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「お金」の記事一覧

  • 相続時の不動産評価方法は?評価に関する特例も併せて解説

    相続時の不動産評価方法は?評価に関する特例も併せて解説

    不動産の評価は一物五価とも呼ばれ、同じ不動産でも指標によって評価額は変化します。そして、相続の際の不動産評価額のことを、「相続税評価額」と言います。では、この相続税評価額はどのように算出すればよいのでしょうか。 この記事では、相続税評価額や特例について解説します。 相続税評価額の評価方法 不動産の評価額を考えたときに、最初にイメージするのは、おそらく実勢価格でしょう。実勢価格とは、実際に市場で取引される土地や建物の価格を指します。一方で、不動産の相続税評価額は、実勢価格とは異なり、以下のように算出されます。 土地 土地の相続税評価額の算出方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。 まず、路線価方式とは、路線価が定められている地域の評価方法です。路線価は、道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価格のことで、国税庁が毎年7月に公表しています。なお、公表は7月ですが、あくまで基準日は毎年1月1日です。 次に、倍率方式とは、都市郊外など路線価が定められていない地域の評価方法です。その年の固定資産税評価額に、一定の倍率を乗じて計算します。厳密に言うと方式は異なるのですが、路線価方式、倍率方式ともに、評価額は公示価格の8割程度が目安となります。 関連記事はこちら公示価格とは?実勢価格との違いと活用法をわかりやすく解説 建物 建物の評価額の算出方法は、「固定資産税評価額×1.0」です。つまり、建物の評価額は固定資産税評価額と同じです。 固定資産税評価額は、固定資産税を計算する際の基準となる価格のことで、公示価格の7割程度が目安となります。固定資産税評価額を調べるには、固定資産税の納税通知書を確認するか、自治体の担当部署に問い合わせるといいでしょう。 その他の不動産 土地や建物でも、借地権がついていたり、賃貸に出していたりする不動産は、権利関係に応じて評価額が調整されます。たとえば、借地権が設定されているマンションやアパートなどの貸宅地や貸家は、通常の評価額から借地権割合や借家権割合などが調整され、評価額は下がります。 出典)国税庁「No.4602 土地家屋の評価」 相続税評価の評価事例 ここでは、相続税における土地家屋の評価事例を確認しましょう。ここで紹介するのは以下2つの事例です。 戸建(自用地)を路線価方式で求める場合 マンション(自用地)を路線価方式で求める場合 戸建(自用地)を路線価方式で求める場合 まずは自用地の戸建における、評価事例です。土地の評価額を求める計算式は以下のように計算します。 土地の評価額:路線価(㎡) × 面積 例えば、1㎡あたりの路線価が3万円、土地の面積が150㎡だった場合、450万円(3万円×150㎡)が評価額となります。路線価を求める際には奥行の長さにより評価額を補正する「奥行価格補正率」などありますが、ここでは、補正はないものとします。 次に、家屋の評価額を求める計算式は以下のように計算します。 家屋の評価額:固定資産税評価額 × 1.0 例えば、固定資産税評価額が1,000万円の家屋だった場合、1,000万円(1,000万円×1.0)が評価額となります。上記を足し合わせると、土地450万円、家屋が1,000万円で合計1,450万円が評価額となる計算です。 マンション(自用地)を路線価方式で求める場合 マンションについては、戸建と同じ自用地であったとしても、若干計算方法が異なる点に注意が必要です。土地の評価額は以下のように計算します。 土地の評価額:路線価(㎡) × 面積 × 敷地権割合 について、敷地全体の価格に区分所有する建物に係る敷地権の割合を掛けて算出する必要があります。なお、敷地権の割合については、登記簿謄本で確認できます。 例えば、1㎡あたりの路線価が3万円、土地の面積が10,000㎡、敷地権割合が100,000分の5,000だった場合、1,500万円(3万円/㎡×10,000㎡×5,000/100,000)が評価額となります。 建物については、戸建と同様に「固定資産税評価額×1.0」で求めます。つまり、建物の固定資産税評価額が1,000万円だった場合、評価額は1,000万円×1.0=1,000万円です。上記を足し合わせると、土地1,500万円、建物1,000万円で2,500万円が評価額となる計算です。 相続税評価額は不動産利用状況に応じて変わる 評価額は利用状況によって変わることを前述しましたが、評価の異なる土地の利用状況には、次のようなものがあります。 借地 貸宅地 貸家建付地 農地 私道 貸駐車場 借地 借地とは、他人から借りている土地のことを言います。また、土地を借りて、その土地の上に建物を建てた時には、建物の所有者には土地を使用する「借地権」という権利があり、この借地権にも相続税が発生します。しかし、借地にはさまざまな制約があるため、その権利に応じて一定の割合で減額される仕組みになっています。 借地の評価額は、路線価方式によって算出した評価額に、一定の借地権割合を乗じた価格が借地権の評価額となります。借地権割合は、路線価図や評価倍率表に割合に応じてアルファベットで表示されており、国税庁のホームページで確認できます。 たとえば、路線価20万円、面積100㎡、借地権割合B(80%)の借地の評価額は、1,600万円(20万円×100㎡×80%)となります。 貸宅地 建物を建てて使用するための土地として、他人に貸している土地のことを貸宅地と言います。貸宅地では「建物を建てる土地」「貸している土地」である必要があるため、駐車場などの建物が建っていない土地や、無償で貸している場合は該当しません。 貸宅地は、賃貸借契約を貸主側から解除することができないほか、建物に人が住んでいると立ち退き料の支払いが必要となるなど、貸主には負担が大きくなります。そのため、自分で土地を利用するよりも評価額が低くなる仕組みとなっています。 貸宅地は、土地の評価額に1から借地権割合を減じた価格が評価額となります。たとえば、上記の借地の条件である路線価20万円、面積100㎡、借地権割合B(80%)の土地の場合は、400万円(20万円×100㎡×(1-80%))となります。 貸家建付地 土地の上に、アパートやマンションといった賃貸用の物件を建てた土地を「貸家建付地」と言います。貸宅地と似ていますが、貸宅地が建物を建てたのが他人であるのに対し、貸家建付地は自分で建物を建てて他人に貸しているという違いがあります。 貸家建付地は、賃貸物件に住む人に借家権などの権利があるため、貸主の権利が制限されます。そのため、土地の評価額も低くなるように設定されています。貸家建付地の評価額の計算方法は次のとおりです。 貸家建付地の評価額=土地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) 借家権割合は、全国一律で30%と定められており、賃貸割合とは入居率のことですが、部屋数ではなく床面積での計算になります。たとえば、1,000万円の土地で借地権割合90%・賃貸割合80%の場合は次のとおりです。 貸家建付地の評価額=1,000万円×(1-90%×30%×80%)=784万円 農地 継続的な耕作のための土地を農地と言います。農地は、宅地に転用できないなど制限が多い土地でもあり、都市計画によって地価も大きく異なるため、土地の評価額が低くなるように考慮されています。 農地の評価額を計算するうえでは、次の4つの区分に分けて、それぞれの評価方法で評価する必要があります。 純農地…倍率方式 中間農地…倍率方式 市街地農地…宅地比準方式または倍率方式 市街地周辺農地…市街地農地である場合の評価額の80% 宅地比準方式とは、その農地が宅地である場合の1平方メートル当たりの価額からその農地を宅地に転用する場合にかかる通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額を控除した金額に、その農地の地積を乗じて計算した金額により評価する方法をいいます。 (宅地である場合の価額* - 宅地に転用する場合にかかる造成費*) × 地積 ※1㎡あたり 私道 所有地の一部が私道になっている場合、その利用状況に応じて私道の評価方法が異なります。利用状況は次のように分かれます。 不特定多数の人が利用する公共としての私道 近隣住民などの特定の人のみが利用する私道 所有者のみが利用する私道 公共として利用している場合の私道は評価しません。また、特定の人のみが利用する場合は、その宅地が私道でないものとして路線価方式又は倍率方式によって評価した価額の30%相当額となります。所有者のみが利用する場合は、宅地の一部と見なされるため評価額の減額がないので注意しましょう。 貸駐車場 貸駐車場の場合、運営方法によっても評価額が異なります。一般的に運営方法としては次のような方法があります。 自分で運営 運営会社に土地を貸している 自分で運営する貸駐車場の場合、とくに減額措置はありません。この場合、駐車場の状態が舗装されても、舗装されていない青空駐車場であっても評価額に変わりはありません。 一方、運営会社などに土地を貸している場合、貸地となり貸主の権利が制限されるため減額される仕組みになります。貸している場合の評価額は次のとおりです。 貸駐車場の評価額=土地の評価額×(1-借地権の残存期間に応じた割合) 借地権の残存期間に応じた割合は次のとおりです。 借地権割合 残存期間借地権割合 5年以下2.5% 5年超10年以下5% 10年超15年以下7.5% 15年超10% 土地の相続税評価額を下げる「小規模宅地等の特例」 小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた土地や事業を営んでいた土地などを相続したときに、一定の要件を満たすことで、その土地の評価額を最大80%減額できる特例です。本特例によって評価額が下がれば、相続税を節税できます。 適用対象となる宅地の種類と評価額の減額割合、限度面積は以下のとおりです。 特定居住用宅地:80%減額(330㎡まで) 特定事業用宅地:80%減額(400㎡まで) 貸付事業用宅地:50%減額(200㎡まで) たとえば、実家の土地(特定居住用宅地)を400㎡相続し、その土地の評価額が3,000万円だった場合、減額後の評価額は以下のように計算します。 3,000万円×(1-330㎡÷400㎡×80%)=1,020万円 特定居住用宅地の限度面積は330㎡であるため、相続した400㎡のうち、330㎡について評価額が減額されます。 本特例の適用を受けるには、相続税の申告書に特例を受けようとする旨を記載した上で、「小規模宅地等に係る計算の明細書」「遺産分割協議書の写し」などの一定の書類を添付する必要があります。 自身で手続きをするのが難しい場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。 出典)国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」 まとめ 相続した不動産は、路線価や固定資産評価額などで評価されます。「小規模宅地等の特例」の適用を受ければ評価額が減額されるため、相続税の節税が可能です。不動産の評価方法や税制特例について、自身で判断するのが難しい場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産評価の方法と不動産価値の考え方 不動産は用いられる指標や利用状況などによって、算出される価値が異なるという特徴を持ちます。また、戸建てとマンションでも資産価値の考え方は異なる場合があります。 この記事では、不動産評価におけ...記事を読む

  • 相続で取得した不動産に不動産取得税はかかる?仕組みや注意点について解説

    相続した不動産に不動産取得税がかかるケースとは?

    自宅の購入など、不動産を取得したときには不動産取得税がかかります。では、相続で不動産を取得した場合には、不動産取得税はかかるのでしょうか。 相続により不動産を取得した場合、原則不動産取得税はかかりません。しかし、相続時にも贈与とみなされる場合には、不動産取得税がかかるケースもあります。そのため、不動産を相続する前に、課税の仕組みや注意点について理解しておくことが大切です。 この記事では、不動産取得税の仕組みや相続時の不動産取得税について解説します。 不動産取得税とは 不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得したときに、不動産を取得した人に対して課税される税金です。不動産を購入したときはもちろん、家屋の建築などで取得した場合にもかかります。なお、有償・無償の別、登記の有無にかかわらず課税されます。 不動産取得税の税額は、取得した不動産の価格(課税標準額)に定められた税率を乗じて算出されます。課税標準額は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格です。不動産の購入価格や工事建築費ではないので注意しましょう。税率は、2024年3月31日まで土地・家屋(住宅)は3%、住宅以外の不動産は4%です。 出典)東京都主税局「不動産取得税」 相続時に不動産取得税がかからない理由 相続で不動産を取得したときに不動産取得税はかからない理由は、売買や贈与等とは異なり、あくまで「形式的な所有権の移動」とみなされるためです。後述するような、相続時もしくは相続に関連して不動産を取得する場合でも、贈与とみなされると不動産取得税がかかります。 不動産取得税がかかるケース①:死因贈与 死因贈与とは、財産の所有者(贈与者)が生前のうちに、契約で財産を渡す相手(受贈者)を決めることです。贈与者の死亡を条件として、受贈者に財産を贈与する契約を締結します。 遺言により財産を譲り渡す「遺贈」と似ていますが、死因贈与は贈与者と受贈者の間で契約が必要です。死因贈与は相続には含まれません。そのため、死因贈与で不動産を取得した場合も不動産取得税がかかります。 出典)山形県「不動産を相続したときには、不動産取得税は課税されますか?」 不動産取得税がかかるケース②:特定遺贈 相続人が残した遺言書によって財産を引き継ぐ時も、不動産取得税がかかることがあります。遺言書で財産を残す方法には、「包括遺贈」と「特定遺贈」の2つがあります。 包括遺贈:遺産の全部または一定割合を残す方法 特定遺贈:遺産のうち具体的な資産を指定して残す方法 包括遺贈では、「Aさんに遺産の〇%を遺贈する」のように財産の割合を示しますが、どの財産を残すかは明確にしません。一方、特定遺贈は「Bさんに自宅を遺贈する」のように、どの財産を残すかを具体的に指定します。 包括遺贈では、相続人か相続人以外かを問わず不動産取得税はかかりません。一方で、特定遺贈で法定相続人以外の人が不動産を相続する場合は、課税されます。 出典)東京都主税局「Q23 遺贈により不動産を取得した場合、不動産取得税は非課税になりますか。」 不動産取得税がかかるケース③:相続時精算課税制度 相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の両親や祖父母から、20歳以上の子または孫に財産の贈与するときに利用できる贈与税の制度です。 相続時精算課税制度を利用すると、同一の贈与者からの贈与であれば、総額2,500万円まで贈与税が課税されません。また、限度額に達するまでは何回でも控除できます。ただし、相続時には、相続時精算課税制度の贈与財産と他の相続財産を合計して相続税を計算する必要があります。 相続時精算課税制度の適用を受け、贈与として不動産を取得した場合は不動産取得税がかかります。 出典)東京都主税局「Q3 贈与税において、相続時精算課税制度の適用を受けたのですが不動産取得税は課税されますか。」 関連記事はこちら相続時精算課税制度とは?メリット・デメリットを紹介 まとめ 原則として相続によって不動産を取得した場合は、不動産取得税は課税されません。ただし、死亡を原因とした死因贈与や遺贈、相続時精算課税制度によって取得した場合は課税されます。 両親などから不動産を引き継ぐ予定がある場合、不動産取得税のほかに相続税、贈与税なども考慮する必要があります。自身で最適なタイミングを判断するのが難しい場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。 出典)東京都主税局「Q22 相続により不動産を取得した場合、不動産取得税は非課税になりますか。」 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 相続不動産の売却にかかる税金とその税制特例について解説 相続で取得した不動産に住む予定がない場合は、売却を検討することもあるでしょう。相続不動産を売却して現金化すれば、複数の相続人がいても財産を分けやすくなります。 相続不動産の売却には税金がかか...記事を読む

    2021.06.09相続税金
  • 相続不動産の売却にかかる税金とその税制特例について解説

    相続不動産の売却にかかる税金とその税制特例について解説

    相続で取得した不動産に住む予定がない場合は、売却を検討することもあるでしょう。相続不動産を売却して現金化すれば、複数の相続人がいても財産を分けやすくなります。 相続不動産の売却には税金がかかりますが、税制特例を利用すれば節税できるかもしれません。この記事では、相続不動産の売却にかかる税金と税制特例、売却時の注意点について解説します。 相続不動産の売却でかかる税金の種類 相続不動産の売却でかかる税金は、相続時に支払う「登録免許税」と売却時に支払う「印紙税」「譲渡所得税」の3つです。それぞれの内容を確認していきましょう。 登録免許税 登録免許税とは、相続登記の際にかかる税金です。相続登記では、相続した不動産の所有権を被相続人から相続人へ変更する手続きをします。被相続人の名義のままでは不動産を売却できないため、売却前に所有権を相続人へ変更しておく必要があります。 登録免許税の税額は「不動産価格×0.4%(1,000分の4)」です。不動産価格は、市町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格となります。 登録免許税は、原則として現金で法務局に納付しますが、オンライン申請なら電子納付も可能です。なお、相続登記を自身で行わずに司法書士に依頼する場合、報酬も含めて司法書士に支払うのが一般的です。 出典)国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」 印紙税 印紙税とは、不動産売買契約書に貼付する印紙のことです。契約金額によって、印紙税額は以下のように異なります。 印紙税額一覧表 契約金額 印紙税額 軽減税額 100万円超 500万円以下2,000円1,000円 500万円超 1,000万円以下10,000円5,000円 1,000万円超 5,000万円以下20,000円10,000円 5,000万円超 1億円以下60,000円30,000円 1億円超 5億円以下100,000円60,000円 ※2014年(平成26年)4月1日~2022年(令和4年)3月31日に作成される「不動産の譲渡に関する契約書」については税額が軽減されています。 たとえば、相続不動産を3,000万円で売却する場合、印紙税額は2万円(軽減税額1万円)となります。 出典)国税庁「印紙税額一覧表(令和2年(2020年)4月現在)」 譲渡所得税 譲渡所得税とは、不動産の売却益(譲渡所得)に対して課税される税金です。相続不動産を売却して譲渡所得が生じる場合は、所得税や住民税を納める必要があります。譲渡所得は以下の計算式で求められます。 譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額 譲渡価額は、不動産の売却代金です。 取得費は、売却する不動産を取得するためにかかった費用のことです。相続不動産の場合、被相続人がその不動産を買い入れたときの購入代金や仲介手数料などの合計額となります。 建物については、減価償却費を控除した後の金額です。また、相続で払った登記費用も取得費に含まれます。取得費がわからない場合は、売却代金の5%相当額を取得費とすることも可能です。 譲渡費用には、相続不動産を売却するときに払う仲介手数料などが含まれます。特別控除額は、税制特例が適用されるときに控除できる金額です(後ほど詳しく説明します)。 譲渡所得の税額は、譲渡所得に税率をかけて計算します。税率は、不動産の所有期間に応じて以下のように異なります。 長期譲渡所得:20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%) 短期譲渡所得:39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%) ※復興特別所得税の税率は2.1%で、これを所得税に乗じた値となります 不動産を売却した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。相続不動産の場合、被相続人の取得時期がそのまま相続人に引き継がれるため、被相続人の取得日から所有期間を判定します。 出典) ・国税庁「土地や建物を売ったとき」 ・国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」 相続不動産を売却するときの税制特例 相続不動産の売却では、税制特例を利用すると譲渡所得税の節税になります。ここでは、相続不動産の売却で適用される税制特例を3つ紹介します。税制特例の適用を受けるには確定申告が必要です。 取得費加算の特例 「取得費加算の特例」とは、売却する相続不動産に対する相続税を取得費に加算できる特例です。取得費が増えると課税所得が減るので、譲渡所得税の節税になります。 本特例の適用を受けるには、相続税申告期限の翌日以降3年以内(相続開始から3年10ヵ月以内)に売却する必要があります。 出典)国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」 相続空き家の3,000万円特別控除 「相続空き家の3,000万円特別控除」とは、相続した空き家を売却するときに、一定の要件を満たすと最高3,000万円の特別控除が適用される特例です。課税所得を大きく減らせるので、譲渡所得税の節税になります。 「1981年(昭和56年)5月31日以前に建築」「マンション(区分所有建物)不可」などの条件があるため、適用対象となる建物は限定されます。また、取得費加算の特例とは併用できない点にも注意が必要です。 出典)国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」 居住用財産の3,000万円特別控除 「居住用財産の3,000万円特別控除」とは、マイホームを売却したときに、一定の要件を満たすと最高3000万円の特別控除が適用される特例です。相続した不動産に相続人が居住していた場合は、本特例の適用を受けられます。 以前に住んでいた場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。本特例は、取得費加算の特例との併用が可能です。 出典)国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」 相続不動産の売却における注意点 相続不動産の売却における注意点は以下2つです。 確定申告が必要 相続不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、確定申告をして譲渡所得税を納めなくてはなりません。原則として、相続不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日が確定申告期間となります。 期限までに確定申告をしないと無申告加算税や延滞税が課される可能性があるので、手続きを忘れないようにしましょう。 なお、税制特例を考慮して計算した結果、譲渡所得がマイナスとなって譲渡所得税がかからない場合も確定申告は必要です。たとえ要件を満たしていても、確定申告をしないと税制特例は適用されないので注意が必要です。 分割方法によって支払う税金が変わる 相続不動産の分割方法は、「代償分割」と「換価分割」の2つがあります。 代償分割:特定の相続人が不動産を相続・売却し、他の相続人に代償金を支払う方法 換価分割:相続人全員で不動産を相続・売却し、その売却代金を分割する方法 どちらを選択するかによって、譲渡所得税額が変わることがあり、各種税金の精算方法も変わってきます。税理士などの専門家に相談した上で、どちらを選ぶか判断するといいでしょう。 相続不動産売却後の確定申告の流れ 上記で説明したとおり、相続不動産を売却して利益が出た場合は、確定申告しなければなりません。ここでは確定申告の流れをご紹介します。 STEP1 必要書類の用意 まずは、確定申告に必要な書類の用意をします。基本的な必要書類は以下のとおりです。 確定申告書B様式 申告書第三表(分離課税用) 譲渡所得の内訳書 登記事項証明書 不動産売買契約書(またはその写し) 各種手数料の領収書や納税を証明する書類(またはその写し) 上記の他、各種特例の適用を受ける場合は、特例に応じた書類を別途用意する必要があります。 STEP2 譲渡所得を計算する 次に、譲渡所得を計算します。計算式は以下のとおりです。 譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額 STEP3 申告書類の記入 次に、申告書類の記入をします。申告書類の記入については、税務署の窓口や電話で相談すると、書き方を教えてもらうことができます。また、どうしても難しい場合は、税理士などに依頼することも検討してみましょう。 STEP4 税務署に書類を提出する・e-Taxで申告する 申告書類の記入を終えたら、税務署に提出しましょう。e-Taxを利用することで、税務署に書類を持参したり郵送しなくても、インターネットを通して確定申告が可能です。 出典)国税庁 e-Taxホームページ まとめ 相続不動産の売却では税金がかかりますが、税制特例をうまく利用すれば節税できる可能性があります。自分で確定申告をしたり、特例が適用されるか判断したりするのが難しい場合は、税理士や不動産会社などの専門家に相談しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住まいの終活とは?3つの選択肢と準備しておくべきこと 長寿化に伴い、自身の老いや死に関するさまざまな事柄に備える「終活」が注目されるようになりました。終活の中でも「住まいをどうするか」は大きなテーマの一つではないでしょうか。住まいが持ち家の場合...記事を読む

    2021.06.02相続税金
  • 持ち家の場合、老後資金はいくら必要?資金不足の対処方法も紹介

    夫婦の老後資金はいくら必要?足りない時の対処法も紹介

    「人生100年時代」や「老後2,000万円問題」などに起因して、「老後資金」という言葉が注目を集めています。老後破産に陥らないためにも、夫婦で必要な老後資金を把握し、なるべく早くから準備しておくことが大切です。 この記事では、夫婦の老後資金の目安や、足りないときの対処法について紹介します。 そもそも老後資金とは? そもそも「老後資金」という言葉に明確な定義はありません。しかし、一般的には、定年後にかかる費用を全て含めた資金を指します。定年後にかかる費用すべてなので、日々の生活費や医療費だけでなく、趣味のための娯楽費なども含みます。 老後はこれらの定常的にかかる費用に加え、事故や病気などで、まとまった資金が必要になることもあるので、ゆとりをもった老後資金を確保しておく必要があります。 老後資金はいくら必要? 「老後資金がいくら必要か?」という問いに対し、多くの人が2,000万円くらいというイメージを持つかもしれません。これは、2019年に話題になった「老後資金2,000万円問題」のためでしょう。 この「老後資金2,000万円問題」で計算の際に活用されたのが、総務省「家計調査」の高齢無職世帯の家計(夫65歳以上、妻60歳以上)です。この統計を基に、改めて必要な生活費を考えてみましょう。 「2,000万円」の計算根拠 まずは、前述の「2,000万円」という数値がどのように算出されたのかを確認しましょう。「老後資金2,000万円問題」が話題になったのは、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書が公表されたためです。 この報告書を見ると、「(前略)高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。」という記述がされており、その後述として「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。」と書かれています。 そして、この一部が切り取られて「老後資金2,000万円問題」が話題になったと考えられます。しかし、果たしてこれは根拠として正しいのでしょうか。よくよく資料を見てみると、「毎月の赤字額は約5万円」という根拠は、「第21回市場ワーキング・グループ 厚生労働省資料」という出典元です。そして、この資料を確認すると、下図のとおり、出所は総務省「家計調査」(2017年)ということが分かります。 出典)金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)議事次第 2017年のデータだけを見ると、確からしい数値にも思えます。一方で、他の年次のデータを確認しても同じ結果が得られるでしょうか。 2019年データの計算結果 まずは、2019年の「家計調査年報(家計収支編)」のデータを見てみましょう。夫婦無職世帯の毎月の実収入と支出の内訳は下図のとおりです。 出典)総務省「家計調査年報(家計収支編)」2019年 上図を確認すると、毎月の支出が270,928円であるのに対し、毎月の実収入は237,659円のため、毎月の不足額は33,269円です。仮に20と30年分の累計額を計算すると、800万円~1,200万円です。 最新データの計算結果 さらに、執筆(2023年9月)時点で最新の総務省「家計調査」(2022年)を確認すると、夫婦無職世帯の毎月の実収入と支出の内訳は下図のとおりです。 出典)総務省「家計調査年報(家計収支編)」2022年 上図を確認すると、毎月の支出が268,507円であるのに対し、毎月の実収入は246,237円のため、毎月の不足額は22,270円です。仮に20と30年分の累計額を計算すると、530万円~約800万円です。 老後資金を心配する必要はない? 直近のデータで再度計算を行ったことで、「老後資金2,000万円問題」が話題になって以降の状況は、大幅に改善されていることが分かりました。 では、以前ほど老後資金を心配する必要がなくなったかというと、必ずしもそうとは言い切れません。家計調査の費用はあくまで基本的な生活費であり、実際に必要になる費用は高くなる恐れがあるからです。 住居費は状況によって大きく変動する 家計調査の支出に占める住居費がかなり少なく、高齢世帯の多くが持ち家であることが要因であると考えられます。持ち家であれば住居費が少額で済むため、平均額としてかなり低くなります。 なお、この住居費には住宅ローンの返済が含まれていません。そのため、賃貸に居住している世帯や、住宅ローンの返済が老後も続く世帯では、上記平均住居費よりも住居費が高くなります。 また、自宅がマンションの場合は、管理費や修繕積立金、固定資産税がかかるので、住宅ローンを完済していても上記平均住居費より高くなります。 ゆとりある老後生活には更に費用が必要になる 生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和4年度)」によると、夫婦2人で老後生活を送るうえでの「ゆとりある老後生活費」の回答(対象:18~69歳)の平均額は月37.9万円です。老後資金に「旅行やレジャー」「趣味や教養」「日常生活費の充実」などが上乗せされた金額です。 仮にこの37.9万円と家計調査の実収入を比べてみると、月13.3万円のマイナスであり、30年分の累計額を計算すると、4,788万円ものマイナスです。これを実現するには、老後資金を手厚く準備することが必要です。 出典)生命保険文化センター 令和4年度「生活保障に関する調査」 ライフイベント費も考慮しなければならない 老後には基本的な生活費以外にも次のようなライフイベント費がかかります。 <老後のライフイベント費> 住宅のリフォームや建替え費用 車の買替え費用 家具・家電の買替え費用 交際費・慶弔費用 医療費・介護費用 葬儀費用 例えば、介護費用の平均額は在宅・施設混合のデータで約582万円(一時費用74.4万円、毎月8.3万円、要介護期間61.1カ月)です。有料老人ホーム等への入所を考えている場合はさらに費用がかかり、在宅介護だけに限ると約358万円(一時費用73.3万円、毎月4.8万円、要介護期間59.4カ月)です。 このように、老後は基本的な生活費以外にもまとまった資金が必要になるので、こうした費用も見積もったうえで準備をしなければなりません。 出典)生命保険文化センター「2021(令和3)年度「生命保険に関する実態調査」」 関連記事はこちら老後の一人暮らしに生活費はいくら必要? 老後に必要な資金を調べる方法 老後にいくら必要なのかは世帯によって異なります。そのため、自分の家計ではどれくらいの資金が必要なのか順を追って確認しましょう。 家計収入を把握する 家計支出を把握する 家計のキャッシュフロー表を作る 1.家計収入を把握する 老後は公的年金が主な収入源という家庭が多いのではないでしょうか。年金額は何年支払ったかだけでなく、その支払額や国民年金か厚生年金なのか等によっても個人差があります。公的年金がいくらもらえるかについては、後述します。 公的年金の他に事業やアルバイトによる収入がある人は、その見込み収入額を踏まえた上で世帯収入がいくらになるのか把握しましょう。 2.家計支出を把握する 月々の支出額を明確にし、各費用にいくら使っているか把握しましょう。食費や日用品費のような変動費は、一定期間の平均値を取って試算するのがおすすめです。その他にも、不定期で発生する住居のメンテナンス費用なども一定額計上しておくことで、より正確な費用を見積もることができます。 なお、総務省の家計調査報告では平均23万円程度*という結果が出ていますが、家計支出は現役世代の生活水準などによって異なるので、あくまで参考程度にしたほうが無難です。 出典)総務省 「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)表1 二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯の家計収支―2020年―」 3.家計のキャッシュフロー表を作る 毎月の収入や支出を計算したら、数十年先までの収支をシミュレーションしてみましょう。エクセルで自作したり、ノートなどにまとめたりするのが大変であれば、日本FP協会が公開している「家計のキャッシュフロー表*」などを利用すると、数値を入力するだけで簡単に作成できます。 出典)日本FP協会 便利ツールで家計をチェック Appendix:簡易的な試算方法をご紹介 老後に必要な資金の目安は、次のように試算することもできます。 (老後の基本的な生活費-年金予想額)×(100歳-働く年齢)+ライフイベント費 例えば、老後の基本的な生活費が年間300万円、公的年金が年間240万円、65歳を定年として、ライフイベントに1,500万円を見積もった場合は下記のように算出されます。 (300万円-240万円)×(100歳-65歳)+1,500万円=3,600万円 まとめ 老後の生活費は、持ち家でも月4万円程度不足する可能性があることがわかりました。ただし、あくまでも平均額であるため、まずは自身に必要な生活費を把握することが大切です。この記事で紹介した内容を参考に、老後資金の準備を始めましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老後に賃貸と持ち家ではどう違う?メリット・デメリットを解説 賃貸暮らしをしていると、老後に向けて自宅を購入すべきか悩むのではないでしょうか。賃貸か持ち家かによって、老後の生活においてそれぞれメリット・デメリットがあるので、ライフスタイルに応じてどちら...記事を読む

    2021.05.26老後のお金
  • 住宅ローンを払い終えたらやること

    住宅ローン完済後の手続きについて解説

    住宅ローンの借り入れ時は、不動産会社のサポートもあり、手続きを滞りなく進めることができる人が多いでしょう。一方で、住宅ローンを約定返済で完済した後の手続きは、不動産会社のサポートがないため、理解していない人も多いのではないでしょうか。住宅ローン完済後の手続きをしないと、自宅売却や資産活用の際に不都合が生じることがあるため注意が必要です。 この記事では、住宅ローン完済の方法や、完済後の手続きについて詳しく解説します。 住宅ローン完済の方法 住宅ローンを完済する時は、「約定返済で完済」するか「繰上返済で完済」するかの2種類に大別されます。住宅ローンを約定返済で完済する場合は、特に手続きは必要ありません。一方で、住宅ローンを繰上返済で完済する場合は、原則として金融機関の窓口で手続きをする必要があります。 繰上返済で完済する場合は、契約者本人が金融機関の窓口に返済依頼書を提出し、返済用口座に返済資金を入金するのが一般的な流れです。ただし、インターネットやアプリ上で手続きが可能な金融機関もあります。 借入残高のほか、完済日当日までの未払利息、金融機関所定の手数料も必要です。返済シミュレーションや金融機関の窓口で確認をし、必要な金額を把握しておきましょう。 なお、住宅ローンの完済手続きはすぐに完了するわけではありません。通常は、完済手続きの完了まで数週間から1カ月程度かかるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。まずは金融機関に問い合わせて、手続きの流れや必要書類を確認することから始めましょう。 住宅ローン完済後の手続き 住宅ローン完済後の手続きは、「抵当権の抹消手続き」と「火災保険の質権設定の解除」の大きく2種類に分かれます。 抵当権の抹消手続き 住宅ローンを利用する際、自宅に抵当権を設定する登記手続きが行われます。この抵当権は、住宅ローンを完済しても、自動的に抹消されるわけではないので、抹消手続きが必要です。 一方で、抵当権が設定されたままでも、ただ居住するだけであれば何か不都合が生じるわけではありません。しかし、不動産を売却したり、相続が発生したり、不動産を担保に融資を受けたりする場合は、設定されている抵当権の抹消手続きをしなければなりません。 そのため、住宅ローンを完済したタイミングで抵当権の抹消手続きを行っておくと良いでしょう。抵当権の抹消手続きは、自身で必要な書類を準備して手続きを行うほか、司法書士などの専門家に手続きを依頼することもできます。抵当権の抹消手続きの流れは、後ほど詳しく説明します。 火災保険の質権設定の解除 火災保険に質権設定をすると、融資をした金融機関が契約の被保険者や、ほかの債権者に優先して保険金を取得できるようになります。住宅ローンを借りる際、火災保険の質権設定は必ずしも行われるわけではありませんが、保険金請求権や返還保険料請求権に対して質権を設定されることもあります。 仮に住宅ローンの担保となっている建物が火災で全焼した場合、金融機関は抵当権を実行できなくなります。このような理由から、建物が火災で全焼しても金融機関が貸付金を回収できるように、住宅ローンを組むときに火災保険の質権設定がされます。 火災保険に質権設定がされていると、住宅ローン完済後に金融機関から「保険証券」「質権消滅承認請求書」などの書類が送付されるので、保険会社に連絡して質権消滅手続きを行います。不明点があれば、金融機関や保険会社に相談しましょう。 なお、火災保険が満期を迎えた後は、「更新」「乗り換え」「解約」の3つの選択肢がります。火災や自然災害で建物が被害を受けると、生活を立て直すためにまとまったお金がかかります。基本的に解約は避け、更新または乗り換えを検討するのがいいでしょう。 自身で抵当権の抹消手続きをする流れ ここでは、抵当権の抹消手続きの流れや必要書類、費用などについて詳しく説明します。 金融機関から完済書類を受領 管轄法務局を確認 抵当権抹消登記申請書の取得・記入 必要書類の準備 法務局へ申請 住宅ローンを完済後、金融機関から抵当権抹消に関する書類が送付されます。抵当権の抹消手続きは法務局で行う必要があるため、物件所在地の管轄の法務局を調べましょう。法務局のホームページから抵当権抹消登記申請書をダウンロードして印刷し、必要事項を記入します。記入内容に誤りがあると、手続き完了までに時間がかかるので注意しましょう。 必要書類が準備できたら、法務局に持参して申請を行います。無事に受理され、申請内容に問題がなければ手続きは完了です。申請内容に不備があった場合は法務局から連絡が来るので、指示に従って補正申請を行いましょう。 抵当権の抹消手続きに必要な書類 金融機関から送付される抵当権の抹消手続きに必要な書類は以下のとおりです。 登記済証(登記識別情報) 弁済証書/抵当権解除証書 抵当権抹消の委任状 金融機関の資格証明書 登記済証は、抵当権設定時に抵当権者(金融機関)に交付される書類です。法務局がオンライン化された後に発行された場合は登記識別情報になります。登記済証は赤いゴム印が押されており、登記識別情報はパスワード部分にシールが貼られています。 弁済証書/抵当権解除証書は、住宅ローンの返済が終了したことを証明する書類で、金融機関によって名称が異なります。抵当権抹消の委任状は、金融機関が物件所有者に抵当権の抹消手続きを委任するための書類です。代理人欄が空欄になっているので、申請者の署名・捺印が必要です。 金融機関の資格証明書は、住宅ローンを借りていた金融機関の登記簿です。「代表者事項証明書」「登記事項証明書」など、金融機関によって名称が異なります。金融機関の資格証明書は、有効期限が3カ月しかないので注意しましょう。 自分で抵当権の抹消手続きを行う場合は、上記書類のほかに本人確認書類や印鑑証明書、抵当権抹消登記申請書の作成なども必要です。 抵当権の抹消手続きにかかる費用 抵当権の抹消手続きでは、「登録免許税」と「登記取得費用」がかかります。登録免許税は、登記申請の際にかかる税金で、1つの不動産につき1,000円かかります。たとえば、一戸建ての場合は土地と建物それぞれ1,000円ずつかかるため、合計2,000円*です。 ※土地が一筆の場合 また、抵当権を抹消する不動産の登記内容の確認や、手続き後に抵当権抹消が行われたかを確認するための登記取得費用も必要です。物件種類や取得方法によって異なりますが、一通につき500円程度かかります。 司法書士に抵当権の抹消手続きを依頼する 抵当権の抹消手続きは前述のとおり、自身で行うことが可能ですが、手続きが不安だったり、手間に思ったりすることもあるでしょう。そのような時には、司法書士に手続きを依頼すると良いでしょう。 専門家である司法書士に依頼すれば、自身で行う費用に加えて司法書士報酬が発生しますが、確実に手続きをしてもらえるので安心です。知り合いに司法書士がいない場合でも、司法書士会のホームページを確認し、近くの司法書士に問い合せしてみましょう。 抵当権の抹消手続きを司法書士に依頼する場合の司法書士報酬は1~1.5万円が相場で、実費と合わせて数万円程度の費用がかかります。住宅ローンの完済が借り換えの場合は、完済する住宅ローンの抵当権抹消と新たに借りる住宅ローンの抵当権設定を同時に依頼する形になります。 抵当権の抹消手続きを行わない時の影響 住宅ローンを完済した後に抵当権を抹消しなくても、すぐに大きな影響が出るわけではありません。しかし、不動産の売却や借入を行う際にスムーズに手続きができなくなるので、完済後は速やかに手続きをしておくほうが良いでしょう。 売却への影響 住宅ローンを完済した不動産を売却する場合、抵当権が設定されたままでは買主側に不都合が生じます。なぜなら、新しい買主がその不動産を担保にローンを借りる際に抵当権を設定する必要があるからです。 法律上では抵当権が設定されたままでも、不動産を売却することは可能です。しかし、実際の取引においては「抵当権が残っている状態では売却できない」と考えておくといいでしょう。 ローン審査への影響 住宅ローンを完済した不動産を担保に借り入れをしない限り、抵当権を抹消しなくてもローン審査に影響はありません。住宅ローンを完済していれば、抵当権が残っていても信用情報においては借り入れがないことになっています。 ただし、住宅ローンを完済した不動産を担保に新たな借り入れを行う場合、抵当権の設定が必要になるため、完済した住宅ローンの抵当権は抹消しなくてはなりません。急にまとまったお金が必要になれば、不動産を担保に借り入れを行う可能性も考えられます。 資金が必要になったときに慌てずに済むように、住宅ローンを完済したタイミングで抵当権を抹消しておきましょう。 住宅ローン完済後に考えるべきこと 住宅ローンを完済したことで、毎月の返済に充てていた金額が自由に使えるようになります。だからこそ、その分のお金を今後どのように扱うのか、考えておくことが大切です。 まず考えられるのが、将来のための貯金でしょう。今後の自宅の修繕やリフォームのため、子供の教育資金、老後の生活資金など、住宅ローンの完済後にも想定しておく出費はいくつか考えられます。一方で、全てを貯金に回すのではなく、これまで返済のために我慢していた旅行や趣味の費用に充てるのも良いでしょう。人生を楽しくするための出費も含めて、今後の資金計画を立てることをお勧めします。 住宅ローンの完済に資金の大部分を充ててしまい、手元資金が少ない、今後の生活費が苦しい、といった悩みを抱えている人もいるかもしれません。また、完済後すぐに急にまとまった資金が必要となり、困ってしまうこともあるでしょう。そのような場合には、住宅ローンを完済した持ち家を活用することで、資金を工面できる可能性があります。 関連記事はこちら住宅ローンを完済したがお金がない!そんな時の持ち家活用術とは? まとめ 住宅ローンを完済したら、そのタイミングで抵当権を抹消しておくのがおすすめです。抵当権が設定されたままでも、当面は不都合が生じることはありません。しかし、抵当権が設定されたままでは、不動産の売却や借り入れの手続きに時間がかかってしまいます。 抵当権の抹消は自身で手続きできますが、司法書士に依頼することも可能です。申請内容に不備があると時間や手間がかかるので、不安がある場合は司法書士に依頼して手続きを進めましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点 住宅ローンの借り換えとは、新たな住宅ローンを借りて既存の住宅ローンを一括返済することです。現在より低金利の住宅ローンに借り換えることで、総返済額を減らせる可能性があります。 ただし、住宅ロー...記事を読む

  • 老後破産とは?その原因と事前の対策を解説

    老後破産とは?その原因と事前の準備・対策を解説

    「老後破産」は、日本人の高齢化などにより、取り上げられるようになったテーマの一つです。様々なメディアなどで目にする機会も増え、老後の生活を不安に感じる人もいるでしょう。 この記事では、老後破産の原因やその実態、老後破産に陥らないための準備や対策を解説します。 老後破産とは まず、「老後破産」という言葉に明確な定義はありません。そのため、この記事では「定年後の生活の中で、家計を維持できなくなること」と定義します。 自分はそれなりに貯蓄もあるし、関係のない話と思う人もいるかもしれません。しかし、仮に貯蓄が豊富にあったとしても、定年後20年、30年と暮らしていくことで、老後破産に陥るかもしれません。定年後は現役時代よりも収入が少なくなる、という人は多いでしょう。そうすると、現役時代と同じ生活水準を続けるには、貯蓄を切り崩しながら生活することになります。つまり、老後破産に陥る人は貧しい人ではなく、身の丈に合わない生活水準で、亡くなるまでに所有資産が尽きてしまう人とも言えます。 老後破産の実態 公的機関が行った調査から、老後破産の実態を探ります。 老後破産の割合は増加傾向 まずは、破産者における高齢者の割合を見てみましょう。「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、60歳以上の破産債務者の割合が増加しています。2002年調査では約17%でしたが、2020年調査では約25%となっています。一方で、あくまで「高齢者の割合」なので、件数が増加しているとも限りません。また、人口動態として、高齢者の割合が増加していることも、この結果の要因となるでしょう。 出典)内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)」 老後の所得や貯蓄額 最後に、世帯主が65歳以上の世帯の所得や貯蓄を見てみましょう。先ほどの「令和4年版高齢社会白書(全体版)」によると、高齢者世帯の平均所得は312.6万円、貯蓄の中央値は1,555万円です。この結果から、所得にある程度余裕があると思うかもしれません。 しかし、最も多い所得階層は、150~200万円の12.3%、次いで100~150万円の12.0%です。さらに50万未満の2.0%、50~100万円の10.7%を足せば、高齢者世帯の37%の所得が150万円以下であることがわかります。 この結果から、貯蓄を切り崩しながら生活している人が多数いると考えられます。つまり、これらの所得が少ない人の貯蓄額によっては、老後破産予備軍は、先ほどの7%という結果よりも多くなるのかもしれません。 出典)

  • 開業資金はいくら必要?実績がなくても資金調達できる7つの方法

    開業資金はいくら必要?実績がなくても資金調達できる7つの方法

    独立開業するときは開業資金が必要です。事業規模や業態などによって必要な金額は異なりますが、一般的にはまとまったお金を準備しなくてはなりません。自己資金だけで足りない場合は、どのように開業資金を集めればよいのでしょうか。 この記事では、開業資金に関する実態と、実績がなくても開業資金を調達する方法を紹介します。 開業資金はいくら必要? 開業資金がいくら必要かは、事業規模(個人事業・法人)や業態(店舗型・無店舗型)、業種などによって変わります。開業資金の主な使い道は以下のとおりです。 機械・設備の導入費用 事務用品・備品の購入代金 事務手続き・登記関連費用 保証金・仲介手数料(店舗用物件を借りる場合) 店舗を開業する場合、立地や内装にこだわるとまとまった費用がかかります。一方で、インターネットを利用して自宅で開業するなど、無店舗型で営業可能な業態であれば費用を抑えられます。 ほとんどの場合で開業当初は計画どおりに事業が進まないでしょう。そのため、問題の無い範囲で中古や旧式の設備を使うなど、費用対効果を意識することも大切です。 開業にあたっては、まず必要なものをリスト化して、項目ごとに費用を検討しましょう。開業資金を見積もる際は、必要な項目を見落とさないように外部の専門家からアドバイスを受けることも有効です。 開業資金の実態 日本政策金融公庫総合研究所の「2022年度新規開業実態調査」によると、開業にかかった費用は以下のとおり推移しています。 〇開業にかかった費用 ※日本政策金融公庫総合研究所「2022年度新規開業実態調査」より引用 調査結果から、2022年度は「500万円未満」が43.1%、「500万~1,000万円未満」が28.5%となっており、約70%が1,000万円未満の資金で開業していることが分かります。また、「250万円未満」での開業が増加傾向であり、中央値も550万円と調査開始以来最も少なくなっています。以前と比較して低い金額で開業する人が増加していることが分かります。 出典)日本政策金融公庫総合研究所「2022年度新規開業実態調査」 開業資金の調達方法 日本政策金融公庫総合研究所の「2022年度新規開業実態調査」によると、開業資金の調達方法ごとの内訳は以下のとおりです。 〇開業資金の調達方法ごとの内訳 ※日本政策金融公庫総合研究所「2022年度新規開業実態調査」より引用 調査結果から、2022年度は「自己資金」が全体の21.3%、「金融機関等からの借り入れ」が69.2%となっており、大半がこの2つの手段で開業資金を調達していることが分かります。また、上述の開業にかかった費用と比較して、少し多めに資金調達を行っていることも分かります。 出典)日本政策金融公庫総合研究所「2022年度新規開業実態調査」 自己資金だけで開業できる? 自宅で個人事業を始める場合など、必要な開業資金がそれほど多くなければ、自己資金のみで開業できます。借入金の返済を気にする必要がないので、独立開業に挑戦しやすいでしょう。 ただし、自己資金のみの懸念点として、必要な資金を貯めるまでに時間がかかること、個人で準備できる資金には限界があること、が挙げられます。 また、開業資金が足りるからといって、開業後の事業資金が不足してしまっては元も子もありません。開業後の事業資金のことも考慮し、判断することが大切です。 開業資金を借りる選択肢 上述のとおり、開業資金の調達において「金融機関等からの借り入れ」は重要です。ここでは、実際にどういった選択肢があるのかを紹介します。 1.公的機関の創業融資 融資を受けて独立開業するときは、公的機関の創業融資を利用する方法があります。日本政策金融公庫は、新たな事業を始める人が利用できる「新創業融資制度」を取り扱っており、最大3,000万円(うち1,500万円は運転資金)まで、無担保・無保証で借りられます。 ほかにも、自治体の制度融資を利用する方法もあります。制度融資とは、信用保証協会の保証付きで金融機関から融資を受けられる制度です。こちらも無担保での利用が可能で、自治体が信用保証料の一部を補助してくれることもあります。ただし、自治体と信用保証協会、金融機関の三者が関わるため、融資実行までに時間がかかります。 どちらも融資審査があり、審査結果によっては利用できません。創業融資を検討する場合は、日本政策金融公庫や信用保証協会に相談してみましょう。 出典) ・日本政策金融公庫「新創業融資制度」 ・東京信用保証協会「初めてのご利用かんたんガイド」 2.ビジネスローン、不動産担保ローン 新たに事業を始める場合は実績がないため、銀行から融資を受けるのは難しいかもしれません。しかし、ビジネスローンや不動産担保ローンであれば、融資を受けられる可能性があります。 ビジネスローンは、主にノンバンクが取り扱っている事業者向けのローンです。無担保・無保証で申込みできるローンもある一方で、公的な融資に比べると金利は高い傾向にあります。 また、自宅などの不動産を所有している場合は、不動産担保ローンも選択肢となります。不動産担保ローンは、ビジネスローンに比べてまとまったお金を低金利で借りることができます。金融機関によっては、家族名義の不動産を担保に融資を受けられます。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 3.地方自治体の起業支援制度 各地方自治体は、さまざまな起業支援制度を用意しています。開業する地域で利用できる補助金や助成金があれば、開業時に活用できるかもしれません。補助金や助成金は基本的に返済義務がないため、開業資金の負担が軽減されます。 ただし、支援を受けるには一定の条件を満たす必要があり、審査に通過できないこともあります。また、補助金や助成金は通常、支払いが発生した後の清算となるので注意が必要です。 その他の調達手段 自己資金と金融機関等からの借り入れ以外にも、以下のような開業資金を調達する手段があります。 1.ベンチャーキャピタル ベンチャーキャピタルとは、将来上場が期待できるベンチャー企業やスタートアップ企業に出資を行う投資会社のことです。投資先企業が上場した後に株式を売却してキャピタルゲインを得るために、未上場企業に出資します。 ベンチャーキャピタルから事業の将来性について評価を得ることができれば、出資を受けられるかもしれません。ただし、ノウハウの提供といった経営支援が期待できる一方で、経営の意思決定が自由にできなくなる恐れもあります。 2.クラウドファンディング クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から少額ずつ資金調達する方法です。新規開業で実績がなくても、資金の使い道をアピールしたり、支援者への特典を用意したりすることで、開業資金を集められる可能性があります。 クラウドファンディングで開業資金を集めるにはSNSなどを活用し、少しでも多くの人にプロジェクトの内容を知ってもらうことが大切です。 3.家族や親戚からの借り入れ 開業資金を準備できない場合は、家族や親戚から借りるのも一つの方法です。ただし、親族からの借り入れは贈与とみなされ、贈与税がかかる場合があります。また、関係が近いだけに、返済が困難になるとトラブルに発展する恐れもあります。 親族から開業資金を借りる場合は、借用書や契約書を作成して内容どおりに返済を行いましょう。 まとめ 新規開業で事業の実績がないと、銀行から融資を受けるのは難しいかもしれません。開業資金を自己資金で用意できない場合、まずは公的機関の創業融資が選択肢となります。また、他にさまざまな資金調達方法があるので、自分に合った方法を選択しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 【FP相談】事業資金の融資でおすすめの方法とは? 企業の働き方改革や副業の解禁など、今は会社員として給与収入のみの人も、独立開業を考えている人もいるでしょう。とはいえ、開業を考えるとき、気になるのは資金面ではないでしょうか? この記事では、...記事を読む

    2021.03.10資金調達
  • 住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点

    住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点

    住宅ローンの借り換えとは、新たな住宅ローンを借りて既存の住宅ローンを一括返済することです。現在より低金利の住宅ローンに借り換えることで、総返済額を減らせる可能性があります。 ただし、住宅ローンの借り換えは諸費用がかかるため、必ず効果が出るとは限りません。金利やローン残高、返済期間といった諸条件によっては損をするケースもあるため、住宅ローンを借り換えるべきかを冷静に見極めることが大切です。 この記事では、住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点について説明します。 借り換えの効果が期待できないケースがある 住宅ローンの借り換えを検討するときは、総返済額だけに注目しないことが大切です。借り換えによって総返済額が減少したとしても、諸費用を合算して考えると、実際には総返済額がほとんど変わらない、または損をするケースもあります。 一般的に、住宅ローンの借り換え効果が期待できる目安は以下のとおりです。 金利差1.0%以上 ローン残高1,000万円以上 残存返済期間10年以上 これら3つの条件に当てはまる場合は、借り換えを検討してみるといいでしょう。住み替えの予定があるなど完済までの期間が短い、または借り換え前と後の金利差が小さい場合は、住宅ローンの借り換え効果は期待できません。 住宅ローンの借り換えには諸費用がかかる 住宅ローンの借り換えを検討する際は、どのような諸費用がかかるかを理解しておくことが大切です。借り換えでかかる主な諸費用をまとめました。 完済にかかる費用:繰り上げ返済手数料、抵当権抹消登記費用など 借入にかかる費用:保証料、事務手数料、抵当権設定費用、印紙税など 既存の住宅ローンを完済するときは、繰り上げ返済手数料や抵当権を抹消するための費用がかかります。また、新たに借りる住宅ローンについては、保証料や事務手数料、抵当権の設定費用などが必要です。 住宅ローンに関する各種手数料は、金融機関によって異なります。また、店頭とインターネットのどちらで手続きするかによって、手数料が変わることもあります。 借り換えにかかる諸費用が高額になると、費用を回収するまでに長期間かかるので注意しましょう。 諸費用を組み込んで借り換えをすると元金が増加する 住宅ローン借り換えの諸費用を準備できないときは、諸費用を組み込んで借り換えをすることも可能です。すべての諸費用をローンに組み込めるとは限りませんが、準備するお金は少なく済みます。 ただし、諸費用を組み込むと元金が増加し、諸費用を別途支払うより月々の返済額や総返済額が増えてしまうため、結果として借り換え効果が小さくなります。 金利などの諸条件によっても変わりますが、基本的には諸費用を元本に組み込まずに借り換え・返済する計画を立てましょう。 住宅ローンの借り換えをうまく利用するには 住宅ローンの借り換えをうまく利用するには、借り換えによって得られる効果やリスクをはっきりさせることが大切です。具体的には、以下の3点について検討しましょう。 将来的な住み替えの可能性は? 将来的に現在の持ち家を売却して、別の家に住み替える可能性はないでしょうか。住み替えの予定があるなら、あと何年住んだら借り換えのメリットが出るのかを試算しておきましょう。退職金などの臨時収入で早期に完済した場合も借り換え効果が少なくなります。 具体的な予定がなくても、子どもが独立して夫婦二人の生活になれば、現在よりコンパクトな物件に住み替えたいと考えるかもしれません。 ライフスタイルの変化に対応できるように、住み替えや早期完済の可能性を考慮して住宅ローンの借り換えを検討することが大切です。 毎月の返済額の軽減効果は? 住宅ローンの借り換えを検討するときは、毎月の返済額の軽減効果も判断材料となります。毎月の返済軽減額と借り換えにかかる諸費用を比較し、何年で諸費用を回収できるかを試算しましょう。 実際に計算をしてみると、予想以上に諸費用の回収に期間がかかることもあります。最終的には総返済額を減らすことができても、一時的に手元資金が不足して急な出費に対応できなくなる恐れがあるので注意が必要です。 諸費用を含めた総返済額の軽減効果は? 諸費用を含めて総返済額の軽減効果を得られないと、住宅ローンの借り換えを行うメリットはありません。「元々の総返済額」と「借り換え後の総返済額+諸費用」を比較し、どれだけ返済負担が軽減できるのかを確認しましょう。 住宅ローンの借り換えでは2つの金融機関と同時やり取りする必要があり、手続きも煩雑で時間と手間がかかります。「労力に見合った借り換え効果を得られるか」という視点で、借り換えを行うか判断するといいでしょう。 まとめ 持ち家で住宅ローンを返済している場合、新しい住宅ローンに借り換えることで総返済額を軽減できる可能性があります。ただし、ここ数年の低金利の環境下に借り入れをした人にとっては、住宅ローンの借り換えでメリットが出せるケースはそれほど多くありません。 借り換えを行うか判断する際は、諸費用を含めて総返済額の軽減効果を得られるか見極めることが大切です。ホームページで「住宅ローンの借り換えシミュレーション」を提供している金融機関もあるので、借り換えを検討するときに活用してみましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳未満編) 住宅ローンの返済に追われて貯金する余裕がないと、老後に不安を感じるのではないでしょうか。さらに、自宅の住み替えを予定している場合は、より多くの資金を準備しなくてはなりません。現在の年齢が60...記事を読む

  • 赤字決算でも資金調達はできる?お金がない時の解決方法は?

    赤字決算で法人税はどうなる?資金調達は可能?

    営利目的で事業を行う企業や個人事業主は、売上アップや経費削減に取り組むことで利益の確保(黒字決算)を目指します。しかし、不況の煽りを受けて資金繰りが厳しくなり、赤字決算となってしまうこともあるでしょう。 赤字決算には一部税制面でメリットがある場合もありますが、今まで融資を受けていた銀行から借り入れができなくなる恐れもあります。そこでこの記事では、赤字決算で資金繰りが厳しくなったときの資金調達方法を紹介します。 赤字決算とは 決算とは、企業の1年間の収益と費用を計算し、利益や損失をまとめた数字を「決算書」として確定させることです。企業(法人)は決算月までの1年間、個人事業主は1~12月の1年間で計算します。 収益が費用を上回り利益が出ることを「黒字決算」、費用が収益を上回り損失が生じることを「赤字決算」と言います。国税庁の統計情報によれば、2018年度は申告法人数(普通法人)の約66%が赤字となっています。 決算は、あくまでも一定期間の業績を表すものです。赤字になったからといって、すぐに倒産するわけではなく、資金があれば事業を継続することは可能です。ただし、赤字決算が続くと資金繰りが厳しくなり、倒産につながる恐れがあります。 出典)国税庁「2018年度 統計情報(法人税)」 赤字決算のメリット 赤字決算に悪いイメージを持つかもしれませんが、税制面においては以下のようなメリットがあります。 法人税がゼロになる 企業は、黒字決算で利益(課税所得)が出た場合は法人税を納めなくてはなりません。法人税額は課税所得に一定の税率を乗じて計算するため、利益が大きくなるほど法人税の負担は増えます。一方で、赤字決算の場合は課税所得が発生しないため、法人税はゼロになります。 赤字の繰り越しが可能(欠損金の繰越控除) 赤字決算によって生じた欠損金(税務上の損失)は、翌年度以降に繰り越すことが可能です。繰り越した欠損金は、翌年度以降に生じた課税所得(税務上の利益)と相殺できるため、法人税の節税につながります。 たとえば、今年度の決算が100万円の赤字の場合、その100万円を繰越欠損金として翌年度に繰り越します。翌年度が300万円の黒字であれば、通常は300万円に税率を乗じるところ、200万円(300万円-100万円)に税率を乗じて法人税額を計算するため、法人税の負担が軽減されます。 2018年4月1日以後に開始する事業年度で生じる欠損金は、最長10年間繰り越すことができます。欠損金の繰越控除を行うには、「欠損金が生じた年度に青色申告で確定申告書を提出していること」など、一定の条件を満たす必要があります。 出典)国税庁「No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」 法人税の還付金を受け取れる(欠損金の繰り戻しによる還付) 「欠損金の繰り戻しによる還付」とは、赤字決算で欠損金が生じた場合に、その欠損金を前期に繰り戻して法人税額の還付を請求できる制度です。「還付事業年度から欠損事業年度まで、連続して青色申告で確定申告書を提出している」など、一定の条件を満たすと適用されます。 経営状況が悪化して赤字になり、少しでも手元資金を確保しておきたい場合は、本制度の利用を検討するといいでしょう。 出典)国税庁「No.5763 欠損金の繰戻しによる還付」 赤字決算のデメリット 赤字決算のデメリット・注意点は以下のとおりです。 融資を受けにくくなる 金融機関が企業に融資する際は、決算書をもとに与信面の審査を行います。赤字決算の場合、金融機関からの信用度が低下して、新たに融資を受けるのが難しくなるかもしれません。また、赤字決算が続くと、すでに融資を受けている借入金の返済を求められる可能性もあります。 赤字でも税金は発生する 決算が赤字でも税金は発生します。たとえば、「消費税」は消費者が負担して事業者が納税する仕組みのため、赤字でも納税が必要です。また、「法人住民税の均等割」は資本金等の額や従業員数などに応じて課税されるので、損益に関わらず税負担が生じます。 赤字決算でも資金調達する方法は? 赤字決算になり、与信面で銀行からの借り入れが難しい場合は、どのような方法で資金調達を行えばよいのでしょうか。ここでは、赤字決算でも資金調達が可能な方法を紹介します。   政府系金融機関からの借り入れ 政府系金融機関であれば、赤字決算でも借り入れが可能なケースもあります。 たとえば、日本政策金融公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」は、社会的・経済的環境の変化などの外的要因で、一時的に業況が悪化している事業者向けの融資制度です。一定の条件を満たせば融資を受けられる可能性があるので、まずは支店の窓口などに問い合わせてみるといいでしょう。 出典)日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」 クラウドファンディング クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する方法です。赤字決算であっても、クラウドファンディングであれば支援を受けられるかもしれません。 クラウドファンディングは、資金のあり方や支援者への特典の有無によっていくつかの種類があるため、自社にあった方法を選択することが大切です。プロジェクトの内容によっては目標金額を達成できず、思うように資金が調達できないこともあります。 親戚からの借り入れ 赤字決算で資金調達が難しい場合は、親戚から事業資金を借りるのも一つの方法です。ただし、親戚からの借り入れは贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があります。 親戚からの借り入れであっても借用書や契約書を作成し、その内容どおりに返済を行うことが大切です。また、無理な借り入れを行って返済が困難になると、トラブルに発展することもあるので注意しましょう。 ビジネスローン ビジネスローンは、主にノンバンクが取り扱っている事業者向けのローンです。無担保・無保証で申し込みできるローンもあるため、赤字決算でも融資を受けられる可能性があります。さらに不動産を担保にすると、借り入れできる可能性が高まるでしょう。 ただし、ビジネスローン(特に無担保・無保証の場合)は金利が高い傾向にあり、少額しか借りられないケースもあります。 リースバック リースバックとは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。 リースバックの審査では、与信面よりも「不動産に問題がないか」「家賃を払うことができるか」といった点が重視されます。そのため、売却できる自宅があれば、赤字決算でも資金調達が可能です。 ただし、売却価格は市場価格より安くなるのが一般的です。また、定期借家契約の場合は運営会社の事情で再契約ができず、売却から数年で引っ越しを迫られるケースもあります。リースバックで長く住み続けたい場合は、普通借家契約が可能な運営会社を選びましょう。 >リースバックとは? まとめ 赤字決算は税制面でのメリットはあるものの、銀行から融資を受けるのが難しくなります。決算が赤字になると見込まれるときは、早めに資金調達について検討することが大切です。銀行から融資を受けることができない場合は、政府系金融機関やリースバックといった方法を検討してみましょう。 リースバックならSBIスマイル 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 【FP相談】事業資金の融資でおすすめの方法とは? 企業の働き方改革や副業の解禁など、今は会社員として給与収入のみの人も、独立開業を考えている人もいるでしょう。とはいえ、開業を考えるとき、気になるのは資金面ではないでしょうか? この記事では、...記事を読む

  • 住宅ローンの返済が厳しくなった人はどうすればいい?FPが解説

    コロナ禍が追加!自然災害債務整理ガイドラインとは?

    コロナ禍による収入減で、住宅ローンの返済に苦しむ人も増えているようです。住宅ローンの返済が厳しくなったときにできることは何があるでしょう? また、2020年12月から「自然災害債務整理ガイドライン」にコロナ禍で失業・収入減となり返済が困難になった人に適用される特則が加わったことによる変更点についても知っておきましょう。 住宅ローンを払えないときは延滞前に金融機関に相談を コロナ禍の影響で、2020年冬のボーナスは減額や支給がない企業も増えました。特に、中小企業への影響は大きく、飲食・観光含むサービス業などではボーナスどころか、会社の存続すら危ぶまれるところもあるようです。 コロナ禍による収入減や、ボーナス減・不支給で、住宅ローンの返済に苦しむ人はどうしたらいいのでしょうか。選択できる方法を考えてみましょう。 まず、最初のステップで絶対にやってはいけないのは、住宅ローンの延滞です。家計が厳しい、住宅ローンの返済ができないという場合は、とにかく金融機関へ相談に行きましょう。この段階では他の方法はありません。 関連記事はこちら融資のリスケとは?メリットやデメリットを解説! 金融機関に相談して認められれば、返済期間を延ばしてもらう、しばらく利息だけの返済にしてもらうなどの方法が適用されます。ただし、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)などの状況によっては適用されない場合もあるので注意が必要です。 フラット35では次のような選択肢がありますが、適用を受けるには一定条件もあります。 <フラット35の返済方法の変更メニュー> 返済期間の延長(最長15年、完済時の年齢上限80歳) 最長3年間、元金の支払いを据置いて利息だけ支払う(返済期間は変わらず) ボーナス払いの見直し(ボーナス返済分を月払いに変更など) 機構団信特約料が別払いならその支払いの猶予も可 出典)住宅金融支援機構「新型コロナウイルス感染症の影響により機構の住宅ローンのご返済にお困りの方へのお知らせ」 民間の住宅ローンについては、金融機関によって対応が異なりますが、選択できる方法としては、次のようなもの挙げられます。ただし、現在の家計や返済負担率などの状況によっては、適用されないケースもありますので、個別に相談をして確認しましょう。 <民間の返済方法の変更メニュー> 返済期間の延長 返済猶予(一定期間、利息だけの支払いとする) ボーナス払いの見直し(ボーナス返済分を月払いに変更など) 金利タイプの変更(例:固定金利期間選択型→変動金利型) ※家計や返済負担率などの状況によっては、適用されないケースもある 例えば、残債2800万円の住宅ローン(詳細条件は下記のとおり)で、条件変更や返済猶予が受けられた場合、どれくらい軽減されるかを試算したものです。 <現在のローン> 残債2800万円 毎月返済額(ボーナス払い分)82,782円(191,016円) 残返済期間28年 全期間固定金利1.4% ボーナス払いなしに変更した場合 残債2800万円 毎月返済額100,780円 残返済期間28年 全期間固定金利1.4% ボーナス払いなし&変動金利0.5%に変更した場合 残債2800万円 毎月返済額89,321円 残返済期間28年 変動金利0.5% ボーナス払いなし&変動金利&返済期間を5年延長した場合 残債2800万円 毎月返済額76,716円 残返済期間33年 変動金利0.5% 住宅ローンの返済が苦しくなったときの最初の方法としては上記のようなものとなりますが、あくまでも一時しのぎにすぎません。これによって時間を稼いでいる間に、家計や収入の立て直しを図ることがマストです。それが難しい場合は、後述する売却などの手段を検討することになります。 関連記事はこちら自宅売却の流れや損をしないためのポイントを解説 住宅ローンを払えず延滞し続けるとどうなる? 最初の段階で延滞してはいけないと前述しましたが、もしも延滞してしまったらどうなるのかについても知っておきましょう(金融機関によっても異なる場合があるので、実際には借りている金融機関で確認を)。 延滞1カ月 延滞をしてしまうと、返済する予定だった住宅ローンの元金部分に遅延損害金が発生します(遅延日数分)。さらに、金融機関によっては金利優遇が受けられなくなることもあり、店頭金利の適用となって返済額が大きく増加する場合もあります。 延滞2~3カ月 金融機関から催告書や督促状が届き、延滞損害金の請求もあります。 延滞4~6カ月 金融機関から、「期限の利益の喪失」に関する通知が届き、住宅ローン債務の一括返済を求められます。保証会社を利用している住宅ローンでは、保証会社が金融機関に対して「代位弁済」し、以降は保証会社から請求されます。 *延滞3カ月超は信用情報機関に載り、一定期間、借入れやクレジットカードの使用などが制限される可能性もあります。 延滞7~12カ月 住んでいたマイホームは任意売却(残債がある状態で抵当権を解除しての売却)をしたり、競売にかけられたりします。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 競売や任意売却をしても住宅ローンが完済しきれずに残ってしまうと、その債務を返済しながらの生活になってしまいます(無担保ローンで高金利)。これを解消できるよう、後述する「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」がコロナ禍も対象とする特則もできました。 住宅ローンを払えないときの対処法は? コロナ禍で住宅ローンの返済が困難な状態にあり、返済猶予などをしても収入回復のメドが立たないという場合もあるでしょう。その場合は、傷が深くなる前に、売却など別の方法を検討する必要があります。 最も避けなくてはいけないことが、一時しのぎで高金利のカードローンやキャッシングなどに手を出す行為です。 どうしても、今後3カ月から半年以内に家計や収入の立て直しが難しいときは、家計のダメージが広がらないうちに住宅を手放すことを考えましょう。自主的な売却の方が競売よりも高く売れる可能性が高いです。ただし、有利に売却しようと考えたら、時間がかかります。不動産業者の直接買い取りだと早めに売れますが、価格は2~3割程度安くなります。 なお、自宅を売却してもそのまま住み続けたい場合にはリースバックという選択肢もあります。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 「自然災害債務整理ガイドライン」にコロナ禍が加わった 最後に1つ、重要な変更点を押さえておきましょう。 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に、新型コロナウイルス感染症の影響で失業や収入減となり住宅ローンの返済が困難になった人に適用される特則ができ、2020年12月1日から適用となりました。 この特則は、住宅ローンを借りている人が、債務免除を受けて、生活再建を行うことを目的としています。自己破産等の法的倒産手続きではなく、特定調整手続きを活用した債務整理による債務免除を行うことで、信用情報に登録されることもありません。 対象となるのは、2020年2月1日以前からの債務(住宅ローンやその他のローンが幅広く含まれる)に加え、2020年10月30日までに新型コロナ対応のために負担した債務です。 関連記事はこちらコロナで住宅ローンの返済がお困りの方へ、ローン減免制度を紹介! 特定調停手続で債務整理をした場合は、以下のようなメリットを受けながら、対象債務の減免が受けられます。 特別定額給付金などの差押禁止財産に加え、財産の一部を手元に残せる 信用情報登録機関に登録されないので、その後の借入の可能性を残せる 弁護士、不動産鑑定士など専門家の支援が無償で受けられる 一定の財産を残しつつローンの減額や免除を受けることができ、住宅を手放さずに、住宅ローン以外のローンだけを減免する方法もあるようです。 簡易裁判所の特定調停手続を行う必要がありますが、弁護士などの登録支援専門家が必要な書類の作成や債権者との協議などの手続を無償で支援してくれます。利用するには、最も借入残高が多い債権者から、制度利用の同意を得た上で弁護士などに手続支援を依頼します。こうした制度も上手に活用しましょう。 出典)自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインについて リースバックの仮査定はこちら お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 任意整理完済後は住宅ローンが借りれない!ではどうする? 借金の返済が出来なくなってしまった場合など、任意整理をすれば返済負担を軽減できる可能性があります。しかし、任意整理はどのように行うのか、任意整理をした場合に自宅などの所有資産がどうなるか気に...記事を読む

  • 終活とは?いつから始める?老後資金が足りないと気づいたら?

    終活とは?終活では何を準備すればいい?

    昔に比べて平均寿命が延びて老後の期間が長くなったことから、「終活」を行う人が増えています。終活と聞くと、葬儀やお墓、相続など自分が亡くなった後のことをイメージするかもしれません。しかし、実際は家族や友人関係、医療・介護、財産など、生前のうちに確認し、準備しておくべきことはたくさんあります。 老後の不安を解消し、残りの人生を自分らしく生きるには、終活について理解しておくことが大切です。この記事では終活ですることや始めるタイミング、老後資金の準備について解説します。 終活とは 終活は週刊誌によって作られた言葉で、「人生の最期を迎えるための活動」といった意味に加え、「残りの人生をより前向きに自分らしく生きるための活動」という意味もあります。 終活が注目されるようになった背景には、高齢化によって老後破産や孤独死、認知症、相続トラブルなどの増加が社会問題化していることがあります。厚生労働省の簡易生命表(2019年)によれば、男性の平均寿命は81.41年、女性は87.45年です。また、90歳まで生存する人の割合は男性27.2%、女性51.1%となっています。 このような背景から「老後生活の不安を解消したい」「家族に負担をかけたくない」と考える人が増え、終活に取り組む人が増えていると考えられます。 出典)厚生労働省「2019年(令和元年)生命簡易表の概況」 終活はいつから準備する? 終活を始めるタイミングは人それぞれで正解はありません。「仕事を辞めて年金生活になった」「一定の年齢に達した」など、人生の転機を迎えたときや死を意識したタイミングで、少しずつ進めていくといいでしょう。 ただし、認知症を患うなど、意思表示ができなくなると始めるのは難しくなります。そのため、まだ元気なうちに、「少し早いかな」と思うぐらいのタイミングで始めるのがおすすめです。 終活では何を準備する? 終活では、現在の状況と将来するべきことを整理するために、エンディングノートを作成するといいでしょう。エンディングノートに法的な効力はなく、書き方のルールもないので、好きな方法で作成して構いません。エンディングノートでは、主に以下の内容について整理します。 自身や家族、友人のこと 自身の基本情報(氏名、生年月日、住所、本籍地など)や趣味などを書いておけば、誰が書いたものかが一目でわかります。スマホやインターネットなど、自身が契約しているサービスについても伝えておくと家族は助かるでしょう。また、家族や友人の連絡先、自身との関係なども書いておくと、必要に応じて連絡をとることができます。 医療や介護のこと 判断力が低下したり、意思表示ができなくなったりしたときのために、かかりつけ医や持病、飲んでいる薬、アレルギーなどについて書いておくといいでしょう。また、介護や延命治療に関する希望を伝えておくと、もしものときに家族が判断しやすくなります。 財産に関すること 老後生活が長くなるほど、財産を適切に管理することの重要性は高まります。収入や支出の項目・金額を整理して、老後の家計収支を把握しましょう。また、預貯金や不動産、金融資産など保有中の資産を一覧にしておくことも大切です。 葬儀やお墓のこと 最近では、葬儀やお墓に対する考え方が多様化しており、その様式もさまざまです。たとえば、葬儀は一般葬の他に、参列者が親族のみの家族葬や一日葬などもあります。また、お墓も代々受け継いでいく家族墓だけでなく、永大供養墓や散骨といった形もあります。そのため、葬儀やお墓についての希望、連絡先のリストなどを書いておくといいでしょう。 相続のこと 相続トラブルを避けるには、相続人や相続財産について整理する必要があります。また、預貯金や不動産といった資産だけでなく、借金などの負債も相続財産に含まれる点に注意が必要です。相続について希望がある場合は、遺言書の作成も検討しましょう。 終活をするメリット 終活をするメリットとしては下記のようなことが挙げられます。 万が一の備えになる 医療や介護に関する希望を家族に伝えておいたり、エンディングノートに記載をしておくことは万が一の際の備えになります。例えば、認知症になって判断力が低下したり、意識不明や重篤な状態に陥ってしまった場合に、延命治療や介護の希望などを伝えておくと、家族が判断をしやすくなります。 また、エンディングノートに自身のアレルギーや持病、常備薬を記載しておくことももしものときの備えになります。 相続をスムーズに進められる 財産の整理や相続の準備をしておくことで、残された家族が相続をスムーズに進められます。例えば、エンディングノートに保有している金融資産や不動産などをまとめて記載しておくと、残された家族が財産を把握しやすくなります。 また、相続について希望がある場合は、遺言書を作成しておくことも有効です。財産の整理や遺言書の作成をしておくことで相続をスムーズに進められるだけでなく、トラブルを回避することにもつながります。 葬儀やお墓の手配をスムーズに進められる 葬儀やお墓の希望について家族に伝えておくことで、手配をスムーズに進めることができます。自身の死後、葬儀やお墓のことなど残された家族には決めるべきことが多くあります。そこで、葬儀やお墓について希望を伝えておくことで、家族が段取りをしやすくなり、負担を軽減することができます。 また、事前に自身でお墓を用意しておいたり葬儀費用を準備しておくことも、残された家族の負担を軽減することができます。 自身の経済状況を把握できる エンディングノートに自身の財産等をまとめることで経済状況を把握できます。そして、自身の経済状況を把握することは、健全な家計収支の維持にもつながります。 自身の経済状況を把握し、今後の人生をどのように過ごすのか改めて見直すことは充実した老後生活を送るためにも大切です。 備忘録になる エンディングノートに保有している銀行口座や保険、株式をまとめておくと備忘録になります。また、各種暗証番号等を記載しておけるエンディングノートなどもあります。 このようにエンディングノートを備忘録として活用するのも一つの有効な方法であると言えます。 人生の振り返りができる 終活は自身の人生を振り返る良い機会でもあります。エンディングノートには様々な種類があり、中には自分史や思い出について記載できるものもあります。このようなことを改めて整理することで、今までの自身の人生を振り返ることができます。 今後の人生をより良く生きるためにこれまでの自身の人生を振り返ることもおすすめです。 生きがいや目標を発見できる 終活では、残された家族の負担を軽減することにフォーカスされることが多いです。しかし、自身の人生を振り返り、今後の人生をより良く自分らしく生きることができるようにするというのも終活を行う目的の一つです。 終活に際しては、これからのセカンドライフで何をしたいか、だれと会いたいかなどを整理してみるとよいでしょう。そうすることで、新たな生きがいや目標を発見することができるかもしれません。 終活をしなかった場合に生じる問題 終活をしなかった場合、下記のような問題が生じる可能性があります。 医療や介護に関する希望を把握できない 年を重ねるにつれて医療や介護が必要になる可能性が高くなります。万が一意識不明や重篤な状態に陥り意思表示が難しくなった場合に、延命治療や介護の希望がわからないと家族が判断をしにくくなります。 相続トラブルが発生する 終活によって自身の財産の整理や相続に関する希望を遺しておかなかった場合、相続トラブルが生じる可能性が高くなります。相続トラブルは遺産内容が不透明であることや遺産分割の割合に偏りがあることに起因するケースが多いです。 葬儀やお墓の準備に手間がかかる 自身の死後、葬儀やお墓のことなど残された家族には決めるべきことが多くあります。例えば、葬儀の日程や形式、寺院の選定、訃報を知らせるべき方の選定などです。これらのことを一から決めるのは非常に手間がかかります。 残された家族が財産を把握できない 自身の財産をまとめて記録しておかないと、残された家族が財産を把握しにくくなります。近年ではパソコンやスマートフォンなどに保存しているデジタルデータなど目に見えない財産も増えています。これらの財産は、家族に伝えておいたり、エンディングノートに記載をしておかないと把握できない可能性が高いです。 十分な老後資金が準備できているかを確認する 終活の中でも、優先的に取り組んでおきたいのが老後資金の問題です。残された家族のことを思えば、自身が亡くなった後のことについて考えるのは大切なことです。しかし、終活では、自身の老後生活に問題がないかを確認するのが、最優先で取り組むべき課題です。 現在の家計収支や資産状況を整理・把握して、十分な老後資金が準備できているかを確認しましょう。もし老後資金が不足するようなら、早急に対策をたてる必要があります。 終活に「リースバック」という選択肢も 老後資金が足りない場合、持ち家があるなら「リースバック」という選択肢があります。リースバックとは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるサービスです。 リースバックはローン商品ではなく、売却と賃貸が一体となった不動産取引であるため、利用にあたって年齢や収入の制限はありません。また、持ち家を売却すると、通常は別の住居を確保する必要がありますが、リースバックならそのまま住み続けることが可能です。 加えて、リースバックを利用して不動産を現金化すれば財産を分配しやすくなるため、相続トラブルを回避するための手段としても活用できます。 終活に関するよくある質問 終活をしている人はどのような理由で始めますか? インターネット調査会社マクロミルの調査によると、終活を始めている人のうち約89%の方が「家族に迷惑をかけたくないから」と回答しました。また、約48%の方が「病気やけがなどで寝たきりになったりした場合に備えて」、約35%の方が「自分の人生の終わり方は自分で決めたいから」と回答しています。 出典)PRTIMES「デジタル終活知っている?希望するお墓のカタチは?20~70代にきく終活に関する意識調査(マクロミル調べ)」 生前整理として残しておくべきものはどういうものですか? 生前整理として残しておくべきものには、生活必需品などの現在使用しているものに加え、相続にかかわる財産、形見として残したいものなどがあります。特に、相続にかかわる財産は自身の死後に保管場所がわかるようエンディングノートに記載しておくなど工夫が必要です。 終活として断捨離しておくと良いものはありますか? 不用なものやしばらく使用していないものは処分をしてしまうことをおすすめします。特に、家具などの処分に労力を要するものは、事前に処分しておくと残された家族の負担を減らすことができます。また、目に見えるものだけでなく、パソコンに保管されたデータなどのデジタルデータも整理しておくと良いでしょう。 終活をする上での注意点は何ですか? 終活をする人を狙った詐欺や悪徳商法が増加しています。お金が絡むものは、自身で決めるのではなく、家族と相談するなど慎重に判断することをおすすめします。 出典)消費者庁 「第1部 第1章 第4節(4)高齢者が巻き込まれる詐欺的なトラブル」 《Appendix》エンディングノートの記載例 以下はエンディングノートに記載する内容の一例です。 自分自身や家族、友人のこと 自分自身の基本情報(氏名、生年月日、住所、本籍地など)や家族、友人についての記載例です。下記の内容以外にも自身で書きたいことがあれば記載しておくと誰が書いたのか分かりやすくなります。また、家族や友人については、自身の死後に連絡を希望するかまで記載をしておくと家族が判断をしやすくなるでしょう。 自分のこと 名前山田 太郎 生年月日1950年1月1日 住所〒〇〇〇ー〇〇〇〇東京都新宿区西新宿〇ー〇〇 本籍地〒〇〇〇ー〇〇〇〇東京都渋谷区道玄坂〇ー〇〇ー〇〇 血液型A型 趣味釣り読書 家族・友人のこと 氏名関係住所連絡先訃報について 山田 花子妻東京都新宿区〇〇・・・〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇知らせる 山田 次郎子東京都世田谷区〇〇・・・〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇知らせる 山田 二郎弟埼玉県〇〇市・・・〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇知らせない 佐藤 三郎友人福島県〇〇市・・・〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇知らせない 医療や介護のこと 医療や介護についての記載例です。持病については、常備薬やかかりつけの病院まで記載をしています。また、万が一の際に備えて延命治療や介護の希望についても記載をしておくと良いでしょう。 医療や介護のこと 持病高血圧 常備薬〇〇、〇〇〇〇 かかりつけの病院〇〇病院 〇〇科 担当医:〇〇 アレルギー卵、えび、かに、いか 延命治療希望しない 介護の希望自宅で家族に介護をしてもらいたい 財産のこと 財産についての記載例です。下記では、預貯金と株式について記載していますが、それ以外でも、資産を保有している場合は一覧にしてまとめておくと良いでしょう。 預貯金のこと 金融機関名〇〇銀行支店名〇〇支店 口座番号〇〇〇〇〇〇〇口座名義山田 太郎 口座種別普通備考 株式のこと 預入証券会社〇〇証券口座番号〇〇〇〇〇〇〇 名義人山田 太郎備考〇〇の株式を100株保有 葬儀やお墓のこと 葬儀やお墓についての記載例です。葬儀については、下記のような事項について記載をしておくと葬儀の準備がスムーズに進みやすいです。また、下記以外にも葬儀に参列してほしい人を表にしてまとめておいたり、納棺時の服装や棺に入れてほしいものなどを記載することもあります。 葬儀のこと 葬儀を希望する/しない希望する 葬儀会社・斎場株式会社〇〇住所:東京都新宿区〇ー〇〇 費用について準備している 葬儀の種類家族葬 宗教の希望仏教 遺影についてあり(机の引き出しの一番上) 戒名についてこだわりはありません お墓のこと お墓の有無先祖代々のお墓 埋葬方法の希望永代供養墓 お墓がある場合墓地・霊園の名称:〇〇霊園住所:東京都練馬区〇〇ー〇〇連絡先:〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇 相続のこと 下記は遺言書についての記載例です。遺言書がある場合は、保管している場所まで記載をしておくと良いでしょう。また、遺言書の有無以外にも、遺産分割や遺品の処分について希望がある場合は、記載をしておくことをおすすめします。 相続のこと 遺言書の有無有 遺言書の種類自筆証書遺言(机の一番下の引き出し) 遺言書の関係者弁護士:〇〇連絡先:〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇 まとめ 終活は、家族の負担を減らせるのはもちろん、残りの人生を自分らしく生きることにも役立ちます。終活ですることはたくさんありますが、最優先して取り組むべきことは財産整理です。家計収支や資産状況を整理した結果、持ち家があって老後資金が不足しそうな場合はリースバックの活用を検討しましょう。 リースバックならSBIスマイル もっと詳しく知りたい方はこちら SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定も無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リースバックとは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法で、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続け...記事を読む { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "終活をしている人はどのような理由で始めますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "インターネット調査会社マクロミルの調査によると、終活を始めている人のうち約89%の方が「家族に迷惑をかけたくないから」と回答しました。その次に約48%の方が「病気やけがなどで寝たきりになったりした場合に備えて」、約35%の方が「自分の人生の終わり方は自分で決めたいから」と回答しています。" } }, { "@type": "Question", "name": "生前整理として残しておくべきものはどういうものですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"生前整理として残しておくべきものには、生活必需品などの現在使用しているものに加え、相続にかかわる財産、形見として残したいものなどがあります。特に、相続にかかわる財産は自身の死後に保管場所がわかるようエンディングノートに記載しておくなど工夫が必要です。" } }, { "@type": "Question", "name": "終活として断捨離しておくと良いものはありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"不用なものやしばらく使用していないものは処分をしてしまうことをおすすめします。特に、家具などの処分に労力を要するものは、事前に処分しておくと残された家族の負担を減らすことができます。また、目に見えるものだけでなく、パソコンに保管されたデータなどのデジタルデータも整理しておくと良いでしょう。" } }, { "@type": "Question", "name": "終活をする上での注意点はありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"終活をする人を狙った詐欺や悪徳商法が増加しています。お金が絡むものは、自身で決めるのではなく、家族と相談するなど慎重に判断することをおすすめします。 " }} ] }

  • コロナで住宅ローンの返済がお困りの方へ、ローン減免制度を紹介!

    コロナで住宅ローンの返済がお困りの方へ、ローン減免制度を紹介!

    新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した人を対象に、住宅ローンに加え、カードローン等のその他の債務を抱える方の返済負担を軽減する制度が新たに開始されました。新制度は自然災害による被災者向けの債務整理ガイドラインを改正し、新型コロナを対象に加えた特則で、2020年12月1日から適用されています。 住宅ローンの返済が困難になって自己破産を行う場合、通常は自宅を手放さなくてはなりません。しかし、新制度を利用すれば、自宅を手放すことなく債務の減額・免除を受けられる可能性があります。 この記事では、ローン減免の新制度の概要やポイント、申請の流れについて解説します。 ローン減免制度の概要 ローン減免の新制度は、新型コロナの影響で返済困難となった債務を抱える個人・個人事業主の生活や事業の再建を支援するための制度です。新制度を利用すれば、住宅ローンに加えてカードローンなどの債務を抱える個人・個人事業主は、住宅を手放すことなく、住宅ローン以外の債務の減額・免除を申し出ることができます。具体的には、新型コロナの影響で、以下のような状況にある場合に利用可能です。 失業または収入の減少によりローンが返済できない 住宅ローンに加えてカードローンなどの債務も増え、返済の見通しが立たない 事業を廃業して再スタートしたいが債務を返済できない 新制度では、以下の債務が減免の対象となります。 2020年2月1日以前に借りていた債務 2020年2月2日~10月30日に借りた新型コロナ対応関連の債務 2020年2月1日以前の債務は、住宅ローンやカードローン、事業性ローンなどが対象です。2020年2月2日以降の債務は、政府系金融機関や民間金融機関の新型コロナ関連の貸付が対象となります。 債務の減免を受けるには、一定の要件を満たすことや借入先の同意、簡易裁判所の特定調停手続きが必要です。一定の要件を満たしているかは、債務者の財産や新型コロナの影響前後の収入状況、信用情報などから総合的に判断されます。 ローン減免制度の3つのポイント ローン減免の新制度のポイントは以下3つです。 手続支援を無料で受けられる 新制度を利用する場合、弁護士などの「登録支援専門家」による手続支援を無料で受けられます。手続きには金融機関との協議や書類作成などが必要ですが、専門家から無料で支援してもらえるため、ローン返済が困難な人にとっては利用しやすいでしょう。 個人信用情報として登録されない 債務整理を行う場合、通常は個人信用情報に登録されるため、当面は借り入れが難しくなります。しかし、新制度なら個人信用情報に登録されないため、将来借り入れがしやすいメリットがあります。 財産の一部を手元に残せる 債務者の生活状況や個別事情によって異なりますが、財産の一部を手元に残すことも可能です。新制度を利用することで、通常の債務整理(自己破産など)より多くのお金を残せるかもしれません。 ローン減免制度の申請の流れ ローン減免の新制度を申請するときの流れは以下のとおりです。 借入先の金融機関に手続着手を申出 専門家による手続支援の開始 債務整理の申出 特定調停の申立 調停条項の確定(債務整理の成立) 新制度の利用を希望する場合、まずは最も多額のローンを借りている金融機関に手続着手の申出を行います。金融機関の同意を得られたら、地元弁護士会などを通じて登録支援専門家による手続支援を依頼しましょう。 その後は専門家の支援を受けながら、金融機関に債務整理の申出を行い、必要書類の作成や金融機関との協議を進めます。債務整理の対象にしようとするすべての金融機関から同意を得られた場合、簡易裁判所へ特定調停を申し立て、調停条項が確定すれば債務整理は成立します。 ローン減免制度の注意点 ローン減免の新制度を利用する際は、以下の点に注意する必要があります。 新型コロナ以外の理由でローン返済が困難になった場合は利用できない 過去に滞納などの契約違反があると利用できない可能性がある 特定調停の申立費用は債務者の負担となる 今回の新制度は、あくまでも新型コロナの影響での失業・収入減により、債務の返済が困難になった個人・個人事業主が支援の対象です。新型コロナ以外の理由でローン返済が困難になった場合、新制度は利用できません。 利用要件を満たすかどうかは、収入状況やローンの支払条件、家計の状況などから総合的に判断されます。そのため、過去に滞納などの契約違反がある場合は、金融機関から同意を得られない可能性があります。 また、専門家による手続支援は無料で受けられますが、特定調停の申立費用については債務者の負担となります。 まとめ 新型コロナの影響で住宅ローンやカードローンなどの返済に困っている場合、ローン減免の新制度を利用すれば、自宅を手放さずに済むかもしれません。また、新制度は個人信用情報に傷がつかないので、将来借り入れがしやすいメリットもあります。専門家による手続支援も無料で受けられるので、まずはローンを借りている金融機関に相談してみてはいかがでしょうか。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 【FP相談事例】コロナウイルスの影響で住宅ローン返済に困ったら コロナウイルスの影響で家計の収入がダウンし、住宅ローンが重荷になってきた家庭は少なくありません。住宅ローンそのものの見直しも考えられますが、長期的なローン負担を気にして、もっと迅速かつ身軽に...記事を読む

  • 老後にリースバックを利用すると得られる4つのメリット

    老後にリースバックを利用すると得られる4つのメリット

    リースバックは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるサービスです。リースバックを利用することで老後の不安を解消し、より快適な生活が送れるようになるかもしれません。この記事では、老後にリースバックを利用すると得られる4つのメリットを紹介します。 メリット①:老後資金を確保できる 持ち家があって老後の生活費が足りない場合、通常は自宅の売却を検討するのではないでしょうか。しかし、自宅を売却すると転居先を決めたり、引っ越しの手間や費用が発生したりします。また、慣れ親しんだ自宅に住み続けたいのであれば、リースバックも選択肢のひとつとなるでしょう。 リースバックで自宅を売却すれば、まとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられます。また、住宅ローンの返済が苦しくて老後資金を貯められない場合も、リースバックの売却資金で住宅ローンを一括返済すれば、家計収支を改善できます。 関連記事はこちら老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳以上編) メリット②:相続問題が解決される リースバックは、複数の相続人がいる場合に、相続問題を解決する手段としても利用できます。不動産は実物資産であるため、複数の相続人がいる場合は簡単に分けられません。相続資産の大部分を自宅が占める場合、財産をどのように分けるか折り合いがつかず、相続争いが起こることもあります。 しかし、リースバックで自宅を売却すれば、所有権がリースバック運営会社に移転するため、自宅をどう分けるかを考えなくて済みます。特に相続財産が自宅と預貯金のみの場合、不動産を現金化すれば相続財産は預貯金のみとなるので、均等に分配しやすくなります。 関連記事はこちら相続争いを生まないためのリースバックという選択肢 メリット③:固定費の増加要因や突発的な支出がなくなる 老後の家計収支を安定させるには、固定費を下げたり、突発的な支出を減らしたりすることが大切です。 持ち家の場合、家賃を払う必要はありませんが、固定資産税がかかります。また、マンションなら、管理費や修繕積立金の支払いも必要です。他にも、設備の故障などで急にまとまった支出が発生する可能性もあるでしょう。 そのようなときにリースバックで賃貸に切り替えて、毎月一定額の家賃を払うようにすれば、家計管理がしやすくなります。また、固定資産税や管理費・修繕積立金がなくなり、家賃のみの支払いになるほか、老朽化などで設備が故障した場合の費用がオーナー負担となるのも安心材料です。 関連記事はこちら老後に賃貸と持ち家ではどう違う?メリット・デメリットを解説 メリット④:自然災害リスクを減らせる リースバックで自宅を売却して賃貸に切り替えれば、自然災害で住居に被害が出ても、修繕費用などはリースバック運営会社が負担してくれます。しかし、持ち家の場合は、修繕や建て替えにかかる費用は自分で負担しなくてはなりません。 持ち家の場合には火災保険や地震保険に加入することで備えることもできますが、保険に加入していても、保険金で費用を全額カバーできず、持ち出しが発生する場合があります。また、災害などで住むことができない状態になったとしても、住宅ローンが残っている場合、基本的にローン返済は免除されません。 近年では、地球温暖化の影響により、台風や洪水などの自然災害リスクが高まっています。また、日本は地震大国でもあり、過去には阪神・淡路大震災や東日本大震災といった大地震も発生しているので、楽観視できないでしょう。そのため、自宅に住み続けながら自然災害リスクに備えたいなら、リースバックは有効な手段となるでしょう。 関連記事はこちら地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 老後のリースバックに関するよくあるご質問 老後にリースバックを利用するにあたり、よくあるご質問を3つ紹介します。 Q. リースバックを利用した後、ずっと住み続けられますか? リースバックの賃貸借契約には、「定期借家契約」と「普通借家契約」の2種類があります。定期借家契約の場合は再契約できる保証がなく、2~3年の契約期間満了後に退去しないといけなくなる恐れがあります。できるだけ長く住み続けたい場合は、普通借家契約が可能な運営会社を選ぶと安心です。 Q. 毎月の家賃を安くすることはできますか? リースバックの家賃は売却価格と家賃のバランスで決まり、売却価格が安くなると家賃も安くなります。そのため、運営会社と交渉して売却価格を抑えることで、周辺の賃料相場より家賃をかなり安く設定することも可能です。ただし、売却価格を抑えすぎると調達できる資金が少なくなります。リースバックの家賃を安くしたい場合は、売却価格とのバランスを検討してから交渉しましょう。 Q. 配偶者が契約を引き継ぐことができますか? 自宅をリースバックで売却した場合、残された配偶者が契約者である夫(妻)が死亡した後も住み続けられるか気になるのではないでしょうか。賃貸借契約は相続の対象になるため、夫(妻)の死亡後も配偶者が契約を引き継ぐことが可能です。念のため、運営会社に契約を引き継げるかを確認しておくと安心です。 デメリットは「家を遺せないこと」 リースバックの最大のデメリットは、家を遺せないことにあります。自宅の所有権が運営会社に移転してしまうので、子供に家を遺したい場合は、リースバックを利用すべきではありません。 家を遺すことにこだわりがなければ、老後資金や相続問題など、自身の抱えている悩みがリースバックによって解決できるのかどうかを考えてみましょう。ご自身で判断が難しければ、専門家に相談してみるのもおすすめです。 まとめ 「家を遺せない」というデメリットを許容できるのであれば、老後のリースバックはいくつかの問題を解決する選択肢となります。持ち家があり、老後資金や相続、自然災害などの不安を抱えているなら、リースバックを検討してみてはいかがでしょうか。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む

  • 相続争いを生まないためのリースバックという選択肢

    相続争いを生まないためのリースバックという選択肢

    自宅を所有していると、老後も住み続けられる安心感がある一方で、相続に不安を感じることもあるのではないでしょうか。不動産は実物資産であるため、相続人が複数いると簡単に分けられません。また、相続財産の大部分を不動産が占める場合は、財産をどう分けるか折り合いがつかず、相続争いが生まれる可能性があります。 しかし、リースバックで自宅を売却すれば、同じ家に住み続けながら相続争いを回避できます。この記事では、リースバックで相続問題を解決できる理由について説明します。 なぜ相続争いが生まれるのか 相続争いが生まれる理由はさまざまですが、その最たる例のひとつが不動産(自宅)に関連する理由です。たとえば、相続財産が不動産と預貯金のみで、不動産が占める割合が大きいと相続争いが生まれやすくなります。なぜなら、複数の相続人がいる場合、相続人全員が納得する形で財産を分けるのが難しいからです。 均等に財産を分けるという観点で考えれば、不動産は持分相続ができるので、1つの不動産を複数人で相続することも可能です。しかし、相続後にその不動産を1人の使用者が専有した場合には、相続人の間に不平等が生まれることになります。親族間で賃貸借契約を結んで適正な家賃を支払うことで平等に近い形に是正することは可能ですが、あまり現実的な方法とは思えません。 相続争いの具体例を紹介 不動産の相続の難しさがイメージできるように、具体例を1つ紹介します。相続財産が不動産(4,000万円)と預貯金(2,000万円)の合計6,000万円、相続人が配偶者と子2人のケースについて確認しましょう。法定相続分は配偶者が1/2、子はそれぞれ1/4です。相続財産は合計6,000万円なので、法定相続割合で分けると以下のようになります。 配偶者:3,000万円(6,000万円×1/2) 子(A):1,500万円(6,000万円×1/4) 子(B):1,500万円(6,000万円×1/4) また、法定相続割合で不動産と預貯金を均等に分割する場合、相続財産は以下のように分けられます。 配偶者:不動産2,000万円、預貯金1,000万円(合計3,000万円) 子(A):不動産1,000万円、預貯金500万円(合計1,500万円) 子(B):不動産1,000万円、預貯金500万円(合計1,500万円) 不動産に持分を設定することで、上記のように資産を均等に分けることができます。しかし、その不動産を配偶者のみが占有して利用する場合には、当然平等であるとは言えないでしょう。 リースバックで相続問題を解決できる理由 先程紹介したようなケースの場合、リースバックを利用することで相続問題を解決できます。リースバックとは、自宅を売却したうえで賃貸借契約を結び、家賃を払うことで売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。 相続争いを避けるために自宅を売却すると、通常は別の住居を探さなくてはなりません。しかし、リースバックなら家賃を払うことで、売却後も同じ家に住み続けられます。また、不動産を現金化することで、相続財産は預貯金のみとなるため、相続財産を均等に分配できます。 先ほどのケースで、リースバックを利用しており、不動産を2,800万円*で売却していた場合には下記のような遺産分割となります。 ※一般的にリースバックの買取価格は評価額の7割程度とされているため、4,000万円×70%=2,800万円としています。 配偶者:預貯金2,400万円 子(A):預貯金1,200万円 子(B):預貯金1,200万円 上述のとおり、相続財産が預貯金のみであれば、相続人同士でもめることなくスムーズに遺産分割ができるでしょう。加えて、もしその家に住み続けたい相続人がいた場合でも、賃貸借契約を承継し、自らが家賃を支払ってその家に住み続けることになるので、公平と言えます。 リースバックを利用するタイミング リースバックの利用は相続争いを無くすという点からは、生前に行うことが理想ですが、相続発生後であっても可能です。しかし、相続発生後に手続きをすると、相続税や所得税などの税金面で複雑化することや、持分相続の場合に共有者全員の同意が必要などの制限が発生します。 このような点から相続発生後のリースバック利用にも争いが生まれる可能性があり、相続発生後にリースバックを利用するのであれば、生前にリースバックを利用しておいた方が良いと言えるでしょう。 もう一つの選択肢としての不動産担保ローン 相続する不動産に長期的な視点で資産価値がある場合やその不動産への愛着が強いなどの理由で所有権を手放したくない場合には、不動産担保ローンを利用するといいでしょう。不動産担保ローンとは、土地や建物、マンションなどの不動産を金融機関に担保として差し入れるかわりにお金を借りられる融資方法の一つです。 そのため、相続財産である不動産を担保に融資を受けることで、相続人同士の金銭的な不平等を解決するための資金を用意することができます。 関連記事はこちら相続で不動産担保ローンを活用する4つの事例を紹介 Appendix:リースバックで相続税対策できる? 不動産の相続税評価額は、おおよそ実際に売却できる金額の7~8割程度の金額となるため、不動産を売却して現金化するよりも相続税を抑えることができると考えられます。そのため、一般的には資産を現金として持っておくよりも不動産として持っておく方が、相続税対策になると言われています。 一方で、リースバックは元々相場の7割程度の価格で売却する仕組みであり、運営会社と話し合って月々の家賃と売却価格も抑えることができる場合もあります。そうして手元に入る現金が、不動産の相続税評価額を下回るのであれば、相続税対策になることもあるでしょう。 まとめ 相続財産の大部分を不動産が占める場合、複数の相続人がいると相続争いが生まれる恐れがあります。しかし、リースバックを利用すれば、住む家を確保しながら財産を均等に分配できない問題を解決できます。自宅の相続に不安を感じているなら、リースバックを活用した相続対策も検討してみましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む

  • 老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳以上編)

    近年、60歳を過ぎて老後を迎えても、住宅ローンを完済していない人が増えています。定年後も働いて安定収入がある人や預貯金が十分にある人であれば、住宅ローンが残っていても問題なく生活できるかもしれません。 しかし、老後に十分な余裕がない場合、住宅ローンの返済は家計に大きな負担となります。そして、住宅ローンが残っている状況で老後資金を確保するには、不動産をうまく活用することが大切です。この記事では、60歳以上の人が老後資金を確保するための住宅ローン返済術を紹介します。 住宅ローンの状況を整理する リ・バース60の取り扱いを開始致しました。詳細はこちら 不動産を利用して老後資金を確保するために、まずは住宅ローンの状況を整理しましょう。具体的には、以下の項目について確認します。 年齢(現在の年齢、完済予定年齢) 借入金額(現在の残債、当初の借入金額) 借入金利(変動金利の固定金利のどちらか) 返済期間(残返済期間、当初返済期間) これらの状況によって、とるべき解決策は変わってきます。退職希望年齢は、今のところの予定で問題ありません。その他の項目は、住宅ローンの返済予定表で確認できます。 不動産を利用して老後資金を確保する方法をケース別に紹介 住宅ローンや家計の状況などによって、最適な解決策は異なります。ここでは、4つのケース別に、不動産を利用した老後資金対策を紹介します。 ①住宅ローンの返済額が大きく、毎月の返済が厳しい 住宅ローンの返済が厳しい場合は、毎月の支払い額を抑えて返済負担を軽減することが大切です。具体的には、以下2つの解決策があります。 (1)リバース60 リバース60とは、住宅ローンの一種で満60歳以上の方向けの商品です。通常の住宅ローンとは違い、毎月の支払いは利息のみです。元金は債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して返済するか、現金で一括返済するかを選べます。 現在の住宅ローンをリバース60へ借り換えることで元金の返済義務がなくなり、毎月の返済が利息のみとなるので、毎月の支払い額を減らせます。ただし、元金は据え置きのため、支払いが生涯続くことになる点に注意が必要です。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 (2)リースバック リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられます。 リースバックで賃貸に切り替えることで、住宅ローンの返済額と管理費や修繕積立金、固定資産税を併せた金額より家賃のほうが低くなれば、毎月の支払い額を減らせます。運営会社との相談にはなりますが、毎月の家賃は売却価格との調整が可能です。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 ②お金が必要となったが、預貯金がほとんどない 十分な預貯金がない場合、不動産(自宅)を担保とした借り入れを検討しましょう。ただし、住宅ローンの残債がある程度減っていることが条件となります。利用できるローン商品は以下2つです。 (1)不動産担保ローン 不動産担保ローンは文字どおり、不動産を担保に借り入れができるローンです。無担保ローンよりも金利が低く、長期間の借り入れができるので、返済額を抑えながら必要な資金を確保できます。 不動産担保ローンは事務手数料や印紙代、登記費用などがかかりますが、借入金額と相殺されるため、手元資金を用意する必要はありません。一方で、万が一返済不能となった場合は不動産を失う可能性もあるので、無理のない返済計画を立てることが大切です。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 (2)リバースモーゲージ リバースモーゲージとは、自宅を担保に借り入れができる高齢者向けのローン商品です。毎月の支払いは利息のみで、債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する仕組みとなっています。 不動産担保ローンと異なり、毎月の返済は利息のみなので、月々の支払いをさらに抑えることができます。ただし、元金は据え置きのため、借入金額が増加するほど支払いが厳しくなり、返済期間が長期化する恐れがあります。 関連記事はこちらリバースモーゲージとは?メリット・デメリットや仕組みを解説 ③住宅ローン完済の見通しが立たない 住宅ローン完済の見通しが立たない場合は、以下のサービスを利用して住宅ローンを完済し、少しずつ家計収支を改善していくのがおすすめです。 (1)リバース60 60歳を過ぎると通常の住宅ローンを組むのは難しくなりますが、リバース60は対象年齢が「満60歳以上」で、収入が公的年金のみでも利用できます。毎月の支払いは利息のみで済むので、毎月の返済額を抑えられるのもメリットです。借り入れた資金で住宅ローンを完済しながら、家計収支の改善が期待できます。 (2)リースバック 住宅ローンの返済が難しい場合は、自宅の売却を検討しなくてはなりません。リースバックなら、自宅を売却した資金で住宅ローンを完済した後も、家賃を払うことで同じ家に住み続けられます。今後も自宅に住み続けたいなら、リースバックも選択肢のひとつになるでしょう。 老後資金を確保するための住宅ローン返済事例 ここでは、老後資金を確保するために不動産を活用した事例を2つ紹介します。 事例①:住宅ローン+管理費の支払額が大きく、毎月の返済がつらい Aさんの住宅ローンの状況 年齢63歳(住宅ローン借入年齢40歳) 借入金額1,700万円(当初借入金額4,000万円) 借入金利2.0% 返済期間12年(当初借入期間35年) 毎月返済15.7万円(ローン返済 + 管理費等) Aさんは、自宅マンションの購入で借りた住宅ローンの返済がまだ12年残っていますが、ローン返済と管理費の支払額が大きく、家計を圧迫しています。そこで、毎月の収支を改善するためにリースバックを利用しました。 Aさんのリースバック利用後の状況 年齢63歳 借入金額0円 家賃11万円 リースバックを利用したことで、住宅ローンを完済したうえで、手元資金300万円を確保しました。買取の金額は2,500万円まで可能とのことでしたが、毎月の支払いを抑えるために調整した結果、毎月の支払い額を4.7万円削減することができました。 事例②:急遽お金が必要となったが預貯金がほとんどない Bさんの住宅ローンの状況 年齢67歳(住宅ローン借入年齢35歳) 借入金額300万円(当初借入金額3,500万円) 借入金利2.0% 返済期間3年(当初借入期間35年) 毎月返済11.6万円 Bさんは急遽まとまったお金が必要になりましたが、預貯金がほとんどない状況です。住宅ローンの返済は残り3年で残債も少なくなっていたので、必要資金の借り入れと併せて、返済負担の大きい住宅ローンの完済のため、以下の条件で不動産担保ローンを借りることにしました。 Bさんの不動産担保ローン利用後の状況 年齢67歳 借入金額500万円 借入金利5.0% 返済期間10年 毎月返済5.3万円 自宅を担保に不動産担保ローンを利用することで、住宅ローンの完済費用と急遽必要となった資金を調達できました。また、返済期間を10年としたことで、毎月の返済金額を6.3万円削減することに成功しました。なお、諸費用は20万円程度かかりましたが、融資金で精算することで、持ち出しなく融資を受けることが出来ました。 まとめ 60歳を過ぎて住宅ローンの返済が残っていると、老後の生活費に不安を感じるかもしれません。しかし、不動産(自宅)をうまく利用すれば、毎月の支払額を減らしたり、まとまった資金を調達したりすることも可能です。不動産を利用した老後資金の確保を検討してみましょう。 リ・バース60の商品詳細はこちら お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 夫婦の老後資金はいくら必要?足りない時の対処法も紹介 「人生100年時代」や「老後2,000万円問題」などに起因して、「老後資金」という言葉が注目を集めています。老後破産に陥らないためにも、夫婦で必要な老後資金を把握し、なるべく早くから準備して...記事を読む

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