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  • 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ

    不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ

    ローン金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限が表示されることがほとんどです。このような表示は、個別のローンごとに適用される金利が変わることを表しています。当然、ローンを借り入れる人にしてみれば、金利は低ければ低いほど良い条件であることは間違いありません。では、どうすれば借入金利を低くすることができるのでしょうか?そこには、不動産担保ローンならではの〝コツ〟があるのです。 不動産担保ローン金利の基礎知識 不動産担保ローンの金利についてはあらかじめ知っておくべき基礎知識があります。自身の知識に不安がある人は、まずは以下の「ローン金利の基礎知識に関する記事」を参考にするといいかもしれません。 ▼ローン金利の基礎知識に関する記事 ・適用金利はどうやって決まるのか? ・変動型の金利はどう決まる? ・金利と利子の関係と計算方法 ・不動産担保ローンの金利の実態をさぐる 不動産担保ローン金利の相場 不動産担保ローンの金利は金融機関によって異なります。ここでは取り扱い件数や金額が多い銀行とノンバンクの不動産担保ローンの金利相場を比較してみましょう。 銀行の不動産担保ローンの金利相場 銀行の不動産担保ローンの金利は、比較的低く設定されていることが多いです。具体的には、資金使途が限定されていない不動産担保ローンの場合、比較的低金利な金融機関で下限金利が1.0%前後に設定されています(2023年5月末時点)。一方で、銀行は審査においてローンを借り入れる人と担保不動産に関する細かい条件を設定しており、審査が厳しいという点に注意が必要です。 ノンバンクの不動産担保ローンの金利相場 ノンバンクの不動産担保ローンの金利は、銀行と比較して高く設定されていることが多いです。具体的には、比較的低金利な金融機関で下限金利が2.5%前後に設定されています(2023年5月末時点)。しかし、ノンバンクの不動産担保ローンは、銀行と比較すると審査に通りやすく、また融資までのスピードが早い点がメリットです。 審査結果と金利に与える影響―「融資先の属性」 ローンの金利は、融資を実行する前に金融機関が行う審査の結果に大きく左右されます。つまり、審査の中身を理解すれば、低金利で借りるコツがわかります。まず、金融機関はどんな点をチェックするのでしょうか。 不動産担保ローンの審査では、主に以下のような項目が対象となります。 融資先の属性 担保不動産の価値 担保掛目 資金使途 借入期間 各項目について、どのような点がポイントであるか、詳しく説明していきます。 「融資先の属性」は「信用力」をみる 不動産担保ローンの借り入れ先は、個人か法人に分かれますが、審査内容はそれほど変わりません。どちらも重要なのは融資先の「信用力」であり、信用力を計る条件として「収入」が大きな要素になります。収入とは、融資先が個人であれば年収、企業であれば利益を指します。 また、融資先の「信用情報」も信用力に影響します。過去にローンを借り入れていればその返済状況がチェックされ、ローンの返済が滞ったことがあると信用力は低くなります。反対に、延滞などをせずに返済がされていれば信用力は高くなります。また、個人であれば年齢や勤続年数(法人は設立からの年数)、他の借り入れをすでに利用しているかどうか、といったことも融資先の属性に該当します。 「融資先の属性」におけるポイント 属性では特に収入が重視され、基本的に収入が多いほど信用力は高いと判断されます。しかし、その金額だけが審査対象となるわけではなく、「返済比率」も重要です。返済比率とは、収入に占めるローンの年間返済額の割合のことで、「返済負担率」とも呼ばれます。例えば、年収が500万円の人であれば、返済比率30%という水準は年間返済額が150万円になります。 年間の収入に占めるローンの支払額が大きくなると、それに伴い返済比率は高くなります。返済比率が高くなるほど借り入れの負担は重くなるので、返済が滞るリスクが生じます。そのため、金融機関は審査において返済比率の基準を設定しており、その基準に近いローンには高めの金利が適用されたり、融資そのものが否決されたりすることがあります。 例えば、不動産担保ローンのひとつである住宅ローンの場合、銀行では、返済比率の基準を30%に設定していることが多いです。年収500万円の個人の返済比率30%という水準は、年間返済額が150万円ですので、年収500万円以下の人は年間返済額150万円を超えるローンは組めないことになります。住宅ローンの借入金利も「○%~○%」と表示されています。金利を決定する一つの要素として、返済比率が高くなればなるほど上限の金利に近づき、返済比率が低くなればなるほど下限の金利に近づくといえるでしょう。 したがって、借入金利を低くするには、まず「返済比率を低くする」ということが挙げられます。ただ現実的には、収入を増やすということはなかなか難しいので、年間返済額を減らすことがポイントになるでしょう。 審査結果と金利に与える影響―「不動産の価値」 「担保不動産の価値」の評価方法 カードローンをはじめとする無担保ローンとは異なり、不動産担保ローンは文字どおり不動産をローンの担保にします。そのため、無担保ローンよりも大きな金額を低金利で借り入れることができます。一般的に、担保不動産の価値(=評価額)が高くなるほど、借り入れる金額を増やす、金利を低くするといったことが可能です。 不動産は土地と建物の2つで構成されています。土地の評価には、国税庁が発表している「路線価」(正式名称は「相続税路線価」)を用います。一般的な不動産取引では、「公示地価」や「基準地価」に基づいて売買価格が決定される場合が多いですが、路線価は公示地価や基準地価の8割程度とされています。 建物の評価はやや複雑で、建物の「再調達価格」を算定するところから始まります。再調達価格とは、その建物を新たに建築あるいは購入時に必要となる金額のことで、さらに、建物の「延べ床面積」や「法定耐用年数」などを加味して評価します。 ただし、建物の築年月が法定耐用年数を超えていると評価額はゼロ。例えば、戸建て住宅の法定耐用年数は22年なので、築22年を超えた一戸建ての価格は0円となり、不動産価格は土地だけを評価することになります。 関連記事はこちら不動産評価の方法と不動産価値の考え方 「担保となる不動産の価値」におけるポイント 前述したように、担保不動産の評価額が高いほど、借入金額を増やしたり、金利を低くしたりする余地が広がります。とはいうものの、「すでに保有している不動産の評価額は変わらないのでは」と思っている人がほとんどでしょう。しかし、不動産の評価は所有者の工夫によって変わる要素もあります。 建物の評価の部分でも述べましたが、建物の価値は築年数の経過とともに減少していきますが、リフォームをすることによって価値を高めることはできます。リフォームまではいかなくても、周辺の掃除や外壁のクリーニングを定期的に行い、建物を整えておくことは重要です。 また、土地についても、駅に近い立地であれば、商業施設の新規出店など周辺環境が良くなる場合が出てきます。そうした利便性の高さを、金融機関の融資担当者に積極的にアピールをすることが、担保不動産の評価を上げることにつながります 関連記事はこちら不動産価値の高め方とは?立地条件と不動産価値の関係 不動産としての価値を高めるということは、それが住宅であれば、住環境を改善することにもなります。普段から心がけておくことは、それほど難しいことではないでしょう。 審査結果と金利に与える影響―「担保掛目」 不動産の実質的な担保価値を算定する「担保掛目」 担保掛目とは、担保不動産の評価額に対して、金融機関が設定する比率のことです(「掛目」と呼ばれることもあります)。例えば、担保不動産の評価額が土地と建物を合わせて4,000万円の場合、融資する金融機関の担保掛目が80%という比率であれば、担保評価額は4,000万円×80%=3,200万円となります。 不動産担保ローンにおいて、この担保掛目は非常に重要です。基本的には、この担保掛目を用いて算定される実質的な担保価値が融資限度額になるからです。担保掛目は、金融機関が独自に設定しますが、住宅ローンも含めて、80%程度に設定しているところが多いようです。 なぜ、実質的な担保価値が評価額の100%にはならないのでしょうか。もし、融資の返済が滞り、金融機関が不動産を売却することになった場合、不動産はすぐに現金化することは困難です。保有している間に、価値が減少する恐れもあります。そうしたリスクに備えるために、あらかじめ時価評価の80%程度に設定しているわけです。 「担保掛目」におけるポイント 前述したように、一般的には、担保不動産に金融機関が設定する担保掛目を適用した金額が融資限度額になります。時価評価が4,000万円の物件に対して、担保掛目が80%であれば、融資の限度額は3,200万円です。そして、実際にこの物件を担保として3,200万円を借りる場合、金利は高めに設定されることが多くなります。金融機関にしてみると、限度額をフルに融資することは、受け入れるリスクも最大になるからです。 したがって、融資限度額まで借り入れなければ、金融機関のリスクも減少し、設定される金利を引き下げる余地が生じます。時価評価4,000万円の物件で担保掛目が80%、融資額の上限が3,200万円のとき、例えば2,800万円しか借り入れなければ、400万円の担保余力があります。金融機関としては、担保評価額に対して十分な担保余力があれば、金利を引き下げる余地が出てきます。融資限度額まで借り入れる必要がなければ、借入金額を減らすことで金利を低くできる可能性があります。 審査結果と金利に与える影響―「資金使途」 ローンによって制限がある「資金使途」 資金使途は、借り入れたお金の使いみちのことです。融資審査のときに、金融機関は必ず資金使途を確認します。担保が必要のない無担保型ローンでは、基本的にお金の使いみちは自由ですが、不動産担保ローンでは、金融機関によって資金使途に制限がかかることもあります。 例えば、会社の運転資金にすることを目的とした事業用資金は、不動産担保ローンとしては融資しない銀行が少なくありません。すでに事業で赤字が出ている状態であれば、返済が滞るリスクがあるからです。一方、多くのノンバンクでは、事業用資金の融資をしています。このように、金融機関ごとに資金使途の制限はかわってきます。 「資金の使途」におけるポイント 資金使途は、正しく申告しなければならないのは当然ですが、資金繰りの状況をきちんと伝えることで、金利を低くしてもらえる可能性があります。会社の運転資金として借り入れる場合でも、「事業が上手くいっていない」ということにはならないからです。 例えば、会社の売上げが伸びて、売掛金が大きくなってくると、会社は事業用の立替金を増やしておく必要があります。また、取引先の要請で、売掛金の回収期間が延びてしまうこともあるかもしれません。こうしたことは事業が軌道に乗っているからこそ起こる事態です。 審査の際に、資金使途を運転資金としたうえで、なぜ運転資金が必要になったのかを明確にすることで、融資が受けやすくなり、金利も下げられる可能性が出てきます。その際は、理由の〝証拠〟となる会社の帳簿などを、併せて提出すると、さらに効果が高まるでしょう。 また、仮に事業があまり順調に行っていない場合でも、きちんとした事業計画書を提出することで、融資が受けやすくなることもあります。資金使途自体は変えることはできませんが、工夫する余地はあります。 審査結果と金利に与える影響―「借入期間」 「借入期間」と金利の関係性 ローンの借入期間と金利には密接な関係があります。ほとんどの人は、「借入期間が長いほど高金利になる」というイメージを持っているかもしれません。基本的には、そうした認識は間違ってはいません。借入期間が長期になるほど、予期しない問題が発生するといった返済が滞るリスクが高くなるからです。 ただし、借入期間が長いほど金利が高いというのは、ローンが「固定型」の場合です。固定型は、借入時に設定された金利が返済終了まで変わらない、というものです。これに対して、「変動型」のローンは、一定のタイミングで金利が見直されるというもので、借入後の金融市場の動向によって、金利は上昇することもあれば、低下することもあります。したがって、通常、変動型の金利は借入期間によって大きな違いはありません。 金融機関が融資しやすいローンとは? 上記の傾向から外れる、微妙なケースも存在しています。例えば、住宅ローンには「固定期間選択型」というタイプがあります。これは、「10年固定」といったように、借入後、あらかじめ決めた期間の金利が固定される、というローンです。固定される期間は、3年、5年、7年、10年など、金融機関によってさまざまです(なお、固定期間が終了した後は「変動型」に移行します)。 この固定期間選択型も、一般的には固定期間が長くなるほど、金利は高くなる傾向にありますが、固定期間が短い方の金利が、長い方の金利よりも低いというケースが存在します。 これらの要因としては、日銀の政策金利や金融市場の動向が挙げられますが、ローンを提供している金融機関の貸出金の残高の内容も関係しています。貸出金の残高の内容とは、残高に占める固定型と変動型の割合や、ローンが返済される時期などです。 金融機関としては、固定型に偏っているとか、返済がある時期に集中しているといった事態は避けなければなりません。経営の安定性を高めるために、さまざまなローンをバランスよく提供することが重要になります。 すると、金融機関には、ローンのタイプや借入期間などの条件において、融資をしやすいローンが出てきます。したがって、借入期間を柔軟に設定できるようであれば、金融機関に金利が低くなる期間があるかどうかを聞いてみる、という手があります。ただし、必要以上に借入期間を長くすると、今度は利息の負担が増えてしまうので、その点には注意しなければなりません。 不動産担保ローンを低金利で借りるコツ これまで、低金利で借りるコツを5つの審査項目ごとに述べてきました。以下、簡単に振り返ってみます。 ① 融資先の属性 ローンを借り入れる人の信用力が高いほど低金利での借り入れができる。収入に占めるローンの年間返済額の割合である返済比率を下げれば、信用力を高めることが可能。 ② 担保不動産の価値 建物のリフォームやクリーニング、周辺環境で好転した部分をアピールすることで不動産の価値を高められる可能性がある。 ③ 担保掛目 担保掛目により算出する担保評価額に対する借入金額の比率を下げることで、金利を引き下げる余地が生まれる。 ④ 資金使途 会社の運転資金などの事業用資金を借り入れる場合は、財務状態を正確に申告するとともに、事業計画書などを作成する。 ⑤ 借入期間 金融機関が融資しやすい期間がある可能性がある。借入期間に融通が利くようであれば、低い金利が適用される期間があるかどうかを聞いてみる。 上記のポイント以外にも、初めて不動産担保ローンを借りる場合は、複数の金融機関にローンを申し込んで金利を比較し、最も低金利を提示してきた金融機関から借り入れる、といったことも挙げられます。また、借り入れをした経験があり、すでに返済が終了していれば、同じ金融機関に申し込む方が、低い金利を適用される可能性があります。すでに完済をしたという履歴が、信用力のアップにつながるからです。 このように、低金利で借りるコツというのはいくつか存在します。しかし、そのすべてを活用することはなかなか困難でしょう。融資を受ける側にとって、借入金額や借入期間などは譲歩をしにくいケースが多いと考えられるからです。 しかし、そもそも何のために借り入れるのかという目的、優先順位を整理することで、活用できるポイントが見つかる可能性が出てきます。不動産担保ローンの借入金額は大きな金額です。0.2%あるいは0.1%でも金利が下がれば、軽減される利息は決して小さくはないでしょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンの金利の実態をさぐる 不動産担保ローンに限らず、金融機関が表示しているローンの金利は、「年○○%~△△%」といった感じで上限と下限を表示していることがほとんどです。そのため、ローンの金利を比較しようとしても、この...記事を読む

  • 不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)

    不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)

    この記事では、金融庁の『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』について、その中身を掘り下げたいと思います。実は、この調査には、金融機関の融資について金融庁の考え方が、これまでになく非常に具体的に示されています。おそらく、今後、中長期的な指針となっていくと考えられます。 「不動産投資ローン」に改善を促す金融庁 金融庁は、「アパート投資向けの不正融資問題」において、特に、紹介業者が顧客を金融機関に紹介するケースについて警鐘を鳴らしています。簡単にいうと、融資に必要な審査関係資料や契約内容について、紹介業者に依存する傾向がみられ、融資先の顧客の管理体制が〝緩く〟なっているのではないか、というものです。 実際に、金融機関の回答をみると、不動産投資ローンを住宅ローンの延長と捉えてしまい、顧客の給与収入も返済原資の一部とみなしているため、物件のキャッシュ・フローのみで返済の見込みがなくとも、融資が実行されるケースが散見されたようです。 また、中古の物件に対する融資期間が、建物の築年数を控除した法定耐用年数を大幅に超えるケースもあったとされています。そのため、金融機関の9割以上は融資先事業の収支計画のシミュレーションをしている、とされていますが、その「精緻さにばらつきあり」と懸念が表明されています。 銀行や信用金庫では、不動産を担保として融資をする場合、担保不動産の市場価格に加えて、顧客の収入や、融資先が企業であれば事業の収益動向も加味して融資額を決めることが多いとされています。それに対して金融庁が懸念を表明したことにより、少なくとも不動産投資ローンについては、担保不動産の評価、事業の収支計画の妥当性に基づいた与信が行われることになるでしょう。 投資先物件のキャッシュ・フローの重要性 金融庁は、事業の収支計画の審査についても、以下のような提言をしています。 ①不動産投資ローンは、住宅ローンと違って、融資額も大きくなり、事業性融資の性格が強くなる点に留意する。 ②債務の返済は、賃貸事業が長期的に生むキャッシュ・フローの水準が大きく左右するため、金融機関は物件がキャッシュ・フローを生む期間(=建物の耐用年数)をできる限り客観的に検証し、その耐用年数から想定される合理的な融資期間を設定する。 ③債務の完済までの収支シミュレーションに基づき、賃貸事業としての返済可能性を見極めることが重要。 ④ 顧客は、目先の利回りにとらわれることなく、大規模修繕の必要性や物件収支が下振れた際の返済余力や、当初想定した価格で売却できない可能性も考慮しつつ、長期的な事業の収支計画を判断する必要がある。 いずれも、金融機関の審査に対する非常に具体的な提言となっており、金融庁が公表するレポートとしては、〝異例〟の内容といえます。以上のような指針から、今後、不動産投資ローンを受けるためのハードルは、かなり高くなることが予想されます。 投資先の物件が生み出すキャッシュ・フローをおもな返済原資とするということは、不動産の選別は厳しくならざるを得ません。すでに、価格が上昇している物件は、十分なキャッシュ・フローが見込みにくいため、融資が実行されにくくなります。また、建物の耐用年数を客観的に検証して融資期間を決めることになれば、築年数の古い中古物件は融資対象から外れるケースが増えてくるでしょう。 金融機関の審査が問われる時代に これまで、金融機関は、決してキャッシュ・フローについて無視をしてきたわけではありません。ただ、金融庁のレポートも指摘しているように、一部の金融機関では、家賃収入から返済額や経費を差し引いた金額が「黒字」になればよい、と安易に考えていた形跡がうかがえます。これからは、単純なキャッシュ・フローだけでなく、「債務返済倍率」といった不動産投資の健全性を計る指標も併せて、融資の審査を行なうことが求められてくるでしょう。 さらに、金融庁は、融資が実行された後も、当該物件の空室率や賃料などの確認作業を行なうことを金融機関に要請しています。融資期間中に、事業の実績を踏まえた収支計画のシミュレーションの更新を、まったく行っていない金融機関があったためです。 以上は、基本的には不動産投資ローンに関する事柄ですが、金融庁は、今後他の融資全般についても、事業の収支計画をベースとした審査の適正化を進めていく、と見られています。ますます、金融機関の審査のノウハウが重要になっていくでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産投資ローンの審査はココをみる(1) 賃貸アパートやマンション等の収益物件を担保とした貸出しは、金融機関の不動産関連融資の中では主力商品のひとつです。2013年から始まったアベノミクスによって、国内の金融市場は超低金利状態に突入...記事を読む ▼シリーズ「不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1) ・第2回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)

  • 不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1)

    不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1)

    2019年3月に、金融庁から『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』が発表されました。これは、金融庁が全国の金融機関を対象として、おもに投資用不動産向け融資の実態についてアンケート調査をしたものです。その内容を2回にわたって紹介します。ここでいう投資用不動産向け融資とは、個人が投資目的で、居住あるいは宿泊用の不動産を取得するために金融機関が行なう融資のことで、一般的に不動産投資ローンと呼ばれるものです。 「不動産投資ローン」が拡大したのは2016年から まず、この調査の背景について説明をしておきましょう。2018年に明るみになったスルガ銀行 の不正融資問題を受けて、金融庁は、銀行と信用金庫、信用組合を対象として、不動産投資ローンの貸出額や残高、さらに、融資審査の中身についてアンケート調査をしました(調査時期は2018年10~11月)。 実は、スルガ銀行の不正融資問題が発覚する前から、すでに金融庁は不動産投資ローンについて注視をしていました。ここ数年、銀行および信用金庫の不動産業向け融資の残高は増加を続ける中、2016年3月期と2017年3月期に、不動産投資ローン(表の表記では「個人による貸家業向け貸出残高」)が拡大をしたからです。 【国内銀行・信用金庫の不動産業向け貸出残高の推移】 上の表は、日銀が発表している銀行と信用金庫の「貸出先別貸出金」というデータを、金融庁が集計したものです。この表をみると、2016年3月期の1年間で、不動産業向けの貸出残高が前年比で6.3%増加していることがわかります。同様に、2017年3月期も6.4%増加しました。一方で不動産業向け融資の増加率に相応して、「個人による貸家業向け貸出残高」も、2016年3月期3.8%、2017年3月期4.0%と増加しました。この時期から、金融庁は、不動産投資ローンのリスクに懸念を持っていたようです。 不動産業向け融資は拡大傾向が続く その後、2018年にスルガ銀行を始めとした、地方銀行のアパート投資向けの不正融資が明らかとなります。その影響で、2019年3月期の「個人による貸家業向け貸出残高」は横ばいとなり、新規の貸出しは急減することとなりました。 ただし、ここで注意すべき点は、不動産業向け貸出については、不正融資が問題化した後もそれまでとあまり変わらないペースで拡大をしていることです。金融庁のアンケート調査には掲載されていませんが、「個人による貸家業向け貸出残高」を除いた不動産業向け貸出残高の推移は、下の表のようになっています。 【国内銀行・信用金庫の不動産業向け貸出残高(個人による貸家業向け貸出残高を除く)の推移】 この表から分かるのは、不動産業向け貸出残高は2019年3月末時点で、前年比5.7%と依然として高い伸びを記録していることです。つまり、銀行と信用金庫の不動産業に対する融資姿勢には、それほど大きな変化はなかったことになります。 不動産業者に、「アパート投資向けの不正融資が社会問題化して以降、金融機関の融資姿勢に変化はあるか?」という質問をすると、「それほど変わっていない」という答えが返ってくることが多いのですが、このデータはそれを裏付けていると言えます。 但し、表①でみたように、不動産投資ローンについては、消極的なスタンスとなる金融機関は増えています。金融庁のアンケート調査によると、「消極的」と回答した銀行は、2016年3月期は全体の4%でしたが、2018年9月期には17%に、同じく、信用金庫は全体の11%から25%へと増加しています。 以上のことから、当面、不動産投資ローンの新規実行は伸び悩む一方、不動産業向け融資にはそれほど影響がない、ということが予想されるでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2) この記事では、金融庁の『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』について、その中身を掘り下げたいと思います。実は、この調査には、金融機関の融資について金融庁の考え方が、これまでになく...記事を読む ▼シリーズ「不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1) ・第2回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)

  • 不動産担保ローンの金利の実態をさぐる

    不動産担保ローンの金利の実態をさぐる

    不動産担保ローンに限らず、金融機関が表示しているローンの金利は、「年○○%~△△%」といった感じで上限と下限を表示していることがほとんどです。そのため、ローンの金利を比較しようとしても、この表示だけで比べることは困難です。実際に借り入れるローンの金利は、融資の審査を通過した後に提示されることになるからです。 時間に余裕があれば、複数の金融機関に融資の申し込みをし、審査後に提示された金利を比較して、いちばん有利なローンを選ぶことができるでしょう。しかし、現実にはなかなかそうはいきません。申し込みごとに必要書類を揃えたりするのは、結構面倒なものです。金利を比較するために、5社も6社も申し込むという人は、かなり少ないと思われます。ほとんどの人は、もっとも早く審査を通過して、ローンが借りられることが決まった金融機関を選んでいるのではないでしょうか。 実際に契約されたローン金利がわかる「平均約定金利」 >不動産担保ローンの概要についてはこちら ただ、やはり金利が高いのか低いのかは、気になるところ。もし平均的な金利の水準がわかれば、それと比較することで、少なくとも金利が高いのか低いのかの目安くらいはつくことになります。実は、その平均的な水準は公表されています。日本貸金業協会は、各種の資料を公表しており、そこには平均的な金利水準も含まれているのです。 日本貸金業協会とは、「貸金業法」という法律に基づいて貸金業を営んでいる金融機関が加盟している業界団体です。2007年12月に、「貸金業法第26条第2項」の規定に基づき、内閣総理大臣の認可を受けて設立されました。参加しているのは、融資を行う、銀行以外の金融機関です。 平均約定金利 前述のように、この日本貸金業協会が発表する統計データの中に、「約定金利」という項目があります。約定金利とは、簡単にいうと、実際に契約されたローンの金利のことで、日本貸金業協会のホームページには、「月末平均約定金利」として、協会に加盟する金融機関が行った、月ごとのローンの金利の平均値を掲載しているのです。早速、そのデータをみてみましょう。以下は、2019年3月上旬に閲覧することができる最新のもので、2018年12月時点のデータです。 ○月末平均約定金利 消費者向け有担保貸付  6.08% 事業者向け有担保貸付  3.66% 消費者向けというのは借りる人が個人で、事業者向けというのは借り手が法人です。また、有担保貸付とは担保があるローンのことで、住宅ローンを除いたものですので、実質的に、不動産担保ローンのデータと考えて問題はありません。このデータは、2018年12月に行われたローンの平均値が個人向け6.08%、法人向け3.66%だった、ということを表しています。個人と法人で、「意外と差があるな」と思った人も少なくないかもしれません。 現在、不動産担保ローンを申し込んでいて、金融機関からローンの金利を提示された人がいれば(あるいはすでに返済を始めている人は)、ローン金利が平均よりも高いか低いのかは、この数値で判断ができることになります。 「平均約定金利」はひとつの目安 ただし、この平均約定金利はあくまで全体の平均値です。すでに、何度か借り入れをしていて、ローンの実績がある、つまり信用力が高い個人や法人が含まれているわけです。新規で不動産担保ローンを借りるときは、この平均約定金利よりも一般的には〝高め〟になるといえるでしょう。 また、貸金業者全体の平均約定金利なので、さまざまな業者が含まれている点にも注意が必要です。平均値を上回っているからといって、必ずしも〝高めの金利〟とはいえません。一見、高めの金利にみえても、同じような業態の金融機関の中では、低い方の金利になっている、といったケースもあり得ます。 業態別の平均約定金利 ちなみに、この日本貸金業協会の統計データには、融資をする金融機関の業態ごとのデータも掲載されています。その業態の名称は、「消費者金融」「事業者金融」「クレジット等」の3種類となっていますが、それぞれの名称が一般的に表す業態とはちょっとズレています。というのも、日本貸金業協会の分類は、金融庁が定めている分類に沿ったものになっているからです。金融庁の分類はかなり複雑になっているため、一般的に用いられている名称とは、そのカバーする業態が違っています。 以下、その業態別の平均約定金利を記しますので、上記の点を考慮に入れ、あくまで参考としてご覧ください。 ○消費者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融  5.86%   事業者金融  6.76%  クレジット等 5.66%  ○事業者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融  3.98%   事業者金融  4.10%  クレジット等 1.59%  消費者向け、事業者向けともに、消費者金融の金利が事業者金融を下回っていることに、違和感を覚える人もいると思われます。事業者金融の金利の方が高い理由としては、ローンを利用する人や法人が、初回の借り入れであっても借入金額が多額になる場合が比較的多いこと、さらに、起業したばかりの法人が含まれていること、などが考えられます。いずれも、銀行など他業態の金融機関では貸し出しが難しいケースといえるでしょう。その分、金利が高めに設定されることになります。 なお、今回紹介したデータは、日本貸金業協会のホームページにある「月次統計資料」のコーナーで閲覧できます。興味のある方は、一度訪れてみてはどうでしょうか。 不動産担保ローンならSBIエステートファイナンス 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ ローン金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限が表示されることがほとんどです。このような表示は、個別のローンごとに適用される金利が変わることを表しています。当然、ローンを借り入れ...記事を読む 不動産担保ローンの「仮審査」とは? 不動産担保ローンを提供している金融機関のホームページには、よく「仮審査」や「事前審査」という言葉が使われています(以後この記事では「仮審査」と呼称します)。住宅ローンを利用したことがある人な...記事を読む

  • 「不動産担保ローン」の審査基準と審査通過のためのポイント

    不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント

    不動産担保ローンを利用して資金調達するには、金融機関の審査に通過する必要があります。しかし、不動産担保ローンの利用経験がないと、審査がどのように行われ、どうしたら審査を通過できるかわからないかもしれません。 この記事では、不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイントを解説します。 不動産担保ローンの審査基準とは? 不動産担保ローンを申し込むと、金融機関は融資を受ける人の審査をします。その審査結果によって、「お金を貸してもよいか?」「融資できる金額はどのくらいか?」といった判断をします。 不動産担保ローンの場合、審査の対象は融資をする相手の「信用力」と、担保となる「不動産の価値」の大きく二つに分かれます。審査のポイントを理解し、必要書類などを不備なく準備して面談に臨むことで審査に通りやすくなります。 審査を受けるための準備 不動産担保ローンの審査に進むためには、まず金融機関のホームページから仮審査に申し込みます。仮審査の結果をもとに担当者と面談をした後、本申込を行うと担保不動産の実地調査や信用力の審査が行われ、審査に通過すれば契約をし、融資実行という流れになります。本申込の際は、主に以下の書類が必要です。 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど) 実印 印鑑証明書 納税証明書、固定資産税納付書 収入証明書 不動産登記簿謄本 借入残高証明書 商業登記謄本、決算書類、事業計画書など(法人の場合) 印鑑証明書、納税証明書、収入証明書は、自治体の窓口で即日発行が可能です。また、印鑑証明書は、マイナンバーカードがあれば全国のコンビニでも発行できます。固定資産税納付書は手元に保管しているかを確認し、見つからない場合は自治体の窓口で相談しましょう。 関連記事はこちら納税証明書とは?種類ごとの記載事項や取得方法などを解説 不動産登記簿謄本は法務局の窓口のほか、郵送やオンラインによる交付請求も可能です。ローンが残っている不動産を担保にする場合は、ローンを組んでいる金融機関に借入残高証明書の発行を依頼します。法人の場合は商業登記謄本や決算書類、事業計画書なども提出しなくてはなりません。 すべての必要書類を準備するには時間がかかるので、余裕を持って対応することが大切です。金融機関や条件によって、上記以外の必要書類もあるので、担当者に必ず確認しましょう。 「信用力」の審査基準とは? 審査対象の1つ目は融資をする相手の信用力です。これはあらゆるローン商品において必ず審査をされる対象で、担保となる不動産がある不動産担保ローンであっても、その重要性は変わりません。その信用力を計る条件としては、まず収入が挙げられます。収入とは個人であれば年収、企業であれば利益のことです。 収入 当然、収入は多ければ多いほど信用力はアップしますが、金額だけで評価されるわけではありません。毎月の収入に対するローンの返済額の割合を表す「返済負担率」がポイントとなります。例えば、毎月の収入が50万円で、返済額が15万円の場合は、返済負担率は30%になります。返済負担率が高いほど評価は悪くなり、審査に通過する可能性も低くなります。 過去の返済履歴 過去にローンを借り入れたことがあれば、その返済状況が審査されます。そして、ローンの返済が滞ったことがあると信用力は低くなります。短期間かつ1、2回程度の返済の遅れであれば、「不注意による引き落とし口座の残高不足」と見なされ、審査に通過することはありますが、それ以上の延滞が重なると審査は厳しくなります。 勤続年数 個人の信用力では勤続年数も重要です。勤続年数が長くなるほど、安定した収入が継続的に得られている、とみなされるからです。法人の場合は、事業年数ということになります。設立したばかり、あるいは事業年数が短い法人は、信用力がないと判断はされやすくなります。 年齢 不動産担保ローンの返済期間は、10年、20年と長期にわたることもあるため、年齢も審査項目になります。ローンを完済したときに何歳になっているかという「完済時年齢」がポイントで、完済時年齢は、高齢になるほど収入が不安定になるとみなされてしまいます。 他の金融機関からの借入状況 また、他の金融機関からの借り入れの有無と、その借入金額、何社からの借り入れがあるのかという点も信用力の判断基準になります。借入金額の大きさや、借り入れている金融機関の数の多さで審査の通過しやすさが変わります。 「不動産の価値」の審査基準とは? 審査対象の2つ目は不動産の価値です。借り入れの担保不動産の価値が高い、すなわち、不動産の価格が高いほど審査に通りやすく、大きな金額のローンが組めることになります。では、不動産の価格はどうやって測定するのでしょうか。 土地の評価方法 不動産は土地と建物の2つの軸で評価がされます。土地価格はいくつかの基準があり、国土交通省が発表している「公示地価」、都道府県による「基準地価」、国税庁の「路線価」、市町村の「固定資産税評価額」、の4つです。したがって、同じ土地であっても4種類の価格が存在することになります。 関連記事はこちら公示価格とは?実勢価格との違いと活用法をわかりやすく解説 金融機関によって評価の手法はさまざまで、重視する基準も異なりますが、比較的よく用いられるのは国税庁の路線価のようです。路線価の正式名称は「相続税路線価」といい、相続税を算定するときに使う地価のことです。 一般的な不動産の売買価格は公示地価や基準地価に基づいて行われており、路線価は公示地価、基準地価よりも低く、その8割程度とされています。つまり、路線価は、公示地価、基準地価より2割程度は割安に評価されているわけです。 実態よりも低い路線価が採用されている理由は、金融機関のリスクヘッジのためです。不動産担保ローンでは、融資金の回収が不可能となった場合に、担保不動産を売却することで融資金を回収します。しかし、地価が値下がりすると、担保不動産を売却しても融資金を全額回収できない恐れがあります。そこで、より保守的な価格である路線価を採用することで、将来的に地価が値下がりをしていても、融資金を回収できる可能性が高まります。 建物の評価方法 土地に比べて建物の評価の方法は少し複雑です。まず、建物の「再調達価格」を算定するところから始まります。再調達価格とは、その建物を新たに建築、購入した場合に必要となる金額のことです。そして、建物の「延べ床面積」や「法定耐用年数」などを用いて、建物の評価額を決定します。 ただし、建物の築年月が法定耐用年数を超えていると、建物の価格は0円になってしまう点には注意が必要です。例えば、住宅用の木造戸建ての場合、国税庁が定める法定耐用年数は22年です。すると、築22年を超えた戸建ての建物価格は0円になってしまいます。したがって、不動産価格は土地だけを評価すればいいことになります。 審査通過のためのポイント 不動産担保ローンの審査に通過するために、必要書類を早く集め、担当者からの質問には正確に回答して、なるべく多くの情報を提供することを心掛けましょう。担保不動産の評価や信用力も大切ですが、担当者への対応も審査結果に影響を与えます。 金融機関の担当者は日々多くのローン相談を受けており、担保不動産や信用力の調査を徹底的に行うため、虚偽の情報は逆効果です。仮に審査に通過したとしても、融資実行後に嘘が発覚した場合は一括返済を求められる恐れもあります。不利になることも正直に伝えるなど真摯に対応することで、金融機関から信頼を得ることができ、結果として審査に通りやすくなるでしょう。 また、個人事業主の方や法人の場合は、事業計画書の内容も非常に重要です。金融機関の信頼を得られるように、客観的な事業計画を作成することも審査通過のポイントです。内容がわかりやすく、根拠をもとに作られた事業計画であれば、金融機関は審査しやすくなります。 事業計画書を提出する前に、税理士などの専門家に確認してもらうといいでしょう。自分ひとりで事業計画書を作成すると、金融機関の印象を少しでも良くしたいという思いから、売上などの見通しが甘くなることも考えられます。専門家の視点を取り入れることで、実現可能性が高い、説得力のある事業計画を作成できます。 まとめ 不動産担保ローンの審査の対象は、融資をする相手の「信用力」と、担保となる「不動産の価値」であることを説明しました。しかし、審査通過のためには正確な情報を真摯に担当者に伝え、金融機関からの信頼を得ることが大切です。これらのポイントを踏まえたうえで不動産担保ローンの審査に進むといいでしょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ ローン金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限が表示されることがほとんどです。このような表示は、個別のローンごとに適用される金利が変わることを表しています。当然、ローンを借り入れ...記事を読む

  • 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説

    不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説

    不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として借り入れを行うローン商品のことです。不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べてまとまった金額を低金利で借りることができます。 一方で、万が一返済ができなくなった場合に、担保にした不動産が競売となる恐れがあるため、利用前に仕組みや特徴を理解しておくことが大切です。この記事では、不動産担保ローンの仕組みやメリット・デメリットなどを解説します。 不動産担保ローンとは 不動産担保ローンは、土地や建物、マンションなどの不動産を担保にして、お金を借りられるローン商品です。金融機関によっては、築古や第二抵当の不動産のほか、家族や法人名義の不動産も担保にできます。 また、不動産担保ローンは有担保ローンの一種です。有担保ローンの中には不動産のほかに、有価証券を担保とする証券担保ローンや、企業の在庫や売掛債権を担保とする動産担保融資(ABL)などがあります。 有担保ローンに対してテレビCMなどで見かけるカードローンやキャッシングなどは無担保ローンに分類されます。無担保ローンは、一般的に不動産担保ローンよりも金利が高く、借入可能額が少額となりますが、手続きが簡単で即日で融資を受けることも可能です。 不動産担保ローンのメリット 不動産担保ローンは、一般的な無担保ローンに比べて以下のようなメリットがあります。 借入金利が低金利である 無担保ローンである個人向けのカードローンや法人向けのビジネスローンに比べて、不動産担保ローンは低金利で借りられます。ただし、実際に適用される金利は、金融機関ごとの商品や、申込人の与信や担保とする不動産によって異なります。 参考までに、日本貸金業協会が公表している令和6年6月の月次統計資料では、消無担保貸付の平均約定金利が14.93%であるのに対して、有担保貸付(住宅向を除く)の平均約定金利は3.66%です。 出典)日本貸金業協会「月次統計資料」 借入限度額が大きい 無担保ローンであるカードローンやキャッシングは、収入や他社からの借入状況などによって借入可能額が決まり、借入限度額は1,000万円ほどです。一方で、不動産担保ローンは、担保不動産の評価額によって変化し、1億円以上の借入限度額とされていることも珍しくありません。 長期間借りられる カーローンや教育ローンなどのローンでは、借入期間は7年や10年程度に設定されています。一方で、不動産担保ローンは、返済期間を長く設定することができ、金融機関によっては35年ローンを提供しているところもあります。ただし、返済期間が長くなるほど、利息の負担額は大きくなる点には注意が必要です。 なお、カードローンやキャッシングなどで一般的に用いられる返済方式はリボルビング方式と呼ばれ、不動産担保ローンなどの返済方式とは異なります。 不動産担保ローンのデメリット 不動産担保ローンは、一般的な無担保ローンに比べて以下のようなデメリットもあります。 借り入れまでに時間がかかる 無担保ローンであるカードローンやキャッシングは、最短数分で審査が終了し、即日融資も可能なローン商品です。一方で、不動産担保ローンは審査の過程で与信に加えて不動産の審査も必要なため、スピードを重視する金融機関であったとしても、融資までに最短でも数日から数週間かかります。 ただし、すでに不動産担保ローンを借りている金融機関からの追加融資であれば、さらに早く借りられる可能性があります。 手数料がかかる 無担保ローンであるカードローンやキャッシングは、諸費用は基本的に利息のみで、他にかかる手数料などはありません。一方で、不動産担保ローンは事務手数料や不動産調査費用、印紙代、登記費用などの費用がかかります。 金融機関に支払う事務手数料は、融資金額の〇%のように定められており、借入金額によっては、数十万円かかる場合もあります。そのほか、不動産を担保とするための登記費用や司法書士費用を加味すると、諸費用は多額に及びます。 そのため、たとえ低金利の借り入れができても、結果的にカードローンよりも支払総額が大きくなることも考えられ、注意が必要です。 返済不能になると競売になる 無担保ローンであるカードローンやキャッシングは、たとえ支払いができなくなったとしても、金融機関から不動産を競売にかけられる恐れはありません。 しかし、不動産担保ローンでは、金融機関が融資時に担保とする不動産に抵当権の設定登記をします。抵当権は、債務者が返済出来なくなったときに、不動産を売却することで融資金を回収するために設定されます。 返済ができなくなって直ちに競売手続きが行われるとは限りませんが、延滞が続き、融資金を回収できないと金融機関が判断すれば、競売手続きに移行します。競売はさまざまなデメリットがあるため、返済が確実にできるかどうかあらかじめ考えておく必要があります。 関連記事はこちら競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法 不動産担保ローンの利用までの流れ 不動産担保ローンの利用までの流れは、以下のように進めます。 仮審査 面談・本申込 不動産調査 審査 契約 融資実行 まずは、金融機関のホームページなどから仮審査を申し込むと、簡易の不動産査定結果をもとに、融資の可否や概算の融資限度額などを回答されます。融資が可能となり、本申込に進む場合は営業担当者と面談を行います。 関連記事はこちら不動産担保ローンの「仮審査」とは? 面談時に申込書の記入や本人確認書類、不動産に関する書類などを提出します。なお、面談したからといって、必ずしも本申込みをする必要はありません。本申込後に金融機関によって担保となる不動産の調査を行います。調査の方法は担保不動産や金融機関によって異なり、実際に対象物件の内覧まで必要な場合もあります。 不動産調査によって正式な物件の取扱いの可否や融資限度額が算出され、並行して与信面に問題がないかの審査となります。審査を終えると最終的な融資金額や適用金利が担当者から伝えられ、問題ないようであれば契約手続きに進みます。 契約当日は、金銭消費貸借契約や抵当権設定登記の手続きを行い、融資実行日に資金が振り込まれます。なお、借り入れにかかる手数料は、融資金から清算されるので、手数料分のお金を別途用意する必要はありません。 これら一連の手続きは、金融機関の店舗で行うのが一般的ですが、店舗に行くのが難しい場合は、担当者が自宅や事務所まで来てくれることもあるので、相談してみるといいでしょう。 不動産担保ローンの必要書類 不動産担保ローンの融資を受けるには、以下のような書類が必要となります。 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど) 実印 印鑑証明書 納税証明書、固定資産税納付書 収入証明書(源泉徴収票・確定申告書など) 不動産登記簿謄本 不動産権利証 借入残高証明書 商業登記謄本、決算書類、事業計画書など ※法人の場合 本申込の際には、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類、契約の際には、印鑑証明書や実印などが必要です。審査の過程で、与信を判断するために、納税証明書や固定資産税納付書、収入証明書などが求められます。 また、担保不動産の状況を確認するために、不動産登記簿謄本や借入残高証明書も必要となる場合があります。不動産担保ローンの必要書類は、金融機関や担保となる不動産によって異なるため、担当者に確認して必要書類を用意しましょう。 不動産担保ローンの審査 不動産担保ローンの審査は、融資をする相手の「信用力」と、担保となる「不動産」から総合的に判断されます。信用力の審査では、個人の場合は収入、法人の場合は利益をはじめとして、過去の返済状況や申込人の年齢、ほかの金融機関からの借入状況などを確認します。 不動産の審査では、担保不動産が対象物件として問題ないかを確認の上、担保評価額を算出します。基本的には、不動産の価値が高ければ高いほど審査に通りやすく、大きな金額を借りられます。 関連記事はこちら不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント 最終的な融資の可否は信用力と不動産によって決定されますが、ある金融機関では融資が出来なかったとしても、別の金融機関では融資が可能と判断される場合もあります。申込人や担保不動産の審査は、銀行かノンバンクかという点でも異なる傾向にあります。 関連記事はこちら不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い 不動産担保ローンの活用事例 不動産担保ローンは以下のような活用事例があります。 まとまった資金を確保して、資金繰りを改善 不動産担保ローンは、まとまった金額を長期間借りることができるため、返済に余裕を持った資金調達ができます。また、無担保ローンからの借り換え等で金利が下がれば、資金繰りの改善もできます。 一方で、返済期間を長くすると総返済額は増加するため、借入前に返済シミュレーションを必ず行いましょう。 赤字決算の法人が事業資金を確保 資金調達をしようとしても、決算が赤字の場合、無担保で事業資金融資を受けることは難しいかもしれません。しかし、不動産担保ローンを活用することで、信用力だけでなく担保不動産の価値を加味して審査が行われる、融資を受けられる可能性があります。 また、赤字決算の法人だけでなくこれから開業する法人や、開業後間もない法人でも融資を受けられる可能性があります。 相続不動産を担保に相続費用を確保 相続が発生すると、相続税をはじめとして、代償分割や遺留分減殺請求などによって多額の支払いが発生する場合があります。しかし、相続財産の中に不動産があれば、その不動産を担保にすることで、融資を受けられる可能性があります。 不動産担保ローンのよくある質問 不動産担保ローンは、金融機関によって基準が異なりますが、以下のような質問が代表的です。 住宅ローンを借りていても融資を受けられますか? 担保不動産に第二順位の抵当権を設定することで、融資を受けられる可能性があります。ただし、住宅ローンが多く残っている場合は、担保余力がないとみなされ融資を受けられません。 関連記事はこちら住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 本人以外の所有不動産を担保にして融資を受けられますか? 不動産の所有者が親族、法人の場合は会社の役員等の特定の条件で融資を受けられる可能性があります。ただし、不動産の所有者は、融資の物上保証人や連帯保証人になることを求められます。 共有名義の不動産を担保にして融資を受けられますか? 所有者全員の同意があれば、融資を受けられる可能性があります。ただし、不動産を共有する人全員が連帯保証人になることを求められます。 信用情報に不安がありますが、融資を受けられますか? 信用情報に問題があっても、融資を受けられる可能性はあります。債務者へ融資をするかしないかは金融機関によって異なり、特定の金融機関で融資を断られたとしても、必ずしも審査に落ちるということはありません。 融資限度額はいくらですか? 融資限度額は金融機関によって異なり、1億円以上の金融機関も珍しくありません。ただし、不動産担保ローンの融資限度額は、個人の信用力や担保不動産の価値に左右されるので、実際に金融機関に問い合わせてみないと正確な金額はわかりません。 関連記事はこちら不動産担保ローンのよくあるご相談5選 まとめ 不動産担保ローンには、一般的な無担保ローンと比較して大きな資金を、低金利かつ長期間にわたって借りることができます。一方で、融資までには時間と費用がかかるほか、万が一返済不能となったときには不動産を失う恐れがあります。こうしたメリットとデメリットを踏まえて、不動産担保ローンの利用を検討しましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "住宅ローンを借りていても融資を受けられますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "担保不動産に第二順位の抵当権を設定することで、融資を受けられる可能性があります。ただし、住宅ローンが多く残っている場合は、担保余力がないとみなされ融資を受けられません。" } }, { "@type": "Question", "name": "本人以外の所有不動産を担保にして融資を受けられますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"不動産の所有者が親族、法人の場合は会社の役員等の特定の条件で融資を受けられる可能性があります。ただし、不動産の所有者は、融資の物上保証人や連帯保証人になることを求められます。" } }, { "@type": "Question", "name": "共有名義の不動産を担保にして融資を受けられますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"所有者全員の同意があれば、融資を受けられる可能性があります。ただし、不動産を共有する人全員が連帯保証人になることを求められます。" } }, { "@type": "Question", "name": "信用情報に不安がありますが、融資を受けられますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"信用情報に問題があっても、融資を受けられる可能性はあります。債務者へ融資をするかしないかは金融機関によって異なり、特定の金融機関で融資を断られたとしても、必ずしも審査に落ちるということはありません。" } }, { "@type": "Question", "name": "融資限度額はいくらですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"融資限度額は金融機関によって異なり、1億円以上の金融機関も珍しくありません。ただし、不動産担保ローンの融資限度額は、個人の信用力や担保不動産の価値に左右されるので、実際に金融機関に問い合わせてみないと正確な金額はわかりません。" }} ] } 無料相談してみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ ローン金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限が表示されることがほとんどです。このような表示は、個別のローンごとに適用される金利が変わることを表しています。当然、ローンを借り入れ...記事を読む

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