商品・サービスのことが知りたい

不動産担保ローンやリースバック、リ・バース60など、「商品・サービス」に関するお役立ち情報を発信しています。
ゆとりある暮らしの実現に向けて、ぜひお役立てください。

「商品・サービス」の記事一覧

  • サステナビリティ・リンク・ローンとは?特徴とメリット・デメリットを解説

    サステナビリティ・リンク・ローンとは?特徴をわかりやすく解説

    近年、環境問題や社会的課題の解決に貢献するために、「サステナビリティ・リンク・ローン」を利用して資金調達する企業が増えています。通常のローンとは何が違うのでしょうか。 この記事では、サステナビリティ・リンク・ローンの特徴とメリット・デメリットを解説します。 サステナビリティ・リンク・ローンとは サステナビリティ・リンク・ローンとは、借り手が野心的なサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を達成することを奨励するローンです。 SPTsとは、環境問題や社会的課題の解決に向けたサステナビリティ活動に関する目標です。環境や社会にもたらすインパクトが大きく、定量的なものを事前に設定することが求められます。 SPTsの具体例は以下のとおりです。 温室効果ガス排出量の削減 再生可能エネルギーの生産量・使用量の増加 水消費量の削減、水のリサイクル率の改善 認証された持続可能な原材料・供給品の増加 天然資源投入量の増減、廃棄物処理におけるリサイクル率 ESG格付※の改善、ESG認証の達成 ※企業のESGへの取り組み状況や課題解決に向けた意欲、ビジネスに影響を及ぼしそうなリスクの度合いなどを分析・評価し、スコア化したもの 融資後に、借り手は年1回程度SPTsのレポーティングを行います。貸し手は、SPTsの達成状況に応じて融資条件を見直す仕組みになっています。 出典)環境省「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドラインサステナビリティ・リンク・ローン関係のポイント」 日本におけるローンの組成状況 環境省によると、日本におけるサステナビリティ・リンク・ローン組成額の推移は以下のとおりです。(2023年の値は2023年3月20日時点のものです。) 出典)グリーンファイナンスポータル「サステナビリティ・リンク・ローン発行データ 市場普及状況(国内・海外)」 日本では、2019年に初のサステナビリティ・リンク・ローンが組成されました。2021年以降は急速に普及が進み、2022年には融資額が6,500億円を超える規模まで拡大しています。 サステナビリティ・リンク・ローンの特徴 サステナビリティ・リンク・ローンには以下のような特徴があります。 SPTsの達成状況と融資条件が連動している 融資後のレポーティングを通じて透明性が確保される 調達資金の融資対象が特定のプロジェクトに限定されない 借り手のニーズに合わせた柔軟な商品設計が可能 サステナビリティ・リンク・ローンは成果報酬型のローンで、借り手のレポーティングによってSPTsの達成状況の透明性が確保される仕組みになっています。 サステナビリティ・リンク・ローンのメリット 借り手側のサステナビリティ・リンク・ローンのメリットは以下のとおりです。 サステナビリティ経営の強化につながる SPTsの達成状況と融資条件が連動するため、サステナビリティ経営を実行する強い動機となります。また、SDGs(国連の持続可能な開発目標)達成への貢献やサステナビリティ活動をPRできるため、取引先や投資家からの評価が高まる可能性があります。 資金使途が特定のプロジェクトに限定されない サステナビリティ・リンク・ローンの資金使途は「一般事業目的」とされています。特定のプロジェクトに限定されないため、サステナビリティ活動以外の事業にも利用可能です。 好条件で資金調達できる可能性がある サステナビリティ・リンク・ローンは成果報酬型で、SPTsの達成状況に応じて融資条件が変動します。SPTsの活動に注力し、目標を達成することで、適用利率が下がる可能性があります。 サステナビリティ・リンク・ローンのデメリット 一方で、借り手側のサステナビリティ・リンク・ローンのデメリットは以下のとおりです。 外部評価の取得や目標達成などの手間がかかる SPTsの設定やレポーティングにあたり、第三者評価機関による外部レビューを取得しなくてはなりません。また、SPTsの達成にも取り組まなくてはならないため、一般的なローンよりも手間がかかります。 通常のローンよりコストがかかる可能性がある サステナビリティ・リンク・ローンは、レポーティングや外部レビュー取得の際に費用が発生します。SPTsを達成できなければ、通常のローンよりコストがかかる恐れがあります。 サステナビリティ・リンク・ローンの借入の流れ サステナビリティ・リンク・ローンは通常の借入手続きに加えて、独自の手続きが必要になります。具体的な流れは以下のとおりです。 借入準備(SPTsの設定、融資条件の決定、外部レビュー取得、レポーティング方法の検討など) 金融機関の審査・契約・融資実行 返済・情報開示(SPTs達成状況の測定・レポーティング、外部機関による検証) SPTsの達成状況に応じて融資条件を見直し 借入準備では、事業計画や必要書類の作成の他に、SPTsの設定や第三者評価機関によるレビュー取得などを行います。 融資後はSPTsの達成状況を定期的に測定し、金融機関にレポーティングをしなくてはなりません。金融機関は、SPTsの達成状況に応じて融資条件を見直し、借り手に通知します。 サステナビリティ・リンク・ローンの事例 ここでは、サステナビリティ・リンク・ローンの事例を2つ紹介します。 日本郵船(2019年11月) 2019年11月29日、三菱UFJ銀行をアレンジャーとするシンジケート団は日本郵船にローンを実施しました(日本初の組成)。SPTsは、CDP(環境戦略や温室効果ガスの排出量の開示を求めているプロジェクト)において高ランクを維持することです。 日本郵船は、毎年CDPスコア結果を三菱UFJ銀行にレポーティングします。一定のスコアが維持される限り、返済期限までCDPランクに起因した金利上昇はないことが条件となっています。 SBIエステートファイナンス(2023年1月) 2023年1月23日には、百十四銀行がSBIエステートファイナンスに対してローンを実施しました。同社は子会社である「SBI スマイル」とともに、高齢化社会においてもお客様が安心してご自宅に住み続けられること、豊かさが維持出来ることを目的としています。SPTsは、子会社のSBIスマイルがリースバック事業において取得する物件の件数および取得額です。 SBIエステートファイナンスは、債務の履行完了まで年1回SPTsの達成状況を所定の書式で確認します。SPTsの達成状況の達成状況に応じて、金利を引き下げる仕組みが設定されています。 出典)グリーンファイナンスポータル「サステナビリティ・リンク・ローン発行データ」 まとめ サステナビリティ・リンク・ローンは、SPTsの達成を通じて環境問題や社会的課題の解決に貢献できるのが特徴です。サステナビリティ経営の強化につながり、企業価値の向上や金利優遇などのインセンティブが期待できます。 ただし、通常のローンににはない手間やコストがかかるため、利用は慎重に判断しましょう。 出典) ・グリーンファイナンスポータル「サステナビリティ・リンク・ローンとは」 ・環境省「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライングリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン」 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/ グリーンリフォームローンとは?利用条件やメリット、注意点を解説 グリーンリフォームローンは、一定の基準を満たす省エネリフォーム専用のローン商品です。リフォームによって自宅の省エネ性能を高めれば、より快適な生活を実現できます。高齢者向けの返済特例もあるため...記事を読む

    2023.05.31各種ローン
  • グリーンリフォームローンとは?利用条件やメリット、注意点を解説

    グリーンリフォームローンとは?利用条件やメリット、注意点を解説

    グリーンリフォームローンは、一定の基準を満たす省エネリフォーム専用のローン商品です。リフォームによって自宅の省エネ性能を高めれば、より快適な生活を実現できます。高齢者向けの返済特例もあるため、条件を満たせば高齢の方でも利用可能です。 この記事では、グリーンリフォームローンの概要やメリットと注意点、利用の流れについて詳しく解説します。 グリーンリフォームローンとは? グリーンリフォームローンとは、自宅の省エネリフォームに利用できるローン商品です。住宅金融支援機構が、令和4年(2022年)10月から取り扱いを開始します。 国は脱炭素社会の実現に向けて、住宅の省エネルギー性能の向上に取り組んでいます。既存住宅については、省エネリフォームの推進が不可欠です。そこで、既存住宅の省エネ推進を資金面から支援するためにグリーンリフォームローンが創設されました。 ローンは2種類 グリーンリフォームローンでは、リフォームの内容に応じて以下の2種類のローンが用意されています。 ローンの種類リフォームの内容 グリーンリフォームローン・省エネ基準を満たす断熱改修・省エネ設備の設置 グリーンリフォームローンS・ZEH基準を満たす断熱改修 いずれも、一定の基準を満たす省エネリフォームに対する全期間固定金利の融資です。省エネ性能を著しく向上させるリフォームには「グリーンリフォームローンS」が適用され、金利が引き下げられます。 ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)の略語です。外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅を意味します。 出典)環境省「平成30年度のZEH(ゼッチ)関連事業(補助金)について」 利用条件 グリーンリフォームローンの利用条件は以下のとおりです。 対象住宅自ら居住する住宅、セカンドハウス、親族が居住するための住宅 対象リフォーム断熱改修工事、省エネ設備設置工事 融資額最大500万円(リフォーム工事費が上限) 返済期間10年以内(1年以上、1年単位) 金利タイプ全期間固定金利(申込時点の金利を適用) 担保・保証不要 融資手数料不要 団体生命信用生命保険利用可能 現場検査工事要件への適合を確認(現場検査手数料がかかる) 申込者の主な要件・借入申込時の年齢が満79歳未満(親子リレー返済を除く)・総返済負担率の基準を満たしていること 省エネリフォームと一緒に行うその他リフォーム(キッチンの改修、外壁塗装、間取り変更など)もローンの対象です。ただし、その他リフォームの融資額の上限は、省エネリフォームに係る工事費の金額までとなります。 たとえば、リフォーム費用の総額が500万円かかったとしても、その内訳として、省エネリフォームが200万円、その他のリフォームが300万円、という場合には、融資の上限は400万円となります。 リフォームが省エネ工事の要件を満たしていることを確認するため、工事着工前に、適合証明の申請や工事家各内容の確認が必要なほか、適合証明検査機関による現場検査が必要です。 また、すべての借入に対して、総返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)の基準を満たしていることが要件となります。年収400万円未満は30%以下、年収400万円以下は35%以下が基準です。 グリーンリフォームローンのメリットと注意点 グリーンリフォームローンには、以下のようなメリットがあります。 無担保・無保証で利用できる 全期間固定金利で家計の収支計画を立てやすい 団体信用生命保険を利用できる 住宅の省エネ性能を高められる 担保や保証が不要で、融資手数料もかからないため、比較的利用しやすいローンといえるでしょう。全期間固定金利は、借り入れたときに設定された金利が、完済するまで変わらないため、長期的な家計の収支計画を立てやすいです。団体信用生命保険は、死亡などにより支払いができなくなった場合、借入残高がゼロになります。また、リフォームで住宅の省エネ性能を高めれば、断熱性能に優れた住宅で快適に暮らすことができ、脱炭素社会の実現にも貢献できます。 一方で、グリーンリフォームローンは、工事要件を満たさなくてはならないのが注意点です。適合証明検査機関の現場検査を受けて適合証明書を取得する必要があり、検査手数料もかかります。 グリーンリフォームローンを利用する際の流れ グリーンリフォームローンを利用する際は、以下の流れで手続きを行います。 借り入れの申込み 適合証明の申請・工事計画内容の確認 融資の決定・工事着工 工事完了・現場検査 適合証明書の交付・提出 融資契約・資金受取 リフォーム工事着工前に、借り入れの申込みや適合証明の申請、住宅金融支援機構による工事計画内容の確認が必要となるので、注意しましょう。 適合証明手続の必要書類 適合証明申請時には、適合証明申請書のほかに工事内容に応じて以下のような書類を準備します。 リフォーム工事後の設計図書、計算書、平面図 断熱材の性能がわかる仕様書 設置する設備の性能がわかる製品カタログ 工事完了報告時には、住宅改良工事完了報告書を提出します。なお、報告書には工事前、工事中、工事後の写真を撮影し、添付する必要があります。 満60歳以上の方は高齢者向け返済特例が利用可能 高齢者向け返済特例とは、申込者(連帯債務者を含む)が亡くなるまでの間は利息のみを支払う返済方法です。元金は申込者全員が亡くなったときに、相続人が自己資金で一括返済するか、担保物件(住宅および土地)の売却代金より返済する仕組みになっています。いわゆる「リ・バース60」と同じ商品性です。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 特例を利用した場合と利用しない場合の違い 高齢者向け返済特例を利用した場合と利用しない場合は以下のような違いがあります。 高齢者向け返済特例利用あり利用なし 担保必要不要 団体信用生命保険利用不可利用可 申し込み上限年齢制限なし満79歳未満 毎月の返済額利息のみ元金と利息 その他ノンリコース型- 高齢者向け返済特例は、毎月の支払いが利息のみなので、月々の返済額を抑えられます。また、ノンリコース型であるため、申込人が亡くなったときに担保物件の売却代金が残債務に満たなくても、相続人が残った債務を返済する必要がありません。相続人に負担を掛けずに済むので、高齢者でも利用しやすいでしょう。 一方で、高齢者向け返済特例を利用する場合は、担保が必要な点と団体信用生命保険が利用できません。担保が必要となる点や、返済総額が膨らむことを踏まえると、特例を利用しないと融資基準に当てはまらない人のための制度といえそうです。 まとめ グリーンリフォームローンは担保や保証が不要で、融資手数料もかからないのが魅力です。工事要件を満たす必要はありますが、省エネリフォームを考えているなら選択肢となります。ノンリコース型の高齢者向け返済特例もあるので、資金不足でリフォームをあきらめていた高齢者の方も利用を検討してみてはいかがでしょうか。 出典)住宅金融支援機構「グリーンリフォームローンの取扱いを開始」 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/ リフォーム費用の相場と安く抑えるコツ 住み始めた頃は問題ないと感じていても、月日の経過に伴って住まいに不便さを感じる場面も出てきます。今後の生活を快適にするためには、リフォームを検討してみるのも選択肢の1つです。しかし、実際にリ...記事を読む

  • 外国人でも住宅ローンを借りることはできる?

    外国人でも住宅ローンを借りることはできる?

    「外国人でも住宅ローンを借りられる?」「外国人が住宅ローンを借りる条件は?」など、日本で家を買いたい外国人の方は、これらの疑問を持つかもしれません。 この記事では、外国人でも住宅ローンを借りることができるのかを、外国人男性の悩みを基に解説していきます。 [ご相談者Gさん] 35歳アメリカ人男性。世界展開する外資系企業に勤務。 日本支社への転勤で、5年前から日本に住んでいる。 妻は日本人で、2歳の子どもが1人。日本国内の家を買い、永住したいと考えている。 外国人が住宅ローンを組む条件とは? Gさん:気づけば日本に来て5年になりました。日本人の妻と出会い、子供にも恵まれたこの日本に永住したいと考えています。自宅を買うために住宅ローンの検討を始めたばかりです。調べていく中で、外国人が住宅ローンを組むにはハードルがあるとわかってきました。他にも調べれば調べるほど、不安要素ばかり出てきます。外国人は住宅ローンを借りることができないのでしょうか? FP加藤: いえ、そんなことはありません。外国人の方でも住宅ローンを借りることはできますよ。一方で、気をつけるポイントや、住宅ローンを組むための必須条件はありますね。 Gさん:外国人が住宅ローンを組むための条件があるのですか?どのような条件か、ぜひ教えてください。 FP加藤:はい、わかりました。外国人の方が住宅ローンを組むのも、最近では珍しいことではなくなっています。とはいえ、日本人が住宅ローンを組むケースに比べると、下記のような条件をクリアする必要があります。 <外国人が住宅ローンを組む条件例> 永住権※を取得する 日本人の配偶者が連帯保証人になる ※永住権とは、外国人が期間の制限なく永住できる権利のことです。また「永住許可」と呼ばれ永住者への在留資格変更を法務大臣から許可された場合も含みます。加えて、永住権を持つ、または永住許可を受けた外国人のことを一般に「永住者」と呼びます。 永住権を取得する FP加藤:住宅ローンは何十年という長い期間で返していくローンです。また、自宅購入のためのローンですから、そこから居なくなることは原則として想定されていません。そこで外国人がローンを借りる場合、永住権を持つことが一つの条件になっている銀行が多いようです。 Gさん:なるほど、だから永住権が必要になるのですね。 日本人の配偶者が連帯保証人になる FP加藤:日本に住み続けたい外国人の方でも永住権を取得できていない人はいますよね。実は、永住権がなくても住宅ローンを借りることができる場合があるのですよ。 Gさん:永住権が必ずしも必要なわけではないんですね!ぜひ詳しく教えてください。 FP加藤:それは「日本人の配偶者が連帯保証人になる」ことです。はっきりとした根拠を明かしている金融機関はないですが、融資の連帯保証人になるにはかなりの覚悟が必要ですし、ローンを借りた人と同等の責任や義務が生まれ、リスクが回避できると考えられるからでしょう。 Gさん:なるほど。もし永住権が取得できなくても、住宅ローンが組めるのはありがたい話ですね。 FP加藤:ここまで外国人が住宅ローンを借りる条件として「永住権を取得する」「日本人の配偶者が連帯保証人になる」の2つを説明してきました。どちらにも共通しているのは、住宅ローンを組んだ人が「これからも日本に住み続けられるのか?」「住み続ける意思はあるのか?」という点であることは、ぜひ覚えておいてください。 外国人の住宅ローン審査でチェックされるポイントは? Gさん:外国人が住宅ローンを組むための条件があることはわかりました。住宅ローンの審査でも、外国人だから特にチェックされることもあるのでしょうか? FP加藤: そうですね。確かに外国人の方が申し込んだ場合に、特にチェックされるポイントはいくつかあります。中でも特に重要な項目は、先ほど話した「今後も日本に住み続けるのか?」という点に加え、「日本語での意思疎通は可能か?」ということです。 今後も日本に住み続けるのか? FP加藤:ここまでの説明に重なるのですが、外国人でも住宅ローンを組めるのは、日本に長く住むという前提があるからです。そこがクリアされれば、外国人だからといって、年収や勤続年数などが特別に厳しく審査されるとは限りません。この点は、日本人、外国人問わず同じ審査で、一様にハードルが高くはならないのが原則です。 Gさん:そうなのですか?外国人にはいろいろクリアする条件があるので、やはり厳しく審査されるのかと思っていました。 FP加藤:そもそも返済が遅れるリスクは日本人も同じですので、外国人だけ厳しい目で見ることはありません。一方で、たとえば母国の政情が不安定になるなど、想定外の理由で帰国する人もいますので、「日本に住み続けるか?住み続ける意思はあるのか?」が大きなポイントになります。永住権や日本人の配偶者が連帯保証人になることを条件にしている金融機関が多いのにはこういった理由が影響しています。 日本語での意思疎通は可能か? FP加藤:住宅ローンを申し込んでから契約するには、さまざまな注意事項や契約条件などの説明を聞き、理解する必要があります。ここで日本語での意思疎通ができないと、住宅ローンの申し込みは難しくなります。 Gさん:それはなぜですか? FP加藤:たとえば日本人の配偶者が隣にいて通訳することも可能ですが、融資の申し込みや契約は「本人の意思確認」ができることが大前提なので、人を介してやり取りすることはできないのが原則だからです。ちなみに金融機関の中には、外国語での受付や英文での書類作成を認めているところもあるようです。 永住権がない場合にはどうする? Gさん:外国人を比較的受け入れている金融機関でも、永住権が必要なところは多いですね。でも、私は日本に来てまだ5年ですし、永住権を取得できるかわからないので不安になります。永住権が取得できなくても、住宅ローンを組めるでしょうか? FP加藤:そうですね、 Gさんが不安になる気持ちはよくわかります。ではここで一度、Gさんが「永住権を取得するにはどうすればいいか」をおさらいしてみましょう。そ 永住権の取得方法 FP加藤:永住許可を取得するには、以下のような基準をクリアする必要があります。 <永住権の取得方法> 原則として日本に10年以上在留している 公的な支援や扶助を受けなくても、資産や技能で安定した生活ができる 罰金や懲役刑などを受けていない 納税や年金、健康保険料などを納めている 出入国管理などの法律で定められた届出をしている なお在留期間や他の基準も、日本人の配偶者がいるなどの場合には特例で免除されるケースもあるようです。 出典)出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和5年4月21日改定)」 永住権なしで住宅ローンを組むには? Gさん:永住権を取得するために必要なポイントをわかりやすく説明していただき、ありがとうございます。では、永住権がなくても住宅ローンを組むにはどうすればいいんですか? FP加藤:一定の自己資金を用意できたり、購入物件が主要都市圏であったりすれば、利用可能な金融機関もいくつかあります。たとえば、2023年12月現在、東京スター銀行では、「(永住権未取得者向け)住宅ローン」、スルガ銀行には「外国人のお客さま向け住宅ローン」があり、どちらも永住許可を受けてなくても相談が可能と記載されています。 まとめ 外国人でも住宅ローンを借りることができます。条件はいくつかありますが、特別に厳しいものとは言えません。条件はいくつかありますが、日本に長く住み、これからもずっと住み続けたい意思があることが大前提です。この記事が、住宅ローンを検討している外国人の方の参考になれば幸いです。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 加藤 隆二(Ryuji Kato) 勤続30年の銀行員でマネーライター、 ファイナンシャルプランニング技能士2級。銀行員として事業資金調達から、住宅ローン、カードローンなど借入全般に従事。 住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介 マイホームを購入するときは、住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし、住宅ローンには審査があるので、必ず利用できるとは限りません。金融機関は、どのような基準で住宅ローンの審査を行うのでしょ...記事を読む

  • リースバックにおける賃貸借契約の種類と退去について

    リースバックの退去について解説!強制退去させられることはある?

    リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるサービスです。売却先であるリースバック運営会社と賃貸借契約を締結しますが、契約の種類によって退去の条件が変わります。リースバックの賃貸借契約では、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。 この記事では、リースバックにおける退去について詳しく解説します。 リースバックで強制退去させられる? リースバックにおける退去について考えるとき、サービスを利用する際に締結する賃貸借契約が重要です。リースバック利用時に締結する賃貸借契約は、一般的な賃貸借契約と同じで、普通賃貸借契約か定期借家契約を締結します。契約内容や状況次第では、入居者が希望したとしても、賃貸借契約を更新、もしくは再契約できるとは限りません。状況によっては、以下のような理由で強制退去させられることがあります。 賃貸借契約の違反 建物の状態の悪化 契約期間の満了 それぞれ詳しく確認していきましょう。 賃貸借契約の違反 賃貸借契約に違反した場合、貸主である運営会社から強制退去させられる恐れがあります。運営会社が裁判所へ強制退去を申し立て、請求が認められれば退去しなくてはなりません。一般的な契約違反として、長期間の家賃滞納、近隣への騒音や悪臭、ペットによるトラブル、無断転貸、などが考えられます。 建物の状態の悪化 経年劣化や地震などにより建物が老朽化、損壊することで入居者や隣家に被害が及ぶ恐れがある場合には、貸主は退去を申し出ることができます。なぜなら、建物の瑕疵や修繕義務の違反によって入居者が負傷した場合、賃貸物件の所有者である運営会社が賠償しなければならないためです。また、所有している建物の瑕疵が原因で隣家などに何らかの損害を与えた場合も、運営会社はその損害を賠償しなくてはなりません。 契約期間の満了 前述のとおり、普通借家契約と定期借家契約のどちらかを締結します。どちらも契約期間が定められていますが、普通借家契約は入居者が希望すれば契約更新が可能です。 一方で、定期借家契約は更新がなく、貸主と借主の双方が合意できなければ再契約できません。そのため、運営会社が再契約を認めなければ退去する必要があります。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? 退去時に費用はかかる? 退去時に費用がかかるかどうかは、リースバック運営会社によって異なります。契約書に退去時の費用について記載されていますが、サービスを利用する前に、退去時の費用の有無や内容を確認しておきましょう。 また、退去に伴い転居する際にも、新居を購入したり、借りたりする際の初期費用や引っ越し費用がかかります。あくまで間接的にかかる費用ですが、見積もっておくと安心でしょう。 「退去時に現金を払う」と説明された場合の注意点 リースバックでは、退去時に現金を払うことをうたっている運営会社もあります。その名目は「引っ越しサポート費用」など、運営会社によってさまざまです。 サービス利用時に「退去時に現金を払う」と説明されたとしても、対象期間や支払金額などの条件が契約書に明記されているかを必ず確認しておきましょう。 リースバックの退去に関するよくある質問 ここでは、リースバックの退去に関するよくある質問とその回答を紹介します。 自主的に退去することはできる? 自主的に退去したい場合は、貸主であるリースバック運営会社に申し出をすることで退去できます。どれくらい前に申し出ればよいかは契約内容によって異なるため、契約時に確認しておきましょう。 入居者が死亡したら親族はどうなる? リースバックで入居者が死亡した場合、その賃貸借契約は相続の対象です。そのため、親族が賃貸借契約を相続した場合は、そのまま住み続けることができます。 運営会社(物件の所有者)が変わったらどうなる? 運営会社が変わっても退去する必要はありません。賃貸借契約は新しい所有者に引き継がれ、賃貸人が変わるだけです。ただし、定期借家契約の場合は、これまでと同様に再契約を断られるリスクがあります。 退去後の買い戻しはできる? 運営会社は退去後に物件を売却するため、基本的に退去後の買い戻しはできません。交渉次第ではできるかもしれませんが、「買い戻しはできない」と考えておくほうがいいでしょう。リースバックで売却した自宅の買い戻しを想定している場合は、事前に買い戻し条件を確認したうえで退去前に申し出ることが大切です。 まとめ リースバックは自宅を売却してまとまった資金を手に入れた後も、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるのがメリットです。 しかし、定期借家契約の場合は再契約が認められず、退去となるリスクがあるほか、普通借家契約でも、契約違反や建物の老朽化などの理由で退去せざるを得ないこともあります。リースバックを利用する前に、賃貸借契約の種類や退去について理解を深めておきましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む

  • リースバックの契約までの流れと必要書類、注意点を解説

    リースバックを検討するにあたり、どのように契約が進んでいくのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。リースバックの契約が終わってから後悔することが無いように、契約がどのような流れで進み、何に注意しなければならないかを正しく認識しておきましょう。 この記事では、リースバックの契約までの流れや注意点について詳しく解説します。 リースバックの契約までの流れ 一般的なリースバックの契約の流れは以下のとおりです。 ご相談・仮査定 仮査定結果の提示 現地調査及び査定 契約条件の提示 契約 売買成立・賃貸開始 それぞれどういった手続きなのか、順番に詳しく解説します。 1.ご相談・仮査定 まずはリースバック運営会社に問い合わせをします。一般的には、所有物件の状況や売却価格、家賃などの希望条件について確認されます。相談して問題がなければ、仮査定の申込を行いましょう。なお、仮査定の際には固定資産税額やマンションの場合には管理費や共益費などを確認されるので、問い合わせの際には正しく把握しておくといいでしょう。 2.仮査定結果(売却価格・家賃)の提示 問い合わせ時に提示した情報から仮査定が行われ、概算の売買金額と家賃が提示されます。仮査定では、あくまでその周辺地域の成約事例を基に算出されるので、戸建てなどの個別要因が強い不動産の場合は、本査定との乖離が大きくなることもあります。 3.現地調査及び査定 運営会社が実際に現地に訪問し、物件の状況確認や図面との照合、境界線の確認などが実施されます。仮査定時には分からなかった建物の不具合や図面との相違などがないかを確認したうえで、最終的な売買金額と家賃が確定します。 4.契約条件(売却価格・家賃)の提示 運営会社から本審査の結果が通知されます。売却価格や家賃などの契約条件が提示されるので、内容を確認して契約するかどうかを判断しましょう。なお、運営会社によっては売買価格や家賃の調整が一定の範囲内で可能な場合もあるので、自身の希望を伝えてみるといいでしょう。 5.契約 契約条件に同意する場合は契約手続きに進みます。契約の意思を伝えると、必要書類の確認と契約日の日程調整が行われます。ここで締結される契約は売買契約と賃貸借契約で、物件の買い戻しのための売買予約契約を締結する会社もあります。 6.売買成立・賃貸開始 売買代金の支払いが完了すると、売買が成立して物件の所有権が運営会社に移転します。それと同時に賃貸借契約も成立し、自宅の賃貸が開始されます。 リースバックを利用する際に必要な書類 リースバックを契約するまでに必要書類の提出を求められるタイミングは、本査定時と契約締結時の2つです。それぞれに必要な書類と取得方法を解説します。 リースバックの本査定時に必要な書類と入手方法 リースバックの本査定時に必要な書類は以下のとおりです。 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、保険証など) 住民票 固定資産税通知書 収入証明書(源泉徴収票、年金通知書など) 身分証明書や住民票は、本人確認や住所確認のために使用します。住民票は自治体の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニで発行することも可能です。 固定資産税通知書は、不動産の評価額を確認する際に使用します。固定資産税通知書は自治体から毎年送付されるもので、査定価格の算出のために必要な書類です。なお、固定資産税を確認するために使用するため、場合によっては提出までは求められないかもしれません。 また、リースバックでは賃貸となっても支払いが滞りなくできるかを確認するため、収入状況も審査されます。収入証明書として、勤務先から受け取った源泉徴収票や年金通知書などを準備しておきましょう。 リースバックの契約時に必要な書類と入手方法 リースバックは、査定時と契約時で必要書類が異なります。また、契約は「不動産売買契約」と「賃貸借契約」の2つに分かれており、それぞれ必要な書類は異なりますが、売買契約に伴って利用される書類がほとんどです。 不動産売買契約時には、身分証明書の他に以下の書類が必要です。 印鑑証明書(実印) 権利証(登記識別情報通知、登記済証) 売買契約時に必要な書類は、一般的な不動産売却と同じです。印鑑証明書は、印鑑が登録されたもの(実印)であることを証明する書類です。虚偽の申請で買主が不利益を受けないように、不動産売買では印鑑証明書を添付する必要があります。印鑑証明書は自治体の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニで発行することも可能です。 権利証は、不動産の所有者であることを証明する書類です。リースバックで自宅を売却すると、所有権が運営会社に移転します。この所有権移転登記を行う際に、権利証が必要になります。権利証は自宅を取得したときに発行されていますが、万が一紛失している場合にも代替措置があるので、運営会社に相談してみましょう。 賃貸借契約時には、身分証明書や収入証明書を準備します。連帯保証人をたてる場合は、連帯保証人の承諾書も必要です。ただし、保証会社と契約することで連帯保証人が不要となる運営会社もあります。 リースバックの契約時に必要に応じて提出する書類 リースバックの契約時に以下の書類の提出を求められる場合もあります。 ローン残高証明書・抵当権抹消書類 自宅の図面 掘削承諾書(前面道路が私道の場合) 自宅購入時の重要事項説明書 自宅建築時の建築確認通知書 境界確定書 管理規約・総会議事録(マンションの場合) リースバックの契約書に関する注意点 一般的に、リースバックの契約に用いられるのは「売買契約書」と「賃貸借契約書」の2つです。それぞれの契約書の注意点を解説します。 売買契約書 売買契約書は、物件の売却価格や売却代金の支払方法、支払日を確認しましょう。その他、通常の不動産売却と同様に、売主が負う契約不適合責任がどのように記載されているか確認しておくことが大切です。 また、リースバックは売却した自宅の買い戻しが可能な場合、買い戻しの可否や可能期間、買い戻し金額などが売買契約書に特約として記載されています。将来買い戻しを想定しているなら、買い戻し事項の有無と内容を確認しておきましょう。なお、運営会社によっては、売買契約書上の特約ではなく、売買予約契約書を別途締結する場合もあります。 賃貸借契約書 賃貸借契約書を確認する際に最も重要なのが、賃貸借契約が「普通借家契約」か「定期借家契約」かです。どちらも契約期間が定められていますが、普通借家契約は借主であるリースバックの利用者が希望すれば契約更新が可能です。一方、定期借家契約は更新がなく、再契約するためには運営会社の合意が必要となります。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? 契約の種類を確認したうえで、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用、更新料の有無、退去の申出期限、原状回復費用の負担割合といった基本的な内容も確認しておきましょう。 リースバックの利用に関する注意点 リースバックを利用する際は、複数の運営会社を比較することが大切です。運営会社によって売却価格や家賃、賃貸借契約の期間・種類が異なります。複数の運営会社に相談したうえで、希望条件に近い会社と契約しましょう。 また、リースバックで自宅を売却する前に、相続人と相談することも重要です。売却後は自宅の所有権が運営会社に移転するため、自宅は相続財産の対象外となります。あらかじめ相続人と相談しておかないと、相続発生後に相続人がリースバックに気づき、トラブルとなるケースもあります。リースバックを利用する場合、自宅を売却することをあらかじめ契約前に相続人に伝えるようにしましょう。 まとめ リースバックは、老後資金の確保や相続トラブルの回避に有効です。しかし、どのように契約が進行し、何に注意すべきかを把握しておかないと、トラブルになる恐れもあります。特に普通借家契約と定期借家契約の違いには注意が必要です。 リースバックで自宅を売却してから後悔しないように、正しく契約の流れと注意点を理解してから実際の契約を進めましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む

  • リ・バース60と住宅ローンの違いとは

    老後に向けて自宅の住み替えやリフォームなどを行う場合、まとまった資金が必要になります。預貯金があれば手元資金から捻出すればいいですが、老後資金への備えのためにローンを利用しようとしても、高齢になるとローンを借りるのが難しくなります。そのような時に高齢者向け住宅ローンの「リ・バース60」を活用できます。一方で、リ・バース60と通常の住宅ローンは何が違うのでしょうか。 この記事では、リ・バース60と住宅ローンの違いや類似点について詳しく解説します。 リ・バース60とは リ・バース60とは、住宅ローンの一種で満60歳以上の方向けの商品です。通常の住宅ローンと同じように、住宅の購入や建築、リフォーム、住宅ローンの借り換えなどに利用できます。 リ・バース60は毎月の支払が利息のみで、月々の返済負担が少ないのが特徴です。元本の支払いは、債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して返済するか、相続人が現金で一括返済するかを選べます。 リ・バース60と住宅ローンの違い リ・バース60と住宅ローンはともに自宅を担保にした住宅ローンである点で共通しています。しかし、金融機関の借入限度額への考え方は大きく異なります。リ・バース60は不動産の評価額をベースに借入限度額を算出する、不動産担保ローンの考え方に近いです。一方で、住宅ローンは不動産の評価額をベースに借入限度額を算出するというよりは、債務者の与信を基に借入限度額を算出します。 このような考え方は融資条件にも表れます。具体的には、リ・バース60と住宅ローンは以下のような点で異なります。 返済方法 リ・バース60は、毎月利息のみを返済する仕組みです。毎月の返済額が小さく、据え置いている元本は債務者の死後に一括返済します。そのため、返済は生きている限り無限に続きます。 一方、住宅ローンは、元本と利息を毎月返済する仕組みです。返済方法は、毎月同じ金額を返済する「元利均等返済」と毎月同じ元本を返済する「元金均等返済」の2つが一般的です。毎月元本を返済していくので、返済期間は有限です。 元利均等返済は返済額が毎月一定のため、返済計画が立てやすいのが特徴です。一方、元金均等返済は元利均等返済より総返済額が小さくなりますが、当初の返済額(元本+利息)が大きくなります。収入や支出、返済期間などを考慮して返済方法を選択することが大切です。 関連記事はこちら住宅ローンの返済額を計算する方法とは?金利と利子の違いを解説 借入限度額 上述のとおり、リ・バース60と住宅ローンの借入限度額の算出方法は異なります。リ・バース60の借入限度額は、不動産評価額の50~60%程度(上限8,000万円)です。つまり、不動産の担保評価額が3,000万円なら、1,500~1,800万円(3,000万円×50~60%)が借入限度額となります。 一方で、住宅ローンは与信によって返済可能と判断されれば、不動産の購入額のみならず、住宅ローンの手数料や登記費用などといった諸費用分まで融資を受けられます。ただし、リ・バース60よりも年齢や収入、勤続年数といった申込人の属性に左右されます。 融資対象 リ・バース60は、契約時点で満60歳以上の方が対象です。満50歳以上60歳未満の方も利用できますが、借入限度額の取扱いが変わってきます。そして、下限年齢は定められていますが、融資条件に上限年齢を定めていることは少ないです。 一方、住宅ローンには上限年齢に制限があり、「完済時年齢80歳まで」が一般的です。安定収入があることや団体信用生命保険(団信)の加入も条件となるため、転職して勤続年数が短い場合や健康状態に問題がある場合は、審査で不利に働きます。 適用金利 適用金利は、リ・バース60が年利2.00~3.00%程度です。一方、住宅ローンは年0.30%程度から提供されていますが、金利タイプ(固定金利・変動金利)や借入期間などによって変わります。具体的な適用金利は金融機関ごとに異なるため、利用前に必ず比較検討することが大切です。 その他 リ・バース60と住宅ローンは、団信の取扱いが異なります。団信は、ローン返済中に債務者が亡くなった場合、保険金によって残債が弁済される制度です。リ・バース60は亡くなった後に元本を返済する、いわゆる亡くなることを前提にした住宅ローンであるため、団信に加入できません。一方で、住宅ローンは一般的に団信への加入が必須です。 また、取扱金融機関の数にも違いがあります。リ・バース60は比較的新しい商品であるため、取扱金融機関は限られます。一方で、住宅ローンは都市銀行から地方銀行、信用金庫、ネット銀行、ノンバンクまで幅広い金融機関が取り扱っています。 リ・バース60と住宅ローンの類似点 リ・バース60と住宅ローンの類似点についても確認していきましょう。 借り入れまでの流れ リ・バース60と住宅ローンは、申込手続きや審査方法は基本的に同じ手順で行われます。ただし、リ・バース60は住宅ローンの借り入れの流れに加えて、推定相続人の同意が必要になります。これは元本の返済が債務者の死後に行われるという商品性から、相続人の協力が必要なためです。 エリア リ・バース60と住宅ローンは、どちらも対象エリアは全国です。ただし、金融機関によっては対象エリアを限定しているケースもあります。上述のとおり、リ・バース60は比較的新しい商品であるため、全国でも取り扱う金融機関が限られ、地方などは対応する金融機関がない場合もあります。 資金使途 リ・バース60と住宅ローンは、住宅の購入や建築、リフォーム、借り換えなどにのみ利用が認められています。事業資金や納税資金、教育資金など、住宅関連以外の使途には利用できません。 収入要件 リ・バース60と住宅ローンは、どちらも一定の収入が必要です。これはどちらも借入可能額が返済比率を基に審査されるためです。なお、リ・バース60は毎月の返済額が少ない傾向にあり、住宅ローンに比べると比較的少ない収入で借り入れができます。 その他 リ・バース60と住宅ローンは、どちらも抵当権による不動産の担保設定が必要です。取扱金融機関ごとに異なるものの、基本的に事務手数料や返済手数料も発生します。また、「市街化調整区域が利用できない」「再建築不可物件が利用できない」といった諸条件も類似しています。 まとめ 年齢の関係で住宅ローンを組めない場合は、リ・バース60が選択肢となります。リ・バース60は住宅ローンの一種ですが、通常の住宅ローンとは異なる点もあります。老後に向けて住宅取得やリフォームを検討するなら、リ・バース60と住宅ローンの違いを理解しておきましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60のよくある質問 リ・バース60は、満60歳以上の方向けの住宅ローンです。一般的な住宅ローンは、安定収入が必要で年齢制限もあるため、高齢になると借りるのが難しくなります。一方で、リ・バース60であれば、住宅ロ...記事を読む

  • リ・バース60を利用中に債務者が亡くなると配偶者はどうなる?

    リ・バース60を利用中に債務者が亡くなると配偶者はどうなる?

    満60歳以上の人向けの住宅ローンであるリ・バース60は、一般的な住宅ローンに比べて高齢者の方が活用しやすい商品です。リ・バース60は、毎月の返済を利息のみにして抑えられる一方で、債務者が亡くなった際に、現金もしくは自宅の売却により元本返済を行う商品です。そのため、債務者が亡くなった後に遺された配偶者が住み続けられるのか不安を持つ人もいるでしょう。 この記事では、債務者が亡くなった後に配偶者が家に住み続けられるのかについて解説します。 債務者の死亡後に配偶者が住み続けられるかは契約次第 リ・バース60を利用中に債務者が亡くなった後、配偶者がその家に住み続けられるかは、どのような契約を締結しているかによって決まります。つまり、契約次第ではその家に住み続けることも可能です。 リ・バース60は夫婦で申込みが可能な商品で、その場合、「連帯債務」として夫婦両方が債務者となります。連帯債務で借り入れた場合、万が一どちらかが亡くなった場合でも、もう一方が債務を引き続き負う形となります。つまり、もう一方が亡くなるまでは契約が継続します。 ただし、連帯債務者になれるのは配偶者などの一部の親族に限られます。また、配偶者だとしても年齢などの条件によって、連帯債務で借入れられない場合もあるので、詳しくは金融機関に確認してみましょう。 リ・バース60の収入要件や収入合算 リ・バース60では、借入可能額の計算のために返済比率を用いています。返済比率とは、年間返済額が年収に占める割合のことを言い、返済比率が高いほど返済が厳しくなります。 具体的には、収入要件としてこの返済比率を次のように定めています。 年収400万円未満:30%以下 年収400万円以上:35%以下 例えば、年収200万円の場合、返済比率30%以下にするには年間返済額を60万円(毎月の返済額5万円)以下にする必要があります。ただし、この年間返済額にはリ・バース60の返済分だけでなく、その他のローンを含めた年間の借入返済総額の合計になるので注意が必要です。 ちなみに、連帯債務で借り入れる場合、連帯債務者の収入を合算して計算する「収入合算」ができます。仮に、夫の年収が200万円、妻の年収が100万円の場合、合計した300万円で返済比率を計算して融資額が調整されます。ただし、収入要件以外にも不動産の担保評価額や年齢によっても借入可能額が異なります。 債務者が亡くなった場合はどうなる? リ・バース60では、債務者が亡くなった時に自宅を売却してローンを返済するのが一般的です。そのため、債務者が亡くなった場合、遺された配偶者が同じ自宅に住み続けられなくなる場合があります。ただし、条件によっては債務者が亡くなった後でも配偶者が住み続けられる場合もあります。 債務者が亡くなった場合でも、遺された配偶者が住み続けられるケースには次の3つがあります。 連帯債務で借り入れた場合 契約を引き継ぐことができる場合 残債務を現金一括で返済する場合 連帯債務での借り入れた場合 前述したように連帯債務で借り入れている場合、主債務者が亡くなったとしても配偶者が連帯債務者として契約を継続します。債権の回収は、連帯債務者が亡くなった後にされるため、配偶者は住み続けることが可能です。 契約を引き継ぐことができる場合 配偶者が連帯債務者でない場合でも、債務者が亡くなった後に配偶者が契約を引き継ぐことで家に住み続けることが可能です。ただし、契約を引き継ぐ場合、引き継ぎには条件や審査が必要になります。そのため、必ずしも引き継げるわけではなく、審査結果によっては引継ぎできないので注意が必要です。 残債務を現金一括で返済する場合 リ・バース60の返済方法は、自宅を売却するだけでなく残債を現金で一括返済することも可能です。一括返済できれば家を売却する必要がなくなり、そのまま住み続けられます。また、債務者が存命中に繰り上げ返済することも可能です。 住み続けられない場合は売却手続きへ 上記のケースに当てはまらず、担保物件の売却で一括返済する場合には住み続けることはできません。連帯債務で契約しておらず、契約の引継ぎや現金一括返済ができない場合、担保である家を売却して一括返済が求められます。 売却方法には、自分で売却する「任意売却」と機構に売却を任せる「競売」があります。いずれの売却方法にせよ、家を売却するので住み続けることはできません。ただし、任意売却であれば、金融機関に承諾を得たうえで買主を選ぶことが可能です。また、親族に買い取ってもらうことができれば、そのまま住み続けられる可能性もあるので、検討するとよいでしょう。 なお、債務者が亡くなった場合でも、連帯債務者でない配偶者が必ずしもすぐに立ち退かなければならないわけではありません。金融機関に承諾を得ることで、一定期間住み続けることが可能なため、その期間で引っ越しなどの準備を進めることは可能です。ただし、場合によっては猶予期間を得られないこともあるので、金融機関に相談するようにしましょう。 まとめ リ・バース60では、債務者が亡くなった場合、遺された配偶者が連帯債務者であればそのまま住み続けることが可能です。また、連帯債務者でない場合も、契約を引き継ぐか現金で残債を一括返済することで住み続けられます。 ただし、それらの対応が取れない場合は、住み続けることができないので注意が必要です。この記事で紹介した債務者が亡くなった場合の返済について理解し、リ・バース60を利用するかどうか検討してみてください。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60のよくある質問 リ・バース60は、満60歳以上の方向けの住宅ローンです。一般的な住宅ローンは、安定収入が必要で年齢制限もあるため、高齢になると借りるのが難しくなります。一方で、リ・バース60であれば、住宅ロ...記事を読む

  • 不動産担保ローンの担保評価額とは?算出方法や融資可能額の目安を解説

    不動産担保ローンの担保評価額とは?算出方法と融資可能額も解説

    不動産担保ローンを借りるとき、融資上限額は金融機関ごとに定められています。しかし、融資可能額はあくまで担保とする不動産の評価である「担保評価額」に基づいて決定されます。それでは、不動産の担保評価額はどのように算出されるのでしょうか。 この記事では、不動産担保ローンの担保評価額の算出方法や融資可能額の目安について解説します。 担保評価額とは? 担保評価額とは、融資が滞った際などに金融機関が処分可能と見込む金額のことです。不動産担保ローンは、不動産を担保とすることで、債務者の与信だけでは貸せない金額を融資できます。そのため、債務者がローンを返済できなくなった時には、担保不動産を売却して融資金を回収する必要があります。 このような理由から、担保評価額は不動産評価額に一定の担保掛目を乗算して算出されます。不動産評価額を算出する指標は、一物五価とも呼ばれ、複数の指標がありますが、どの指標を採用するかは金融機関によって異なります。担保掛目も金融機関や資金使途によって異なりますが、60~80%程度が一般的です。 関連記事はこちら不動産評価の方法と不動産価値の考え方 不動産担保ローンの担保評価額の算出方法 前述のとおり、担保評価額は、不動産評価額に担保掛目を乗算して算出されます。つまり、不動産評価額と担保掛目がわかれば、担保評価額は算出できます。しかし、担保掛目を開示している金融機関は多くありません。そのため、担保掛目を開示していない金融機関の融資可能額を正確に知りたい場合は、審査を申し込むしかありません。 担保評価額の算出例 たとえば、不動産評価額が5,000万円の場合で考えてみましょう。担保掛目が80%の場合の担保評価額は、4,000万円(5,000万円 × 80%)、担保掛目が60%の場合の担保評価額は3,000万円(5,000万円 × 60%)です。 このように不動産評価額が同じでも、担保掛目が異なることで担保評価額は異なります。加えて、不動産評価額も金融機関ごとによって異なるため、同じ担保不動産で申し込んだとしても、融資可能額は大きく異なるかもしれません。このような理由から、不動産担保ローンを利用する時は、複数の金融機関に相談するといいでしょう。 担保評価額の目安 前述のとおり、多くの金融機関で担保掛目は60~80%です。そのため、担保不動産の時価の60~80%が担保評価額であることが推察できます。担保評価額の目安を知りたい場合は、不動産会社に担保不動産の査定を依頼したり、公示価格や路線価、取引事例などを調べることでも確認できます。 担保評価額の上限まで融資してもらえるのか? 基本的には、不動産の担保評価額が融資可能額の上限となります。ただし、住宅ローンの残債などがある担保不動産は、担保評価額からローンの残債を差し引いた残りが融資可能額となります。 たとえば、不動産評価額が5,000万円、担保掛目が80%の場合で、住宅ローンの残債が1,000万円のケースを考えてみましょう。住宅ローンの残債がない場合は、前述のケースと同様に融資可能額は4,000万円です。しかし、担保評価額から住宅ローン残債を差し引くので、融資可能額は3,000万円(4,000万円-1,000万円)が融資可能額の上限となります。 ただし、融資可能額は不動産の担保評価額だけで決まるわけではありません。金融機関は担保不動産だけでなく、年収や職業、勤続年数、延滞履歴の有無といった申込者の属性も考慮して融資判断を行います。不動産の担保評価額が高くても、返済能力を超える金額を融資してもらうことはできません。 関連記事はこちら不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント まとめ 不動産担保ローンはカードローンのような無担保ローンに比べて金利が低く、まとまったお金を長期間借りられます。そして、不動産担保ローンの融資可能額の上限は、担保評価額の60~80%が目安となり、概算であれば自身で調べることもできます。一方で、急ぎで資金が必要な場合や融資可能額を正確に知りたい場合は、不動産担保ローンを扱う金融機関に相談しましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産価値の高め方とは?立地条件と不動産価値の関係 不動産の価格は価値と連動するため、高く売るためには価値を高めることが大切です。 それでは、所有する不動産をできるだけ高く売るために、オーナーは何を行えば良いのでしょうか。 不動産価値を高める...記事を読む

  • リ・バース60は住宅ローン控除等の優遇制度を受けられる?

    リ・バース60は住宅ローン控除等の優遇制度を受けられる?

    リ・バース60は、満60歳以上の方でも借り入れができる高齢者向けの住宅ローンです。毎月の返済は利息のみであるため、月々の返済負担が小さいのがメリットです。元本は、債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して一括返済します。 通常の住宅ローンとは仕組みが異なりますが、住宅ローン控除などの優遇制度は受けられるのでしょうか。この記事では、リ・バース60で住宅購入時の各種優遇制度が利用できるかを解説します。 住宅購入時に受けられる優遇制度 住宅購入時に受けられる優遇制度には以下のようなものがあります。 住宅ローン控除 住宅ローン控除は、住宅ローン年末残高の一定割合を所得税から控除できる制度です。節税効果が高く、10年以上の長期にわたって所得税が軽減されるのがメリットです。適用初年度は確定申告が必要ですが、会社員なら2年目以降は年末調整で控除を受けられます。 すまい給付金 すまい給付金は、一定の要件を満たす住宅を購入すると、収入に応じて最大50万円の給付を受けられる制度です(1回のみ)。住宅ローン控除は収入が高い人ほど節税効果が高くなりますが、すまい給付金は収入が低い人ほど給付額が増える仕組みになっています。 住宅取得にかかる贈与税非課税措置 住宅取得にかかる贈与税非課税措置は、父母や祖父母などの直系尊属から住宅新築・購入資金の贈与を受けた場合、最大1,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。本措置を利用すれば、住宅を購入する際に両親などから援助を受けやすくなります。 リ・バース60は住宅ローン控除を受けられる? リ・バース60を利用して住宅を購入すると、住宅ローン控除を受けることはできません。住宅ローン控除の対象となる住宅ローンは、返済方法について以下のいずれかを満たす必要があります。 償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済されるもの 割賦払の期間が10年以上の割賦払の方法により支払われるもの 割賦償還・割賦期間の10年以上は、債務を負っている期間ではなく、最初の返済から返済終了までの期間を意味します。リ・バース60は、債務者が亡くなるか元本を繰上返済しない限り、返済はずっと続きます。つまり、償還期間(返済期間)が明確に決まっておらず、上記の要件を満たさないので、住宅ローン控除の適用対象外となります。 出典)国税庁「No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」 リ・バース60はすまい給付金を受けられる? リ・バース60で住宅を購入する場合、すまい給付金は受けられます。償還期間が不確定のローンではありますが、年齢が50歳以上なら住宅ローンを利用しなくても給付対象となるからです。 「取得した住宅に自ら居住する」「収入額が一定以下」などの要件を満たせば、リ・バース60でもすまい給付金を受けることは可能です。収入額は年収650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)が目安となります。 出典)すまい給付金サイト「すまい給付金とは」 リ・バース60は贈与税の非課税措置を受けられる? リ・バース60を利用する際に、贈与税の非課税措置を受けることは可能です。 本措置では、受贈者(贈与を受ける人)に対して年齢や収入(所得)、住宅の床面積などの要件を設けています。しかし、住宅ローンに関する要件はないため、リ・バース60で住宅を購入するときにも適用対象となります。 両親などから援助を受けられるなら、積極的に活用するといいでしょう。本措置の適用を受けるには、贈与を受けた翌年2月1日~3月15日に一定の書類を添付して、贈与税の申告書を提出する必要があります。 出典)国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」 まとめ リ・バース60で住宅を購入する場合、残念ながら住宅ローン控除は受けられません。しかし、すまい給付金や贈与税の非課税措置は利用できます。リ・バース60を利用するなら、不動産会社などに各種優遇制度を受けられるかを確認しましょう。 SBIエステートファイナンスのリ・バース60の商品詳細はこちら お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60を利用中に債務者が亡くなると配偶者はどうなる? 満60歳以上の人向けの住宅ローンであるリ・バース60は、一般的な住宅ローンに比べて高齢者の方が活用しやすい商品です。リ・バース60は、毎月の返済を利息のみにして抑えられる一方で、債務者が亡く...記事を読む

  • リースバックにかかる税金・節税方法について解説!

    リースバックにかかる税金と節税方法について解説

    リースバックの利用を検討する中で、利用にあたってどのような税金が発生するのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。リースバックは不動産取引の一種であり、リースバックにかかる税金は不動産売却時にかかる税金と同様です。 この記事では、リースバックにかかる税金と、税金対策について解説します。 リースバックの売却と譲渡所得税 譲渡所得税の計算方法 リースバック時に必要な税金のなかで、最も気を付けなければならないのは「譲渡所得税」です。譲渡所得税とは、資産を売却して得た利益に対して課税される税金です。課税対象となる課税譲渡所得金額は以下の計算式で算出します。 課税譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額 上述の方法で算出した課税譲渡所得金額に、それぞれの家に応じた税率をかけることで譲渡所得税の金額を算出することができます。なお、計算式に登場する譲渡費用の詳細は以下のとおりです。 課税譲渡所得金額 譲渡所得税の税率をかける前の金額 譲渡収入金額 不動産売却時に、リースバックをした売主が受け取る金額 取得費 不動産購入時代金や建築費、家をリフォームした際の費用の合計から減価償却費相当額を控除した合計金額 譲渡費用 不動産売却時にかかった費用の総額(仲介手数料や売買契約書作成時に貼る印紙税なども含む) 特別控除額 控除や特例を使用することで課税を免除できる金額。(詳しくは後程「リースバックにおける税金対策」で解説します。) 譲渡所得税(所得税・住民税)の税率 譲渡所得税として課される所得税と住民税の税率は、リースバックする家を売却年の1月1日時点で何年所有していたかで異なります。 所有期間が5年を超える不動産を売却した場合、その譲渡所得(長期譲渡所得)に対して所得税*が15.315%、住民税が5%課されます。 対して、所有期間が5年以下の不動産を売却した場合、その譲渡所得(短期譲渡所得)に対して所得税*が20.63%、住民税が9%課されます。 リースバックをする際は、マイホームを所有してから何年経っているかを前もって確認するようにしましょう。 ※平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間は、復興特別所得税の2.1%を含む 出典) ・国税庁HP No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき) ・国税庁HP No.3208 長期譲渡所得の税額の計算 リースバックに関するその他の税金 譲渡所得税の他にも、リースバックにかかる税金は3つあります。 固定資産税 固定資産税は「不動産の所有者」に納税義務が発生します。そのため、納税義務が発生するのは買主(貸主)であるリースバック運営会社です。 しかし、固定資産税は土地、建物を、1月1日時点で所有する人が納税しなければなりません。そのため、売却年に限っては1年分の固定資産税を売主側が納税することになります。 そのため、買主であるリースバック運営会社は、固定資産分の金額を物件代金とは別に精算し、売主であるリースバック利用者に支払います。基本的には物件代金の決済日に日割りした固定資産税を精算しますが、実際の運用についてはリースバック運営会社と確認しましょう。 印紙税 印紙税は領収書や契約書の作成時に必要な税金です。リースバックの場合は、不動産売却時に作成する売買契約書にかかります。印紙税は、売買契約書に記載された金額に応じて、以下のとおり変動します。 ※国税庁「土地売買契約書」をもとに編集部作成 納付を忘れると過怠税の徴収対象となり、納付を忘れた印紙税額の2倍相当が上乗せされてしまうので注意しましょう。 登録免許税 リースバックをする際は、家のローンを組んだ時に設定した抵当権の抹消や、所有権の移転のために登記情報を申請します。ここで必要となる税金が登録免許税です。通常、所有権移転は買主が行いますが、その際、住宅用家屋は軽減税率の対象になるため、自宅のある市区町村などの証明書も提出しましょう。 リースバックにおける税金対策 リースバックにはさまざまな税金が必要となりますが、控除や特例を使用することで課税を免除、減額することができます。これが、特別控除です。 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 マイホーム売却の場合、所有した期間に関係なく、譲渡所得から3,000万円以下まで控除されます。ただし、同族会社、親族間の売買では適用されないので注意しましょう。また、確定申告も必要となります。 マイホーム売却時の軽減税率の特例 家を所有していた期間が売却年の1月1日現在で10年を超える場合、3,000万円控除後のうちの金額が6,000万円以下の部分は所得税、住民税が通常より低い税率(14.21%)となります。3,000万円の特別控除と一緒に使用できるので、併せて利用しましょう。 また、リースバックで損失が発生する場合でも、確定申告をすることでメリットが生まれる可能性があります。 マイホーム買い換え時の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 マイホーム(旧居宅)を売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合に、旧居宅の譲渡損失が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失を損益通算することができます。 さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰越控除することができます。これらの特例を、マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例といいます。 出典)国税庁HP No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例) リースバックにかかる税金についてのよくある質問 リースバック検討時のお問い合わせとして多い質問を、4つご紹介します。 Q.リースバックをする際、消費税はかかりますか? サラリーマンなどの会社員の場合は、事業を行っているわけではないため、消費税は課税されません。法人や個人事業者が会社の事業に関わる資産を譲渡する場合は、取引した建物について課税の対象になります。 Q.リースバックで権利を譲渡した後も何か税金はかかりますか? リースバック後のマイホームは賃貸物件となるため、固定資産税が課税されることはありません。つまり、売却年の1月1日から売却までの固定資産税は売主負担、売却後の固定資産税は買主負担となります。 Q.将来売却した家を買い戻したいのですが、その際も税金はかかりますか? 物件の購入と同じ扱いになるため、不動産取得税が課税されます。不動産取得税は、不動産の価格×税率で算出されます。税率は数年ごとに更新されるので、最新の情報を確認してから買い戻しましょう。 他にも、所有権の移転などに必要な登録免許税や、売却した時と同様に売買契約書を作成する際に必要な印紙税が課税されます。 Q.相続時にリースバックした住宅の扱いはどうなりますか? リースバックした住宅は所有権を買主へ移転しているので、所有財産としては扱われません。リースバックを利用して得た資金が相続の対象になります。 よくある質問をご紹介いたしましたが、実際、税金の心配を過度にする必要はありません。解説してきたように、個人の売却なら消費税はかかりませんし、譲渡所得税についても居住用財産であれば3,000万円の特別控除が適用されます。 まとめ リースバックは、もとの家に住みながらまとまった資金を得られたり、家を所有することでかかるコストが不要になったりと、メリットの多い売却方法です。売却時に必要な税金を正しく理解して、損のないリースバックを行いましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 菊地 則夫(Norio Kikuchi)/税理士法人スマートシンク代表税理士 成城大学経済学部卒、日本大学大学院法学研究科税法松澤智研究室卒。 得意分野は相続税や不動産税務。「不動産所得」と「住まいと暮らしの税金」のプロフェッショナル集団、税理士法人スマートシンクの代表として日々、土地・建物の税金問題に取り組む。 <主な著書> 「住宅ローン&マイホームの税金がスラスラわかる本2021」エクスナレッジ、「相続の手続と節税が全部わかる本」あさ出版、「不動産税務の手引別巻」大成出版、「不動産実業の手引き別巻」清文社、その他雑誌「家主と地主」、「賃貸Life」新聞など著書多数 リースバックの家賃設定を解説!賃料相場よりも高い? リースバックは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられる商品です。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金を確保したい高齢者を中心...記事を読む

  • 賃貸用不動産を担保にローンは借りられるのか?

    賃貸用不動産を担保にローンは借りられるのか?

    自宅や賃貸用の不動産を購入する時、多くの人がローンを利用して購入するため、融資を受けられることは想像できるでしょう。しかし、所有する賃貸用不動産を担保にする場合、「果たしてローンを組めるのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか? そこでこの記事では、賃貸用不動産を担保にローンを借りる際のポイントや、事例について紹介します。 抵当権設定の有無がポイント 結論として、条件が整えば所有する賃貸用不動産を担保にローンを借りることは可能です。実際に借りる際にはいくつかのハードルがあり、まずは担保にする賃貸用不動産の抵当権設定の有無がポイントとなります。 賃貸用不動産に抵当権設定がない場合 所有する賃貸用不動産に抵当権が設定されていない(つまり、所有する賃貸用不動産を担保にした借り入れがない)場合、基本的には問題なくローンを借りることが出来るでしょう。現金で賃貸用不動産を購入した場合や、繰り上げ返済などによりローンを完済した場合であれば、資金調達の際に賃貸用不動産を担保に利用することは有効な手段の一つです。 しかし、所有する賃貸用不動産が金融機関の取り扱いエリア外である場合や、築年数が古い物件の場合は担保に利用することが難しい場合もあります。その場合は複数の金融機関に打診するなど、取り扱いが出来る金融機関を探す必要があります。 賃貸用不動産に抵当権設定がある場合 所有する賃貸用不動産に抵当権が設定されている場合、下記に該当すると借り入れが難しくなります。 金銭消費貸借契約で後順位の抵当権設定を認めていない 先順位のローン*の残債が大きい ※先順位の抵当権を設定する際に締結した金銭消費貸借契約による借り入れを指します。(以下、当コラムでは「先順位のローン」と呼称します。) 先順位のローンによっては、後順位の抵当権設定を認めていないケースが多いです。もし仮にこのようなケースで、契約を無視して後順位の抵当権を設定すれば、期限の利益の喪失事由にあたり、先順位のローンの一括返済を求められることとなります。 また、先順位のローンの残債が大きい場合にも賃貸用不動産を担保にした借り入れは難しいでしょう。例えば、2,000万円の価値の不動産に対して、先順位のローンの残債が1,500万円の場合、担保余力は500万円しかありません。このようなケースでは、金融機関に回収が難しいと判断され、融資を断られることがほとんどです。 なお、担保の掛け目については、下記のコラムで詳しく解説していますのでご覧ください。 関連記事はこちら不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ 不動産投資ローンの2番抵当でローンは借りられるのか? 上述のとおり、先順位のローンの内容と、先順位のローンの残債が少ないなどの条件を満たさなければならないため、賃貸用不動産を担保にした借り入れは基本的には難しいです。ただし、上記の条件を満たせば、2番抵当でローンを借りることは可能です。 なお、後順位の抵当権設定を禁止している場合には、先順位のローンの残債も含めた借り換えも一つの手となります。残債が少なければ、借り入れのハードルは低くなるでしょう。ただし、購入時に組む不動産投資ローンよりも金利が高くなることがほとんどであるため注意が必要です。金利や融資条件の判断が付かない場合は、借入予定の金融機関に相談してみるといいでしょう。 賃貸用不動産を担保にローンを借りる代表的な事例 上述のとおり、賃貸用不動産を担保にローンを借りることは可能です。ここでは、所有する賃貸用不動産を担保にローンを借りる代表的な事例をご紹介します。 賃貸用不動産のリフォーム資金を借りる 賃貸用不動産を長年所有していると、設備の入れ替えや建物の修繕のためにリフォームが必要です。このような修繕の際には100万円単位で資金が必要となることも珍しくないため、手元資金だけで融通するのは大きな負担となってしまうかもしれません。 このようなときに、所有する賃貸用不動産を担保にリフォーム資金を借りることで、毎月の返済負担を抑えながらリフォーム資金の調達をすることができます。 賃貸用不動産の相続資金を借りる 自身の親が所有していた賃貸用不動産を相続によって取得するケースがあるかもしれません。不動産を相続する場合には、相続財産の額が大きくなり、場合によっては多額な相続税の支払いが発生することもあるでしょう。相続時に預貯金が多く残っていれば、その預貯金で支払うこともできますが、相続財産が不動産に偏っている場合などは難しいでしょう。 このようなときに、相続する賃貸用不動産を担保に相続資金を借りることで、自身の手元資金がなくとも相続税の支払いなどに活用することができます。 賃貸用不動産を担保に不動産の購入資金を借りる 新規に不動産を購入する際に、購入資金の借入申し込みをしても、融資金が購入資金の満額ではなく、頭金が必要となるケースがあるかもしれません。すでに所有する賃貸用不動産を共同担保にすることで、不動産の購入資金を満額借りることも可能です。 また、購入不動産が金融機関の取扱対象外である場合でも、所有する不動産が取扱対象であれば、それを担保に購入資金を借りることも可能です。 まとめ この記事では賃貸用不動産を担保にした借り入れの可否や抵当権との関係を解説しました。賃貸用不動産を担保にした借り入れは可能ですが、先順位のローンの内容や、残債によって借り入れは難しいかもしれません。賃貸用不動産を担保にした借り入れを検討の際は、借入予定の金融機関に相談してみるといいでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産投資ローンの審査はココをみる(1) 賃貸アパートやマンション等の収益物件を担保とした貸出しは、金融機関の不動産関連融資の中では主力商品のひとつです。2013年から始まったアベノミクスによって、国内の金融市場は超低金利状態に突入...記事を読む

  • 住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介

    住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介

    マイホームを購入するときは、住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし、住宅ローンには審査があるので、必ず利用できるとは限りません。金融機関は、どのような基準で住宅ローンの審査を行うのでしょうか。 この記事では、住宅ローンの審査基準や通らない場合の対処法を紹介します。 住宅ローンの審査項目 国土交通省の調査によると、金融機関が融資を行う際に「考慮する」と回答した割合が高い項目(90%以上)は以下のとおりです。 完済時年齢(99.1%) 健康状態(98.2%) 担保評価(98.2%) 借入時年齢(97.8%) 年収(95.7%) 勤続年数(95.3%) 連帯保証(95.1%) 返済負担率(92.1%) 金融機関の営業エリア(91.0%) 出典)国土交通省「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書P19」 ほとんどの金融機関で年齢や健康状態、担保評価、属性(年収、勤続年数)を重視していることがわかります。上記の他に融資可能額、雇用形態、国籍、他の債務の状況・返済履歴の割合も高い傾向にあります。 また、住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローンの本審査で「重視度が増している」と金融機関が回答した審査項目は以下のとおりです。 返済負担率(65.9%) 職種、勤務先、雇用形態(45.3%) 借入比率:(39.0%) 借入者の社会属性(30.7%) 返済途上での返済能力の変化(28.2%) 預貯金や資産の保有状況(27.5%) 担保となる融資物件の時価(12.5%) 出典)住宅金融支援機構「2020年度 住宅ローン貸出動向調査P41」 返済負担率とは、月収に対する毎月返済額の割合のことです。約65%の金融機関が返済負担率の重視度が増していると回答しており、前回調査(63.0%)よりも割合が増えています。 住宅ローンの本審査に必要な書類 住宅ローンを利用する場合、一般的な例として、以下の必要書類を用意します。 •  本人確認書類(運転免許証、パスポートなど) •  印鑑証明書(実印も) •  収入証明書(源泉徴収票や納税証明書を含む) •  預金通帳や証書 •  購入物件に関する各種資料 •  その他必要書類 本人確認書類として運転免許証やパスポート、契約の際は印鑑証明書と実印が必要です。収入証明書や納税証明書は、一定の収入があること(返済能力があること)や税金の未納がないことを証明するために用意します。加えて、購入する物件の状況を確認するための書類として不動産登記簿謄本等の資料や他に借入中のローンがある場合は返済予定表も必要になります。上記以外にも自身の状況に応じて書類が必要になる場合があります。住宅ローンの審査をスムーズに進めたい場合は事前に金融機関に確認しておきましょう。 住宅ローンの審査の流れ STEP1 事前申し込み 購入する物件が決まったら住宅ローンを取り扱っている金融機関に事前の申し込みをします。ここでは、本人確認資料や収入証明書、購入物件に関する各種資料などの書類が必要になります。なお、現在ではWebサイトで事前申し込みを受け付けている金融機関もあります。 STEP2 事前審査 事前審査の結果が出るまでの期間は金融機関によって異なりますが、一般的には3~4日程度の場合が多いようです。 STEP3 正式申し込み 事前審査に通った後、住宅ローンの正式申し込みを行います。正式申し込みにあたっては、上記にて紹介している各種書類をそろえる必要があります。こちらも事前審査と同様に、Webサイト上で申し込みを受け付けている金融機関もあります。 STEP4 本審査 本審査では、事前審査と比べて厳密な審査が行われます。そのため、審査期間も長くなります。一般的には、1~2週間程度かかる場合が多いようです。 STEP5 契約締結 本審査に通ったら、金融機関と金銭消費貸借契約を締結します。加えて、担保となる物件の土地・建物に抵当権を設定するため、抵当権設定契約書の締結も行います。 STEP6 融資実行と所有権の移転 金銭消費貸借契約の締結後、物件の引き渡し日になったら融資の実行と所有権の移転を行います。 住宅ローンの審査に通らない理由 ここでは、住宅ローンの審査に通らない理由を項目別に詳しく確認していきましょう。 年齢:借入時年齢と完済時年齢 住宅ローンでは、借入時年齢と完済時年齢に上限が設けられています。借入時年齢は65~70歳、完済時年齢は75~80歳が一般的です。そのため、高齢になるほど、審査に通過するのは難しくなります。 健康状態:団信に通るか 住宅ローンは、多くの金融機関で団体信用生命保険(団信)の加入が条件となっています。契約者に万一のことがあった場合に、保険会社から金融機関に支払われる保険金で残債を回収できるからです。 団体信用生命保険の加入は多くの金融機関で必須であるため、健康上の問題で団信に加入できないと、住宅ローンの利用は難しくなります。 収入:年収や返済比率、雇用形態、勤続年数 住宅ローンは契約者の収入から返済されるため、年収や雇用形態、勤続年数といった属性が重視されます。 一般的には、高年収の正社員で勤続年数が高いほど金融機関の評価は高くなります。一方で、低年収で勤続年数が短い会社員や収入が不安定な自営業者は、融資条件が悪くなる場合や、そもそも住宅ローンの審査に通らないことがあります。 また、年収に対する住宅ローンの返済比率は30~35%が目安です。年収に対して借入希望額が大きすぎると、審査落ちの可能性が高くなります。 個人信用情報:延滞の有無 カードローンなどの返済を延滞すると、その情報が個人信用情報に記録されてしまいます。個人信用情報は金融機関に共有されます。延滞履歴があると住宅ローン審査でマイナス評価となるため、審査に通らない原因となります。 不動産:担保評価や取扱エリア 住宅ローンの審査では、購入物件の担保評価や取扱エリアも重視されます。契約者が返済できなくなった場合、金融機関は担保物件を売却して残債を回収するので、担保評価が低いと審査に通過できないことがあります。 また、住宅ローンは金融機関によって取扱エリアが決まっているため、エリア外の場合は申込ができません。 その他 住宅ローンの審査に通らないその他の理由として、申告内容と金融機関が把握している情報に相違があることが考えられます。たとえば、「他にローンを借りているが、個人信用情報に登録されている借入金額と申込書の記載金額が異なる」といったケースです。 このようなケースでは虚偽の申告をしたとみなされ、審査落ちの原因となります。 住宅ローンの審査が通らないときの選択肢 住宅ローンの審査に通らないときは、原因によってアプローチを変えることが大切です。具体的には以下のような選択肢が考えられます。 年齢:リ・バース60やリレーローンの取扱がある金融機関 高齢で通常の住宅ローンを利用できない場合は、高齢者向けの住宅ローンが選択肢です。たとえば、リ・バース60は60歳以上の方向けの住宅ローンです。返済が利息のみで、元金は債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して返済する仕組みになっています。 親子リレーローンとは、親子で1つの住宅ローンを契約し、二世代に渡って返済を行う制度のことです。借入期間は、後継者にあたる子どもの年齢を基に算出されるので、一般的には、親の年齢で算出される借入期間よりも長い期間に設定することができます。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 健康状態:ワイド団信や団信なしの住宅ローン 健康状態に問題がある場合は、ワイド団信や団信なしの住宅ローンが選択肢です。 ワイド団信とは、健康上の理由で一般団信に加入できない方向けに引受基準を緩和した団信です。基準は緩和されますが、住宅ローンの適用金利に一定の利率が上乗せされる点に注意しましょう。 金融機関によっては、団信なしの住宅ローンを取り扱っていることもあります。自身で一定の保証を確保できているなら、団信なしの住宅ローンを検討してもよいでしょう。 収入:収入が上がるまで待つ、連帯債務者を追加する(ペア、親子) 収入や勤続年数が原因の場合は、「基準を満たすまで待つ」という選択肢もあります。たとえば、転職したばかりで収入が下がっているなら、数年勤務すれば収入が上がり、審査に通過できるかもしれません。 また、ペアローンや親子ローンで連帯債務者を追加することで、審査に通過できる可能性もあります。 個人信用情報:滞りなく返済を行う 個人信用情報が原因の場合は、現在抱えている債務の返済を進めることが大切です。延滞の情報は5年程度で消えるため、滞りなく返済を行えば審査に通過できる可能性があります。 可能であれば、住宅ローンを申し込む前に自身の個人信用情報を確認しておくといいでしょう。個人信用情報はCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターで確認できます。 不動産:物件を替える、取り扱いのある金融機関を選ぶ 不動産が原因の場合は、担保評価の高い物件に替えることが選択肢となります。これから物件を探す場合は、担保評価も考慮して物件を選ぶことが大切です。営業エリアにも注意して、取り扱いのある金融機関を選びましょう。 その他 住宅ローンを申し込む際は、金融機関の質問に対して正直に答えることが大切です。万が一虚偽の回答をし、金融機関の持っている情報と異なると不信感につながり、審査落ちの原因となります。もし住宅ローンを借りられたとしても、後で嘘が判明すれば一括返済を求められてしまう場合もあります。 住宅ローンの審査は手動か?自動か? 最近の傾向として、住宅ローン審査は自動が増えています。ローン審査を自動化すれば、人件費の削減やリスク分析の精度向上などが期待できるからです。自動審査では、AI技術によって申込者の情報を分析し、スコアリング方式で審査します。 スコアリング方式とは、申込者のデータをもとに審査項目ごとに点数をつけ、その合計点で融資判断を行う方式です。国土交通省の調査によれば、金融機関のスコアリング方式の採用状況は以下のとおりです。 スコアリング方式を使って審査をしている(46.9%) スコアリング方式では審査を行っていない(53.1%) 出典)国土交通省「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書P18」 住宅ローンの審査に柔軟な対応を求めるなら、スコアリング方式で一律に審査を行っていない金融機関に相談するのも手といえます。 まとめ 住宅ローンには多くの審査項目があり、基準を満たさないと審査に通過できません。無事にマイホームを購入するためにも、住宅ローンの審査項目を理解しておきましょう。審査に通らない場合は、原因を見極めて適切に対処することが大切です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンを比較する5つのポイント マイホームは、住宅ローンを利用して購入するのが一般的です。さまざまな金融機関が住宅ローンを扱っているので、どのように選べばよいかわからないのではないでしょうか。 自分に合った住宅ローンを選ぶ...記事を読む

  • リ・バース60の4つの活用事例

    リ・バース60の活用事例を4つ紹介

    リ・バース60とは、満60歳以上の人向けの住宅ローンです。毎月の支払いは利息のみで、元本は債務者が亡くなったときに担保物件を売却して返済するか、相続人が現金で一括返済するかを選べます。リ・バース60はそれほど広く認知されている商品ではないため、どのような場面や目的で利用できるかイメージできないかもしれません。 この記事では、リ・バース60の活用事例を4つ紹介します。 リ・バース60の活用事例1:老朽化した自宅のリフォーム資金 70歳代のAさんは自宅の老朽化によって設備が古くなり、使い勝手が悪くなってきたため、リフォームを検討しています。今のところ健康状態に問題はありませんが、将来への備えとしてバリアフリー対応の必要性も感じています。 収入は年金しかなく、預貯金を使ってしまうことに不安があったため、リフォームは無理だと諦めていました。そんな折にテレビCMでリ・バース60を知ったので、金融機関に相談したところ、受付が可能ということで早速申込みをしました。本事例の詳細は以下のとおりです。 リ・バース60の活用事例1:老朽化した自宅のリフォーム資金 申込人70歳代:年収200万円台(年金受給) 連帯債務者配偶者(80歳代):年収100万円台 資金使途リフォーム 必要資金400万円 借入金額400万円 自己資金なし 毎月の支払額0.9万円(年利2.7%) 無事に融資を受けることができ、設備の入れ替えやバリアフリー工事を行うことができました。毎月の返済額は0.9万円に抑えられたので、年金収入のみでも問題なく返済できています。 リ・バース60の活用事例2:返済に困っていた住宅ローンの借り換え 70歳代のBさんはアルバイトで収入を得ていますが、住宅ローンがまだ残っており、毎月の返済に悩みを抱えていました。このままでは老後の生活費を確保できないため、毎月の返済負担を減らしたいと思っています。 それを知ったBさんの娘が金融機関に相談したところ、リ・バース60を提案され、住宅ローンの借り換えの申込みをしました。本事例の詳細は以下のとおりです。 リ・バース60の活用事例2:返済に困っていた住宅ローンの借り換え 申込人70歳代、年収300万円台(アルバイト) 連帯債務者なし 資金使途借り換え 必要資金1,000万円 借入金額1,000万円 自己資金なし 毎月の支払額3.0万円(年利3.6%) リ・バース60で住宅ローンを借り換えたことで、毎月10万円のローン返済額を3万円に減らすことができました。毎月の支出が大幅に減って家計が楽になり、老後資金への不安が軽減されました。 リ・バース60の活用事例3:新居への住み替え資金 60歳代のCさんは子どもが独立してから、「今の家は広すぎる」と感じるようになりました。できれば今の家を売却し、妻と二人で暮らすのにちょうどよい広さのマンションに住み替えたいと考えています。 一方で、老後の生活を考えると、なるべく預貯金は残しておきたいという希望もあります。何かいい方法はないかとインターネットで探していたところ、リ・バース60を知り、生活利便性の高い首都圏のマンションへの住み替え資金の申込みをしました。 本事例の詳細は以下のとおりです。 リ・バース60の活用事例3:新居への住み替え資金 申込人60歳代、年収300万円台(自営業) 連帯債務者なし 資金使途住み替え 必要資金2,700万円 借入金額1,300万円 自己資金1,400万円 毎月の支払額3.6万円(金利 年3.3%) マンション購入代金の50%程度の頭金が必要だったので、一時的に預貯金から払いましたが、今まで住んでいた自宅を頭金より高く売却することが出来たので、預貯金を減らさずに済みました。また、毎月の支払額は3.6万円に抑えることができました。 リ・バース60の活用事例4:老朽化した自宅の建替え資金 60歳代のDさんは自宅の老朽化に伴い、建て替えを検討しています。老後の生活資金を考えると、全額自己資金で家を建て替えるのは不安です。一部は住宅ローンを組むことを希望していますが、通常の住宅ローンを借りるのは難しい状況にあります。 ハウスメーカーに相談したところ、担当者からリ・バース60を提案され、取扱金融機関に申込みをしました。本事例の詳細は以下のとおりです。 リ・バース60の活用事例4:老朽化した自宅の建替え資金 申込人60歳代、年収100万円未満(年金受給) 連帯債務者70歳代、年収200万円台 資金使途建て替え 必要資金2,800万円 借入金額1,400万円 自己資金1,400万円 毎月の支払額2.8万円(金利 年2.4%) 建て替えの工事期間は半年程度仮住まいで過ごすこととなりましたが、リ・バース60を利用したことで、無事に自宅の建て替えの費用を工面することができました。収入は年金のみですが、毎月の支払額が少ないので問題なく返済できています。 まとめ 今回紹介した4つの事例のように、リ・バース60なら高齢の人でも自宅の購入・建て替え、リフォームに必要な資金の融資を受けられるかもしれません。返済は利息のみで、毎月の支払額を抑えられるのもメリットです。年齢や収入の関係で通常の住宅ローンを利用できない場合は、リ・バース60を検討してみてはいかがでしょうか。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60は住宅ローン控除等の優遇制度を受けられる? リ・バース60は、満60歳以上の方でも借り入れができる高齢者向けの住宅ローンです。毎月の返済は利息のみであるため、月々の返済負担が小さいのがメリットです。元本は、債務者が亡くなったときに担保...記事を読む

  • リースバックできない物件の特徴とは?

    住宅ローン残債がある物件はリースバックを利用できない?

    リースバックは家を売却しても家賃を支払うことでそのまま家に住み続けられるサービスです。資金使途が自由なため、借金の返済や一度にまとまった資金を調達するための手段として利用することができます。一方で、状況次第ではリースバックを利用できない場合もあります。 この記事では、リースバックを利用できない原因について解説します。 リースバックを利用できない原因とは リースバックを利用できない原因は、不動産自体に問題があるか、不動産以外に問題があるか、に大別されます。 リースバックの運営会社(以下、「運営会社」)は、リースバックの利用者(以下、「利用者」)から不動産を買い取り、賃貸することになりますが、借主(利用者)が退去した後にはその不動産を第三者に売却しなければなりません。そのため、「借主の退去後にもその不動産は需要があるのか」という点も踏まえて、リースバックをするかどうかを判断します。 不動産が原因でリースバックを利用できない場合は、その不動産の建物部分と土地部分に分けて、何が問題かを考えることができます。不動産以外が原因でリースバックが利用できない場合も含めて、それぞれ順に解説します。 リースバックを利用できない原因:建物 まずは、建物に問題がある場合です。具体的には以下のような問題が考えられます。 物件に瑕疵がある 瑕疵とは、造成や設備の不良など建物に何らかの欠陥があることをいいます。本来なら備えている物件の品質や性能を満たしていない状態であり、物理的な瑕疵だけでなく心理的瑕疵も含まれます。 物理的瑕疵には、雨漏りやシロアリなどが該当し、それらの生活上の重大な瑕疵がある場合リースバックは難しいでしょう。ただし、事前に大規模なリフォームなどで修繕できる場合は、利用できる可能性があります。 また、物理的瑕疵の他にも自殺者が出た・殺人事件が起こったなどの心理的瑕疵の場合、不動産として取り扱いが難しいことが多いです。 既存不適格物件である 既存不適格物件とは、現行の建築基準などの違反しているものや再建築できないような物件のことをいいます。建築物は、建築基準法や都市計画法などさまざまな法律に則り建築されるものです。しかし、それらの法律は適時改正されているため、以前の法律では問題なくても、現行の基準には違反しているという場合もあります。 改築や建て替えで現行の基準に適合できれば問題ないですが、適合できない場合は不動産としては売りにくくなり、リースバックも難しくなります。ただし、既存不適格だからといって必ずしも取り扱いができないとは限りません。詳細は、リースバック運営会社に確認してみるといいでしょう。 物件がマンションである 建物が古くなれば資産価値が低下しますが、戸建てであれば少なくとも土地の資産価値分は担保できます。それに対してマンションは、立地条件が良くないと、将来安定して売却できるとは言い切れない側面があります。また、リースバック後の所有権は運営会社に移転するため、賃貸借期間中の管理費や修繕費は運営会社の負担となります。 以上を踏まえると、リースバックはマンションよりも戸建ての方が扱いやすいといえます。運営会社によってはそもそもマンションを取り扱わない場合もあるので、運営会社に確認しましょう。 特殊な物件である 賃貸併用住宅やテナントが入っている物件や、工場やクリーニングが入っているような物件など、事業用の不動産も取り扱いが難しいです。こうした物件も第三者への売却が難しく、リースバックを利用できない場合があります。 共有持ち分である 持ち主が複数いる場合、リースバックには持ち主全員の承諾が必要となります。ペアローンなどで所有者が夫婦や親子である場合や、相続した物件の所有者が相続者全員といった場合などがあるでしょう。ただし、所有者全員の合意があればリースバックを利用できます。 リースバックを利用できない原因:土地 続いて、土地に問題がある場合です。具体的には以下のような問題が考えられます。 借地権である 借地権とは、土地の所有者に地代を支払うことで建物を建設して利用できる権利のことです。借地権が付いている物件は、土地と建物の所有者が違うため取り扱いが複雑になります。リースバックに限らず物件を売却するには、物件の所有者だけでなく土地の所有者の許可が必要になります。そのため、土地の所有者の許可を得られればリースバックを利用できる可能性はあるでしょう。 市街化調整区域である 市街化調整区域とは、自治体によって定められた市街化を抑制すべき区域のことをいいます。この区域の物件は、建築に制限がかかるため建て替えなどが難しいです。建て替えが難しい場合、物件としての流通性が低いため、リースバックを利用できない恐れがあります。 運営会社の取り扱いエリア外である 運営会社によっては、取扱物件のエリアが決まっている場合があります。地方都市のみやマンションのみといった制約がある場合は、対象外の物件は取り扱ってもらえないでしょう。運営会社の取り扱いエリアについては、それぞれの会社のホームページなどに記載されているので、事前に確認する必要があります。 共有持ち分である 建物と同様に、持ち主が複数いる場合はリースバックには持ち主全員の承諾が必要となります。詳細は土地の場合と同様です。 リースバックを利用できない原因:不動産以外 不動産以外のリースバックを利用できない原因として、以下のような問題が考えられます。 住宅ローンの残債がある 住宅ローンの残債がある物件の場合、売却金額で住宅ローンが完済できれば問題なくリースバックが利用できます。しかし、売却金額で住宅ローンが完済できない場合は、リースバックが難しくなるでしょう。 売却金額で完済できなかったとしても、手元資金から完済することができます。しかし、利用者のほとんどが手元資金を確保するために行うため、現実的には難しいといえます。 個人の与信力がない リースバックで賃貸借契約を締結するときに家賃保証会社を利用する場合、その保証会社の審査が入ります。家賃保証会社では、家賃の支払能力(安定した収入、借金の有無など)や滞納歴などについて審査されますが、そもそも利用者は持ち家を所有している人が対象なので、持ち家があるほどの与信力があれば、問題なく審査に通過できる場合がほとんどです。 ただし、家賃保証会社によっては高齢者や生活保護受給者への審査が厳しい場合もあります。もし家賃保証会社の審査に通らなければ、リースバック自体も難しくなるでしょう。どうしても家賃保証会社の審査が通らない場合は、保証人を付けることでリースバックを利用できる可能性があるので、運営会社に相談してみましょう。 まとめ リースバックを利用できない原因について解説しました。問題によっては対策できるものもあり、また、リースバックを運営する不動産会社によっても基準が異なるので、ひとつの会社で落ちたからと言って諦める必要はないでしょう。この記事を参考に、リースバックを利用できない原因を理解したうえで、リースバックを検討してみてください。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む

  • リ・バース60のよくある質問

    リ・バース60のよくある質問

    リ・バース60は、満60歳以上の方向けの住宅ローンです。一般的な住宅ローンは、安定収入が必要で年齢制限もあるため、高齢になると借りるのが難しくなります。一方で、リ・バース60であれば、住宅ローンを利用できない高齢の方でも融資を受けやすいです。リ・バース60は通常の住宅ローンとどのような点で異なるのか疑問を持つかもしれません。 この記事では、リ・バース60のよくある質問とその回答を紹介します。 リ・バース60とリバースモーゲージの違いは何ですか? リバースモーゲージとリ・バース60は、資金使途に違いがあります。リバースモーゲージは一般的に老後の生活資金や医療費、介護費用などに利用できます。一方で、リ・バース60は「リバースモーゲージ型住宅ローン」なので、住宅に関連する資金使途(住宅の購入・建築、リフォーム、住宅ローンの借り換えなど)に限定されています。 資金使途以外の「自宅を担保にする」「毎月の返済が利息のみ」「債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する」などの特徴は、リ・バース60と共通しています。 いくらまで借りることができますか? リ・バース60の融資限度額は、次のうち最も低い額です。 (1)8,000万円 (2)所要金額の100% (3)担保評価額の50%または60% (3)の担保評価額については、担保とする住宅(セカンドハウスを含む)が長期優良住宅の場合は「担保評価額の55%または65%」です。 つまり、不動産評価が1億5千万円以上にならない限りは、評価の50%以内の範囲の必要な金額が上限となります。例えば、不動産評価が1億円の融資限度額は概ね5千万円程度となります。 契約できる年齢の制限はありますか? リ・バース60では満60歳以上の方が対象ですが、金融機関によっては年齢上限を設けていることがあります。また、満50歳以上60歳未満の方でも利用できる場合もあります。ただし、満50歳以上60歳未満の方の融資限度額は、担保評価額の30%となるなど、条件が一部異なります。 つまり、年齢の下限は基本的には60歳、上限はない、もしくは金融機関によって異なると考えておきましょう。 債務者の死後、必ず担保不動産は売却されますか? 担保不動産は必ずしも売却されるわけではありません。相続人が残債務を一括で返済する場合は、担保不動産を引き継ぐことができます。また、債務者が生前に元金を繰上返済して、担保不動産の売却を回避することも可能です。 残債務を一括で返済しない場合は、担保不動産を売却して残債務を一括で返済する必要があります。担保不動産の売却を希望しない場合には、あらかじめ残債務を一括返済するか、死後に一括返済出来るよう資金を準備しておくといいでしょう。 債務者の死後、担保不動産の売却はだれがどのような方法で行うのですか? 債務者が亡くなった後の担保不動産の売却は、以下のどちらかで行います。 相続人が自ら売却 住宅金融支援機構が競売により売却 相続人は、どちらの方法で担保不動産を売却するか選択できます。競売よりも相続人が自ら売却活動を行うほうが、高く売却できる可能性があります。残債務を上回る金額で売却できた場合、その余剰金は相続人が受け取れます。 なお、担保不動産の売却代金が残債務に満たない場合、リコース型であれば残った債務の返済が必要で、ノンリコース型であれば残った債務の返済は不要です。 担保不動産が残債務以上の金額で売却できた場合はどうなりますか? 担保不動産の売却によって、金融機関と住宅金融支援機構が回収すべき金額以上で売却できた場合、余剰金は相続人が受け取れます。 売却代金が担保不動産の取得価格を上回った場合、売却益が譲渡所得となり、所得税等が課税される場合があります。詳しくは、税務署や税理士に確認しましょう。 担保不動産の売却による返済後に債務が残った場合どうなりますか? リ・バース60の債務者が死亡し、担保不動産の売却で返済した後に債務が残った場合は、次のうちいずれかの取扱いとなります。 ノンリコース型:相続人は残った債務を返済する必要がない リコース型:相続人は残った債務を返済する必要がある 2022年度においては、ノンリコース型の利用割合が99.0%を占めており、大多数がノンリコース型を選択していることがわかります。 なお、ノンリコース型は、リコース型に比べて金利が高くなることがあります。また、残債務のうち返済不要となる部分は債務免除益とみなされ、所得税等が課税される場合があります。詳しくは、税務署や税理士に確認するといいでしょう。 出典)住宅金融支援機構「【リ・バース60】の利用実績等について (2023年1月~3月及び2022年度分」 まとめ リ・バース60であれば、60歳以上の方でも融資を受けられるので、住宅の購入・建築やリフォーム、住宅ローンの借り換えなどに必要な資金を準備できます。また、毎月の支払は利息のみで、返済負担が小さい点も魅力です。 リ・バース60の仕組みを理解して、老後の住まいづくりにうまく活用しましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60の活用事例を4つ紹介 リ・バース60とは、満60歳以上の人向けの住宅ローンです。毎月の支払いは利息のみで、元本は債務者が亡くなったときに担保物件を売却して返済するか、相続人が現金で一括返済するかを選べます。リ・バ...記事を読む

動画で学びたい