住まいのことが知りたい

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「住まい」の記事一覧

  • 不動産買取保証とは?メリット・デメリットや注意点を解説

    不動産仲介で物件を売却する場合、買主がなかなか見つからず、売却が予定通りに進まないことで現金化できないリスクがあります。このリスクを回避する手段として、「不動産買取保証」を利用することが選択肢の一つとなるでしょう。この記事では、不動産買取保証の仕組みとメリット・デメリットを詳しく解説します。 不動産買取保証とは 不動産買取保証とは、不動産仲介と不動産買取を組み合わせた売却方法です。「買取保証付き仲介」と呼ばれることもあります。まずは仲介で売却活動を行い、一定期間が経過しても売却できない場合に不動産会社が物件を買い取る仕組みです。 ※筆者作成 不動産の売却方法は、主に不動産会社が買主を探す「仲介」と、不動産会社が直接物件をを買い取る「買取」の2種類があります。仲介は相場に近い価格で売却できますが、買主が見つかるまでに時間がかかることがあります。買取は速やかに現金化できますが、売却価格は相場より安くなる傾向にあります。 不動産買取保証は、まずは相場で売却できるように販売活動を行い、売れない場合は最終的に不動産会社が買い取るため、仲介と買取の併用型といえるでしょう。 関連記事はこちら不動産買取のメリット・デメリットとは?不動産業者の選び方も解説 不動産買取保証のメリット・デメリット 不動産買取保証には次のようなメリット・デメリットがあります。両者を比較して、自分の意向に適しているかを確認しましょう。 メリット 不動産買取保証のメリットは、不動産が売却できないリスクを回避できる点にあります。仲介で一定期間が経過しても売却できない場合、不動産会社が買い取ってくれるため、現金化が必要な際にも計画通りに売却を進めることが可能です。 また、買取となった場合は買主が不動産会社になるため、「仲介手数料が無料になる」「契約不適合責任が免責になる」といったメリットがあります。 仲介手数料の上限額は「(売買価格×3%+6万円)+消費税(税率10%)」です(売買価格400万円超の場合)。売買価格が3,000万円であれば、仲介手数料の上限額は税込105.6万円となります。 契約不適合責任とは、売却した不動産が契約内容に適合していない場合に、売主が買主に対して負わなくてはならない責任のことです。不動産買取の場合、この契約不適合責任が免責となるため、売却後に修繕費用の負担や損害賠償が生じるリスクを避けられます。 関連記事はこちら不動産売買の仲介手数料とは?相場と上限額や計算方法を解説 デメリット 不動産買取保証のデメリットは以下のとおりです。 あらかじめ決めた仲介期限を迎えたら買取になる 取り扱える不動産会社は限られる 積極的に売却活動をしてもらえない恐れがある 仲介で一定期間が経過しても売却できない場合は、買取に切り替わり、相場よりも安い価格で現金化することになります。不動産買取保証を取り扱っている不動産会社は多くないため、依頼先を探すのに苦労するかもしれません。 また、不動産会社が「自社で買い取り再販したい」と考えている場合、仲介での売却活動が積極的に行われない恐れもあります。 不動産買取保証が向いている場合 不動産買取保証が向いているのは、できるだけ高い価格で物件を売却したいが、売却期限が決まっている場合です。具体的には、次のような状況が当てはまります。 新居への住み替えまでに売却したい 転勤日までに売却したい 離婚による財産分与のため期限を設けながらもできるだけ高く売却したい 相続した不動産を売却して現金で財産分与したい 住宅ローンの返済が困難で任意売却したい いずれもスケジュールを見据えながら、確実に不動産の売却を進めることが重要です。相続は相続税の納付期限があるため、納税資金を確保しなくてはなりません。任意売却では、売却価格などを決めたうえで金融機関の同意を得る必要があります。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 不動産買取保証での売却の流れ 不動産買取保証での売却の流れは以下のとおりです。 不動産会社を選ぶ 不動産会社と媒介契約を締結する 売却活動を行う 売却できなければ買取の手続きを行う 不動産買取保証を取り扱っている不動産会社を探し、安心して依頼できる会社が見つかったら媒介契約(専属専任媒介契約)を締結します。不動産会社と協力しながら、売買価格の設定や物件情報の掲載、内覧対応などの売却活動を行いましょう。 売却活動の期間中に買主が見つかれば、一般的な売買契約締結に向けて手続きを進めます。一定期間が経過しても売却できない場合には、不動産会社による買取手続きを行うことになります。 関連記事はこちら自宅売却の流れや損をしないためのポイントを解説 不動産買取保証を利用するときの注意点 不動産買取保証では専属専任媒介契約を締結するため、一度不動産会社を決めると媒介契約の期間である3か月程度は仲介会社の変更ができません。そのため、複数の不動産会社を比較検討して、契約する会社を選ぶことが大切です。 エリアや物件種別によって不動産会社ごとに得意とする分野が違うので、慎重に見極めましょう。不動産会社選びでは、営業担当者の対応が丁寧で信用できるかも重要なポイントになります。 まとめ 不動産買取保証は、仲介で一定期間が経過しても売却できなければ不動産会社が買い取るため、期限までに不動産を売却しなくてはならない場合に向いています。不動産買取保証を利用する場合は、複数の不動産会社を比較検討して信頼できる会社を選びましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産の購入・売却にかかる税金をそれぞれ解説 不動産売買の際には、購入する側と売却する側のそれぞれに税金がかかります。不動産売買の予定がある場合は、あらかじめどのような税金が発生するのか知っておくことが重要です。 この記事では、不動産の...記事を読む

  • 防火地域・準防火地域とは?特徴や建築制限、メリットをわかりやすく解説

    マイホームの取得を検討していると、「防火地域」「準防火地域」という言葉を聞くことがあるかもしれません。どちらも防火対策のために法律で指定されている地域ですが、何が違うのでしょうか。また、建物を建てる際にどのような制限があるのでしょうか。 この記事では、防火地域・準防火地域の特徴や建築制限、メリットなどをわかりやすく解説します。 防火地域・準防火地域とは 防火地域・準防火地域とは、都市計画法において市街地や住宅密集地での火災を防ぐために指定された地域です。都市計画法では次のように規定されています。 防火地域又は準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする。 出典)e-Gov法令検索「都市計画法第9条第21項」 防火地域・準防火地域はどちらも建築制限が設けられており、その内容は異なります。また、防火地域・準防火地域には指定されていなくても、火災を防ぐことを目的に「新たな防火規制区域(東京都の場合)」や「法22条区域」に指定されている地域もあります。 それぞれの地域(区域)の特徴を確認していきましょう。 関連記事はこちら都市計画法とは?概要や定められている内容を解説 防火地域の特徴・建築制限 防火地域は、都市の中心部で商業施設が建ち並び人通りや交通量の多い場所や災害時に緊急車両が通る幹線道路沿いなどが指定されます。火災による被害が拡大しやすく、防火対策の必要性が非常に高い地域です。 防火地域では、「3階以上の建物」「延べ面積100㎡超の建物」は耐火建築物としなくてはなりません。耐火建築物とは、建築基準法(第2条第9号の2)に定められた、「主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)が耐火構造であること」などの基準に適合する建築物です。 また、「2階以下で延べ面積100㎡以下の建物」は準耐火建築物とする義務があります。準耐火建築物とは、建築基準法(第2条第9号の3)で定められた、「主要構造部を準耐火構造とすること」などの基準に適合する建築物です。 ※筆者作成 準防火地域の特徴・建築制限 準防火地域は、駅前の周辺など住宅が分布している地域などが指定されます。防火対策の必要性は高いものの、防火地域に比べると規制は緩やかです。 準防火地域では、「4階以上の建物」「延べ面積1,500㎡超の建物」は耐火建築物としなくてはなりません。また、「3階以下で延べ面積500㎡超1,500㎡以下の建物」は準耐火建築物とする義務があります。 延べ面積が500㎡以下であれば、一般的な木造2階の戸建住宅も建築可能です。ただし、屋根や外壁、開口部(換気扇など)、軒裏などに所定の防火措置を行う必要があります。 ※筆者作成 出典) ・国土交通省「防火地域等における建築物の規制【法第22条】【法第61条】【法第62条】」 ・国土交通省「耐火建築物・準耐火建築物」P.13 ・埼玉県「みんなで取り組もう 火災に強いまちづくり」 新たな防火規制区域とは 新たな防火規制区域とは、木造密集地域における災害時の安全性を確保するために、東京都が条例に基づいて指定する区域です。 対象区域では、原則として、すべての建築物は準耐火建築物以上としなくてはなりません。また、「延べ面積500㎡超の建物」は耐火建築物とする必要があります。 ※筆者作成 出典)東京都都市整備局「新たな防火規制について(制度の概要)」 法22条区域とは 法22条区域(建築基準法第22条指定区域)とは、火災による延焼を抑止するために、特定行政庁が防火地域・準防火地域以外の市街地に指定する区域です。法22条区域は、建物の屋根を不燃材料で造るか、不燃材で葺(ふ)くことを義務づけられています。 基本的に火は上に向かって燃え広がるため、火災を抑えるために定められた要件を満たす材料を用いて、屋根の防火性能を強化することが必要です。 耐火構造・準耐火構造・防火構造の違い 建物の防火性能を表す主な基準として、「耐火構造」「準耐火構造」「防火構造」の3つがあります。防火地域と準防火地域では、これらの基準が異なるため、それぞれの違いを理解しておきましょう。 耐火構造とは 耐火構造とは、火災が発生し一定時間の火熱が加えられても損傷などが生じない構造です。耐火建築物では、通常の火災が終了するまでの間、建築物の倒壊や延焼を防止するため、主要構造部を耐熱構造とすることになっています。 建築物の階数や部分によって異なりますが、最上階から数えた階数が20以上の階の場合、柱とはりは最長3時間、損傷が生じない性能が求められます。 準耐火構造とは 準耐火構造とは、火災が発生し一定期間の火熱が加えられている間は損傷などが生じない構造です。耐火構造とは異なり、火災が終了した後に損傷が生じることは許容されます。 準耐火建築物では、通常の火災による延焼を抑制するため、主要構造部を準耐火構造とすることになっています。建築物の部分によって異なりますが、最長45分間、損傷が生じない性能が求められます。 防火構造とは 防火構造とは、防火地域・準防火地域において、比較的小規模の住宅を建てる場合に求められる構造です。 外壁に火熱が加えられた場合に、30分間は損傷が生じない性能が求められます。外壁と軒裏については、30分間は加熱面以外の温度が一定以上に上昇しないことも要件です。 出典) ・国土交通省「耐火建築物・準耐火建築物」P.13-14 ・建築基準法施行令「第四章 耐火構造、準耐火構造、防火構造、防火区画等」 耐火構造の建物建築のメリット 耐火構造の建物を建築すると、次のようなメリットを得られます。 建ぺい率の緩和 建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合です。防火地域・準防火地域において、建ぺい率が80%以外に指定されている場合は、次の要件を満たすと建ぺい率が10%加算されます。 防火地域:耐火建築物を建てる場合 準防火地域:耐火建築物または準耐火建築物を建てる場合 建ぺい率が高くなれば、建物を建てるときに使える敷地がより広くなります。 火災保険料の割引 火災保険の保険料率は、建物の構造によって異なります。火災が起きたときの燃え広がり方などによって、被害の程度や倒壊しやすさなどのリスクが異なるからです。 M構造 耐火性能を有する共同住宅(コンクリート造のマンションなど) T構造 M構造以外の耐火性能を有する建物および準耐火性能を有する建物(鉄骨造など) H構造 M構造、T構造以外の建物(木造など) 火災保険の保険料率は「M構造、T構造、H構造」の順に高くなるため、耐火構造の建物を建築することは火災保険料の節約につながります。 出典)損害保険料率算出機構「2023年度火災保険・地震保険の概況」P.16 防火地域・準防火地域を調べてみよう 自治体によっては、インターネットで防火地域・準防火地域を調べることが可能です。 東京都の場合、「都市計画情報等インターネット提供サービス」の都市計画情報で確認できます。地域を指定し、表示切替で「防火・準防火地域」を選択すると、地図上に情報が表示される仕組みです。 出典)東京都 都市整備局「都市計画情報等インターネット提供サービス」 その他に、自分が住む地域名と防火規制で検索する方法もあります。 まとめ 防火地域・準防火地域は、どちらも市街地での火災を防ぐために指定された地域です。建築費用が高くなる傾向にありますが、建ぺい率の緩和や火災保険料の割引を受けられるメリットもあります。マイホームの取得を検討する際は総合的に判断しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 敷地面積の制限とは?概要や目的、最低敷地面積の調べ方を解説 近年の土地価格の上昇に伴い、大きな土地のままでは不動産を購入できない人が増加しています。そのような背景から、大きな土地を分割(分筆)することで価格を抑えた、小規模住宅が増えています。しかし、...記事を読む

    2024.09.18制度
  • 老後のマンション住まいのメリット・デメリットを解説

    老後の住まいとしてマンションを検討することがあるかもしれません。マンションは利便性が高いイメージがありますが、実際に住んだことがない人は、自分に合っているか不安に感じることもあるでしょう。 この記事では、戸建てと比較しながら老後の住まいにマンションを選ぶメリットやデメリット、注意点について解説します。 老後の住み替えの主な理由 SBIエステートファイナンス株式会社が2022年6月に実施したアンケート調査によると、60歳以上の持ち家所有者で「自宅を住み替えたい」と考えている人の主な理由は、「建物の老朽化」と「間取りへの不満(広すぎる、狭すぎる)」がともに38%を占めていました。 これらの理由から簡易的なリフォームでは解決しにくい建物への不満があると考察できます。また、建物自体に問題がなくとも、定年退職や子どもの独立といったライフイベントがタイミングとして考えられるでしょう。 関連記事はこちらシニアが自宅売却と物件購入を同時に実現する難しさ 高齢になるほどマンションは困りごとが少ない 住宅金融支援機構の調査によると、住宅について困っていることについて「特に困っていることはない」と回答した50代~70代の割合は以下のとおりです。 「特に困っていることはない」の割合 年代/住まい マンション 戸建て 50代51.4%42.3% 60代62.3%39.0% 70代80.0%43.4% マンションと戸建てを比較すると、全年代でマンションのほうが「特に困っていることがない」という回答が多い結果となりました。さらに、マンションは高齢になるほど「特に困っていることはない」の割合が増加しており、70代では8割にのぼります。 出典)住宅金融支援機構「高齢者の住宅ニーズ等の分析」P.16 項目別では、マンションは「住宅が狭い」、戸建ては「庭の手入れや冬の雪かきが面倒」「内壁や外壁がところどころ傷んでいる」の割合が高くなっています。 出典)住宅金融支援機構「高齢者の住宅ニーズ等の分析」P.16 老後の住まいにマンションを選ぶメリット 老後のマンション住まいは、戸建てに比べて次のようなメリットがあります。 管理が楽 マンションでは、毎月管理費と修繕積立金を支払うことで管理会社が共用部の清掃や修繕を行います。エントランスや廊下、庭などの清掃は管理人に任せることができます。さらに、エレベーターなどの設備の故障、建物の劣化なども管理会社が修繕工事を手配してくれます。 戸建てでは、基本的に清掃や修繕はすべて自分で行うことになるので、マンションのほうが管理は楽といえます。 利便性が高い 高齢になるにつれて、体力面で長距離の移動は難しくなるかもしれません。郊外に位置する戸建ての場合、エリアによっては買い物や通院に時間がかかります。 マンションは都市部の駅近など、利便性の高いエリアに供給されていることが多いです。公共交通機関が利用しやすく、商業施設や病院などが近くにあるマンションなら老後も快適に暮らせるでしょう。 セキュリティが高い マンションは、セキュリティが高いのもメリットです。近年では、オートロックや防犯カメラ、宅配ボックスなどが標準でついているところもあります。外部から侵入しにくい環境が整っているため、防犯面以外でも無理な勧誘などのトラブルを回避できるでしょう。 戸建てもセキュリティ対策は可能ですが、共用のエントランスや常駐の管理人がいないため、マンションに比べると外部から侵入しやすく、防犯強化のための費用もかかります。 資産価値が維持されやすい 戸建ては、築年数が古くなると建物の評価が下がることが一般的です。それに対して、マンションは資産価値が維持されやすく、立地が良ければ築年数が古くなっても値上がりする可能性もあります。 万が一、老後の生活費が不足した場合、資産価値が維持されていれば、不動産売却や自宅を担保にした借り入れにより、まとまった資金を作ることも可能です。 老後の住まいを選ぶ際のポイント 老後の住まいを選ぶ際の主なポイントは次の3つです。 持ち家か賃貸か マンションか戸建てか 都市部か郊外か 住まいを選ぶうえではさまざまな要因が関係しますが、基本的には上記3つを組み合わせて考えるといいでしょう。それぞれの特徴を理解できれば、自分に合った理想の住まいが見えてきます。老後の住まいを選ぶ3つのポイントについては、以下の記事で詳しく説明しています。 関連記事はこちら老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 老後の住まいにマンションを選ぶ注意点 老後の住まいにマンションを選ぶ場合は、次のような点に注意が必要です。 騒音やプライバシーのトラブルがある マンションは、同じ建物内に多くの人が住む集合住宅です。部屋は別でも近隣との居住空間は近いため、騒音やプライバシーに関するトラブルが発生しやすい環境といえます。 生活音だけでなく、ゴミの出し方や駐車場の使い方などでトラブルになり、人間関係がうまくいかなくなる場合もあります。 戸建ても近隣トラブルが発生する恐れはありますが、近隣とは建物が分かれており、一定の距離が保たれているため、マンションに比べるとトラブルは発生しにくいでしょう。 リフォームやリノベーションの制限がある マンションでは管理規約が定められており、その規約を守って生活する必要があります。規約において、リフォームやリノベーションに制限が設けられているケースも少なくありません。 希望に合わせてリフォームやリノベーションができる戸建てに比べると、マンションは自由度は低いといえるでしょう。 マンションならではの制限がある マンションは「ペット禁止」などの制限が設けられていることもあり、戸建てに比べると自由度が低い傾向にあります。また、思わぬエレベーターの故障など、マンションならではの問題が発生することもあります。 まとめ マンションのメリットは、物件管理に手間がかからず、利便性やセキュリティが高いことです。また、戸建てに比べて資産価値が維持されやすい傾向にあります。一方で、騒音などのトラブルが発生しやすく、リフォームなどの制限が設けられていることがあります。 それぞれのメリットとデメリットを比較検討したうえで、老後の住まいにマンションを選ぶかを検討しましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 シニアが住み替える際の4つのポイント シニア世代は、子どもの独立や退職などをきっかけに生活環境が大きく変化します。今住んでいる家がライフスタイルに合わなくなると、将来を見据えて住み替えを検討することもあるでしょう。 この記事では...記事を読む

  • 不動産買取のメリット・デメリットとは?不動産業者の選び方も解説

    一般的に不動産を売却する場合は「不動産買取業者へ売却する方法」と「不動産仲介業者を通して売却する方法」の2種類があります。どのような場合に不動産買取を利用し、どのような不動産業者を選べばわからない人もいるかもしれません。 この記事では、不動産買取業者の選び方のポイントや注意点について詳しく解説します。 不動産買取のメリット まずは、不動産買取のメリットについて解説します。不動産買取業者へ直接売却する場合は、不動産仲介で売却するより手間がなくスピーディーなのが特徴です。不動産会社に買い取ってもらう方法は、即時買取と買取保証の2種類があります。 即時買取 買取保証 即時買取は、売却にかかる期間が短いのがメリットです。不動産仲介で売却を行う場合、買主を探すための期間が必要なため、概ね約3か月〜半年程度の時間がかかります。そのため、離婚や相続などすぐに不動産を売却したい場合は即時買取が向いているでしょう。 買取保証は、不動産買取と不動産仲介の両方の面を持った売却方法です。まずは、市場価格で売却できるように販売活動を行い、売れない場合は最終的に買取業者が買い取ってくれるのがメリットです。買取保証は、売却までに時間がある方やなるべく高値で売りたい方に向いているでしょう。 不動産買取のデメリット 一方で、不動産買取にはデメリットもあります。 不動産買取業者で売却する場合は、不動産仲介よりも売却価格が低くなる傾向があるのがデメリットです。不動産買取業者は、購入した不動産のリフォームやリノベーション、解体などを行い、利益がでるように再販する仕組みです。 そのため、それらの諸費用を引いた買取価格となるため、売却価格が低くなってしまいます。 なるべく高値で売りたい方は、不動産仲介で依頼すると良いかもしれません。不動産仲介で売却する場合は、短期間で売却することが難しい一方で、市場価格に近い価格で売却しやすいです。 不動産買取業者の選び方 不動産買取業者の中には、高額な手数料を取ったり、嘘をついて契約する悪質な業者も存在します。ここからは、不動産買取業者の選び方について解説します。 不動産買取業者の対応エリアを確認 不動産買取業者を選ぶ際は、不動産の対応エリアの確認をしましょう。不動産会社は大手の不動産業者だとしても、すべての地域の不動産買取に対応している訳ではありません。事前に対応しているエリア内であるか確認してから査定をしてもらう必要があります。 また、対応エリアを確認したら、エリア内での買取実績を確認しましょう。地域の相場を調査することで、適正な価格相場が把握でき、高値で買い取ってもらう交渉がしやすくなるかもしれません。 不動産買取業者の専門分野を確認する 不動産会社を選ぶ際は、不動産買取業者の専門分野を確認しましょう。不動産買取業者によって、戸建て、マンション、土地など、買取の専門分野が異なるので、相場に見合わない価格を提示されてしまうケースがあります。 専門分野を確認すると、「戸建ての買取のみ」「マンションの買取のみ」といった物件種別が限られていることもあります。不動産買取業者の専門分野を確認し、より経験や知識が豊富な業者を選定しましょう。 買取実績が豊富な不動産買取業者を選ぶ 不動産買取業者を選ぶ際は、買取実績や事例が豊富な業者を選ぶことも重要なポイントです。買取の実績が豊富であれば、地域の不動産買取の相場や需要なども把握しているため、よりよい条件で買取してくれる可能性があります。 特に戸建ての買取は、地域密着型の不動産買取業者を選ぶのがおすすめです。大手の不動産業者でも買取を行っていますが、地域の環境やニーズを細かく把握しておらず、適正価格を見極めにくい傾向があります。 できるだけ高く買い取ってほしい場合は、買取実績が豊富な買取業者に何社かに見積もりを依頼し、比較検討しましょう。 目的に合ったサービスや対応力を確認する 不動産買取業者を選ぶ際は、目的にあったサービスや対応力も確認しましょう。例えば、即時買取や買取保証を行っているのかは、売却活動を行う上で重要です。さらに、リースバックを取り扱っているかどうかもポイントになるかもしれません。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 また、営業担当者の対応力も大切なポイントとなります。資格を持っているか、経験や知識が豊富か、疑問点にも誠実に答えてくれるかなどを確認し、スムーズに取引できるか確認しましょう。 買取価格を比較する 不動産買取業者を選ぶ際は、複数の買取業者の価格を比較しましょう。さまざまな買取業者の査定を受けることで、買取価格の交渉がしやすくなります。 最低でも、2~3社に見積もりを出してもらうのがおすすめです。不動産買取業者によって得意とする物件種別や実績が変わってくるため、より高く売りたい方は複数の業者に見積もりをお願いしましょう。 不動産買取の流れ ここからは、不動産買取の流れについて解説します。 1.不動産会社の選定 上述のようなポイントに基づき情報収集を行いましょう。売りたい不動産のエリアの買取価格の相場を把握することで、適切な価格で売却でき、買取時の損失を抑えられるでしょう。 また、不動産会社には得意とする専門分野がある場合や、物件種別によっては買取を受け付けていない場合もあります。口コミやWebサイトなどの情報を参考に、売りたい不動産がどこで高く売れそうか情報収集を行いましょう。 2.不動産の査定 近年、物件の条件や住所などを入力するだけで、簡易査定を行ってくれるサービスが増えています。不動産買取業者を扱うポータルサイトでは、複数社に簡単に査定依頼を申し込めます。 「早く売りたい」、「高い査定額を提示する会社に売りたい」という方は、簡易査定に申し込みましょう。ただし、より正確な買取金額を試算してもらうためには、訪問査定が必要となります。 また、査定後に会社を比較する際は、別途手数料が発生しないか、不当な条件になっていないかなどの確認が必要です。付帯するサービスの質や営業担当の対応力についても確認しておきましょう。 3.不動産会社と売買契約 不動産会社の買取金額や契約内容に納得したら、不動産会社と売買契約を結びます。契約書には、不動産の売却価格、支払い条件、引き渡し日などが記載されているため、納得できれば契約を締結します。 契約書は、誤りがないか隅々まで確認をすることが重要です。契約書に印を押した後は、簡単に契約内容を変更できないため注意しましょう。 4.引き渡し 一般的に、売買契約書で定めた日程に、不動産の引き渡しと決済が行われます。決済日は司法書士の立ち合いのもと、登記手続きを行います。また、決済日には、不動産の権利証や固定資産税・都市計画税納税通知書など司法書士に提出する書類が必要となるため、事前に必要なものについて確認しておきましょう。 引き渡し前には、契約時と物件の状況が変わっていないか、物件の状態の最終確認も行われます。 不動産買取の注意点 ここからは、不動産買取の注意点について解説します。 1.買取に対応できない場合もある 不動産買取業者は、不動産会社が買取した物件をリフォームやリノベーション、解体などをして再販することで利益を得ます。そのため、立地の悪い土地や地盤が弱い土地など、再販が期待できない物件は買取をしてくれる不動産業者が限られるでしょう。 ただし、たとえ1社に断られた場合でも、ほかの不動産会社は買い取ってもらえる可能性もあるため、複数の不動産買取業者に査定してもらうようにしましょう。 2.不動産仲介よりも買取相場が安い傾向にある 不動産買取は、不動産仲介よりも買取相場が安い傾向にあります。不動産の買取価格は、不動産会社がリフォームや解体などの付加価値をつけて再販することが前提で買取を行うため、リフォームやリノベーション、解体などにかかる費用が想定されて差し引かれるからです。 ただし、不動産仲介の場合は物件の価格帯や築年数・エリア・不動産の状態などによって、そもそも売却しづらい場合もあります。不動産仲介か不動産買取か迷ったら、不動産会社に相談するのがよいでしょう。 3.仲介手数料はないが、税金が発生する 不動産買取には仲介手数料はありませんが、不動産仲介での売却と同様に税金が発生します。不動産売却時にかかる税金は、「譲渡所得税」、「登録免許税」、「印紙税」の3種類です。 譲渡所得税:不動産を売却して利益が生じる場合にかかる税金。 登録免許税:抵当権抹消登記の際にかかる税金。登録免許税額は不動産1個につき1,000円。 印紙税:不動産売買契約書に貼付する収入印紙代。 出典) ・国税庁「土地や建物を売ったとき」 ・津地方法務局「抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税」 関連記事はこちら不動産の購入・売却にかかる税金をそれぞれ解説 4.不動産売却時は住宅ローンを完済する必要がある 不動産売却時は、住宅ローンを組んだ不動産に設定された抵当権を抹消する必要があり、そのためにはローンを完済しなければなりません。住宅ローンを売却額で補えない場合は、自己資金から支払う必要があるため注意しましょう。 まとめ 不動産買取は、不動産を早く売却しやすい点がメリットです。しかし、不動産仲介よりも買取価格が安い傾向があるなどの注意点について理解しておくことが大切です。 また、不動産買取業者を選ぶ際は、複数の会社に査定してもらい、高額な価格で買い取ってくれる業者を選ぶことがポイントです。不動産買取業者を選ぶ際は、本記事の買取業者の選び方を参考にしてみてください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 家を売る前に知っておきたい不動産査定のポイントと注意点を解説 家を売るとき、いくらで売れるかの目安を把握するため、不動産査定を検討するでしょう。しかし、不動産査定を依頼する際は、どのようなことに注意すればいいかわからないかもしれません。 この記事では、...記事を読む

    2024.08.09自宅売却
  • 土地収用法とは?手続きの流れや補償内容をわかりやすく解説

    公共事業のために土地が必要な場合、その事業の施行者である起業者から立ち退きを求められることがあります。補償などで合意できない場合は、土地収用法による手続きが行われ、最終的には、土地を明け渡さなくてはならない場合がほとんどです。 この記事では、土地収用法の概要や手続きの流れ、補償内容について解説します。 土地収用法とは 土地収用法とは、土地を収用するための要件や手続き、損失の補償などを規定した法律です。公共の利益と私有財産の調整を図ることを目的としています。収用とは、国や地方公共団体などの起業者が、公共事業のために必要となる土地などを土地収用法に定められた手続きに基づいて取得することです。 公共事業のために土地を取得する場合、通常は起業者が土地所有者と話し合い、契約を締結してその土地を取得します。これを任意交渉といいます。 しかし、補償内容や土地の所有権などに関する話し合いがうまくいかず、同意が得られないこともあります。その場合、起業者が土地収用法に基づく手続きをすることで、土地の取得が可能になります。 出典) ・福島県収用委員会「土地収用のあらまし」 ・徳島県「収用」って何ですか?」 土地収用の流れ 土地の所有者に立ち退きを要求する前に、施行者は「事業認定手続」と「収用裁決手続」の2つの手続きを行います。 出典)東京都収用委員会「収用手続の流れ」 事業認定手続 事業認定手続とは、国土交通大臣または知事が、起業者から申請された事業に公益性があるかを判断する手続きです。申請事業が認定されると、起業者は土地を収用する権利が付与されます。 収用裁決手続 収用裁決手続とは、収用委員会が土地所有者に対する補償金の額、起業者が土地の権利を取得する時期、土地所有者が土地を明け渡す期限を裁決する手続きです。 収用委員会とは、土地収用法に基づいて各都道府県に置かれている行政委員会です。知事から独立し、公正中立な立場で審理や調査を行って裁決を下す権限を付与されています。収用裁決手続の流れは以下のとおりです。 裁決申請・明渡裁決申立て 収用委員会による審理 権利取得裁決・明渡裁決 1.裁決申請・明渡裁決申立て 起業者が、収用委員会に対して裁決申請と明渡裁決申立てを行います。裁決申請は土地の所有権などを取得するため、明渡裁決申立ては土地にある建物を移転させて、土地の明け渡しを求めるために行われるものです。 2.収用委員会による審理 収用委員会は申請書や申立書の内容が法令に適合していれば受理し、審理において起業者や土地所有者、関係人の意見を聞きます。明らかになった争点を整理し、必要な調査・検討を行ったうえで裁決を行います。 3.権利取得裁決・明渡裁決 権利取得裁決の裁決事項は、「収用する土地の区域」「土地に関する損失の補償」「権利取得の時期」の3つです。権利取得裁決により、起業者は権利取得の時期までに補償金を支払い、土地の所有権を取得します。 一方、明渡裁決の裁決事項は、「明け渡すべき土地の区域」「明渡しに関する損失の補償」「明渡しの期限」の3つです。明渡裁決により、起業者は明渡し期限までに補償金を支払います。権利者は土地にある建物を移転し、期限までに土地を明け渡す必要があります。 出典)東京都収用委員会「土地収用のあらまし」P.8 土地収用の補償内容 土地収用の補償は、「土地に関する補償」と「明渡しに関する補償」の2つに分けられます。 土地に関する補償 土地に関する補償には次のようなものがあります。 土地補償 収用する土地の対価に当たる補償。 補償金の額は近傍の類似した土地の取引価格などを考慮して算定する。 借地権などの権利消滅補償 収用により所有権以外の権利は消滅するため、その権利に対する額が補償される。 補償金の額は権利の取引価格や契約内容などを考慮して算定する。 残地補償 土地収用によって残地が生じたとき、利用価値の低下によって 損失が生じる場合は元の価格との差額が補償される。 金銭による補償が原則ですが、替地の取得が難しく、これまでの生活が維持できないなど特別な事情がある場合に限り、替地による補償が認められます。 明渡しに関する補償 明渡しに関する補償には次のようなものがあります。 建物補償 建物を移転するための費用 工作物補償 塀、門扉など建物以外の物件を移転するための費用 立竹木補償 庭木などの樹木を移植するための費用 動産移転補償 引越しに要する費用 借家人補償 建物の賃借人が家主との契約関係を続けるのが難しい場合に、 同種同等の建物を賃借するのに必要な費用 営業休止補償 営業休止期間中の収益減少額などの費用 仮住居補償 建物の居住者がいる場合、仮住居に必要な費用 家賃減収補償 建物の家主が賃貸していて、移転期間中に得ることができない賃料などの費用 移転雑費補償 新たに土地を取得し、建物を移転する場合、移転先の選定に必要な費用 収用する土地に建物がある場合、通常は移転するための費用が補償されます。ただし、事業認定後に建物を新築・増築した場合は、原則として損失の補償を請求することはできません。 出典)東京都収容委員会「収用制度の概要」 明け渡しを求められたらどうすればいい? 起業者から明け渡しを求められた場合、権利取得裁決前の交渉段階であれば拒否できます。「補償金の額に納得がいかない」など、受け入れられない理由があるなら拒否することも可能です。しかし、拒否し続けても、権利取得裁決および明渡裁決後は強制的に明け渡しとなります。 補償内容の異議申し立て 補償内容に異議がある場合、基本的には裁決前に交渉しなければなりません。ただし、裁決後も裁決書の正本の送達を受けてから6か月以内であれば、裁判所へ損失の補償に関する訴えを提起できます。その際、訴訟の相手方は起業者となります。 土地収用を求められた際には、補償金額などの交渉ができる場合もあるので、弁護士などの専門家に相談しておくと安心です。 出典)東京都収用委員会「収用手続の流れ」 まとめ 公共事業のために立ち退きを求められた場合、交渉段階であれば拒否できます。しかし、収用委員会による裁決が行われると、最終的には土地を明け渡さなくてはなりません。起業者から立ち退きの交渉があった場合は、土地収用の手続きを見据えたうえで、どのように対応するかを検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 区分所有法とは?概要や対象となる建物、主な規定内容について解説 区分所有法は、マンションの所有者や管理組合にとって重要な法律です。マンション暮らしを検討している人や既に住んでいる人は、区分所有法を理解しておくことで、安心して生活できるでしょう。 この記事...記事を読む

    2024.08.07制度
  • 不動産売買の仲介手数料とは?相場と上限額や計算方法を解説

    不動産仲介で売買を行う場合、一般的に仲介手数料が発生します。不動産売買の仲介手数料は、不動産会社に対する成功報酬や手続の代行費用といった意味合いがあり、その金額は法律で上限が定められています。 この記事では、不動産売買の仲介手数料の計算方法や支払うタイミングについて解説します。 不動産売買の仲介手数料とは 一般の人がマンションや戸建て、土地などの不動産を売買する場合、不動産会社に仲介を依頼することが多いでしょう。不動産仲介会社に依頼すると、物件の案内から引き渡しまで不動産会社を介して取引を進めます。 仲介手数料は、不動産会社の不動産売買に関わる活動に対して支払う成功報酬として位置付けられており、売買が成立しない場合は支払う必要はありません。 仲介手数料の上限額 不動産売買における仲介手数料は、宅地建物取引業法第46条で上限が定められています。そのため、上限を超える額を請求することは法令違反となりますが、上限額を超えない範囲であれば不動産会社が自由に仲介手数料の金額を決めることが可能です。 出典)全日本不動産協会 埼玉県本部「不動産売買の仲介手数料はいくら必要?計算方法や値引き交渉の可否などを徹底解説!」 上限は法律で決まっていますが、下限は定められていないため、仲介手数料の値引きは不可能ではありません。物件の売却に併せて購入も依頼する場合や、そもそも物件の価格が高い場合などは、交渉できる余地があるでしょう。 一方で、不動産会社にとって仲介手数料は、不動産売買の仲介に関わる人件費、広告費、交通費などの諸経費をまかなう重要な収入源となります。そのため、価格の安い物件や流通性の低い物件では、手数料の値引きが物理的に困難なこともあります。 不動産売買の仲介手数料の計算方法 仲介手数料の上限額は、不動産売買価格によって異なります。売買価格が200万円以下であれば価格の5%、200万超から400万円以下であれば価格の4%、400万円を超える場合は売買価格の3%に消費税を足した金額が上限額です。 不動産売買価格(税別) 仲介手数料の上限額 200万円以下 売買価格×5%+消費税 200万円超〜400万円以下 売買価格×4%+消費税 400万円超 売買価格×3%+消費税 速算式での計算方法 仲介手数料の計算は、前述のとおり不動産の売却価格を200万円以下、200万円超から400万円以下、400万円超の3つに分類し、それぞれに対応する割合をかけて足し合わせると求められます。 しかし、この計算には時間がかかるため、より簡単に仲介手数料を求められる「速算式」が存在します。速算式の計算方法は以下のとおりです。 不動産売買価格(税別) 仲介手数料の上限額(消費税率10%の場合) 200万円以下 (売買価格×5%)×1.1 200万円超〜400万円以下 (売買価格×4%+2万円)×1.1 400万円超 (売買価格×3%+6万円)×1.1 たとえば、売買価格が3,000万円(税別)の場合、表の400万円超に当てはまるので、上限額は105.6万円{(売買価格:3,000万円×3%+6万円)×1.1}と計算できます。 売買価格ごとの仲介手数料の上限 前述のとおり、仲介手数料は法律で定められている上限を超えなければ、自由に設定できます。速算表で計算した売買価格ごとの仲介手数料の上限額は下表となります。 仲介手数料の上限早見表 不動産売買価格(税別) 仲介手数料の上限額(税込) 1,000万円39万6,000円 2,000万円72万6,000円 3,000万円105万6,000円 4,000万円138万6,000円 5,000万円171万6,000円 6,000万円204万6,000円 7,000万円237万6,000円 8,000万円270万6,000円 9,000万円303万6,000円 10,000万円336万6,000円 ※費用は目安であり、実際の金額は不動産仲介会社に確認してください。 不動産取引で仲介手数料を支払うタイミング 仲介手数料は、契約成立に対する成功報酬という位置づけなので、不動産売買が成立した以後に支払う必要が生じます。支払う時期は、売買契約時や物件の引き渡し時の2回に分けて支払うことが一般的です。 また、仲介手数料を支払う人は売主か買主かを問わず、不動産仲介を不動産会社に依頼した人が支払います。売主と買主の個人間で取引をする場合や、売主か買主の一方しか不動産仲介会社へ依頼していない場合には、依頼をしていない人に仲介手数料は発生しません。 しかし、取引でトラブルが生じた場合は当人同士での解決が必要になります。また、不動産会社の知見やネットワークを利用することで、不動産の売買が円滑に進むことが多いでしょう。 出典)全日本不動産協会 埼玉県本部「不動産売買の仲介手数料はいくら必要?計算方法や値引き交渉の可否などを徹底解説!」 不動産取引で仲介手数料のほかに必要な費用 不動産売買に際して物件費用や仲介手数料のほかにもかかる費用があります。売主側と買主側でそれぞれかかる税金については、こちらからご確認ください。 関連記事はこちら不動産の購入・売却にかかる税金をそれぞれ解説 なお、土地と建物の固定資産税について、年度の途中で売主から買主に不動産を引き渡した際は、買主が固定資産税相当額(固定資産税精算金)を支払うことが一般的です。引き渡し後の日数分の税額を日割りで計算し、買主が日割り精算金を売買価格に上乗せして売主に支払います。 出典)公益社団法人 全日本不動産協会「賃貸不動産の売買における固定資産税精算金の取扱いについて」 税金以外にかかる費用 税金以外については、取引によって異なりますが、主に以下のような費用がかかります。 【売主・買主の双方にかかる費用】引越し費用 買主が新たに家を購入し引越しをする場合、すぐに新居に住み替えられないことがあります。仮住まいが必要になる場合は、現在の家から仮住まい、仮住まいから新居と2回引越しすることになり負担も大きくなるため注意しましょう。 売主は現在住んでいる家を売却する際、引越し費用のほか引越し時のごみの廃棄やハウスクリーニング費用についても必要な場合があるので、余裕を持って準備しましょう。 【売主にかかる費用】土地の測量費用 土地の測量費用は、売主が土地を売却する際に隣地との土地の境界を確定するために必要です。測量は義務ではありませんが、買主としては測量された土地を購入することで隣地とのトラブルを回避できるため、土地の売却時に測量を行うことは一般的といえるでしょう。 費用は土地の大きさ、境界の数、隣地所有者の数などにより異なります。自宅によっては測量費用が高額になることもあるので、事前に不動産会社や土地家屋調査士に相談するとよいでしょう。 【買主にかかる費用】住宅ローン関連費用 買主が住宅ローンを組む場合は以下の費用がかかります。家の購入金額だけではなく、借り入れに伴う諸費用についても念頭に入れておきましょう。 住宅ローン事務手数料 住宅ローン保証料 火災保険料(地震保険は任意) 団体信用生命保険料 関連記事はこちらマイホームの購入予算はどう決める?頭金や住宅ローンの考え方 【その他必要に応じてかかる費用】 .bold-text { font-weight: bold; } ・建物の解体費用 売主が土地を売却する際、建物の解体費は、売主が更地にして土地を売る時に発生します。たとえば、国土交通省の公表する「我が国の住生活をめぐる状況等について」によれば、関東の木造住宅の解体費用の相場は1坪あたり3.7万円、50坪で185万円とされています。 出典)国土交通省「我が国の住生活をめぐる状況等について(前回までの補足)」P.7 ・住宅ローンの返済事務手数料 売主に住宅ローンの残債があり、ローンの一括返済を行う場合は手数料がかかる金融機関もあるので予め確認しておきましょう。 まとめ 不動産を売買する際には仲介手数料が必要となります。仲介手数料は、法律で上限が定められているため、不動産売買価格をもとに上限額を算出することも可能です。 仲介手数料が無料になったり、上限額よりも低く抑えられたりするケースもありますが、仲介手数料の金額だけでなく、実際に営業担当に話をしてみたり、手続きの対応スピードをみたりして、不動産会社を選ぶのがおすすめです。 仲介手数料のほかにも税金の支払いや引っ越し費用なども、不動産売買には必要になります。トラブルを避けるためにも、どんな費用がどのように発生するのかを理解してから、実際に不動産取引をするようにしましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マイホーム選びのポイントは?購入経験者のアンケート結果もご紹介 マイホームは「人生最大の買い物」ともいわれます。一度購入すると簡単には手放せないため、「絶対に後悔したくない」と考える人も多いのではないでしょうか。希望条件が決まらない場合は、理想の暮らしを...記事を読む

  • 家売る方法

    家を売る3つの方法とは?それぞれのメリット・デメリットを解説

    家を売る方法は複数あり、どの方法を選ぶかによって売却価格や売りやすさ、費用などが異なります。家を売るうえで何を優先するかを明確にし、自分に合った方法を選択することが大切です。 この記事では、家を売る3つの方法とそれぞれのメリットとデメリットをわかりやすく解説します。 家を売る3つの方法 家の売却方法は主に以下の3つです。 不動産仲介 不動産仲介とは、不動産会社に買い手を見つけてもらう方法です。買い手を探してくれるうえに、買主との条件交渉や契約手続きなども任せられます。家を売るのが初めてでも、不動産仲介なら安心して売却活動を進められるでしょう。一方で、他の方法に比べて売却に時間がかかることがあり、仲介手数料も発生します(詳細は後述)。 不動産買取 不動産買取とは、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。不動産会社が買主となるため、仲介のように買い手を見つける必要がありません。提示された買取価格に納得できれば、速やかに家を売却できます。ただし、不動産買取は、基本的に他の方法よりも売却価格が低くなります(詳細は後述)。 個人間売買 個人間売買とは、不動産会社を介さず自分で買い手を見つける方法です。売却価格を自由に設定でき、仲介手数料も発生しません。友人や知人などに購入希望者がいるなら、個人間売買も選択肢となるでしょう。ただし、個人間売買は、契約手続きなどをすべて自分で行う必要があります。不動産や税金に関する専門知識が求められるため、初心者には難しいでしょう。現実的には個人間売買が行われるケースは少ないので、以後は不動産仲介と不動産買取に絞って解説していきます。 不動産仲介のメリット・デメリット ここでは、不動産買取と比較した場合の不動産仲介のメリットとデメリットを紹介します。 不動産仲介のメリット 不動産仲介は、家を市場価格で売却できるのがメリットです。 不動産買取は不動産会社が提示する価格で売却する必要がありますが、不動産仲介なら希望価格で購入してくれる買い手が見つかるまで売却活動を続けられます。購入希望者との交渉次第では、市場価格より高値で売却できるかもしれません。 家を少しでも高く売りたい場合は、不動産仲介が向いているでしょう。 不動産仲介のデメリット 一方で、不動産仲介には以下のようなデメリットもあります。 売却に時間がかかる 需要が少ない物件は売りにくい 仲介手数料がかかる 不動産仲介は買い手を見つける必要があるため、不動産会社が買主となる買取に比べると売却までに時間がかかります。「築年数が古い」「人口が少ない」など、住宅需要が少ない物件はなかなか買い手が見つからず、売りにくい傾向にあるので注意が必要です。 また、売買が成立した際は仲介手数料が発生します。契約金額(税別)が400万円超の場合、仲介手数料の上限額は「(契約金額×3%+6万円)+消費税10%」です。 【仲介手数料の計算例:家の売却価格が2,000万円の場合】 (2,000万円×3%+6万円)+(2,000万円×3%+6万円)×10%=72.6万円 手数料は不動産会社や条件などによって異なるため、事前に仲介手数料がいくらかかるかを確認しておくといいでしょう。 不動産買取のメリット・デメリット 続いて、不動産仲介と比較した場合の不動産買取のメリットとデメリットを紹介します。 不動産買取のメリット 不動産買取には以下のようなメリットがあります。 早期の売却が可能 決済時期をコントロールしやすい 需要が少ない物件でも売れる 仲介手数料がかからない 契約不適合責任が免責となる 不動産会社が買主となるので、仲介に比べると短期間での売却が可能です。多くの場合、決済時期にも柔軟に対応してくれるため、住み替えで新居への入居時期が確定している場合などに勝手がいい 方法です。 また、不動産買取は仲介手数料がかからず、一般的には買主に対して生じる契約不適合責任も免責となります。 不動産買取のデメリット 不動産買取で家を売るデメリットは、不動産仲介より売却価格が安くなることです。不動産会社は、付加価値を付けて再販することを前提に家を買い取ります。再販にかかる経費やリスクを加味して買取価格を算出するため、市場価格より安くなる傾向にあります。 ただし、買取は仲介手数料がかかりません。不動産買取と不動産仲介のどちらにするか迷ったら、売却価格だけで比較するのではなく、仲介手数料を考慮した手取り額で比較しましょう。 家を売るときのポイント 家を売るときは、信頼できる不動産会社に不動産仲介を依頼する必要があります。 不動産査定を受ける際は1社だけでなく、複数の不動産会社に依頼することが大切です。査定額は会社によって異なります。査定結果とその根拠を比較すれば、相場をより正確に把握でき、信頼できる不動産会社や担当者を見つけやすくなるでしょう。 不動産査定と家を高く売るポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら家を売る前に知っておきたい不動産査定のポイントと注意点を解説 まとめ 家を売る場合、通常は不動産仲介と不動産買取の2つが選択肢となります。不動産仲介は高値で売れる可能性がありますが、不動産買取よりも売却に時間がかかり、仲介手数料も発生します。不動産買取は比較的早く売却できますが、不動産仲介に比べて売却価格が安くなるのがデメリットです。 それぞれのメリットとデメリットを理解して、自分に合った方法で家の売却を進めましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自宅売却の流れや損をしないためのポイントを解説 持ち家に住んでいても、住み替えなどを理由に自宅の売却を検討することがあるでしょう。不動産を売却したことがないと、どのように手続きを進めればよいかわからないかもしれません。また、どうせ自宅を売...記事を読む

    2024.03.20自宅売却
  • 不動産査定とは

    家を売る前に知っておきたい不動産査定のポイントと注意点を解説

    家を売るとき、いくらで売れるかの目安を把握するため、不動産査定を検討するでしょう。しかし、不動産査定を依頼する際は、どのようなことに注意すればいいかわからないかもしれません。 この記事では、家を売る前に知っておきたい不動産査定の基本やポイント、注意点を解説します。 不動産査定の基本 まずは、家を売るときの不動産査定の基本を確認しましょう。 不動産査定とは 不動産査定とは、家がいくらで売れそうかを調査し、推定売却価格を算出することです。一方で、査定結果はあくまでも「これぐらいで売れそう」という予測であり、正確な売却価格ではありません。そのため、不動産会社によって査定額は異なる場合があります。 不動産査定の方法 家を売るときの査定方法は以下の2つです。 机上査定(簡易査定) 机上査定(簡易査定)は、売主の基本情報(氏名、連絡先など)と物件情報(所在地、築年数、床面積など)を用いる査定方法です。不動産会社のホームページなどで必要事項を入力するだけで、手軽に査定結果が分かります。 訪問査定 訪問査定は、不動産会社が現地を直接訪問する査定方法です。周辺環境なども含めて詳細な現地調査が行われるため、より正確な査定額を得られます。 おおよその査定額を知りたい場合は机上査定、早期に家を売却したい場合は訪問査定を検討すると良いでしょう。 不動産査定の依頼方法 不動産査定の依頼方法は以下のとおりです。 AI査定等のサービス 不動産の一括査定サービス 不動産会社への直接相談 AI査定は、似た条件の不動産価格や相場をもとにAIが自動的に査定額を提示するサービスです。中には匿名で利用できるものもあります。 一括査定サービスは、複数の不動産会社に一括で査定依頼ができるサービスです。情報を1回入力するだけで、複数の不動産会社の査定結果を比較できます。 不動産会社に直接相談する方法もあります。不動産査定を依頼したい不動産会社が決まっている場合は、こちらの方法を選ぶといいでしょう。 不動産査定前の準備とポイント 家を少しでも高い価格で売却するには、査定依頼の前にやっておくべきことがあります。ここでは、査定前の準備とポイントを紹介します。 自分自身で売却相場を調べる 不動産査定を依頼する前に売却相場を把握しておけば、不動産会社の査定結果が妥当かを判断しやすくなります。インターネットや不動産会社のチラシなどで、条件の似た物件の成約価格を確認しておきましょう。 取引状況を調べるときは、「REINS Market Information」などの不動産取引情報提供サイトを利用すると便利です。 住宅ローンの有無と残債を把握する 査定前に、住宅ローンの状況を把握しておくことも重要です。家の売却価格によって、住宅ローンを完済できるかどうかが変わります。住宅ローンが残っている場合は、金融機関のアプリや残高通知ハガキを確認するほか、正確に調べる際は残高証明書の発行を依頼しておきましょう。 不動産査定や取引に必要な書類を準備する 査定前に家の売却に必要な書類を準備しておくと、査定結果の正確性が高まり、売却の取引もスムーズに進められます。主な必要書類は以下のとおりです。 登記事項証明書(登記済証) 建築確認済証 検査済証 地積測量図・境界確認書 間取りが確認できる資料(購入時のパンフレットなど) これらの書類がなくても、不動産査定を受けることは可能です。取引時の必要書類は、改めて不動産会社に確認しましょう。 売却の希望時期を決めておく 査定前に、家の売却希望時期を決めておきましょう。買い手を見つける必要があるため、すぐに売却できるとは限りません。一般的には、売却完了までに数ヵ月~半年程度かかります。売却活動に充てる期間は、ある程度の余裕をもって確保しておくと安心です。 不動産査定の注意点 不動産査定を依頼する際は以下の点に注意しましょう。 複数の不動産会社に依頼する 査定額はあくまでも予想売却価格であるため、1社だけに依頼すると、査定結果が妥当なものか判断するのが難しくなります。複数の不動産会社に依頼して、査定結果を比較検討することが大切です。 信頼できる不動産会社を選定する 複数の不動産会社に不動産査定を依頼したら、その中から信頼できる会社を選定しましょう。家の売却に強く、実績が豊富な不動産会社を選べば取引をスムーズに進められます。 売主と媒介契約を結ぶために、相場よりも高い査定額が提示される可能性もあるため、「査定額が高い」という理由だけで選ぶのは危険です。 「査定結果について明確な根拠を提示してくれる」「質問にわかりやすく回答してくれる」などに注目して、信頼できる不動産会社、担当者を選びましょう。 自分自身が相場観を持つ 不動産会社と相談はできますが、最終的な売り出し価格は売主が自分で決めなくてはなりません。自身の相場観を持っておけば、売り出し価格を判断しやすくなるでしょう。上述したように、査定前に自分自身で売却相場を調べておくのがおすすめです。 家の修繕歴や瑕疵などをできるだけ正確に伝える 瑕疵(かし)とは、「雨漏りする」「床が傾斜している」など、土地や建物に何らかの欠陥や不具合があることです。家に修繕歴や瑕疵があると、査定結果に影響を与えます。 売主には契約不適合責任があり、売却後に瑕疵が発覚すれば損害賠償などに発展する恐れがあります。売却する家に修繕歴や瑕疵などがある場合は、査定依頼の際にできるだけ正確に伝えましょう。 まとめ 家の売却をスムーズに進めるには、複数の不動産会社に査定依頼をして、信頼できる不動産会社を選ぶ必要があります。査定前に、住宅ローン残高の確認や売却相場の調査などの準備をしっかりと行うことが大切です。 家を売ることを検討していて、査定額を手軽に知りたい場合は、AI査定や一括査定を上手に活用しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産の購入・売却にかかる税金をそれぞれ解説 不動産売買の際には、購入する側と売却する側のそれぞれに税金がかかります。不動産売買の予定がある場合は、あらかじめどのような税金が発生するのか知っておくことが重要です。 この記事では、不動産の...記事を読む

  • 老後に賃貸物件は借りにくい?

    老後に賃貸物件は借りにくい?その理由や対策を紹介

    「持ち家より賃貸物件で暮らしたい」という希望がある一方で、「老後に賃貸物件を借りられないのでは」と不安を感じている人もいるでしょう。しかし、「老後に賃貸物件は借りにくい」のは事実なのでしょうか。 この記事では、「老後に賃貸物件は借りにくい」と言われる理由とその対策を紹介します。 「老後に賃貸物件は借りにくい」という結果が出ている 神奈川県が不動産業者を対象に実施したアンケートによると、賃貸住宅の媒介で家主から入居を断るように言われた住宅確保要配慮者※の割合は下表のとおりです。 住宅確保用配慮者の区分 2018年度 2023年度 高齢者 57.6% 49.6% 知的・精神障がい者 55.9% 52.2% 外国人 51.7% 46.0% ※住宅確保要配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など、法律において住宅の確保に配慮が必要と定められている人のこと 出典)神奈川県住宅計画課「神奈川県における高齢者・住宅に関する状況等について」 「高齢者」であることは、不動産業者が家主から入居を断られる理由において、2018年度は第1位、2023年度は第2位です。2023年度において、知的・精神障がい者に次ぐ理由であり、外国人よりも拒否感が高い結果となっています。 2018年度に比べて割合は下がっているものの、家主の約半数が、高齢者の入居に対して拒否感を抱いているようです。 高齢者が賃貸物件を借りにくい理由 神奈川県の同アンケートにおいて、家主が入居を断った理由で高齢者に当てはまると考えられるものは以下のとおりです。 家主が断った理由 2018年度 2023年度 病気や事故(孤立死等)に不安がある 73.7% 65.1% 単身者など介護者がいないことに不安がある 30.5% 34.9% 家賃の支払いに不安がある 50.5% 34.3% 緊急連絡先となる人がいない 31.6% 37.8% 出典)神奈川県住宅計画課「神奈川県における高齢者・住宅に関する状況等について」 「病気や事故に不安がある」は、2018年度が第1位、2023年度が第2位でした。「単身者など介護者がいない」「緊急連絡先となる人がいない」も3割を超えています。 賃貸住宅で孤立死が発生すると、家主は原状回復や家財の処分などを対応しなければならない他、親族と連絡が取れないこともあるなど、多大な労力がかかります。また、状況によってはいわゆる事故物件となり、不動産評価額の下落や収益低下が懸念されるため、家主の不安につながっていると考えられます。 なお、「家賃の支払いに不安がある」も3割を超えていますが、2018年度に比べると割合は低下しており、働き続ける高齢者が増加しているなどの社会背景も考えられます。 老後に賃貸物件を借りやすくするには 老後に賃貸物件を借りやすくするためには、可能な限り家主側の不安を解消することが重要です。ここでは、家主側の不安を解消するための手段をいくつか紹介します。 緊急連絡体制を整備しておく 上述の調査結果でも多かった「病気や室内での孤立死」や「緊急連絡先がいない」といった家主側の不安を解消するために、可能であれば連帯保証人になってもらい、緊急連絡先として登録させてもらいましょう。 また、親族が近くに住んでいる場合は、親族が近くにいることを家主に伝えれば、安心してもらえるかもしれません。 もし近隣に頼れる人がいない場合は、民間の安否確認サービスや身元保証サービスなどを活用し、緊急連絡体制を整備しておくことも有効です。その際は、費用やサービス内容に差があるため、事前に説明を受けて納得のできる事業者を選ぶことが重要です。 家賃の滞納リスクを軽減する 「家賃の支払い」の不安を解消する場合も、親族に連帯保証人になってもらう方法が有効です。もし、親族に連帯保証人になってもらうのが難しい場合や、単身で頼れる親族がいない場合は、滞納家賃の保証制度を検討しましょう。 例えば、一般財団法人高齢者住宅財団では、60歳以上の高齢者世帯を対象に「家賃債務保証」を提供しています。入居者が家賃を滞納した場合、月額家賃の12ヵ月分相当を限度に高齢者住宅財団から家主に家賃が支払われる仕組みです。 保証料は原則入居者負担で、契約時に一括で支払います。2年間の保証の場合、月額家賃の35%です。賃貸住宅の家主から利用申請を行い、保証契約を締結します。 まずは家主に、高齢者住宅財団の家賃債務保証を利用した入居が可能かを確認するといいでしょう。 出典)一般社団法人 高齢者住宅財団「家賃債務保証」 老後の住まいの選択肢 上述のような対策をしても家主の同意を得られない場合は、高齢者向けの住宅を検討しましょう。近年では、高齢者向け住宅の供給が増加傾向にあります。 例えば、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者が住みやすいように配慮された賃貸住宅です。一般的な賃貸住宅と同じように、毎月賃料を支払って利用します。 バリアフリーに配慮された設計になっており、安否確認と生活相談の提供が義務付けられています。自立した生活を送りながらも、適度なケアを受けられるのが特徴です。 関連記事はこちらサービス付き高齢者向け住宅とは?入居条件や費用を解説 また、賃貸ではありませんが、資金に余裕がある場合はシニア向け分譲マンションも選択肢です。バリアフリー化されており、レストランでの食事提供や見守り、生活相談などの高齢者向けの様々なサービスを受けられます。 また、温泉やフィットネスジムなどの共用施設が充実している物件も多いため、趣味を充実させたい人に向いているでしょう。 関連記事はこちらシニア向け分譲マンションとは?特徴とメリット・デメリットを解説 まとめ 入居者の病気や孤立死、家賃の滞納などへの不安から、高齢者の入居に拒否感を抱く家主が一定割合存在するため、老後の賃貸は借りにくいのが現状です。 ただし、家賃保証債務や民間の身元保証サービスなどを活用することで、老後も賃貸物件に入居できる可能性は高まります。一般的な賃貸住宅への入居が難しい場合は、高齢者向け住宅の利用も視野に入れましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 セーフティネット住宅とは?入居条件や費用をわかりやすく解説 賃貸住宅は持ち家に比べて気軽に引っ越しもでき、自由度が高いのが魅力です。しかし、働いていない高齢者などは入居を断られることがあります。そこで、賃貸住宅に安心して入居するために、「セーフティネ...記事を読む

  • 自己資金なしの住み替え

    持ち家の人が自己資金なしで住み替えをする方法とは?

    手元に資金が少ない、もしくは老後の備えとして資金を残しておきたい、といった理由から、自己資金なしで住み替えたい人もいるでしょう。その場合、現在住んでいる家(以下現居)の資産価値を活用することで、自己資金なしでも住み替えできる可能性があります。 この記事では、持ち家の人が自己資金なしで住み替えをする方法について解説します。 持ち家の人でなければ自己資金なしの住み替えは難しい 持ち家の人でなければ、自己資金なしで新居を購入するのは難しいと言えます。 家を購入するとき、お金を支払うタイミングは大きく分けて2回に分かれます。1回目は売買契約の際の手付金や頭金の支払い時、2回目は物件の引き渡し時です。住宅ローンはあくまで物件の引き渡し時に受け取るものなので、手付金や頭金は他の方法で賄わなければなりません。 しかし、これらの費用をキャッシングやカードローンで用意する、といった方法は、住宅ローンの審査で他の借り入れの使用状況も確認される以上、現実的な方法ではありません。 住み替えの場合は現居を活用できる 一方で、持ち家から持ち家の住み替えの場合は、現居を活用することができます。現居を活用し、必要なお金を用意することができれば、頭金や手付金などの費用まで賄える可能性があります。 自己資金なしで住み替えできる人とは? 前述のとおり、自己資金なしで住み替えるには、1回目の支払いタイミングに現居を活用して資金を調達し、2回目の支払いタイミングに現居の活用資金や新居の住宅ローン等を活用できる人です。 なお、現居を担保とした住宅ローンが残っている場合には複雑になります。この場合、既存の住宅ローンを完済する必要があるので、完済後に残った資金しか新居の購入資金に利用できません。現居の活用によって得た資金だけでは足りない場合は、新居の住宅ローンを検討しましょう。 現居を活用して資金を得る方法①:現居を売却する 1つ目の方法は、現居を売却することで資金調達をする方法です。この方法は先に現居を売却してから新居を購入する、「売り先行」と呼ばれる方法です。 現居を売却して既存住宅ローンを完済し、残った資金を住み替え資金として利用します。ただし、現居の売却から新居の購入までの期間は仮住まいが必要になるのがデメリットです。 現居をどのように売却する? 自己資金がない場合、現居の買い手を見つけて売買契約を締結するまでは、新居購入のための手付金を支払うことができません。気に入った物件を見つけても、現居の買い手が見つかっていなければ諦めることになります。 そのため、現居を業者に直接買い取ってもらうことで速やかに資金調達を行い、新居購入のための手付金を用意するのが現実的です。ただし、売却価格は相場の8割程度となるので注意が必要です。 リースバックという選択肢も もし、現居を業者に直接買い取ってもらうのであれば、リースバックを利用するという選択肢もあります。リースバックを利用することで、仮住まいを用意する必要がなくなり、期間に余裕をもって新居を探せるメリットがあります。 一方で、リースバックの売却価格は一般的に相場の7割程度となるため、基本的には業者に直接買い取ってもらうより若干安くなります。ただし、リースバック運営会社に希望する賃借期間が短期であることを伝えることで、業者に直接買い取ってもらう場合と同等の金額で売却できる可能性もあります。詳細は、リースバック運営会社に相談しましょう。 関連記事はこちら住み替えにリースバックを利用するメリットを解説 現居の売却で既存住宅ローンを完済できない場合 もし、現居の売却で既存住宅ローンを完済できない場合は、住み替えローンを検討しましょう。住み替えローンとは、既存住宅ローンを完済するのに不足した金額と、新居の購入に必要な金額をまとめて借りられる商品です。 ただし、頭金や手付金などの費用を考慮すると、現実的に自己資金なしで住み替えローンを用いて住み替えるのは難しいでしょう。 関連記事はこちら住み替えローンとは?利用の流れやメリット・デメリットを解説 現居を活用して資金を得る方法②:売却つなぎローンを利用する 2つ目の方法は、売却つなぎローンを利用する方法です。売却つなぎローンとは、売却予定の現居を担保とした不動産担保ローンの一種です。毎月の支払いが利払いで、元金は現居を売却した代金で返済する商品と、月々の返済はなく、元金も利息も現居を売却した代金でまとめて返済する商品があります。 現居を売却せずに資金を調達することができるため、既存の住宅ローンを完済しつつ先に新居を購入でき、仮住まいを用意する必要がなくなります。一方で、借り入れに伴う融資手数料や利息がかかってしまうのがデメリットです。 また、新居の住宅ローンも借りる場合は、売却つなぎローンを借りていても借りられる住宅ローンを取扱う金融機関を探さなければいけないため、選択肢が絞られる点にも注意が必要です。 現居の活用だけでは新居を購入できない場合 現居の活用によって得た資金で既存住宅ローンを完済したものの、新居の購入に必要な金額には満たなかった場合、新規住宅ローンを検討する必要があります。最近は新居の購入資金に諸費用も含めたオーバーローンを組める場合もあるので、必要があれば金融機関に相談してみましょう。 ただし、現居による資金調達で少なくとも手付金として必要な金額を用意する必要があります。手付金の用意ができなかった場合、自己資金無しでの住み替えは難しいでしょう。 新規住宅ローンの選択肢 新規住宅ローンの選択肢として、一般的な住宅ローン以外にも検討すべき3つのローンを紹介します。 選択肢①:フラット35 フラット35を取り扱う金融機関は、売却つなぎローンも併せて扱っている場合も多いので、売却つなぎローンと新規住宅ローンの利用を検討している場合は選択肢のひとつです。 フラット35の場合、現居の売却活動等を行っている事を条件に、審査の返済比率計算に含めない特徴があり、売却つなぎローンを利用しての住み替えに非常に相性が良い住宅ローンです。 関連記事はこちらフラット35とは?メリット・デメリットを解説 選択肢②:親子リレーローン 親子リレーローンであれば、長期返済が可能になるため、月々の返済負担を軽減したい場合は選択肢のひとつです。 関連記事はこちら親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説 選択肢③:リ・バース60 リ・バース60であれば、高齢でも利用できる可能性が高いので、高齢を理由に一般的な住宅ローンの審査に落ちてしまった場合は選択肢のひとつです。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 まとめ 自己資金なしでも、現居を適切に活用することで住み替えできる可能性があります。適切な現居の活用方法と新規住宅ローンを選択し、自己資金なしでの住み替えを成功させましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住み替えの方法と成功させるポイント 持ち家に住んでいても、転勤や家族構成の変化などのライフスタイルの変化などを理由に住み替えを検討することがあるでしょう。 住み替えは新居の購入や自宅の売却、住宅ローンの手続きなど、同時に進めな...記事を読む

    2024.01.19住み替え
  • 引っ越し手続きガイド

    【引越し手続きガイド】必要な手続きと注意点を知っておこう

    引越しでは、さまざまな手続きが必要です。事前にやるべきことを整理しておかないと、手続き完了までに時間がかかり、トラブルの原因にもなります。安心して新生活をスタートできるように、引越しに必要な手続きと注意点を知っておきましょう。 引越し前の手続き 引越し前に必要な主な手続きは以下のとおりです。 連絡先 必要なもの 転出届の提出 市区町村 本人確認書類、印鑑など 国民健康保険の資格喪失届 市区町村 保険証、本人確認書類、印鑑など 印鑑登録の抹消 市区町村 登録している印鑑、印鑑登録証、本人確認書類など 児童手当の受給事由消滅届 市区町村 本人確認書類、印鑑など 電気・ガス・水道の移転 検針票記載の問合せ先 検針票記載のお客様番号 電話・インターネットの移転 回線事業者・プロバイダー 請求書、お客様番号(ID)など 銀行口座の住所変更 銀行窓口 通帳、届出印 NHK受信料の住所変更 NHK 本人や転居先などの情報 郵便物の転送 郵便局、インターネット 印鑑 転居届や国民健康保険、印鑑登録、児童手当などの手続きは、引越し前の住所地の市区町村で行います。同じ市区町村内での引越しの場合、手続きが不要になるものもあるため、窓口で確認しておきましょう。 国民年金は、引越し先の市区町村で住所変更の手続きを行います。なお、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者の場合、住所変更に関する届け出は原則不要です。結びつきの状況は、ねんきんネットや最寄りの年金事務所で確認できます。会社員の場合は、年金や健康保険の住所変更は勤務先が代行してくれるので、勤務先の担当者に確認しましょう。 電気、ガス、水道などのライフラインは移転手続きを行い、引越し先でスムーズに利用できるようにしておくことが大切です。郵便物の転送についても、忘れずに手続きをしておきましょう。 関連記事はこちら「ねんきんネット」はこんなに便利!使い方を詳しくご紹介 引越し当日の手続き 引越し当日は、以下のような対応を行います。 引越し料金の支払い 荷物の搬出作業、新居への搬入作業の立会い 退去手続き(ガス使用停止の立会い、鍵の返却など) ご近所へのあいさつ 電気、ガス、水道の開通・開栓 引越し料金は、引越し当日の作業開始前に支払うのが一般的です。クレジットカード決済や口座振込など、依頼する引越し業者によって異なります。 引越し業者が荷物の搬出、搬入作業をする際は、破損や紛失などのトラブルを避けるため、依頼者が立ち会う必要があります。鍵の返却などの退去手続きについては、貸主や管理会社などに確認しておくとスムーズです。 引越し先では、ご近所にあいさつをして、引越し作業で迷惑をかける可能性があることを伝えておきましょう。通常、電気と水道は入居と同時に使用できますが、ガスはガス会社に開栓してもらう必要があります。 引越し後の手続き 引越し後に必要な主な手続きは以下のとおりです。 連絡先 必要なもの 転入届の提出 市区町村 転出証明書、本人確認書類、印鑑など 国民年金の住所変更 市区町村 転出証明書、本人確認書類、印鑑、年金手帳など 国民健康保険の加入手続き 市区町村 対象者全員の保険証、本人確認書類など 印鑑登録の再登録 市区町村 本人確認書類、登録する印鑑 児童手当の受給手続き 市区町村 本人確認書類、印鑑、申請者の普通預金通帳など 運転免許証の住所変更 警察署、運転免許センター 免許証、新住所を確認できる書類、印鑑など 転入届や国民年金、国民健康保険は転居した日から14日以内、児童手当については15日以内に新しい住所地のある市区町村で手続きを行います。期限があるため、忘れないように注意しましょう。 運転免許証の住所変更については、新しい住所地を管轄する警察署や運転免許センターで手続きができます。 引越し時の注意点 新しい家に引越しする際は、トラブルを防ぐために以下の点に注意しましょう。 早めに準備をしておく 引越しは、毎年3月~4月がピークです。ピーク期間はなかなか予約がとれず、引越し料金も高い傾向にあります。ピーク期間や土日祝日を避けて平日に引越しを行えば、予約を取りやすく、費用負担も抑えられます。早めに引越しの準備に着手し、可能であればピーク期間を避けるといいでしょう。 複数の引越し業者に見積もりをとる 引越しの費用やサービスは、業者によって異なります。複数の業者から見積もりをとり、比較検討したうえで依頼する業者を決めることが大切です。 トラブルを避けるには、電話やインターネットだけでなく、できれば業者の担当者と直接会って見積もりをとるのが理想です。料金の支払い方法やタイミング、解約・延期になった際の手数料についても確認しておきましょう。 近年は、テレビ電話を通してのオンライン見積もりを提供している引越し業者もあります。室内に入られることに抵抗がある場合や、可能な限り見積もりにかかる時間をコントロールしたい場合など、うまく活用するといいでしょう。 荷物の破損や紛失に注意する 引越し時には、荷物の破損や紛失が発生する恐れがあります。食器など割れやすいものは、箱の中で動かないように隙間を紙で埋めるなどの対応をしておきましょう。パソコンなどの電子機器については、データの消失に備えて事前にバックアップを取っておくと安心です。 引越しが終わった後、荷物の破損や傷を発見した場合は、すぐに引越し業者に連絡しましょう。業者の責任は、荷物の引き渡し日から3ヵ月以内となっています。発見が遅れると事故原因がわからなくなってしまうため、引越し後はできるだけ早く荷物の状態を確認しましょう。 まとめ 引越しは荷造りやゴミの処分に加えて、さまざまな手続きが必要になります。やるべきことをリスト化し、完了したものにチェックを入れていくと、漏れなく対応できます。新居での生活を気持ちよくスタートできるように、引越しに必要な手続きを理解しておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住み替えの方法と成功させるポイント 持ち家に住んでいても、転勤や家族構成の変化などのライフスタイルの変化などを理由に住み替えを検討することがあるでしょう。 住み替えは新居の購入や自宅の売却、住宅ローンの手続きなど、同時に進めな...記事を読む

    2024.01.17住み替え
  • セーフティネット住宅とは

    セーフティネット住宅とは?入居条件や費用をわかりやすく解説

    賃貸住宅は持ち家に比べて気軽に引っ越しもでき、自由度が高いのが魅力です。しかし、働いていない高齢者などは入居を断られることがあります。そこで、賃貸住宅に安心して入居するために、「セーフティネット住宅」を利用するのも選択肢です。 この記事では、セーフティネット住宅の概要や入居条件、費用について詳しく解説します。 セーフティネット住宅とは セーフティネット住宅とは、住宅セーフティネット制度に登録されている、住宅確保要配慮者(詳細は後ほど説明)の入居を拒まない賃貸住宅です。 高齢者や障がい者など、住宅の確保に配慮が必要な人は今後も増加が見込まれています。しかし、住宅セーフティネットの根幹である公営住宅は、財政的な負担が大きいことから増加が見込めない状況です。 そこで、2017年10月に、増加している民間の空き家を活用した住宅セーフティネット制度が始まりました。住宅セーフティネット制度は、以下3つの柱で成り立っています。 住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度 登録住宅の改修や入居者への経済的な支援 住宅確保要配慮者に対する居住支援 【参考】住宅セーフティネットの仕組み 出典)国土交通省「住宅セーフティネット制度について」 住宅確保要配慮者とは セーフティネット住宅は、住宅確保要配慮者が賃貸人に入居を申し込みできます。住宅確保要配慮者の範囲は以下のとおりです。 ①低額所得者(月収15.8万円(収入分位25%)以下) ②被災者(発災後3年以内) ③高齢者 ④障がい者 ⑤子ども(高校生相当まで)を養育している者 ⑥住宅の確保に特に配慮を要するものとして国土交通省令で定める者 上記⑥は、外国人や東日本大震災等の大規模災害の被災者(発災後3年以上経過)などが含まれます。 住宅確保要配慮者の厳しい現状 国土交通省の資料によると、賃貸人は住宅確保要配慮者の入居に対して以下のようなネガティブな意識を持っています。 〇住宅確保要配慮者の入居に対する賃貸人(大家等)の意識 出典)国土交通省「住宅セーフティネット制度の現状について」(P.3) 賃貸人の約7割は高齢者や障がい者の入居、賃貸人の約6割は外国人の入居に対して拒否感を抱いています。また、賃貸人が入居を制限する理由は以下のとおりです。 〇賃貸人(大家等)の入居制限の理由 出典)国土交通省「住宅セーフティネット制度の現状について」(P.3) 賃貸人は、他の入居者や近隣住民との協調性、家賃の支払い、居室内での死亡事故等に対して不安を強く感じているようです。これらの結果から、住宅確保要配慮者が一般的な賃貸住宅を利用するのは困難であり、住宅セーフティネット制度が必要とされていることが分かります。 セーフティネット住宅の登録基準 賃貸人は、セーフティネット住宅として都道府県、政令市、中核市に賃貸住宅を登録できます。主な登録基準は以下のとおりです。 ①耐震性を有すること ②住戸の床面積が原則25㎡以上であること ③家賃の額が近傍同種の住宅の家賃の額と均衡を失しないこと 共同居住型住宅(シェアハウス)については、住宅全体の面積や専用居室、共用部分について別途基準が定められています。 入居を受け入れる住宅確保要配慮者の範囲 セーフティネット住宅では、住宅確保要配慮者の受け入れが必要です。ただし、すべての住宅確保要配慮者を受け入れる必要はなく、範囲を限定して登録できます。例えば、「高齢者の入居は拒まない」「高齢者、低額所得者の入居は拒まない」といった具合です。マンションなどの集合住宅については、住戸単位での登録が可能です。 セーフティネット住宅の費用 国土交通省の資料によると、セーフティネット住宅の家賃の状況は以下のようになっています。 〇セーフティネット住宅の家賃の状況 出典)国土交通省「住宅セーフティネット制度の現状について」(P.7) 全国では家賃5~8万円、東京都では家賃6~10万円の住宅が全体の70%以上を占めています。なお、一般的な賃貸住宅に住むときと同様に、敷金や礼金が必要な場合もあります。 セーフティネット住宅の現状 2022年12月末現在、登録住宅のほとんどが共同住宅です。戸建て住宅は0.1%しかありません。戸建て住宅への入居を希望する場合、セーフティネット住宅の物件を見つけるのは難しいでしょう。また、登録住宅の空室率は2.3%となっており、既にほとんど埋まっている状態です。 住宅確保要配慮者の対象を見る限り、セーフティネット住宅の需要は高まると考えられます。現在は需給バランスが取れておらず、このままでは今後増加が見込まれる単身世帯の需要に対応できない恐れがあります。 空き家問題の解決に繋がるか 住宅セーフティネット制度は、住宅確保要配慮者への住居提供だけでなく、空き家問題の解決策としても期待されています。 セーフティネット住宅の提供は、公営のみでは限界があるので、民間の協力が不可欠です。そこで、空き家となっている住宅をセーフティネット住宅として提供することが推奨されています。 セーフティネット住宅は需要増加が見込まれているため、空き家の登録が増えれば、「要配慮者の住宅確保」と「空き家の解消」という2つの課題を同時に解決できる可能性があるといえます。 まとめ セーフティネット住宅であれば、高齢者や障がい者、子育て世帯など、住宅の確保に配慮が必要な人でも安心して入居できます。入居可能な物件は「セーフティネット住宅情報提供システム」で検索可能です。 一般的な賃貸住宅への入居が難しい場合は、セーフティネット住宅を検討してみてはいかがでしょうか。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説 誰でも年をとると、身の回りのことができなくなったり、思ったようにできなくなったりしていきます。体が弱ってきたとき、あるいは要介護状態になったとき、自宅以外の住まいの選択肢として、どのような候...記事を読む

  • 持ち家派が減少?

    持ち家派が減少?アンケート結果から住まいの実態を探る

    住まい選びは、暮らしに大きな影響を与えます。また、自宅は一度購入すると、そう簡単には売却や住み替えができなくなります。今後の住まいを検討する際に、他の人の考え方や動向が参考になるかもしれません。 この記事では、全国宅地建物取引業協会連合会の「2023年 住宅居住白書(全国の20歳以上の男女が調査対象)」から、住まいに関する実態と読み取れることを紹介します。 出典)全国宅地建物取引業協会連合会「2023年 住宅居住白書」 不動産は買い時か否か 「いま、不動産は買い時だと思いますか」に対する回答結果は下表のとおりです。 回答 2022年 2023年 買い時だと思う 6.4% 15.8% 買い時だと思わない 26.4% 37.0% わからない 67.2% 47.2% わからないと答えた人が20%減少し、買い時だと思う人、思わない人ともに、前年比で10%程度上昇しています。この結果から、「わからない」を除いた時に、買い時だと思う人の比率が増加していることがわかります。 まず、買い時だと思う理由として多く挙がったのは、以下の理由です。 今後住宅ローン金利が上昇しそうだから(今の金利が低いから):44.0% 不動産価値(価格)が安定または上昇しそうだから:24.9% 住宅ローン減税など住宅取得のための支援制度が充実しているから:24.6% 続いて、買い時だと思わない理由として多く挙がったのは、以下の理由です。 不動産価値(価格)が下落しそうだから:29.7% 自分の収入が不安定または減少しているから:25.4% 住宅ローン減税など税制優遇が見直されそうだから:12.5% これらの結果から、不動産価格の面では、上昇するよりも下落すると考える人が多数のようです。一方で、金利の面では、米国をはじめとする諸外国の政策金利が上昇していることもあり、「日本でも将来金利が上昇する」と予測し、金利が低い今のうちに住宅ローンを組んでおきたいと考えている人が多いようです。 収入の面については、「収入が安定しているから(買い時だと思う)」に対して、「収入が安定していないから(買い時だと思わない)」と回答する人が多くなっています。この結果から、収入への不安から不動産の購入に踏み切れない人が多いことが読み取れます。 持ち家派は賃貸派の約4倍 「あなたは「持ち家派」「賃貸派」どちらですか(現在の住まいは関係なし)」の回答結果は、持ち家派67.5%、賃貸派17.4%となりました。 <持ち家派の理由> 家賃を払い続けることが無駄に思えるから(56.8%) 落ち着きたいから(37.4%) 老後の住まいが心配だから(35.3%) 持ち家を選ぶ人は、自分のものではない賃貸住宅に家賃を払い続けることに抵抗があるようです。また、家に対して心理的、経済的な安心感を求める傾向があります。 <賃貸派の理由> 住宅ローンに縛られたくないから(45.3%) 税金や維持管理にコストがかかるから(34.3%) 不動産を所有しない身軽さがいいから(29.4%) 一方、賃貸を選ぶ人は、自由や身軽さを重視する傾向が見られます。また、固定資産税や火災保険料、修繕費などの維持管理コストにも敏感です。収入に対する不安から、多額のローンを組むことに抵抗がある人も多いと考えられます。 持ち家派は初の60%台となり、過去8年の調査で最低となりました。ただし、賃貸派も前年より減少しており、今回(2023年)から回答に「どちらともいえない」という選択肢が追加されています。それを考慮すると、全体的に大きな変化はないとも考えられます。 災害に対する意識が高まっている 災害に対する住まいの意識として、「あてはまる」と回答した結果は以下のとおりです。 築年数や構造(免震、耐震)について考えるようになった(35.2%) 緊急避難場所や防災マップ・ハザードマップを意識するようになった(35.2%) 地盤などの状況を意識するようになった(30.3%) 災害に対する意識は全体的に高く、3人に1人は免震やハザードマップ、地盤などを意識しています。 ハザードマップについて「知っている」と回答した人は83.8%で、認知度は高いようです。住んでいる地域のハザードマップを見たことがある人は、60代の75.1%に対し、20代は36.4%でした。関心度は年齢と比例して高く、若年層ほど無関心な傾向にあります。 全体的に災害への意識が高いのは、地球温暖化の影響で台風や洪水などの被害が増えていることや、日本は地震大国であり、過去に「東日本大震災」などの大地震も発生していることが理由だと考えられます。 また、宅建業法施行規則の改正により、不動産取引の重要事項説明においてハザードマップの確認が追加(2020年8月28日から施行)されたことも、意識の高まりにつながっている可能性があります。 関連記事はこちらハザードマップとは?使い方や活用ポイントを解説 介護を意識した住まい方が重視されている 「今後求めている住まい方」については、以下の回答が上位となりました。 介護が必要になっても年金の範囲内で安心して暮らし続けられる住まいの整備(26.5%) 中心市街地など利便性の高い都心居住の推進(21.2%) 職場の近くで住まう職住近接の推進(18.8%) 長寿命化の影響で、年代が上がるにつれて介護や金銭面を強く意識しており、老後を見据えて住まいを選ぶ傾向が見られます。一方で、年代が若いほど職住近接を求めており、住まい選びで通勤しやすさを重視しているようです。 関連記事はこちら老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 空き家問題に対する意識は受動的である 少子高齢化の影響により、今後は空き家の急増が見込まれています。 空き家に関する現状調査では、「自身や家族の家が空き家になっている、または将来空き家になる可能性がある」と回答した人は35.0%です。そのうち、「話し合いをしていない」「放置、何も考えていない」と回答した人は6割を超えています。 空き家問題への対策については、補助金や税制優遇、行政からの働きかけが有効と考える人が多数を占めています。 多くの人が、空き家問題を認識しているものの、緊急性を感じておらず、問題を先送りしている人が多いのが現状です。また、「国や自治体が利用者に働きかけることで解決が見込める」と考えており、全体的に受け身の姿勢が見られます。 関連記事はこちら空き家を相続したらどうするべき?対処方法や税制特例について解説 まとめ 「持ち家か賃貸か」「住まいに何を求めるか」といったテーマは正解がなく、考え方は人それぞれです。ただし、一般消費者の動向は、自身の住まい選びの参考資料として活用できます。住まい選びで何を重視すべきか分からない場合は、本アンケートの調査結果を参考にしてみてはいかがでしょうか。 出典)全国宅地建物取引業協会連合会「2023年 住宅居住白書」 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自宅購入はより安全で優れた不動産投資!? 不動産投資といえば、マンションやアパートを貸し出して家賃収入を得ることをイメージするのではないでしょうか。しかし、考え方によっては賃貸暮らしの家賃支出をなくし、ローンの返済とともに資産を増や...記事を読む

  • 老後の住まいのトレンドは?

    高齢者の住まいの現状は?老後の快適な暮らしのための対策を紹介

    高齢になって体力が低下し、介護の必要性が高まってくると、間取りや設備などに住みづらさを感じるかもしれません。老後を快適に過ごすためには、住まいへの備えが不可欠です。 高齢期の住まいにはさまざまな選択肢があるため、現状や課題を把握したうえで、対策を行うことが大切です。この記事では、高齢者の住まいの現状や老後の快適な暮らしのための対策を紹介します。 高齢者の居住状況 65歳以上の高齢者単身、夫婦世帯の居住状況は以下のとおりです。 持ち家:989万世帯 賃貸:292万世帯 施設:224万人 持ち家の内訳は、単身世帯が422万世帯(約43%)、夫婦世帯が566万世帯(約57%)です。 賃貸は全体の約37%(109万戸)を公営住宅などの公的賃貸住宅が占めています。高齢になると民間賃貸住宅への入居を断られる場合があることから、公的賃貸住宅の割合が高くなっていると考えられます。 施設は、特別養護老人ホーム(特養)をはじめ、介護老人保健施設(老健)や、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、さまざまな選択肢があります。 高齢者の住まい 介護保険の第1号被保険者(65歳以上の方)3,588万人のうち、3,486万人(約97%)が在宅です。また、要支援、要介護認定者690万人のうち、588万人(約85%)が在宅で介護を受けています。高齢者の9割以上、要介護の高齢者でも約8割が在宅で暮らしているのが現状です。 なお、上述の在宅人数は、居住系サービスを利用している人数も含まれます。居住系サービスとは、施設系サービス(特養、老健など)以外のケア付き住宅のことで、具体的には有料老人ホームやサ高住などが該当します。 高齢者の介護場所の希望 1人暮らしの高齢者が希望する介護場所をみると、要介護度が高くなるにつれて介護施設やケア付き住宅を希望する人が増加しています。 ※国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」をもとに編集部作成 そもそも頼る親族がいないことも考えられますが、「親族に迷惑をかけたくない」「要介護度が高いと施設のほうが安心」といった理由も考えられます。 高齢期の快適な暮らしのための対策 要介護認定を受けた高齢者の約8割は、在宅で介護を受けているのが現状です。また、多くの高齢者は、要介護度が低いうちは自宅での介護を希望しています。老後を快適に暮らすには、住まいへの備えが不可欠といえるでしょう。 まずは「持ち家か賃貸か」「介護を受ける場所は自宅か施設か」など、元気なうちに自身のこれからの住まいについて考えておくことが大切です。できる限り自宅に住み続けたい場合は、手すりの設置や段差の解消、トイレの改修といったバリアフリー化を行い、高齢期も安心して暮らせる住環境を整える必要があります。 また、高齢期の住まい選びやリフォームではまとまったお金がかかるため、老後の生活資金が不足しないよう資金計画を立てることも重要です。老後の住まい選びについては、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 出典)国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」 まとめ 日本は今後も人口減少が続き、65歳以上の高齢者の割合が増えていく見込みです。国は老後も安心して暮らせる住環境の整備に取り組んでおり、高齢期の住まいの選択肢は増えています。 老後もできる限り現在の自宅に住み続けるなら、バリアフリー化などのリフォームが必要になるでしょう。介護施設への入居を視野に入れている場合は、賃貸への住み替えも選択肢です。 元気なうちに、老後の住まいについてしっかりと考えておくことが大切です。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 高齢者の自宅売却のトラブルが増加!回避するための対策とは? 「強引に勧誘された」「高額の違約金を請求された」など、高齢者の自宅売却に関するトラブルが増加しています。 相手に言われるがまま売買契約をしてしまうと、高齢者の場合は「住む場所が見つからない」...記事を読む

  • 高齢者の自宅売却トラブルに注意

    高齢者の自宅売却のトラブルが増加!回避するための対策とは?

    「強引に勧誘された」「高額の違約金を請求された」など、高齢者の自宅売却に関するトラブルが増加しています。 相手に言われるがまま売買契約をしてしまうと、高齢者の場合は「住む場所が見つからない」「違約金の支払いで老後資金が足りない」などの問題が生じる恐れがあります。老後も持ち家で安心して生活するには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。 この記事では、高齢者の自宅売却のトラブル事例や回避するための対策を紹介します。 高齢者の自宅売却トラブルが増加している 国民生活センターの資料によると、契約当事者が60歳以上の自宅売却に関する相談件数は、以下のとおり推移しています。 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 571件 564件 657件 616件 610件 出典)国民生活センター「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」 2018年以降は600件を超えているものの、全体的には横ばいで推移しています。 一方で、70歳以上の高齢者の自宅トラブルは増加傾向にあります。以下は、契約当事者の年代別相談割合です。 60歳未満 60~69歳 70~79歳 80歳以上 2016年 35.6% 28.2% 20.6% 15.6% 2017年 35.0% 25.5% 21.9% 17.6% 2018年 34.8% 19.9% 26.1% 19.3% 2019年 34.5% 19.6% 25.5% 20.4% 2020年 30.1% 17.6% 30.4% 21.9% 出典)国民生活センター「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」 60歳未満および60歳代は年々減少していますが、70歳以上は増加が続いています。2020年は70歳以上の相談割合が52.3%で、全体の半分以上を占めている状況です。 自宅売却はクーリング・オフ制度を利用できない クーリング・オフとは、一度契約の申し込みや締結を行っても、一定期間内であれば無条件で申し込みの撤回や契約解除ができる制度です。しかし、自宅を不動産業者に売却する場合には、このクーリング・オフ制度を利用できません。 クーリング・オフはできないものの、契約破棄することも可能です。ただし、ほとんどの場合で契約解除には、売買金額の2割程度の違約金が発生するため、経済的に大きな負担となります。 高齢者の自宅売却に関するトラブル事例 高齢者の自宅売却について、具体的にどんなトラブルが発生しているのでしょうか。ここでは、国民生活センターに寄せられた相談事例を3つ紹介します。 長時間の居座り 長期間の勧誘を受け、強引に契約させられた80代女性の事例です。 1人暮らしの自宅に突然、不動産業者が2人で訪ねてきた。「住んでいるマンションを売らないか」と勧められ、連日朝10時から夜まで居座られた。弱気になり「売値を200~300万円上乗せしてくれるなら」と答えたら、2,300万円で売ることになってしまった。書面に署名押印したが、何の書類か覚えておらず、「やっぱり待ってほしい」と言っても取り合ってもらえなかった。 高額の解約料請求 強引に契約させられ、「解約には違約金がかかる」と言われた80代女性の事例です。 不動産業者から「自宅マンションを売ってほしい」と何度か電話があったが、断っていた。後日、外出先から戻るとエントランスで不動産業者が待っており、悪いと思って自宅に上げた。業者は「住み替えの物件を紹介する」と言って勝手に話を進め、内容を理解できないまま書面に署名押印し、その場で手付金約450万円を渡された。翌日不動産業者に契約をキャンセルすると電話すると、「解約料として約900万円支払ってほしい」と言われた。 契約に関する虚偽の説明 嘘の説明を信じて、自宅の売却と賃貸借の契約をしてしまった70代女性の知人の事例です。 知人宅に電話があり、その後不動産業者が訪ねてきた。知人はその日のうちに自宅マンションを約2,000万円で売却し、家賃18万円でそのまま住む契約をした。マンションの相場はもっと高額なはずだが、「このマンションは10年後には取り壊される」という虚偽の説明を信じて契約してしまった。知人は1週間後に不動産業者と会い、「キャンセルしたい」と伝えたが、できないと説得されて手付金を受け取ってしまった。 高齢者が自宅売却のトラブルを回避するには? 自宅売却に関するトラブルを避けるために、以下の3つを心掛けましょう。 わからない、納得できない場合は絶対に契約しない 不動産業者から話を聞いても、契約内容がわからない場合や納得できない場合は絶対に契約しないことが大切です。不動産売買はさまざまな手続きが必要で、仕組みも複雑です。自宅売却はクーリング・オフができないため、よくわからないまま契約してしまうと後悔するかもしれません。 1人で対応すると相手のペースで話を進められ、適切な判断ができない可能性があります。契約前に家族や友人などに相談し、不動産業者との面談ではできるだけ立ち会ってもらいましょう。相談できる身近な人がいない場合には、弁護士などの専門家に相談するのもひとつの手です。 迷惑な勧誘ははっきり断る 「夫(妻)と相談します」「考えてみます」のような断り方をすると、可能性があると判断され、今後も勧誘が続いてしまいます。不動産業者から電話や訪問で勧誘されても、自宅を売却するつもりがないなら「自宅は売りません」とはっきり断ることが大切です。 今後も勧誘してほしくない場合は、「もう勧誘はやめてください」と明確に意思を伝えましょう。消費者が断ったにも関わらず、不動産業者が勧誘を続けることは宅地建物取引業法で禁止されています。 不要な勧誘を避けるには、「知らない電話番号からの電話には出ない」「訪問されても玄関ドアを開けない(インターフォンで対応)」などの対策も有効です。 トラブルになりそうな場合は相談する 「不動産業者の説明がよくわからない」「よく考えずに契約してしまった(解約したい)」など、トラブルになりそうな場合は、なるべく早く消費者生活センターなどに相談しましょう。 連絡先:消費者ホットライン「188(いやや)」 消費者ホットライン「188」に電話し、アナウンスに従って自宅の郵便番号を入力すると、最寄りの消費者生活センターや市区町村の消費生活相談窓口につながります。また、長期間の居座りは不退去罪に当たる可能性があるため、状況によっては警察を呼ぶことも検討しましょう。 まとめ 高齢者が自宅売却のトラブルに巻き込まれると、住む場所が見つからなかったり、高額の違約金を請求されたりする恐れがあります。不動産業者から電話や訪問で勧誘されても、自宅を売るつもりがないなら「売りません」とはっきり断ることが大切です。 不安な場合やトラブルに巻き込まれそうなときは、消費者ホットライン「188」に電話して相談しましょう。 自宅の売却相談はこちらから SBIシニアの住まいとお金なら、金融と不動産の両方の知識で丁寧にアドバイスいたします 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住まいの終活で考えておくべきポイントをFPが解説 「終活」という言葉が一般に広がるなか、近年、「住まいの終活」についても注目されるようになってきました。どのような内容なのか、どうしたらいいのかなどについて考えてみましょう。 「住まいの終活」...記事を読む

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