住まいとお金の知恵袋 一覧(公開日順)

  • 配偶者居住権とは?概要やメリット・デメリット、成立要件について解説

    配偶者居住権とは?成立要件や設定するメリット・デメリットを解説

    約40年ぶりに民法(相続法)が改正され、2020年4月から「配偶者居住権」が施行されました。現在夫婦で持ち家に暮らしているのであれば、相続が発生する時のために配偶者居住権について理解しておくことが大切です。 この記事では、配偶者居住権の概要やメリット・デメリット、成立要件について詳しく解説します。 配偶者居住権とは 配偶者居住権とは、残された配偶者が被相続人の所有する建物に居住していた場合に、被相続人が亡くなった後も、賃料の負担なく、その建物に住み続けられる権利です。 遺言で配偶者に配偶者居住権を遺贈することで、配偶者居住権を設定することができます。このとき、被相続人と配偶者が婚姻してから20年以上の夫婦である場合、配偶者居住権を設定しても、原則として遺産分割協議配偶者の取り分が減らされません。 また、被相続人が遺言をしないまま亡くなったとしても、他の相続人との遺産分割協議によって、配偶者居住権を取得できます。仮に、遺産分割協議が調わないとしても、家庭裁判所に審判の申立てることで、取得できる可能性もあります。 配偶者居住権施行の背景 近年の高齢化の進行により平均寿命が延びたことから、夫婦の一方が亡くなった後も、残された配偶者が長期間にわたり生活を継続することも多くなりました。その際には、配偶者が住み慣れた住居で生活を続けるとともに、老後資金も確保したいと希望することも多いと考えられます。そこで、遺言や遺産分割の選択肢を広げるために制度が導入されました。 配偶者居住権のメリット 配偶者居住権は、以下のようなメリットがあります。 被相続人が亡くなった後も自宅に住み続けられる 配偶者居住権の制度を利用すれば、被相続人が亡くなった後も引き続き自宅に無償で居住できます。本制度が施行されるまでは、相続財産の分割などの要因により、残された配偶者が夫婦で暮らしていた自宅を相続できず、自宅に住み続けられないことがありました。 しかし、配偶者居住権を利用することで、建物の所有権を取得するよりも低い価額で居住権を確保でき、自宅に住み続けられる可能性が高まりました。 不動産以外の財産が受け取りやすくなる 配偶者居住権は、不動産以外の財産が受け取りやすくなります。たとえば、被相続人が夫、相続人が妻と子一人の場合、法定相続分は妻と子の相続割合は1対1です。仮に相続財産が自宅と預貯金のみで、それぞれの価値が同じとき、均等に分けようとすると妻は自宅を相続すると、預貯金は取得できなくなってしまいます。 しかし、婚姻20年以上の夫婦であり、遺言による遺贈を行っていれば、原則として遺産分割で配偶者の取り分が減らされることはありません。 配偶者居住権のデメリット 配偶者居住権には、以下のようなデメリットもあります。 自宅の売却ができない 配偶者が所有権を保有している場合、本人の意思に基づいて自由に自宅を売却できます。一方で、配偶者居住権は、あくまで自宅に居住する権利です。そのため、配偶者居住権を保有しているだけでは、第三者に自宅を売却できません。 また、自宅の所有権を保有する配偶者以外の相続人が、売却しようと思っても売却できません。なぜなら、その自宅には配偶者居住権が設定されており、第三者が購入しても住めないためです。 上述のような問題の対処法として、配偶者居住権を合意解除や放棄する事はできます。しかし、配偶者が認知症になるなど、意思表示ができなくなると、大きな問題になる恐れがあります。 所有者の税負担が大きい 配偶者にとっては、所有権ではなく居住権だけを取得できるのでメリットです。一方で、所有権者にとっては、居住権がないのにも関わらず、固定資産税を支払わなければなりません。改正相続法では、配偶者居住権を取得した配偶者は、建物の必要費を負担する義務がありますが、これはあくまで建物部分に限られます。土地の固定資産税の負担は、所有権者が行わなければならないので、不公平感も生まれやすいでしょう。 これらのデメリットは、従来の所有権では生まれなかったので、配偶者居住権を設定する際には、あらかじめよく話し合っておくことが大切です。 配偶者居住権の成立要件 配偶者居住権が成立するには、以下3つの要件を満たす必要があります。 相続開始時に被相続人の所有する建物に居住していたこと 相続開始時に被相続人が配偶者以外の者と建物を共有していないこと 以下のいずれかに該当(ア)遺産の分割により配偶者居住権を取得するものとされたこと(イ)配偶者居住権が遺贈の目的とされたこと 配偶者居住権は、遺産分割協議で取得できますが、遺産分割協議を行うことになった場合、配偶者短期居住権で保護されます。配偶者短期居住権とは、相続が発生した時点で、被相続人と同居していた配偶者が、遺産分割の確定まで、最短でも相続開始から6か月間、引き続き住み続けられる権利です。 まとめ 前述のとおり、配偶者居住権は配偶者にとって、大きなメリットがありますが、配偶者以外の相続人にとってはデメリットもあります。そのため、配偶者居住権の設定の際には、配偶者と子の折り合い必要です。また、配偶者居住権がどの程度の評価を持つかなど、素人には算定が難しいです。 配偶者居住権は、開始間もない制度です。配偶者居住権の成立要件や評価方法は複雑で、まだ不透明な部分が多いのが現状です。配偶者居住権を検討する場合は、相続に強い税理士などの専門家に相談しておくと安心でしょう。 出典) ・法務局「配偶者居住権とは何ですか?」 ・一般社団法人 全国銀行協会「「配偶者居住権」は配偶者にどんなメリットがあるのですか?」 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 相続した不動産に不動産取得税がかかるケースとは? 自宅の購入など、不動産を取得したときには不動産取得税がかかります。では、相続で不動産を取得した場合には、不動産取得税はかかるのでしょうか。 相続により不動産を取得した場合、原則不動産取得税は...記事を読む

  • リバースモーゲージとは?メリット・デメリットや老後資金づくりの方法を紹介

    リバースモーゲージとは?メリット・デメリットや仕組みを解説

    リバースモーゲージとは、自宅を担保に融資を受けられる高齢者向けのローン商品です。高齢化によって老後の期間が長くなっていることから、老後資金を作る方法のひとつとして注目されています。リバースモーゲージは同じ家に住み続けながら老後資金を準備できますが、デメリットもあるため、仕組みを理解したうえで利用することが大切です。この記事ではリバースモーゲージの特徴やメリット・デメリット等について解説します。 リバースモーゲージとは リバースモーゲージは、自宅を担保に老後資金の融資を受けますが、毎月の支払いは利子のみで、債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する仕組みです。自宅に住み続けながら資金調達できるので、老後資金対策として検討する方が増えています。リバースモーゲージを利用するためには、年齢や年収、家族の同居、資金使途などに一定の制限があります。債務者に配偶者が居り、債務者が先に亡くなってしまった場合でも、自宅をすぐに売却しなければならないわけではなく、配偶者は契約を引き継ぐことで、債務者が死亡した後も引き続き自宅に住むことができます。 リバースモーゲージの仕組み リバースモーゲージの仕組みは以下のとおりです。 リバースモーゲージはこんな方におすすめ リバースモーゲージは、老後資金に不安のある方で、特に下記のような方におすすめです。 住宅ローンの返済が辛い方 生活資金や余暇を楽しむための資金が必要な方 リフォーム資金が必要な方 老人ホームの入居費用が必要な方 相続人がいない、もしくは相続人に不動産を残す予定の無い方 なお、ご自身の状況や資金使途によっては、リースバックやリ・バース60の方が適している場合もあります。例えば、住宅ローンの借り換えをお考えであれば、リ・バース60の方が資金使途が限定されるため、一般的に金利は低く設定されています。そのため、リバースモーゲージ一つに絞るのではなく、リースバックやリ・バース60も検討することをおすすめします。詳しくは、以下のコラムをご覧ください。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 リバースモーゲージのメリット リバースモーゲージのメリットは以下2つです。 自宅に住み続けながら資金を調達できる 自宅を活用して資金調達する場合、まずは売却を検討するのではないでしょうか。自宅を売却すればまとまった資金が手に入るかもしれませんが、売却後は別の住居を確保しなくてはなりません。しかし、高齢で賃貸住宅の契約が難しいことや、慣れ親しんだ自宅に住み続けたいなどの理由から、引っ越しを避けたい方は多いでしょう。リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受けられるので、自宅に住み続けながら老後資金を準備できます。 毎月の支払いが利子のみで返済負担が少ない リバースモーゲージは、債務者の死亡後に自宅を売却して元金を返済する仕組みになっています。元金の返済は死亡時まで猶予され、毎月の支払いは利子だけで済むので、返済負担が少ないのがメリットです。リバースモーゲージを利用すれば、月々の収入がそれほど多くない方でも家計のやりくりが楽になります。 リバースモーゲージのデメリット リバースモーゲージには先ほど紹介したメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。 融資条件が厳しい リバースモーゲージは、融資条件が厳しいのがデメリットのひとつです。資金使途が限定されていることがほとんどですし、対象不動産については対象地域が狭く、首都圏を中心とする大都市の物件に限定されることが多くなっています。また、債務者の死亡後に自宅を売却して元金を返済するという仕組みのため、推定相続人の同意が必要です。リバースモーゲージを検討する場合は、融資条件を満たすかどうかを確認すると同時に、推定相続人の同意が取れるか確認しましょう。 元金が減らない メリットのところで記載しましたが、リバースモーゲージでは返済が利子だけで済むので、毎月の返済を抑えることが出来ます。しかし、これは裏を返せば借入の増加や、返済期間が長期化するほど返済負担が多くなっていきます。また、返済が難しくなっても限度額の範囲であれば追加融資を受けられますが、借入のたびに元金は膨らむこととなるので注意が必要です。 不動産評価の下落リスク リバースモーゲージの融資金額は、担保評価額の半分程度までが一般的です。担保評価額は毎年見直されるため、急な地価下落などで担保評価額が下がる可能性もあります。この担保評価額の見直しによっては、既に借入をしている元金が融資限度額を超えてしまい、返済を求められることもあるので注意が必要です。 金利変動リスク リバースモーゲージは変動金利のため、金利変動リスクがあります。借入中に適用金利が上昇すると、毎月の利子支払額が増えてしまうかもしれません。そのため、リバースモーゲージを利用する場合は、金利上昇に備えて余裕を持った資金計画を立てておくことが大切です。 リバースモーゲージ以外に老後資金を作る方法 リバースモーゲージは上記のようなメリットやデメリットがあるので、条件によっては、自宅に住み続けながら老後資金を作るほかの方法として「不動産担保ローン」と「リースバック」の方が適している可能性があります。 不動産担保ローン 不動産担保ローンとは、土地や建物、マンションなどの不動産を担保に融資を受けるローンです。不動産を担保とする点では、リバースモーゲージと仕組みは同じです。不動産担保ローンはリバースモーゲージとは異なり、返済方式が元利均等返済となっており、不動産売却による完済ではなく、返済による完済を前提にしています。そのため、相続で子供に不動産を残したい場合など、将来的に不動産売却をするつもりがないケースでは、リバースモーゲージよりも不動産担保ローンの方が適しているといえるでしょう。 一方で、不動産担保ローンでは、ローン完済時の年齢制限がありますので、利用を検討する場合には、金融機関ごとの融資条件を確認しましょう。 関連記事はこちら【FP解説】不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いとは? リースバック リースバックとは、自宅をリースバック運営会社に売却後、その会社と賃貸借契約を締結することで自宅に住み続けられるサービスです。リバースモーゲージとリースバックはよく比較されますが、その仕組みは大きく異なります。リバースモーゲージが自宅を担保に融資を受けるのに対し、リースバックは自宅の売却によって資金調達したうえで賃貸として住み続けます。 リースバックの売却価額は市場価額より低くなりますが、「年齢制限や年収基準なし」「資金使途は原則自由」など、融資条件の面でリバースモーゲージのデメリットを解消できます。ただし、売却後も自宅にずっと住み続けられるかどうかは、賃貸借契約がポイントとなります。賃貸契約期間が定められている「定期借家契約」の場合、再契約できずに引っ越しが必要になる可能性があるので契約内容には注意が必要です。 関連記事はこちらリースバックとリバースモーゲージの違いとは リバースモーゲージのよくあるご質問 リバースモーゲージのよくあるご質問は以下のとおりです。 リバースモーゲージではどのくらいの金額を借り入れすることができますか? リバースモーゲージで借り入れすることができる金額は、提供する金融機関などによって異なります。一般的には、担保評価額の50%程度を上限としている場合が多いようです。 リバースモーゲージには年齢制限はありますか? リバースモーゲージの利用が可能な年齢は、50歳~80歳です。年齢制限は、各金融機関などによって異なりますので、利用を検討している場合は事前に確認することをおすすめします。 リバースモーゲージの金利はいくらですか? リバースモーゲージの金利は、約3.0%~5.0%です。一般的に、カードローンや不動産担保ローンより低金利で借り入れができる一方、住宅ローンと比較すると高めの金利が設定されています。 住宅ローンが残っている不動産を担保にすることはできますか? 担保とする不動産に住宅ローンが残っている場合であっても、融資を受けられる可能性があります。ただし、借入資金によって既存の住宅ローンを返済することが条件となります。残債が一定金額減っている状態であれば、リバースモーゲージで住宅ローンの借り換えを行うことができ、借り換えによって毎月の支払いが利息のみとなるので、返済負担を軽減できます。 マンションを担保に融資を受けることはできますか? マンションを担保にする場合、対象となる物件に条件があり、立地が悪いマンションや築年数の古いマンションは対象外になることが多いようです。また、金融機関によってはマンションを対象外としている場合もあります。マンションを担保にリバースモーゲージの利用を検討している場合は、事前に問い合わせをしてみましょう。 生活保護を受けているが、融資を受けることはできますか? 生活保護を受けている場合、一般的に融資を断られる可能性が高いです。しかし、収入等の一定の条件を満たすことで融資を受けられる可能性もあります。条件は金融機関によって異なるため、問い合わせをしてみましょう。 ※下記金融機関の融資条件を参考に回答作成 ・三菱UFJ銀行 リバース・モーゲージ型 住宅関連ローン ・三井住友信託銀行 不動産活用ローン(リバースモーゲージ) ・東京スター銀行 リバースモーゲージ「充実人生」 ・神奈川銀行 かなぎんリバースモーゲージローン ・愛媛銀行 シニア層向けローン(住宅担保)~リバースモーゲージ~ まとめ ここまで紹介したように、自宅を活用して老後資金を作るには、リバースモーゲージの他に不動産担保ローン、リースバックといった方法があります。ご自身の状況によって最善の選択肢は変わってくるので、それぞれの仕組みやメリット・デメリットを理解したうえで計画的に資金調達をしましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "リバースモーゲージではどのくらいの金額を借り入れすることができますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "リバースモーゲージで借り入れすることができる金額は、提供する金融機関などによって異なります。一般的には、担保評価額の50%程度を上限としている場合が多いようです。" } }, { "@type": "Question", "name": "リバースモーゲージには年齢制限はありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リバースモーゲージの利用が可能な年齢は、50歳~80歳です。年齢制限は、各金融機関などによって異なりますので、利用を検討している場合は事前に確認することをおすすめします。" } }, { "@type": "Question", "name": "リバースモーゲージの金利はいくらですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リバースモーゲージの金利は、約3.0%~5.0%です。一般的に、カードローンや不動産担保ローンより低金利で借り入れができる一方、住宅ローンと比較すると高めの金利が設定されています。" } }, { "@type": "Question", "name": "住宅ローンが残っている不動産を担保にすることはできますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"担保とする不動産に住宅ローンが残っている場合であっても、融資を受けられる可能性があります。ただし、借入資金によって既存の住宅ローンを返済することが条件となります。残債が一定金額減っている状態であれば、リバースモーゲージで住宅ローンの借り換えを行うことができ、借り換えによって毎月の支払いが利息のみとなるので、返済負担を軽減できます。" } }, { "@type": "Question", "name": "マンションを担保に融資を受けることはできますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"マンションを担保にする場合、対象となる物件に条件があり、立地が悪いマンションや築年数の古いマンションは対象外になることが多いようです。また、金融機関によってはマンションを対象外としている場合もあります。マンションを担保にリバースモーゲージの利用を検討している場合は、事前に問い合わせをしてみましょう。" } }, { "@type": "Question", "name": "生活保護を受けているが、融資を受けることはできますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"生活保護を受けている場合、一般的に融資を断られる可能性が高いです。しかし、収入等の一定の条件を満たすことで融資を受けられる可能性もあります。条件は金融機関によって異なるため、問い合わせをしてみましょう。" }} ] } 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として借り入れを行うローン商品のことです。不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べてまとまった金額を低金利で借りることができます。 一方...記事を読む リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リースバックとは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法で、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続け...記事を読む

    2020.08.26各種ローン
  • 不動産担保ローンを比較する5つのポイント

    不動産担保ローンを比較する5つのポイント

    不動産担保ローンは銀行やノンバンクなど、多くの金融機関が商品を提供しています。そのため、初めて不動産担保ローンを利用する場合、どのようなポイントを比較すればいいのかわからないかもしれません。 この記事では、不動産担保ローンを比較する5つのポイントを紹介します。 比較するポイント1 ― 融資金額 不動産担保ローンの融資限度額は、担保となる不動産と債務者の与信で決定されます。担保不動産の評価は会社ごとに行われ、そこから担保掛目を乗じた金額が融資限度額となります。また、年収や勤務先、勤続年数といった個人の与信によって、最終的な融資限度額が決定されます。 一般的に担保掛目は不動産評価額の60%から80%程度に設定されており、金融機関によって差があります。また、担保不動産の評価方法も金融機関によって異なるため、同じ担保不動産でも融資金額に差が生まれます。不動産担保ローンを利用する場合は、複数の金融機関に相談して融資金額を比較しましょう。 比較するポイント2 ― 費用(金利、手数料など) 不動産担保ローンでは金利や手数料がかかるため、これらの費用も比較するポイントになります。不動産担保ローンでは、以下のような費用がかかります。 金利 事務手数料 登記費用(司法書士報酬、登録免許税など) 審査に必要な書類の取得費用(住民票、印鑑証明書など) 印紙代 繰上返済手数料(一部繰上返済と全部繰上返済で手数料が異なる) これらの中で、まず比較しておきたいのは金利です。融資金額と返済期間が同じ場合、金利によって月々の返済額や総返済額は大きく異なります。月々の返済額に注目しがちですが、必ず総返済額も比較しましょう。 また、事務手数料をはじめとする諸費用も無視できません。特に事務手数料は「融資金額の~%」という形でかかるため、少しの差で負担する費用は大きく変わります。借り換えの場合は、今まで借りていたローンの一括返済時に繰上返済手数料がかかるので、諸費用を考慮しても借り換えたほうが有利なのか判断する必要があります。 比較するポイント3 ― 融資までのスピード 不動産担保ローンの融資までのスピードは「最短即日」「1週間程度」など、金融機関によって異なります。早期に資金を用意しなくてはならない場合は、借入が必要なタイミングを伝えて、希望する時期に間に合うかを確認しましょう。早期に資金が必要なことを事前に伝えておけば、優先的に対応してくれる場合もあります。 ただし、融資までのスピードは早いほどいいとは限りません。担保不動産を評価する際、物件によっては現地調査なども必要になるため、ある程度の時間を要します。「即日融資が可能」とうたっている金融機関もありますが、あくまでも不動産評価に時間を要しない他、必要書類がすべてそろっているなど限られた場合である可能性が高いので注意が必要です。 比較するポイント4 ― 融資担当者の対応 不動産担保ローンを利用するときは、融資担当者の対応についても比較しましょう。初めて借りる人にとって不動産担保ローンの手続きは複雑で、理解が難しい用語も多く出てきます。融資担当者が手続きや用語についてわかりやすく解説し、サポートしてくれれば安心して利用できます。 金融機関によっては、専属の担当者をつけてくれたり、電話でサポートを受けられたりするところもあります。金利や費用はもちろん大事ですが、融資担当者の対応が適切でないと、スムーズに契約できずにトラブルになる恐れもあるので、安心して任せられる担当者を選びましょう。 比較するポイント5 ― 金融機関の信頼性 不動産担保ローンは、金融機関選びも重要なポイントになります。前述のとおり、担保不動産の評価は金融機関によって異なるため、有利な条件で融資を受けるには信頼性の高い金融機関を選ぶことが大切です。 不動産担保ローンを借りている中で、融資を受けた金融機関が倒産する恐れもあります。また、金利や費用、融資までのスピードなど、1つのポイントだけで判断すると、返済中にトラブルに巻き込まれるかもしれません。営業年数や融資実績、ブランド、提案内容などを比較したうえで、安心して利用できる金融機関かどうか判断しましょう。 まとめ 不動産担保ローンは資金使途が基本的に自由なので、運転資金や開業資金など、まとまった現金が必要になった場合や長期で融資を受けたい場合に活用できます。ただし、金融機関によって担保不動産の評価方法は異なり、融資金額や金利などの融資条件、諸費用にも差があります。 不動産担保ローンを利用する際は、必ず複数の金融機関に相談して比較検討することが大切です。この記事で紹介した5つのポイントを参考に、不動産担保ローンを提供する金融機関を比較してみてください。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として借り入れを行うローン商品のことです。不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べてまとまった金額を低金利で借りることができます。 一方...記事を読む

  • コロナで住宅ローン負担増、借り換えできない場合の選択肢とは!

    コロナで住宅ローン負担増、借り換えできない場合の選択肢とは!

    新型コロナウイルスの影響で家計の収入がダウンし、住宅ローンが重荷になってきた家庭は少なくありません。とはいえ、住宅ローンそのものの借り換えが思うように進まない方もいるでしょう。この記事では、住宅ローンの返済に不安をもつ方が、少しでも気持ちを楽にして今後を過ごせる手段として、どのような方法があるのかをご紹介します。 <ご相談者 Hさん> 61歳男性・会社員(年収400万円) 妻は病弱で専業主婦。子供はいない。 新型コロナウイルスの影響で、夫の会社の業績が落ち、ボーナスは大幅減。 45歳で購入したマンションの住宅ローンはボーナス返済が大きく辛い。 借り換えをしようとしたが、審査で落ちてしまった。 ボーナスダウンで住宅ローンが重荷に、借り換えしたかったが… Hさん:会社員の我が家でも新型コロナウイルスによる収入ダウンの影響を受けています。60歳までは色々な手当があったのですが、定年後に再雇用となったことに加え、新型コロナウイルスの影響によりボーナスも大幅減です。 FP吹田:この新型コロナウイルスの影響は大変ですよね。何年前に住宅ローンを借りられたのですか?当初の借入金額や金利、返済期間を教えてください。また、繰上返済などをされたかどうかも念のため教えてください。 Hさん:はい、住宅ローンは45歳のとき、今から16年前に3,300万円を公庫で借りて、当初の金利は2.5%、借入期間は35年でした。当時は忙しくて金利などに無頓着だったこともあり、繰上返済もせずほったらかしでした。 FP吹田:仕事が忙しいと、なかなか住宅ローンを見直しする時間もとれなかったでしょうね。 Hさん:ただ、返済開始から11年目以降に金利が上がる段階金利型だったので、金利が2.5%から3.5%になり、今の返済は毎月9.5万円、ボーナス月で22.5万円も返済があります。今私は61歳ですから、まだ19年も今の返済が続くのは辛いと思って借り換えを試みたのですが、ダメでした。 FP吹田:そうだったのですか。住宅ローンの審査は金融機関ごとに異なりますが、ご年齢が61歳であることや再雇用により給料が減少したことで断られてしまった可能性がありますね。 Hさん:借り換えができないとなると、どうしたらいいでしょうか?なんだか、今後も返済し続けるということに大きなストレスを感じてきました。とはいっても、いきなり賃貸物件へ引越すのも、妻の身体が弱いので体力的に心配です。 住宅ローンを完済しつつ、今の自宅に住み続ける手段への転換も FP吹田:なるほど。新型コロナウイルスの時代に、今後も住宅ローンを返済し続けることそのものに、ストレスを感じていらっしゃるのですね。とはいっても、奥様のことを心配して、いきなり引っ越しは避けたいのが本音ですね。今、このタイミングで両方を満たせる手段がありそうと言ったらご興味ありますか? Hさん:そんな方法があるのですか? FP吹田:はい、不動産という資産があって、ある程度住宅ローンを返済されてきたからこそできる手段で、リースバックというものです。 Hさん:どんな内容なのですか? FP吹田:簡単に言うと、ご自宅をリースバック運営会社に売却し、そのままその会社から現在の自宅を賃借して住み続けるというものです。以下に仕組みやメリット・デメリットを整理してみました。参考までに住宅ローンの借り換えとも比較しています。 リースバックと住宅ローンの借り換えのメリット・デメリット リースバック 住宅ローンの借り換え 仕組み不動産を売却後、そのまま賃借して住み続ける住宅の所有権はそのまま、住宅ローンの借入先を変更 メリット ・手元資金を確保する事ができる・融資審査ではなく不動産売却後の入居審査のため、融資に比べ審査が通りやすい ・借り換えできれば、金利条件などでローン返済が軽くなる・所有権は変わらない デメリット 所有権を手離すことになる(売却価格は周辺相場よりも安くなりがち) 不動産を所有することで生じるリスクが残る。(災害リスク・金利上昇リスクなど) Hさん:なるほど。自宅を所有し続けるのではなく、売却するけれども、引越しをしたりすることなく、そのまま住み続けるということですね。 FP吹田:はい、売却代金が入るので、住宅ローン残高が残っていたとしても、残債を売却金額が上回っていれば住宅ローンを精算することが可能です。 Hさん:あとは、家賃を払うのですね。 FP吹田:はい、毎月の家賃(リース料)という形なので、管理費や修繕費用、固定資産税などの維持費がかからないですし、会社によっては賃借の費用である敷金・礼金・更新料も不要な場合もあります。 Hさん:維持費がかからないのは、本当に気楽になりますね。固定資産税も重荷でしたから。気になるのはいくらで売れるかですね。 FP吹田:はい、売却価格が周辺相場より下がる傾向はありますが、買い手が見つかるまで待つこともなく迅速に現金化できることや、今後、新型コロナウイルスの影響で不動産の価値も変わる可能性を考えると、今の時点で整理してみる価値はあるかと思います。 Hさん:確かに。今の自分の状態から優先順位を考えると、住宅ローンから解放されることと、維持費負担も楽になること、引っ越さなくてもいいという利点は、無視できませんね。検討してみます。たぶん、妻も賛成してくれると思います。 FP吹田:はい、共同生活者でもある奥様と相談されて、今後の生活で一番不安が少ないこと、安心できることを優先に意思決定されるのがよいと思います。今回、住宅ローンの借り換えができなかったのがきっかけですが、今までの延長でご自宅を所有することよりも、大切なことに気づかれたのではないでしょうか? Hさん:はい。これだけ環境が変化すると、自宅の所有に伴う負担がずいぶん重荷になっていたのに気づきました。住宅ローンを返し続ける重荷がなくなれば、今後は、働き方や生活拠点ももう少し自由に妻と話し合っていけそうです。前向きに検討します。 まとめ 住宅ローンの借り換えができない現実に!住宅ローンを完済し、かつ引っ越しをせずに生活を維持できる方法は? リースバックのメリットとデメリット 不動産売却により住宅ローン残高の精算ができる 引っ越しせずに今の自宅に住み続けられる 固定資産税などの維持費や、修繕費用などの突発的な出費がなくなる 自宅の所有権はなくなる 売却価格は、周辺相場より安くなりがち 毎月のリース料(家賃)が発生する リースバックならSBIスマイル リースバックの商品詳細はこちら もっと詳しく知りたい方はこちら SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定も無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リースバックとは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法で、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続け...記事を読む

  • リースバックのデメリットやリスクは?トラブル事例とその回避方法について解説

    リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説

    リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ることもあるかもしれません。契約してから後悔しないためには、事前にトラブル事例を把握したうえで、それらに対処する方法を理解しておくことが大切です。 この記事では、リースバックのトラブル事例と、トラブルを避ける方法について解説します。 ①売却価格が適正価格より安かった 前提として、リースバックの売却価格は、基本的に市場価格よりも安くなります。これはリースバック運営会社が借主の家賃滞納リスクや、買い戻しに応じるために自由に売買できない制約などを抱えているためです。一般的に、売却価格は市場価格の70%前後になる場合が多いです。 しかし、運営会社によっては、想定以上に安い売却価格を提示する場合があります。提示された売却価格が安すぎることに気づくためには、複数の運営会社に相談して売却価格を比較することが有効です。ひとつの運営会社だけで判断しないように気を付けましょう。 ②家賃が支払えなくなった リースバックは、自宅を売却した後に家賃を支払うことになります。売却価格を重視して契約した場合、その家賃は相場に比べて割高に設定されることが多いです。家賃の設定が自身の家計に対して適切でないと、支払いが徐々に厳しくなり、最終的には手元資金が枯渇して家賃が支払えなくなる恐れがあります。 後から家賃が支払えなくなるトラブルを回避するためには、契約前に売却価格と賃料設定のバランスが適切かどうか、複数の運営会社で確認することが大切です。運営会社によって不動産の評価方法や賃料設定は異なるので、ひとつの運営会社だけで判断せず、必ず複数の会社を比較して判断しましょう。 また、家賃を問題なく支払い続けられるように、長期間の収支シミュレーションを作成するのも有効です。自身の今後の収入見込み額や貯金額などの状況を整理して、本当に支払い続けられる適切な家賃設定かを判断しましょう。 関連記事はこちらリースバックの家賃設定を解説!賃料相場よりも高い? ③家賃の引き上げを要求された 固定資産税の上昇、土地または建物の価格の上昇、その他の経済事情の変動などにより運営会社から家賃の引き上げを要求されることがあります。家賃は毎月支払わなければならないため、少しの値上げであっても、将来的には大きな負担となり、最終的に家賃が支払えなくなってしまうかもしれません。 賃貸借契約が普通借家契約の場合、契約書の特記事項に家賃を増額しない旨が記載されていれば、家賃の引き上げを要求されることがありません。契約を締結する前にしっかりと確認することが大切です。 また、賃貸借契約が定期借家契約の場合は、契約期間中に家賃の引き上げを要求されることはありません。一方で、再契約のタイミングで要求される恐れがあります。もし確実に家賃を引き上げを要求されないようしたい場合は、普通借家契約かつ特記事項に家賃を増額しない旨を記載してもらえないかを、運営会社に相談してみましょう。 ④再契約時に退去を求められた リースバックの賃貸借契約では、賃貸借契約期間が定められている定期借家契約も用いられます。。定期借家契約の締結時に「再契約によって住み続けることが可能」と説明されていたとしても、契約期間満了後に運営会社の事情で再契約を断られた場合は、退去しなくてはなりません。 こうしたトラブルを回避するためには、事前に賃貸借契約が「普通借家契約」であるかを確認しておきましょう。「普通借家契約」であれば、正当な事由がない限り、貸主都合による一方的な賃貸借契約の解除はできません。もし「定期借家契約」で賃貸借契約を締結するのであれば、賃借期間が満了した時点で退去すると考えておきましょう。 なお、定期借家契約であっても、期間満了前の正当な事由がない退去命令はできません。そのため、契約期間の途中であれば、貸主から退去を求められたとしても基本的に応じる必要はありません。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 ⑤買い戻し資金が足りなかった リースバックでは、基本的に売却した自宅の買い戻しが可能です。そのため、将来的に自宅を買い戻すことを前提として、リースバックの利用を検討している人もいるでしょう。しかし、一般的にリースバックの買い戻し価格は、売却価格よりも高くなります。そのため、提示された買い戻し価格が想定より高く、資金不足で買い戻しができない場合も考えられます。 買い戻しのために住宅ローンが組める可能性もありますが、年齢や収入によっては、買い戻しのために新たな住宅ローンを組むのは難しいかもしれません。買い戻しを想定してリースバックを利用する場合は、住宅ローンが使えない前提で資金計画を立てておくことが大切です。。 ⑥買い戻しに応じてもらえなかった 資金の問題で自宅の買い戻しができない場合もありますが、そもそも運営会社が買い戻しに応じない場合もあります。買い戻しに関する契約を締結している場合などは、運営会社は買い戻しに応じなければなりませんが、このような契約を書面ではなく口約束のみで済ませてしまった場合、買い戻しを拒否されてしまう恐れもあります。 このようなトラブルを避けるため、将来的に自宅の買い戻しを検討している場合は、買い戻し条件を必ず書面化しておきましょう。具体的には、「売買契約書上に特約として明記する」、「売買予約契約を締結する」といった方法があります。加えて、買い戻し価格が高くなりすぎないよう、複数の会社を比較したうえで契約することが大切です。 関連記事はこちらリースバックは買い戻しできる?仕組みや買い戻し価格の目安を解説 ⑦相続人ともめてしまった リースバックで自宅を売却する場合は、サービスを利用することをあらかじめ相続人に話しておかないと、相続でもめる原因になる恐れがあります。リースバックは売却後も同じ家に住み続けられるので、自宅を売却したことを第三者に知られることは少ないでしょう。たとえ子どもであっても、何も話しておかなければ、気づかない場合がほとんどです。 そのため、子どもは将来自宅を相続するつもりだったにもかかわらず、知らぬ間に自宅がリースバックで売却されていたとなれば、親族といえどもトラブルになる恐れがあります。リースバックはリバースモーゲージと異なり、サービスの利用要件に推定相続人からの同意を必要としませんが 、相続トラブルを回避するために、リースバックを利用する場合は、事前に推定相続人にも伝えておきましょう。 関連記事はこちら相続争いを生まないためのリースバックという選択肢 ⑧運営会社が倒産した 業績不振で倒産リスクが高いなど、与信に問題がある運営会社を利用した場合に、賃貸借契約期間中に運営会社が倒産する恐れがあります。運営会社によっては、売買代金の一部を預け入れることで、家賃を下げるサービスを提供している会社もありますが、売買代金の一部を預け入れている状態で運営会社が倒産すると、その代金が戻ってこない恐れがあります。 リースバックは多額の資金を必要とする事業なので、トラブルを回避するために、運営会社の買取実績や業績などを確認し、信頼のできる運営会社を選ぶことが大切です。 トラブルを避けるために抑えるべきポイント リースバックにおけるリスクは表面化するとトラブルに発展する恐れがあります。トラブルを回避するために、以下のようなポイントに気を付けましょう。 契約内容を確認する リースバックの契約時には、売買契約と賃貸借契約の2つの契約を締結します。トラブルを避けるためには、それぞれの契約に自身の認識と異なる点が無いか確認することが大切です。 契約内容の確認に際して、賃貸借契約が「普通借家契約」か「定期借家契約」かの確認は特に大切です。「普通借家契約」であれば、正当な事由がない限り、貸主は契約の更新を拒めません。一方で、「定期借家契約」の場合は、契約期間の満了によって契約が終了するので、退去を求められる恐れがあります。また、将来的に自宅を買い戻すことを検討している場合は、契約内容に買い戻しに関する取り決めが定められているか確認することも大切です。なお、契約内容は口頭ではなく、書面上で確認するようにしましょう。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? 複数の運営会社を比較する リースバックでのトラブルを避けるために、複数の運営会社を比較しましょう。リースバックは、運営会社によって売却価格や家賃などの諸条件・サービス内容が異なります。比較を行わなかった場合、与信に問題がある運営会社を選んでしまったり、売却価格や家賃が適切でないサービスを利用してしまうなどの恐れがあります。ひとつの運営会社だけで判断せず、必ず比較検討を行ったうえで、自身のライフプランに合った運営会社を選びましょう。 関連記事はこちらリースバックを比較する5つのポイント 第三者に相談する リースバックでのトラブルを避けるためには、第三者に相談することも有効です。特に、不動産等に詳しくない場合は、自身で売却価格や家賃、契約内容が適切かどうか判断するのは難しいでしょう。そういった場合に、自分自身で判断するのでは無く、専門家等から客観的な意見を聞き、第三者的な視点から判断するのも有効です。 相続人に伝える 相続トラブルを回避するために、相続人にリースバックの利用を伝えておくことも大切です。リースバックは、その性質上自宅を売却したことが気づかれない場合が多いです。そのため、リースバックが原因で相続人とトラブルになる恐れがあります。リースバックを利用する場合は、前もって相続人に伝えておきましょう。 まとめ リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるのがメリットですが、当然デメリットやリスクも存在し、うまく利用しないと、本コラムで紹介したようなトラブルが発生してしまう恐れがあります。リースバックを利用する場合は、紹介した事例を参考にトラブル回避の対策をしっかり立てて、契約してから後悔することのないようにしましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む

  • コロナ禍により家計が急変。教育費を確保するには?

    コロナ禍により家計が急変。教育費を確保するには?

    完全失業率が2019年12月の段階で2.2%だったものが、2020年5月には2.9%へと跳ね上がり、新型コロナウイルスによる影響は今後も止まらないと見られています。倒産・失業などで家計が急変したとき、大学生のいる家庭で、わが子の学びを守るためにはどうしたらいいでしょうか。 大学時代の教育費の目安 一般的に、教育費のピークとなるのが大学時代の学費・生活費です。まずは、どれくらいかかるのか見ておきましょう。表1はデータを整理したものです。 高校3年生の受験期から4年間の学費・生活費として、国公立は自宅通学で約500万円、自宅外で約950万円かかります。私立文系は、自宅通学で約720万円、自宅外で約1170万円、理系の場合は自宅通学で約820万円、自宅外で約1,270万円かかります。なかなかの負担です。 表1 大学でかかる学費・生活費の目安(万円) 区分 初年度(*1+*2) 2年目以降*2 4年間合計 国公立 自宅 178.4 107.0 499.4 自宅外 319.8 209.3 947.7 私立 文系 自宅 244.2 157.6 717.0 自宅外 385.6 259.9 1,165.3 理系 自宅 268.8 184.3 821.7 自宅外 410.2 286.6 1,270.0 ※1 受験費用、学校納付金、入学しなかった学校への納付金 ※2 授業料、通学費、教科書費、施設設備費、学習塾、参考書、習い事等 出典)日本政策金融公庫「令和元年度 教育費負担の実態調査結果」より筆者試算 学生の修学を支援する制度 大学での学費・生活費は、親がこれまで貯めてきた教育資金や奨学金(給付型、貸与型)、あるいは家計から捻出し、学生自身がアルバイトをするなどしてまかなってきたわけです。 しかし、コロナ禍で、親が失業や減収に見舞われたり、学生自身のアルバイト収入がなくなったりして、学費や生活費が払えず修学が厳しくなった学生もいます。修学環境についても、オンライン授業に切り替わり、パソコンやプリンターの購入やWifi環境を整えるための費用などもかかり、非常に混乱をきたしました。 このような背景もあり、国の学生支援として下記のような修学を支援する給付金などが設けられました。 学生支援緊急給付金 アルバイト等の収入が大幅に減少し、修学の継続が困難になっている学生の救済策として設けられました。該当する大学・短大・高専・専門学校生等に対して1人当たり20万円(住民税非課税世帯)または10万円(その他の世帯)が独立行政法人日本学生支援機構から給付されます。 >詳細はこちら 特別定額給付金 2020年4月27日の基準日に住民基本台帳に記録されている人を対象として、1人10万円が給付されます。世帯主が世帯人数分まとめて請求します。なお、海外留学から帰国して基準日に日本に居住していた日本人学生も、住民票を復活させれば、住民登録の復活が基準日より後でも給付対象者になります。申込締切は自治体で異なるものの、郵送申請の受付開始日から3か月以内(多くは8月末)となっています。 なお、「特別定額給付金」は学生向けというわけではありませんが、保護者を通じて受け取る形で、学費・生活費に充てることもできます。また、国の制度ではありませんが、多くの大学等で、授業料の納付猶予や延納等を行っています。中には、大学等が独自に授業料等減免や奨学金の制度を持っている場合もあります。支援の有無や内容は大学等で異なるので、サイトなどで確認しましょう。 追記:全ての市区町村で特別定額給付金の申請の受付は終了しています。(2023年7月時点) >詳細はこちら 家計急変世帯への奨学金の緊急対応 給付型・貸与型奨学金も、コロナ禍による家計急変に対して、随時申し込めるようになりました。また、第2種貸与型の利子補給をするタイプも創設されました。 「高等教育の修学支援新制度」の家計急変採用 2020年4月から本格的に始まった給付型奨学金の「高等教育の修学支援新制度」。非課税世帯とそれに準ずる世帯が対象で、通常、前年度の課税標準額により審査を行いますが、新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した場合は,家計急変後の収入見込みにより審査されます。申込や詳細は各大学等の窓口へご相談ください。 >詳細はこちら 「日本学生支援機構の貸与型奨学金」の家計急変採用 日本学生支援機構の貸与型奨学金は、第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)があり、通常、前年度の収入金額等により審査を行いますが、コロナ禍の影響で家計が急変した場合は、家計急変後の収入見込みにより審査されます。第一種奨学金は月2万~6.4 万円、第二種奨学金は月2~12 万円(自宅・自宅外、学校種で異なる)。申込や詳細は各大学等の窓口へご相談ください。 >詳細はこちら 緊急特別無利子貸与型奨学金 緊急的に2021年3月までの限定で実施。学費・生活費に占める学生本人のアルバイト収入の割合が高く、本人の収入がコロナ禍で大幅に減少(前月比50%以上減少)し、また、第二種奨学金の基準を満たす場合(申込時点で第二種奨学金を利用していない)は、無利子で第二種奨学金を利用できます。利子分(利率見直し方式で0.002%、利率固定方式で0.070%、2020年3月貸与終了者の例)を国が補填し、実質無利子で借りられます。申込や詳細は各大学等の窓口へご相談ください。 >詳細はこちら 上記のほか、自治体独自の奨学金や民間の奨学金でも、コロナ関連で緊急採用を行っているケースもあります。サイトなどで確認してみましょう。 奨学金以外の無利子貸付など 奨学金以外にも、条件が合えば無利子で利用できる貸付があります。同様の貸付の場合、重ねて利用できない場合や、優先順位が決まっている場合もあるので、利用の際には確認が必要です。 生活福祉資金貸付金(緊急小口貸付貸付等の特例貸付) コロナ禍の影響で収入が減少し、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯に、無利子で20万円までの貸付を行う制度です。申込や詳細は社会福祉協議会または労働金庫へご相談ください。 >詳細はこちら 生活福祉資金貸付金(教育支援資金) 低所得世帯を対象として、大学等に修学するために必要な経費について、無利子で月6.5万円以内(大学の場合)の貸付を受けられます。入学に際して、必要な経費について50 万円以内でまとまった額の貸付も行っています。申込や詳細は社会福祉協議会へご相談ください。 >詳細はこちら 母子父子寡婦福祉貸付金(就学支度資金・修学資金) 母子・父子・寡婦家庭で、受験料や被服費等に必要な資金に充てる資金として利用できます。無利子で一時金59 万円以内(私立大学の場合)。また、授業料や書籍代、交通費、生活費等に必要な資金に充てる資金として、無利子で月14.6万円以内(大学で自宅外通学の場合)の貸付を受けられます。申込や詳細は福祉事務所等のひとり親担当窓口へご相談ください。 >詳細はこちら それでも学費が不足するときは? 上記のように、コロナ関連では大学側の学費の猶予なども含め、国の給付金や奨学金、その他の無利子貸付などさまざまなものが利用できます。こうした制度を利用しても、支払いのタイミングが合わない、条件面で該当せずに利用できないなど、何かの事情で、学費・生活費に対して十分でない場合があるかもしれません。 そんなときには、有利子ではあるものの、次のようなものを利用することも可能でしょう。 日本政策金融公庫の「国の教育ローン」 保護者に対して、学生等1人あたり350万円までの貸付を行います。利息は年1.71%(固定金利)。申込や詳細は日本政策金融公庫へご相談ください。 >詳細はこちら 生命保険の契約者貸付 加入している生命保険(貯蓄型)の解約返戻金の一定割合まで貸付を受けられます。手続きをすればすぐ利用できるため、一時的な学費支払いなどでも活用できます。適用される利率は保険会社や加入時期などで異なります。 特別金利のフリーローン コロナ禍のため、金融機関によっては、フリーローンを特別金利で貸し出している場合があります。ある銀行の例では、店頭金利(年5.975%、変動金利)から3.00%の引下げを行った金利を特別金利として、一定期間貸出しを行っています。 不動産担保ローン 不動産を担保にして借りるローンです。借入限度額も大きく、借入期間も長めに設定できる場合があります。無担保のローンに比べて金利は低めである点も特徴です。金融機関によっては、住宅ローンが残っている不動産でも利用できる場合があります。 上記のうち、特別金利のフリーローンや生命保険の契約者貸付は一時的な利用に向きますが、「国の教育ローン」や不動産担保ローンは、長期での利用などにも向きます。 終わりに コロナ禍の影響はこれから本格化する可能性もあります。想定外に家計が急変してしまったときは、大学生のわが子の「学び」を守るため、給付金や奨学金、無利子の貸付制度などを上手に活用しましょう。 それでも十分でなくローンなどを利用せざるをいときは、できるだけ家計に負担のない方法を検討したいものです。 出典)文部科学省「新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について」 不動産担保ローンならSBIエステートファイナンス 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 家賃が払えない?!そんなときの住居確保給付金が受給資格を緩和! 離職や廃業によって、家賃の支払いに困ったとき、自治体に申請すると住居確保給付金を受給できる可能性があります。住居確保給付金は失業者向けの制度でしたが、2020年4月20日から受給資格が緩和さ...記事を読む 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として借り入れを行うローン商品のことです。不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べてまとまった金額を低金利で借りることができます。 一方...記事を読む

  • 競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法

    競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法

    不動産を担保とするローンの返済が困難になると、最悪の場合、競売によって担保不動産が強制的に売却されてしまいます。競売にはデメリットがあるので、ローンの返済が困難になったとしても、絶対に回避すべきです。また、不動産を担保にローンを借りるのであれば、もしものときの備えとして、競売について理解しておくことが大切です。 この記事では、競売を回避すべき理由や回避する方法について解説します。 競売とは 競売とは、債務者の所有する不動産などを売却し、その代金を債務の弁済にあてる手続きです。この手続きは、債権者の申し立てにより、裁判所が不動産などを差し押さえることで行われます。 競売は3種類に分類される 一口に「競売」といっても、競売に至るまでの経緯によって、3種類に分類されます。なお、手続きそのものの流れについては、3種類とも同様です。 強制競売 強制競売は、判決や裁判所での和解又は調停で決まった内容を実現したり、公証人が作成した公正証書の内容を実現したりするための手続きです。 担保不動産競売 担保不動産競売は、不動産に設定された担保権(主に抵当権)を実行するための手続きです。 形式競売 形式競売は、債務の清算としてではなく、遺産分割や共有物分割、破産手続上の換価など、不動産を売却してお金に換える必要があるときに、競売手続をその手段として利用するものです。 公売と競売の違い 競売は債権の回収を図る手続きであるのに対して、公売は滞納税金の回収を図る手続きです。根拠法も競売が民事執行法であるのに対し、公売は国税徴収法となります。また、競売は主に裁判所が手続きを進行しますが、公売は国税局や税務署が手続きを進行します。 競売の流れ 一般的に住宅ローンなどの保証会社がついている融資の場合、競売の大まかな流れは以下のとおりです。 金融機関から一括返済を求められる(督促状・催告状が届く) 保証会社が金融機関に一括返済を行う(代位弁済) 債権者が裁判所に競売申立てを行う 裁判所から競売開始決定通知が届く(差押え) 不動産の現況調査が行われる 競売の入札が実施される 落札者に不動産が売却される(退去) 上述のような流れで競売手続きが開始され、最終的には担保不動産が売却されます。競売の流れは、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら担保不動産競売までの流れをわかりやすく解説 競売を回避すべき3つの理由 競売は主に以下の3つの理由から、回避すべきと言えます。 落札価格(売却価格)が市場価格よりも安くなる 競売物件は買主にとってリスクが高いため、落札価格(売却価格)は市場価格を下回るのが一般的です。市場価格より落札価格が安くなる理由は以下のとおりです。 落札した建物に欠陥が見つかれば、買主が修繕費を負担しなくてはならない 前の所有者が落札後も退去しなければ、退去してもらうための交渉や手続きも必要になる 「競売物件」に対する抵抗感がある 通常の不動産取引に比べて、競売は手続きが煩雑である 競売での落札価格に大きく関わるのが、「売却基準価額」と「買受可能価額」です。上述のとおり、競売は落札者の負担が大きいことから、競売にかけられる不動産の売却基準価額は、市場価格の約7~8割程度に設定されます。 そして、最低落札価格を表す買受可能価額は、売却基準価額の8割です。落札価格の基準となる価額がこのように決定されているため、一般的に落札価格は市場価格を下回ってしまいます。 余計な費用がかかる 競売では、通常の不動産取引ではかからない、余計な費用がかかります。競売が実行されるまでには、各種書面の送付や現況調査など、さまざまな費用が発生しますが、これらの費用は予納金によって賄われます。予納金とは、裁判所に競売の手続きを申立てるときに債権者が納めるお金です。たとえば、競売物件が東京23区の場合、予納金の額は以下のとおりです。 請求債権額 予納金の額 2,000万円未満 80万円※ 2,000万円以上 5,000万円未満 100万円 5,000万円以上 1億円未満 150万円 1億円以上 200万円 ※令和2年3月31日以前に受理された申立てについては60万円 出典)裁判所|不動産競売事件(担保不動産競売,強制競売,形式的競売)の申立てについて 予納金は競売手続きを開始するときは債権者が債務者に代わって立替をしますが、最終的には売却代金から差し引かれて債権者に返還されるため、実質的には債務者が負担することになります。 また、ローンの延滞が始まってから競売で売却されるまでは、延滞分の遅延損害金も発生します。延滞から競売による売却まで一年以上かかる場合もあるため、残債によってはかなりの額になります。こうした費用が重なり債務者の負担金額が増加するため、競売で不動産を売却しても、残債を完済できない恐れもあります。 競売にかけられたことを知られてしまう 不動産を競売にかけられると、周囲に知られてしまう恐れがあります。なぜなら、裁判所による競売・差押えは公示され、所在地や外観、室内写真など、物件の詳細がホームページ上に掲載されるからです。名前が公開されることはありませんが、近所の人や会社などが見れば、競売にかけられていることはすぐにわかります。 また、競売の手続きが進むと、裁判所の執行官による現地調査が行われ、占有者や物件状態の確認、外観や室内の写真撮影、周辺住民への聞き取りなども行われます。また、ホームページなどに掲載された情報をもとに、落札目的の不動産業者が物件確認に訪れることも多いです。 競売で残債を完済できないとどうなる? 上述のとおり、競売は落札価格(売却価格)が市場価格よりも安くなるうえに、余分な費用も掛かってしまうため、競売後も残債を完済できない恐れがあります。 競売で完済できなかった残債については、引き続き、債権者に返済をすることになります。このときの債権者は、ローンを融資した金融機関や途中で「代位弁済」をした保証会社となりますが、債権管理回収を専門に行う「サービサー」という業者になることもあります。サービサーは、競売後、それまでの債権者から債権を譲渡され、債務者からの債権回収を行ないます。 このように、債権者は変わる可能性はありますが、債務者の残債に対する返済義務はそのままです。実際の返済方法については、債権者との交渉になりますが、分割払いとなるケースが多いようです。 競売を回避する方法 債権者から申立てによって、競売手続きが開始されたとしても、開札期日の前日までは取り下げの手続きができます。しかし、申立てを取り下げるように交渉するのは簡単ではありません。債権者に競売の申立てられた場合には、以下のような対策を行いましょう。 ①不動産担保ローン 他の金融機関から新たに融資を受け、残債を返済することができれば、債権者は競売の手続きを取り下げてくれます。しかし、延滞歴や資産状況を考えると現実的には難しいです。 一方で、不動産担保ローンを提供している金融機関の中には審査が柔軟な会社もあり、不動産に評価余力があれば融資を受けられるかもしれません。不動産担保ローンを利用して返済期間を延長できれば、毎月の返済額を低減できる可能性があります。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 ②任意売却 次に、任意売却とは、債権者と債務者の間で合意したうえで不動産を売却する方法です。債権者の合意を得ること以外は一般的な売却と同じなので、市場価格に近い値段で売却できる可能性があります。まずは、任意売却の相談に乗ってくれる不動産会社や弁護士を探しましょう。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 ③リースバック 最後に、同じ家に住み続けたい場合はリースバックも選択肢のひとつです。リースバックは自宅をリースバック運営会社に売却し、その運営会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられます。債権者から売却価格の同意が得られれば利用できるかもしれません。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 まとめ 競売の申立てが行われると、取り下げてもらうのは簡単ではありません。競売で自宅を売却されてしまうと、市場価格よりも安くなるだけでなく、余計な費用がかかるなどのデメリットがあります。ローン返済の見通しが立たないときには、必ず借り入れした金融機関に相談しましょう。 自宅の売却相談はこちらから SBIシニアの住まいとお金なら、金融と不動産の両方の知識で丁寧にアドバイスいたします 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 「金銭消費貸借契約証書」の重要性とは? 金融機関から借入れた不動産担保ローンの返済が困難になってしまうと、担保として提供している不動産は金融機関によって売却されることになります。これは、不動産担保ローンを借入れるときの〝常識〟です...記事を読む

  • 不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い

    不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い

    不動産担保ローンで資金調達する場合、銀行とノンバンクのどちらを利用すべきか悩むかもしれません。ノンバンクとは、銀行のように預金業務を行わず、与信業務(融資)に特化した金融機関のことです。銀行は預金業務を行っていることもあり、「なんとなく銀行のほうが安心」と思う人も多いでしょう。しかし、銀行とノンバンクの不動産担保ローンはそれぞれ特徴に違いがあるため、自身の状況に合わせて最適な金融機関を選ぶことが大切です。 この記事では、不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違いについて解説します。 銀行とノンバンクの違い 不動産担保ローンにおいて、銀行とノンバンクでは「総量規制(そうりょうきせい)」という法律の点で大きく異なります。総量規制とは、会社員等の個人における貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合、新規の借入れをすることができなくなる規制のことです。返済能力を超えた債務で生活が破綻するのを防ぐために、個人向けの貸付には借入金額に上限が設けられています。 不動産を担保とする貸付は総量規制の適用除外となりますが、担保とする不動産が自宅の場合は総量規制の対象となります。一方で、銀行法が適用される銀行は総量規制の対象外であるため、会社員でも銀行を利用すれば、自宅を担保に年収の3分の1を超える範囲でも融資を受けられる可能性があります。 これらのことから、会社員で事業を行っていない個人は、ノンバンクで不動産担保ローンを借りようと思っても年収による制限が付くことがほとんどです。そのため、ノンバンクでは、個人向け不動産担保ローンと称しながらも、事業を営んでいることを前提としていることも珍しくありません。 融資条件で見るそれぞれの特徴 次に、不動産担保ローンの融資条件について、銀行とノンバンクそれぞれの特徴を確認していきましょう。 金利と手数料 銀行の不動産担保ローンは、ノンバンクに比べて比較的金利が低めに設定されていることが多いです。たとえば、資金使途が限定されていない不動産担保フリーローンの場合、ある銀行では最低金利が1.0%前後であるのに対し、あるノンバンクでは2.5%前後となっています。 金利以外にも不動産担保ローンは以下のような手数料がかかります。 事務手数料 繰上返済手数料(解約料) 印紙代 登記費用 手数料については、銀行とノンバンクの違いというよりは、金融機関によって異なります。銀行、ノンバンクにかかわらず、金利と手数料の両方を考慮して、支払う費用面で有利なローンを選ぶことが大切です。無事に返済を終えるには繰り上げ返済を活用することも重要なので、繰り上げ返済の条件や手数料も確認しておきましょう。 融資金額 不動産担保ローンの最低融資金額~融資限度額の幅も、銀行とノンバンクというよりは、金融機関によって異なります。また、希望する金額の融資を受けることが出来るかどうかは、あくまで担保不動産の評価や担保掛目、申込人の与信によって変わります。担保掛目とは、担保不動産の評価額に対して金融機関が設定する比率のことで、担保掛目が大きいほど借りられる金額は大きくなります。一般的に担保掛目は評価額の70%~80%程度に設定されていますが、一部のノンバンクでは80%を超えるところもあります。 金融機関選びは、自分が希望する金額が融資可能額の範囲内にあるかどうかを前提として、担保不動産の評価と掛け目がポイントになります。銀行、ノンバンクにかかわらず、希望する金額を借りられるかどうかを重視するといいでしょう。 融資までの日数 不動産担保ローンでは、銀行よりノンバンクのほうが、融資までの日数が早いことが多いです。あくまでも目安ですが、ノンバンクは最短数日から2週間程度で融資が実行されるのに対し、銀行は2週間から1か月程度かかります。銀行は担保不動産の評価はもちろん、与信も厳しく審査される上、保証会社の保証が入ることが多いため、ノンバンクに比べて日数がかかります。そのため、少しでも早く資金を調達したい場合は、銀行よりノンバンクを利用したほうがいいかもしれません。 そもそも不動産担保ローンは、担保不動産の調査が必要になるため、無担保ローンに比べると融資実行までに時間がかかります。多くの金融機関が「最短〇日」といった表記をしていますが、資金計画の際は保守的に「早くても1週間はかかる」と考えておくといいでしょう。 審査基準(与信と担保不動産) 不動産担保ローンの審査基準については、銀行よりノンバンクのほうが柔軟なことが多く、与信面では、過去に銀行で断られた場合や返済の延滞歴がある場合でも、ノンバンクに相談すれば融資してもらえる可能性があります。 また、担保不動産では「借地権がついている」「建ぺい率や容積率がオーバーしている」など、いわゆる「既存不適格」物件の場合、銀行では断られることがほとんどです。しかし、ノンバンクによっては「借地権者の承諾書を取得する」「担保掛目を下げる」といった対応で担保の適格性を確保することで、融資してもらえる可能性があります。 さらに、不動産担保ローンの資金使途は原則自由ですが、一部の銀行では開業資金や納税資金などが認められないケースもあります。一方、ノンバンクは基本的にこのような制限はなく、開業資金や納税資金にも利用できます。そのため、不動産担保ローンで調達する資金の用途によっては、銀行よりノンバンクのほうがいいかもしれません。 まとめ ここまで説明してきたように、不動産担保ローンは、銀行とノンバンクでそれぞれ特徴に違いがあります。銀行は金利が比較的低く設定されていますが、融資基準が厳しい場合や、融資実行までに時間がかかることがあます。それに対して、ノンバンクは銀行より金利は高くなる傾向がありますが、融資基準が柔軟で、融資実行までの日数も短いのが特徴です。 これらのことから、なんとなく銀行の方が安心という理由のみで銀行に決めるのではなく、自身の担保不動産の状況や資金使途、金利や手数料などの融資条件を踏まえた上で、どこの金融機関が良いのかを総合的に判断する必要があります。まずは、銀行とノンバンクのどちらかに絞るのではなく、複数の金融機関に相談し、自分に合ったローンを利用することが大切です。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として借り入れを行うローン商品のことです。不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べてまとまった金額を低金利で借りることができます。 一方...記事を読む

  • リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

    リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

    リースバックとは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法で、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続けることを可能にする手法です。 近年、不動産事業者によるリースバックサービスの取扱いが増加しており、「リースバック」という言葉単体で、住宅におけるリースバックを指すことが一般的になりつつあります。 住宅におけるリースバックは、自宅を売却して現金を得て、売却後は賃料を支払うことで、それまで住んでいた住宅に引き続き住むことができるサービスです。この記事では、住宅におけるリースバック(以下、「リースバック」という。)の仕組みやメリット・デメリットを解説します。 リースバックの仕組み リースバックは、一般的にリースバック運営会社とリースバックを利用したい個人間で、不動産の売買契約および賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けることが可能になる仕組みです。 リースバックは、住み替えや老後資金の確保、円滑な相続等を目的として、住宅利活用の新たな選択肢として注目されています。一方で、リースバックは認知度が未だ低いことや、一連の取引の複雑さから、消費者の理解が不十分なまま契約が締結されるなどのトラブルも見られます。 リースバックとリバースモーゲージとの違い リースバックは、自宅に住み続けながら老後資金を受け取れるという点で、リバースモーゲージとも比較されるサービスです。一方で、リースバックが不動産取引であることに対して、リバースモーゲージはローン商品であるため、根本的には異なるサービスです。主な違いは下表のとおりです。 リースバックとリバースモーゲージとの違い 種類 リースバック リバースモーゲージ 契約の形態不動産売却契約不動産賃貸借契約金銭消費貸借契約 年齢制限なしあり 借り入れの有無なしあり 転居の要否なしなし 所有権の移転ありなし 資金使途自由原則、生活資金 支払い家賃利息 契約終了の条件引っ越しによる明け渡し買い戻し契約者の死亡借入金の完済 ※筆者作成 関連記事はこちらリースバックとリバースモーゲージの違いとは リースバックのメリット リースバックには、以下のようなメリットがあります。 自宅を売却した後も同じ家に住み続けられる 一般的な不動産売却は、まとまった資金を得られる一方で、引っ越しの手間や費用が発生します。また、高齢になると、新居の購入や賃貸借契約の締結が難しくなるケースも少なくありません。 リースバックでは、売却した自宅にそのまま住み続けられるため、まとまった資金を得ながらも、慣れ親しんだ自宅に住み続けられます。 月々の支出が定額化される 自宅を所有していると、定常的に発生する管理費や固定資産税、火災保険や地震保険など、さまざまな費用が発生します。リースバックでは、所有者がリースバック運営会社となるため、住居費用は毎月一定の家賃(リース料)に一本化されます。 家を所有することで発生するリスクがなくなる 自宅を所有していると、突発的な災害等で不動産価格の下落や建物の損壊などのリスクを抱えます。特に、戸建ての場合はマンションに比べて不動産価格の下落や災害による影響を受けやすいです。 また、住宅ローンが変動金利の場合は、金利上昇で返済額が増加するかもしれません。リースバックでは、所有者がリースバック運営会社となるため、これらの家を所有することで発生するリスクはなくなります。 リースバックのデメリット 一方で、リースバックには、以下のようなデメリットもあります。 売却価格が市場価格よりも安くなる リースバックは、基本的に自宅の売却価格が市場価格よりも安くなります。個人に売却する不動産仲介とは異なり、不動産業者が直接買い取りをするため、市場価格よりも安く買い取るためです。 また、リースバック運営会社は買い取った不動産を所有するリスクやコストを維持する点で、一般的な不動産買取よりも価格が安くなることも珍しくありません。 リフォームや建て替えが自由にできなくなる 持ち家の場合、マンションなどの規約が定められている場合を除き、自由にリフォームや建て替えができます。しかし、リースバックを利用すると、不動産の所有者はリースバック運営会社になるため、リフォームや建て替えをしたいと思っても、運営会社の許可が必要です。 ずっと住み続けられるとは限らない リースバックは、自宅に引き続き住むことができるサービスですが、希望する期間住み続けられるとは限りません。リースバックにおける賃貸借契約が普通賃貸借契約であれば、原則住み続けることができます。 一方で、定期借家契約の場合、ずっと住み続けられる保証はありません。貸主と借主の合意があれば再契約は可能ですが、あらかじめ、「必ず再契約をする」などの契約を結ぶことはできません。当初の賃貸借契約の期間を越えて家に住み続けたい場合は、定期借家契約ではなく、普通借家契約が締結できる運営会社を選ぶと安心です。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? リースバックの活用事例 リースバックでは、以下のような活用事例があります。 老後資金の確保 老後資金が不足したとしても、自宅を売却して引っ越すことは避けたいと思う人も多いでしょう。一方で、ローンを利用しようとしても、年齢などを理由に金融機関から断られることも珍しくありません。リースバックであれば、年齢を理由に断られることもなく、自宅に住み続けられます。 住み替え資金の確保 リースバックで自宅を売却すれば、新居の頭金や手付金に充てられるほか、ローンの返済資金にも利用出来ます。また、新居に住み替えるまでは、今までの家に住み続けられるので、仮住まいを探す必要もありません。 月々の返済負担の軽減 住宅ローンによっては、固定金利から変動金利への変更や、変動金利の上昇などで毎月の支払いが厳しくなることもあるでしょう。リースバックの家賃が住宅ローンの返済額より低くなれば、月々の支払額が減り、資金繰りが楽になるでしょう。 住宅ローンの完済 住宅ローンの返済が滞って金融機関に残債の一括返済を求められた場合、任意売却や競売を選択すると、自宅を失うことになります。しかし、リースバックを利用し、その資金で住宅ローンを完済することができれば、同じ家に住み続けることができます。 離婚時の財産分与 婚姻期間中に購入した自宅は、離婚時の財産分与の対象となります。しかし、住宅ローンが残っていて財産分与ができない場合や、夫婦の一方が離婚後も住み続けたい場合は一般的な不動産売却では解決できないでしょう。 しかし、リースバックを利用すれば売却価格によっては住宅ローンの一括返済が可能となり、自宅を現金化できるため財産分与を行うことができます。 相続問題の解決 複数の相続人がいる場合、自宅の相続をめぐって兄弟や親族との間でトラブルが発生する場合もあります。不動産は公平に分割しづらい財産なので、生前に現金化できれば、相続人同士がもめることもなく公平かつスムーズな遺産分割が可能となるでしょう。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイント リースバックを契約する際はどのような点に気をつけたらよいでしょうか。 主なポイントとして以下の4つを紹介します。 自宅の売却価格が相場よりも安すぎないか 自宅の売却先(買取業者)とリースバック契約先(大家)が同じか 契約期間中に家賃の値上げがないか 自宅の買い戻しについて契約書で定めているか 1. 自宅の売却価格が相場よりも安すぎないか リースバックにおける売却は、市場価格よりも安くなりますが、中には相場よりも著しく安く買われてしまう恐れもあります。このような対策として、自身で相場観を持っておく必要があります。そのためにも、リースバックを利用する際には1社だけでなく、複数社の見積もりや相談をしておくことが大切です。 2. 自宅の売却先と賃貸人が同じか リースバック運営会社の中には、不動産買取を行う会社と賃貸を行う会社が異なる場合があります。このような場合、ずっと住み続けたいと思っていても、賃貸の更新や再契約時にトラブルに発展する恐れがあります。 対策として、あらかじめ買主と賃貸人の確認をするとともに、賃貸借契約の種類や期間、買い戻しの条件などについても確認しておきましょう。 3. 契約期間中に家賃の値上げがないか リースバックでは、賃貸借契約を締結するため毎月家賃の支払いが発生します。賃貸借契約では、家賃の変更に関する条項が設けられているため、あらかじめ契約書にどのような記載があるか確認しましょう。基本的に家賃の値上げがされていないような条項となっていると、今後住み続けるうえで安心でしょう。 4. 自宅の買い戻しについて契約書で定めているか リースバックで売却するのは一時的で、将来的に自宅を買い戻したいと考えている場合は、売買契約時に買い戻しについての条件を契約書に明記しているかが大切です。口約束だけでは運営会社が応じず、買い戻しできる確証がないので、書面化に応じてくれる会社を選びましょう。 なお、買戻しに関する条件は、売買契約書上の特約や、売買予約契約などで定められています。 関連記事はこちらリースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバック利用の流れ リースバックを利用する主な流れは以下のとおりです。 相談・仮査定 物件調査 契約締結 売買決済・賃貸開始 1.相談・仮査定 リースバックを検討する時、まずはリースバック運営会社に仮査定を依頼します。仮査定では、固定資産税額や管理費、共益費を聞かれることもあるので、あらかじめ準備しておきましょう。 リースバック運営会社によって、回答までの時間は異なりますが、当日中に概算の売買価格と家賃を提示してもらえることもあります。 2.物件調査 仮査定結果を受けて手続きを進める場合には、物件の本調査に進みます。本調査では、リースバック運営会社の担当者や査定会社などが、物件に図面との違いがないかなどを確認します。 物件調査の結果を基に、取り扱いの可否や契約書上の売買価格と家賃等を決定します。物件の状態によっては、仮査定の結果と大きく異なる場合もあるので注意が必要です。また、リースバック運営会社によって、経済条件を調整できる可能性もあるので、相談してみるといいでしょう。 3.契約締結 契約条件の提示内容に問題がなければ不動産の売買契約や賃貸借契約、売買予約契約などを締結します。契約の締結前に、経済条件だけでなく賃貸借契約の種類や期間、買戻しの可否や金額等の条件を確認しましょう。 4.売買決済・賃貸開始 契約手続きが完了したら早ければ即日で売買決済が行われます。売買決済日と同日から賃貸契約が開始となり、家賃が発生します。家賃の支払い日や清算金などをあらかじめ確認しておきましょう。 関連記事はこちらリースバックの契約までの流れと必要書類、注意点を解説 リースバックのよくあるご質問 リースバックのよくあるご質問とその回答は、以下のとおりです。 住宅ローンが残っていてもリースバックを利用できますか? 住宅ローンが残っていても、リースバックを利用することは可能です。ただし、売却時に対象不動産に設定されている抵当権を抹消する必要があります。 家賃の支払いを安く抑えたいのですが、可能ですか? リースバックの家賃は、売却価格を基準に算出されますので、売却価格を抑えることで、家賃を下げられる可能性があります。 手元資金がほとんどないのですが、費用はかかりますか? リースバックは、不動産の売買代金から費用を清算することができるので、手元資金は不要です。諸費用については、運営会社にあらかじめ確認しておきましょう。 高齢で年金受給者なのですが、リースバックを利用できますか? 高齢者や年金受給者であっても、リースバックを利用できます。リースバックは、融資商品ではないので、年齢制限や収入の基準を設けられていないことが多いです。 関連記事はこちらリースバックのよくあるご相談7選 まとめ リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるので、「老後資金を確保したい」「住宅ローンの返済負担を減らしたい」という場合に活用できます。ただし、売却価格は市場価格より安くなり、ずっと住み続けられる保証はありません。契約してから後悔しないように、メリットやデメリットをよく理解したうえで、リースバックを利用するか検討しましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "住宅ローンが残っていてもリースバックを利用できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "住宅ローンが残っていても、リースバックを利用することは可能です。ただし、売却時に対象不動産に設定されている抵当権を抹消する必要があります。" } }, { "@type": "Question", "name": "家賃の支払いを安く抑えたいのですが、可能ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リースバックの家賃は、売却価格を基準に算出されますので、売却価格を抑えることで、家賃を下げられる可能性があります。" } }, { "@type": "Question", "name": "手元資金がほとんどないのですが、費用はかかりますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リースバックは、不動産の売買代金から費用を清算することができるので、手元資金は不要です。諸費用については、運営会社にあらかじめ確認しておきましょう。" } }, { "@type": "Question", "name": "高齢で年金受給者なのですが、リースバックを利用できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"高齢者や年金受給者であっても、リースバックを利用できます。リースバックは、融資商品ではないので、年齢制限や収入の基準を設けられていないことが多いです。" }} ] } ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む

  • コロナウイルスの影響で生活資金不足に!公的支援で足りないときは

    コロナウイルスの影響で生活資金不足に!公的支援で足りないときは

    新型コロナウイルスの影響で、家計に大きなダメージを受けた人も少なくないでしょう。国からの給付金や貸付制度などもあるものの、それでも足りない時はどうすればいいでしょうか。家計が立ち直るまでの資金繰りについて考えてみましょう。 困窮する前に中長期で計画を 5月26日に新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が解除されホッとした人も多いかもしれません。その間、失業や収入の減少、中には自分自身が感染症にかかるなど、家計に大きなダメージを受けた人も少なくないでしょう。しかし、新型コロナウイルス感染症の第二波などの影響から、家計への影響はさらに本格化してくるかもしれません。 とはいえ、まずは目先の家計の問題を解決する必要があります。家賃や住宅ローンなどの住居費から税金や社会保険料、公共料金や子どもの教育費まで、収入の減少によって支払いが難しいこともあるでしょう。その場合、国からの給付金や無利子の貸付を活用するほか、税金や社会保険料、公共料金の延納などが利用できる可能性もありますので、各地方自治体などに確認をしてみましょう。 支払いの中でも特に気を付けなければならないのは住宅ローンで、金融機関によっては、1度でも延滞をすると優遇金利の適用がなくなり、いきなり返済額がアップする可能性があります。支払いが難しい場合は、初回の延滞をする前に借り入れをしている金融機関に相談しましょう。 何とか目先の家計収支の悪化を乗り切ったあとは、半年から1年など少し長いスパンで家計の収支バランスを整えていきましょう。一度悪化した家計を立て直すためには、収入の安定と、計画的な返済で負債を減らしていくことが必要です。今ある公的支援がいつまでもあるとは限りませんので、本当の正念場は家計の正常化までの期間であることを念頭に置いておきましょう。 新型コロナウイルス感染症関連でもらえるお金 一般家庭を前提に、国からの給付金を確認しておきましょう。条件が合えばもらえるものもあります。 特別定額給付金 2020年4月27日の基準日に住民基本台帳に記録されている人に、1人10万円が給付されます。手続きの方法は、5月1日以降に自治体から届く書類に銀行口座などを記入して返送するか、マイナンバーカードがあれば「マイナポータル」からオンラインで手続きすることもできます。申請期限は申請受付開始日から3か月以内となっています。 子育て世帯への臨時特別給付金 新型コロナウイルス感染症の影響を受けている子育て世帯の生活支援として、児童手当を受給する世帯に臨時特別給付金として、該当する子ども1人につき1万円の一時金が給付されます。こちらは特に手続きなしで給付されます。 住居確保給付金 新型コロナウイルス感染症による離職・廃業から2年以内または休業等により収入が減少し住居を失うおそれがある人は、原則3カ月間(求職活動等を誠実に行っている場合は最長9ヵ月まで延長可)、家賃相当額が支給されます。支給額は、東京都特別区の場合、単身世帯53,700円、2人世帯64,000円、3人世帯69,800円です。詳細は住んでいる自治体の自立相談支援機関へ相談してみましょう。※1 ベビーシッター利用者支援事業 新型コロナウイルス感染症で小学校等が臨時休業等になった場合に、保護者が仕事を休めず、放課後児童クラブ等も利用できない場合に、ベビーシッターを利用した際の利用料金が補助されます。割引額は対象児童×2,200円/1回あたり(多胎児2人:9,000円、多胎児3人以上:18,000円)で、「割引券は、1日(回)対象児童1人につき1枚」、「1か月に1家庭24枚まで」などの条件があります。※2 小学校休業等対応助成金 小学校等の臨時休業等に伴い、小学校等に通う子どもの世話が必要な保護者は、正規・非正規雇用を問わず、賃金全額支給の有給休暇が取れます(国が事業者を助成)。また、2月27日から6月30日までの期間で、委託を受けて個人で仕事をする保護者についても、就業できなかった日について、1日4,100円の支給が受けられます(学校が開校予定でなかった日等は除きます)。※ ※支援の対象期間を9月30日までに延長するとともに、4月1日以降の就業できなかった日について支給額を1日当たり7,500円に引き上げる予定となっています。※3 学生支援緊急給付金 大学・短大・高専・専門学校生等に対して1人当たり20万円(住民税非課税世帯)または10万円(その他の世帯)が給付されます。 要件として家庭から自立してアルバイト等により学費を賄っていることや、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で その収入が大幅に減少していることなどを満たすことを求めていますが、最終的には申請内容を踏まえて大学等において判断しています。※4 大学の給付型・貸与型奨学金の緊急採用 新型コロナウイルス感染症の影響で保護者の家計が急変し、「修学支援新制度」(授業料等減免・給付型奨学金)や貸与型の奨学金を利用することになった場合、随時申請することができます。すでに貸与型を利用している学生は増額の申請も可能です。※5 本当に苦しい場合は、最後のセーフティネットとして生活保護もあります。支援制度の一部を紹介しましたが、ほかにも自身が受けることのできる支援制度がないか確認をしてみましょう。 無利子で利用できる貸付や猶予など 給付金のほかにも新型コロナウイルスの影響により生活が厳しくなった場合、無利子で利用できる借入もあります。 緊急小口資金・総合支援資金(生活福祉資金) 社会福祉協議会では、新型コロナウイルス感染症の影響による休業・失業、収入減少で生活資金不足になった人に無利子の貸付を行っています(保証人不要)。 「緊急小口資金」は主に休業した人が対象で、学校等の休業、個人事業主等の特例の場合で20万円以内、その他の場合で10万円以内の借入を行うことができます。据置は1年以内、償還は2年以内となっています。 「総合支援資金」(生活福祉資金)は、主に失業した人が対象で、生活再建までに必要な生活費の借入を行うことが出来ますが、収入が減少していれば、失業状態になくても対象となります。2人以上世帯は月20万円以内、単身世帯は月15万円以内で、原則3カ月以内の借入を行うことが出来ます。据置は1年以内、償還は10年以内となっています。※6 生命保険の契約者貸付の特別金利 加入している生命保険(貯蓄型)の解約返戻金の一定割合まで貸付を受けることができるのが、契約者貸付制度です。手続きをすれば即座に借りられるため、生活費が不足するときは大きな助けになります。この契約者貸付の利率を一定期間0%にする金利支援を行う保険会社が相次ぎました。残念ながら、多くが5月末で特別金利の申し込みは終了しています。 社会保険料等の猶予 新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した場合、税金については税務署に申請すれば、1年間は納税の猶予が認められます(猶予期間中の延滞税も免除)。社会保険料や公共料金等の支払についても、手続きをすることで猶予等が認められる場合があります。 さらに借入れを考えるならできるだけ低金利のものを! 前述のように、目先の危機を乗り切った後に、家計の正常化を図っていく時期が来ます。収入が以前のように戻ればいいですが、そうでなければ家計を縮小しつつ、制度を利用した借入や、延納した税金等を返済していかなければなりません。 返済の過程で、どうしても厳しいときは新たな借入が必要な場合もあるかもしれません。しかし、その頃に公的な貸付が利用できなければ、金融機関からの借入で何とか乗り切っていかなくてはなりません。その時に注意したいのは、安易に金利の高いカードローンやキャッシングなどを利用するのではなく、必要な金額と商品ごとの融資条件を比較しながら自分に合った借入を選択することです。 家計再建が目的ですので、新規で借りるならできるだけ低金利で借りる選択をしましょう。一般的に、無担保よりも有担保の方が低金利で借りることが出来ます。そして、有担保ローンの代表に不動産担保ローンがあります。 不動産担保ローンでは、不動産が担保であるため、借入限度額も大きく、借入期間も長期にすることも可能なことが多いです。また、無担保に比べて金利は低金利であることが多く、資金使途が幅広いのも特徴の一つです。金融機関によっては、担保とする不動産の名義が配偶者や親族であっても利用できる場合があり、住宅ローンが残っている不動産でも、金融機関によっては利用できる場合があります。 無担保ローンに比べて条件がいいことも多いですが、不動産を担保としているため、返済が一定以上滞った場合、競売などで処分されるリスクもあります。最後に不動産担保ローンを紹介しましたが、融資を受ける場合はムリのない家計再建プランをたて、その中でムリのない借入にとどめることも大事です! 出典) ※1 自立相談支援機関窓口情報【PDF】 ※2 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における「ベビーシッター派遣事業」の令和4年度の取扱いについて ※3 新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け) ※4 「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』申請の手引き(学生・生徒用)【PDF】 ※5 新型コロナウイルス感染症の影響で学費等支援が必要になった学生のみなさんへ【PDF】 ※6 厚生労働省HP 「生活福祉資金貸付制度」 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 家賃が払えない?!そんなときの住居確保給付金が受給資格を緩和! 離職や廃業によって、家賃の支払いに困ったとき、自治体に申請すると住居確保給付金を受給できる可能性があります。住居確保給付金は失業者向けの制度でしたが、2020年4月20日から受給資格が緩和さ...記事を読む 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として借り入れを行うローン商品のことです。不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べてまとまった金額を低金利で借りることができます。 一方...記事を読む