住まいのことが知りたい

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「住まい」の記事一覧

  • 規制緩和で戸建て住宅の評価額が上昇!?改正建築基準法のポイント

    規制緩和で戸建て住宅の評価額が上昇!?改正建築基準法のポイント

     2019年6月25日に建築基準法が改正されました。この改正建築基準法の内容は、すでに国土交通省から2018年6月に公布され、一部の規定については同年9月から施行されていました。そして、2019年6月から新たに施行される法律には、戸建て住宅に関する重要な改正が含まれています。 戸建て住宅の転用について大幅な規制緩和 そもそも建築基準法とは、国民が安全かつ快適に生活を送ることができることを目的として定められた、建物や土地に関わる規定です。建物を設計し、建築したりする際には、都市計画法や消防法といった多くの法律が関わってきますが、建築基準法の対象となるのは、建築物や建築物の敷地、設備、構造、用途など。土地に対して、どんな用途や規模の建物が建てられるのか、建物の床面積や建築面積の上限は何平米かといった、さまざまな規定を定めています。建物を着工する前に行われる建築確認や、着工後の中間検査、着工が終了したことを確認する完了検査といった検査についても、建築基準法が規定しています。 建築基準法はこれまでに何度も改正をされています。今回の改正について、その背景を国土交通省は次のように述べています。「最近の大規模火災を踏まえ、老朽化した木造建築物の建替え等による市街地の安全性の向上や、建築物の適切な維持管理による建築物の安全性の確保を円滑に進めることなどが課題となっています。また、空き家が増加傾向にある中で、住宅をそれ以外の用途に変更して活用することが求められており、建築行政においても、安全性の確保と既存建築ストックの有効活用を両立しつつ、建築規制を合理化していく必要があります。」(以下、略) 今回の戸建て住宅に関する重要な改正は、後半部分の「既存建築ストックの有効活用」という部分です。こうした現状認識の下で、具体的に次のような改正が行われました。 (1)戸建住宅等(延べ面積200㎡未満かつ3階建て以下)を他の用途とする場合に、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とする(2)用途変更に伴って建築確認が必要となる規模の見直し  次に、この改正によって、具体的に何がどう変更になったのかについて、わかりやすく説明していきましょう。 戸建て住宅の転用で耐火構造への改修が不要に 従来、建物の種類が「居宅」になっている戸建て住宅を他の用途へ転用する場合、転用後の延床面積が100㎡以下であれば、建築確認手続きは不要でした。それが、今回の改正で、建築確認手続きが不要となる延床面積が200㎡以下にまで拡大されることになりました。さらに、3階建て以下で延床面積200㎡未満の戸建て住宅などを他の用途の建築物に転用する際、柱や梁といった主要や構造部を耐火構造にする改修を不要とする特例が設けられたのです。 こうした改正によって、一般の戸建住宅を、簡易宿泊施設や老人福祉施設などに転用しやすくなると考えられています。例えば、改正前の建築基準法では、木造の戸建て住宅を簡易宿泊施設に転用する場合には、宿泊室が3階にある建物は耐火建築物でなくてはいけないという規定があったため、該当しない建物の3階は宿泊施設としては使えませんでした。それが、今回の改正によって、延床面積が200㎡未満の3階建てであれば、耐火建築物にしなくてもよいことになりました。 また、建物の用途変更を伴う建築確認手続きにはさまざまな書類が必要で、それを用意するためには費用と手間がかかります。改正によって、3階建てで延床面積200㎡未満の戸建て住宅であれば、そうした建築確認手続きは不要となります。 空き家対策の切り札となるか 国内でも、2018年6月に「住宅宿泊事業法」いわゆる「民泊新法」が施行されて以降、各地に法律に則った民泊施設が数多く登場しています。但し、これまで、都心部に多い3階建ての戸建住宅は民泊施設には不向きとされていました。その理由は、耐火建築物への改修や建築確認手続きが高いハードルとなっていたからです。しかし、今回の建築基準法の改正によって、小規模の3階建ての戸建住宅が民泊施設として活用されるケースが増加すると予想されています。それに伴って、戸建て住宅の不動産としての評価にも、変化が生じると考えられます。 国土交通省が、このような規制緩和を進めるのは、建築基準法改正の背景でも述べたように、「既存建築ストックの有効活用」特に〝空き家〟問題の対策としての側面が強いと言えます。総務省の「住宅・土地統計調査」(2013年実施)によると、全国の空き家(総数819万5600戸)の内、賃貸や売却用、別荘を除いた約4割が「その他の住宅」であり、その大部分を戸建住宅が占めているそうです。さらに2033年には、全国の空き家の数は約2150万戸になるという推計もされています。将来にわたって急増する空き家を、簡易宿泊施設や老人福祉施設にスムーズに転用させることを狙っているわけです。 短期的には、2020年に迫った東京オリンピック・パラリンピックに向けての、宿泊施設の確保も視野にあるでしょう。いずれにしても、今回の建築基準法の改正は、戸建て住宅の利用価値を見直し大きなきっかけになると考えられます。 仮審査( 不動産事業者専用 ) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 ノンバンクで不動産担保ローンを利用する理由とはーー不動産事業者インタビューvol.1(2) 前回は、不動産物件の仕入れにあたって、実際にどんな工夫をしているのかについて、株式会社ノアプランニングの菅野敬介さんにお話をお聞きしました。今回は、引き続き、資金調達についてお伺いしていきま...記事を読む

    2019.06.25不動産価値
  • 「競売」の実態と今後の動向

    「競売」の実態と今後の動向

    以前に比べ、競売される不動産に対する注目度は上がっています。不動産業者だけではなく、一般の個人が競売に参加することも珍しくなくなりました。この背景には、市場価格よりも割安な価格で不動産物件を入手できる可能性がある、といった見方が広がっていることが挙げられます。 そのため、住宅ローンの返済が行き詰った場合、担保となる不動産を競売ではなく、市場価格に近い価格で売れる任意売却で売る方が良い、といった見方も浸透していったと思われます。果たして、そうした見方は本当に正しいのでしょうか。改めて、最近の競売の動向をチェックしてみましょう。 競売の落札価格は安くはない!? 競売にかけられる不動産の基準となる価格「売却基準価額」は、市場価格の7~8割程度に設定されます。物件の中身や地域によってもバラつきがありますが、最近は7割程度に設定されるケースが増えているようです。さらに、最低落札価格は、売却基準価額から2割割安に設定されます。こうした事実から、競売物件は安く買える、という見方が出てきました。 実際、バブル崩壊以降の地価の下落が続いた時期は、市場価格に比べてかなり割安な価格で落札されたケースも発生していました。しかし、国内景気が回復し、不動産市場が持ち直すにつれて、落札価格の水準も上昇していったのです。 興味深いデータがあります。全国競売評価ネットワークという機関が、競売情報を公表している「不動産競売物件情報サイト」のデータを分析したものです。この全国競売評価ネットワークの分析によると、平成28年度に全国の裁判所で行われた不動産競売における平均落札価格は、市場価格の95・4%だったそうです。東京地裁が管轄する東京エリアの不動産競売に至っては、市場価格を超える111・6%でした。 なお、発表されている最新データは平成28年度分で、この年だけが落札が好調だったわけではありません。過去のデータをさかのぼってみると、全国ベースでは平成23年度以降、平均落札価格は市場価格の90%を超えていました。東京エリアをみると、平成22年度以降は100%を超えているのです。こうしたデータを見る限り、「不動産を競売で売却すると市場価格よりかなり安くなる」というのは、少なくとも、ここ数年の現状には当てはまらない、といえるでしょう。 任意売却をする場合、通常の不動産取引とはそれほど変わらないため、売買をする不動産業者には仲介手数料を支払うことになります。加えて、任意売却を行なう専門業者への手数料も発生します。そうした点を考慮すると、競売と任意売却のどちらが有利であるということは、一概にはいえないと考えられます。 競売件数は減少傾向だが、今後は増加の可能性も 担保不動産の競売件数は減少傾向にあります。それは、『司法統計』をみると一目瞭然です。司法統計とは、裁判所が取り扱った事件に関する統計で、最高裁判所の事務総局が取りまとめて公表しています。その中に、「不動産等を目的とする担保権の実行としての競売等」という項目があり、これが担保不動産の競売件数に該当します。 裁判所のホームページでは、平成12年度からのデータが閲覧できますが、平成12年度には全国で8万2879件ありました。それが、ほぼ右肩下がりで減少傾向となり、最新の平成28年度では1万8568件になっています。競売件数は、この間、4分の1以下にまで減ったことになります。 減少傾向にある要因はいろいろと指摘されています。中でも、強い影響を与えているとされているのが、「中小企業金融円滑化法」(通称「モラトリアム法」)の施行です。リーマン・ショック後の2009年12月に、中小企業を救済し、連鎖倒産を防ぐためにつくられた法律です。内容は、中小企業に融資している金融機関に対して、金利の減免や返済の猶予、返済期間の延長などを促して、中小企業の資金繰りに関する負担を軽くする、というものです。 そして、このモラトリアム法によって、金融機関の中小企業への融資の態度が大きく変化したといわれています。不動産を担保として融資をしている場合、貸出先の中小企業の返済が滞ってきたといったケースでも、すぐに担保不動産を競売にかけることはせず、金利の減免や返済の猶予、返済期間の延長などに、柔軟に応じるようになったとされます。 モラトリアム法自体は、2013年3月末で終了しましたが、実は、その後も金融庁は、金融機関に対して〝任意〟で中小企業への融資スタンスについて報告を求めてきた、という経緯があります。そのため、モラトリアム法の実質的な効力は継続してきました。 しかし、金融庁は、その金融機関からの任意の報告についても、平成30年度(2019年3月末)を最後としたのです。その結果、これまで金融機関が正常な債権として扱ってきた融資の案件であっても、不良債権の扱いにされるケースが発生しているとされています。もしかすると、これまで減少傾向をたどってきた担保不動産の競売は、2019年以降、増加に転じるかもしれません。これが、今後の競売の落札価格にどんな影響を与えるのかは不透明ですが、注視していきたいと思います。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる可能性があります。しかし、必ずしも借り入れできる訳ではありません。この記事では、住宅ローンの残高が...記事を読む

    2019.06.04自宅売却
  • 競売を回避する「任意売却」とは?

    競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説

    住宅ローンを滞納してしまうと、債権者である金融機関から一括返済を求められてしまいます。一括返済に応じられないと、最悪の場合は抵当権を実行され、競売によって相場より安い売却価格で自宅を手放すことになります。 一方で、任意売却であれば、競売よりも高値で売却できる可能性があります。この記事では、住宅ローンの債務を清算するための競売以外の売却方法である、「任意売却」について解説します。 任意売却と競売の概要 任意売却とは 任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になったときに、債権者と債務者の間で同意し、担保不動産を売却することです。不動産が競売にかけられる前に、債務者が自分の意志で不動産を売却することから任意売却と呼ばれています。また、「任売」という略称を用いられることがあります。 競売とは 競売とは、住宅ローンや不動産担保ローンの返済が困難になった場合に、債権者の申し立てにより、裁判所を通じて担保として提供した不動産が強制的に売却される手続きです。 関連記事はこちら競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法 任意売却のメリット 競売と比較して、任意売却には以下のようなメリットがあります。 経済的な事情を知られずに売却できる 競売の場合、裁判所によって競売が行われることや差押えが行われたことが公示され、物件の所在地や外観などもホームページで公表されてしまいます。加えて、裁判の執行官による現地調査や落札を検討している不動産会社の物件確認などが行われるため、競売にかけられたことが周囲に知られてしまうこともあるでしょう。 一方で任意売却であれば、通常の不動産売却と同様に物件の売却を行うため、経済的な事情によって自宅を売却することを周囲に知られることはありません。 市場価格に近い値段で売却できる 競売の場合、落札価格の基準となる売却基準価額が市場価格の7~8割、さらに最低落札価格である買受可能価額は売却基準価額の8割程度で設定されるため、基本的に競売の落札価格は市場価格を下回ってしまいます。 一方で任意売却であれば、通常の不動産売却と同様に物件の売却を行うため、売り出し価格を自由に設定でき、市場価格以上の金額で売却できる可能性があります。 任意売却の注意点 任意売却を検討する場合、以下の2点に注意しましょう。 金融機関の同意がないと進められない 任意売却を行うには、債権者である金融機関の同意が前提となるため、任意売却を行う不動産会社に金融機関との交渉を依頼することになります。そこで同意が得られれば、任意売却の手続きに入ることができます なお、任意売却は競売の入札が始まっている状態でも可能ですが、そもそも不動産の売却には時間がかかります。任意売却を選択するのであれば、早い段階から不動産業者に依頼することが大切です。 必ずしも一括返済できるとは限らない 担保不動産を売却する場合、通常は売却時に債務を一括返済して抵当権を抹消する必要があります。しかし、任意売却はあくまでも「市場価格に近い価格で売却できる可能性がある」というだけで、必ずしも任意売却後にローンが完済できるわけではありません。 担保不動産を売却しても住宅ローンを完済できない時には、金融機関に抵当権抹消の承諾を得た上で売却することになります。任意売却後に残債の返済については、金融機関と話し合って返済方法や返済額の取り決めを行います。残債の返済は、債務者が分割払いなどで行います。その点は、競売による売却と変わりません。 任意売却の大まかな流れ 任意売却の大まかな流れは以下のとおりです。 不動産業者を探す 媒介契約を締結する 売却価格やスケジュールを決める 金融機関から同意を得る 販売活動開始 売買契約を締結 決済・物件の引き渡し 任意売却を行うことを決めたら、まずは任意売却の実績やかかる費用を提示してくれるかなどを確認し、信頼できる不動産業者を探しましょう。依頼する不動産業者が決まったら、媒介契約を締結します。 その後は不動産業者によって物件の査定が行われ、売却価格やスケジュールが決められます。不動産業者が債権者である金融機関との交渉し、同意を得ることができれば販売活動が開始されます。こまめに不動産業者と連絡を取り、内見の対応など、販売活動には積極的に協力しましょう。売却希望者が見つかったら、売買契約を締結します。 決済日当日に売却代金を受け取ったら、抵当権を抹消し、物件の引き渡しを行います。住宅ローンを完済できれば手続きは完了ですが、残債がある場合は引き続き返済を続けていくことになります。 まとめ 任意売却を行うことで、競売よりも有利な条件で自宅を売却できるかもしれません。任意売却を行うのであれば、可能な限り早く行動に移すことが大切です。住宅ローンの支払いを継続するのが難しいと感じたら、滞納して支払督促を受ける前に、任意売却を検討してみましょう。 自宅の売却相談はこちらから SBIシニアの住まいとお金なら、金融と不動産の両方の知識で丁寧にアドバイスいたします 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる可能性があります。しかし、必ずしも借り入れできる訳ではありません。この記事では、住宅ローンの残高が...記事を読む

    2019.05.21自宅売却
  • 担保不動産競売までの流れをわかりやすく解説

    担保不動産競売までの流れをわかりやすく解説

    ローンの支払いを滞納すると、金融機関から「法的手続きを開始する」旨の催告書が届きます。催告書が届く段階になると、競売手続きが始まっている可能性が高いです。 この記事では、金融機関から催告書が届いてから、裁判所による競売にかけられるまでの流れを解説します。 「期限の利益喪失」後は、裁判所の競売手続きに移行 ローンの延滞によって、債務者の「期限の利益」が喪失された後は、何もしなければ、担保不動産は競売にかけられます。したがって、不動産を売却されたくなければ、競売申立ての通知が来る前に、何らかの対応をとる必要があります。 また、金融機関によっては、「代位弁済」の通知が来ることがあります。代位弁済とは、滞納をしている債務者に代わって、保証会社がローンの残高を金融機関に対して一括返済することです。代位弁済が行われた後は、債権者は金融機関から保証会社に代わります。 そのため、代位弁済の通知は保証会社から送られます。すでに期限の利益は喪失しているため、保証会社が債務者になっても、一括返済が必要であることは同じです。 なお、金融機関がすべて保証会社を利用しているとは限りません。銀行は保証会社を利用していることが多いですが、ノンバンクなどは、保証会社を利用していないことも少なくないです。当然、保証会社を利用していなければ、代位弁済の通知が送られてくることはなく、債権者は変わりません。 関連記事はこちら期限の利益とは?意味や喪失事由、注意点について解説 裁判所からの最初の通知は「差押え」 期限の利益が喪失されると、裁判所から「差押え」の通知が届きます。金融機関や保証会社などの債権者が、裁判所に担保不動産の競売の申立てをすると、裁判所が不動産を差押えしたことを債務者に知らせます。 差押えは、債権者がローンの返済を受ける権利を守るために、不動産の所有者が売却できないようにする措置といえます。裁判所が差押えをすると、不動産の登記簿謄本に登記されます。差押えの記録がある不動産は売買できず、債権者の同意なしに競売を回避できなくなります。ただし、ローンの一括返済をすれば差押えを解除することは可能です。 裁判所の差押えの後は、同じく裁判所から「担保不動産競売開始決定通知」が送られます。この通知は、債権者が申立てていた不動産の競売を、裁判所が正式に受理したことを知らせる書類です。この通知が届いた後は、競売に向けての具体的な手続きが開始されます。 裁判所の執行官による不動産の現況調査 担保不動産競売開始決定通知の後、1~2か月程度で裁判所の執行官による現況調査が行われます。現況調査とは、実際の不動産の状態を確認することで、登記簿に記載されている情報が正しいかや、周辺環境、誰が住んでいるかなどを確認する作業です。外観や室内の写真撮影や住人への聞き取りなども行われます。 この現況調査は、法的な執行力があるため、拒否することはできません。もし、室内の調査を拒めば、執行官が鍵を壊して建物の中に入ることが認められています。裁判所は、こうした現況調査の結果や、不動産鑑定士による価格の査定を参考にして、競売にかける不動産の基準価格を決めます。 競売のスケジュールの決定と不動産からの退去 現況調査から3~6か月程度経過すると、いよいよ裁判所から「競売の期間入札」が決定したという通知がきます。この通知には、担保不動産の競売に関する日程が記載されています。 競売の流れは、まず対象となる不動産の物件情報が開示される「閲覧開始日」が設定されます。そこから数週間以内に入札が開始されます。入札の終了までは最長1か月以内となっており、入札終了後、1~2週間程度で入札の結果が公表されます。そして、裁判所は、対象不動産に最も高い価格を付けた人(最高価買受人)に不動産を売却します。 入札の結果が出た後は、2か月程度で最高価買受人による代金の納付が行われます。代金の納付が行われた段階で、不動産は落札者の所有となるので、登記簿上の所有権は移転され、その不動産に居住している人がいれば退去しなければなりません。以上が、担保不動産が売却されるまでの流れとなります。 まとめ 競売にかけられて、所有権が移転するまでの間、差押えや現況調査があっても、その不動産に住み続けることは可能です。しかし、期限の利益を喪失した後は、ローンの残高を一括返済する以外に、不動産の売却を回避する方法はありません。したがって、不動産を所有し続けたいのであれば、現実的には、「期限の利益」を喪失する前までの間に、何らかの対応をとる必要があります。一方で、それは非常に短い期間となります。売却されるまで猶予がある、と考えることは禁物なのです。 自宅の売却相談はこちらから SBIシニアの住まいとお金なら、金融と不動産の両方の知識で丁寧にアドバイスいたします 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 住宅ローンを滞納してしまうと、債権者である金融機関から一括返済を求められてしまいます。一括返済に応じられないと、最悪の場合は抵当権を実行され、競売によって相場より安い売却価格で自宅を手放すこ...記事を読む

    2019.05.14自宅売却
  • 「金銭消費貸借契約証書」の重要性とは?

    「金銭消費貸借契約証書」の重要性とは?

    金融機関から借入れた不動産担保ローンの返済が困難になってしまうと、担保として提供している不動産は金融機関によって売却されることになります。これは、不動産担保ローンを借入れるときの〝常識〟ですが、売却されることになった場合、実際にどんな手続きが発生するのかは、それほど知られてはいません。万が一、返済が困難になったときはもちろん、きちんと返済が終了したときにも関わる手続きが含まれていますので、4回にわたってお話しをしていきます。 不動産を担保にする権利「抵当権」 まず、不動産が担保にされたときの権利関係について、確認をしたいと思います。不動産担保ローンを融資するとき、金融機関は貸出先の不動産を担保にしますが、具体的には、「抵当権」を設定することになります。このとき、融資をする金融機関は「債権者」となり「抵当権者」になります。一方、融資を受ける方は、「債務者」となり「抵当権設定者」と呼ばれます。 抵当権は、債務者である金融機関が、担保とする不動産の登記簿謄本に登記することで完了します。登記されると、債務者がローンの返済が不可能になり(=「債務不履行」と呼ばれます)、裁判所が実施する「競売」(けいばい)などで不動産が売却された場合、優先して債務の返済を受けることができます。不動産を競売にかけることは「抵当権の実行」と呼ばれます。 なお、ローンを完済すれば抵当権を外すことができます。したがって、ローン返済期間の途中であっても、残りの借入金額と利息をすべて繰り上げ返済してしまえば、抵当権を外せることになります。何らかの理由で、返済の途中で不動産を売却することになった場合は、まず完済をしてから売却します。抵当権が設定されている不動産には、基本的には買い手はつかないからです。抵当権が残ったままだと、不動産の前の所有者が債務不履行に陥ったときには、抵当権が実行されてしまいます。 また、ローンの返済が終わったとき、抵当権は自動的に抹消される、ということはありません。登記簿に記載されている抵当権は、抹消の手続きを行わない限り残ります。ローンを完済すれば、たとえ抵当権が記載されていても、金融機関の担保からは外れるのですが、抵当権が残っていると、その不動産を売却するときにスムーズにいかないケースが出てきます。したがって、完済したときには自分で手続きを行なう必要があります(費用を支払って、司法書士に代行してもらうことも少なくありません)。 「催告書」は法的手続きの通知書 では、ローンの返済が滞納した後の流れを追っていきましょう(以下は一般的に想定されるパターンで、すべての金融機関が該当するわけではありません)。 返済日に銀行口座からの引き落としができなかった場合、金融機関は、返済日の翌日に問い合わせの電話をしてくるはずです。問い合わせの内容は、支払いができなかった理由と、いつ頃に支払いができるのかという2つに集約されます。そして、金融機関としては、この段階で、融資先が債務不履行になっている可能性を視野に入れるようになります。 電話での問い合わせ以外に、支払いを催促する「督促状」(とくそくじょう)が郵送されてきます。この督促状は、返済を求める請求書にもなっており、「このまま滞納が続くとローンの残高と支払いの遅延損害金を一括返済してもらうことになる」といったことも記載されています。 請求書が届いた後も滞納が続き、返済の予定などを示さなかった場合は、「催告書」(さいこくしょ)が郵送されてきます。督促状との違いは、催告書は請求書ではなく、通知書であることです。何を通知するのかというと、「このまま滞納が続くと法的措置をとることになる」といった内容です。この法的措置とは抵当権の実行、つまり担保不動産の売却になります。 催告書は「内容証明郵便」で郵送されることがほとんどです。内容証明郵便とは、郵便局が「確実に郵送しました」という配達の記録を証明してくれるものです。催告書は、裁判所で不動産を競売にかけるときに必要な書類であることから、内容証明郵便を使うわけです。したがって、催告書が郵送されてきたら、すでに金融機関は法的な手続きを開始した可能性が高いと予想されます。 さらに、催告書が届いた場合、ローンの支払いの遅延などの情報を管理する「個人信用情報機関」は、目安として3か月以上の返済の遅延がある人を〝ブラックリスト〟に入れると考えられるため、その前に通知をすることになります。ただし、督促状や催告書が郵送された段階で、個人の信用情報には記録が残されていると考えたほうがいいでしょう。 「金銭消費貸借契約証書」の内容を確認しておくことが大事 たまに、ローンの契約を〝軽く〟考えてしまう人がいます。何の根拠もなく、「1回くらいの延滞であれば許されるだろう」といった思い込みなどです。しかし、多くの金融機関で、ローンの契約時に交わす「金銭消費貸借契約証書」に、「返済期日を1日過ぎただけでも『期限の利益喪失』事項に該当する」と記載しています。 「期限の利益」とは聞き慣れない言葉ですが、「ローンを分割払いで返済できる」ということで契約書に記載されます。この「期限の利益」を喪失してしまうと、ローンを借りた債務者は分割払いで返済できるという権利を失うため、残高と利息分を一括して支払わなければなりません。つまり、この通知が来た段階で、債務者は滞納分の支払いだけでは済まず、一括返済しか選択肢がないことになります。そもそも、毎月の返済が困難となり滞納をするわけですから、一括返済はほぼ不可能といえるでしょう。 もし、「返済期日を1日過ぎただけでも『期限の利益喪失』事項に該当する」と記載されていれば、契約書上の返済期日を過ぎてしまうと、金融機関から、いつ法的措置を取られたとしてもおかしくはないのです。「契約書なんてどれも同じだろう」とは考えず、金銭消費貸借契約証書の内容はきちんと理解しておくことが大切なのです。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 担保不動産競売までの流れをわかりやすく解説 ローンの支払いを滞納すると、金融機関から「法的手続きを開始する」旨の催告書が届きます。催告書が届く段階になると、競売手続きが始まっている可能性が高いです。 この記事では、金融機関から催告書が...記事を読む

    2019.05.07自宅売却
  • 不動産価値の高め方と立地条件と不動産価値の関係

    不動産価値の高め方とは?立地条件と不動産価値の関係

    不動産の価格は価値と連動するため、高く売るためには価値を高めることが大切です。 それでは、所有する不動産をできるだけ高く売るために、オーナーは何を行えば良いのでしょうか。 不動産価値を高めるための方法や高く売れるための条件などを、弊社内で実施したアンケート結果を基にご紹介していきます。 1.不動産価値を高める方法 一般的に、不動産の価値は年数が経過していくにつれ、少しずつ低下してしまいます。 ただ、リフォームなどをして手を加えることで、能動的に資産価値を高めることも可能ですし、駅から近い、環境が良いなどの利便性が高いエリアの場合、基本的に不動産価値は高くなります。 次の章から、不動産価値の高め方について具体的に説明していきます。 2.不動産価値を短期的に高める方法 まずは、短期的(1年以内)に不動産価値を高める方法をご紹介していきます。 「仮にあなたが持っている不動産を短期間(1年以内)で売却しようと考えた場合、より不動産価値を高めるためにどんなことをしますか。具体的に教えてください。」という内容でアンケートを実施しました。 自由回答で実施したのですが、「リフォーム」「掃除・クリーニング」「立地条件・周辺環境をアピール」という3つが意見として多く寄せられました。 実際の回答も含めながら、なぜそれらが重要なのかを詳しくお話していきます。 リフォーム 築年数が経った不動産に長期間住んでいるとどうしても古い印象を受けてしまうため、リフォームにより築年数やエリアが同条件の不動産と差別化を図ることで、不動産価値を高めることが可能です。 短期的に価値を高める場合は、リフォームで部屋や外壁をきれいにするという回答が目立ちました。 特に、キッチンやトイレ、お風呂といった水回りは要チェックポイントですので、掃除できれいにするのが難しい場合は、リフォームをすることをおすすめします。 以下、アンケートの回答になります。 ・外観をリフォームする。 第一印象をよくする。 ・フルリフォームにより他の不動産と差別化を図る。 ・ここに住みたいと思わせるような第一印象が大事である為、リフォーム等で見栄えを良くする。 ・内装、外装の手入れと水周り等の注目ポイントの精査。 掃除・クリーニング リフォームまではいかなくても、掃除・クリーニングを定期的に行い、部屋をきれいにしておくことは重要です。 リフォーム分の費用を不動産に反映させるのが難しい場合は、買い手の気持ちを考えると、やはりきれいな部屋の方が購買意欲がわき、印象も良くなります。 不動産に合わせ、部屋の掃除や定期的な除草、防草シートの設置、外構や庭木の手入れなどを行いましょう。 以下、アンケートの回答になります。 ・土地であれば、定期的な除草、防草シートの設置などにより見栄えを良くする。建物付(マンション含)であれば建物内外のクリーニング。 ・ハウスクリーニングなどを行い、建物の見栄えを良くする。 ・不動産は見た目が大切だと思います。外構や庭木の手入れをする事で、購入者の印象が良くなると思います。 ・建物内のクリーニングを行い見栄え等良くする。 立地条件・周辺環境をアピール 立地や周辺環境も不動産価値に大きく影響します。 立地や周辺環境を変更することはできませんが、同じ条件であってもアピールの方法で不動産価値に大きく影響します。 駅から徒歩数分や不動産周辺に大型商業施設、学校、病院、スーパー、コンビニ、ドラッグストアがあるなど、立地条件の良さ、利便性のプラス面を積極的にアピールしましょう。 以下、アンケートの回答になります。 ・周辺環境や同エリアの売買事例を把握し、価格設定を不動産事業者に頼りきらない。 ・不動産のモノにもよるが、売却したい不動産のアプローチブックを作成し、駅アクセスや周辺環境、不動産の将来性、住宅ローンシュミレーション等用意しアピールに努める。 ・立地条件及び住宅設備のアピール。 仮に戸建てで長期優良住宅に認定されている場合であれば、税金の減税等をアピールする。 ・利便性や周辺環境、今後の市場相場のアピール。 3.不動産価値を長期的に高める方法 次に、長期的(1年超)に不動産価値を高める方法をご紹介していきます。 「仮にあなたが持っている不動産を長期間(1年超)で売却しようと考えた場合、より不動産価値を高めるためにどんなことをしますか。具体的に教えてください。」という内容でアンケートを実施しました。 自由回答で実施したのですが、「リフォーム・リノベーション」「収益不動産としての価値を高める」という2つに意見が集中しました。 先ほどと同様に、実際の回答も含めながら、なぜそれらが重要なのかを確認していきましょう。 リフォーム・リノベーション 長期的に不動産の価値を高めようとしたとき、リフォームやリノベーションが有効な手段となります。 リフォームは老朽化した不動産を新築のようにするものですが、リノベーションでは、建物の価値をより高めるため、設備をより現代的なものにしたり、耐久性を高めたりします。 短期的に不動産価値を高める場合は、内部や外壁などの一部をリフォームすると答えた方が多かったですが、長期的に高めていく場合は、全体的にリフォームやリノベーションを実施して、価値を高めていくと答えた方が多かったです。 以下、アンケートの回答になります。 ・外観及び室内設備のフルリフォーム実施。 ・特定の層に対し響くリフォーム(音楽可など)の実施とそれに伴う家賃の向上。 ・外観及び室内設備のフルリフォーム実施。 ・リノベーションによる資産価値の向上。 収益不動産としての価値を高める 収益不動産として価値を高めていくことも選択肢の一つと言えます。 需要の大きいエリア(立地)であれば、入居者の入れ替え時や更新時に家賃の値上げを行い、不動産価値を上げることも有効です。 以下、アンケートの回答になります。 ・エリア特性も、考慮しリノベ後のリロケーション計画(企業単身赴任者用収益)優良企業を借り主とした収益不動産として、その時の為替レートにより有利な海外投資家へ販売。 ・賃貸需要が旺盛な地域であれば、収益不動産の建設やリフォーム。 ・特定の層に対し響くリフォーム(音楽可など)の実施とそれに伴う家賃の向上。 ・収益不動産であれば、属性の悪いテナントの入れ替えや不動産の大規模修繕を行って不動産価値の維持を図ります。 実需であれば、室内のクリーニングや水周りの更新、外壁の補修等を実施して不動産の価値の維持を図ります。 4.立地条件と不動産価値の関係 立地条件は良いほど不動産価値は上がるのが一般的です。 ただ、状況によっては立地条件が良くても相場以下の評価になることもありますし、立地条件はそれほど良くなくても、相場以上の評価になることもあるのです。 このような場合、一体どんなケースが考えられるのでしょうか。 そこで、「立地条件がそれほど良くない不動産でも相場以上の価値を評価した経験があれば、その理由や背景などを詳しく教えてください。」「立地条件が良い不動産でも相場以下の価値を評価した経験があれば、その理由や背景などを詳しく教えてください。」とそれぞれの状況について、実例を調査してみました。 立地条件が影響しないケースは少ない どちらも「特にない」という回答が4割前後を占めており、立地条件は非常に大きな要因の1つであるということが、再認識できる結果となりました。 ただその中でも、道路付けや嫌悪施設(墓地など)の状況によっては、相場より高い(もしくは低い)評価をしたことがあるという経験をした人も少なくありませんでした。 また、戦略的にあえて相場より高く(もしくは低く)評価したという経験をしている人も一部いました。 最後に、それぞれの主な回答をご紹介していきます。 立地条件がそれほど良くない不動産でも相場以上の価値を評価した理由 ・室内・エクステリア設備と建物のグレード、大型分譲地などの生活環境、道路付け・地形・高低差といった要因が良好だったため。 ・建物の仕様や大手建築メーカーの建築など、残存価値を最大化して評価したため。 ・再開発事業などで今後の発展が見込まれたため。 ・個別要因に優れていたため(注文建築の築浅不動産・前面接道が南で向かいに公園等の公共施設空地が有る・エリア人気により潜在需要が高く不動産化後の販売期間が短期な不動産(一般公開しなくても売買が可能なエリア))etc。 ・容積率の緩和が適用されたため。 立地条件が良い不動産でも相場以下の価値を評価した理由 ・立地条件は最寄り駅からの距離だけではなく、道路付け、地形、高低差は当然評価に影響する。その他嫌悪施設、騒音なども評価にマイナスに影響を与える。 ・近隣に嫌悪施設がある場合は、立地が良くても総売価の評価をつけざるを得ないため。。 ・個別要因比較において、条件(地形、道路条件等)が劣ると判断される場合、価格面で競争力を付けるため。 ・路地状敷地、三角地など地形が不正形なため。。 ・道路付けや地形、高低差等に加えて、境界確定が出来ないことが明らかなため。 5.まとめ 不動産価値は、立地条件や道路付けなどで大きく価値は変動しますが、購入後もリフォームやリノベーション、清掃などで高めることが可能です。 できるだけ価値を高めるためにも、定期的な掃除などできる部分から始めていきましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産評価の方法と不動産価値の考え方 不動産は用いられる指標や利用状況などによって、算出される価値が異なるという特徴を持ちます。また、戸建てとマンションでも資産価値の考え方は異なる場合があります。 この記事では、不動産評価におけ...記事を読む

    2019.01.29不動産価値
  • 不動産評価の方法と不動産価値の考え方

    不動産評価の方法と不動産価値の考え方

    不動産は用いられる指標や利用状況などによって、算出される価値が異なるという特徴を持ちます。また、戸建てとマンションでも資産価値の考え方は異なる場合があります。 この記事では、不動産評価における重要なポイントや、戸建てとマンションで異なる資産価値の考え方などを紹介します。 不動産評価の方法 自宅などの不動産を購入する際、その不動産を評価する方法を把握することが重要です。不動産の価値の考え方は、1つの土地に対して5つの種類があるとされ、一物五価とも呼ばれます。 公示価格(公示地価) 実勢価格 基準地価 路線価 固定資産税評価額 このうちどれを適用するかによって計算結果は異なります。一方で、どの評価方法を用いたとしても重要なポイントは同じです。この重要なポイントを、SBIエステートファイナンス株式会社が実施したアンケート結果を基に紹介していきます。 出典)SBIエステートファイナンス株式会社「不動産のプロ104人に聞いた、30年後に価値の落ちない物件とは 不動産価値の下がらない物件の種類は一戸建て⁉~SBIエステートファイナンスが不動産価値に関してアンケート調査を実施~」 不動産評価のプラス面で重要なポイント まずは、不動産評価のプラス面から確認してみましょう。 「不動産物件の30年後を見据えた場合に、価値を左右する重要なポイントを重要度合いの高いものから3つまで選んでください。」という質問をしたところ、「最寄り駅からの距離や公共交通機関の利便性」が最も選ばれ、次点で「日常的な買い物施設、飲食店などへのアクセスの良さ」「築年数や建物のグレード」「地震・台風などの自然災害に対する安全性」という3つの項目が僅差で並びました。 最寄り駅からの距離や公共交通機関の利便性 不動産は基本的に駅に近い方が評価が高くなります。公共交通機関の利便性が高い都市部では、駅からの距離が重要な評価ポイントであり、公共交通機関が揃っているエリアでは土地そのものも高くなります。 逆に地方部では車での移動が中心であることから、都市部ほど最寄り駅からの距離が評価に影響しないこともあります。 日常的な買い物施設、飲食店などへのアクセスの良さ 自己居住用の不動産においては、日常的な買い物施設や飲食店などへのアクセスの良さが不動産評価に影響します。食料品や日用品を購入できるスーパーマーケットやドラッグストアのほか、単身者向けの物件ではコンビニエンスストアも評価ポイントです。 そのエリアの居住者の需要の高い飲食店があるかどうかもポイントです。例えば、単身者向けであればファストフードなどが挙げられます。 築年数や建物のグレード 物件の築年数は、建物の状態や地域の人気度と異なり、誰でも確認できる客観的なデータであり、評価において重要な情報です。一般的に古いものほど資産価値は下がりますが、エリアや不動産の種類、室内の状況によって変化します。 例えば、築年数が古い不動産であっても、人気エリアや利便性の高いエリアであれば資産価値は下がりにくい傾向にあります。また、建物の耐用年数は木造が22年、鉄筋コンクリート造が47年と法律で定められおり、耐用年数が長い鉄筋コンクリート造の方が、不動産評価は高くなる傾向にあります。 地震・台風などの自然災害に対する安全性 大規模な地震や津波、台風などの自然災害に見舞われたとき、その物件が耐えられるかどうか、という点も重要なポイントです。地震については物件の耐震性や免震構造などの点、津波や台風などの水害においては、ハザードマップを確認することが重要です。 関連記事はこちらハザードマップとは?使い方や活用ポイントを解説 不動産の階数、方位、位置 その他にも、客観的にわかりやすい情報として、不動産の階数や方位、位置などもポイントになります。 特にマンションでは、階層や部屋向きが重要です。低層階と高層階では、眺望の良い高層階が人気のため、価格が高くなる傾向にあります。反対に、1階はセキュリティなどの要因から価格は安くなる傾向にあります。 方位はそれぞれにメリット・デメリットがありますが、「南→東→西→北」の順に人気です。やはり日当たりの良い南向きを好む方が多く、日照が悪い北向きなどよりも価格は高くなる傾向です。ただし、この傾向もエリアや立地によって異なることを念頭に置いておきましょう。 不動産評価のマイナス面で重要なポイント 次に、不動産評価のマイナス面を確認してみましょう。 「不動産物件の30年後を見据えた場合に、不動産価値が下落する要因として最も影響度が高いと思うものを3つまで選んでください。」という質問をしたところ、「エリア周辺の過疎化」「自然災害の発生」「近隣に嫌悪施設(高速道路、火葬場、刑務所等)の建設が予定」という3つが、最も多くの支持を集めました。 エリア周辺の過疎化 過疎化や少子化が進んでいる地域は土地の需要がなく、時価が低くなる事例も見られます。評価額もある程度は地域の情勢を取り込んで決定されますが、まったく人気のない土地は、想像以上に価格が下がってしまうこともあります。 今後そのエリアが発展するのか衰退するのかは、不動産評価に大きな影響を及ぼす恐れがあるので、「日本の地域別将来推計人口」などを参考に、情報収集を行っておくといいでしょう。 出典)国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口・世帯数」 自然災害の発生 プラス面で「地震・台風などの自然災害に対する安全性」が挙げられたように、自然災害が発生することで不動産価値は大きく変化します。地震や台風などはあらかじめ予見できるものではありませんが、耐震性の高い物件を選定したり、沿岸部を避けて水害によるリスクを回避したりすることは可能です。 近隣に嫌悪施設(高速道路、火葬場、刑務所等)の建設が予定 嫌悪施設は周辺の土地の地価に影響を及ぼすマイナス要因となる場合があります。嫌悪施設とは火葬場や刑務所、高速道路など生活をしていく上で不快に感じることのある施設のことです。 たとえば、準住居地域で、路線価が同じ2つの土地があるとします。一方の土地は隣にカラオケスナックがあり、深夜まで大音量の音楽が聞こえてきます。もう一方の土地の隣にあるのは美容院で18時には閉店するため、夜はいたって静かです。この場合、評価価格は当然後者のほうが高くなります。 日銀の金融政策の「金融の引き締め」 その他にも、「日銀の金融政策の「金融の引き締め」」という回答もありました。日銀によって融資が引き締められると、不動産購入の需要が減少し、早期に利益確定をしたい売り手が徐々に価格を下げ、不動産価格が全体的に下落する恐れがあります。 戸建てとマンションで違う資産価値の考え方 ここからは、戸建てとマンションの資産価値の違いを見ていきましょう。「築年数や広さが同等の場合、下記の物件種別の中ではどの物件の価値が落ちにくいと考えますか?」という質問を行ったところ、一戸建てが最も価値が落ちにくいという回答が得られました。 一戸建て 一戸建ての価値が落ちにくい理由としては、以下のようなコメントがありました。 土地の価値が下がりにくいと考えるため。 近年の物件価格の推移をみる限り、マンション価格は長く上昇傾向にあるが、戸建て価格は一定の水準をキープしている。 相場のピークアウトが見られる現在、先に価格が下落するのは、相場の上がっているマンション系が先と考えている。 マンション 対して、タワーマンションや大規模マンションの価値が落ちにくい理由としては、以下のようなコメントがありました。 タワーマンション 人気エリアに立地していることが多いため。 新規で建てることが難しく絶対数に限りがあるため。 購入者が日本人だけに限らず外国人にも需要があるから。 大規模マンション 管理費修繕費の増額があまりないため。 戸数が多くて、管理がしっかりしていると思うため。 一戸建てについては、中古の評価基準が確立されていないので、マンションの方が資産の評価がしやすいと考えている まとめ 不動産の評価方法と不動産価値の考え方についてご紹介しました。今後、自宅を売買予定しているとき、収益用不動産の購入を検討しているときなど、今回紹介したポイントを参考に自分なりの不動産評価を考えてみるといいでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産価値の高め方とは?立地条件と不動産価値の関係 不動産の価格は価値と連動するため、高く売るためには価値を高めることが大切です。 それでは、所有する不動産をできるだけ高く売るために、オーナーは何を行えば良いのでしょうか。 不動産価値を高める...記事を読む

    2019.01.22不動産価値

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