住まいとお金の知恵袋 一覧(公開日順)

  • 老後に賃貸物件は借りにくい?

    老後に賃貸物件は借りにくい?その理由や対策を紹介

    「持ち家より賃貸物件で暮らしたい」という希望がある一方で、「老後に賃貸物件を借りられないのでは」と不安を感じている人もいるでしょう。しかし、「老後に賃貸物件は借りにくい」のは事実なのでしょうか。 この記事では、「老後に賃貸物件は借りにくい」と言われる理由とその対策を紹介します。 「老後に賃貸物件は借りにくい」という結果が出ている 神奈川県が不動産業者を対象に実施したアンケートによると、賃貸住宅の媒介で家主から入居を断るように言われた住宅確保要配慮者※の割合は下表のとおりです。 住宅確保用配慮者の区分 2018年度 2023年度 高齢者 57.6% 49.6% 知的・精神障がい者 55.9% 52.2% 外国人 51.7% 46.0% ※住宅確保要配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など、法律において住宅の確保に配慮が必要と定められている人のこと 出典)神奈川県住宅計画課「神奈川県における高齢者・住宅に関する状況等について」 「高齢者」であることは、不動産業者が家主から入居を断られる理由において、2018年度は第1位、2023年度は第2位です。2023年度において、知的・精神障がい者に次ぐ理由であり、外国人よりも拒否感が高い結果となっています。 2018年度に比べて割合は下がっているものの、家主の約半数が、高齢者の入居に対して拒否感を抱いているようです。 高齢者が賃貸物件を借りにくい理由 神奈川県の同アンケートにおいて、家主が入居を断った理由で高齢者に当てはまると考えられるものは以下のとおりです。 家主が断った理由 2018年度 2023年度 病気や事故(孤立死等)に不安がある 73.7% 65.1% 単身者など介護者がいないことに不安がある 30.5% 34.9% 家賃の支払いに不安がある 50.5% 34.3% 緊急連絡先となる人がいない 31.6% 37.8% 出典)神奈川県住宅計画課「神奈川県における高齢者・住宅に関する状況等について」 「病気や事故に不安がある」は、2018年度が第1位、2023年度が第2位でした。「単身者など介護者がいない」「緊急連絡先となる人がいない」も3割を超えています。 賃貸住宅で孤立死が発生すると、家主は原状回復や家財の処分などを対応しなければならない他、親族と連絡が取れないこともあるなど、多大な労力がかかります。また、状況によってはいわゆる事故物件となり、不動産評価額の下落や収益低下が懸念されるため、家主の不安につながっていると考えられます。 なお、「家賃の支払いに不安がある」も3割を超えていますが、2018年度に比べると割合は低下しており、働き続ける高齢者が増加しているなどの社会背景も考えられます。 老後に賃貸物件を借りやすくするには 老後に賃貸物件を借りやすくするためには、可能な限り家主側の不安を解消することが重要です。ここでは、家主側の不安を解消するための手段をいくつか紹介します。 緊急連絡体制を整備しておく 上述の調査結果でも多かった「病気や室内での孤立死」や「緊急連絡先がいない」といった家主側の不安を解消するために、可能であれば連帯保証人になってもらい、緊急連絡先として登録させてもらいましょう。 また、親族が近くに住んでいる場合は、親族が近くにいることを家主に伝えれば、安心してもらえるかもしれません。 もし近隣に頼れる人がいない場合は、民間の安否確認サービスや身元保証サービスなどを活用し、緊急連絡体制を整備しておくことも有効です。その際は、費用やサービス内容に差があるため、事前に説明を受けて納得のできる事業者を選ぶことが重要です。 家賃の滞納リスクを軽減する 「家賃の支払い」の不安を解消する場合も、親族に連帯保証人になってもらう方法が有効です。もし、親族に連帯保証人になってもらうのが難しい場合や、単身で頼れる親族がいない場合は、滞納家賃の保証制度を検討しましょう。 例えば、一般財団法人高齢者住宅財団では、60歳以上の高齢者世帯を対象に「家賃債務保証」を提供しています。入居者が家賃を滞納した場合、月額家賃の12ヵ月分相当を限度に高齢者住宅財団から家主に家賃が支払われる仕組みです。 保証料は原則入居者負担で、契約時に一括で支払います。2年間の保証の場合、月額家賃の35%です。賃貸住宅の家主から利用申請を行い、保証契約を締結します。 まずは家主に、高齢者住宅財団の家賃債務保証を利用した入居が可能かを確認するといいでしょう。 出典)一般社団法人 高齢者住宅財団「家賃債務保証」 老後の住まいの選択肢 上述のような対策をしても家主の同意を得られない場合は、高齢者向けの住宅を検討しましょう。近年では、高齢者向け住宅の供給が増加傾向にあります。 例えば、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者が住みやすいように配慮された賃貸住宅です。一般的な賃貸住宅と同じように、毎月賃料を支払って利用します。 バリアフリーに配慮された設計になっており、安否確認と生活相談の提供が義務付けられています。自立した生活を送りながらも、適度なケアを受けられるのが特徴です。 関連記事はこちらサービス付き高齢者向け住宅とは?入居条件や費用を解説 また、賃貸ではありませんが、資金に余裕がある場合はシニア向け分譲マンションも選択肢です。バリアフリー化されており、レストランでの食事提供や見守り、生活相談などの高齢者向けの様々なサービスを受けられます。 また、温泉やフィットネスジムなどの共用施設が充実している物件も多いため、趣味を充実させたい人に向いているでしょう。 関連記事はこちらシニア向け分譲マンションとは?特徴とメリット・デメリットを解説 まとめ 入居者の病気や孤立死、家賃の滞納などへの不安から、高齢者の入居に拒否感を抱く家主が一定割合存在するため、老後の賃貸は借りにくいのが現状です。 ただし、家賃保証債務や民間の身元保証サービスなどを活用することで、老後も賃貸物件に入居できる可能性は高まります。一般的な賃貸住宅への入居が難しい場合は、高齢者向け住宅の利用も視野に入れましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 セーフティネット住宅とは?入居条件や費用をわかりやすく解説 賃貸住宅は持ち家に比べて気軽に引っ越しもでき、自由度が高いのが魅力です。しかし、働いていない高齢者などは入居を断られることがあります。そこで、賃貸住宅に安心して入居するために、「セーフティネ...記事を読む

  • 請求書の書き方

    請求書の書き方、作り方を徹底解説!

    請求書の書き方に法的な決まりはありません。しかし、商品やサービスの代金を期日までに払ってもらうには、必要な情報を漏れなく記載した請求書を、取引先に送付する必要があります。 この記事では、請求書の書き方や記載すべき情報、注意点を解説します。 請求書とは? 請求書とは、取引先に納品した商品やサービスの対価を請求する際に発行する書類です。取引先は、実際の取引内容と請求書の記載内容に誤りがないかを確認したうえで、期日までに支払いを行います。 請求書に法的な決まりはなく、必要な情報を満たしていれば形式は問われません。ただし、取引先と請求日や請求書の送付方法などについて話し合い、ルールを決めておく必要があります。 記載情報 国税庁の資料によると、請求書に記載しておくべき情報として以下の5つが挙げられています。 請求書の発行事業者の氏名・名称 取引先(請求書を受け取る事業者)の氏名・名称 取引年月日 取引内容(軽減税率の対象品目であるか) 取引金額(税率ごとに区分した合計額) また、2023年10月に開始した「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」に対応するには、さらに以下の3つも記載が必要です。 登録番号 適用税率 税率ごとに区分した消費税額等 出典)国税庁「適格請求書等保存方式の概要」 ただし、請求先に確実に支払ってもらうためにも、さらに以下の情報も記載するのが望ましいでしょう。 請求日(発行日) 請求書番号 支払期日 振込先(口座情報、振込手数料の取り扱い) 請求書番号とは、請求書を管理するための任意の番号です。請求書番号を記載すると、取引先とやり取りする際に請求書を特定しやすくなり、見積書や納品書とスムーズに照合できます。 また、支払期日や振込先情報を記載しておかないと、取引先の経理処理に影響し、支払いが遅れる恐れがあります。 請求書の書き方 ここでは、請求書の書き方のポイントを紹介します。 ①請求先 請求先の住所や名称を記載します。担当部署や担当者名まで記載しておくと、請求先の経理担当者が社内で請求内容について確認したいときに対応しやすくなるでしょう。 ②請求書番号 請求書番号があると、請求書を管理しやすくなります。記載する場合は、番号の作成ルールを決めておきましょう。 ③請求日(発行日) 請求日や発行日は、あらかじめ取引先とルールを決めておき、そのルールに則って記載します。 ④請求者(請求書の発行者) 請求者の住所や名称、連絡先(電話番号、メールアドレスなど)を記載します。連絡先を記載すれば、取引先が請求内容について確認したいときにスムーズにやり取りできます。 ⑤押印 押印しなくても請求書は有効であるため、必ず必要なものではありません。ただし、請求者の社印を押印することによって、その会社が発行した請求書であることを証明する手段となり得ます。 ⑥取引内容 商品名や数量、単価、金額などの取引内容を記載します。 ⑦取引金額 小計(税抜の合計額)、消費税額、税込の合計額を記載します。 ⑧請求金額 消費税額を含めた請求金額の総額を記載します。請求金額を記載することにより、請求先は実際の支払額を把握できます。 ⑨支払期日 取引先と事前に取り決めを行ったうえで、支払期日を記載します。必要に応じて、振込手数料をどちらが負担するか明記しておくといいでしょう。振込手数料は、支払側が負担するのが一般的です。 ⑩振込先情報 振込先の銀行名、支店名、口座番号、口座名義を記載します。もし追加で何か伝えたいことや特記事項がある場合は備考欄に記載しましょう。 請求書の作り方 ここでは、一般的な請求書の作り方を3つ紹介します。請求書は自分で作成する場合もあれば、取引先からフォーマットを指定されることもあります。法的に形式は定められていないので、状況に合わせて作成方法を選択しましょう。 手書きで作成する ネットショップや文具店などで市販の請求書用紙を購入し、手書きで作成する方法です。パソコンやプリンターがなくても、手書きで簡単に作成できます。ただし、修正に時間や手間がかかり、計算ミスなどが発生する恐れがあります。 取引先から同意を得る必要はありますが、売上規模が小さいうちは、手書きで請求書を作成するのも選択肢です。 エクセルやワードで作成する インターネット上には、無料で利用できるエクセルやワードの請求書フォーマットがたくさんあります。そのフォーマットをダウンロードすれば、時間や手間をかけずに請求書を作成できます。 一方で、発行枚数が多い場合は、データの管理が難しくなる恐れがあります。誤ってファイルを削除してしまうリスクがある点にも注意が必要です。エクセルやワードで作成する方法は、請求書の発行枚数が少ない場合におすすめです。 請求書作成サービスを利用する 市販のソフトウエアやクラウドサービスを利用して請求書を作成する方法です。請求書作成に特化しており、「毎月同じ請求書が自動的に発行される」「制度改正に自動で対応してくれる」といった便利な機能が備わっています。 デメリットは、インターネット環境が必要で、サービスを導入するための費用がかかることです。請求書作成サービスは、請求書の発行枚数が多く、作成業務にかかる時間や手間を省きたい場合におすすめです。 請求書の注意点 請求書を作成する際は、記載内容に誤りがないかを確認することが重要です。誤りがあると、期日までに支払われなかったり、再請求や返金が生じたりする恐れがあります。取引先に送付する前に、請求書の内容に誤りがないかをもう一度確認しましょう。 また、受領した請求書を紛失しないようにすることも大切です。法人は、確定申告の提出期限の翌日から7年間保存しなくてはなりません。 個人事業主は、5年間保存する義務があります。 なお、2023年10月にスタートしたインボイス制度では、発行者はインボイスの控えを7年間保存しなくてはなりません。また、受領者が消費税の仕入税額控除を受ける場合は、法人・個人を問わず、インボイスを7年間保存する必要があります。 まとめ 請求書に法的な形式はありませんが、必要な情報をもれなく記載しないと期日までに代金が支払われない恐れがあります。取引先とスムーズにやり取りできるように、請求書の書き方、作り方を理解しておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 支払督促とは?かかる費用と手続きの流れをわかりやすく解説 支払督促は、お金の未払いに関するトラブルを解決できる法的手続きのひとつです。お金を返してもらえなくて困っている場合、支払督促を利用すれば、裁判をしなくても迅速に問題を解決できる可能性がありま...記事を読む

    2024.01.31お金の悩み
  • 原野商法とは

    原野商法とは?取得してしまった土地はどうすべき?

    原野商法は、1970年から1980年代にかけて多発したこともある土地に関する不当勧誘のひとつです。近年では、原野商法によって取得した土地をめぐるトラブルが増えています。原野商法の二次被害を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。 この記事では、原野商法の概要や二次被害の事例、トラブルを避ける方法を紹介します。 原野商法とは? 原野商法とは、値上がりの見込みがほとんどない山林や原野について、「将来確実に高値で売れる」などと勧誘し、不当に販売する商法です。 実際には建設計画がないにもかかわらず、「開発計画がある」「もうすぐ道路ができる」などと虚偽の説明をするのが典型的な手口で、1970~1980年代に被害が多発しました。 原野商法の二次被害が増えている 近年、この原野商法の二次被害が増加しています。二次被害の手法は以下のとおりです。 かつて原野商法の被害にあった人が、「土地を高く買い取ります」などと勧誘される 契約の詳細を認識できないまま、新たな山林や原野を購入させられる 始めはすでに所有している不動産を買い取ることを勧誘しますが、巧妙な手口で売却額より高い山林や原野を新たに購入させられるトラブルが発生しています。 過去に原野商法に巻き込まれ、値上がりが期待できない土地を長年保有してきた高齢者の多くは「元気なうちに土地を手放したい」「相続で子どもに迷惑をかけたくない」という思いを持っているでしょう。悪徳業者はその気持ちにつけこんで、不当な勧誘や販売を行っていると考えられます。 具体的な事例を紹介 原野商法の二次被害について、具体的な事例を2件紹介します。 事例①:原野を売却したつもりが、新たな土地の契約をさせられていた(80代男性) 相続で子どもに迷惑をかけたくなかったので、所有する原野を手放したいと思っていたところ、不動産業者から自宅を訪問され「約800万円で買い取りたい」と勧誘された。その際、意味がわからないまま書類に署名させられた。 業者が「気にしないで」と言うので信用し、手続き費用として約400万円を支払い、住民票と印鑑証明書、土地の権利書を業者に渡した。実際は、自分の原野を約800万円で売り、遠方の原野を約1,200万円で購入する契約となっていた。 出典)独立行政法人国民生活センター「より深刻に!「原野商法の二次被害」トラブル 」 事例②:山林を購入したい人がいると説明され、調査・整地費用を支払った(60代男性) 40年前に30坪と100坪の山林を購入して所有している。「30坪のほうの山林を欲しがっている人がいる」と不動産業者から電話があり、売却することを了承した。その後、不動産業者から売却にあたって山林の調査や整地が必要と言われ、合計190万円を支払った。 30坪の山林を売却する前に、今度は「同じ人が100坪の山林も欲しがっているので調査費用80万円を支払ってほしい」と言われた。子どもは「原野商法の二次被害に手口が似ている」と言っている。 出典)政府広報オンライン「「原野商法」再燃!「土地を買い取ります」などの勧誘に要注意」 原野商法の二次被害を防ぐには? 原野商法の二次被害にあうと、契約後はその不動産業者と連絡がつかなくなる場合がほとんどで、一度お金を払ってしまうと、そのお金を取り戻すのは困難です。過去に原野商法に巻き込まれて取得した山林や原野の買い取り話を聞いてしまうと、二次被害に繋がる恐れがあります。 そもそも取得した山林や原野はこれまで値上がりせず、開発計画もなかった土地です。「確実に値上がりする」「買いたい人がいる」といったうまい話は、そうあるものではないでしょう。「土地を買い取る」と勧誘されても、きっぱりと断ることが大切です。不審な勧誘を受けて困っている場合は、消費生活センターに相談しましょう。 相談先:消費者庁「消費者ホットライン」 すでに持っている土地をどうすべき? 原野商法の二次被害を防止するには、「土地を買い取る」と勧誘を受けてもきっぱりと断ることが大切だと分かりました。では、すでに持っている山林や原野はどうすればよいのでしょうか。原野商法で手にした土地を処分したい場合は、「相続土地国庫帰属制度」の利用を検討しましょう。 相続土地国庫帰属制度とは、相続で取得した土地を手放して国庫に帰属させる制度です。土地の所有者本人ではなく、所有者の相続人が利用します。将来原野商法で取得した土地を相続させたとしても、相続土地国庫帰属制度の利用によって国に返せる可能性があります。 ただし制度対象となる土地の要件がいくつか定められているため、生前に要件を満たせるように整備したうえで相続する必要があります。加えて、相続人となる人に相続土地国庫帰属制度についてあらかじめ話しておくことが大切です。 なお、相続土地国庫帰属制度はまだ開始されて間もない制度であり、今後どのように運用されていくか不明瞭な点も多いので、法務局や専門家に相談しておくと安心です。 関連記事はこちら相続土地国庫帰属法とは?制度の概要や相続放棄との違いなどを解説 まとめ 原野商法の二次被害を防ぐには、「土地を買い取る」などの勧誘をきっぱりと断ることが大切です。うまい話は疑ってかかり、1人で即決せず、家族や友人、消費生活センターなどに相談しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 高齢者の自宅売却のトラブルが増加!回避するための対策とは? 「強引に勧誘された」「高額の違約金を請求された」など、高齢者の自宅売却に関するトラブルが増加しています。 相手に言われるがまま売買契約をしてしまうと、高齢者の場合は「住む場所が見つからない」...記事を読む

    2024.01.24用語
  • 自己資金なしの住み替え

    持ち家の人が自己資金なしで住み替えをする方法とは?

    手元に資金が少ない、もしくは老後の備えとして資金を残しておきたい、といった理由から、自己資金なしで住み替えたい人もいるでしょう。その場合、現在住んでいる家(以下現居)の資産価値を活用することで、自己資金なしでも住み替えできる可能性があります。 この記事では、持ち家の人が自己資金なしで住み替えをする方法について解説します。 持ち家の人でなければ自己資金なしの住み替えは難しい 持ち家の人でなければ、自己資金なしで新居を購入するのは難しいと言えます。 家を購入するとき、お金を支払うタイミングは大きく分けて2回に分かれます。1回目は売買契約の際の手付金や頭金の支払い時、2回目は物件の引き渡し時です。住宅ローンはあくまで物件の引き渡し時に受け取るものなので、手付金や頭金は他の方法で賄わなければなりません。 しかし、これらの費用をキャッシングやカードローンで用意する、といった方法は、住宅ローンの審査で他の借り入れの使用状況も確認される以上、現実的な方法ではありません。 住み替えの場合は現居を活用できる 一方で、持ち家から持ち家の住み替えの場合は、現居を活用することができます。現居を活用し、必要なお金を用意することができれば、頭金や手付金などの費用まで賄える可能性があります。 自己資金なしで住み替えできる人とは? 前述のとおり、自己資金なしで住み替えるには、1回目の支払いタイミングに現居を活用して資金を調達し、2回目の支払いタイミングに現居の活用資金や新居の住宅ローン等を活用できる人です。 なお、現居を担保とした住宅ローンが残っている場合には複雑になります。この場合、既存の住宅ローンを完済する必要があるので、完済後に残った資金しか新居の購入資金に利用できません。現居の活用によって得た資金だけでは足りない場合は、新居の住宅ローンを検討しましょう。 現居を活用して資金を得る方法①:現居を売却する 1つ目の方法は、現居を売却することで資金調達をする方法です。この方法は先に現居を売却してから新居を購入する、「売り先行」と呼ばれる方法です。 現居を売却して既存住宅ローンを完済し、残った資金を住み替え資金として利用します。ただし、現居の売却から新居の購入までの期間は仮住まいが必要になるのがデメリットです。 現居をどのように売却する? 自己資金がない場合、現居の買い手を見つけて売買契約を締結するまでは、新居購入のための手付金を支払うことができません。気に入った物件を見つけても、現居の買い手が見つかっていなければ諦めることになります。 そのため、現居を業者に直接買い取ってもらうことで速やかに資金調達を行い、新居購入のための手付金を用意するのが現実的です。ただし、売却価格は相場の8割程度となるので注意が必要です。 リースバックという選択肢も もし、現居を業者に直接買い取ってもらうのであれば、リースバックを利用するという選択肢もあります。リースバックを利用することで、仮住まいを用意する必要がなくなり、期間に余裕をもって新居を探せるメリットがあります。 一方で、リースバックの売却価格は一般的に相場の7割程度となるため、基本的には業者に直接買い取ってもらうより若干安くなります。ただし、リースバック運営会社に希望する賃借期間が短期であることを伝えることで、業者に直接買い取ってもらう場合と同等の金額で売却できる可能性もあります。詳細は、リースバック運営会社に相談しましょう。 関連記事はこちら住み替えにリースバックを利用するメリットを解説 現居の売却で既存住宅ローンを完済できない場合 もし、現居の売却で既存住宅ローンを完済できない場合は、住み替えローンを検討しましょう。住み替えローンとは、既存住宅ローンを完済するのに不足した金額と、新居の購入に必要な金額をまとめて借りられる商品です。 ただし、頭金や手付金などの費用を考慮すると、現実的に自己資金なしで住み替えローンを用いて住み替えるのは難しいでしょう。 関連記事はこちら住み替えローンとは?利用の流れやメリット・デメリットを解説 現居を活用して資金を得る方法②:売却つなぎローンを利用する 2つ目の方法は、売却つなぎローンを利用する方法です。売却つなぎローンとは、売却予定の現居を担保とした不動産担保ローンの一種です。毎月の支払いが利払いで、元金は現居を売却した代金で返済する商品と、月々の返済はなく、元金も利息も現居を売却した代金でまとめて返済する商品があります。 現居を売却せずに資金を調達することができるため、既存の住宅ローンを完済しつつ先に新居を購入でき、仮住まいを用意する必要がなくなります。一方で、借り入れに伴う融資手数料や利息がかかってしまうのがデメリットです。 また、新居の住宅ローンも借りる場合は、売却つなぎローンを借りていても借りられる住宅ローンを取扱う金融機関を探さなければいけないため、選択肢が絞られる点にも注意が必要です。 現居の活用だけでは新居を購入できない場合 現居の活用によって得た資金で既存住宅ローンを完済したものの、新居の購入に必要な金額には満たなかった場合、新規住宅ローンを検討する必要があります。最近は新居の購入資金に諸費用も含めたオーバーローンを組める場合もあるので、必要があれば金融機関に相談してみましょう。 ただし、現居による資金調達で少なくとも手付金として必要な金額を用意する必要があります。手付金の用意ができなかった場合、自己資金無しでの住み替えは難しいでしょう。 新規住宅ローンの選択肢 新規住宅ローンの選択肢として、一般的な住宅ローン以外にも検討すべき3つのローンを紹介します。 選択肢①:フラット35 フラット35を取り扱う金融機関は、売却つなぎローンも併せて扱っている場合も多いので、売却つなぎローンと新規住宅ローンの利用を検討している場合は選択肢のひとつです。 フラット35の場合、現居の売却活動等を行っている事を条件に、審査の返済比率計算に含めない特徴があり、売却つなぎローンを利用しての住み替えに非常に相性が良い住宅ローンです。 関連記事はこちらフラット35とは?メリット・デメリットを解説 選択肢②:親子リレーローン 親子リレーローンであれば、長期返済が可能になるため、月々の返済負担を軽減したい場合は選択肢のひとつです。 関連記事はこちら親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説 選択肢③:リ・バース60 リ・バース60であれば、高齢でも利用できる可能性が高いので、高齢を理由に一般的な住宅ローンの審査に落ちてしまった場合は選択肢のひとつです。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 まとめ 自己資金なしでも、現居を適切に活用することで住み替えできる可能性があります。適切な現居の活用方法と新規住宅ローンを選択し、自己資金なしでの住み替えを成功させましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住み替えの方法と成功させるポイント 持ち家に住んでいても、転勤や家族構成の変化などのライフスタイルの変化などを理由に住み替えを検討することがあるでしょう。 住み替えは新居の購入や自宅の売却、住宅ローンの手続きなど、同時に進めな...記事を読む

    2024.01.19住み替え
  • 引っ越し手続きガイド

    【引越し手続きガイド】必要な手続きと注意点を知っておこう

    引越しでは、さまざまな手続きが必要です。事前にやるべきことを整理しておかないと、手続き完了までに時間がかかり、トラブルの原因にもなります。安心して新生活をスタートできるように、引越しに必要な手続きと注意点を知っておきましょう。 引越し前の手続き 引越し前に必要な主な手続きは以下のとおりです。 連絡先 必要なもの 転出届の提出 市区町村 本人確認書類、印鑑など 国民健康保険の資格喪失届 市区町村 保険証、本人確認書類、印鑑など 印鑑登録の抹消 市区町村 登録している印鑑、印鑑登録証、本人確認書類など 児童手当の受給事由消滅届 市区町村 本人確認書類、印鑑など 電気・ガス・水道の移転 検針票記載の問合せ先 検針票記載のお客様番号 電話・インターネットの移転 回線事業者・プロバイダー 請求書、お客様番号(ID)など 銀行口座の住所変更 銀行窓口 通帳、届出印 NHK受信料の住所変更 NHK 本人や転居先などの情報 郵便物の転送 郵便局、インターネット 印鑑 転居届や国民健康保険、印鑑登録、児童手当などの手続きは、引越し前の住所地の市区町村で行います。同じ市区町村内での引越しの場合、手続きが不要になるものもあるため、窓口で確認しておきましょう。 国民年金は、引越し先の市区町村で住所変更の手続きを行います。なお、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者の場合、住所変更に関する届け出は原則不要です。結びつきの状況は、ねんきんネットや最寄りの年金事務所で確認できます。会社員の場合は、年金や健康保険の住所変更は勤務先が代行してくれるので、勤務先の担当者に確認しましょう。 電気、ガス、水道などのライフラインは移転手続きを行い、引越し先でスムーズに利用できるようにしておくことが大切です。郵便物の転送についても、忘れずに手続きをしておきましょう。 関連記事はこちら「ねんきんネット」はこんなに便利!使い方を詳しくご紹介 引越し当日の手続き 引越し当日は、以下のような対応を行います。 引越し料金の支払い 荷物の搬出作業、新居への搬入作業の立会い 退去手続き(ガス使用停止の立会い、鍵の返却など) ご近所へのあいさつ 電気、ガス、水道の開通・開栓 引越し料金は、引越し当日の作業開始前に支払うのが一般的です。クレジットカード決済や口座振込など、依頼する引越し業者によって異なります。 引越し業者が荷物の搬出、搬入作業をする際は、破損や紛失などのトラブルを避けるため、依頼者が立ち会う必要があります。鍵の返却などの退去手続きについては、貸主や管理会社などに確認しておくとスムーズです。 引越し先では、ご近所にあいさつをして、引越し作業で迷惑をかける可能性があることを伝えておきましょう。通常、電気と水道は入居と同時に使用できますが、ガスはガス会社に開栓してもらう必要があります。 引越し後の手続き 引越し後に必要な主な手続きは以下のとおりです。 連絡先 必要なもの 転入届の提出 市区町村 転出証明書、本人確認書類、印鑑など 国民年金の住所変更 市区町村 転出証明書、本人確認書類、印鑑、年金手帳など 国民健康保険の加入手続き 市区町村 対象者全員の保険証、本人確認書類など 印鑑登録の再登録 市区町村 本人確認書類、登録する印鑑 児童手当の受給手続き 市区町村 本人確認書類、印鑑、申請者の普通預金通帳など 運転免許証の住所変更 警察署、運転免許センター 免許証、新住所を確認できる書類、印鑑など 転入届や国民年金、国民健康保険は転居した日から14日以内、児童手当については15日以内に新しい住所地のある市区町村で手続きを行います。期限があるため、忘れないように注意しましょう。 運転免許証の住所変更については、新しい住所地を管轄する警察署や運転免許センターで手続きができます。 引越し時の注意点 新しい家に引越しする際は、トラブルを防ぐために以下の点に注意しましょう。 早めに準備をしておく 引越しは、毎年3月~4月がピークです。ピーク期間はなかなか予約がとれず、引越し料金も高い傾向にあります。ピーク期間や土日祝日を避けて平日に引越しを行えば、予約を取りやすく、費用負担も抑えられます。早めに引越しの準備に着手し、可能であればピーク期間を避けるといいでしょう。 複数の引越し業者に見積もりをとる 引越しの費用やサービスは、業者によって異なります。複数の業者から見積もりをとり、比較検討したうえで依頼する業者を決めることが大切です。 トラブルを避けるには、電話やインターネットだけでなく、できれば業者の担当者と直接会って見積もりをとるのが理想です。料金の支払い方法やタイミング、解約・延期になった際の手数料についても確認しておきましょう。 近年は、テレビ電話を通してのオンライン見積もりを提供している引越し業者もあります。室内に入られることに抵抗がある場合や、可能な限り見積もりにかかる時間をコントロールしたい場合など、うまく活用するといいでしょう。 荷物の破損や紛失に注意する 引越し時には、荷物の破損や紛失が発生する恐れがあります。食器など割れやすいものは、箱の中で動かないように隙間を紙で埋めるなどの対応をしておきましょう。パソコンなどの電子機器については、データの消失に備えて事前にバックアップを取っておくと安心です。 引越しが終わった後、荷物の破損や傷を発見した場合は、すぐに引越し業者に連絡しましょう。業者の責任は、荷物の引き渡し日から3ヵ月以内となっています。発見が遅れると事故原因がわからなくなってしまうため、引越し後はできるだけ早く荷物の状態を確認しましょう。 まとめ 引越しは荷造りやゴミの処分に加えて、さまざまな手続きが必要になります。やるべきことをリスト化し、完了したものにチェックを入れていくと、漏れなく対応できます。新居での生活を気持ちよくスタートできるように、引越しに必要な手続きを理解しておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住み替えの方法と成功させるポイント 持ち家に住んでいても、転勤や家族構成の変化などのライフスタイルの変化などを理由に住み替えを検討することがあるでしょう。 住み替えは新居の購入や自宅の売却、住宅ローンの手続きなど、同時に進めな...記事を読む

    2024.01.17住み替え
  • セーフティネット住宅とは

    セーフティネット住宅とは?入居条件や費用をわかりやすく解説

    賃貸住宅は持ち家に比べて気軽に引っ越しもでき、自由度が高いのが魅力です。しかし、働いていない高齢者などは入居を断られることがあります。そこで、賃貸住宅に安心して入居するために、「セーフティネット住宅」を利用するのも選択肢です。 この記事では、セーフティネット住宅の概要や入居条件、費用について詳しく解説します。 セーフティネット住宅とは セーフティネット住宅とは、住宅セーフティネット制度に登録されている、住宅確保要配慮者(詳細は後ほど説明)の入居を拒まない賃貸住宅です。 高齢者や障がい者など、住宅の確保に配慮が必要な人は今後も増加が見込まれています。しかし、住宅セーフティネットの根幹である公営住宅は、財政的な負担が大きいことから増加が見込めない状況です。 そこで、2017年10月に、増加している民間の空き家を活用した住宅セーフティネット制度が始まりました。住宅セーフティネット制度は、以下3つの柱で成り立っています。 住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度 登録住宅の改修や入居者への経済的な支援 住宅確保要配慮者に対する居住支援 【参考】住宅セーフティネットの仕組み 出典)国土交通省「住宅セーフティネット制度について」 住宅確保要配慮者とは セーフティネット住宅は、住宅確保要配慮者が賃貸人に入居を申し込みできます。住宅確保要配慮者の範囲は以下のとおりです。 ①低額所得者(月収15.8万円(収入分位25%)以下) ②被災者(発災後3年以内) ③高齢者 ④障がい者 ⑤子ども(高校生相当まで)を養育している者 ⑥住宅の確保に特に配慮を要するものとして国土交通省令で定める者 上記⑥は、外国人や東日本大震災等の大規模災害の被災者(発災後3年以上経過)などが含まれます。 住宅確保要配慮者の厳しい現状 国土交通省の資料によると、賃貸人は住宅確保要配慮者の入居に対して以下のようなネガティブな意識を持っています。 〇住宅確保要配慮者の入居に対する賃貸人(大家等)の意識 出典)国土交通省「住宅セーフティネット制度の現状について」(P.3) 賃貸人の約7割は高齢者や障がい者の入居、賃貸人の約6割は外国人の入居に対して拒否感を抱いています。また、賃貸人が入居を制限する理由は以下のとおりです。 〇賃貸人(大家等)の入居制限の理由 出典)国土交通省「住宅セーフティネット制度の現状について」(P.3) 賃貸人は、他の入居者や近隣住民との協調性、家賃の支払い、居室内での死亡事故等に対して不安を強く感じているようです。これらの結果から、住宅確保要配慮者が一般的な賃貸住宅を利用するのは困難であり、住宅セーフティネット制度が必要とされていることが分かります。 セーフティネット住宅の登録基準 賃貸人は、セーフティネット住宅として都道府県、政令市、中核市に賃貸住宅を登録できます。主な登録基準は以下のとおりです。 ①耐震性を有すること ②住戸の床面積が原則25㎡以上であること ③家賃の額が近傍同種の住宅の家賃の額と均衡を失しないこと 共同居住型住宅(シェアハウス)については、住宅全体の面積や専用居室、共用部分について別途基準が定められています。 入居を受け入れる住宅確保要配慮者の範囲 セーフティネット住宅では、住宅確保要配慮者の受け入れが必要です。ただし、すべての住宅確保要配慮者を受け入れる必要はなく、範囲を限定して登録できます。例えば、「高齢者の入居は拒まない」「高齢者、低額所得者の入居は拒まない」といった具合です。マンションなどの集合住宅については、住戸単位での登録が可能です。 セーフティネット住宅の費用 国土交通省の資料によると、セーフティネット住宅の家賃の状況は以下のようになっています。 〇セーフティネット住宅の家賃の状況 出典)国土交通省「住宅セーフティネット制度の現状について」(P.7) 全国では家賃5~8万円、東京都では家賃6~10万円の住宅が全体の70%以上を占めています。なお、一般的な賃貸住宅に住むときと同様に、敷金や礼金が必要な場合もあります。 セーフティネット住宅の現状 2022年12月末現在、登録住宅のほとんどが共同住宅です。戸建て住宅は0.1%しかありません。戸建て住宅への入居を希望する場合、セーフティネット住宅の物件を見つけるのは難しいでしょう。また、登録住宅の空室率は2.3%となっており、既にほとんど埋まっている状態です。 住宅確保要配慮者の対象を見る限り、セーフティネット住宅の需要は高まると考えられます。現在は需給バランスが取れておらず、このままでは今後増加が見込まれる単身世帯の需要に対応できない恐れがあります。 空き家問題の解決に繋がるか 住宅セーフティネット制度は、住宅確保要配慮者への住居提供だけでなく、空き家問題の解決策としても期待されています。 セーフティネット住宅の提供は、公営のみでは限界があるので、民間の協力が不可欠です。そこで、空き家となっている住宅をセーフティネット住宅として提供することが推奨されています。 セーフティネット住宅は需要増加が見込まれているため、空き家の登録が増えれば、「要配慮者の住宅確保」と「空き家の解消」という2つの課題を同時に解決できる可能性があるといえます。 まとめ セーフティネット住宅であれば、高齢者や障がい者、子育て世帯など、住宅の確保に配慮が必要な人でも安心して入居できます。入居可能な物件は「セーフティネット住宅情報提供システム」で検索可能です。 一般的な賃貸住宅への入居が難しい場合は、セーフティネット住宅を検討してみてはいかがでしょうか。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説 誰でも年をとると、身の回りのことができなくなったり、思ったようにできなくなったりしていきます。体が弱ってきたとき、あるいは要介護状態になったとき、自宅以外の住まいの選択肢として、どのような候...記事を読む

  • 登記情報提供サービスとは

    登記情報提供サービスとは?概要と利用料金を解説

    登記情報提供サービスは、インターネット上で登記情報を確認できるサービスです。法務局に行かなくても登記の内容を把握できるため、情報取得にかかる時間や手間を省けます。この記事では、登記情報提供サービスの概要と使い方、利用料金について解説します。 登記情報提供サービスとは 登記情報提供サービスとは、登記所が保有する登記情報を、インターネットを使用してパソコンの画面上で確認できる有料サービスです。提供される登記情報は以下のとおりです。 不動産登記情報(全部事項) 不動産登記情報(所有者事項) 地図情報 図面情報 商業・法人登記情報 動産譲渡登記事項概要ファイル情報及び債権譲渡登記事項概要ファイル情報 請求した時点における登記情報を、リアルタイムで表示、保存できます。さらに、照会番号の発行も行っています。照会番号とは、登記事項証明書の代わりに添付できる番号のことです。行政機関等へのオンライン申請等の際に照会番号を添付することで、登記情報提供サービスで取得した登記情報を登記事項証明書に代えて申請できます。 登記情報提供サービスを利用するには 登記情報提供サービスを利用するには、パソコンを用意して、ネットを利用できる環境を整えることが前提となります。スマートフォンやタブレットは動作が保証されておらず、非推奨となっているので注意が必要です。そのうえで、以下3つの利用方法があります。それぞれの概要について解説します。 ①一時利用 一時利用とは、申込手続(登記情報提供契約の締結)をすることなく、一時的に利用する方法です。一時利用者登録を行うと、クレジットカードの即時決済ですぐに利用できます。登記情報を請求できるのは、初回ログインを行った当日のみです。翌日以降のログインは、マイページの利用に限られます。マイページでは、利用実績や利用明細の確認ができます。 ②登録利用 登録利用とは、あらかじめ申込手続を行い、利用登録をしたうえで利用する方法です。個人と法人で、利用方法は異なります。 個人は、申込単位にひとつの利用者ID(登記情報を請求できるID)が交付されます。同一IDで同時に複数ログインはできないため、複数名で利用する場合は、利用する口数分の申し込みが必要です。申込手続は約1週間で、手続完了後は「登録完了通知書(利用者ID)」が交付されます。料金の支払いは、登記情報を請求する都度、クレジットカードで決済されます。 法人は、申込単位にひとつの「管理者ID」が交付されます。管理者IDでは、登記上の請求はできません。管理者IDでログインし、利用人数分(最大200名分)の利用者IDの登録を行います。申込手続は約1ヵ月で、手続完了後は「登録完了通知書(管理者ID)」が交付されます。料金の支払いは、月ごとに預金口座からの引き落としです。 ③公共電子確認 照会番号の提供を受けた公共機関が、オンライン申請等の確認時に使用する方法です。法人の利用登録と同じく、発行された管理者IDでログインし、利用者ID(最大200名分)の登録を行います。 登記情報提供サービスにかかる費用 登記情報提供サービスでは、「登録手数料」と「利用料金」がかかります。それぞれの内容と料金を紹介します。 登録手数料 登録利用の場合、利用区分に応じて以下の登録手数料がかかります。 個人登録利用…300円(273円) 法人登録利用…740円(673円) 国、地方公共団体等…560円(510円) ※登録費用の()内の料金は、消費税不課税対象者(利用者の住所等が日本国外にある場合に、消費税法の課税対象外となり消費税が課されない方)の登録費用です。 出典)登記情報提供サービス「サービス概要」 一時利用と公共電子確認の場合、登録手数料はかかりません。 利用料金 利用料金は、確認する登記情報や内容に応じて以下の利用料金がかかります。 出典)登記情報提供サービス「サービス概要」 公共電子確認の場合、利用料金はかかりません。 登記情報提供サービス利用上の注意点 登記情報提供サービスを利用する際の注意点は以下のとおりです。 受付時間に制限がある 登記情報提供サービスはインターネット上で手続きを行いますが、以下の受付時間内しか利用できません。 <登記情報提供サービスの利用時間> 平日:8:30~23:00 土日祝日:8:30~18:00 ※地図及び図面情報については平日の8:30~21:00 また、年末年始(12月29日~1月3日)は休業日となります。利用終了時間になると途中で送受信が切断されることがあるので、時間に余裕をもって利用しましょう。 法的な証明書にはならない 登記情報提供サービスでは、利用者が請求した時点において登記所が保有する登記情報を確認できますが、あくまで「閲覧」と同等のサービスです。登記事項証明書とは異なり、証明文や公印等は付加されないため、PDF形式で受領したデータを印刷しても法的な証明書にはなりません。 ただし、行政機関等へのオンライン申請等は、登録事項証明書を添付する代わりに照会番号を利用できることもあります。詳細は、申請先の行政機関等へご確認ください。 関連記事はこちら登記簿謄本(登記事項証明書)とは?取得方法や記載内容を解説 まとめ 登記情報提供サービスは、インターネット上で登記情報を確認できる便利なサービスです。法務局で書面請求するよりも費用が安く済むのもメリットです。 ただし、データを印刷しても法的な証明書として認められず、契約時などには利用できません。「登記情報の確認に限定する」「行政機関等への申請には照会番号を添付する」など、状況に応じてうまく使い分けましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住所変更登記等の義務化はいつから?手続き方法や注意点も解説 不動産所有者の氏名や住所などに変更があった場合の、法務局での住所等の変更登記はこれまで任意でしたが、不動産登記法の改正により登記申請が義務化されることになりました。変更登記をしないと罰則を科...記事を読む

    2024.01.03制度
  • フラット35の審査基準

    フラット35の審査基準を徹底解説!

    フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利が確定するため、返済計画を立てやすく、金利変動リスクへの備えとなります。ただし、フラット35の審査基準は民間の住宅ローンとは異なります。 この記事では、フラット35の審査基準を、申込人に関する基準と住宅に関する基準に分けて解説します。 【フラット35】の審査基準:申込人に関する基準 フラット35の審査では、申込人の年齢や国籍、収入状況、信用情報などが確認されます。 年齢 フラット35は、申し込み時の年齢が満70歳未満の人が対象です。ただし、親子リレー返済を利用する場合は、満70歳以上でも申し込みできます。 親子リレー返済とは? 親子リレー返済とは、申込者本人とその後継者が2世代で住宅ローンを返済していく制度です。以下3つの要件をすべて満たす人を後継者とすれば、申込者本人の年齢が70歳以上でも申し込みできます。親子リレー返済の後継者の要件は以下のとおりです。 申込者本人の子・孫など(申込者本人の直系卑属)またはその配偶者で定期的収入のある人 申込時の年齢が満70歳未満の人 連帯債務者になる人 関連記事はこちら親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説 国籍 フラット35は、日本国籍であることも申込要件です。外国籍の場合、永住許可を受けている人か特別永住者の人であれば申し込みできます。 収入状況 収入状況については、年収に応じて総返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)の基準が定められています。 年収400万円未満の場合:総返済負担率30%以下 年収400万円以上の場合:総返済負担率35%以下 年収は、原則として申込年度の前年の収入で確認されます。会社員は給与収入金額、自営業者などは所得金額(事業所得、不動産所得などの合計額)をもとに判断します。一定の要件を満たす場合は、申込者本人の親や子、配偶者との収入合算も可能です。 総返済負担率は、フラット35以外の住宅ローンや自動車ローン、カードローンなどの返済額も含めて計算します。 太陽光発電の売電収入を年収に合算できる 融資対象住宅に太陽光発電設備を設置する場合、一定の要件を満たすと、その設備から得られる売電収入を年収に加算できます。新築住宅の建設や購入、中古住宅の購入に併せてリフォーム工事を行う場合の融資が対象です。 年収に加算できる金額は、発電出力(kw数)に応じて上限額が設けられています。 信用情報 フラット35では、申込者の返済能力を判断するために信用情報が確認されます。具体的には、税金や他のローンの滞納などがないかを見られます。ローンの滞納歴などが信用情報に記録されていると、審査に通過しにくくなる恐れがあります。 資金使途 フラット35の資金使途は、申込者本人またはその親族が居住する新築住宅の建設や購入、中古住宅の購入に限定されます。第三者に賃貸するなど、投資用物件の取得資金には利用できません。 【フラット35】の審査基準:住宅に関する基準 フラット35は、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅が対象です。基準を満たしていることを証明するため、物件検査をして適合証明書を取得しなくてはなりません。取得する住宅が新築か中古かで技術基準は変わります。 新築の場合 新築住宅の主な基準項目は以下のとおりです。 戸建て マンション 接道 原則として一般の道に2m以上接すること 住宅の規模 70㎡以上 30㎡以上 住宅の企画 原則として2以上の居住室、炊事室、便所および浴室の設置 併用住宅の床面積 併用住宅の住宅部分の床面積は全体の2分の1以上 戸建型式など 木造の住宅は戸建てまたは連続建てのみ 住宅の構造 耐火構造、準耐火構造または耐久性基準に適合すること その他に、断熱構造や配管設備などの基準もあります。マンションについては、管理規約や長期修繕計画も基準項目です。新築住宅の物件検査は、以下の流れで行われます。 設計検査(工事前に設計図などを確認) 中間現場検査(工事途中に目視で確認) 竣工現場検査(工事完了後に検査済証が交付されていることを確認) 合格後、適合証明書の交付 中古の場合 中古住宅の基準項目は、上記の新築住宅と大きな差はありません。ただし、住宅の耐震性や劣化状況などが確認されます。例えば、住宅の耐震性は建築確認日が昭和56年6月1日以後であることが要件です。建築確認日が昭和56年5月31日以前の場合は、耐震評価基準に適合している必要があります。 中古住宅の物件検査では、書類審査と現地調査が行われ、合格すると適合証明書が交付されます。新築時に適合証明書を取得していても、原則として中古住宅の適合証明書の取得が必要です。 フラット35の審査が緩いと言われる理由 フラット35は「審査が緩い」と言われることがあります。その理由は、フラット35の審査では、民間の住宅ローンとは異なる審査基準が用いられるためです。主に以下3つの理由が考えられます。 審査金利が適用金利と同じ 民間の住宅ローンの審査でも、フラット35の審査でも、返済負担率が重視されます。返済負担率の計算に用いる金利は審査金利と呼ばれますが、民間の住宅ローン(変動金利型)の場合、融資後の金利上昇を考慮して、3%以上の金利が用いられます。 一方で、フラット35の場合は返済負担率の計算にも、適用金利と同じ金利が用いられます。2024年4月時点のフラット35金利は、低いところで2%前後であるため、民間の住宅ローンより返済負担率が低く計算されます。 職種を重視されない 民間の住宅ローンでは、申込者の職種は重要視されます。住宅金融支援機構によると、住宅ローンを提供する金融機関の46.8%が「職種、勤務先、雇用形態は、審査項目として重要度が増している」と回答しています。 一方で、フラット35が公表している審査基準には、職種についての記載はありません。他の基準を満たせば、原則どんな職種でも審査に影響しないでしょう。 出典)住宅金融支援機構「2023年度 住宅ローン貸出動向調査」 団体信用生命保険の加入が任意 民間の住宅ローンの多くは、団体信用生命保険(団信)の加入が申込要件となっています。仮に収入等の条件を満たしていたとしても、健康状態が原因で団信に加入できず、審査に落ちてしまう恐れもあります。 一方で、フラット35は団信加入が任意であり、団信に加入できないことで審査に落ちる心配がありません。ただし、団信に加入しないのであれば、もしものときにローン返済をどうするかを検討しておく必要があります。 まとめ フラット35の審査基準は、主に「申込人」と「住宅」の2つに分けられます。「審査が緩い」と言われることもありますが、基準を満たさないと融資を受けられません。審査基準はフラット35のホームページで公表されているので、事前に確認しておきましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 フラット35Sとは?種類や金利、利用条件について解説 近年、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利が上がっています。「今後金利がますます上昇するのでは?」と不安になり、全期間固定金利であるフラット35を利用したい一方で、既にフラット3...記事を読む

  • フラット35Sとは

    フラット35Sとは?種類や金利、利用条件について解説

    近年、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利が上がっています。「今後金利がますます上昇するのでは?」と不安になり、全期間固定金利であるフラット35を利用したい一方で、既にフラット35の金利を高く感じており、どうするべきか迷っている人もいるかもしれません。 そういった方に知っていただきたいのが、「フラット35S」という制度です。一定の条件を満たし、この制度を利用することで、フラット35の金利を一定期間下げることができます。この記事では、フラット35Sの種類や金利、利用の条件について解説します。 フラット35Sとは フラット35Sとは、フラット35の申込者が長期優良住宅など、省エネルギー性や耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する場合に、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度です。新築住宅だけでなく、中古住宅も対象です。 住宅の基準は通常のフラット35より厳しく設定されますが、基準を満たせば金利が下がるため、返済負担の軽減が期待できます。フラット35Sは、住宅の技術基準の高い順から、「フラット35S(ZEH)」、「フラット35S(金利Aプラン)」、「フラット35S(金利Bプラン)」の3種類があります。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】S」 フラット35Sの金利の引下げ幅と期間 フラット35Sの金利の引下げ幅と引下げ期間は、プランによって異なります。 フラット35S(ZEH)は、当初5年間は年-0.5%、6年目から10年目までは年-0.25%の引下げとなります。対してフラット35S(金利Aプラン)は当初10年間、フラット35S(金利Bプラン)は当初5年間、それぞれ年-0.25%の引下げとなります。 なお、どのプランでも金利引下げ期間が終了したら、通常のフラット35の金利に戻ります。 フラット35Sの返済シミュレーション フラット35Sによって、返済負担はどのくらい軽減されるのでしょうか。 下表は、借入額3,000万円(融資率9割以下)、借入金利年1.80%、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なしの場合の返済シミュレーションをまとめたものです。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】S」 通常のフラット35と比較した総返済額の負担軽減効果は、フラット35S(ZEH)で約114万円、フラット35S(金利Aプラン)で約74万円、フラット35S(金利Bプラン)で約40万円となります。より住宅の技術基準が厳しいプランほど、総返済額の負担軽減効果も高くなります。 フラット35Sの対象となる住宅の技術基準 フラット35Sを利用するには、フラット35の技術基準に加えて、プランごとに定められた追加基準を満たす必要があります。ここでは、フラット35Sの対象住宅の主な技術基準を紹介します。 ①フラット35S(ZEH) フラット35S(ZEH)では、「断熱性能」と「一次エネルギー消費量」の基準が設定されています。断熱性能は地域の区分、一次エネルギー消費量はZEH住宅の種類(区分)に応じた基準値を満たすことが要件です。 その他にも、戸建てと戸建て以外(マンションなど)で、それぞれ適用条件が詳細に定められています。 出典)【フラット35】S(ZEH)に関する基準 ②フラット35S(金利Aプラン) フラット35S(金利Aプラン)は、以下1~5のうち、いずれか1つ以上の基準を満たす新築住宅が対象です。 断熱等性能等級5以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅 耐震等級3の住宅 免震建築物 高齢者等配慮対策等級4以上の住宅 長期優良住宅 中古住宅については、基準が異なります。詳しくは取扱金融機関にご確認ください。 出典)【フラット35】Sの対象となる住宅 ③フラット35S(金利Bプラン) フラット35S(金利Bプラン)は、以下1~5のうち、いずれか1つ以上の基準を満たす新築住宅が対象です。 断熱等性能等級4以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅 断熱等性能等級5以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級4または等級5の住宅 耐震等級2以上の住宅 高齢者等配慮対策等級3以上の住宅 劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅 金利Aプランと同じく、中古住宅は基準が異なります。詳細は取扱金融機関にご確認ください。 出典)【フラット35】Sの対象となる住宅 フラット35Sの注意点 フラット35Sは金利引下げの特典を受けられますが、以下の点に注意が必要です。 予算金額次第で利用できない場合がある フラット35Sは予算が決まっており、全体の実行額が予算額に達する見込みとなった時点で受付が終了します。受付終了日は、終了する3週間前までにフラット35のホームページにて掲載されます。利用を検討している場合は、定期的に確認しておきましょう。 フラット35であれば必ず併用できるわけではない フラット35には、いくつか商品ラインナップがあります。そのうち、「フラット35(リノベ)※」はフラット35Sと併用できません。また、資金使途が借り換えの場合も利用できないので注意しましょう。 ※フラット35(リノベ)とは、中古住宅の購入とあわせて一定の要件を満たすリフォームを実施すると、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度 借入期間中ずっと金利が下がるわけではない フラット35Sの金利引下げ期間は当初5~10年間です。金利引下げ期間が終了すると金利は元に戻り、その後は返済負担が大きくなります。金利が元に戻ったときに、返済が厳しくならないかを考えておく必要があります。 フラット35Sを利用すべき? フラット35を利用することが決まっている場合は、検討すべきでしょう。総返済額が減るため、一定期間金利を下げられるのは大きなメリットといえます。 ただし、フラット35Sを利用して金利を一定期間下げられたとしても、民間の金融機関の住宅ローンを固定金利で借りたほうが、総返済額が少なく済むことも考えられます。他の住宅ローンと総返済額などを比較したうえで、フラット35Sを利用するか判断することが大切です。 まとめ 一定の省エネルギー性や耐震性などを備えた住宅を購入する場合は、フラット35Sを利用することで金利が下がるかもしれません。固定金利で住宅ローンを組む場合は、銀行などのローンと比較したうえで、フラット35Sを検討してみてはいかがでしょうか。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 60歳以上のフラット35利用者が増加傾向!最新の実績調査を考察 フラット35とは、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利と返済額が確定するため、長期にわたる返済計画を立てやすいのが...記事を読む

  • 親子リレーローンとは

    親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説

    親子リレーローンは、親子二世代にわたって返済する仕組みの住宅ローン商品です。親子リレーローンを利用することで、単独でローンを組むより借入金額を増やせる可能性があります。一方で、親子リレーローンにはデメリットもあるので、仕組みを理解して利用することが大切です。 この記事では、親子リレーローンの概要やメリットとデメリット、注意点を解説します。 親子リレーローンの概要 親子リレーローンとは、主に親子で1つの住宅ローンを契約し、二世代にわたって返済していくローンです。一般的には最初に親が返済し、親が定年退職したタイミングなどで子に返済を引き継ぎます。 「親子」という名称ですが、フラット35の親子ローンなど、申込者本人の孫や、子もしくは孫の配偶者を後継者とできる場合もあります。また、新築や購入だけでなく、リフォームや住み替え、借り換えでも利用できます。 申込要件 親子リレーローンは、金融機関ごとに申込要件が設定されています。例えば、とある民間の金融機関では、以下のような申込要件が設定されています。 親子で同居している、または将来同居を予定している 子の申込時年齢が満70歳未満、完済時年齢が満80歳未満(親の完済時年齢は上限なし) 安定した継続収入がある 団体信用生命保険(団信)に加入できる 親子の同居が要件となるかは、金融機関によって異なります。例えば、住宅金融支援機構が提供するフラット35の親子リレー返済では、後継者の同居は問われません。 原則として、親子ともに安定収入があることが要件です。また、親子のどちらかが団信に加入する必要があります。金融機関によっては、親子ともに団信への加入が求められる場合もあります。申込要件は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。 親子リレーローンのメリット 単独で住宅ローンを組む場合に比べて、親子リレーローンには以下のようなメリットがあります。 借入金額を増やせる 親子リレーローンでは、親子の収入合算で借入可能額を計算します。そのため、親または子が単独で住宅ローンを組むより借入金額を増やせます。単独で住宅ローンを申し込んだものの、借入希望額に届かなかった場合に有効です。 月々の返済額を減らせる 親子リレーローンは、親から子へ返済が引き継げます。そのため、単独借り入れでは高齢であることを理由に期間が短くなってしまう場合でも、親子リレーローンであれば、返済期間を長くすることが可能です。返済期間が長くなれば、その分月々の返済額を抑えられます。 住宅ローン控除をそれぞれで利用できる 親子リレーローンでは、住宅の持分割合や返済負担割合に応じて、親と子がそれぞれ住宅ローン控除を利用できます。例えば、住宅の持分が2分の1ずつの場合、親と子のどちらもローン年末残高の50%を基準に控除を受けられます。 なお、持分割合と返済負担割合が一致しない場合、控除を受けられる金額が変わるため注意が必要です。詳しくは、税理士などの専門家に相談しましょう。 関連記事はこちら【令和5年版】住宅ローン控除とは?取得した住宅の状況に分けて解説 親子リレーローンのデメリット 一方で、親子リレーローンには以下のようなデメリットもあります。 親が亡くなった際に子に債務が残る 親子リレーローンは、基本的に子だけが団信に加入するか、親子がそれぞれ借入金額の1/2ずつ団信に加入する場合がほとんどです。そのため、どちらの場合であっても親が先に亡くなると、子に債務が残ることになります。 加えて、親が団信に加入できないローンの場合、親が返済期間中の早い段階で亡くなってしまった場合に、子に過大な負債が残る恐れもあります。返済を引き継ぐ子に過度な負担をかけないためには、親も団信に加入できるローンを選ぶのが有効です。 他のローンが組めなくなることがある 親子リレーローンでは、返済を引き継ぐ子は連帯債務者となります。親の返済期間中も同じ返済義務を負うため、子は他のローンを組めなくなる場合があります。他のローンを組むことを想定している場合は注意が必要です。 贈与とみなされる場合がある 親子リレーローンでは、住宅の持分割合とローンの返済負担割合を一致させるのが一般的です。「子の返済を親が負担する」など、一方に有利な変更をすると贈与とみなされ、贈与税の課税対象となる恐れがあります。贈与とみなされることに不安がある場合は、返済方法について税理士などの専門家に確認しておくと安心です。 親子リレーローンの注意点 親子リレーローンを利用する場合は、以下の点に注意しましょう。 住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例が使えない 父母や祖父母から住宅の新築や取得、増改築に充てるために金銭の贈与を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税になる特例があります。非課税限度額は、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅は500万円です。 しかし、親子リレーローンは親子で住宅ローンを組んで返済していくため、この贈与税の特例の適用対象外です。 相続人の間でトラブルが起きる場合がある 親子リレーローンを組む場合、住宅の親の持分は相続財産に含まれます。子(相続人)が複数いる場合、その持分を巡ってトラブルになる恐れがあるため、事前に財産の分け方などを話し合っておくことが大切です。 Appendix:フラット35の親子リレーローンは親だけで団信に加入できる デメリットで解説したとおり、基本的に親子リレーローンは、親が先に亡くなると、子に債務が残ることになります。 しかし、フラット35の親子リレーローンの場合、親が返済している間は親が単独で団信に加入できます*。つまり、親が債務を引き継ぐ前(80歳未満)に亡くなった場合、保険金によって住宅ローンを完済でき、子に債務を残さずに済みます。 ただし、もし親が80歳になっても存命である場合は、団信に加入していない状態で子に債務を引き継がなければなりません。ただ、そのタイミングで、新たに子が団信に加入することもできます*。 以上を踏まえると、フラット35の親子リレーローンは「子に債務を残さずに済む可能性がある」という点で、有効な手段と言えます。親子リレーローンを利用する場合は併せて検討しても良いでしょう。 ※健康状態によっては団信に加入できない恐れもあるので注意が必要です。 まとめ 親子リレーローンは、単独でローンを組むより借入可能額が増えるため、理想の住宅を取得しやすくなるのがメリットです。住宅ローン控除も、親と子がそれぞれ利用できます。一方で、親が返済期間中に亡くなると、子に過大な負債が残る恐れがあります。相続人が複数いる場合は、相続トラブルの原因にもなります。 親との同居を見据えて住宅を購入する場合は、仕組みやメリットとデメリットを理解したうえで、親子リレーローンを検討してみるといいでしょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 老後生活への準備として住み替えやリフォームをする場合、まとまった資金が必要になります。しかし、高齢になると、一般的な住宅ローンやリフォームローンの審査に通りにくくなります。 このような時に活...記事を読む