住まいとお金の知恵袋 一覧(公開日順)

  • 競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法

    競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法

    不動産を担保とするローンの返済が困難になると、最悪の場合、競売によって担保不動産が強制的に売却されてしまいます。競売にはデメリットがあるので、ローンの返済が困難になったとしても、絶対に回避すべきです。また、不動産を担保にローンを借りるのであれば、もしものときの備えとして、競売について理解しておくことが大切です。 この記事では、競売を回避すべき理由や回避する方法について解説します。 競売とは 競売とは、債務者の所有する不動産などを売却し、その代金を債務の弁済にあてる手続きです。この手続きは、債権者の申し立てにより、裁判所が不動産などを差し押さえることで行われます。 競売は3種類に分類される 一口に「競売」といっても、競売に至るまでの経緯によって、3種類に分類されます。なお、手続きそのものの流れについては、3種類とも同様です。 強制競売 強制競売は、判決や裁判所での和解又は調停で決まった内容を実現したり、公証人が作成した公正証書の内容を実現したりするための手続きです。 担保不動産競売 担保不動産競売は、不動産に設定された担保権(主に抵当権)を実行するための手続きです。 形式競売 形式競売は、債務の清算としてではなく、遺産分割や共有物分割、破産手続上の換価など、不動産を売却してお金に換える必要があるときに、競売手続をその手段として利用するものです。 公売と競売の違い 競売は債権の回収を図る手続きであるのに対して、公売は滞納税金の回収を図る手続きです。根拠法も競売が民事執行法であるのに対し、公売は国税徴収法となります。また、競売は主に裁判所が手続きを進行しますが、公売は国税局や税務署が手続きを進行します。 競売の流れ 一般的に住宅ローンなどの保証会社がついている融資の場合、競売の大まかな流れは以下のとおりです。 金融機関から一括返済を求められる(督促状・催告状が届く) 保証会社が金融機関に一括返済を行う(代位弁済) 債権者が裁判所に競売申立てを行う 裁判所から競売開始決定通知が届く(差押え) 不動産の現況調査が行われる 競売の入札が実施される 落札者に不動産が売却される(退去) 上述のような流れで競売手続きが開始され、最終的には担保不動産が売却されます。競売の流れは、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら担保不動産競売までの流れをわかりやすく解説 競売を回避すべき3つの理由 競売は主に以下の3つの理由から、回避すべきと言えます。 落札価格(売却価格)が市場価格よりも安くなる 競売物件は買主にとってリスクが高いため、落札価格(売却価格)は市場価格を下回るのが一般的です。市場価格より落札価格が安くなる理由は以下のとおりです。 落札した建物に欠陥が見つかれば、買主が修繕費を負担しなくてはならない 前の所有者が落札後も退去しなければ、退去してもらうための交渉や手続きも必要になる 「競売物件」に対する抵抗感がある 通常の不動産取引に比べて、競売は手続きが煩雑である 競売での落札価格に大きく関わるのが、「売却基準価額」と「買受可能価額」です。上述のとおり、競売は落札者の負担が大きいことから、競売にかけられる不動産の売却基準価額は、市場価格の約7~8割程度に設定されます。 そして、最低落札価格を表す買受可能価額は、売却基準価額の8割です。落札価格の基準となる価額がこのように決定されているため、一般的に落札価格は市場価格を下回ってしまいます。 余計な費用がかかる 競売では、通常の不動産取引ではかからない、余計な費用がかかります。競売が実行されるまでには、各種書面の送付や現況調査など、さまざまな費用が発生しますが、これらの費用は予納金によって賄われます。予納金とは、裁判所に競売の手続きを申立てるときに債権者が納めるお金です。たとえば、競売物件が東京23区の場合、予納金の額は以下のとおりです。 請求債権額 予納金の額 2,000万円未満 80万円※ 2,000万円以上 5,000万円未満 100万円 5,000万円以上 1億円未満 150万円 1億円以上 200万円 ※令和2年3月31日以前に受理された申立てについては60万円 出典)裁判所|不動産競売事件(担保不動産競売,強制競売,形式的競売)の申立てについて 予納金は競売手続きを開始するときは債権者が債務者に代わって立替をしますが、最終的には売却代金から差し引かれて債権者に返還されるため、実質的には債務者が負担することになります。 また、ローンの延滞が始まってから競売で売却されるまでは、延滞分の遅延損害金も発生します。延滞から競売による売却まで一年以上かかる場合もあるため、残債によってはかなりの額になります。こうした費用が重なり債務者の負担金額が増加するため、競売で不動産を売却しても、残債を完済できない恐れもあります。 競売にかけられたことを知られてしまう 不動産を競売にかけられると、周囲に知られてしまう恐れがあります。なぜなら、裁判所による競売・差押えは公示され、所在地や外観、室内写真など、物件の詳細がホームページ上に掲載されるからです。名前が公開されることはありませんが、近所の人や会社などが見れば、競売にかけられていることはすぐにわかります。 また、競売の手続きが進むと、裁判所の執行官による現地調査が行われ、占有者や物件状態の確認、外観や室内の写真撮影、周辺住民への聞き取りなども行われます。また、ホームページなどに掲載された情報をもとに、落札目的の不動産業者が物件確認に訪れることも多いです。 競売で残債を完済できないとどうなる? 上述のとおり、競売は落札価格(売却価格)が市場価格よりも安くなるうえに、余分な費用も掛かってしまうため、競売後も残債を完済できない恐れがあります。 競売で完済できなかった残債については、引き続き、債権者に返済をすることになります。このときの債権者は、ローンを融資した金融機関や途中で「代位弁済」をした保証会社となりますが、債権管理回収を専門に行う「サービサー」という業者になることもあります。サービサーは、競売後、それまでの債権者から債権を譲渡され、債務者からの債権回収を行ないます。 このように、債権者は変わる可能性はありますが、債務者の残債に対する返済義務はそのままです。実際の返済方法については、債権者との交渉になりますが、分割払いとなるケースが多いようです。 競売を回避する方法 債権者から申立てによって、競売手続きが開始されたとしても、開札期日の前日までは取り下げの手続きができます。しかし、申立てを取り下げるように交渉するのは簡単ではありません。債権者に競売の申立てられた場合には、以下のような対策を行いましょう。 ①不動産担保ローン 他の金融機関から新たに融資を受け、残債を返済することができれば、債権者は競売の手続きを取り下げてくれます。しかし、延滞歴や資産状況を考えると現実的には難しいです。 一方で、不動産担保ローンを提供している金融機関の中には審査が柔軟な会社もあり、不動産に評価余力があれば融資を受けられるかもしれません。不動産担保ローンを利用して返済期間を延長できれば、毎月の返済額を低減できる可能性があります。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 ②任意売却 次に、任意売却とは、債権者と債務者の間で合意したうえで不動産を売却する方法です。債権者の合意を得ること以外は一般的な売却と同じなので、市場価格に近い値段で売却できる可能性があります。まずは、任意売却の相談に乗ってくれる不動産会社や弁護士を探しましょう。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 ③リースバック 最後に、同じ家に住み続けたい場合はリースバックも選択肢のひとつです。リースバックは自宅をリースバック運営会社に売却し、その運営会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられます。債権者から売却価格の同意が得られれば利用できるかもしれません。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 まとめ 競売の申立てが行われると、取り下げてもらうのは簡単ではありません。競売で自宅を売却されてしまうと、市場価格よりも安くなるだけでなく、余計な費用がかかるなどのデメリットがあります。ローン返済の見通しが立たないときには、必ず借り入れした金融機関に相談しましょう。 自宅の売却相談はこちらから SBIシニアの住まいとお金なら、金融と不動産の両方の知識で丁寧にアドバイスいたします 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 「金銭消費貸借契約証書」の重要性とは? 金融機関から借入れた不動産担保ローンの返済が困難になってしまうと、担保として提供している不動産は金融機関によって売却されることになります。これは、不動産担保ローンを借入れるときの〝常識〟です...記事を読む

  • 不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い

    不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い

    不動産担保ローンで資金調達する場合、銀行とノンバンクのどちらを利用すべきか悩むかもしれません。ノンバンクとは、銀行のように預金業務を行わず、与信業務(融資)に特化した金融機関のことです。銀行は預金業務を行っていることもあり、「なんとなく銀行のほうが安心」と思う人も多いでしょう。しかし、銀行とノンバンクの不動産担保ローンはそれぞれ特徴に違いがあるため、自身の状況に合わせて最適な金融機関を選ぶことが大切です。 この記事では、不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違いについて解説します。 銀行とノンバンクの違い 不動産担保ローンにおいて、銀行とノンバンクでは「総量規制(そうりょうきせい)」という法律の点で大きく異なります。総量規制とは、会社員等の個人における貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合、新規の借入れをすることができなくなる規制のことです。返済能力を超えた債務で生活が破綻するのを防ぐために、個人向けの貸付には借入金額に上限が設けられています。 不動産を担保とする貸付は総量規制の適用除外となりますが、担保とする不動産が自宅の場合は総量規制の対象となります。一方で、銀行法が適用される銀行は総量規制の対象外であるため、会社員でも銀行を利用すれば、自宅を担保に年収の3分の1を超える範囲でも融資を受けられる可能性があります。 これらのことから、会社員で事業を行っていない個人は、ノンバンクで不動産担保ローンを借りようと思っても年収による制限が付くことがほとんどです。そのため、ノンバンクでは、個人向け不動産担保ローンと称しながらも、事業を営んでいることを前提としていることも珍しくありません。 融資条件で見るそれぞれの特徴 次に、不動産担保ローンの融資条件について、銀行とノンバンクそれぞれの特徴を確認していきましょう。 金利と手数料 銀行の不動産担保ローンは、ノンバンクに比べて比較的金利が低めに設定されていることが多いです。たとえば、資金使途が限定されていない不動産担保フリーローンの場合、ある銀行では最低金利が1.0%前後であるのに対し、あるノンバンクでは2.5%前後となっています。 金利以外にも不動産担保ローンは以下のような手数料がかかります。 事務手数料 繰上返済手数料(解約料) 印紙代 登記費用 手数料については、銀行とノンバンクの違いというよりは、金融機関によって異なります。銀行、ノンバンクにかかわらず、金利と手数料の両方を考慮して、支払う費用面で有利なローンを選ぶことが大切です。無事に返済を終えるには繰り上げ返済を活用することも重要なので、繰り上げ返済の条件や手数料も確認しておきましょう。 融資金額 不動産担保ローンの最低融資金額~融資限度額の幅も、銀行とノンバンクというよりは、金融機関によって異なります。また、希望する金額の融資を受けることが出来るかどうかは、あくまで担保不動産の評価や担保掛目、申込人の与信によって変わります。担保掛目とは、担保不動産の評価額に対して金融機関が設定する比率のことで、担保掛目が大きいほど借りられる金額は大きくなります。一般的に担保掛目は評価額の70%~80%程度に設定されていますが、一部のノンバンクでは80%を超えるところもあります。 金融機関選びは、自分が希望する金額が融資可能額の範囲内にあるかどうかを前提として、担保不動産の評価と掛け目がポイントになります。銀行、ノンバンクにかかわらず、希望する金額を借りられるかどうかを重視するといいでしょう。 融資までの日数 不動産担保ローンでは、銀行よりノンバンクのほうが、融資までの日数が早いことが多いです。あくまでも目安ですが、ノンバンクは最短数日から2週間程度で融資が実行されるのに対し、銀行は2週間から1か月程度かかります。銀行は担保不動産の評価はもちろん、与信も厳しく審査される上、保証会社の保証が入ることが多いため、ノンバンクに比べて日数がかかります。そのため、少しでも早く資金を調達したい場合は、銀行よりノンバンクを利用したほうがいいかもしれません。 そもそも不動産担保ローンは、担保不動産の調査が必要になるため、無担保ローンに比べると融資実行までに時間がかかります。多くの金融機関が「最短〇日」といった表記をしていますが、資金計画の際は保守的に「早くても1週間はかかる」と考えておくといいでしょう。 審査基準(与信と担保不動産) 不動産担保ローンの審査基準については、銀行よりノンバンクのほうが柔軟なことが多く、与信面では、過去に銀行で断られた場合や返済の延滞歴がある場合でも、ノンバンクに相談すれば融資してもらえる可能性があります。 また、担保不動産では「借地権がついている」「建ぺい率や容積率がオーバーしている」など、いわゆる「既存不適格」物件の場合、銀行では断られることがほとんどです。しかし、ノンバンクによっては「借地権者の承諾書を取得する」「担保掛目を下げる」といった対応で担保の適格性を確保することで、融資してもらえる可能性があります。 さらに、不動産担保ローンの資金使途は原則自由ですが、一部の銀行では開業資金や納税資金などが認められないケースもあります。一方、ノンバンクは基本的にこのような制限はなく、開業資金や納税資金にも利用できます。そのため、不動産担保ローンで調達する資金の用途によっては、銀行よりノンバンクのほうがいいかもしれません。 まとめ ここまで説明してきたように、不動産担保ローンは、銀行とノンバンクでそれぞれ特徴に違いがあります。銀行は金利が比較的低く設定されていますが、融資基準が厳しい場合や、融資実行までに時間がかかることがあます。それに対して、ノンバンクは銀行より金利は高くなる傾向がありますが、融資基準が柔軟で、融資実行までの日数も短いのが特徴です。 これらのことから、なんとなく銀行の方が安心という理由のみで銀行に決めるのではなく、自身の担保不動産の状況や資金使途、金利や手数料などの融資条件を踏まえた上で、どこの金融機関が良いのかを総合的に判断する必要があります。まずは、銀行とノンバンクのどちらかに絞るのではなく、複数の金融機関に相談し、自分に合ったローンを利用することが大切です。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として借り入れを行うローン商品のことです。不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べてまとまった金額を低金利で借りることができます。 一方...記事を読む

  • リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

    リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

    リースバックとは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法で、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続けることを可能にする手法です。 近年、不動産事業者によるリースバックサービスの取扱いが増加しており、「リースバック」という言葉単体で、住宅におけるリースバックを指すことが一般的になりつつあります。 住宅におけるリースバックは、自宅を売却して現金を得て、売却後は賃料を支払うことで、それまで住んでいた住宅に引き続き住むことができるサービスです。この記事では、住宅におけるリースバック(以下、「リースバック」という。)の仕組みやメリット・デメリットを解説します。 リースバックの仕組み リースバックは、一般的にリースバック運営会社とリースバックを利用したい個人間で、不動産の売買契約および賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けることが可能になる仕組みです。 リースバックは、住み替えや老後資金の確保、円滑な相続等を目的として、住宅利活用の新たな選択肢として注目されています。一方で、リースバックは認知度が未だ低いことや、一連の取引の複雑さから、消費者の理解が不十分なまま契約が締結されるなどのトラブルも見られます。 リースバックとリバースモーゲージとの違い リースバックは、自宅に住み続けながら老後資金を受け取れるという点で、リバースモーゲージとも比較されるサービスです。一方で、リースバックが不動産取引であることに対して、リバースモーゲージはローン商品であるため、根本的には異なるサービスです。主な違いは下表のとおりです。 リースバックとリバースモーゲージとの違い 種類 リースバック リバースモーゲージ 契約の形態不動産売却契約不動産賃貸借契約金銭消費貸借契約 年齢制限なしあり 借り入れの有無なしあり 転居の要否なしなし 所有権の移転ありなし 資金使途自由原則、生活資金 支払い家賃利息 契約終了の条件引っ越しによる明け渡し買い戻し契約者の死亡借入金の完済 ※筆者作成 関連記事はこちらリースバックとリバースモーゲージの違いとは リースバックのメリット リースバックには、以下のようなメリットがあります。 自宅を売却した後も同じ家に住み続けられる 一般的な不動産売却は、まとまった資金を得られる一方で、引っ越しの手間や費用が発生します。また、高齢になると、新居の購入や賃貸借契約の締結が難しくなるケースも少なくありません。 リースバックでは、売却した自宅にそのまま住み続けられるため、まとまった資金を得ながらも、慣れ親しんだ自宅に住み続けられます。 月々の支出が定額化される 自宅を所有していると、定常的に発生する管理費や固定資産税、火災保険や地震保険など、さまざまな費用が発生します。リースバックでは、所有者がリースバック運営会社となるため、住居費用は毎月一定の家賃(リース料)に一本化されます。 家を所有することで発生するリスクがなくなる 自宅を所有していると、突発的な災害等で不動産価格の下落や建物の損壊などのリスクを抱えます。特に、戸建ての場合はマンションに比べて不動産価格の下落や災害による影響を受けやすいです。 また、住宅ローンが変動金利の場合は、金利上昇で返済額が増加するかもしれません。リースバックでは、所有者がリースバック運営会社となるため、これらの家を所有することで発生するリスクはなくなります。 リースバックのデメリット 一方で、リースバックには、以下のようなデメリットもあります。 売却価格が市場価格よりも安くなる リースバックは、基本的に自宅の売却価格が市場価格よりも安くなります。個人に売却する不動産仲介とは異なり、不動産業者が直接買い取りをするため、市場価格よりも安く買い取るためです。 また、リースバック運営会社は買い取った不動産を所有するリスクやコストを維持する点で、一般的な不動産買取よりも価格が安くなることも珍しくありません。 リフォームや建て替えが自由にできなくなる 持ち家の場合、マンションなどの規約が定められている場合を除き、自由にリフォームや建て替えができます。しかし、リースバックを利用すると、不動産の所有者はリースバック運営会社になるため、リフォームや建て替えをしたいと思っても、運営会社の許可が必要です。 ずっと住み続けられるとは限らない リースバックは、自宅に引き続き住むことができるサービスですが、希望する期間住み続けられるとは限りません。リースバックにおける賃貸借契約が普通賃貸借契約であれば、原則住み続けることができます。 一方で、定期借家契約の場合、ずっと住み続けられる保証はありません。貸主と借主の合意があれば再契約は可能ですが、あらかじめ、「必ず再契約をする」などの契約を結ぶことはできません。当初の賃貸借契約の期間を越えて家に住み続けたい場合は、定期借家契約ではなく、普通借家契約が締結できる運営会社を選ぶと安心です。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? リースバックの活用事例 リースバックでは、以下のような活用事例があります。 老後資金の確保 老後資金が不足したとしても、自宅を売却して引っ越すことは避けたいと思う人も多いでしょう。一方で、ローンを利用しようとしても、年齢などを理由に金融機関から断られることも珍しくありません。リースバックであれば、年齢を理由に断られることもなく、自宅に住み続けられます。 住み替え資金の確保 リースバックで自宅を売却すれば、新居の頭金や手付金に充てられるほか、ローンの返済資金にも利用出来ます。また、新居に住み替えるまでは、今までの家に住み続けられるので、仮住まいを探す必要もありません。 月々の返済負担の軽減 住宅ローンによっては、固定金利から変動金利への変更や、変動金利の上昇などで毎月の支払いが厳しくなることもあるでしょう。リースバックの家賃が住宅ローンの返済額より低くなれば、月々の支払額が減り、資金繰りが楽になるでしょう。 住宅ローンの完済 住宅ローンの返済が滞って金融機関に残債の一括返済を求められた場合、任意売却や競売を選択すると、自宅を失うことになります。しかし、リースバックを利用し、その資金で住宅ローンを完済することができれば、同じ家に住み続けることができます。 離婚時の財産分与 婚姻期間中に購入した自宅は、離婚時の財産分与の対象となります。しかし、住宅ローンが残っていて財産分与ができない場合や、夫婦の一方が離婚後も住み続けたい場合は一般的な不動産売却では解決できないでしょう。 しかし、リースバックを利用すれば売却価格によっては住宅ローンの一括返済が可能となり、自宅を現金化できるため財産分与を行うことができます。 相続問題の解決 複数の相続人がいる場合、自宅の相続をめぐって兄弟や親族との間でトラブルが発生する場合もあります。不動産は公平に分割しづらい財産なので、生前に現金化できれば、相続人同士がもめることもなく公平かつスムーズな遺産分割が可能となるでしょう。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイント リースバックを契約する際はどのような点に気をつけたらよいでしょうか。 主なポイントとして以下の4つを紹介します。 自宅の売却価格が相場よりも安すぎないか 自宅の売却先(買取業者)とリースバック契約先(大家)が同じか 契約期間中に家賃の値上げがないか 自宅の買い戻しについて契約書で定めているか 1. 自宅の売却価格が相場よりも安すぎないか リースバックにおける売却は、市場価格よりも安くなりますが、中には相場よりも著しく安く買われてしまう恐れもあります。このような対策として、自身で相場観を持っておく必要があります。そのためにも、リースバックを利用する際には1社だけでなく、複数社の見積もりや相談をしておくことが大切です。 2. 自宅の売却先と賃貸人が同じか リースバック運営会社の中には、不動産買取を行う会社と賃貸を行う会社が異なる場合があります。このような場合、ずっと住み続けたいと思っていても、賃貸の更新や再契約時にトラブルに発展する恐れがあります。 対策として、あらかじめ買主と賃貸人の確認をするとともに、賃貸借契約の種類や期間、買い戻しの条件などについても確認しておきましょう。 3. 契約期間中に家賃の値上げがないか リースバックでは、賃貸借契約を締結するため毎月家賃の支払いが発生します。賃貸借契約では、家賃の変更に関する条項が設けられているため、あらかじめ契約書にどのような記載があるか確認しましょう。基本的に家賃の値上げがされていないような条項となっていると、今後住み続けるうえで安心でしょう。 4. 自宅の買い戻しについて契約書で定めているか リースバックで売却するのは一時的で、将来的に自宅を買い戻したいと考えている場合は、売買契約時に買い戻しについての条件を契約書に明記しているかが大切です。口約束だけでは運営会社が応じず、買い戻しできる確証がないので、書面化に応じてくれる会社を選びましょう。 なお、買戻しに関する条件は、売買契約書上の特約や、売買予約契約などで定められています。 関連記事はこちらリースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバック利用の流れ リースバックを利用する主な流れは以下のとおりです。 相談・仮査定 物件調査 契約締結 売買決済・賃貸開始 1.相談・仮査定 リースバックを検討する時、まずはリースバック運営会社に仮査定を依頼します。仮査定では、固定資産税額や管理費、共益費を聞かれることもあるので、あらかじめ準備しておきましょう。 リースバック運営会社によって、回答までの時間は異なりますが、当日中に概算の売買価格と家賃を提示してもらえることもあります。 2.物件調査 仮査定結果を受けて手続きを進める場合には、物件の本調査に進みます。本調査では、リースバック運営会社の担当者や査定会社などが、物件に図面との違いがないかなどを確認します。 物件調査の結果を基に、取り扱いの可否や契約書上の売買価格と家賃等を決定します。物件の状態によっては、仮査定の結果と大きく異なる場合もあるので注意が必要です。また、リースバック運営会社によって、経済条件を調整できる可能性もあるので、相談してみるといいでしょう。 3.契約締結 契約条件の提示内容に問題がなければ不動産の売買契約や賃貸借契約、売買予約契約などを締結します。契約の締結前に、経済条件だけでなく賃貸借契約の種類や期間、買戻しの可否や金額等の条件を確認しましょう。 4.売買決済・賃貸開始 契約手続きが完了したら早ければ即日で売買決済が行われます。売買決済日と同日から賃貸契約が開始となり、家賃が発生します。家賃の支払い日や清算金などをあらかじめ確認しておきましょう。 関連記事はこちらリースバックの契約までの流れと必要書類、注意点を解説 リースバックのよくあるご質問 リースバックのよくあるご質問とその回答は、以下のとおりです。 住宅ローンが残っていてもリースバックを利用できますか? 住宅ローンが残っていても、リースバックを利用することは可能です。ただし、売却時に対象不動産に設定されている抵当権を抹消する必要があります。 家賃の支払いを安く抑えたいのですが、可能ですか? リースバックの家賃は、売却価格を基準に算出されますので、売却価格を抑えることで、家賃を下げられる可能性があります。 手元資金がほとんどないのですが、費用はかかりますか? リースバックは、不動産の売買代金から費用を清算することができるので、手元資金は不要です。諸費用については、運営会社にあらかじめ確認しておきましょう。 高齢で年金受給者なのですが、リースバックを利用できますか? 高齢者や年金受給者であっても、リースバックを利用できます。リースバックは、融資商品ではないので、年齢制限や収入の基準を設けられていないことが多いです。 関連記事はこちらリースバックのよくあるご相談7選 まとめ リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるので、「老後資金を確保したい」「住宅ローンの返済負担を減らしたい」という場合に活用できます。ただし、売却価格は市場価格より安くなり、ずっと住み続けられる保証はありません。契約してから後悔しないように、メリットやデメリットをよく理解したうえで、リースバックを利用するか検討しましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "住宅ローンが残っていてもリースバックを利用できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "住宅ローンが残っていても、リースバックを利用することは可能です。ただし、売却時に対象不動産に設定されている抵当権を抹消する必要があります。" } }, { "@type": "Question", "name": "家賃の支払いを安く抑えたいのですが、可能ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リースバックの家賃は、売却価格を基準に算出されますので、売却価格を抑えることで、家賃を下げられる可能性があります。" } }, { "@type": "Question", "name": "手元資金がほとんどないのですが、費用はかかりますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リースバックは、不動産の売買代金から費用を清算することができるので、手元資金は不要です。諸費用については、運営会社にあらかじめ確認しておきましょう。" } }, { "@type": "Question", "name": "高齢で年金受給者なのですが、リースバックを利用できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"高齢者や年金受給者であっても、リースバックを利用できます。リースバックは、融資商品ではないので、年齢制限や収入の基準を設けられていないことが多いです。" }} ] } ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む

  • コロナウイルスの影響で生活資金不足に!公的支援で足りないときは

    コロナウイルスの影響で生活資金不足に!公的支援で足りないときは

    新型コロナウイルスの影響で、家計に大きなダメージを受けた人も少なくないでしょう。国からの給付金や貸付制度などもあるものの、それでも足りない時はどうすればいいでしょうか。家計が立ち直るまでの資金繰りについて考えてみましょう。 困窮する前に中長期で計画を 5月26日に新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が解除されホッとした人も多いかもしれません。その間、失業や収入の減少、中には自分自身が感染症にかかるなど、家計に大きなダメージを受けた人も少なくないでしょう。しかし、新型コロナウイルス感染症の第二波などの影響から、家計への影響はさらに本格化してくるかもしれません。 とはいえ、まずは目先の家計の問題を解決する必要があります。家賃や住宅ローンなどの住居費から税金や社会保険料、公共料金や子どもの教育費まで、収入の減少によって支払いが難しいこともあるでしょう。その場合、国からの給付金や無利子の貸付を活用するほか、税金や社会保険料、公共料金の延納などが利用できる可能性もありますので、各地方自治体などに確認をしてみましょう。 支払いの中でも特に気を付けなければならないのは住宅ローンで、金融機関によっては、1度でも延滞をすると優遇金利の適用がなくなり、いきなり返済額がアップする可能性があります。支払いが難しい場合は、初回の延滞をする前に借り入れをしている金融機関に相談しましょう。 何とか目先の家計収支の悪化を乗り切ったあとは、半年から1年など少し長いスパンで家計の収支バランスを整えていきましょう。一度悪化した家計を立て直すためには、収入の安定と、計画的な返済で負債を減らしていくことが必要です。今ある公的支援がいつまでもあるとは限りませんので、本当の正念場は家計の正常化までの期間であることを念頭に置いておきましょう。 新型コロナウイルス感染症関連でもらえるお金 一般家庭を前提に、国からの給付金を確認しておきましょう。条件が合えばもらえるものもあります。 特別定額給付金 2020年4月27日の基準日に住民基本台帳に記録されている人に、1人10万円が給付されます。手続きの方法は、5月1日以降に自治体から届く書類に銀行口座などを記入して返送するか、マイナンバーカードがあれば「マイナポータル」からオンラインで手続きすることもできます。申請期限は申請受付開始日から3か月以内となっています。 子育て世帯への臨時特別給付金 新型コロナウイルス感染症の影響を受けている子育て世帯の生活支援として、児童手当を受給する世帯に臨時特別給付金として、該当する子ども1人につき1万円の一時金が給付されます。こちらは特に手続きなしで給付されます。 住居確保給付金 新型コロナウイルス感染症による離職・廃業から2年以内または休業等により収入が減少し住居を失うおそれがある人は、原則3カ月間(求職活動等を誠実に行っている場合は最長9ヵ月まで延長可)、家賃相当額が支給されます。支給額は、東京都特別区の場合、単身世帯53,700円、2人世帯64,000円、3人世帯69,800円です。詳細は住んでいる自治体の自立相談支援機関へ相談してみましょう。※1 ベビーシッター利用者支援事業 新型コロナウイルス感染症で小学校等が臨時休業等になった場合に、保護者が仕事を休めず、放課後児童クラブ等も利用できない場合に、ベビーシッターを利用した際の利用料金が補助されます。割引額は対象児童×2,200円/1回あたり(多胎児2人:9,000円、多胎児3人以上:18,000円)で、「割引券は、1日(回)対象児童1人につき1枚」、「1か月に1家庭24枚まで」などの条件があります。※2 小学校休業等対応助成金 小学校等の臨時休業等に伴い、小学校等に通う子どもの世話が必要な保護者は、正規・非正規雇用を問わず、賃金全額支給の有給休暇が取れます(国が事業者を助成)。また、2月27日から6月30日までの期間で、委託を受けて個人で仕事をする保護者についても、就業できなかった日について、1日4,100円の支給が受けられます(学校が開校予定でなかった日等は除きます)。※ ※支援の対象期間を9月30日までに延長するとともに、4月1日以降の就業できなかった日について支給額を1日当たり7,500円に引き上げる予定となっています。※3 学生支援緊急給付金 大学・短大・高専・専門学校生等に対して1人当たり20万円(住民税非課税世帯)または10万円(その他の世帯)が給付されます。 要件として家庭から自立してアルバイト等により学費を賄っていることや、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で その収入が大幅に減少していることなどを満たすことを求めていますが、最終的には申請内容を踏まえて大学等において判断しています。※4 大学の給付型・貸与型奨学金の緊急採用 新型コロナウイルス感染症の影響で保護者の家計が急変し、「修学支援新制度」(授業料等減免・給付型奨学金)や貸与型の奨学金を利用することになった場合、随時申請することができます。すでに貸与型を利用している学生は増額の申請も可能です。※5 本当に苦しい場合は、最後のセーフティネットとして生活保護もあります。支援制度の一部を紹介しましたが、ほかにも自身が受けることのできる支援制度がないか確認をしてみましょう。 無利子で利用できる貸付や猶予など 給付金のほかにも新型コロナウイルスの影響により生活が厳しくなった場合、無利子で利用できる借入もあります。 緊急小口資金・総合支援資金(生活福祉資金) 社会福祉協議会では、新型コロナウイルス感染症の影響による休業・失業、収入減少で生活資金不足になった人に無利子の貸付を行っています(保証人不要)。 「緊急小口資金」は主に休業した人が対象で、学校等の休業、個人事業主等の特例の場合で20万円以内、その他の場合で10万円以内の借入を行うことができます。据置は1年以内、償還は2年以内となっています。 「総合支援資金」(生活福祉資金)は、主に失業した人が対象で、生活再建までに必要な生活費の借入を行うことが出来ますが、収入が減少していれば、失業状態になくても対象となります。2人以上世帯は月20万円以内、単身世帯は月15万円以内で、原則3カ月以内の借入を行うことが出来ます。据置は1年以内、償還は10年以内となっています。※6 生命保険の契約者貸付の特別金利 加入している生命保険(貯蓄型)の解約返戻金の一定割合まで貸付を受けることができるのが、契約者貸付制度です。手続きをすれば即座に借りられるため、生活費が不足するときは大きな助けになります。この契約者貸付の利率を一定期間0%にする金利支援を行う保険会社が相次ぎました。残念ながら、多くが5月末で特別金利の申し込みは終了しています。 社会保険料等の猶予 新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した場合、税金については税務署に申請すれば、1年間は納税の猶予が認められます(猶予期間中の延滞税も免除)。社会保険料や公共料金等の支払についても、手続きをすることで猶予等が認められる場合があります。 さらに借入れを考えるならできるだけ低金利のものを! 前述のように、目先の危機を乗り切った後に、家計の正常化を図っていく時期が来ます。収入が以前のように戻ればいいですが、そうでなければ家計を縮小しつつ、制度を利用した借入や、延納した税金等を返済していかなければなりません。 返済の過程で、どうしても厳しいときは新たな借入が必要な場合もあるかもしれません。しかし、その頃に公的な貸付が利用できなければ、金融機関からの借入で何とか乗り切っていかなくてはなりません。その時に注意したいのは、安易に金利の高いカードローンやキャッシングなどを利用するのではなく、必要な金額と商品ごとの融資条件を比較しながら自分に合った借入を選択することです。 家計再建が目的ですので、新規で借りるならできるだけ低金利で借りる選択をしましょう。一般的に、無担保よりも有担保の方が低金利で借りることが出来ます。そして、有担保ローンの代表に不動産担保ローンがあります。 不動産担保ローンでは、不動産が担保であるため、借入限度額も大きく、借入期間も長期にすることも可能なことが多いです。また、無担保に比べて金利は低金利であることが多く、資金使途が幅広いのも特徴の一つです。金融機関によっては、担保とする不動産の名義が配偶者や親族であっても利用できる場合があり、住宅ローンが残っている不動産でも、金融機関によっては利用できる場合があります。 無担保ローンに比べて条件がいいことも多いですが、不動産を担保としているため、返済が一定以上滞った場合、競売などで処分されるリスクもあります。最後に不動産担保ローンを紹介しましたが、融資を受ける場合はムリのない家計再建プランをたて、その中でムリのない借入にとどめることも大事です! 出典) ※1 自立相談支援機関窓口情報【PDF】 ※2 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における「ベビーシッター派遣事業」の令和4年度の取扱いについて ※3 新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け) ※4 「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』申請の手引き(学生・生徒用)【PDF】 ※5 新型コロナウイルス感染症の影響で学費等支援が必要になった学生のみなさんへ【PDF】 ※6 厚生労働省HP 「生活福祉資金貸付制度」 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 家賃が払えない?!そんなときの住居確保給付金が受給資格を緩和! 離職や廃業によって、家賃の支払いに困ったとき、自治体に申請すると住居確保給付金を受給できる可能性があります。住居確保給付金は失業者向けの制度でしたが、2020年4月20日から受給資格が緩和さ...記事を読む 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として借り入れを行うローン商品のことです。不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べてまとまった金額を低金利で借りることができます。 一方...記事を読む

  • 首都圏の新築戸建・中古マンションの価格は下落傾向!高額物件の購入はさらに慎重に

    【分析】首都圏の新築戸建・中古マンションの価格は下落傾向!

    アットホーム株式会社は、「首都圏の新築戸建・中古マンションの価格動向(2020年4月)」を発表しました。本レポートは毎月発表されており、首都圏の新築戸建・中古マンションの平均成約価格などを確認できます。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、新築戸建や中古マンションの価格にどんな影響が出ているか気になる方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、「首都圏の新築戸建・中古マンションの価格動向(2020年4月)」のレポート内容や今後の新築戸建・中古マンション市場の動向について解説します。 アットホームの「首都圏の新築戸建・中古マンション価格動向」とは アットホーム株式会社の「首都圏の新築戸建・中古マンション価格動向」とは、同社の不動産情報ネットワークに登録され成約した、首都圏(1都3県)における新築戸建・中古マンションの成約価格についてのレポートです。不動産市場動向の調査・分析を行うアットホームラボ株式会社が分析し、アットホーム株式会社が毎月発表しています。公示地価などの公的な地価調査ではなく、成約価格を用いて調査・分析が行われるため、実際の取引価格に近い数字が示されているのが特徴です。また、毎月レポートが発表されているので、最新の新築戸建・中古マンション価格の動向がわかります。 新築戸建は2か月連続マイナスの一方で、プラスに転じるエリアも ここからは、本レポートの内容について解説します。まずは、首都圏の新築戸建の価格動向を確認していきましょう。 出典) アットホーム不動産情報ネットワークにおける首都圏の新築戸建・中古マンション価格(4 月) P.5【PDF】 2020年4月の新築戸建の平均成約価格は3,433万円/戸です。前月比▲1.2%、前年同月比▲0.9%で、どちらも2か月連続のマイナスとなりました。価格推移を確認すると、前年同月比は2019年10月から下落傾向が続いているのがわかります。 出典)アットホーム不動産情報ネットワークにおける首都圏の新築戸建・中古マンション価格(4 月) P.5【PDF】 エリア別では、東京23区の新築戸建の平均成約価格は4,651万円/戸、前月比▲6.8%で下落率が大きくなっています。この1年間、東京23区の新築戸建成約価格は5,000万円前後で推移していますが、直近一年は全体を通してやや下落傾向にあることがわかります。また、埼玉県と千葉県も、新築戸建の平均成約価格は前月比・前年同月比ともにマイナスです。 一方で、東京都下は前月比4.9%で5か月ぶりのプラス、神奈川県は前月比2.3%で6か月ぶりのプラスとなりました。新築戸建については、同じ首都圏でもエリアによって価格動向に違いが見られます。 出典) アットホーム不動産情報ネットワークにおける首都圏の新築戸建・中古マンション価格(4 月) P.6【PDF】 新築戸建成約物件の価格帯別割合を確認すると、東京23区は5,000万円以上が前月比で▲19.6ポイントと大きく減少しています。それに対して、東京都下は3,000万円台が前月比17.7ポイント、神奈川県は4,000万円台が前月比6.8ポイント上昇しています。 中古マンションは4年4か月ぶりに2,400万円を下回る 次に、首都圏の中古マンションの価格動向について確認していきましょう。 出典) アットホーム不動産情報ネットワークにおける首都圏の新築戸建・中古マンション価格(4 月) P.9【PDF】 2020年4月の中古マンションの平均成約価格は2,395万円/戸です。前月比▲10.3%、前年同月比▲7.8%で、前年同月比は3か月連続のマイナスとなりました。価格推移を確認すると、2020年1月は上昇していますが、直近一年は全体を通してやや下落傾向にあることがわかります。 その中でも直近二か月はコロナウイルスによる影響で、価格下落に拍車がかかっているものと考えられます。 出典) アットホーム不動産情報ネットワークにおける首都圏の新築戸建・中古マンション価格(4 月) P.8【PDF】 エリア別では、東京23区の平均成約価格は3,309万円で、前月比▲16.3%、前年同月比▲10.6%と下落率が大きくなっています。また、東京都下も前月比▲31.4%、前年同月比▲29.4%と大きく下落しています。神奈川県と埼玉県も下落していますが、千葉県は唯一のプラスで、前月比13.1%、前年同月比16.6%となりました。 出典) アットホーム不動産情報ネットワークにおける首都圏の新築戸建・中古マンション価格(4 月) P.10【PDF】 中古マンション成約物件の価格帯別割合を確認すると、東京23区は4,000万円以上が前月比で▲7.5ポイントです。その他のエリアにおいても、高価格帯の割合が減少しています。本レポートでは、首都圏の中古マンションの平均成約価格が下落した主因として、価格水準の高い東京23区で高価格帯の割合が低下したことを挙げていました。一方で、平均成約価格が上昇した千葉県では、4,000万円以上の価格帯割合が4.7ポイント上昇しています。 今後の新築戸建・中古マンション価格の動向は? 今回のレポートにより、首都圏の新築戸建の価格は下落傾向にあるものの、今のところ下落率は小さいことがわかりました。一方で、中古マンションの価格は、下落率が大きくなっています。エリアによって違いはありますが、新築戸建・中古マンションのどちらも高価格帯の割合が減少しており、高額物件の購入に慎重になっている方が増えていると考えられます。また、不動産価格は経済状況より遅れて現れるため、新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済低迷が続くと、新築戸建・中古マンション価格は大きく下落する可能性もあります。5月25日に緊急事態宣言が解除されましたが、第二波などの懸念もあることから、経済活動や不動産価格への影響は依然として不透明なままです。今後も新型コロナウイルスや経済状況を確認しながら、不動産価格の動向を注視しておきましょう。 出典)アットホーム「アットホーム不動産情報ネットワークにおける首都圏の新築戸建・中古マンション価格(4月)」【PDF】 仮審査( 不動産事業者専用 ) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産評価の方法と不動産価値の考え方 不動産は用いられる指標や利用状況などによって、算出される価値が異なるという特徴を持ちます。また、戸建てとマンションでも資産価値の考え方は異なる場合があります。 この記事では、不動産評価におけ...記事を読む

  • リースバックを比較する5つのポイント

    リースバックを比較する5つのポイント

    リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。近年リースバックの需要は増加傾向にあり、リースバックを取り扱う運営会社も増えています。 こうした状況下で、どのように運営会社を選べばいいのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。この記事では、リースバックを比較する5つのポイントについて解説します。 複数の運営会社を比較した方がいい理由 上述のとおり、リースバックを取り扱う運営会社は増えています。そして、同じリースバックでも、運営会社によって売買価格や家賃などの諸条件やサービス内容に違いがあります。 仮に1社しか選ばずに契約を進めてしまうと、例えばその会社が提示した売買価格があまりにも安くても、気づくことができない恐れがあります。また、複数の運営会社を比較したうえでより条件の良い運営会社を選ぶ方が、例え手間がかかっても損をするリスクを抑えられるので、必ず比較検討を行うべきです。 もしリースバックを前向きに検討しているのであれば、自分が何を重要視するのかをはっきりさせて比較することが大切です。これから解説する5つのポイントはどれも重要ですが、その中でも特にどのポイントを重要視するのかも併せて考えてみてください。 リースバックを比較するポイント1:売買価格 リースバックでは、運営会社によって、不動産の評価方法に違いがあるため、売買価格は変わってきます。また、運営会社が売主の家賃滞納リスク、買い戻しに応じるために自由に売買できない制約を抱えていることも、売買価格に影響を与えます。あくまで目安ですが、一般的なリースバックの売買価格は市場価格の70%前後です。 リースバックで自宅を売却するときは、なるべく高い価格で売却できる方が良いと考えがちですが、売買価格は家賃とトレードオフの関係にあり、売買価格が下がれば家賃も下がります。そのため、売買価格だけで決定するのではなく、その他の条件を踏まえた上で総合的に判断することが大切です。 また、売買価格のほかに、以下の手数料にも注目する必要があります。 仲介手数料 事務手数料 抵当権の抹消手数料 リースバックの多くは仲介手数料がかかりますが、運営会社が買主になることで仲介手数料が発生しない場合もあります。事務手数料を無料にしている運営会社もある一方で、30~50万円程度の事務手数料を請求している運営会社もあります。また、住宅ローンが残っている場合は、抵当権の抹消費用を請求されるので、金額が適正かどうかも確認する必要があります。 リースバックでは、自宅を少しでも高く売却し、安い家賃で借りることが理想です。しかし、売買価格や家賃だけに注目するのではなく、手数料などの他の比較ポイントも含めて総合的に判断しましょう。 リースバックを比較するポイント2:家賃 リースバックでは、自宅の売却後に家賃を支払うことになりますが、運営会社によって家賃も変わります。また、売買価格でも述べましたが、一般的に売買価格と家賃はトレードオフの関係にあり、売買価格が下がれば家賃も下がります。 運営会社によっては「家賃を何か月か猶予する」「売買代金の一部を預け入れすれば家賃が下がる」と提案されるケースもあるかもしれません。しかし、それは単に売買価格を低く見積もっているだけです。家賃は安ければいいわけではなく、売買価格も含めて比較することが大切です。 また、リースバックで売却した自宅を借りる際は、敷金や礼金、更新料、家賃保証会社への保証料も必要になります。これらの費用は無料の会社もあれば、有料の会社もあるので、家賃も含めてしっかりと比較しましょう。 関連記事はこちらリースバックの家賃設定を解説!賃料相場よりも高い? リースバックを比較するポイント3:賃貸契約期間 リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるのがメリットです。しかし、リースバックの多くは賃貸契約期間が3年などに定められている「定期借家契約」になります。ほとんどの運営会社は「再契約することでそのまま住み続けることは可能」と謳っていますが、運営会社の事情で再契約されないことも考えられます。 そのため、貸主からの解約申し入れには正当事由が必要である「普通借家契約」のほうがより良い契約といえるでしょう。定期借家契約でリースバックを利用する場合は、運営会社の都合で再契約ができずに契約が終了することも想定し、状況に応じて引っ越しする覚悟が必要です。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? リースバックを比較するポイント4:買い戻し条件(価格、期間) リースバックは、売却した自宅の買い戻しができることも特徴のひとつです。将来的に自宅を買い戻すことを想定して、リースバックを検討する人もいるのではないでしょうか。しかし、リースバックで自宅を買い戻すときの価格は、売却時よりも高くなることが多いです。 また、買い戻し条件も運営会社によって異なるため、予定どおり買い戻せるかはわかりません。予め価格や賃貸契約期間などの条件が決まっていて、それらが書面化されていれば、買い戻しについてのトラブルを避けられます。買い戻し価格を提示してくれる会社が複数ある場合は、より安い価格で買い戻しができる会社を選ぶといいでしょう。運営会社によっては、買い戻し条件が曖昧なところもあるので注意が必要です。 関連記事はこちらリースバックは買い戻しできる?仕組みや買い戻し価格の目安を解説 リースバックを比較するポイント5:運営会社の信頼性 リースバックを利用する際は、運営会社の信頼性も重要なポイントです。実績や業績などを比較して、倒産リスクが低い会社を選びましょう。家賃を低くするために売買代金の一部を預け入れしている状態で運営会社が破産した場合には、その預けている売買代金の一部は戻ってこない恐れがあります。 また、管理業務の体制やサービスついても、内容を調べて比較しておきましょう。中には専用窓口を設置して、高齢者を対象にした見守りサービスや家事代行サービス、宅食サービスなどを提供している会社もあります。 まとめ リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるので、老後資金の不足など、まとまった現金が必要な場合に活用できます。ただし、運営会社によって売買価格や家賃、手数料だけでなく、賃貸契約期間や買い戻し条件も異なります。 リースバックを検討する際は、自身の状況をきちんと整理し、必ず複数の会社から見積もりを取るなど、比較検討したうえで利用するサービスを決めることが大切です。自宅を売却した後も安心して同じ家に住み続けられるように、この記事で紹介した5つの比較ポイントを参考にリースバックの運営会社を比較してみてください。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む

  • コロナウイルスの影響で住宅ローンの返済に困ったらリースバックの検討を

    【FP相談事例】コロナウイルスの影響で住宅ローン返済に困ったら

    コロナウイルスの影響で家計の収入がダウンし、住宅ローンが重荷になってきた家庭は少なくありません。住宅ローンそのものの見直しも考えられますが、長期的なローン負担を気にして、もっと迅速かつ身軽になれる手段を求める方も増えています。この記事では、コロナの長期化に不安をもつ方が、今できることとしてどんな手段があるのかをご紹介します。 <ご相談者 Hさん> 54歳男性。会社員 妻(52歳)はパート。子供はいない。 コロナウイルスの影響で、夫の勤め先の業績が落ち、ボーナスは見込めず、基本給のみに。 妻のパート先も休業などでなくなり、夫婦の稼ぎは大幅にダウンしている。 35歳で購入した住宅のローンは、定年退職金で完済しようと思っていたが、その前に収入ダウンで家計全体がきつくなっている。 (1)住宅ローンが重荷だが、この時期、引越しは避けたい Hさん:会社員の我が家でもコロナによる収入ダウンの影響が出ています。自分はボーナスがなくなり、月収も基本給のみになるとのこと。妻はパートが全くなくなり、このままでは、住宅ローンの返済も心配です。 FP吹田:この時期、本当に収入ダウンが深刻になりつつありますよね。住居費は、住宅ローンのほか維持費もありますか?全体では住居費はどのくらいの負担なのでしょうか? Hさん:はい、マンションなので、管理費や修繕積立金もあります。住宅ローンが月15万円、マンションの管理費や修繕積立金を入れると月17.5万円相当の支出が続くのは痛いです。何かいい方法はありますでしょうか? FP吹田:コロナウイルスの影響に対して、金融機関による住宅ローンの返済方法の変更が柔軟になりつつあります。Hさんの場合、まず考えられるのは、住宅ローンの返済期間を延長して、毎月返済額を軽くする方法でしょう。 Hさん:なるほど。借り換えではなく、借入をしている金融機関に相談をするのですね? FP吹田:はい、借り換えは審査に時間もかかりますし、収入が下がっている場合は、難しいかもしれません。現在の住宅ローンの返済残高と残りの期間はどのくらいでしょうか? Hさん:残高は2,570万円ほどで、残りの期間は16年あります。 FP吹田:なるほど。現在54歳とのことなので、返済期間の延長で完済時年齢を80歳ギリギリまで期間を延ばすとすると、残り16年を26年まで10年間延長することができそうですね。住宅ローンの金利はどのくらいですか? Hさん:1.40%です。返済期間が10年延びることで、どのくらい毎月返済が軽くなるでしょうか? FP吹田:ざっと試算しますと、10年間の期間延長で、毎月の住宅ローンの返済は10万円になりますね。現在と比較すると、毎月の返済額は5万円ほど減りますが、期間延長によって、支払う利子の合計は300万円から480万円へと約180万円も膨らんでしまいます。 Hさん:そんなに膨らむのですか? 毎月5万円の減少は大きいですが、利子の負担が少し気になりますね。今後の働き方を考えると、転職の可能性もあるかもしれません。せっかく買った家ですが、転職するなら、この住まいにずっと住む必要があるかわからないですし、いっそのこと、売却も視野に入れたほうがいいでしょうか? (2)売却でまとまったお金が入り、そのまま住み続けられるリースバックも FP吹田:この時期、一般的な不動産売却を考えるのは、様々な手続きや引っ越しの手間などを考えると大変だと思います。まずは引っ越しをしないで、生活を立て直すための資産や預貯金を整理することを優先してはいかがでしょうか? Hさん:なるほど、引越しをしないで、整理できることからですね。どのような方法がありますか? FP吹田:はい、ご自宅を不動産業者へ売却するけれども、そのまま借りるというリースバックという方法なら、売却資金が入って、住宅ローンは完済されますよね。そして引越しせずに、今のお部屋に家賃相当のリース料を払って住み続けることが可能です。 Hさん:なるほど。今の生活は大きく変えずに、住宅ローンがなくなるのですね。デメリットは何でしょうか? FP吹田:デメリットは、売却価格がやや安めになる点と、リース料がかかることですね。先ほどの住宅ローンの期間延長と比べた特徴を表にしてみました。 リースバック 住宅ローンの期間延長 仕組み 不動産を売却するが、そのまま賃借して住み続ける 住宅の所有権はそのまま、住宅ローンの返済期間を延ばし、返済額を軽減 メリット ・買主を探す必要がなく、比較的早く現金化できる・売却後も住み慣れた家に住み続けることが出来る・不動産の価格下落リスクを回避することができる ・毎月のローン返済が軽くなる・所有権は変わらない デメリット ・売却価格が周辺相場よりも安くなる傾向にある・売却価格によっては住宅ローンを完済できないことがある・毎月のリース料(家賃)が発生する・敷金や礼金、更新料の負担がある(一部の企業では無料) ・返済金額が長くなることで、利息負担総額は膨らむ・固定資産税や管理費・修繕費用など維持費がかかる Hさん:なるほど。一般的な不動産売却では引っ越しなどの手間がありますが、現在の住環境を変える必要がないというのは大きなメリットですね。 FP吹田:そうですね。他に、ご自宅の現金化とローン完済が迅速にできることも、新型コロナウイルスが不動産価格にどう影響するのか不透明である今の時期には重要でしょう。売却価格やリース料については、一度、担当者に相場観など調べてもらって確認してみる価値はあると思いますよ。 Hさん:そうですね。住宅ローンがなくなって、どの程度現金が残るのか、リース料の負担も今後どのくらい生活設計に影響が出るのか、チェックしてもらいたいです。 FP吹田:そうですね。将来の生活設計については、今のお住まいでずっとリース料を払い続けるというよりも、ご夫婦の働き方や暮らしのベースに応じて拠点などもう一度見直していくべきだと思います。転職やリモートワークなどから、エリアももっと柔軟に考えられるかもしれませんよね。お引越しを落ち着いた頃にできると考えれば、住居費の負担も身の丈に合ったものにできると思いますよ。 Hさん:確かにそうですね。今はある意味、我が家にとっても非常事態で、大きな過渡期だと思います。過去のことに縛られずに、リセットできるように身軽にしておくことが一番なのかなと思っています。過渡期の整理の手段として、リースバックも検討してみます。 まとめ 住宅ローンが辛い家計、引越しせずに生活を立て直す手段は? 住宅ローンの期間延長は? 利子の負担増加で支払総額は膨らむことになり、相当な金額になることもある。 借入金融機関との交渉のみでいいので、早く対応ができる。 リースバックの効果は? 引っ越し不要で、売却により住宅ローンを完済でき、そのまま住み続けられる。 金利上昇や災害時など、突発的な出費のリスクを軽減できる。 現在の住宅ローン残高や売却価格次第では手元に大きな資金を用意できる。 リースバックならSBIスマイル リースバックの商品詳細はこちら もっと詳しく知りたい方はこちら SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定も無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リースバックとは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法で、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続け...記事を読む

  • 新築マンションの2月着工件数は大幅減少、申込率と竣工件数は高水準

    新築マンションの2月着工件数は大幅減少、申込率と竣工件数は高水準

    株式会社マーキュリーでは、2020年5月に「月例新築マンション動向」を発表しました。「月例新築マンション動向」では、毎月発表される新築分譲マンションの供給戸数や申込率等を発表しており、新築マンション市場の需要と供給を読み取ることが出来ます。 新型コロナウイルスの感染拡大で、不動産業界をけん引する新築マンションの流動性や価格が気になる方は多い事でしょう。 まず「月例新築マンション動向」はどういったデータなのかをお伝えした後、2020年2月度のデータ結果の内容、今後の新築マンション市場の動向について解説していきます。 「月例新築マンション動向」とは 「月例新築マンション動向」は株式会社マーキュリーが運営する不動産業界向けのニュースサイト「Realnetニュース」に掲載される新築分譲マンションの動向を集めた独自のデータです。新築分譲マンションの供給戸数や申込率を始め、着工・竣工件数等の実績データを発表しています 株式会社不動産経済研究所においても毎月新築分譲マンション市場の動向を発表していますが、「月例新築マンション動向」では関東圏と関西圏の供給戸数・初月申し込み率・平均面積や坪単価・価格のほか市区別・駅別供給トップ10の地区を詳細にまとめています。 着工・竣工件数が分かるため今後の新築マンション市場の動向を予測する事が可能で、資料もグラフと表を用い分かりやすく提供されています。 株式会社マーキュリーは不動産業界向けのマーケティングシステム「サマリネット」を始め新築・中古マンションのポータルサイト等のサービスを展開しています。 不動産業界で約30年の実績があり4万棟(220万戸)の大規模データベースを保有しているため、「月例新築マンション動向」のようなデータを提供する事が可能です。 そのため、「月例新築マンション動向」は新築分譲マンション市場の供給と需要、今後の動向の見通しを示すデータとして不動産業界で注目されています。 (株)マーキュリー (株)不動産経済研究所 データの公表 3か月後の初旬※2月度実績が5/7に公表 翌月中旬2月度実績が3/17に公表 差別化のポイント 資料にグラフや表を用いわかりやすく提供されている 速報性が強み 市区別・駅別などの独自のセグメントがされている 価格別・間取り別などの独自のセグメントがされている 出典) ・(株)不動産経済研究所:首都圏マンション・建売市場動向【PDF】 ・(株)マーキュリー:月例新築マンション動向【PDF】 首都圏の供給戸数は減少する一方で、初月申込率が前年同月より増加 改めて2020年2月の新築マンションの分譲実績データを発表した「月例新築マンション動向」5月号の首都圏データを見ていきましょう。 供給戸数に関しては、前年の同月に比べ神奈川県下で67.9%減、埼玉県で69.3%減、首都圏全体でも37.3%減と減少しています。一方、初月申込率に関しては、神奈川県下で87.0%、埼玉県で86.0%、全体でも74.0%と高い申込率を維持し、いずれも前年同月比でプラスとなっています。 供給戸数が減少し、申込率が増加している背景には2018年以降の新築分譲マンション市場に関して、以下の動向が考えられます。 2013年に東京五輪が決定→東京都心では新規の宿泊施設が増加 宿泊施設の増加で建設用地がひっ迫、東京都心の住宅用の地価が大幅に上昇 神奈川・埼玉県等に分譲マンションの割安感が増加 東京都心に加え、周辺エリアの地価上昇、建築コストの高さにより供給戸数は減少 なお平均坪単価に関しては、全体で前年の同月と比べ10.6%上昇し、平均価格も6.6%上昇しています。 東京23区内での初月申込率が減少していますが、低金利により住宅ローンが組みやすいことや、首都圏の新築マンション購入時には仕事や子育てにおける利便性の高さを求める世帯が増加しているという国土交通省の調査結果もありますので、今後も都心の新築マンションの需要と価格が極端に下がる事はないでしょう。 今後の新築分譲マンション市場の動向は? 今回の調査により2020年2月の新築分譲マンション市場は初月申込率が増え、都心を含め近辺の需要が高く安定していることが分かりました。 一方で、マンションを建て始めた(着工)件数は東京23区が昨年の2月の64件から4件と大幅に減少、横浜・川崎も19件から5件と減少していますが、建築の終了した(竣工)件数が東京23区で74件、横浜・川崎で16件と多いことがわかりました。 これらのことから、コロナウイルスの与える影響として、マンション購入をする消費者サイドでは大きく変化がないものの、ディベロッパーサイドでは、すでに着手しているプロジェクトは進めているが、新規のプロジェクトに対する姿勢は消極的になっていることが考えられます。 今回竣工したマンションの申込率は2020年6月号の「月例新築マンション動向」3月分実績で明らかになります。 3月は新型コロナウイルスの感染拡大により全国で小・中学校が休校になり感染者数が増加し続けた時期です。上場企業の半数以上の企業が減益となりました。 3月には首都圏の平均価格が低下したというニュースも見られますので、今後も新築マンション市場の動向を注視していきましょう。 出典) ・みずほ総合研究所 「首都圏マンション価格は急落するのか 」【PDF】 ・国土交通省 「我が国の住宅ストックをめぐる状況について 」【PDF】 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産評価の方法と不動産価値の考え方 不動産は用いられる指標や利用状況などによって、算出される価値が異なるという特徴を持ちます。また、戸建てとマンションでも資産価値の考え方は異なる場合があります。 この記事では、不動産評価におけ...記事を読む 【分析】コロナウイルスが東京の不動産に与える影響と今後の動向 グローバル都市不動産研究所は、2020年4月に緊急企画として「コロナショックが東京の不動産に与える影響」というレポートを公表しました。不動産の売買や不動産担保ローンの利用を検討している方は、...記事を読む

  • 【分析】コロナウイルスが東京の不動産に与える影響と今後の動向

    【分析】コロナウイルスが東京の不動産に与える影響と今後の動向

    グローバル都市不動産研究所は、2020年4月に緊急企画として「コロナショックが東京の不動産に与える影響」というレポートを公表しました。不動産の売買や不動産担保ローンの利用を検討している方は、コロナショックが東京の不動産にどのような影響を与えるか気になるのではないでしょうか。将来の不動産価格を正確に予測することはできませんが、レポートの内容を確認することで、ある程度の見通しを立てることは可能です。そこでこの記事では、グローバル都市不動産研究所の概要やレポートの内容、東京の不動産価格の動向について解説します。 グローバル都市不動産研究所とは グローバル都市不動産研究所とは、株式会社グローバル・リンク・マネジメントが2019年1月1日に設立した研究所です。「東京の魅力を世界に発信すること」「不動産を核とした新しいサービスの開発」を目的として、東京の都市開発や人の動き、消費性向、不動産価値などの調査・研究を行っています。 グローバル都市不動産研究所は、2020年4月14日に「コロナショックが東京の不動産に与える影響」という緊急レポートを公表しました。本レポートでは、リーマンショック時の不動産価格の動向を振り返り、今後の不動産価格を左右するポイントについて解説されています。レポートの内容を確認することで、東京の不動産価格の動向をある程度予測できます。 リーマンショック時の不動産価格の動向はどうだったのか 今回のレポートでは、コロナショックが東京の不動産に与える影響を予測する際の参考事例として、2008年のリーマンショックを挙げています。リーマンショックでは世界規模の金融危機が発生し、2009年の先進国経済の成長率は▲3.4%、世界経済は▲0.5%と過去60年間で初のマイナス成長となりました。 リーマンショック時の不動産価格の動向ですが、東京圏の公示地価の変動率は、住宅地が「2009年▲4.4%、2010年▲4.9%」であったのに対し、商業地は「2009年▲6.1%、2010年▲7.3%」でした。いずれも2009年より2010年のほうがマイナス幅は大きく、不動産価格への影響は経済状況に遅れて現れています。また、住宅地に比べて商業地の下落率が大きくなっています。また、新築マンションの分譲価格については、2009年が「東京圏▲1.2%、東京都区部▲6.4%」でしたが、2010年にはプラスに転じています。 (引用:グローバル都市不動産研究所「コロナショックが東京の不動産に与える影響」P3) (引用:グローバル都市不動産研究所「コロナショックが東京の不動産に与える影響」P4) これらの結果から、本レポートでは、リーマンショック時の東京の不動産価格の動向を以下のようにまとめています。 商業地価格に対する影響が出た 住宅地価格は商業地と比べて大きく下がらなかった 東京都内のマンション価格は6%程度の下落にとどまり、1年程度で回復した コロナショックが東京の不動産に与える影響は? リーマンショック時の不動産価格の動向を確認しましたが、今回のコロナショックは東京の不動産にどのような影響を与えるのでしょうか。本レポートにおける、コロナショックの影響についての見解をまとめました。 直接的な影響を受けるのは商業地価格 住宅地価格は商業地に比べてそれほど大きくは下がらない 東京のマンション価格は1~2年で回復する可能性あり 本レポートによると、今回のコロナショックはヒト・モノの移動制限により、観光業や飲食業、小売業などのサービス業が大きな痛手を受けているため、商業地の不動産価格は大きく下落する可能性があります。住宅地は居住という安定した実需があることから、商業地に比べて価格は大きくは下がらないと予測しています。また、コロナショックの影響がリーマンショック級に収まれば、東京のマンション価格は1~2年で回復する可能性があることも示しています。 一方で、コロナショックはリーマンショックとは質が違うことから、深刻な不況に陥って家計所得が大幅に低下すれば、住宅地価格への影響も避けられないとも言及しており、多くを見通せない状況です。 経済対策と東京オリンピック効果がポイントになる 本レポートでは、東京の不動産価格が今後どうなるかは、「経済対策」と「東京オリンピック効果」の2つがポイントになるとの見解を示しています。コロナショックは商業地価格に影響を与えると予測していますが、深刻な不況になれば住宅地への影響も避けられないため、政府の経済対策によって日本経済の腰折れを防ぐことが重要であることを強調しています。 また、東京オリンピックが延期になったことで、見込まれていた経済効果がどうなるかも気になるところです。本レポートでは、東京オリンピック延期に伴う経済効果について、以下のようにまとめています。 「東京五輪の延期に伴い、今年度に見込んでいた経済効果が失われると指摘するエコノミストがいます。例えばニッセイ基礎研究所は、今年度見込んでいた経済押上げ効果“2兆円程度”が剥離、第一生命経済研究所は開催年に期待される経済波及効果3.2兆円が失われると予測しています。 一方、永濱利廣・第一生命経済研究所首席エコノミストの見解では、「中止でなく延期であれば、五輪開催年の経済効果は先送りされ、失われることはない」、「当初予定された開催年の経済効果は、先送りされた“1年程度後”に出現することになる」としています。つまり、日本においては、1年延期となった東京五輪の経済効果によって、コロナショックで冷え込んだ経済をふたたび押し上げてくれる可能性も期待されます。」 (引用:グローバル都市不動産研究所「コロナショックが東京の不動産に与える影響」P5) これらのことから東京の不動産価格の動向は、政府による経済対策と延期された東京オリンピックの経済効果に左右されると考えられます。 まとめ ここまで確認してきたように、今回のコロナショックでは、商業地の不動産価格に大きな影響を与えると予測されています。コロナショックの影響がリーマンショック級に収まれば、不動産価格は数年で回復が期待できる一方で、深刻な不況に陥ると、商業地だけでなく住宅地の価格も低迷が続くかもしれません。今後の不動産価格の動向は、新型コロナウイルスの感染状況はもちろん、政府の経済対策や東京オリンピック効果にも左右されます。東京の不動産の売買や不動産担保ローンの利用を検討している方は、これらのポイントに注目しながら、不動産価格の動向を見極める必要があるでしょう。 出典) ・株式会社グローバル・リンク・マネジメント「グローバル都市不動産研究所」 ・グローバル都市不動産研究所「コロナショックが東京の不動産に与える影響」【PDF】 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産評価の方法と不動産価値の考え方 不動産は用いられる指標や利用状況などによって、算出される価値が異なるという特徴を持ちます。また、戸建てとマンションでも資産価値の考え方は異なる場合があります。 この記事では、不動産評価におけ...記事を読む

  • 家賃が払えない?!そんなときの住居確保給付金が受給資格を緩和!

    家賃が払えない?!そんなときの住居確保給付金が受給資格を緩和!

    離職や廃業によって、家賃の支払いに困ったとき、自治体に申請すると住居確保給付金を受給できる可能性があります。住居確保給付金は失業者向けの制度でしたが、2020年4月20日から受給資格が緩和されました。これまでは受給資格を満たさなかった人でも、やむを得ない休業等が理由で、家賃が払えない場合は、住居確保給付金を受給できるかもしれません。 この記事では、住居確保給付金の概要や支給対象拡大のポイント、手続きの流れについて解説します。 住居確保給付金とは 住居確保給付金とは、離職や廃業などにより住居を失った、または住居を失う恐れがある人に対して、一定期間支給される給付金のことです。仕事を失って家賃が払えない状態になっても、住居確保給付金を受給できれば、家賃の補填ができます。 従来は失業者支援が目的の制度でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、受給資格が緩和されました。住居確保給付金の主な支給要件(受給資格緩和後)は以下のとおりです。 離職・廃業をした日から2年以内、またはやむを得ない休業等により、収入が減少していること 収入が基準額を超えていないこと 資産が一定額以下(100万円を超えない額)であること 上記の状態になる前に世帯の生計を主として維持していたこと ハローワークに求職の申し込みをすること※ ※追記 2020年4月30日の支給要件緩和に伴い、これまで必要だったハローワークへの求職申し込みの条件が撤廃されました。 「やむを得ない休業等により収入が減少していること」という要件があるため、新型コロナウイルス感染拡大が理由の失業・収入減少で家賃が払えない場合も、住居確保給付金を受給できる可能性があります。受給するには、各自治体が定めている収入・資産の基準額を下回ることが条件になります。たとえば、東京都23区の収入基準額(月額)、資産基準額、支給家賃額(上限額)は下表のとおりです。 単身世帯 2人世帯 3人世帯 収入基準額(月額) 138,000円 194,000円 241,000円 資産基準額 504,000円 780,000円 1,000,000円 支給家賃額(上限額) 53,700円 64,000円 69,800円 収入・資産基準額や支給家賃額の上限は自治体によって異なるため、住居確保給付金の受給を希望する場合は申請予定の自治体に確認しましょう。支給期間は原則3か月間ですが、一定の要件を満たす場合は最長9か月間まで延長される可能性があります。 住居確保給付金の対象におけるポイント 厚生労働省が住居確保給付金の受給対象を拡大した点について、以下のようなポイントがあります。 年齢制限が撤廃された 離職と同程度の状況にある人も受給対象になった 求職活動の要件も緩和された これまでは「65歳未満」という年齢制限がありましたが、今回の緩和で年齢制限が撤廃されました。また、離職・廃業から2年内の人のみが対象でしたが、やむを得ない休業などで、離職と同程度の状況にある人(自営業者・フリーランスなど)も対象に追加されています。 さらに、「ハローワークで月2回以上の職業相談」「自治体で月4回以上の面接支援」といった求職活動の要件も緩和されました。申請時にハローワークへの仮登録を行う必要はありますが、フリーランスや自営業者は現在の就業形態を維持しつつ、アルバイトなどで当面の生活費をまかなうことも可能です。 住居確保給付金の手続きの流れ 住居確保給付金の受給を希望する場合は、必要書類を用意したうえで、各自治体の担当窓口に相談しましょう。申請に必要な書類の一例(世田谷区)は以下のとおりです。 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、住民票・戸籍謄本など) 離職関係書類(離職票など、2年以内に離職したことが確認できる書類) 収入関係書類(申請者および同居親族の給与明細、年金の通知など) 金融資産関係書類(申請者および同居親族の預金通帳) 求職受付票(ハローワークで発行されるもの)※ ※追記 2020年4月30日の支給要件緩和に伴い、これまで必要だったハローワークへの求職申し込みが不要となったことで、求職受付表が不要となりました。 自営業者やフリーランスなどやむを得ない休業等で収入が減少した人は、「離職と同程度の状況にあること」の証明として、以下のような書類が必要になります。 労働条件が確認できる労働契約書類 勤務日数や勤務時間の縮減が確認できるシフト表 店舗の営業日や営業時間の減少が確認できる書類 注文主からの発注取り消し・減少が確認できる書類 社会福祉協議会の特例貸付が行われたことがわかる書類 状況によって必要書類は異なるため、手続きをする前に、まずは自治体の担当窓口に確認してみましょう。 まとめ 厚生労働省が受給資格を緩和したことで、これまでは支給対象外だった人も住居確保給付金を受給できるようになりました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減少し、自宅の家賃が払えなくて困っている場合は、自治体の窓口に相談してみましょう。 出典) ・厚生労働省「くらしや仕事の情報」【PDF】 ・世田谷区社会福祉協議会「住居確保給付金」【PDF】 ・厚生労働省「住居確保給付金 今回の改正に関する QA vol 4」【PDF】 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 コロナウイルスの影響で生活資金不足に!公的支援で足りないときは 新型コロナウイルスの影響で、家計に大きなダメージを受けた人も少なくないでしょう。国からの給付金や貸付制度などもあるものの、それでも足りない時はどうすればいいでしょうか。家計が立ち直るまでの資...記事を読む