住まいとお金の知恵袋 一覧(公開日順)

  • 用途から見た土地の種類

    「用途」からみた土地の種類

    不動産は、「土地」と土地の上に建っている「建物」から構成されています。そして、土地にはさまざまな分類方法によって定義される「種類」があります。不動産を売却したり、ローンの担保とする場合、土地の価値(=価格)を算定することになりますが、その際に重要となるのは「用途的地域」という分類による種類です。この記事では、この用途的地域について説明をしていきます。 登記簿に記載されている「地目」とは? 土地の種類と聞いて、どんなものが頭に浮かびますか?「住宅地」や「農業地」、あるいは建物などが何もない地面だけの「更地」(さらち)といったものでしょうか。このように、一般的には、土地は利用されている状況によっていろいろな種類に分かれます。 ただし、土地には様々な法律や規制が存在し、それぞれの法律や規制によって利用状況の定義が異なるため、法律や規制の数と同じだけの種類があるといえます。その結果、名称は同じでも内容は微妙に違う、といったことがあり、分かりづらくなっているのです。 最も基本的な種類は、登記簿に記載されている「地目」(ちもく)でしょう。利用状況によって分類したもので、宅地・田・畑・牧場・原野・塩田・鉱泉地・池沼・山林・墓地・境内地・運河用地・水道用地・用悪水路・ため池・堤・井溝(せいこう)・保安林・公衆用道路・公園・鉄道用地・学校用地・雑種地、と合計23種類もあります。 地目は登記事項ですので、不動産登記法によって定義されている土地の種類といえます。なお、登記簿の地目は「畑」であったとしても、現在は住宅になっているなど、地目と現在の利用状況が異なっている場合は少なくありません。その場合、固定資産税などの不動産にかかる税金は、地目ではなく現在の利用状況を基にして課税されます。 土地の現況を表しているのが「用途的地域」 そこで、「現在の利用状況はどうなっているのか」といった観点から分類しているのが用途的地域になります。用途的地域は、大きく分けて「宅地地域」「農地地域」「林地地域」の3種類があります。保有している土地の周辺地域が、建物が建てられている「宅地」がほとんどであれば宅地地域となります。同じく、田んぼや畑が多ければ農地地域となります。 次に、宅地地域は、「住宅地域」「商業地域」「工業地域」「その他」の4つに分類されます。この分類は、建っている建物の種類によります。住宅が多ければ住宅地域、個人商店やスーパー、雑居ビルなどが多ければ商業地域、町工場や工場が多ければ工業地域、といった具合です。ここからさらに、住宅地域にあるのが「住宅地」、商業地域にあるのが「商業地」、工業地域にあるのが「工業地」となり、これが土地の種類となります。 ここで注意点があります。用途的地域は、都市計画法で定められている「用途地域」とは違うことです。都市計画法上の用途地域は、「第1種低層住居専用地域」や「近隣商業地域」、「準工業地域」といった区分をしており、それぞれ、土地の広さや建物の高さ、容積率などに明確な基準があります。用途的地域と用途地域は名称が酷似しているため、混同されることが多く、注意が必要です。 用途地域と比較すると、用途的地域には明確な数値による基準はありませんが、おもに以下の4つの条件が判断材料となります。 自然的条件…地理的な位置、地質や地盤などの自然環境 社会的条件…人口の状態、都市インフラや公共施設の整備状況など 経済的条件…物価や賃金の状態、雇用や消費・投資といった経済および金融活動の状況 行政的条件…土地利用や建築物に関する規制、不動産取引に関する規制など この4つの条件を総合的に考慮して、住宅地なのか商業地なのか、あるいは工業地なのかを判断することになります。 「用途的地域」の有用性について では、明確な基準がない用途的地域の分類には、どんな意味があるのでしょうか。例えば、住宅地の中に、ポツンと小さな畑がある状況をイメージしてみましょう。確かに、現在の土地の利用状況は農地かもしれません。しかし、売却するとなったときには、土地の価値は農地として算定するよりも、住宅地として算定するほうが実態に近いといえます(住宅地として算定する方が土地の価値は高くなります)。また、商業地の中に一軒家が建っているケースもよくありますが、この一軒家の土地は、住宅地としてではなく、商業地として価値を算定するのが相応しいといえます。 このように、土地の価値を算定するときは、単に登記簿上の地目や、町名などの行政区分上の地域をみるのではなく、現在の土地の利用状況を含めた周辺地域の状況全体を考慮することが不可欠といえます。売却や不動産担保ローンの融資にあたっては、まず用途的地域を把握し、その地域内にある土地の公示価格や取引の実際のケースを基にして、土地の評価をすることが大事です。そうした総合的な判断をする際に、用途的地域による分類は有効になるのです。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 権利関係からみた不動産の分類について 不動産担保の基礎知識(3)では、土地の種類には「用途的地域」という分類があることを解説しました。土地の価値を評価するには、その土地が何に使われているかという「現況」(現在の状況)に加え、周辺...記事を読む

    2019.04.16用語
  • 不動産の「抵当権」とは

    抵当権とは?根抵当権との違いや設定・抹消登記について解説

    住宅ローンなどの不動産を担保にするローンを組むためには、担保不動産に抵当権を設定しなければなりません。不動産を担保にローンを組む前に、抵当権がどういった権利かを正しく理解しておきましょう。 この記事では、抵当権と、混同しやすい根抵当権も含めて解説します。 不動産の抵当権とは 抵当権とは、金融機関(=債権者)が融資をする際、ローンを借り入れる人(=債務者)が所有する不動産に設定をする権利のことです。抵当権を設定することで、債務者がローンの返済ができなくなったときに、債権者が不動産を競売にかけて、売却代金から優先的に返済を受けられます。。なお、法律上では、お金を借り入れる債務者が「抵当権設定者」と呼ばれ、お金を貸す債権者が「抵当権者」と呼ばれます。 抵当権が設定されても、所有者はその不動産を使用することができます。住居として使っていれば住み続けることができ、賃貸物件として使っていれば、家賃収入などを得ることができます。 抵当権が実行されるとどうなる? 住宅ローンなど、不動産を担保としているローンの返済を滞納してしまうと、抵当権が実行され、競売によって担保不動産を強制的に売却されてしまいます。売却資金で住宅ローンの残債を弁済することになりますが、競売による売却価格(落札価格)は、基本的に市場価格を下回るため、最悪の場合は債務が残る恐れもあります。 競売を避ける方法として、金融機関と相談のうえで担保不動産を売却する「任意売却」があります。任意売却であれば基本的に通常の不動産取引と同じような売買が可能なので、市場価格に近い価格で売却できる可能性があります。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 抵当権の設定・抹消登記 抵当権の設定と抹消は、どちらも法務局で行います。それぞれ順に解説します。 抵当権の設定登記 抵当権の設定手続きは法務局が行っており、不動産の登記簿に抵当権を登記することで設定が完了します。登記すべき内容には、主に以下のようなものがあります。 債権額 債権の内容 債権者・債務者 利息 損害金 また、登記をするには「登録免許税」がかかり、その税額は融資額に0.4%の税率を掛けた額になります。融資額が1,000万円であれば登録免許税は4万円になる計算です。なお、このほかの費用としては、「抵当権設定契約書」に貼る収入印紙代や、手続きを代行する司法書士に支払う報酬などがあります。 抵当権の抹消登記 ローンの返済が終了すれば、金融機関が有する抵当権の権利は無くなります。しかし、抵当権を抹消する手続きをとらないと、登記簿には抵当権が記載されたままになります。抵当権が残ったままだと、その不動産を売却するときなど、支障が生じる恐れがあるので、速やかに抹消の手続きを取った方がよいでしょう。 抵当権の抹消は、法律上の抵当権設定者である債務者が行います。抹消の手続きについても、法務局で登記簿に「抹消したこと」を登記することが必要です。この手続きにも登録免許税がかかり、税額は不動産1件につき1,000円です。 したがって、土地と建物の抵当権を抹消するには合計で2,000円になります。なお、手続きは、司法書士に代行を依頼することが一般的ですが、抹消手続きは抵当権の設定手続きに比べると簡単なので、自分で行うこともできるでしょう。 関連記事はこちら住宅ローン完済後の手続きについて解説 根抵当権との違い 根抵当権(「ねていとうけん」と読みます)は抵当権の一種です。債務者がローンの返済ができなくなったときに、担保不動産を競売にかけて、その売却代金から優先的に返済を受けられるところは、抵当権と同じです。一方で、抵当権は〝特定〟の債権にのみ有効であるのに対して、根抵当権は〝不特定〟の債権にも有効になる点が異なります。 抵当権は1つのローン契約にのみ有効なので、そのローンが完済されれば権利は消滅します。一方、根抵当権に基づいた契約は、あらかじめ融資をする金額の上限を決めておいて、その範囲内で〝何回でも〟融資ができるようになります。したがって、根抵当権が設定されれば、1つのローンが終了しても根抵当権は消滅せず、権利は残ったままになります。 不動産担保ローンのように、複数回借りる可能性のあるローンについては、根抵当権を設定しておくことで、融資の度に登記の手続きをして抵当権を設定する、ということが避けられます。これは手間と費用(登録免許税や収入印紙代、司法書士への報酬など)の省略につながります。 「根抵当権」では「極度額」が設定される 実際の手続きなどは、抵当権とほぼ同じと考えてよいのですが、登記簿に登記する内容に違いがあります。根抵当権の場合、主に登記するのは以下の三点で、この中でも極度額が重要です。 極度額 債権の範囲 債務者・債権者等 根抵当権の極度額とは、根抵当権を設定するときに定められる担保の限度額です。あらかじめ融資額の限度を決めておいて、その範囲内なら、何回でも融資ができます。例えば、極度額が3,000万円であれば、最初に1,000万円を借り、その返済が終了する前に、追加で1,000万円を借りる、といったことが可能です。その追加で融資を受ける際、わざわざ手間と費用をかけて法務局で手続きをする必要はありません。 なお、根抵当権は、債務者と債権者の合意があれば抹消をすることができます。事業の運転資金を借り入れる場合、追加融資を受けることは珍しくありません。そうしたケースでは、融資を受ける側にとって、根抵当権は使い勝手がよいといえるでしょう。 抵当権に関するよくある質問 抵当権付きの不動産は相続できる? そもそも、団体信用生命保険(以下、団信)に加入していれば、債務者が死亡したときに支払われる保険金で残債が完済となるため、相続時点で抵当権が抹消されます。一方で、団信に加入していなかった場合は、抵当権付きの不動産を相続することになります。 抵当権付きの不動産を相続する場合、ローンの返済義務を相続人が引き継ぎます。また、相続の際には、通常の不動産と同じように相続税が課税されます。このとき、抵当権が設定されているからといって、不動産自体の相続税評価額が下がる、といったことはありませんが、相続税額を計算する際に、相続をする財産の全体から残債分を差し引くことになります。 抵当権付きの不動産は売却できる? 抵当権付きの不動産であっても、売却することは可能です。その場合、売主である債務者が、売却によって得た代金でローンを完済し、抵当権の抹消手続きを行うことになります。 抵当権はどうやって確認する? 抵当権は、登記簿謄本で確認できます。不動産登記の情報が記載されている不動産登記簿謄本のうち、権利部(乙区)というところに抵当権の内容が記載されています。詳細は以下の記事で解説しています。 関連記事はこちら登記簿謄本(登記事項証明書)とは?取得方法や記載内容を解説 まとめ 抵当権を実行されると、担保としている不動産を手放さなければならなくなります。不動産を担保にローンを組む場合は、無理のない返済が可能かを確認したうえで契約を進めるようにしましょう。また、抵当権の設定登記や抹消登記は、必要書類の準備など手間がかかります。債権者である金融機関や専門家に相談しながら、正確に手続きを進めるようにしましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 「用途」からみた土地の種類 不動産は、「土地」と土地の上に建っている「建物」から構成されています。そして、土地にはさまざまな分類方法によって定義される「種類」があります。不動産を売却したり、ローンの担保とする場合、土地...記事を読む

    2019.04.09用語
  • 融資における担保の種類とは?

    保証人・連帯保証人・連帯債務者の違いとは?融資における担保の種類を解説

    ローンは、分類の方法によってさまざまな種類に分かれます。その分類方法のひとつに、融資をする際に担保を必要とするかどうか、というものがあります。文字どおり、担保が不要なものは「無担保ローン」で、担保が必要なものが「有担保ローン」になります。有担保ローンの代表的なものは不動産担保ローンですが、担保となるものは不動産だけではありません。この記事では、担保にはどのようなものがあるのかについて、解説をしていきます。 「人的担保」と「物的担保」 融資における担保を大きく分けると「人的担保」と「物的担保」があります。人的担保とは、融資を受けた人(=債務者)が何らかの理由で返済ができなくなったときに、債務者以外の人が債務者に代わって返済をするという契約を結ぶことです。シンプルにいうと、保証人などを付けておくこと、となります。具体的な人的担保は、「保証人」「連帯保証人」「連帯債務」の3つに分かれ、法律上には明確な違いが存在します。 保証人 保証人は、債務者が返済できなくなった場合に代わって返済をする義務を負いますが、融資をした金融機関(=債権者)が返済を請求してきたときに、「まずは債務者に請求をするように」という主張をする権利があります。この権利は法律上、「催告の抗弁」といいます。また、債務者が返済できる資力があるにもかかわらず返済を拒否したときは、「債務者の財産を強制執行せよ」と債権者に主張できます。この権利は「検索の抗弁」と呼ばれます。さらに、保証人が複数いる場合、保証人はその人数で割った金額のみを返済する義務を負うことになります。 連帯保証人 次に連帯保証人は、保証人の権利である「催告の抗弁」や「検索の抗弁」という権利はありません。そして、連帯保証人すべてが全額を返済する義務があります(ただし連帯保証人の返済額の合計が債務額を超えることはありません)。つまり、債務者と同じ義務を負う保証であり、保証人よりも重い責任が課せられることになります。 連帯債務 3番目の連帯債務は、複数の債務者で同一の債務を引き受けることです。簡単にいうと、債務者自体が複数いる、ということです。そのため、人的担保としては最も重いといえるでしょう。具体的には、夫婦で借りられる住宅ローンを夫婦で借りた場合、その夫婦は連帯債務者になります。債権者は、連帯債務者に対しては、別々に債務の返済を請求することができます。 「物的担保」としての不動産は「抵当権」となる 物的担保は、〝人〟ではなく〝物〟を担保とすることで、法律上は、他の債権者の存在を考えることなく、担保として提供された物あるいは財産権から優先的に債権を回収できる権利のことです。ただし、これは法律上の広い意味ですので、以下、金融機関の融資における物的担保に絞って述べていきます。 抵当権 まず、不動産は物的担保の代表例ですが、融資をする際には「抵当権」が設定されて物的担保となります。抵当権とは、債務者から担保として提供された不動産を、債務者に利用させながら、債務が履行されない場合にその不動産を売却して、代金から債権を回収する権利のことです(不動産担保については「不動産担保の基礎知識」の(2)以降で詳しく解説する予定です)。 不動産以外の「物的担保」 有価証券 不動産以外の担保としてよく使われるものに、有価証券があります。有価証券とは、財産権を表す証券のことで、具体的には、国債や社債などの債券、株式、手形、小切手などです。有価証券担保で留意すべき点は、有価証券の種類によって担保としての評価が変わってくることです。例えば、国債は、国が発行している債券なので信用力や流動性が高いといえます。そのため、社債や株式、手形よりも担保としての価値が高く、評価額も高くなります。また、同じ株式であっても、日常的に取引されていて流動性が高い上場株式の方が、取引されることが少ない未上場株式よりも、担保の価値が高くなります。なお、融資において有価証券を担保とする場合、有価証券は債権者が預かるのが一般的です。 売掛債権 会社であれば、「売掛債権」を担保にするケースもあります。売掛債権とは、商品やサービスを販売した会社が顧客から代金の支払いを受ける権利のことです。企業同士の取引は、商品やサービスの販売をした後に、納品をし、請求書を発行して、代金を受け取るという流れが一般的です。つまり、代金を受け取るまでには1~2か月かかることが多く、代金を受け取るまでの期間、商品やサービスを販売した側は売掛債権を保有することになります。この売掛債権を担保として融資を受けるわけです。実際に売掛債権を担保とするときには、代金の支払いを受けることになっている「売掛先」に、担保にすることを通知する場合と通知しない場合に分かれますが、通知をしないケースが多いようです。 その他の担保 このほか、普通預金や定期預金を担保とする「預金担保」や、ゴルフ会員権を担保にする「ゴルフ会員権担保」、会社の商品を担保とする「商品担保」などがあります(商品担保は「動産担保」とも呼ばれます)。ただ、いずれも物的担保としては、一般的な存在ではなく、担保として取り扱っている金融機関は限られているのが現状です。しかし、有価証券や売掛債権を含めて、借り入れをする人の条件やニーズに合致すれば、有意義なローンを組める可能性があります。該当する場合、検討する価値は十分にあるといえるでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 抵当権とは?根抵当権との違いや設定・抹消登記について解説 住宅ローンなどの不動産を担保にするローンを組むためには、担保不動産に抵当権を設定しなければなりません。不動産を担保にローンを組む前に、抵当権がどういった権利かを正しく理解しておきましょう。 ...記事を読む

    2019.04.02用語
  • 不動産担保ローンの金利の実態をさぐる

    不動産担保ローンの金利の実態をさぐる

    不動産担保ローンに限らず、金融機関が表示しているローンの金利は、「年○○%~△△%」といった感じで上限と下限を表示していることがほとんどです。そのため、ローンの金利を比較しようとしても、この表示だけで比べることは困難です。実際に借り入れるローンの金利は、融資の審査を通過した後に提示されることになるからです。 時間に余裕があれば、複数の金融機関に融資の申し込みをし、審査後に提示された金利を比較して、いちばん有利なローンを選ぶことができるでしょう。しかし、現実にはなかなかそうはいきません。申し込みごとに必要書類を揃えたりするのは、結構面倒なものです。金利を比較するために、5社も6社も申し込むという人は、かなり少ないと思われます。ほとんどの人は、もっとも早く審査を通過して、ローンが借りられることが決まった金融機関を選んでいるのではないでしょうか。 実際に契約されたローン金利がわかる「平均約定金利」 >不動産担保ローンの概要についてはこちら ただ、やはり金利が高いのか低いのかは、気になるところ。もし平均的な金利の水準がわかれば、それと比較することで、少なくとも金利が高いのか低いのかの目安くらいはつくことになります。実は、その平均的な水準は公表されています。日本貸金業協会は、各種の資料を公表しており、そこには平均的な金利水準も含まれているのです。 日本貸金業協会とは、「貸金業法」という法律に基づいて貸金業を営んでいる金融機関が加盟している業界団体です。2007年12月に、「貸金業法第26条第2項」の規定に基づき、内閣総理大臣の認可を受けて設立されました。参加しているのは、融資を行う、銀行以外の金融機関です。 平均約定金利 前述のように、この日本貸金業協会が発表する統計データの中に、「約定金利」という項目があります。約定金利とは、簡単にいうと、実際に契約されたローンの金利のことで、日本貸金業協会のホームページには、「月末平均約定金利」として、協会に加盟する金融機関が行った、月ごとのローンの金利の平均値を掲載しているのです。早速、そのデータをみてみましょう。以下は、2019年3月上旬に閲覧することができる最新のもので、2018年12月時点のデータです。 ○月末平均約定金利 消費者向け有担保貸付  6.08% 事業者向け有担保貸付  3.66% 消費者向けというのは借りる人が個人で、事業者向けというのは借り手が法人です。また、有担保貸付とは担保があるローンのことで、住宅ローンを除いたものですので、実質的に、不動産担保ローンのデータと考えて問題はありません。このデータは、2018年12月に行われたローンの平均値が個人向け6.08%、法人向け3.66%だった、ということを表しています。個人と法人で、「意外と差があるな」と思った人も少なくないかもしれません。 現在、不動産担保ローンを申し込んでいて、金融機関からローンの金利を提示された人がいれば(あるいはすでに返済を始めている人は)、ローン金利が平均よりも高いか低いのかは、この数値で判断ができることになります。 「平均約定金利」はひとつの目安 ただし、この平均約定金利はあくまで全体の平均値です。すでに、何度か借り入れをしていて、ローンの実績がある、つまり信用力が高い個人や法人が含まれているわけです。新規で不動産担保ローンを借りるときは、この平均約定金利よりも一般的には〝高め〟になるといえるでしょう。 また、貸金業者全体の平均約定金利なので、さまざまな業者が含まれている点にも注意が必要です。平均値を上回っているからといって、必ずしも〝高めの金利〟とはいえません。一見、高めの金利にみえても、同じような業態の金融機関の中では、低い方の金利になっている、といったケースもあり得ます。 業態別の平均約定金利 ちなみに、この日本貸金業協会の統計データには、融資をする金融機関の業態ごとのデータも掲載されています。その業態の名称は、「消費者金融」「事業者金融」「クレジット等」の3種類となっていますが、それぞれの名称が一般的に表す業態とはちょっとズレています。というのも、日本貸金業協会の分類は、金融庁が定めている分類に沿ったものになっているからです。金融庁の分類はかなり複雑になっているため、一般的に用いられている名称とは、そのカバーする業態が違っています。 以下、その業態別の平均約定金利を記しますので、上記の点を考慮に入れ、あくまで参考としてご覧ください。 ○消費者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融  5.86%   事業者金融  6.76%  クレジット等 5.66%  ○事業者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融  3.98%   事業者金融  4.10%  クレジット等 1.59%  消費者向け、事業者向けともに、消費者金融の金利が事業者金融を下回っていることに、違和感を覚える人もいると思われます。事業者金融の金利の方が高い理由としては、ローンを利用する人や法人が、初回の借り入れであっても借入金額が多額になる場合が比較的多いこと、さらに、起業したばかりの法人が含まれていること、などが考えられます。いずれも、銀行など他業態の金融機関では貸し出しが難しいケースといえるでしょう。その分、金利が高めに設定されることになります。 なお、今回紹介したデータは、日本貸金業協会のホームページにある「月次統計資料」のコーナーで閲覧できます。興味のある方は、一度訪れてみてはどうでしょうか。 不動産担保ローンならSBIエステートファイナンス 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ ローン金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限が表示されることがほとんどです。このような表示は、個別のローンごとに適用される金利が変わることを表しています。当然、ローンを借り入れ...記事を読む 不動産担保ローンの「仮審査」とは? 不動産担保ローンを提供している金融機関のホームページには、よく「仮審査」や「事前審査」という言葉が使われています(以後この記事では「仮審査」と呼称します)。住宅ローンを利用したことがある人な...記事を読む

  • 金利と利子の関係と計算方法

    住宅ローンの返済額を計算する方法とは?金利と利子の違いを解説

    住宅ローンを借りるとき、「金利が低いかどうか」が気になる人は多いと思います。一方で、その金利を用いてどのように住宅ローンの返済額が決まるのかまで正しく理解できている人は、意外に少ないかもしれません。この記事では、住宅ローンを組む前に知っておきたい金利と利子の関係と、住宅ローンの返済額を計算する方法について解説します。 住宅ローンの返済額を計算する方法 住宅ローンの返済額を計算する際、返済の方式によって計算方法が変わります。 住宅ローンの返済方法は「分割返済」と「一括返済」の2種類に分かれます。分割返済は、元金と利子を複数回に分けて返済する方法です。対して一括返済は、残元金を前倒しで一度に返済する方法です。 住宅ローンの返済方式で主流になっているのは、「元利均等返済」と「元金均等返済」です。どちらも分割返済の一種ですが、両者の返済額の計算方法も異なります。 「金利」と「利子」の違い 住宅ローンの返済額を計算するうえで重要な用語が、「金利」と「利子」です。住宅ローンの返済額の計算方法を解説する前に、金利と利子の違いを正確に把握しておきましょう。 金利と利子は同じものとして扱われがちですが、別物です。「金利」とは利子を算出するときの基本となるもので、通常は元金に対する「1年間の利子の割合」を示し、「%」で表します。一方で、「利子」は金利から算出された「実際に支払う額」を表します。 元利均等返済における住宅ローンの返済額 まずは元利均等返済における住宅ローンの返済額の計算について解説します。 元利均等返済の特徴と毎月の返済額 元利均等返済は、毎月の返済額が一定であるという特徴があり、毎月の返済額を算出する計算は以下のとおりです。 難解な計算式に見えるかもしれませんが、覚える必要はありません。実際に毎月の返済額を調べたい時は、金融機関のホームページで用意されている返済シミュレーションを利用すれば、すぐに算出できます。 >SBIエステートファイナンス「返済シミュレーション」 元利均等返済における利子の計算事例 ここでは、120万円を金利6%、1年間で借りた場合の、利子の変化を見ていきましょう。まず、毎月の返済額を計算すると、103,280円と算出できます。元利均等返済では、返済期間中の毎月の返済額は変わりませんが、元金と利子の内訳は変化します。その変化を表したものが下図となります。 最初の1か月目の内訳をみると、元金分の支払いは97,280円、利子分の支払いは6,000円です。これは、金利6%の1か月分の金利を120万円に適用したときの利子です。 次に2か月目の内訳をみると、元金分の支払いは97,766円、利子分の支払いは5,514円です。1か月目の内訳と比較して、元金の支払いが増え、利子の支払いが減っていることに気づくでしょう。 これは2か月目の金利の対象となる借入残高が減ったことが理由です。元利均等返済は、返済が進むにつれて借入残高と毎月支払う利子が減り、返済額を一定にするために毎月支払う元金が増える仕組みです。 元金均等返済における住宅ローンの返済額 続いて、元金均等返済における住宅ローンの返済額の計算について解説します。 元金均等返済の特徴と毎月の返済額 元金均等返済は、毎月の返済額のうち、元金分のみが一定であるという特徴があります。毎月支払う元金は「借入金額/返済回数」で簡単に計算できます。対して毎月支払う利子は、「借入残高×月利」で計算できます。元金均等返済は、毎月一定の元金を支払うため、毎月の借入残高の減少に伴って、毎月の支払い利子も少しずつ減少していくことになります。 元金均等返済における利子の計算事例 ここでは、元利均等返済の時と同じ、120万円を金利6%、1年間で借りた場合の、利子の変化を見ていきましょう。まずは毎月の返済額を調べます。計算すると、毎月の返済額は100,000円と算出できます。元金均等返済では、返済期間中に支払う元金は変わりませんが、支払う利子は減少していきます。その変化を表したものが下図となります。 最初の1か月目の内訳をみると、元金分の支払いは100,000円、利子分の支払いは6,000円です。これは、金利6%の1か月分の金利を120万円に適用したときの利子です。 次に2か月目の内訳をみると、元金分の支払いは100,000円、利子分の支払いは5,500円です。1か月目の内訳と比較して、利子の支払いだけが減っていることに気づくでしょう。 これは、元利均等返済と同様に、2か月目の金利の対象となる借入残高が減ったことが理由です。一方で、元利均等返済と異なるのは、返済が進んでも毎月支払う元金は変わらない点です。元金均等返済は、借入残高と毎月支払う利子が減ることで、毎月の返済額が減少していく仕組みです。 一括返済における住宅ローンの返済額 最後に、一括返済における住宅ローンの返済額についても紹介します。決められた返済期日より前に住宅ローンを繰上げ返済する場合、前回の利払い日から繰上げ返済日までの経過日数に対する利子を支払うことになります。 一括返済における利子の計算事例 これまでと同様に、120万円を金利6%で借りた事例を見ていきましょう。なお、今回の事例では、経過日数を10日として計算します。支払い利子を計算するにあたり、まず金利の単位を揃えなければなりません。金利は「1年間の利子の割合」、すなわち「365日間の利子の割合」ということなので、今回の事例では、6%の10日/365日に120万円を掛け合わせて計算できます。ちなみに計算すると約1,973円となります。 利子のみ毎月支払う場合の計算事例 住宅ローンの中には、リ・バース60などの毎月の返済が利子のみである商品が存在します。この場合も、繰上げ返済と同様の方法で計算することができます。120万円を金利6%で借りている場合、1か月を30日とすると、6%の30日/365日に120万円を掛け合わせて計算できます。ちなみに計算すると約5,918円となります。 まとめ 「120万円を金利6%で借りる」、そのような時、多くの人は利子が72,000円と考えるかもしれません。しかし、返済方法や返済期間によって、実際に発生する利子が異なることをこの記事で理解できたと思います。住宅ローンの返済額を正しく計算するには、この金利と利子の関係を理解しておくことが大切です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 ローンの適用金利はどうやって決まる? 金融機関のホームページをみると、カードローンの金利について「年○○%~△△%」といった表示をよく見かけます。カードローンに限らず、ローン金利はこのように〝幅〟を持った表示が一般的です。 この...記事を読む

    2019.03.19ローン全般
  • 変動型の金利はどう決まる?

    変動型の金利はどう決まる?

    ローン商品の金利タイプには、大きく分けて3種類あることはご存じでしょうか。その3種類とは「固定型」「変動型」「固定期間選択型」です。住宅ローンを利用する時など、昨今の低金利環境下では、「変動型」を選択する人も多いでしょう。一方で、「変動型」の金利がどのように決定されるのか、正確に理解している人は少ないかもしれません。 この記事では、「変動型」の金利がどう決まるのか解説します。 ローン商品の金利タイプ まずは、ローン商品の金利タイプを簡単に紹介します。前述のとおり、ローン商品の金利タイプは、「固定型」「変動型」「固定期間選択型」の3種類に大別されます。固定型は、ローンの返済が終了するまで、当初の金利が変わらない商品です。変動型は、一定期間ごとに、金利が見直される商品です。固定期間選択型は、一定期間の固定金利を経た後に、変動金利に移行する商品です。 金利タイプは金融機関によって異なる メガバンクが提供する住宅ローンの場合など、前述の金利タイプがすべて用意されていることが一般的と感じるかもしれません。しかし、提供している金融機関や、ローン商品によっては、必ずしもそうとは限りません。 たとえば、ローン商品が不動産担保ローンの場合、「固定型」あるいは「変動型」のどちらか、ということもあります。また、短期ローンの場合は固定型、長期ローンの場合は変動型、というように返済期間によって、金利タイプが変わることもあります。 変動型の金利は短期プライムレートが基準 ローン商品や金利タイプにかかわらず、金利は審査により決定されます。一方で、固定型と変動型には違いがあります。それが「短期プライムレート」です。この短期プライムレートは変動型の金利における基準となります。 短期プライムレートとは、「最も信用力が高い企業向けの短期貸出に適用する最優遇金利」のことで、銀行が企業に対して融資をするときの基準となる金利です。なお、「長期プライムレート」も存在します。長期プライムレートも短期プライムレートと同様に、最優遇金利を指しますが、「期間」の点で異なります。1年未満の期間の貸出が短期、1年以上の期間の貸出が長期プライムレートと呼ばれます。 通常、銀行は企業向けの融資を行う際、短期プライムレートを基準として、融資先企業の信用力に応じて金利を上乗せします。この方式は銀行だけでなく、その他の金融機関でも広く用いられており、個人の変動型の住宅ローンにも使われています。 短期プライムレートはどう決まる? 短期プライムレートは、2023年8月時点では年1.475%に設定されています。これは、メガバンクが公表しているもので、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行のいずれも同率です。実際の融資では、この短期プライムレートに、企業の信用力に応じた金利が上乗せされることとなります。 短期プライムレートの設定と背景 本来、短期プライムレートは金融市場の動向によって、毎月変動します。そして、短期プライムレートに連動する変動型のローンでは、あらかじめ決められたタイミングで金利の見直しが行われます。見直し時点での、短期プライムレートの水準によって、それ以降の金利が決まる仕組みです。一般的には、見直しのタイミングは「半年ごとの年2回」となっています。 しかし、実は短期プライムレートは2009年1月から変更されていません。その最大の理由は、日本銀行の政策金利が極めて低い水準に維持されていることにあります。日本銀行の政策金利は、2008年12月から、年0.1%以下に設定されたままになっています。そして、2023年8月現在は、2016年1月に設定された年▲0.1%のままです。そのため、金融市場では多少の金利変動はありますが、短期金利から長期金利まで低位安定が続いています。 短期プライムレートの今後の見通し 金融市場では、当面、日本銀行の金融政策に変更はなく、国内金利の水準は現状維持が続くという見方が優勢です。したがって、しばらくは短期プライムレートも現在の低金利が続くと見て良さそうです。一方で、将来的に金利が上昇することも十分あり得るので、金利上昇の可能性は必ず念頭におきましょう。 まとめ 変動型の金利は、短期プライムレートと金融機関の審査による上乗せ金利によって決定されます。また、短期プライムレートは、現在は低位安定しているものの、いずれは上昇する可能性もあります。変動型のローン商品を検討する際は、金利上昇の可能性も考慮したうえで、決定するようにしましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンの返済額を計算する方法とは?金利と利子の違いを解説 住宅ローンを借りるとき、「金利が低いかどうか」が気になる人は多いと思います。一方で、その金利を用いてどのように住宅ローンの返済額が決まるのかまで正しく理解できている人は、意外に少ないかもしれ...記事を読む

    2019.03.12ローン全般
  • 適用金利はどうやって決まるのか?

    ローンの適用金利はどうやって決まる?

    金融機関のホームページをみると、カードローンの金利について「年○○%~△△%」といった表示をよく見かけます。カードローンに限らず、ローン金利はこのように〝幅〟を持った表示が一般的です。 この記事では、実際にはどのように金利が適用されているのか、カードローンを例に解説していきます。 ローンの上限金利は法律で決まっている ローンの金利は、ローンの種類や提供する金融機関によってさまざまですが、金融機関が自由に決めているわけではありません。すべてのローンの金利は、「利息制限法」という法律によって決められています。正確にいうと、ローンの金利の上限となる「上限金利」が利息制限法によって設定されているのです。 上限金利 上限金利は、融資金額に応じて設定されており、元本が10万円未満の場合は20%、10万円~100万円未満は18%、100万円以上では15%となっています。したがって、100万円以上の借り入れをする際、最高でも金利は15%になります。 そして、利息制限法では、上限金利を超える金利のローン契約が結ばれた場合、その超えた分の金利は無効となり、貸付人は行政処分の対象になる、と定められています。例えば、100万円以上の借り入れで金利が20%に設定されたとすると、15%を超えた5%分の金利は無効、つまり支払わなくてよいことになります。 なお、出資法の上限金利である20%を超える金利のローン契約が結ばれた場合、貸付人は刑事罰の対象となる、と定められています。 図:利息制限法で定められた上限金利 ※著者が作成 借入金額によって適用金利は変わる 現在、提供されているカードローンの金利を具体的にみてみましょう。あるメガバンクのホームページには、「金利 年1.8%~14.6% 利用限度額10万円~500万円」と記載されています。適用される金利は借入金額によって変わり、借入金額は以下のように5つの価格帯に分けられています(数字はいずれも2023年12月時点のもの。以下同じ)。 利用限度額10万円以上 100万円以下 … 年13.6%~年14.6% 利用限度額100万円超 200万円以下 … 年10.6%~年13.6% 利用限度額200万円超 300万円以下 … 年7.6%~年10.6% 利用限度額300万円超 400万円以下 … 年6.1%~年7.6% 利用限度額400万円超 500万円以下 … 年1.8%~年6.1% 利用限度額ごとに適用される金利に幅があり、例えば借入金額100万円以下では「年13.6%~年14.6%」となっています。そして、実際の適用金利は、年収や勤続年数といった「信用力」や、借入実績などによって変わります。(金融機関によっては、「年○○%~△△%」という表示ではなく、一つの金利だけを表示しています)。 さらに別の例として、上記のメガバンクのグループ会社である消費者金融のカードローンの金利を見てみましょう。カードローンは「年3.0%~18.0% 融資額最高800万円」と表記されています。借入金額は4つに分けられ、それぞれの適用金利は以下のとおり表示されています(ホームページには「利用限度額」ではなく「契約極度額」と表示されていますが意味は同じです)。 利用限度額1万円~99万円  … 年7.7%~年18.0% 利用限度額100万円~300万円 … 年7.7%~年15.0% 利用限度額301万円~500万円 … 年4.7%~年7.7% 利用限度額501万円~800万円 … 年3.0%~年4.7% すべての金利が上限金利以下に設定されており、例えば、利用限度額1万円~99万円で18%が適用されたときは、「10万円~100万円未満の上限金利18%」に合致しています。銀行も消費者金融も共通していることは、例えば「年3.0%~18.0%」と表示されている場合、最低金利は最大の利用限度額に適用され、最高金利(=18.0%)は最小の利用限度額に適用されます。 無担保ローンと有担保ローンの違い 実際の適用金利は、金融機関が信用力を審査して決定することは前述しましたが、そもそも利用限度額は信用力に応じて決まります。ローンを申し込めば、誰でも最大の限度額を借りられるわけではありません。特に、初めてローンを利用するときは、最小の限度額が設定されて、高めのローン金利が適用される傾向にあります。 無担保ローンにおける信用力 ローンを遅れずに返済しているという利用実績が増えていくにしたがって、利用限度額は増額され、それとともに、同じ限度額でも低い金利が適用されるようになります。これは、カードローンのような無担保ローンでは一般的なことといえるでしょう。 有担保ローンにおける信用力 一方で、不動産担保ローンのような有担保ローンの場合、借りる人の信用力に加えて、担保不動産の価値が審査対象となります。不動産の価値が高ければ、初めてローンを申し込んだ場合でも、利用限度額は高く設定され、低金利での融資が受けられる可能性があります。 不動産担保ローンを含めた有担保ローンは、提供する金融機関がカードローンのように利用限度額ごとに金利を表示しているケースは少ないですが、それは担保評価によって利用限度額と金利が変わるという事情によるものです。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 変動型の金利はどう決まる? ローン商品の金利タイプには、大きく分けて3種類あることはご存じでしょうか。その3種類とは「固定型」「変動型」「固定期間選択型」です。住宅ローンを利用する時など、昨今の低金利環境下では、「変動...記事を読む

    2019.03.05ローン全般
  • 「不動産担保ローン」の審査基準と審査通過のためのポイント

    不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント

    不動産担保ローンを利用して資金調達するには、金融機関の審査に通過する必要があります。しかし、不動産担保ローンの利用経験がないと、審査がどのように行われ、どうしたら審査を通過できるかわからないかもしれません。 この記事では、不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイントを解説します。 不動産担保ローンの審査基準とは? 不動産担保ローンを申し込むと、金融機関は融資を受ける人の審査をします。その審査結果によって、「お金を貸してもよいか?」「融資できる金額はどのくらいか?」といった判断をします。 不動産担保ローンの場合、審査の対象は融資をする相手の「信用力」と、担保となる「不動産の価値」の大きく二つに分かれます。審査のポイントを理解し、必要書類などを不備なく準備して面談に臨むことで審査に通りやすくなります。 審査を受けるための準備 不動産担保ローンの審査に進むためには、まず金融機関のホームページから仮審査に申し込みます。仮審査の結果をもとに担当者と面談をした後、本申込を行うと担保不動産の実地調査や信用力の審査が行われ、審査に通過すれば契約をし、融資実行という流れになります。本申込の際は、主に以下の書類が必要です。 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど) 実印 印鑑証明書 納税証明書、固定資産税納付書 収入証明書 不動産登記簿謄本 借入残高証明書 商業登記謄本、決算書類、事業計画書など(法人の場合) 印鑑証明書、納税証明書、収入証明書は、自治体の窓口で即日発行が可能です。また、印鑑証明書は、マイナンバーカードがあれば全国のコンビニでも発行できます。固定資産税納付書は手元に保管しているかを確認し、見つからない場合は自治体の窓口で相談しましょう。 関連記事はこちら納税証明書とは?種類ごとの記載事項や取得方法などを解説 不動産登記簿謄本は法務局の窓口のほか、郵送やオンラインによる交付請求も可能です。ローンが残っている不動産を担保にする場合は、ローンを組んでいる金融機関に借入残高証明書の発行を依頼します。法人の場合は商業登記謄本や決算書類、事業計画書なども提出しなくてはなりません。 すべての必要書類を準備するには時間がかかるので、余裕を持って対応することが大切です。金融機関や条件によって、上記以外の必要書類もあるので、担当者に必ず確認しましょう。 「信用力」の審査基準とは? 審査対象の1つ目は融資をする相手の信用力です。これはあらゆるローン商品において必ず審査をされる対象で、担保となる不動産がある不動産担保ローンであっても、その重要性は変わりません。その信用力を計る条件としては、まず収入が挙げられます。収入とは個人であれば年収、企業であれば利益のことです。 収入 当然、収入は多ければ多いほど信用力はアップしますが、金額だけで評価されるわけではありません。毎月の収入に対するローンの返済額の割合を表す「返済負担率」がポイントとなります。例えば、毎月の収入が50万円で、返済額が15万円の場合は、返済負担率は30%になります。返済負担率が高いほど評価は悪くなり、審査に通過する可能性も低くなります。 過去の返済履歴 過去にローンを借り入れたことがあれば、その返済状況が審査されます。そして、ローンの返済が滞ったことがあると信用力は低くなります。短期間かつ1、2回程度の返済の遅れであれば、「不注意による引き落とし口座の残高不足」と見なされ、審査に通過することはありますが、それ以上の延滞が重なると審査は厳しくなります。 勤続年数 個人の信用力では勤続年数も重要です。勤続年数が長くなるほど、安定した収入が継続的に得られている、とみなされるからです。法人の場合は、事業年数ということになります。設立したばかり、あるいは事業年数が短い法人は、信用力がないと判断はされやすくなります。 年齢 不動産担保ローンの返済期間は、10年、20年と長期にわたることもあるため、年齢も審査項目になります。ローンを完済したときに何歳になっているかという「完済時年齢」がポイントで、完済時年齢は、高齢になるほど収入が不安定になるとみなされてしまいます。 他の金融機関からの借入状況 また、他の金融機関からの借り入れの有無と、その借入金額、何社からの借り入れがあるのかという点も信用力の判断基準になります。借入金額の大きさや、借り入れている金融機関の数の多さで審査の通過しやすさが変わります。 「不動産の価値」の審査基準とは? 審査対象の2つ目は不動産の価値です。借り入れの担保不動産の価値が高い、すなわち、不動産の価格が高いほど審査に通りやすく、大きな金額のローンが組めることになります。では、不動産の価格はどうやって測定するのでしょうか。 土地の評価方法 不動産は土地と建物の2つの軸で評価がされます。土地価格はいくつかの基準があり、国土交通省が発表している「公示地価」、都道府県による「基準地価」、国税庁の「路線価」、市町村の「固定資産税評価額」、の4つです。したがって、同じ土地であっても4種類の価格が存在することになります。 関連記事はこちら公示価格とは?実勢価格との違いと活用法をわかりやすく解説 金融機関によって評価の手法はさまざまで、重視する基準も異なりますが、比較的よく用いられるのは国税庁の路線価のようです。路線価の正式名称は「相続税路線価」といい、相続税を算定するときに使う地価のことです。 一般的な不動産の売買価格は公示地価や基準地価に基づいて行われており、路線価は公示地価、基準地価よりも低く、その8割程度とされています。つまり、路線価は、公示地価、基準地価より2割程度は割安に評価されているわけです。 実態よりも低い路線価が採用されている理由は、金融機関のリスクヘッジのためです。不動産担保ローンでは、融資金の回収が不可能となった場合に、担保不動産を売却することで融資金を回収します。しかし、地価が値下がりすると、担保不動産を売却しても融資金を全額回収できない恐れがあります。そこで、より保守的な価格である路線価を採用することで、将来的に地価が値下がりをしていても、融資金を回収できる可能性が高まります。 建物の評価方法 土地に比べて建物の評価の方法は少し複雑です。まず、建物の「再調達価格」を算定するところから始まります。再調達価格とは、その建物を新たに建築、購入した場合に必要となる金額のことです。そして、建物の「延べ床面積」や「法定耐用年数」などを用いて、建物の評価額を決定します。 ただし、建物の築年月が法定耐用年数を超えていると、建物の価格は0円になってしまう点には注意が必要です。例えば、住宅用の木造戸建ての場合、国税庁が定める法定耐用年数は22年です。すると、築22年を超えた戸建ての建物価格は0円になってしまいます。したがって、不動産価格は土地だけを評価すればいいことになります。 審査通過のためのポイント 不動産担保ローンの審査に通過するために、必要書類を早く集め、担当者からの質問には正確に回答して、なるべく多くの情報を提供することを心掛けましょう。担保不動産の評価や信用力も大切ですが、担当者への対応も審査結果に影響を与えます。 金融機関の担当者は日々多くのローン相談を受けており、担保不動産や信用力の調査を徹底的に行うため、虚偽の情報は逆効果です。仮に審査に通過したとしても、融資実行後に嘘が発覚した場合は一括返済を求められる恐れもあります。不利になることも正直に伝えるなど真摯に対応することで、金融機関から信頼を得ることができ、結果として審査に通りやすくなるでしょう。 また、個人事業主の方や法人の場合は、事業計画書の内容も非常に重要です。金融機関の信頼を得られるように、客観的な事業計画を作成することも審査通過のポイントです。内容がわかりやすく、根拠をもとに作られた事業計画であれば、金融機関は審査しやすくなります。 事業計画書を提出する前に、税理士などの専門家に確認してもらうといいでしょう。自分ひとりで事業計画書を作成すると、金融機関の印象を少しでも良くしたいという思いから、売上などの見通しが甘くなることも考えられます。専門家の視点を取り入れることで、実現可能性が高い、説得力のある事業計画を作成できます。 まとめ 不動産担保ローンの審査の対象は、融資をする相手の「信用力」と、担保となる「不動産の価値」であることを説明しました。しかし、審査通過のためには正確な情報を真摯に担当者に伝え、金融機関からの信頼を得ることが大切です。これらのポイントを踏まえたうえで不動産担保ローンの審査に進むといいでしょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ ローン金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限が表示されることがほとんどです。このような表示は、個別のローンごとに適用される金利が変わることを表しています。当然、ローンを借り入れ...記事を読む

  • 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説

    不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説

    不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として借り入れを行うローン商品のことです。不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べてまとまった金額を低金利で借りることができます。 一方で、万が一返済ができなくなった場合に、担保にした不動産が競売となる恐れがあるため、利用前に仕組みや特徴を理解しておくことが大切です。この記事では、不動産担保ローンの仕組みやメリット・デメリットなどを解説します。 不動産担保ローンとは 不動産担保ローンは、土地や建物、マンションなどの不動産を担保にして、お金を借りられるローン商品です。金融機関によっては、築古や第二抵当の不動産のほか、家族や法人名義の不動産も担保にできます。 また、不動産担保ローンは有担保ローンの一種です。有担保ローンの中には不動産のほかに、有価証券を担保とする証券担保ローンや、企業の在庫や売掛債権を担保とする動産担保融資(ABL)などがあります。 有担保ローンに対してテレビCMなどで見かけるカードローンやキャッシングなどは無担保ローンに分類されます。無担保ローンは、一般的に不動産担保ローンよりも金利が高く、借入可能額が少額となりますが、手続きが簡単で即日で融資を受けることも可能です。 不動産担保ローンのメリット 不動産担保ローンは、一般的な無担保ローンに比べて以下のようなメリットがあります。 借入金利が低金利である 無担保ローンである個人向けのカードローンや法人向けのビジネスローンに比べて、不動産担保ローンは低金利で借りられます。ただし、実際に適用される金利は、金融機関ごとの商品や、申込人の与信や担保とする不動産によって異なります。 参考までに、日本貸金業協会が公表している令和6年6月の月次統計資料では、消無担保貸付の平均約定金利が14.93%であるのに対して、有担保貸付(住宅向を除く)の平均約定金利は3.66%です。 出典)日本貸金業協会「月次統計資料」 借入限度額が大きい 無担保ローンであるカードローンやキャッシングは、収入や他社からの借入状況などによって借入可能額が決まり、借入限度額は1,000万円ほどです。一方で、不動産担保ローンは、担保不動産の評価額によって変化し、1億円以上の借入限度額とされていることも珍しくありません。 長期間借りられる カーローンや教育ローンなどのローンでは、借入期間は7年や10年程度に設定されています。一方で、不動産担保ローンは、返済期間を長く設定することができ、金融機関によっては35年ローンを提供しているところもあります。ただし、返済期間が長くなるほど、利息の負担額は大きくなる点には注意が必要です。 なお、カードローンやキャッシングなどで一般的に用いられる返済方式はリボルビング方式と呼ばれ、不動産担保ローンなどの返済方式とは異なります。 不動産担保ローンのデメリット 不動産担保ローンは、一般的な無担保ローンに比べて以下のようなデメリットもあります。 借り入れまでに時間がかかる 無担保ローンであるカードローンやキャッシングは、最短数分で審査が終了し、即日融資も可能なローン商品です。一方で、不動産担保ローンは審査の過程で与信に加えて不動産の審査も必要なため、スピードを重視する金融機関であったとしても、融資までに最短でも数日から数週間かかります。 ただし、すでに不動産担保ローンを借りている金融機関からの追加融資であれば、さらに早く借りられる可能性があります。 手数料がかかる 無担保ローンであるカードローンやキャッシングは、諸費用は基本的に利息のみで、他にかかる手数料などはありません。一方で、不動産担保ローンは事務手数料や不動産調査費用、印紙代、登記費用などの費用がかかります。 金融機関に支払う事務手数料は、融資金額の〇%のように定められており、借入金額によっては、数十万円かかる場合もあります。そのほか、不動産を担保とするための登記費用や司法書士費用を加味すると、諸費用は多額に及びます。 そのため、たとえ低金利の借り入れができても、結果的にカードローンよりも支払総額が大きくなることも考えられ、注意が必要です。 返済不能になると競売になる 無担保ローンであるカードローンやキャッシングは、たとえ支払いができなくなったとしても、金融機関から不動産を競売にかけられる恐れはありません。 しかし、不動産担保ローンでは、金融機関が融資時に担保とする不動産に抵当権の設定登記をします。抵当権は、債務者が返済出来なくなったときに、不動産を売却することで融資金を回収するために設定されます。 返済ができなくなって直ちに競売手続きが行われるとは限りませんが、延滞が続き、融資金を回収できないと金融機関が判断すれば、競売手続きに移行します。競売はさまざまなデメリットがあるため、返済が確実にできるかどうかあらかじめ考えておく必要があります。 関連記事はこちら競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法 不動産担保ローンの利用までの流れ 不動産担保ローンの利用までの流れは、以下のように進めます。 仮審査 面談・本申込 不動産調査 審査 契約 融資実行 まずは、金融機関のホームページなどから仮審査を申し込むと、簡易の不動産査定結果をもとに、融資の可否や概算の融資限度額などを回答されます。融資が可能となり、本申込に進む場合は営業担当者と面談を行います。 関連記事はこちら不動産担保ローンの「仮審査」とは? 面談時に申込書の記入や本人確認書類、不動産に関する書類などを提出します。なお、面談したからといって、必ずしも本申込みをする必要はありません。本申込後に金融機関によって担保となる不動産の調査を行います。調査の方法は担保不動産や金融機関によって異なり、実際に対象物件の内覧まで必要な場合もあります。 不動産調査によって正式な物件の取扱いの可否や融資限度額が算出され、並行して与信面に問題がないかの審査となります。審査を終えると最終的な融資金額や適用金利が担当者から伝えられ、問題ないようであれば契約手続きに進みます。 契約当日は、金銭消費貸借契約や抵当権設定登記の手続きを行い、融資実行日に資金が振り込まれます。なお、借り入れにかかる手数料は、融資金から清算されるので、手数料分のお金を別途用意する必要はありません。 これら一連の手続きは、金融機関の店舗で行うのが一般的ですが、店舗に行くのが難しい場合は、担当者が自宅や事務所まで来てくれることもあるので、相談してみるといいでしょう。 不動産担保ローンの必要書類 不動産担保ローンの融資を受けるには、以下のような書類が必要となります。 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど) 実印 印鑑証明書 納税証明書、固定資産税納付書 収入証明書(源泉徴収票・確定申告書など) 不動産登記簿謄本 不動産権利証 借入残高証明書 商業登記謄本、決算書類、事業計画書など ※法人の場合 本申込の際には、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類、契約の際には、印鑑証明書や実印などが必要です。審査の過程で、与信を判断するために、納税証明書や固定資産税納付書、収入証明書などが求められます。 また、担保不動産の状況を確認するために、不動産登記簿謄本や借入残高証明書も必要となる場合があります。不動産担保ローンの必要書類は、金融機関や担保となる不動産によって異なるため、担当者に確認して必要書類を用意しましょう。 不動産担保ローンの審査 不動産担保ローンの審査は、融資をする相手の「信用力」と、担保となる「不動産」から総合的に判断されます。信用力の審査では、個人の場合は収入、法人の場合は利益をはじめとして、過去の返済状況や申込人の年齢、ほかの金融機関からの借入状況などを確認します。 不動産の審査では、担保不動産が対象物件として問題ないかを確認の上、担保評価額を算出します。基本的には、不動産の価値が高ければ高いほど審査に通りやすく、大きな金額を借りられます。 関連記事はこちら不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント 最終的な融資の可否は信用力と不動産によって決定されますが、ある金融機関では融資が出来なかったとしても、別の金融機関では融資が可能と判断される場合もあります。申込人や担保不動産の審査は、銀行かノンバンクかという点でも異なる傾向にあります。 関連記事はこちら不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い 不動産担保ローンの活用事例 不動産担保ローンは以下のような活用事例があります。 まとまった資金を確保して、資金繰りを改善 不動産担保ローンは、まとまった金額を長期間借りることができるため、返済に余裕を持った資金調達ができます。また、無担保ローンからの借り換え等で金利が下がれば、資金繰りの改善もできます。 一方で、返済期間を長くすると総返済額は増加するため、借入前に返済シミュレーションを必ず行いましょう。 赤字決算の法人が事業資金を確保 資金調達をしようとしても、決算が赤字の場合、無担保で事業資金融資を受けることは難しいかもしれません。しかし、不動産担保ローンを活用することで、信用力だけでなく担保不動産の価値を加味して審査が行われる、融資を受けられる可能性があります。 また、赤字決算の法人だけでなくこれから開業する法人や、開業後間もない法人でも融資を受けられる可能性があります。 相続不動産を担保に相続費用を確保 相続が発生すると、相続税をはじめとして、代償分割や遺留分減殺請求などによって多額の支払いが発生する場合があります。しかし、相続財産の中に不動産があれば、その不動産を担保にすることで、融資を受けられる可能性があります。 不動産担保ローンのよくある質問 不動産担保ローンは、金融機関によって基準が異なりますが、以下のような質問が代表的です。 住宅ローンを借りていても融資を受けられますか? 担保不動産に第二順位の抵当権を設定することで、融資を受けられる可能性があります。ただし、住宅ローンが多く残っている場合は、担保余力がないとみなされ融資を受けられません。 関連記事はこちら住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 本人以外の所有不動産を担保にして融資を受けられますか? 不動産の所有者が親族、法人の場合は会社の役員等の特定の条件で融資を受けられる可能性があります。ただし、不動産の所有者は、融資の物上保証人や連帯保証人になることを求められます。 共有名義の不動産を担保にして融資を受けられますか? 所有者全員の同意があれば、融資を受けられる可能性があります。ただし、不動産を共有する人全員が連帯保証人になることを求められます。 信用情報に不安がありますが、融資を受けられますか? 信用情報に問題があっても、融資を受けられる可能性はあります。債務者へ融資をするかしないかは金融機関によって異なり、特定の金融機関で融資を断られたとしても、必ずしも審査に落ちるということはありません。 融資限度額はいくらですか? 融資限度額は金融機関によって異なり、1億円以上の金融機関も珍しくありません。ただし、不動産担保ローンの融資限度額は、個人の信用力や担保不動産の価値に左右されるので、実際に金融機関に問い合わせてみないと正確な金額はわかりません。 関連記事はこちら不動産担保ローンのよくあるご相談5選 まとめ 不動産担保ローンには、一般的な無担保ローンと比較して大きな資金を、低金利かつ長期間にわたって借りることができます。一方で、融資までには時間と費用がかかるほか、万が一返済不能となったときには不動産を失う恐れがあります。こうしたメリットとデメリットを踏まえて、不動産担保ローンの利用を検討しましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "住宅ローンを借りていても融資を受けられますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "担保不動産に第二順位の抵当権を設定することで、融資を受けられる可能性があります。ただし、住宅ローンが多く残っている場合は、担保余力がないとみなされ融資を受けられません。" } }, { "@type": "Question", "name": "本人以外の所有不動産を担保にして融資を受けられますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"不動産の所有者が親族、法人の場合は会社の役員等の特定の条件で融資を受けられる可能性があります。ただし、不動産の所有者は、融資の物上保証人や連帯保証人になることを求められます。" } }, { "@type": "Question", "name": "共有名義の不動産を担保にして融資を受けられますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"所有者全員の同意があれば、融資を受けられる可能性があります。ただし、不動産を共有する人全員が連帯保証人になることを求められます。" } }, { "@type": "Question", "name": "信用情報に不安がありますが、融資を受けられますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"信用情報に問題があっても、融資を受けられる可能性はあります。債務者へ融資をするかしないかは金融機関によって異なり、特定の金融機関で融資を断られたとしても、必ずしも審査に落ちるということはありません。" } }, { "@type": "Question", "name": "融資限度額はいくらですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"融資限度額は金融機関によって異なり、1億円以上の金融機関も珍しくありません。ただし、不動産担保ローンの融資限度額は、個人の信用力や担保不動産の価値に左右されるので、実際に金融機関に問い合わせてみないと正確な金額はわかりません。" }} ] } 無料相談してみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ ローン金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限が表示されることがほとんどです。このような表示は、個別のローンごとに適用される金利が変わることを表しています。当然、ローンを借り入れ...記事を読む

  • ローンの種類を知って賢くお金を借りる

    ローンの種類を知って賢くお金を借りる

    人生には、多額の出費を迫られるケースがたびたび起こります。必要な金額が、手持ちの現金や貯金を上回るようであれば、お金を借りる=「ローンを組む」ことになります。その際、重要なことは、使いみちに合ったローンを借りること。そのために、どんなローンがあるのかを知っておくことがポイントになります。 1.一般的な「目的別ローン」とは? ローンの種類には、いろいろなものがありますが、一般的なものは使う目的別に分けたものでしょう。全国銀行協会のホームページを見ると、目的別ローンとして以下のようなものが挙げられています。 目的別ローン マンションや一戸建てを購入する資金を金融機関から借りる「住宅ローン」、自動車を購入する資金を借りる「マイカーローン」、子供の進学に伴う教育資金を補うための「教育ローン」、事業を行っている人が事業に必要な資金を借りる「事業ローン」などです。 目的が限定されていないローン また、目的が限定されていないローンもあり、「カードローン」や「フリーローン」といったものは、お金を借りた人が自由に使えるローンです。カードローンは金融機関のATMやCD(キャッシュディスペンサー)などでの即時の借り入れが可能で、生活費などに充てられることが多いようです。それに対して、フリーローンは旅行や結婚、入院や手術といった比較的大きな出費に対応するローンと言えるでしょう。いずれも、お金の使いみちは限定されません。 2.「担保」の有無でも分けられる こうした目的別の種類のほかに、〝ローンを組む際に担保が必要かどうか〟で分ける方法もあります。文字どおり、担保が必要なものが「有担保ローン」で、必要がないのが「無担保ローン」になります。 有担保ローンとは 少し難しくなりますが、担保とは、万が一ローンを借りた人が借入金の返済ができなくなった場合に備えて、借りた金額と同じ程度の価値を有する物を借入先に提供し、返済を行なうというものです。 例えば、「住宅ローン」は購入するマンションや一戸建てを担保とし、不動産購入のためにお金を借りることです。一方、「不動産担保フリーローン」は既に所有している不動産を担保とするもので、資金使途は自由です。どちらも、何らかの理由で借入金の返済ができなくなった場合、お金を貸した金融機関は担保物件であるマンションや一戸建てを売却して、その代金で貸出金を回収することになります。また、「マイカーローン」も有担保で組むのが一般的です。返済ができなくなったときは、担保として提供している自動車を金融機関が売却することになります。 無担保ローンとは 無担保ローンはこうした担保が必要ではありません。目的別ローンで挙げた、教育ローンやカードローン、フリーローンなどが無担保ローンに該当します。 また、有担保ローンであり、かつ、資金の使途が自由というものもあります。それが「不動産担保フリーローン」です。既に所有している不動産を担保として提供し、借入金の返済ができなくなった場合、住宅ローン同様、金融機関は担保である土地や建物を売却します。 3.「有担保ローン」と「無担保ローン」のメリット、デメリット 無担保ローンは、担保が要らないので、借りる人の身分証明書などを用意すればすぐに借りることが可能です。特にカードローン(キャッシング含む)などでは、最近、新規であっても金融機関の店頭に行くことはなく、ATMやCDで身分証明書を登録すれば、その場で借り入れることができるほど手軽になっています。ただし、その分、借りる際の金利は高めに設定されており、借り入れの限度額は低く、長期間の借り入れはできないようになっています。 一方、有担保ローンは担保が必要になるので、すぐに借りるということはできません。その理由は、借りる金額にその担保の価値が見合っているかどうかを、金融機関が判断しなければならないからです。つまり、お金を貸すかどうかを金融機関が判断する「審査」の期間が必要になるわけです。 しかし、担保があることで、無担保ローンに比べると借り入れの金利はグッと低くなります。さらに、借り入れの限度額も大きくなり、また、長期間にわたって借りることができるようになります。住宅ローンでは、数千万円の資金を1%台の金利で30年間借りる、といったことも普通に行われています。金融機関は担保を確保することで、安心してお金を貸すことができるのです。 担保の有無による借入金利の差 担保の有無による借入金利の差は、フリーローンの方が分かりやすいでしょう。例えば、借り入れる金額にもよりますが、一般的な無担保のフリーローンの金利は4.0~15.0%であるのに対して、不動産担保フリーローンは2.9~9.5%となっています。 4.まとめ このように、ひと口にローンと言ってもさまざまな種類があることがわかります。ローンの3大条件といえる、借入金額・金利・借入期間は、お金の使いみちや担保の有無によって大きく変わってきます。借りる目的に合ったローンを組むようにして、お金は賢く借りるべきです。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ ローン金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限が表示されることがほとんどです。このような表示は、個別のローンごとに適用される金利が変わることを表しています。当然、ローンを借り入れ...記事を読む

    2019.02.05ローン全般