の入所条件 介護老人保健施設の「入所条件」として、一律で定められた案内はありません。一方で、介護老人保健施設を利用できる人は、前述のとおり「要介護者である」ことが条件となっています。そのため、要介護認定を受けていない人の最初の手続きは、「要介護認定を受けること」になるでしょう。 要介護認定の手続きは、市区町村を通じて以下の手順で行います。 市区町村の窓口に要介護認定の申請を行う 認定調査員が自宅を訪問し、認定調査を行う 主治医に意見書を作成してもらう 要介護度が判定される 結果が通知される 入所者の要介護度の情報 厚生労働省が公表している、介護老人保健施設の要介護度別の入所者数のグラフを紹介します。結果は以下のとおりです。 ・介護老人保健施設の要介護度別の入所者数 出典)厚生労働省「介護老人保健施設(参考資料)」 まずは、いずれの要介護者も年々増加していることがわかります。これは、日本人の平均年齢が上がっていることからも、当然の結果と言えるでしょう。また、介護度に注目すると、要介護1が少ないことが分かります。これは、要介護1の状況は軽度であるため、介護老人保健施設を利用するまでもないと考えている人が多いからかもしれません。 介護老人保健施設を選ぶポイント 介護老人保健施設を選ぶときは、事前に押さえておくべきポイントがあります。 在宅復帰率を確認する 在宅復帰率とは、介護老人保健施設を退所して、在宅の暮らしに復帰できた割合を示すものです。介護老人保健施設はリハビリなどの医療ケアを通じて、在宅復帰を目指すことを目的としています。そのため、リハビリを受けた結果、どれくらいの割合で自宅に戻れるのかが、介護老人保健施設を選ぶポイントになります。 厚生労働省の公表している「介護老人保健施設における看取りの基本的な方針について」の調査結果によると、在宅復帰率が高い施設は積極的に施設内見取りを行っている傾向がある、という結果が出ています。 ・介護老人保健施設における看取りの基本的な方針について 出典)厚生労働省「介護老人保健施設(参考資料)」 看取りの方針を確認する 介護老人保健施設に入所後、必ずしも自宅に戻れるとは限りません。そのため、看取りに関する施設側の対応方針も確認しておきましょう。看取り対応の有無や、どのような体制で看取りを行ってもらえるかなど、細かな部分まで疑問点を解消しておきましょう。 事前に見学をする 施設を選ぶときは、できるだけ事前に見学を行うと安心です。実際に目でみることで、ホームページの情報だけでは分からない部分にも気付けます。見学を行う際は、入所者の様子や職員の対応、施設の清潔感や設備の安全性などを確認しましょう。気になる点は職員に直接尋ねられるので、不安の解消にも繋がります。 介護老人保健施設を利用する際の注意点 介護老人保健施設を利用する際、注意しておきたい点もあります。 入所期間が限られる 介護老人保健施設の入所期間は、原則として3ヶ月です。入所期間が限られているのは、自宅への復帰を目的としたリハビリサービスの提供が中心であるためです。そのため、退所後にどのようなサポートを受けるか、についてもあらかじめ検討しておきましょう。 生活面のサービスが不十分である あくまで、リハビリサービスの提供を行う施設であるため、生活支援としての買い物や洗濯などには対応しない施設もあります。入所を検討している施設が、どの程度までの支援を受けられるのか、事前に確認しておきましょう。 投薬に制限がある 医療費や薬代は施設側が負担してくれる一方で、施設に相談することなく、薬の処方や診療を受けてしまうと、全額自己負担となることもあります。施設自体に診療や薬の処方を受けられる環境は整っていますが、必要な薬の種類や量によっては、制限を受ける恐れもあるので注意しましょう。 まとめ 介護老人保健施設は、介護保険法に基づく公的な施設であり、主にリハビリを中心にサービス提供を行っています。医師や看護師が常駐しており、利用者は手厚い医療ケアを受けられるのが特徴です。心身の機能維持と改善を図り、在宅復帰を目指すために上手に活用しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 特別養護老人ホームとは?費用や入居条件、サービス内容を解説 特別養護老人ホームは、公的施設という性質上、入居条件が細かく定められています。そのため、特別養護老人ホームの利用を検討する前に、そもそも自分が条件に合致しているのかを判断する必要があります。...記事を読む
特別養護老人ホームは、公的施設という性質上、入居条件が細かく定められています。そのため、特別養護老人ホームの利用を検討する前に、そもそも自分が条件に合致しているのかを判断する必要があります。 この記事では、特別養護老人ホームの入居条件やサービス内容、養護老人ホームとの違いなどを解説します。 特別養護老人ホームとは 特別養護老人ホームとは、要介護状態の高齢者が入居できる公的な介護施設です。在宅での介護が困難な高齢者が対象となっており、施設の目的が老人福祉法で定義されています。老人福祉法の記載内容を要約すると、以下のとおりです。 65歳以上の者であって、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なものを入所させ、養護することを目的とする(老人福祉法第11条の1、第20条の5) 出典)e-Gov法令検索(老人福祉法) 特別養護老人ホームの入居条件 特別養護老人ホームの入居条件は、基本的に要介護度によって決められています。 要介護3以上 要介護3以上の認定を受けている方であれば、40歳からでも特別養護老人ホームへの入居が可能です。要介護3は自力での立ち上がりや歩行が困難であり、認知症の症状が見られるなど、食事や排泄など身の回りのことのほとんどに介護が必要な状態をいいます。 要介護1〜2 特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の方を対象としていますが、特例によって要介護1~2の場合であっても入居できる場合があります。主な入居条件は以下のとおりです。 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること 要介護1とは、日常生活における部分的な介護が必要な状態をいいます。具体的には、起き上がりや立ち上がり、買い物などに介助が必要な状態です。 要介護2も部分的な介護が必要であり、要介護1と比べて歩行や薬の服用、金銭管理などが自力でできないことが増えるため、見守りや介助が必要な状態をいいます。 出典)厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」の一部改正について(通知) 特別養護老人ホームで受けられる7つのサービス 特別養護老人ホームでは、生活全般に関するさまざまなサービスが受けられます。具体的に提供されている7つのサービスについて解説します。 ①食事 特別養護老人ホームでは、入居者の健康状態や好みを考慮した栄養バランスのとれた食事が提供されます。入居者にとって食事は楽しみのひとつであるため、季節に応じた食事や誕生日の特別食など、栄養士が献立を立てて調理しています。 できるだけ家庭と同じような時間帯に食事は提供され、自立を促すために離床して食事ができるようにサポートしてくれます。 ②排泄 排泄に関しては、入居者の身体能力を考慮した上で必要な介助を行っています。尿意や便意がなくても、排尿・排便間隔を把握してトイレへと誘導するケースが多いです。 自力で移動が可能な方にはトイレで排泄するように促し、ベッドから動けない寝たきりの場合はベッド上で排泄の介助を行ってもらえます。 ③入浴 一般的に、多くの事業所で入浴回数は週2回以上となっています。体調不良で入浴できないときには、体を清拭して衛生状態を保つなど、入居者の状況に応じた対応をとってもらえるので安心です。 また、寝たきりの場合でも機械浴槽で入浴することができ、しっかりとケアを行ってもらえます。 ④リハビリ 食事や排泄など、日常生活を送る上で必要な機能の維持、回復を図るために入居者の状況に応じたリハビリを行っています。手先を動かす遊びや体操など、レクリエーションも兼ねたリハビリも取り入れられています。 ⑤生活支援 居室などの掃除は定期的に行われており、清潔な住空間が保てるように配慮されています。洗濯サービスは無料で提供される場合が多く、生活支援のサービスは充実しています。 ⑥レクリエーションやイベント 手先や身体を使うゲームなど、リハビリの一環としてレクリエーションが行われています。季節に応じたイベントや誕生日会などが積極的に開催されており、お花見や紅葉狩りなどの外出の機会も設けられているので、ストレスの解消につながる工夫がなされています。 ⑦医療ケア 医療ケアについてはすべての処置が行えるわけではありませんが、とこずれの処置やたんの吸引、胃ろうの対応などが可能です。医師や看護職員によって対応が行われ、緊急時や夜間にも対応できる体制が整えられています。 特別養護老人ホームのメリット 特別養護老人ホームを利用するメリットは以下のとおりです。 費用が安い 特別養護老人ホームの特徴として、入居一時金が不要であったり、費用が所得に応じて減免されたりする点があげられます。低所得の方であっても入居しやすい仕組みが整えられており、有料老人ホームよりも費用は安く抑えられるでしょう。 24時間介護が受けられる 特別養護老人ホームは、24時間体制で介護を受けられます。夜間においても、入居者25~30名に1人の割合で介護士を配置することが基準として定められているため、夜間の緊急対応なども行ってもらえます。 看取りが可能な場合がある 厚生労働省は、特別養護老人ホームが要介護高齢者のための施設であることから、看取りの体制を整えることを重要視しています。そのため、特別養護老人ホームの中には看取りが可能な施設も一定数存在します。 特別養護老人ホームのデメリット 特別養護老人ホームを利用するデメリットは以下のとおりです。 入居待ちが生じる恐れがある 特別養護老人ホームは、費用面や手厚いサービスなどを理由として、入居希望者が多い施設です。厚生労働省の令和4年度調査によると、全国の2022年4月時点で入居申込済みだが、入居できていない人数は、要介護3以上の方で約25.3万人、要介護2以下の方で約2.2万人いると公表されています。調査結果からも分かるとおり、入居待ちの待機時間が生じる恐れがあると考えられます。 なお、入居の難易度は地域によって異なるので、希望する地域の入居状況を事前に確認しておきましょう。 医療ケアに限界がある 特別養護老人ホームはあくまで介護施設であり、医療機関ではありません。24時間必ず看護師が常駐している施設ではないため、施設内での緊急対応が難しい場合もあるでしょう。 また、医療ケアについても施設内に万全の体制が整っているわけではなく、緊急時は近隣の病院へ搬送しなければならない場合もあります。 年金だけで特別養護老人ホームへ入れる? 厚生労働省年金局が2022年12月に公表した「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、2021年度の厚生年金保険における老齢年金受給額は平均月額14万5,665円(年額174万7,980円)となっています。一方、国民年金保険の老齢年金では平均月額5万6,479円(年額67万7,748円)です。 特別養護老人ホームの年間費用は、厚生労働省の目安によれば月額14万1,430円程度(年額169万7,160円、要介護5の方がユニット型個室を利用したケース)となっています。個室や相部屋などの住環境によって自己負担額に違いはありますが、国民年金だけですべてをまかなうのは難しい部分があるといえるでしょう。 出典)令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況 特別養護老人ホームと養護老人ホームの違いは? 特別養護老人ホームと名称がよく似ている施設として、養護老人ホームがあります。それぞれの入居条件やサービス内容などの違いは以下のとおりです。 特別養護老人ホーム 養護老人ホーム 施設の目的 要介護高齢者にリハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設 環境的、経済的に困窮した高齢者の入所施設 入居条件 原則として、要介護3以上であること 原則として、自立して生活していること サービス内容 身体介護を中心とした自立支援 食事の提供や健康管理などの自立支援 上記のように、特別養護老人ホームは要介護認定を受けた高齢者の身体介護を中心とした自立支援を行う施設です。一方、養護老人ホームは経済的に困窮しているものの、自立して生活している高齢者を社会復帰させるための施設です。 また、両者は施設の目的や対象者、入居条件などが異なる施設であり、選ぶ基準として「介護の有無」があげられます。介護が必要かどうかで、どちらの施設を選ぶべきかを判断してみましょう。 まとめ 特別養護老人ホームは公的施設であるため、有料老人ホームなどと比べると費用が安く、看取りが可能な施設もあるので人気です。一方で、入居待ちが生じている点や医療ケアに限界がある点などに注意が必要です。特別養護老人ホームの基本的な特徴を把握した上で、自分にあった施設かどうかを検討してみましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老人ホームや介護施設にかかる費用、選び方を解説 老後の住まいを考えたとき、老人ホームや介護施設などの、高齢者向け住宅を検討するかもしれません。一方で、これらの施設にかかる費用がいくらなのか、そもそもどのような人が、どのような施設を選ぶべき...記事を読む
戸建て住宅は床面積が広く、間取りの自由度が高いことから、ファミリー層を中心に人気があります。しかし、マンションに比べると、セキュリティ面で不安を感じる人もいるでしょう。戸建てに安心して住むには、どんな防犯対策をすればよいのでしょうか。 この記事では、戸建ての防犯対策で行うべきことや注意点を場所別に紹介します。 戸建て住宅への侵入犯罪の現状 警察庁の調査によると、侵入窃盗の発生場所は、戸建て住宅が33.0%で最も多く、全体の1/3を占めています。 また、侵入強盗の発生場所は、戸建て住宅が17.6%と、商店に次いで多い結果となっています。 これらの結果から、戸建てに住むなら防犯対策は必須といえるでしょう。 出典)警察庁「住まいる防犯110番」 戸建ての防犯対策で行うべきこと 空き巣などの被害を防ぐには、侵入されないように、ドアや窓を中心に防犯対策を行うことが重要です。 ドアの防犯対策 ドアからの侵入を防ぐためにできる対策は主に以下のとおりです。 <ドアの防犯対策> 補助錠を取り付ける ガードプレートを取り付ける CP部品に交換する すでに備え付けられている鍵(主錠)とは別に、補助錠を取り付けると侵入に時間がかかるため、空き巣は嫌がります。外から鍵が2つあることが分かれば、防犯効果はより高くなるでしょう。 ガードプレートとは、ドア枠とドアの隙間を埋めるためのプレートです。ドア枠とドアの隙間があるとバールなどの工具を差し込まれ、ドア錠を破壊される恐れがあります。 防犯性の高いCP部品のドアに交換するのも有効です。CP部品とは、警視庁などの関係省庁と民間団体が、一定の防犯性があると認定したうえで、防犯性能の高い建物部品目録に掲載、公表した建物部品を指します。一般的な侵入手口に対して「5分以上」抵抗できる性能を有しているため、防犯効果が高いといえます。 出典)「防犯性能の高い建物部品」目録検索システム 窓の防犯対策 窓からの侵入を防ぐためにできる対策は主に以下のとおりです。 <窓の防犯対策> ロック付きのクレセント錠・補助錠を取り付ける 防犯フィルムを貼り付ける CP部品に交換する 空き巣は窓ガラスの一部を破って鍵を開け、室内に侵入するため、暗証番号などのロック付きクレセント錠や補助錠を取り付けることで、侵入に時間がかかります。また、防犯フィルムを貼っておくとガラスが割れにくくなります。ほかにも破壊するのに時間がかかる、CP部品の防犯ガラスなどを取り付けるのも有効です。 その他の防犯対策 その他にも、場所に応じて以下のような対策が考えられます。 <その他の防犯対策> センサー付きライトを設置する 庭先に砂利を敷く カメラ付きインターフォンを設置する 見通しのよいフェンスを設置する 侵入されやすい場所や死角にある勝手口などにセンサー付きライトを設置しておくと、人の動きを感知してライトが点灯します。庭先に砂利を敷き、踏むと音が出るようにしておくのも有効です。 カメラ付きインターフォンは屋内から訪問者の顔を確認できるため、知らない人が訪問してきてもドア越しに対応可能です。また、空き巣は周囲の目を気にします。見通しのよいフェンスを設置しておけば、侵入しても外から視認できるため、一定の防犯効果が期待できるでしょう。 ホームセキュリティの導入も選択肢 防犯対策をさらに強化したい場合は、ホームセキュリティを導入するのも選択肢です。セキュリティシステムが自宅を24時間365日監視し、侵入などの異常を感知すると、「警報を鳴らす」「警備会社へ自動通報して警備員が駆けつける」などの対応をしてくれます。 ホームセキュリティの料金やサービス内容は会社によって異なるため、比較・検討してみましょう。 戸建ての防犯対策で注意すべきこと 戸建ての防犯対策では、日々の心掛けも重要です。侵入を防ぐために注意しておきたいことは主に以下のとおりです。 短時間の外出でも確実に戸締りをする 侵入犯罪は、鍵のかけ忘れにより発生することもあります。短時間の外出でも確実に戸締りを行い、トイレや格子のある浴室の窓の施錠も必ず確認しましょう。 玄関周辺に合鍵を置かない 敷地内の郵便受けなどに合鍵を置くのも危険です。鍵は家族が各自で持ち歩くようにしましょう。 足場になるものを置かない 敷地内に脚立、バケツなどを置いておくと、侵入の際に足場として使われる恐れがあるので、置いたままにしておかないことが大切です。 郵便受けに新聞を溜めない 郵便受けに新聞を溜めてしまうと、長期間留守にしていることが知られてしまいます。旅行などで長く家を空ける場合は、新聞の配達を止めてもらうように手配するといいでしょう。 まとめ 戸建てはマンションより侵入しやすいとされ、空き巣などの被害も比較的多く発生しています。マイホームとして戸建てを選ぶなら、場所に応じた防犯対策を行うことが重要です。戸建て住宅に安心して住み続けるために、防犯対策のポイントを理解しておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マイホーム選びのポイントは?購入経験者のアンケート結果もご紹介 マイホームは「人生最大の買い物」ともいわれます。一度購入すると簡単には手放せないため、「絶対に後悔したくない」と考える人も多いのではないでしょうか。希望条件が決まらない場合は、理想の暮らしを...記事を読む
マイホームは高額の買い物であるため、あらかじめ予算を決めておく必要があります。資金計画を立てずに購入し、住宅ローンの返済が滞るようなことがあれば、最悪の場合はマイホームを手放すことになるかもしれません。安心して住み続けるためにも、購入予算の決め方について理解しておくことが大切です。 この記事では、マイホームの購入予算や住宅ローンの頭金、借入金額の決め方を紹介します。 マイホームの購入に必要なお金は? マイホームの購入に必要なお金は、購入時にかかるお金と、購入後にかかるお金に分類できます。それぞれ詳しく見てみましょう。 マイホームの購入時にかかるお金 マイホームの購入時には、申し込みや契約時に支払う手付金や頭金と、住宅ローンの借入時に支払う諸費用が必要です。 手付金や頭金は、物件価格の10~20%が目安です。3,000万円の住宅を買うなら、頭金として300~600万円を用意します。ただし、不動産会社や物件によっては手付金が5%でもいい場合や、「100万円でも問題ない」という場合もあるので、自己資金を使いたくない場合には相談してみるといいでしょう。 一方、諸費用は物件価格の10%が目安です。具体的には、以下のような費用がかかります。 登記費用(所有権、抵当権設定) 司法書士報酬(登記を依頼) 契約書に貼付する収入印紙(印紙税) 住宅ローンの事務手数料・保証料 火災保険料 仲介手数料(中古物件の場合) 住宅ローンの借入時に諸費用を組み込める金融機関もあるため、自己資金を使いたくない場合には、仮審査の段階で問い合わせてみるといいかもしれません。 マイホームの購入後にかかるお金 マイホームの購入後にかかるお金は以下のとおりです。 入居費用(引っ越し、家具・家電購入) 不動産取得税 固定資産税 住宅ローンの返済 管理費・修繕積立金(マンションの場合) 引っ越しや家具・家電購入は個人差が大きい費用です。混雑するシーズンである3月に遠方の引っ越しをファミリーでする場合には、引っ越しだけで50万円程度かかる場合もあります。 不動産取得税は物件の取得に対して1度だけかかる税金です。都道府県からの納税通知書が届いた後に支払います。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者にかかる税金です。不動産会社などに確認して、税額の概算額を把握しておくことが大切です。 購入後は住宅ローンの返済も始まります。マンションを購入した場合は、毎月管理費と修繕積立金を支払わなくてはなりません。上記の他にも、不定期で発生する修繕費用、生活費3~6ヵ月分程度の予備費、将来のための貯蓄を確保しておくと安心です。 マイホームの購入予算は「頭金+住宅ローン」 マイホームの購入予算は、準備できる頭金の額と住宅ローンの借入金額で決まります。頭金の額を増やしすぎると、諸費用や購入後にかかるお金を含めた負担が大きくなります。頭金を払っても、ある程度の資金が残るようにしておくことが大切です。 住宅ローンの借入金額は、年収や家計の状況などによって判断する必要があります。概算値であればある程度試算することが可能です。 住宅ローンの借入可能額は年収でわかる 住宅ローンはいくらでも借り入れられるわけではありません。自身の借入可能額を把握し、その範囲内で借入金額を決める必要があります。そして、住宅ローンの借入可能額は、「年収倍率」「返済比率」の2つから試算できます。 年収倍率とは、年収に対する物件価格の割合です。購入者の年収が600万円、物件価格が3,000万円であれば、年収倍率は5倍(3,000万円÷600万円)となります。一般的に、借入可能額は年収倍率7倍が目安です。 住宅金融支援機構の「2021年度 フラット35利用者調査」によれば、年収倍率は5.7~7.5倍となっています。ただし、この調査はあくまでフラット35利用者だけの結果であり、銀行が扱う住宅ローンなどの利用者は調査対象に含まれていません。 次に、返済比率とは年収に対するすべての借り入れの年間返済額の割合です。購入者の年収が600万円、毎月のローン返済額が15万円(年間180万円)の場合、返済比率は30%(180万円÷600万円)となります。金融機関によって異なりますが、住宅ローンの返済比率は30~35%が目安です。 出典)住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」 住宅ローンの借入金額は無理なく返せる金額にする 住宅ローンの借入可能額は、あくまでも借り入れられる金額です。借入可能額いっぱいまで借りてしまうと、毎月の家計を圧迫し、返せなくなってしまう恐れがあります。住宅ローンの借入金額は、借入可能額の範囲内で無理なく返せる金額にすることが大切です。 また、借入時の年収が今後も続くとは限りません。収入減少の可能性も考慮し、実際に毎月払える金額を調べて借入金額を決めましょう。 ローンシミュレーションで返済額を調べよう 住宅ローンの返済額を調べる場合は、ローンシミュレーションが便利です。借入希望額や金利、返済期間などを入力するだけで、月々の返済額を簡単に試算できます。 ※SBIエステートファイナンスのサイトへ遷移します。 借入金額や金利などを自由に設定して、返済額がどのように変わるかを試算してみましょう。 購入予算が足りないときは? 「購入したい物件が見つかったが、予算が足りない」というケースもあるでしょう。その場合は、一旦購入したい物件を諦めて、以下2つの方法を検討することをおすすめします。この2つの方法は時間がかかる方法ですが、確実に購入予算を増やすことができます。 頭金が貯まるまで待つ 1つ目は、住宅ローンの頭金が貯まるまで待つことです。計画的に貯蓄して頭金を増やすと、住宅ローンの借入金額が減ります。毎月の返済額を抑えられるため、結果として購入予算を増やすことが可能です。ただし、より多くの頭金を貯めるには時間がかかります。 貯金や金融資産を切り崩して頭金を増やす方法も考えられますが、無理に頭金を用意した結果、生活が困窮してしまう恐れもあります。基本的には時間をかけて頭金を貯める方法が安心といえるでしょう。 年収が上がるまで待つ もう1つは、年収が上がるまで待つことです。年収が上がってから改めて審査を受けることで、住宅ローンの借入可能額が上がる可能性があります。ただし、年収が上がるまで待つのは頭金を貯める以上に時間がかかる恐れがあります。 なお、配偶者と収入合算する方法もあります。配偶者と合算した収入で審査を受けられるため、この方法でも借入可能額が上がる可能性があります。ただし、配偶者は連帯保証人になる必要があることに注意しましょう。 関連記事はこちら保証人・連帯保証人・連帯債務者の違いとは?融資における担保の種類を解説 まとめ マイホームの購入では、「住宅ローンの頭金」「諸費用」「購入後にかかるお金」の3つを考慮して予算を考える必要があります。また、住宅ローンは借入可能額ではなく、無理なく返済できる金額を調べて借入金額を決めることが大切です。 しっかりと資金計画を立てた上で、理想のマイホームを探しましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自宅購入はより安全で優れた不動産投資!? 不動産投資といえば、マンションやアパートを貸し出して家賃収入を得ることをイメージするのではないでしょうか。しかし、考え方によっては賃貸暮らしの家賃支出をなくし、ローンの返済とともに資産を増や...記事を読む
国は、地方での起業や東京圏からUIJターンにより起業・就業をする方へ支援金を支給する地方公共団体の取組を支援しています。この記事では、国による移住支援制度の一つである「移住支援金」について解説します。 移住支援制度とは? 移住支援制度とは、正式には「地方創生移住支援事業」という名称で、東京圏の一極集中是正と地方の担い手不足の解消を目的に創設されました。支援事業の詳細は、各地方自治体にゆだねられており、一律で決まっているものではありません。 対象者の詳細 各地方自治体によって詳細は異なるものの、一律の条件として定められているものは以下のとおりです。 移住直前の10年間で通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区内に在住または東京圏(条件不利地域を除く)*に在住し、東京23区へ通勤していた者。 東京圏外または東京圏のうち条件不利地域の市町村に移住 地域の中小企業等への就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的企業などを実施 ※東京圏及び条件不利地域の定義 出典)内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生「移住支援金」 以上の条件には、「雇用者としての通勤の場合には、雇用保険の被保険者としての通勤に限る」や、「東京圏に在住しつつ、東京23区内の大学等へ通学し、東京23区内の企業等へ就職した者については、通学期間も本事業の移住元としての対象期間に加算可能」といった条件があります。詳細は国や地方自治体のホームページをご確認ください。 対象の要件 いつ移住しても対象になるわけではなく、以下のような条件があります。 移住支援金の申請が転入後3か月以上1年以内であること。 申請後5年以上、継続して移住先市町村に居住する意思があること 移住先の要件 詳細の条件は各地方自治体によって異なりますが、共通の条件として、以下の1~4のどれかに該当する必要があります。 1.地域で中小企業等へ就業 移住支援金の対象として都道府県のマッチングサイトに掲載されている求人に就業すること。 または、プロフェッショナル人材事業または先導的人材マッチング事業を利用して就業すること。 2.テレワークによる業務継続 自己の意思によって移住し、移住先で移住前の業務を引き続き行うこと。 3.市町村ごとの独自要件 市町村が地域や地域の人々と関わりがある者(関係人口)として認める要件を満たすこと。(要件は市町村によって異なるため、詳細は移住希望先都道府県・市町村へ直接お問い合わせください) 4.地方創生起業支援事業を活用 1年以内に起業支援金の交付決定を受けていること。 出典)内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生「移住支援金」 移住地希望ランキング1位は静岡県 これまで紹介してきた移住支援制度を受けて、移住地として人気のエリアを紹介します。地方移住(IJUターン)を支援する認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが実施したアンケートでは、移住希望地として静岡県が3年連続1位にランクインしています。 図:移住希望地ランキング(※セミナー参加者を除いた順位) 2020年 2021年 2022年 1位 静岡県 静岡県 静岡県 2位 山梨県 福岡県 長野県 3位 長野県 山梨県 栃木県 出典)ふるさと回帰支援センターの移住希望地ランキング ここからは移住先の例として、静岡県の代表的な都市である熱海市の特色や移住支援制度について紹介します。 熱海市ってどんな街? まずは、熱海市の情報をご紹介します。 熱海市の基本情報 面積:61.78km² 人口:34,229人(令和5年5月末日現在) 2022年熱海市の年齢階級別の転入者推計数のデータを確認すると、「20~29 歳」の割合が高く、若手世代の移住先として支持されていることがわかります。 図:2022年熱海市の年齢階級別の転入者推計数 出典)2022年住民基本台帳人口移動報告(調査結果から著者が作成) アクセス 熱海駅は、東京駅から東海道新幹線「ひかり」で最短38分、「こだま」でも45分~50分でアクセス可能です。近年、働き方改革によりリモートワークも普及し、通勤することが当たり前ではなくなりました。都心まで毎日出社しなくてもよい、都心では暮らしたくないが、都心の近くに住みたい、というニーズを持つ人は特に、熱海市は最適な都市と言えるのではないでしょうか。 熱海市の特徴 歴史ある温泉地 熱海市は、源泉総数が500を超える温泉場です。熱海温泉は、古来より療養地として人気で、かの徳川家康も訪れたと記録されています。熱海市史によれば、江戸時代、熱海には多くの文化人が訪れ、明和から慶応までの江戸時代約100年の間に代表的な紀行文だけでも36編存在すると言われております。 出典)熱海市「熱海の温泉」 花火大会 熱海市の海上花火大会は、1952年から開催されており、2023年夏で72年目を迎えます。熱海市の海上花火大会は、年間を通して10回以上開催します。熱海市観光協会の「アクセス・人気ランキング」においても、熱海市の海上花火大会は常に上位にランクインされており、熱海市の代表的なイベントとして位置づけられています。 出典)熱海市観光協会「熱海会場花火大会」 熱海市の温泉付き物件を取材 移住先として人気の静岡県、その代表的な都市である熱海市に、実際にどのような物件が販売されているのか、熱海駅に拠点を置く不動産会社(※)に取材協力をいただきました。この記事では、相模湾に面したオーシャンビューを楽しめるだけでなく、温泉を家で楽しめる特徴を備えた物件を紹介します。 物件概要 建物面積 92.59m² (1階:52.85㎡ 2階:39.74㎡) 土地面積 207.96㎡ 場所 伊豆山周辺、熱海駅から車で約13分 編集からひと言 「伊豆山」は熱海市の中でも、頭一つ抜けたハイランクな土地と言われているそうです。 浴室には温泉が備え付きの場合もある 上の写真では、左が温泉専用の蛇口、右が通常の蛇口となっています。このように、熱海では温泉付きの物件も珍しくはありません。今回取材した物件の温泉に関する主な条件は、以下のとおりです。 泉質 ナトリウム、カルシウムが含まれた弱アルカリ性 温泉利用料 月額7,040円 (10立米まで) 温泉更新料 880,000円(税込)1口(10年毎に更新) 家で温泉を楽しむ上でのQ&A 取材協力させていただいた不動産会社の担当者に伺いました。 Q 温泉を維持するために配管清掃を行うなど、掃除は大変ではないのでしょうか? A 温泉というと、湯の花(温泉の不溶性成分が析出・沈殿物)が出やすいと言われています。ただ、ユニットバスに温泉の湯の花の成分が染み出すことはないので、通常のお風呂掃除と同じで、温泉だから大変ということはありません。 Q 湯量制限とは何でしょうか? A 本物件は、毎月10立米まで使用可能です。単純に「10」という数字を聞くと少なく感じるかもしれませんが、10,000リットルもの湯量を使用することができます。そのため、1日1回は温泉を楽しむことは可能で、特段湯量制限が生活の豊かさを損なうことはありません。 株式会社エンゼル不動産 熱海店 〒413-0011 静岡県熱海市田原本町9番1号 熱海第一ビル2階 TEL:0557-85-5151 熱海市の支援制度を紹介 令和5年度の移住・就業支援金について紹介します。なお、令和5年7月時点の情報のため、変更が行われる場合もあるので、詳細は公式ホームページをご覧ください。 移住元の要件 要件1 以下の1,2のどれかに該当する必要があります。 熱海市へ移住する直前の10年間のうち通算5年以上かつ移住する直前に連続して1年以上、東京23区に在住していたこと。 熱海市へ移住する直前の10年間のうち通算5年以上かつ移住する直前に連続して1年以上、東京23区以外の東京圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)のうちの条件不利地域以外の地域に在住し、東京23区内の法人への通勤をしていたこと。 ※「移住する直前の10年間のうち通算5年以上」は合算などでも算出することができます。 要件2 以下の1~3の全てに該当する必要があります。 暴力団などの反社会勢力又は反社会勢力と関係を有する者でないこと。 日本人、又は外国人で永住者、日本人の配偶者など、永住者の配偶者など、定住者、特別永住者のいずれかの在留資格を有すること。 移住する直前に在住していた市区町村において、最近1カ年市区町村税を滞納していないこと。 移住先の要件 就業に関する要件(一般の場合) 以下の1~7の全てに該当する必要があります。 勤務地が東京圏以外の地域又は東京圏内の条件不利地域に所在すること。 都道府県のマッチングサイトに掲載されている支援金対象求人に就業すること。 申請者にとって3親等以内の親族が代表者、取締役などの経営を担う職務を務めている中小企業などへの就業でないこと。 週20時間以上の無期雇用契約に基づいて中小企業などに就業し、かつ、申請時において当該中小企業などに連続して3月以上在職していること。 マッチングサイトに求人が支援金の対象として掲載された日以降に同求人への応募をしたこと。 就業した当該中小企業などに、支援金の申請日から5年以上、継続して勤務する意思を有していること。 転勤、出向、出張、研修などによる勤務地の変更ではなく、新規の雇用であること。 起業に関する要件 静岡県が実施する地域創生起業支援事業に係る起業支援金の交付決定を1年以内に受けていることが必要です。 就業に関する要件(専門人材の場合) プロフェッショナル人材事業又は先導的人材マッチング事業を利用して、令和3年3月1日以降に就業し、以下の1~5の全てに該当する必要があります。 勤務地が東京圏以外の地域又は東京圏内の条件不利地域に所在すること。 週20時間以上の無期雇用契約に基づいて就業し、申請時において連続して3カ月以上在職していること。 当該就業先において、移住支援金の申請日から5年以上、継続して勤務する意思を有していること。 転勤、出向、出張、研修などによる勤務地の変更ではなく、新規の雇用であること。 目的達成後の解散を前提とした個別プロジェクトへの参加など、離職することが前提でないこと。 就業に関する要件(テレワークの場合) 以下の1,2の全てに該当する必要があります。 所属先企業などからの命令でなく、自己の意思により住民票を熱海市に異動した場合であって、熱海市を生活の本拠とし、移住元での業務を引き続き行うこと。 内閣府地方創生推進室が実施する地方創生テレワーク交付金を活用した取組の中で、所属先企業などから資金提供されていないこと。 就業に関する要件(関係人口の場合) 以下の1~3の全てに該当する必要があります。 移住時の年齢が39歳以下であること。 熱海市に主たる事業所を有しかつ中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者及び社会福祉法人、医療法人、NPO法人などに就職し、かつ、申請時において当該中小企業者などに連続して3月以上在職していること。 当該中小企業などに、支援金の申請日から5年以上、継続して勤務する意思を有していること。 交付金額 支援金の交付金額は以下のとおりです。 区分 支援金の額 単身での移住の場合 60万円 2人以上の世帯での移住の場合 100万円 18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合(令和4年4月1日以降移住者が対象) 18歳未満お一人につき30万円加算 18歳未満お一人につき100万円加算 申請について 就業の場合 熱海市へ転入後3カ月以上1年以内で、対象企業に就業して3カ月後から申請可能 起業の場合 熱海市へ転入後3カ月以上1年以内で、静岡県の起業支援事業の交付決定から1年以内に申請可能 出典)熱海市「移住・就業支援金」 まとめ 移住支援制度は、地方自治体が主体となって実施します。実施期間、支給額等の制度の詳細は地方自治体により異なります。気になる移住先があれば、各地方自治体の移住支援制度のページをご確認ください。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。
マイホーム購入は、多くの人にとって人生で最も大きな買い物です。しかし、実際に「家が欲しい」と思っても、何から始めたらよいかわからないのではないでしょうか。入居してから後悔しないように、事前に購入の流れを理解しておくことが大切です。 この記事では、マイホーム購入の流れの全体像と押さえておくべきポイントを解説します。 マイホーム購入の流れの全体像 マイホーム購入では、住宅ローンを利用する人が大半です。住宅ローンを利用する場合、物件購入と同時並行で進める必要があります。全体の流れは以下のとおりです。 図:物件購入と住宅ローン利用の全体の流れ ※編集部作成 時系列に沿って、各項目のポイントと注意点を見ていきましょう。 情報収集 予算やエリア、間取り、物件種類(戸建て・マンション)、入居時期などの希望を明確にしたうえで、条件に合致する物件を探しましょう。インターネットや広告などで情報収集し、どんな物件がいくらで売られているかを把握します。 また、住宅ローンを利用したい金融機関をピックアップし、金利や融資条件、借入可能額などの情報を集めておくことも大切です。 問い合わせ・現地見学 「実物を見てみたい」と思える物件が見つかったら、問い合わせて相談や現地見学に行ってみましょう。担当者から話を聞き、実物を見ることで入居後の生活をイメージしやすくなります。売買価格や提携ローンなどの情報も入手できます。 物件の購入申し込み 複数の物件を比較して「購入したい」と思える物件が見つかったら、購入申し込みを行います。申し込み方法は、新築物件と中古物件で異なります。 新築は、先着順に申し込みを受け付ける物件と、抽選方式で申込者を決める物件があります。先着順の場合は発売開始日を確認して、早めに申し込むことが大切です。抽選方式の場合は登録期間が決まっているため、期間内に申し込みを行いましょう。 中古の場合は、仲介業者を通じて売主に「買付証明書」を提出するのが一般的です。新築・中古のどちらも、申し込み時に10万円程度の申込証拠金が必要になることもあります。 住宅ローンの事前審査 購入申し込み後、住宅ローンの事前審査を受けましょう。 事前審査では、本審査の前に年収や勤続年数、物件価格などの情報から、住宅ローンの利用条件を満たしているかを確認されます。申し込み時には、本人確認書類や源泉徴収票、物件の確認資料などが必要です。金融機関に確認して早めに準備しておきましょう。 関連記事はこちら住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介 重要事項説明・売買契約 宅地建物取引士による重要事項説明を受けたうえで、物件の売買契約を締結します。 当日の説明だけでは、重要事項や契約内容を把握するのは困難です。事前に「重要事項説明書」や「不動産売買契約書」の写しを入手し、しっかり読み込んでから契約に臨みましょう。不明点や疑問点があれば、契約前に質問して解決しておくことが大切です。 契約時には、銀行振込で手付金を支払うのが一般的です。手付金は売買価格の10%程度が相場で、引き渡し時に残金を決済します。 住宅ローンの申し込み・ローン契約 売買契約を締結したら、住宅ローンの本審査の申し込みを行いましょう。本審査では、事前審査よりも厳しく申込者の属性や物件の確認が行われます。本審査を通過したら、金融機関と金銭消費貸借契約を締結します。 内覧 新築マンションや注文住宅で完成前に売買契約を締結する場合は、引き渡し前に内覧会が行われます。 内覧会では、「契約内容と実際の物件に違いはないか」「ミスや不具合がないか」をチェックすることが大切です。問題がある場合は、引き渡しまでに対応してもらいましょう。 融資実行、残金決済・物件引き渡し 手続きに不備がなければ、指定日に住宅ローンの融資が実行され、売買価格から手付金を差し引いた残額を決済します。融資金は申込者本人の口座に振り込まれますが、金融機関によっては不動産会社の口座に直接振り込んでもらうことも可能です。 決済が終わると、物件が引き渡されます。 物件種類ごとに押さえておきたいポイント マイホーム購入では、物件の種類によって注意点が異なります。ここでは、物件種類ごとに押さえておきたいポイントを紹介します。 新築マンション 多くの場合、新築マンションのモデルルーム見学は「事前予約」が必要です。スタッフから十分な説明を受けられ、質問もしやすいため、予約不要でも事前に連絡してから見学に行くのがおすすめです。 また、入居の数ヵ月前に入居説明会が行われます。マンション管理や入居手続きに関する説明のほか、駐車場の区画や引っ越し日などが決められます。 新築戸建て 新築戸建ては、土地を購入して新たに家を建てる「注文住宅」と、すでに建物が完成済の「建売住宅」の2つがあります。 住宅ローンで融資が実行されるのは、基本的に住宅の引き渡し時です。そのため、注文住宅の場合は、土地購入から建物完成までの間に「つなぎ融資」が必要になることがあります。つなぎ融資について、事前に不動産会社や金融機関に確認しておきましょう。 中古マンション・中古戸建て 中古マンションは、共用部分の状態や管理規約、長期修繕計画を確認することが大切です。共用部分がきれいに清掃されているかで、管理状態を推測できます。また、管理規約や長期修繕計画の内容、修繕積立金が十分に積み立てられているかもチェックしておきましょう。 中古戸建ては、元の所有者の維持管理や築年数によって品質に差が大きく生じます。建物の状況や不具合を確認するため、購入前に「建物状況調査」を受けるのも選択肢です。 関連記事はこちら建物状況調査とは?メリット・デメリットと手続きの流れを解説 中古物件+リフォーム 中古物件を購入してリフォームする場合は、スムーズに工事を進められるように、リフォームの流れを理解しておくことが大切です。リフォーム相談ができる仲介業者、リフォーム会社に相談するのも有効です。リフォームも並行して進めておけば、購入時の住宅ローンにリフォーム金額を含めた融資を受けられる金融機関もあるので、事前に確認しておきましょう。 また、リフォームの減税制度を利用できれば、税負担の軽減が期待できます。リフォーム減税の適用要件を満たしているかを確認しておきましょう。 関連記事はこちら【令和5年版】リフォーム減税の対象工事・申請の流れ・注意点 まとめ マイホーム購入では、売買契約や住宅ローンでさまざまな手続きが必要になります。理想のマイホームを手に入れるために、物件探しから契約、入居までの流れを理解しておきましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マイホーム選びのポイントは?購入経験者のアンケート結果もご紹介 マイホームは「人生最大の買い物」ともいわれます。一度購入すると簡単には手放せないため、「絶対に後悔したくない」と考える人も多いのではないでしょうか。希望条件が決まらない場合は、理想の暮らしを...記事を読む
マイホームは「人生最大の買い物」ともいわれます。一度購入すると簡単には手放せないため、「絶対に後悔したくない」と考える人も多いのではないでしょうか。希望条件が決まらない場合は、理想の暮らしをイメージして物件を探すのがおすすめです。 この記事では、マイホームの物件種類や選び方を購入経験者のアンケート結果と併せて紹介します。 そもそも購入できるマイホームの物件種類は? マイホームの物件種類は、大きく「戸建て」と「マンション」の2つに分けられます。それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解すれば、物件を探しやすくなるでしょう。 戸建て 戸建てのメリットは以下のとおりです。 間取りや設備を自由に決められる リフォームや建て替えが自由にできる 専用の庭や駐車場を持てる 管理費・修繕積立金、駐車場代が発生しない 騒音トラブルが起きにくい 戸建ては、マンションに比べて自由度が高いのが魅力です。注文住宅なら間取りや設備を決められます。建売住宅でもリフォームや建て替えは自由にできます。 管理費・修繕積立金、駐車場代などの固定費用はかかりません。また、近隣と一定の距離があることから、騒音トラブルが起こりにくいのもメリットです。 続いて、戸建てのデメリットは以下のとおりです。 リフォームや建て替えで将来まとまったお金がかかる 庭や外まわりの手入れに手間がかかる 防犯性が弱い 高齢になると階段の移動に負担がかかる(平屋を除く) 売却しにくい 戸建ては外壁や屋根などのリフォームでまとまったお金がかかることがあります。また、マンションに比べると防犯面が脆弱で、万全に備えるにはホームセキュリティを入れるなどの対応が必要です。 他にも築年数が経過すると建物部分が市場で評価されにくくなり、購入価格と比べた時の値下がりが大きくなる点もデメリットと言えるでしょう。 マンション マンションのメリットは以下のとおりです。 共用部分の管理・清掃を管理会社に任せられる セキュリティ対策が充実している 耐久性や耐火性に優れている まとまった修繕費用が発生しにくい 室内に階段がなく高齢になっても暮らしやすい マンションは、建物管理やセキュリティ、耐久性・耐火性に優れているのが魅力です。共用部分の管理や清掃は管理会社が行ってくれます。オートロックなどのセキュリティも充実しているため、防犯面で安心です。構造上、地震や火災などに強いのもメリットです。 また、大規模修繕工事の費用は、毎月支払う修繕積立金でまかなわれます。突発的にまとまった費用がかかることは少ないため、資金計画を立てやすいでしょう。 続いて、マンションのデメリットは以下のとおりです。 リフォームの自由度が低い 建物管理や修繕、建て替えの方針を自由に決められない 管理費・修繕積立金、駐車場代を毎月支払う必要がある 専用の庭がないことが多い ペットを飼えないことが多い 騒音トラブルが起こりやすい 一方で、マンションは戸建てに比べるとリフォームの自由度が低く、建て替えなどは所有者の一定数以上の合意が必要となります。 一階や屋上を除き、専用の庭として利用できるスペースがなく、ペット不可などの条件が付いている物件も珍しくありません。「ガーデニングを楽しみたい」「大型犬を飼いたい」といった希望がある場合は不向きといえるでしょう。 また、左右や上下の住戸と接しているので、騒音トラブルが起こりやすい点にも注意が必要です。 まずは理想の暮らし方を考えてみる マイホーム購入で後悔しないためには、物件を探す前に理想の暮らし方を考えてみることが大切です。「自分や家族にとっての理想の暮らし」が明確になれば、希望条件の優先順位は自然と決まるため、物件を選びやすくなります。 ①理想の暮らしを書き出してみる まずは理想の暮らしのイメージを書き出してみましょう。具体例は以下のとおりです。 都心に住んで生活利便性を上げたい 勤務先の近くに住んで通勤時間を短くしたい 日当たりがよく、明るい家で暮らしたい 両親と同居したい 趣味を満喫できるエリアに住みたい 自然豊かな場所でのんびり暮らしたい ガーデニングや野菜作りを楽しみたい 大型犬を飼いたい 休日は友人を招待してホームパーティを楽しみたい 実現できるかは考えず、思いつくまま書いていくのが大切です。できるだけたくさん書いてみましょう。 ②絶対に譲れないポイントを考える 理想の暮らしのイメージを書き出したら、「絶対に実現したい」「これは譲れない」と思う項目をピックアップして優先順位をつけてみましょう。この作業により、マイホーム選びで絶対に譲れないポイントがはっきりします。 例えば、生活利便性や通勤時間の短さを重視したいなら、都心のマンションが候補になるかもしれません。自然豊かな場所でのんびり暮らしたいなら、郊外の戸建てが向いている可能性があります。 絶対に譲れないポイントを基準に、どんな物件がよいか検討してみましょう。 マイホーム購入の決め手を紹介 実際にマイホームを購入した人は何が決め手になり、どんなことに後悔しているのでしょうか。ここでは、購入経験者を対象としたアンケート調査の結果を紹介します。 マイホーム購入時に重視したこと 「マイホーム購入時に重視したこと」への回答結果は以下のとおりです。 1位:立地のよさ(296人) 2位:騒音・治安などの周辺環境(93人) 3位:価格が予算内か(83人) 4位:間取り・生活動線のよさ(81人) 5位:日当たりがよいか(63人) 6位:外観・デザインが好みか(23人) 7位:断熱・耐震などの機能性(22人) 出典)訳あり物件買取プロ「後悔!マイホーム購入時に注意しておけばよかったことランキング】男女501人アンケート調査」 立地のよさを重視する人が圧倒的に多く、次いで周辺環境、予算、間取りの順となりました。外観やデザイン、機能性を重視した人は少ないようです。 マイホーム購入での注意点 「マイホーム購入時にもっと注意すればよかったこと」への回答結果は以下のとおりです。 1位:間取り・生活動線のよさ(93人) 2位:騒音・治安などの周辺環境(70人) 3位:立地のよさ(53人) 4位:外構のデザイン・使い勝手(50人) 5位:コンセント・スイッチの位置(44人) 5位:周辺住民の雰囲気(44人) 7位:日当たりがよいか(41人) 8位:収納の使い勝手(36人) 9位:コスト面の検討(34人) 10位:住宅設備の使い勝手(22人) 出典)訳あり物件買取プロ「後悔!マイホーム購入時に注意しておけばよかったことランキング】男女501人アンケート調査」 最も多いのは「間取り・生活動線のよさ」でした。実際に住んでみると「使いにくい」と感じ、「間取りや生活動線を工夫すればよかった」と後悔している人が多いようです。 また、「コンセント・スイッチの位置」「周辺住民の雰囲気」「収納の使い勝手」は、「マイホーム購入時に重視したこと」では挙がっておらず、実際に住んでみて「購入前にしっかり確認しておけばよかった」と後悔している人が一定数いるようです。これからマイホームを購入する人は、この辺りもしっかり確認しておくと良いかもしれません。 まとめ マイホーム選びでは、理想の暮らしをイメージすると、希望に合った物件を見つけやすくなるでしょう。購入者を対象としたアンケートでは、「間取りや生活動線に注意すればよかった」と後悔している人が多いようです。 戸建てとマンションの違いを理解し、絶対に譲れないポイントを明確にした上で、理想のマイホームを探してみましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マイホーム購入の必要性とは? マイホームは「人生で最も高い買い物」といわれます。購入時には住宅ローンを利用できますが、頭金や諸費用としてある程度のお金を準備しなくてはなりません。また、ローン返済は長期にわたるため、購入す...記事を読む
住宅を購入する際、新築と中古のどちらにするかで悩む人も多いかもしれません。この記事では、国土交通省の調査から、日本国内の中古住宅市場について分析したうえで、どのような理由で新築と中古を選んでいるのかを紹介します。 日本は国際的に見ても新築志向 日本は国際的に見ても中古住宅より新築住宅を好む国民性であることが、国土交通省の「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果」から分かっています。調査結果は以下のとおりです。 図:中古住宅流通シェアの国際比較 ※調査結果から著者が作成 市場規模は国によって異なりますが、日本は中古住宅が占める流通戸数の割合が、海外と比較して圧倒的に大きくなっています。この結果から日本は国際的に見ても新築志向であることが分かります。 出典)国土交通省「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果」 中古住宅を選ばない理由は"新築が良いから" 国土交通省が実施した「令和4年度住宅市場動向調査」では、新築の戸建(分譲)と集合住宅(分譲)に住み替えた人が、なぜ中古住宅を選ばなかったのかを集計しています。それぞれの結果から、日本で中古住宅が選ばれない理由を見ていきましょう。 分譲住宅に住み替えた人の回答 まず、分譲住宅(戸建)に住み替えた人の回答は以下のとおりです。 図:分譲住宅(戸建)に住み替えた人の回答結果 ※調査結果から著者が作成 続いて、分譲住宅(集合住宅)に住み替えた人の回答は以下のとおりです。 図:分譲住宅(集合住宅)に住み替えた人の回答結果 ※調査結果から著者が作成 戸建と集合住宅に共通して、「せっかくのマイホームは新築にしたい」がかなり多いことが分かります。特に戸建の方が顕著で、戸建を検討する人は特に、中古より新築と考えている人が多いことが分かります。 一方集合住宅では、戸建と比べて「給排水管などの老朽化が懸念されたから」がやや多くなっています。集合住宅の場合、大規模な給排水管工事を行うのは困難なため、不安に感じてしまう人が多いと推測されます。 出典)国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査」 中古住宅を選ばない理由 戸建と集合住宅の2つに分けて結果を確認しましたが、ここでも「せっかくのマイホームは新築にしたい」という理由が多くを占めることが分かりました。 それ以外の理由として多いのは、隠れた不具合があるのではないか、その後のリフォーム費用やメンテナンス費用が結局かなりかかるのではないか、といった理由でした。こうした中古住宅に対する不安が、日本の新築志向にも繋がっているのではないでしょうか。 日本の中古住宅取引数の推移 ここまでの結果を踏まえると、日本国内の中古住宅取引は需要があまりなく、衰退しているかのように思えますが、実態は異なります。国土交通省の「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果」によると、日本国内の新築住宅と中古住宅の取引戸数は以下のように推移しています。 図:日本の中古住宅取引数の推移(万戸) ※調査結果から著者が作成 このように、新築住宅が多数を占めますが、中古住宅の取引戸数はずっと横ばいとなっています。このように、日本は新築志向である一方で、中古住宅にも常に一定の需要があることが分かります。 出典)国土交通省「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果」 中古住宅を選んだ理由は"手頃感" 国土交通省が実施した「令和4年度住宅市場動向調査」では、中古住宅に住み替えた人が、なぜ中古住宅を選んだのかについても集計しています。集計結果から、中古住宅が常に一定の需要がある理由について分析します。 中古住宅を選んだ人の回答 まず、中古住宅(戸建)に住み替えた人の回答は以下のとおりです。 図:中古住宅(戸建)に住み替えた人の回答結果 ※調査結果から著者が作成 続いて、中古住宅(集合住宅)に住み替えた人の回答は以下のとおりです。 図:中古住宅(集合住宅)に住み替えた人の回答結果 ※調査結果から著者が作成 戸建と集合住宅に共通して、「予算的に見て中古住宅が手頃だったから」が多数を占めています。新築の値上がりが激しく、予算の都合で中古住宅を選ぶ人が多いことが推測されます。 また、そういった現状の中で、リフォームを前提に購入した人や、リフォーム済みの中古住宅を購入した人が多数を占めており、中古住宅に対する不安や不満をリフォームによって解消している人が多いことも分かります。 出典)国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査」 中古住宅を選んだ理由 中古住宅を選んだ理由で最も多いのは、「予算的に見て中古住宅が手頃だったから」でした。「令和4年度住宅市場動向調査」によると、各住宅の全国平均取得金額は以下のとおり推移しています。 図:各住宅の全国平均取得金額(万円) ※調査結果から著者が作成 出典)国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査」 見てのとおり、中古と新築では金額にかなりの差が生まれていることが分かります。令和4年度の結果で比較すると、戸建では1,622万円、集合住宅では2,414万円もの差があります。ここまで金額の差が生まれている以上、予算面で中古を選ばざるを得ない状況も十分に考えられます。 まとめ 日本は新築志向である一方で、予算面の都合から中古住宅も一定の取引戸数を保っていることが分かりました。新築志向は未だ根強いですが、中古住宅を選んで予算を抑えつつ、リフォーム等を行うことで不安を解消し、理想の住まいを実現するのも一つの選択肢ではないでしょうか。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 建物状況調査とは?メリット・デメリットと手続きの流れを解説 中古住宅は新築より割安な価格で購入できるのが魅力です。しかし、元の所有者の維持管理や築年数などによって、品質に差が生じるため、購入する際には、性能や品質に問題がないか不安を感じるのではないで...記事を読む
マンションは築年数の経過とともに建物や設備が老朽化していくため、いずれは大規模修繕工事が必要になります。大規模修繕工事は、建物の劣化や設備の交換などに対応する工事であり、マンション所有者の暮らしにも影響が出てくるものなので、あらかじめ概要を理解しておくことが大切です。 マンションの大規模修繕工事とは 大規模修繕工事とは、建物の全体又は複数の部位について行う大規模な計画修繕工事をいいます。例えば、全面的な外部足場が必要な外壁塗装と屋上防水等を同時に行う場合などです。なお、大規模修繕工事は法律等で義務付けられたものではありません。 国土交通省が実施した「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、大規模修繕工事を行っているマンションのうち、約7割が12~15年周期で大規模修繕工事を行っている、という結果が出ています。 出典) ・国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」 ・国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査(概要)」 大規模修繕工事の内容 大規模修繕工事は大きく3つの工事に分類できます。 ①建築系工事 建築系工事とは、マンションの建物部分を修繕するための工事です。マンションの共用部分の補修も含まれます。具体的には以下の工事が挙げられます。 ・屋根や床の防水工事 ・外壁の塗装やタイル張り ・シーリング工事 ・鉄部塗装 ・建具金物の修繕や取替 大規模修繕工事のほとんどは建築系工事です。「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、大規模修繕工事の回数を重ねるにつれて、全体の大規模修繕工事費用に対する建築系工事の費用割合が増加していく、という結果が出ています。 出典)国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査(概要)」 ②設備系工事 設備系工事とは、マンション内のインフラを整えるための工事です。具体的には以下の設備に対する工事が挙げられます。 ・給水、排水設備 ・ガス設備 ・空調、換気設備 ・電灯設備 ・情報・通信設備 ・消防用設備 ・昇降機設備 ・駐車場設備 「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、建築系工事と同様に大規模修繕工事の回数を重ねるにつれて、全体の大規模修繕工事費用に対する設備系工事の費用割合が増加していく、という結果が出ています。一方で、建築系工事と設備系工事のそれぞれにかかる費用を比較すると、設備系工事はかなり小さい金額となっています。 出典)国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査(概要)」 ③仮設工事 仮設工事は、足場や作業員用の事務所や資材置き場など、建築系工事や設備系工事を進める前の準備にあたる工事です。マンションの修繕とは直接関係のないものの、大規模修繕工事を進めるために必ず必要です。「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、大規模修繕工事の回数を重ねるにつれて、全体の大規模修繕工事費用に対する仮設工事の費用割合が減少していく、という結果が出ています。 出典)国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査(概要)」 大規模修繕工事にかかる費用 修繕積立金とは 大規模修繕工事に必要な費用は、マンションの管理組合が毎月マンション所有者から徴収する「修繕積立金」から支払われます。そのため、マンション所有者に対して急に高額な費用負担が発生するようなことはほとんどありません。一方で、毎月支払うことになる「修繕積立金」についてはしっかりと把握しておく必要があります。 国土交通省が公表している「平成30年度 マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」によると、修繕積立金の全国平均額は11,243円です。なお、過去の調査結果と比較をすると、修繕積立金は上昇傾向です。 出典)国土交通省「平成30年度 マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」 修繕積立金の積立方法 修繕積立金の積立方法は、大きく2つに分類されます。 1つ目は、月々の修繕積立金が一定である「均等積立方式」です。あらかじめ立てた長期修繕計画に基づき、必要な費用から逆算して必要額が算出されます。なお、長期修繕計画の見直しに合わせて必要な費用及び月々の修繕積立金額も調整されることがあります。全く変動しないわけではないので注意しましょう。 2つ目は、修繕の必要性に合わせて月々の修繕積立金を段階的に増額していく「段階増額積立方式」です。新築マンションであれば修繕積立金を抑えられる一方で、築年数が経つにつれて増額していくことになる、一長一短な積立方式です。急な増額によってマンション所有者の負担が増えてしまい、場合によってはトラブルになる恐れもあるので注意が必要です。 どちらの方式であっても、適切な長期修繕計画に基づいて積立が行われているかが重要です。今住んでいるマンションの長期修繕計画を確認したうえで、今後の修繕積立金の金額についても把握しておきましょう。 まとめ 大規模修繕工事を行うことで、以前よりも快適な住環境を手に入れることができ、建物の資産価値を保つことにもつながります。マンション所有者である以上大規模修繕工事は他人事ではありません。マンションに住む以上、大規模修繕工事の概要をしっかり押さえ、工事に備えておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マンションの資産価値の調べ方は?基準もあわせて紹介 マンションを購入する際には、将来的な資産価値の変化にも目を向けて判断することが大切です。この記事では、マンションの資産価値に影響を与える要因や、資産価値の調べ方について解説します。 マンショ...記事を読む
マンションを購入する際には、将来的な資産価値の変化にも目を向けて判断することが大切です。この記事では、マンションの資産価値に影響を与える要因や、資産価値の調べ方について解説します。 マンションの資産価値の目安を調べる方法 マンションの資産価値を調べる場合には、販売中の物件や近隣の成約事例を確認することである程度の目安を調べることが可能です。ここでは、マンションの資産価値の目安を自分で調べる3つの方法を紹介します。 ①レインズマーケットインフォメーション 「レインズマーケットインフォメーション」とは、国土交通大臣の指定を受けた「全国指定流通機構連絡協議会」が運営・管理を行う不動産情報ネットワークのことです。直近1年間で売買が行われ、取引が成立したマンションの販売価格や成約価格が公開されています。 豊富なデータベースのなかから、地域や沿線、専有面積、築年数など細かな条件で絞り込んで取引事例を閲覧できます。複数の事例を比較したり検証したりすることで、マンションの資産価値を判断する指標として利用することができます。 出典)REINS Market Information ②不動産情報ライブラリ 「不動産情報ライブラリ」とは、不動産の取引価格、地価公示等の価格情報や防災情報、都市計画情報、周辺施設情報等、不動産に関する情報をご覧になることができる国土交通省のWEBサイトです。 物件の成約価格を一般消費者でも知れるように、国土交通省が不動産購入者を対象にアンケート調査をした情報を「不動産取引価格情報」として公開しています。 ただし、不動産情報ライブラリのデータは購入者のアンケート結果に基づいて構成されているので、全ての取引データを扱っているわけではありません。あくまで取引事例の一部データとして用いることが重要です。 出典)不動産情報ライブラリ 関連記事はこちら公示価格とは?実勢価格との違いと活用法をわかりやすく解説 ③不動産ポータルサイト 現在販売中の物件については、不動産ポータルサイトを通して確認する方法もあります。不動産ポータルサイトには、実際に購入者を募集している物件の情報が数多く掲載されているため、詳細条件を入力すれば同じような物件の売り出し価格をチェックできます。 また、独自のデータベースに基づいてマンション価格を算出しているサイトもあるので、参考にしてみるといいでしょう。 マンションの資産価値に影響を与える要因 マンションの資産価値を判断する際には、そもそもどのような要因によって価値が変動するのかを具体的に把握しておくことが大切です。マンションの資産価値は次のような要因が影響を与えます。 ・築年数 ・耐震性 ・日当たり、方角 ・最寄り駅・バス停などの距離 ・階数 ・専有面積 ・管理状況 ・周辺環境、騒音、治安 いずれも生活の快適性や利便性、安全性などを左右するポイントであるため重視されます。また、同じマンションであっても、階数や間取り、日当たり条件によって部屋ごとの資産価値は異なります。 不動産の資産価値は、土地の資産価値と建物の資産価値によって決まりますが、マンションの場合は一戸建てと比べて、資産価値のうち土地が占める割合が少ないのが特徴です。マンションの資産価値を考える際は、築年数をはじめとする建物の状況をしっかりと確認しましょう。 不動産鑑定における3つの方法 マンションの資産価値を調べるうえで、そもそも不動産鑑定はどのように行われているのかを知っておくと良いでしょう。ここでは不動産鑑定における3つの方法を紹介します。 ①取引事例比較法 取引事例比較法は、その不動産と同じような条件の不動産がどのような価格で取引されているかを比較することで資産価値を計算する方法です。資産価値に影響を与えるさまざまな要因を踏まえ、類似した条件を持つ物件の取引事例をいくつか並べるだけでも、マンションのおおまかな資産価値を調べられます。 ②収益還元法 収益還元法は、その不動産が将来生み出す収益から資産価値を計算する方法です。購入したマンションを賃貸として活用する際に用いられることが多いです。 賃料収入から必要経費を差し引いた収入で計算した利回りをもとに、現在の資産価値を逆算します。家賃の下落率や空室リスクなどを加味することも大切です。 ③原価法 原価法は、その不動産を再度建築する場合の原価を算出して、築年数が経過したことによる価値のマイナス分を加味したうえで資産価値を計算する方法です。 つまり、「現時点で購入するとしたらいくらかかるのか」という観点から、具体的な金額を割り出していく方法です。前述のとおり、建物は歳月の経過によって劣化していく性質を持っているため、建物の築年数を考慮した推定が必要になります。 まとめ マンションの資産価値はさまざまな要因に左右されるため、購入の際には複合的な観点で検討する必要があります。また、立地や広さといった基本的な項目だけでなく、管理状態などの要因でも価値が変動するため、購入後もこまめに手入れを行い、資産価値の維持に努めましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自宅購入はより安全で優れた不動産投資!? 不動産投資といえば、マンションやアパートを貸し出して家賃収入を得ることをイメージするのではないでしょうか。しかし、考え方によっては賃貸暮らしの家賃支出をなくし、ローンの返済とともに資産を増や...記事を読む 不動産のプロが選ぶ30年後に価値の落ちない物件とは? 不動産価値に関する調査を実施 東京近郊の30年後に価値が下がらない物件は? ~ 不動産価値に関してアンケート調査を実施 ~ 2020年を境に不動産価値が下がるという話題を耳にすることが多くな...記事を読む
大規模なリフォームや建て替え等を行う際には、仮住まいが必要になります。 この記事では一般的な仮住まいとしてどのような選択肢があるのか、それぞれのメリットと注意点、費用などについて解説します。 仮住まいが必要となる3つの事例 仮住まいが必要になる事例として以下の3つが考えられます。 ①大規模なリフォームやリノベーション 1つ目は、大規模なリフォームやリノベーションをする場合です。部分的な工事であれば、仮住まいを必要としない場合もありますが、大規模になると安全面や騒音などの理由から仮住まいが必要になります。仮住まいが必要な期間は工事内容によって変わるので、仮住まいを探す前にあらかじめ工事期間を確認しておきましょう。 関連記事はこちらリフォームとリノベーションの違いとは?費用の目安も解説 ②建て替え 2つ目は、建て替えをする場合です。もともと住んでいた家を取り壊すため、新しい家が建つまでの間の仮住まいが必要になります。基本的に建て替えの工事期間はリフォームやリノベーション比べて長いため、仮住まいが必要な期間も長くなります。 関連記事はこちら建て替えとリフォームはどちらがいい?判断する基準を解説 ③住み替え(売り先行) 3つ目は、売り先行で住み替えをする場合です。売り先行とは、住み替えの際に先に現在住んでいる家を売却してから、新しい家を探して購入する方法です。新しい家を買う前に自宅を売却してしまうため、新しい家が見つかるまでの間は仮住まいが必要になります。 4つの仮住まいの選択肢 仮住まいには、主に4つの選択肢があります。ここでは、ほかの選択肢と比べた際のメリットと注意点をそれぞれ解説します。 ①マンスリーマンション 1つ目は、マンスリーマンションを借りる方法です。マンスリーマンションとは、その名のとおり1ヶ月単位での短期入居を想定した賃貸マンションです。マンスリーマンションには、以下のようなメリットがあります。 短期契約が可能 手続きが楽 初期費用が安い マンスリーマンションは1ヶ月単位での短期契約が可能な点がメリットです。家具家電は備え付けられており、電気・ガス・水道などは運営会社が開通手続きを行ってくれます。 快適なインターネット環境を完備している物件も多いため、引越し手続きの負担が大幅に軽減されるのが魅力です。また、一般的な賃貸物件のように敷金・礼金などはかからず、初期費用は清掃費のみのため安く済みます。 一方、注意点としては以下のとおりです。 物件の選択肢が少ない 内見できないところが多い 家賃が高い 自分の家具や家電の収納場所を別途用意する必要がある マンスリーマンションは物件数が限られているため、希望に合った部屋を見つけるのは難しい側面があります。加えて、入居者の入れ替わりが多いことから内見に応じてもらえないことも多いです。 また、初期費用が安い反面、家賃設定は一般的な賃貸と比べて高いので、長期で借りるとかえって費用がかかる恐れもあります。なお、マンスリーマンションは利用期間分の賃料を一括前払い制としている場合が多いため、入居期間をあらかじめ明確にしておかなければなりません。 ②ホテル 2つ目は、ホテルを利用する方法です。ホテルの場合は、以下のようなメリットがあります。 手続きが楽 家具やアメニティなどがそろっている 駅近などの便利な立地に多い ホテルは契約や審査が不要であり、その日に予約をとって利用することができます。また、家具やアメニティの準備は不要であり、掃除も基本的にホテルの従業員が行ってくれる点も魅力です。さらに、駅近などの便利な立地に建てられることが多いため、利便性も高いのがメリットです。 一方、注意点としては以下のとおりです。 1泊あたりの費用が高い 自分の家具や家電の収納場所を別途用意する必要がある ホテルは1泊あたりの費用が高いため、長期滞在をすると費用が膨らんでしまいます。また、家具・家電を置けるスペースがないため、別途で倉庫などを借りる必要もあります。仮住まいが必要な期間が短い場合は検討しても良いでしょう。 ③一般的な賃貸物件 3つ目は、一般的な賃貸物件を借りる方法です。通常の賃貸物件には、以下のようなメリットがあります。 物件の選択肢が多い 取り扱われている物件数が多いため、「駅近」や「駐車場付き」、「ファミリー向けの間取り」「ペット可」など、立地や条件の選択肢が幅広いのが特徴です。 一方、注意点としては以下のとおりです。 初期費用が高い 短期契約が難しい 賃貸物件を借りる際には、敷金や礼金、仲介手数料といった初期費用がかかります。加えて、一般的な普通借家契約では2年間を契約期間とする場合が多いため、短期での入居を断られてしまう恐れもあります。あらかじめ不動産会社に仮住まいとして利用することを相談しておいたほうが良いでしょう。 ④UR賃貸住宅 4つ目は、UR賃貸住宅を借りる方法です。UR賃貸住宅とは、独立行政法人都市再生機構が取り扱う賃貸物件のことです。仮住まいとしても利用が可能であり、以下のようなメリットがあります。 短期契約が可能 初期費用が安い UR賃貸住宅は礼金や仲介手数料がなく、初期費用が一般的な賃貸と比較して安い点が特徴です。短期違約金などはなく、解約日の2週間前に予告すれば退去ができるため、短期間での利用にも適しています。 一方、注意点としては以下のとおりです。 物件の選択肢が少ない 収入に関する独自の審査基準がある UR賃貸住宅そのものの物件数が限られているため、希望の物件が見つからない恐れがあります。また、入居は原則として先着順のため、人気のエリアであればあるほど借りるのが難しくなります。 それ以外の注意点としては、収入に関する独自の審査基準があることが挙げられます。UR賃貸住宅を検討する際には、しっかりと確認しておきましょう。 出典)UR賃貸住宅「お申込み資格」 仮住まいの費用を安く抑えるポイント 仮住まいの費用を抑えるためには、仮住まいが必要な期間に合わせた選択肢を考えることが大切です。仮住まいを探す際には、一般的な賃貸物件以外の選択肢を検討せざるを得ないでしょう。 引越し費用やトランクルーム利用料を抑えるためには、あらかじめ不要な荷物を処分しておくことも重要です。リフォームや建て替えを機に、家具・家電の入れ替えを検討してみるのも良いでしょう。 また、繁忙期を避ければ引っ越し費用も抑えることができます。 なお、一般的な賃貸物件を探すなら、「定期借家」も有力な選択肢となります。定期借家とは借りられる期間が定められている物件のことであり、契約更新ができない分、家賃が安く設定されていることもあります。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? まとめ 最適な仮住まい先は、仮住まいが必要な期間によって異なります。まずはスケジュールを把握し、仮住まいが必要な期間を明らかにしておくことが大切です。一般的な賃貸物件だけでなく、紹介したマンスリーマンションやUR賃貸住宅などにも選択肢を広げることで、最適な仮住まい先を探しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 仮住まいなしで住み替えをする5つの方法 持ち家の方が自宅を住み替える場合、住み替えの方法によっては仮住まいが必要です。 仮住まいとして賃貸物件を借りると、毎月の家賃だけでなく、引っ越し費用や敷金・礼金などの費用もかかります。また、...記事を読む
築年数の経過やライフスタイルの変化などに応じて、住宅の建て替えやリフォームを検討することがあるでしょう。 建て替えとリフォームの特徴を知っておけば、どちらが自分に合っているか判断しやすくなります。この記事では、建て替えとリフォームのどちらがいいか迷っている方に向けて、双方のメリットやデメリット、どちらが向いているかを判断する基準の例を解説します。 建て替えのメリット・デメリット まずは、建て替えのメリットとデメリットについて解説します。 建て替えのメリット 建て替えの主なメリットは以下の2点です。 ①建物の構造や間取りを最初から見直せる 建て替えの場合、工事内容が既存住宅の構造や間取りに左右されることがありません。希望に沿った建物の構造や間取り、仕上がりなどを一から見直すことができます。 ②耐震性をより高めることができる 建築基準法と住宅瑕疵担保履行法により、建て替えの際には必ず地盤調査が行われます。耐震性を高めたい場合、地盤調査のうえで耐震改修工事ができる点は大きなメリットです。また、必要に応じた地盤改良も可能です。 出典)一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会「かし保険全般に関するご質問(地盤編)」 建て替えのデメリット 建て替えの主なデメリットは以下の2点です。 ①時間と手間がかかる 既存建物の解体と建築を行うため、完成までにまとまった期間が必要になります。加えて工事の間は仮住まいで過ごす必要があるため、仮住まいや引っ越しなどの手間もかかります。 ②費用が高い 建て替えには、建築費用以外に既存建物の解体費用や仮住まいの費用、引っ越し費用などが必要です。なお、経済産業省の「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によれば、建て替え費用の平均額は3,299万円という結果が出ています。あくまで平均値ですが、一つの目安にはなるでしょう。 出典)国土交通省 住宅局「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」 リフォームのメリット・デメリット 続いて、リフォームのメリットとデメリットについて解説します。 リフォームのメリット リフォームの主なメリットは以下の2点です。 ①時間や手間、費用を抑えられる 必要な部位のみリフォームを行えるため、建て替えと比べると工事の期間が短くなります。また、設備の交換などの小規模なリフォームであれば、住み続けたまま工事ができるので、仮住まいが必ずしも必要なわけではありません。 ②愛着のある家に住み続けられる 今住んでいる家に愛着がある場合、建物の原型を大きく変えられないことはメリットにもなります。人によっては壁や柱の傷や汚れも想い出になっているかもしれません。そのような部位は残しつつ、必要な修繕のみ行うことも可能です。 リフォームのデメリット リフォームの主なデメリットは以下の2点です。 ①住宅性能や耐震性の向上には限界がある 部分的なリフォームをする場合、住宅を支える柱や梁を変更、補強しない限りは住宅性能を上げるには限界があります。また、地盤が悪い場合には地盤改良が必要ですが、建築されている状況だと工事が不可能です。 ②希望どおりの間取りになるとは限らない リフォームの場合、建て替えのように自由に構造や間取りを変更することは困難です。工事内容が既存住宅の構造や間取りによって制限されてしまうため、自身の希望する工事ができない場合もあります。自身の希望どおりの工事が可能かどうか、リフォーム業者にしっかりと確認しておくことが大切です。 建て替えかリフォームかを判断するポイント 建て替えとリフォームのメリットとデメリットを把握したうえで、自身の状況に合う方を選択することが大切です。一つの参考として、建て替えが向いている場合とリフォームが向いている場合を、それぞれご紹介します。 建て替えが向いている場合 建て替えが向いている例として、下記の場合が挙げられます。 家の構造や間取りを大きく変更したい 耐震性に不安があり、地盤から見直したい 子供や孫世代に家を引き継ぎたい リフォーム費用が同程度かかる 基本的には大規模な工事を行いたい場合には、建て替えが向いているといえます。その分費用は大きくなるので、自己資金や住宅ローンの条件なども踏まえて検討することが大切です。 リフォームが向いている場合 リフォームが向いている例として、以下の場合が挙げられます。 家全体の状態は良く、一部の工事で済む 家の構造や間取りを大きく変える必要がない 子供や孫世代に家を引き継ぐ予定がない 費用や手間をできるだけ抑えたい 小規模な工事で済む場合、もしくは済ませたい場合にはリフォームが向いているといえます。また、費用面を比較する際には、リフォームの補助金も含めて検討することが大切です。 関連記事はこちら【令和5年版】リフォームで活用できる補助金の種類と金額の目安 選ぶときの注意点 ここで紹介した建て替えが向いている場合とリフォームが向いている場合は、あくまで一例にすぎません。もしどちらかに当てはまったとしても、実際に両方の見積もりを行うなどして、しっかりと比較することが大切です。 また、建て替えとリフォームのどちらかを選択する上で、自宅の状態を適切に把握することも大切です。ご自身で判断するのが不安な場合は、専門家に建物状況調査を依頼するのも一つの手段として有効です。 関連記事はこちら建物状況調査とは?メリット・デメリットと手続きの流れを解説 まとめ 建て替えとリフォームでは、それぞれメリットとデメリットがあるため、十分に比較をしてからどちらが合っているかを決める必要があります。費用面だけでなく、家族構成やライフスタイルの変化を踏まえた中長期的な視点で考えていくことが重要です。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老後は家の建て替えが必要?資金はどうやって準備する? 子どもが独立したり、定年が近づいてきたりすると、老後の住まいについて考える機会が増えるのではないでしょうか。戸建てに住んでいる場合は、住み替えやリフォームだけでなく、建て替えも検討するかもし...記事を読む