リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるサービスです。売却先であるリースバック運営会社と賃貸借契約を締結しますが、契約の種類によって退去の条件が変わります。リースバックの賃貸借契約では、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。 この記事では、リースバックにおける退去について詳しく解説します。 リースバックで強制退去させられる? リースバックにおける退去について考えるとき、サービスを利用する際に締結する賃貸借契約が重要です。リースバック利用時に締結する賃貸借契約は、一般的な賃貸借契約と同じで、普通賃貸借契約か定期借家契約を締結します。契約内容や状況次第では、入居者が希望したとしても、賃貸借契約を更新、もしくは再契約できるとは限りません。状況によっては、以下のような理由で強制退去させられることがあります。 賃貸借契約の違反 建物の状態の悪化 契約期間の満了 それぞれ詳しく確認していきましょう。 賃貸借契約の違反 賃貸借契約に違反した場合、貸主である運営会社から強制退去させられる恐れがあります。運営会社が裁判所へ強制退去を申し立て、請求が認められれば退去しなくてはなりません。一般的な契約違反として、長期間の家賃滞納、近隣への騒音や悪臭、ペットによるトラブル、無断転貸、などが考えられます。 建物の状態の悪化 経年劣化や地震などにより建物が老朽化、損壊することで入居者や隣家に被害が及ぶ恐れがある場合には、貸主は退去を申し出ることができます。なぜなら、建物の瑕疵や修繕義務の違反によって入居者が負傷した場合、賃貸物件の所有者である運営会社が賠償しなければならないためです。また、所有している建物の瑕疵が原因で隣家などに何らかの損害を与えた場合も、運営会社はその損害を賠償しなくてはなりません。 契約期間の満了 前述のとおり、普通借家契約と定期借家契約のどちらかを締結します。どちらも契約期間が定められていますが、普通借家契約は入居者が希望すれば契約更新が可能です。 一方で、定期借家契約は更新がなく、貸主と借主の双方が合意できなければ再契約できません。そのため、運営会社が再契約を認めなければ退去する必要があります。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? 退去時に費用はかかる? 退去時に費用がかかるかどうかは、リースバック運営会社によって異なります。契約書に退去時の費用について記載されていますが、サービスを利用する前に、退去時の費用の有無や内容を確認しておきましょう。 また、退去に伴い転居する際にも、新居を購入したり、借りたりする際の初期費用や引っ越し費用がかかります。あくまで間接的にかかる費用ですが、見積もっておくと安心でしょう。 「退去時に現金を払う」と説明された場合の注意点 リースバックでは、退去時に現金を払うことをうたっている運営会社もあります。その名目は「引っ越しサポート費用」など、運営会社によってさまざまです。 サービス利用時に「退去時に現金を払う」と説明されたとしても、対象期間や支払金額などの条件が契約書に明記されているかを必ず確認しておきましょう。 リースバックの退去に関するよくある質問 ここでは、リースバックの退去に関するよくある質問とその回答を紹介します。 自主的に退去することはできる? 自主的に退去したい場合は、貸主であるリースバック運営会社に申し出をすることで退去できます。どれくらい前に申し出ればよいかは契約内容によって異なるため、契約時に確認しておきましょう。 入居者が死亡したら親族はどうなる? リースバックで入居者が死亡した場合、その賃貸借契約は相続の対象です。そのため、親族が賃貸借契約を相続した場合は、そのまま住み続けることができます。 運営会社(物件の所有者)が変わったらどうなる? 運営会社が変わっても退去する必要はありません。賃貸借契約は新しい所有者に引き継がれ、賃貸人が変わるだけです。ただし、定期借家契約の場合は、これまでと同様に再契約を断られるリスクがあります。 退去後の買い戻しはできる? 運営会社は退去後に物件を売却するため、基本的に退去後の買い戻しはできません。交渉次第ではできるかもしれませんが、「買い戻しはできない」と考えておくほうがいいでしょう。リースバックで売却した自宅の買い戻しを想定している場合は、事前に買い戻し条件を確認したうえで退去前に申し出ることが大切です。 まとめ リースバックは自宅を売却してまとまった資金を手に入れた後も、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるのがメリットです。 しかし、定期借家契約の場合は再契約が認められず、退去となるリスクがあるほか、普通借家契約でも、契約違反や建物の老朽化などの理由で退去せざるを得ないこともあります。リースバックを利用する前に、賃貸借契約の種類や退去について理解を深めておきましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む
リースバックを検討するにあたり、どのように契約が進んでいくのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。リースバックの契約が終わってから後悔することが無いように、契約がどのような流れで進み、何に注意しなければならないかを正しく認識しておきましょう。 この記事では、リースバックの契約までの流れや注意点について詳しく解説します。 リースバックの契約までの流れ 一般的なリースバックの契約の流れは以下のとおりです。 ご相談・仮査定 仮査定結果の提示 現地調査及び査定 契約条件の提示 契約 売買成立・賃貸開始 それぞれどういった手続きなのか、順番に詳しく解説します。 1.ご相談・仮査定 まずはリースバック運営会社に問い合わせをします。一般的には、所有物件の状況や売却価格、家賃などの希望条件について確認されます。相談して問題がなければ、仮査定の申込を行いましょう。なお、仮査定の際には固定資産税額やマンションの場合には管理費や共益費などを確認されるので、問い合わせの際には正しく把握しておくといいでしょう。 2.仮査定結果(売却価格・家賃)の提示 問い合わせ時に提示した情報から仮査定が行われ、概算の売買金額と家賃が提示されます。仮査定では、あくまでその周辺地域の成約事例を基に算出されるので、戸建てなどの個別要因が強い不動産の場合は、本査定との乖離が大きくなることもあります。 3.現地調査及び査定 運営会社が実際に現地に訪問し、物件の状況確認や図面との照合、境界線の確認などが実施されます。仮査定時には分からなかった建物の不具合や図面との相違などがないかを確認したうえで、最終的な売買金額と家賃が確定します。 4.契約条件(売却価格・家賃)の提示 運営会社から本審査の結果が通知されます。売却価格や家賃などの契約条件が提示されるので、内容を確認して契約するかどうかを判断しましょう。なお、運営会社によっては売買価格や家賃の調整が一定の範囲内で可能な場合もあるので、自身の希望を伝えてみるといいでしょう。 5.契約 契約条件に同意する場合は契約手続きに進みます。契約の意思を伝えると、必要書類の確認と契約日の日程調整が行われます。ここで締結される契約は売買契約と賃貸借契約で、物件の買い戻しのための売買予約契約を締結する会社もあります。 6.売買成立・賃貸開始 売買代金の支払いが完了すると、売買が成立して物件の所有権が運営会社に移転します。それと同時に賃貸借契約も成立し、自宅の賃貸が開始されます。 リースバックを利用する際に必要な書類 リースバックを契約するまでに必要書類の提出を求められるタイミングは、本査定時と契約締結時の2つです。それぞれに必要な書類と取得方法を解説します。 リースバックの本査定時に必要な書類と入手方法 リースバックの本査定時に必要な書類は以下のとおりです。 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、保険証など) 住民票 固定資産税通知書 収入証明書(源泉徴収票、年金通知書など) 身分証明書や住民票は、本人確認や住所確認のために使用します。住民票は自治体の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニで発行することも可能です。 固定資産税通知書は、不動産の評価額を確認する際に使用します。固定資産税通知書は自治体から毎年送付されるもので、査定価格の算出のために必要な書類です。なお、固定資産税を確認するために使用するため、場合によっては提出までは求められないかもしれません。 また、リースバックでは賃貸となっても支払いが滞りなくできるかを確認するため、収入状況も審査されます。収入証明書として、勤務先から受け取った源泉徴収票や年金通知書などを準備しておきましょう。 リースバックの契約時に必要な書類と入手方法 リースバックは、査定時と契約時で必要書類が異なります。また、契約は「不動産売買契約」と「賃貸借契約」の2つに分かれており、それぞれ必要な書類は異なりますが、売買契約に伴って利用される書類がほとんどです。 不動産売買契約時には、身分証明書の他に以下の書類が必要です。 印鑑証明書(実印) 権利証(登記識別情報通知、登記済証) 売買契約時に必要な書類は、一般的な不動産売却と同じです。印鑑証明書は、印鑑が登録されたもの(実印)であることを証明する書類です。虚偽の申請で買主が不利益を受けないように、不動産売買では印鑑証明書を添付する必要があります。印鑑証明書は自治体の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニで発行することも可能です。 権利証は、不動産の所有者であることを証明する書類です。リースバックで自宅を売却すると、所有権が運営会社に移転します。この所有権移転登記を行う際に、権利証が必要になります。権利証は自宅を取得したときに発行されていますが、万が一紛失している場合にも代替措置があるので、運営会社に相談してみましょう。 賃貸借契約時には、身分証明書や収入証明書を準備します。連帯保証人をたてる場合は、連帯保証人の承諾書も必要です。ただし、保証会社と契約することで連帯保証人が不要となる運営会社もあります。 リースバックの契約時に必要に応じて提出する書類 リースバックの契約時に以下の書類の提出を求められる場合もあります。 ローン残高証明書・抵当権抹消書類 自宅の図面 掘削承諾書(前面道路が私道の場合) 自宅購入時の重要事項説明書 自宅建築時の建築確認通知書 境界確定書 管理規約・総会議事録(マンションの場合) リースバックの契約書に関する注意点 一般的に、リースバックの契約に用いられるのは「売買契約書」と「賃貸借契約書」の2つです。それぞれの契約書の注意点を解説します。 売買契約書 売買契約書は、物件の売却価格や売却代金の支払方法、支払日を確認しましょう。その他、通常の不動産売却と同様に、売主が負う契約不適合責任がどのように記載されているか確認しておくことが大切です。 また、リースバックは売却した自宅の買い戻しが可能な場合、買い戻しの可否や可能期間、買い戻し金額などが売買契約書に特約として記載されています。将来買い戻しを想定しているなら、買い戻し事項の有無と内容を確認しておきましょう。なお、運営会社によっては、売買契約書上の特約ではなく、売買予約契約書を別途締結する場合もあります。 賃貸借契約書 賃貸借契約書を確認する際に最も重要なのが、賃貸借契約が「普通借家契約」か「定期借家契約」かです。どちらも契約期間が定められていますが、普通借家契約は借主であるリースバックの利用者が希望すれば契約更新が可能です。一方、定期借家契約は更新がなく、再契約するためには運営会社の合意が必要となります。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? 契約の種類を確認したうえで、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用、更新料の有無、退去の申出期限、原状回復費用の負担割合といった基本的な内容も確認しておきましょう。 リースバックの利用に関する注意点 リースバックを利用する際は、複数の運営会社を比較することが大切です。運営会社によって売却価格や家賃、賃貸借契約の期間・種類が異なります。複数の運営会社に相談したうえで、希望条件に近い会社と契約しましょう。 また、リースバックで自宅を売却する前に、相続人と相談することも重要です。売却後は自宅の所有権が運営会社に移転するため、自宅は相続財産の対象外となります。あらかじめ相続人と相談しておかないと、相続発生後に相続人がリースバックに気づき、トラブルとなるケースもあります。リースバックを利用する場合、自宅を売却することをあらかじめ契約前に相続人に伝えるようにしましょう。 まとめ リースバックは、老後資金の確保や相続トラブルの回避に有効です。しかし、どのように契約が進行し、何に注意すべきかを把握しておかないと、トラブルになる恐れもあります。特に普通借家契約と定期借家契約の違いには注意が必要です。 リースバックで自宅を売却してから後悔しないように、正しく契約の流れと注意点を理解してから実際の契約を進めましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む
リースバックの利用を検討する中で、利用にあたってどのような税金が発生するのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。リースバックは不動産取引の一種であり、リースバックにかかる税金は不動産売却時にかかる税金と同様です。 この記事では、リースバックにかかる税金と、税金対策について解説します。 リースバックの売却と譲渡所得税 譲渡所得税の計算方法 リースバック時に必要な税金のなかで、最も気を付けなければならないのは「譲渡所得税」です。譲渡所得税とは、資産を売却して得た利益に対して課税される税金です。課税対象となる課税譲渡所得金額は以下の計算式で算出します。 課税譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額 上述の方法で算出した課税譲渡所得金額に、それぞれの家に応じた税率をかけることで譲渡所得税の金額を算出することができます。なお、計算式に登場する譲渡費用の詳細は以下のとおりです。 課税譲渡所得金額 譲渡所得税の税率をかける前の金額 譲渡収入金額 不動産売却時に、リースバックをした売主が受け取る金額 取得費 不動産購入時代金や建築費、家をリフォームした際の費用の合計から減価償却費相当額を控除した合計金額 譲渡費用 不動産売却時にかかった費用の総額(仲介手数料や売買契約書作成時に貼る印紙税なども含む) 特別控除額 控除や特例を使用することで課税を免除できる金額。(詳しくは後程「リースバックにおける税金対策」で解説します。) 譲渡所得税(所得税・住民税)の税率 譲渡所得税として課される所得税と住民税の税率は、リースバックする家を売却年の1月1日時点で何年所有していたかで異なります。 所有期間が5年を超える不動産を売却した場合、その譲渡所得(長期譲渡所得)に対して所得税*が15.315%、住民税が5%課されます。 対して、所有期間が5年以下の不動産を売却した場合、その譲渡所得(短期譲渡所得)に対して所得税*が20.63%、住民税が9%課されます。 リースバックをする際は、マイホームを所有してから何年経っているかを前もって確認するようにしましょう。 ※平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間は、復興特別所得税の2.1%を含む 出典) ・国税庁HP No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき) ・国税庁HP No.3208 長期譲渡所得の税額の計算 リースバックに関するその他の税金 譲渡所得税の他にも、リースバックにかかる税金は3つあります。 固定資産税 固定資産税は「不動産の所有者」に納税義務が発生します。そのため、納税義務が発生するのは買主(貸主)であるリースバック運営会社です。 しかし、固定資産税は土地、建物を、1月1日時点で所有する人が納税しなければなりません。そのため、売却年に限っては1年分の固定資産税を売主側が納税することになります。 そのため、買主であるリースバック運営会社は、固定資産分の金額を物件代金とは別に精算し、売主であるリースバック利用者に支払います。基本的には物件代金の決済日に日割りした固定資産税を精算しますが、実際の運用についてはリースバック運営会社と確認しましょう。 印紙税 印紙税は領収書や契約書の作成時に必要な税金です。リースバックの場合は、不動産売却時に作成する売買契約書にかかります。印紙税は、売買契約書に記載された金額に応じて、以下のとおり変動します。 ※国税庁「土地売買契約書」をもとに編集部作成 納付を忘れると過怠税の徴収対象となり、納付を忘れた印紙税額の2倍相当が上乗せされてしまうので注意しましょう。 登録免許税 リースバックをする際は、家のローンを組んだ時に設定した抵当権の抹消や、所有権の移転のために登記情報を申請します。ここで必要となる税金が登録免許税です。通常、所有権移転は買主が行いますが、その際、住宅用家屋は軽減税率の対象になるため、自宅のある市区町村などの証明書も提出しましょう。 リースバックにおける税金対策 リースバックにはさまざまな税金が必要となりますが、控除や特例を使用することで課税を免除、減額することができます。これが、特別控除です。 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 マイホーム売却の場合、所有した期間に関係なく、譲渡所得から3,000万円以下まで控除されます。ただし、同族会社、親族間の売買では適用されないので注意しましょう。また、確定申告も必要となります。 マイホーム売却時の軽減税率の特例 家を所有していた期間が売却年の1月1日現在で10年を超える場合、3,000万円控除後のうちの金額が6,000万円以下の部分は所得税、住民税が通常より低い税率(14.21%)となります。3,000万円の特別控除と一緒に使用できるので、併せて利用しましょう。 また、リースバックで損失が発生する場合でも、確定申告をすることでメリットが生まれる可能性があります。 マイホーム買い換え時の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 マイホーム(旧居宅)を売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合に、旧居宅の譲渡損失が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失を損益通算することができます。 さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰越控除することができます。これらの特例を、マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例といいます。 出典)国税庁HP No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例) リースバックにかかる税金についてのよくある質問 リースバック検討時のお問い合わせとして多い質問を、4つご紹介します。 Q.リースバックをする際、消費税はかかりますか? サラリーマンなどの会社員の場合は、事業を行っているわけではないため、消費税は課税されません。法人や個人事業者が会社の事業に関わる資産を譲渡する場合は、取引した建物について課税の対象になります。 Q.リースバックで権利を譲渡した後も何か税金はかかりますか? リースバック後のマイホームは賃貸物件となるため、固定資産税が課税されることはありません。つまり、売却年の1月1日から売却までの固定資産税は売主負担、売却後の固定資産税は買主負担となります。 Q.将来売却した家を買い戻したいのですが、その際も税金はかかりますか? 物件の購入と同じ扱いになるため、不動産取得税が課税されます。不動産取得税は、不動産の価格×税率で算出されます。税率は数年ごとに更新されるので、最新の情報を確認してから買い戻しましょう。 他にも、所有権の移転などに必要な登録免許税や、売却した時と同様に売買契約書を作成する際に必要な印紙税が課税されます。 Q.相続時にリースバックした住宅の扱いはどうなりますか? リースバックした住宅は所有権を買主へ移転しているので、所有財産としては扱われません。リースバックを利用して得た資金が相続の対象になります。 よくある質問をご紹介いたしましたが、実際、税金の心配を過度にする必要はありません。解説してきたように、個人の売却なら消費税はかかりませんし、譲渡所得税についても居住用財産であれば3,000万円の特別控除が適用されます。 まとめ リースバックは、もとの家に住みながらまとまった資金を得られたり、家を所有することでかかるコストが不要になったりと、メリットの多い売却方法です。売却時に必要な税金を正しく理解して、損のないリースバックを行いましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 菊地 則夫(Norio Kikuchi)/税理士法人スマートシンク代表税理士 成城大学経済学部卒、日本大学大学院法学研究科税法松澤智研究室卒。 得意分野は相続税や不動産税務。「不動産所得」と「住まいと暮らしの税金」のプロフェッショナル集団、税理士法人スマートシンクの代表として日々、土地・建物の税金問題に取り組む。 <主な著書> 「住宅ローン&マイホームの税金がスラスラわかる本2021」エクスナレッジ、「相続の手続と節税が全部わかる本」あさ出版、「不動産税務の手引別巻」大成出版、「不動産実業の手引き別巻」清文社、その他雑誌「家主と地主」、「賃貸Life」新聞など著書多数 リースバックの家賃設定を解説!賃料相場よりも高い? リースバックは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられる商品です。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金を確保したい高齢者を中心...記事を読む
リースバックは家を売却しても家賃を支払うことでそのまま家に住み続けられるサービスです。資金使途が自由なため、借金の返済や一度にまとまった資金を調達するための手段として利用することができます。一方で、状況次第ではリースバックを利用できない場合もあります。 この記事では、リースバックを利用できない原因について解説します。 リースバックを利用できない原因とは リースバックを利用できない原因は、不動産自体に問題があるか、不動産以外に問題があるか、に大別されます。 リースバックの運営会社(以下、「運営会社」)は、リースバックの利用者(以下、「利用者」)から不動産を買い取り、賃貸することになりますが、借主(利用者)が退去した後にはその不動産を第三者に売却しなければなりません。そのため、「借主の退去後にもその不動産は需要があるのか」という点も踏まえて、リースバックをするかどうかを判断します。 不動産が原因でリースバックを利用できない場合は、その不動産の建物部分と土地部分に分けて、何が問題かを考えることができます。不動産以外が原因でリースバックが利用できない場合も含めて、それぞれ順に解説します。 リースバックを利用できない原因:建物 まずは、建物に問題がある場合です。具体的には以下のような問題が考えられます。 物件に瑕疵がある 瑕疵とは、造成や設備の不良など建物に何らかの欠陥があることをいいます。本来なら備えている物件の品質や性能を満たしていない状態であり、物理的な瑕疵だけでなく心理的瑕疵も含まれます。 物理的瑕疵には、雨漏りやシロアリなどが該当し、それらの生活上の重大な瑕疵がある場合リースバックは難しいでしょう。ただし、事前に大規模なリフォームなどで修繕できる場合は、利用できる可能性があります。 また、物理的瑕疵の他にも自殺者が出た・殺人事件が起こったなどの心理的瑕疵の場合、不動産として取り扱いが難しいことが多いです。 既存不適格物件である 既存不適格物件とは、現行の建築基準などの違反しているものや再建築できないような物件のことをいいます。建築物は、建築基準法や都市計画法などさまざまな法律に則り建築されるものです。しかし、それらの法律は適時改正されているため、以前の法律では問題なくても、現行の基準には違反しているという場合もあります。 改築や建て替えで現行の基準に適合できれば問題ないですが、適合できない場合は不動産としては売りにくくなり、リースバックも難しくなります。ただし、既存不適格だからといって必ずしも取り扱いができないとは限りません。詳細は、リースバック運営会社に確認してみるといいでしょう。 物件がマンションである 建物が古くなれば資産価値が低下しますが、戸建てであれば少なくとも土地の資産価値分は担保できます。それに対してマンションは、立地条件が良くないと、将来安定して売却できるとは言い切れない側面があります。また、リースバック後の所有権は運営会社に移転するため、賃貸借期間中の管理費や修繕費は運営会社の負担となります。 以上を踏まえると、リースバックはマンションよりも戸建ての方が扱いやすいといえます。運営会社によってはそもそもマンションを取り扱わない場合もあるので、運営会社に確認しましょう。 特殊な物件である 賃貸併用住宅やテナントが入っている物件や、工場やクリーニングが入っているような物件など、事業用の不動産も取り扱いが難しいです。こうした物件も第三者への売却が難しく、リースバックを利用できない場合があります。 共有持ち分である 持ち主が複数いる場合、リースバックには持ち主全員の承諾が必要となります。ペアローンなどで所有者が夫婦や親子である場合や、相続した物件の所有者が相続者全員といった場合などがあるでしょう。ただし、所有者全員の合意があればリースバックを利用できます。 リースバックを利用できない原因:土地 続いて、土地に問題がある場合です。具体的には以下のような問題が考えられます。 借地権である 借地権とは、土地の所有者に地代を支払うことで建物を建設して利用できる権利のことです。借地権が付いている物件は、土地と建物の所有者が違うため取り扱いが複雑になります。リースバックに限らず物件を売却するには、物件の所有者だけでなく土地の所有者の許可が必要になります。そのため、土地の所有者の許可を得られればリースバックを利用できる可能性はあるでしょう。 市街化調整区域である 市街化調整区域とは、自治体によって定められた市街化を抑制すべき区域のことをいいます。この区域の物件は、建築に制限がかかるため建て替えなどが難しいです。建て替えが難しい場合、物件としての流通性が低いため、リースバックを利用できない恐れがあります。 運営会社の取り扱いエリア外である 運営会社によっては、取扱物件のエリアが決まっている場合があります。地方都市のみやマンションのみといった制約がある場合は、対象外の物件は取り扱ってもらえないでしょう。運営会社の取り扱いエリアについては、それぞれの会社のホームページなどに記載されているので、事前に確認する必要があります。 共有持ち分である 建物と同様に、持ち主が複数いる場合はリースバックには持ち主全員の承諾が必要となります。詳細は土地の場合と同様です。 リースバックを利用できない原因:不動産以外 不動産以外のリースバックを利用できない原因として、以下のような問題が考えられます。 住宅ローンの残債がある 住宅ローンの残債がある物件の場合、売却金額で住宅ローンが完済できれば問題なくリースバックが利用できます。しかし、売却金額で住宅ローンが完済できない場合は、リースバックが難しくなるでしょう。 売却金額で完済できなかったとしても、手元資金から完済することができます。しかし、利用者のほとんどが手元資金を確保するために行うため、現実的には難しいといえます。 個人の与信力がない リースバックで賃貸借契約を締結するときに家賃保証会社を利用する場合、その保証会社の審査が入ります。家賃保証会社では、家賃の支払能力(安定した収入、借金の有無など)や滞納歴などについて審査されますが、そもそも利用者は持ち家を所有している人が対象なので、持ち家があるほどの与信力があれば、問題なく審査に通過できる場合がほとんどです。 ただし、家賃保証会社によっては高齢者や生活保護受給者への審査が厳しい場合もあります。もし家賃保証会社の審査に通らなければ、リースバック自体も難しくなるでしょう。どうしても家賃保証会社の審査が通らない場合は、保証人を付けることでリースバックを利用できる可能性があるので、運営会社に相談してみましょう。 まとめ リースバックを利用できない原因について解説しました。問題によっては対策できるものもあり、また、リースバックを運営する不動産会社によっても基準が異なるので、ひとつの会社で落ちたからと言って諦める必要はないでしょう。この記事を参考に、リースバックを利用できない原因を理解したうえで、リースバックを検討してみてください。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む
リースバックは不動産売買と賃貸借契約を一体として契約するサービスです。不動産を売却した後も賃貸として自宅に住むことができ、条件を満たせば将来買い戻すこともできます。リースバックでは、売買金額や家賃が注目されますが、買い戻しについては詳しくわからない人も多いのではないでしょうか。 この記事では、リースバックの買い戻しの仕組みや注意点、買い戻し価格の目安について解説します。 リースバックで買い戻しをする仕組みとは? リースバック運営会社によって詳細は異なりますが、買い戻しは大きく分けて二つの方法で行われます。ひとつは、売買契約書上に特約として明記される方法、もう一方は売買予約契約として別の契約で締結される方法です。 買い戻しの特約は民法第579条、売買予約契約は民法第556条でそれぞれ定められており、この民法に応じて買い戻し代金や期間を定めることが一般的です。契約書の形式は異なりますが、いずれの場合にせよ、リースバックの利用者が一定期間内に買い戻しの意思を表明することによって、買い戻しが成立します。 出典) ・wikibooks「民法第579条」 ・wikibooks「民法第556条」 必ずしも買い戻しができるとは限らない リースバックで売却した物件は、契約書上にあらかじめ明記した特約の条件を満たしておけば、買い戻すことが可能です。しかし、家賃の滞納など、契約書に記載されている条件に違反すると買い戻せなくなります。 また、リースバックで家を売却した後、ずっと買い戻しの権利があるかというと、そうではありません。例えば契約書に買い戻し特約を明記している場合、民法上最長10年、期間の定めがない場合は5年となります。その他、細かく条件が定められることがありますが、具体的な内容は運営会社によって異なるため、契約前に確認しておくようにしましょう。 なお、運営会社が倒産した場合も、倒産後に物件がどのように取り扱われるかによって、買い戻せなくなることがあります。 買い戻し価格はどう決まる? リースバックの買い戻し価格は、当初の売却価格と買い戻し時点での市場価格とのバランスで決まります。運営会社次第では、一定期間の買い戻し価格をあらかじめ決めておくことも可能です。 買い戻し価格の目安 リースバック後の買い戻し価格の相場は、一般的に売却価格の1.1~1.3倍が目安です。なぜなら、売却価格に以下のような費用が上乗せされるからです。 売買時の費用 買い戻しにかかる費用 運営会社の利益 具体的にどの程度上乗せされるかについては、リースバック運営会社によって異なります。不動産取引は費用や税金が大きくなるため、売却時よりも高くなると考えておきましょう。 買い戻しを検討する場合の注意点 リースバックで買い戻しを検討する場合、以下のような注意点があります。 買い戻し価格は売却価格よりも高くなる 上述のとおり、リースバックで売却した自宅を買い戻す場合、当初の売却価格より買い戻し価格のほうが高く、不動産売買に関する諸費用も発生します。そのため、あらかじめ資金計画を立てておかないと必要な資金を用意できず、予定どおりに買い戻しができなくなる恐れがあります。 買い戻し条件に合意できない恐れがある リースバックでは、自宅を売却するときに売買予約契約の締結や売買契約書上に買い戻しに関する特約を明記しておかないと、買い戻し条件に合意できない恐れがあります。買い戻しに関するトラブルを回避するには、あらかじめ買い戻し条件を書面化しておきましょう。 買い戻しの際に住宅ローンが利用できない恐れがある 一度リースバックした家を買い戻す場合でも、住宅ローンを組むことは可能です。ただし、買い戻す際には、通常の不動産購入と同じように住宅ローンの審査が行われるため、必ず住宅ローンを利用できるとは限りません。例えば、リースバック利用以前に住宅ローンを延滞してしまっていた場合には、買い戻し時にローンを組むことが難しいと言えるでしょう。 また、金融機関によっては、そもそもリースバックの買い戻しには住宅ローンを利用できないケースもあるかもしれません。詳細は金融機関やリースバック運営会社に相談しておきましょう。 リースバックの買い戻しで損をしない方法とは? リースバックの買い戻し時の価格の計算方法は、運営会社毎に異なりますが、一般的には「売却価格から〇〇%上乗せした金額」で定められます。最初の契約の段階で買い取り価格を設定することができるため、あらかじめ確認しておきましょう。なお、少しでも安く買い戻したいと考えるのであれば、そもそもの売却価格を安くするのも一つの方法です。 例えば、売却価格に10%上乗せした価格を買い戻し価格とする会社であれば、2,000万円で売却した場合、買い戻し価格は2,200万円になりますが、1,500万円で売却すれば1,650万円になります。そのため、買い戻しを前提としてリースバックを利用するのであれば、売却価格を抑えて取引するのもいいでしょう。 まとめ リースバックで買い戻すときのデメリットは、売却金額よりも高い金額で買い戻すこと自体です。そのため、最初から買い戻し前提でリースバックを利用する際には、本当にリースバックでなければ抱えている問題を解決できないのかをよく考えた方が良いでしょう。 そのうえでリースバックを利用すると決めた場合は、契約書の内容について確認し、買い戻しに向けた資金計画をしっかりと立てておきましょう。後から後悔することのないように、契約前からしっかりと準備を行うことが大切です。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む
持ち家にお住まいの方が住み替えをする場合、「自宅の売却」と「新居の購入」という2つの不動産取引を行います。また、住宅ローンの手続きや仮住まいの準備も必要になるため、計画的に進めないと予想以上に資金や手間がかかるかもしれません。 住み替えをスムーズに進めるにあたり、リースバックを利用することで住み替え時の悩みを解消できる可能性があります。この記事では、住み替えにリースバックを利用するメリットについて詳しく解説します。 3つの住み替え方法 持ち家の住み替え方法は、大きく「買い先行」と「売り先行」、「同時決済」の3つに分けられます。 買い先行は、新居を購入してから自宅の売却活動を始める方法、売り先行は、自宅の売却をしてから新居を探す方法です。それに対して同時決済は、新居購入と自宅売却の決済日を合わせる方法です。 それぞれの方法のメリットやデメリット、選び方については以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら住み替えの方法と成功させるポイント 買い先行とリースバックの比較 買い先行は新居を決めてから自宅を売却するため、住み替え資金の確保や自宅の住宅ローンの返済が課題となります。リースバックを利用すれば、こうした資金面に関するデメリットを解消できます。 ダブルローンの心配がない 自宅の住宅ローンが残っていると、新居の住宅ローンとのダブルローンになる恐れがあります。住宅ローンは、自宅の売却代金で完済できますが、予定どおりに売却できなかった場合はダブルローンとなり、月々の返済負担が大きくなります。リースバックを利用すれば、売却代金で自宅の住宅ローンを完済できるので、ダブルローンの心配はなくなります。 新居の住宅ローン審査に通りやすい 自宅の住宅ローンが残っていると、与信面から新居のローン審査が厳しくなります。理想の物件が見つかっても、住宅ローンを組めなければ住み替えはできません。リースバックで自宅を売却して住宅ローンを完済することで、新居の住宅ローン審査に通りやすくなります。 頭金を用意できる 新居を購入する際は、頭金や手付金として物件価格の10%程度の資金を求められることがあります。買い先行では自宅の売却代金を活用できないため、貯蓄状況によっては手元資金が不足する恐れがあります。リースバックで先に自宅を売却すれば、売却資金を住宅ローンの完済に充て、その残りを頭金に利用できます。 売り先行とリースバックの比較 売り先行は先に自宅を売却するので、新居が決まるまでの仮住まいが必要です。リースバックを利用すれば、新居が決まるまで自宅にそのまま住み続けられるので、仮住まいの問題を解消できます。 仮住まいの手間がかからない 仮住まいを用意する際は、通勤や生活の便を考慮して物件を探さなくてはなりません。子育て中の場合は、子どもの学区内での転居する必要もあります。リースバックを利用すれば、自宅に住み続けながら新居を探すことができます。仮住まいを用意する必要がなく、引っ越しは自宅から新居への1回で済みます。 仮住まいの費用負担が小さく済む 仮住まいへの引っ越しが必要な場合、毎月の家賃だけでなく、転居費用や敷金、礼金などの初期費用も発生します。新居探しが長引けば費用が膨らみ、家計に大きな負担となります。リースバックを利用すれば、自宅に住み続けながら新居を探すことができるので、余分な引っ越し費用がかかりません。加えて、敷金や礼金などが不要なリースバックを利用すれば、さらに余計な費用をかけずに済みます。 住み替えにリースバックを利用する注意点 リースバックを利用して住み替えをする場合、自宅の売却価格が市場価格と比較して安くなる点に注意が必要です。リースバック以外の方法として、不動産業者が媒介して買主を見つける「仲介」と、不動産業者自身が直接購入する「買取」の2つの不動産売却方法があります。 まず、一般的な仲介での売却は不動産の時価を基準に取引されることが多いため、仲介に比べるとリースバックの売却価格は安い傾向にあります。一方で、不動産会社自身が買い取る場合は、リースバック運営会社が買い取る場合と本質的には同じため、売却価格に大きな差はないと言えるでしょう。もし自宅を少しでも高く売る必要がある場合には、仲介で売却活動を進めるのがよいでしょう。 ただし、仲介は買主が見つかるまでに時間がかかることがあります。また、買主が見つかったとしても、希望価格で売却できるとは限りません。仲介や買取、リースバックのどれで売却するかは、売却価格だけでなくその他の費用や手続きの手間も考慮して決めることが大切です。 まとめ 持ち家の住み替えでは、住宅ローンや仮住まいの問題など、スムーズに進められない要因が多々あります。リースバックを利用することで、買い先行や売り先行のデメリットを解消できるかもしれません。住み替えをスムーズに進めたい場合には、リースバックの利用を検討してはいかがでしょうか。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住み替えの流れや費用、利用できる税制上の特例を解説 ライフスタイルの変化などから、「住み替え」を検討することがあるかもしれません。しかし、住み替えたいと思っても、どのように住み替えを進めていいか、わからないことが多いかもしれません。また、住み...記事を読む
リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金の確保をはじめ、ローン返済や相続対策など、さまざまな場面で活用できます。この記事では、リースバックの活用事例を5つ紹介します。 ①定年後の生活資金の不安を解決した事例 Aさんの状況 年代・職業70代男性・法人代表者 物件種別戸建 借入状況残債500万円(事業用ローン) 月返済額10万円 Aさんは事業を営んでいますが、年齢的に「仕事を長く続けることが難しい」と感じるようになりました。しかし、事業用ローンがまだ500万円残っており、「早めにローンを返したい」という悩みがあります。 そこでAさんはリースバックで自宅を売却し、事業用ローンを完済することにしました。リースバック運営会社から提示された条件と手元に残った資金は以下のとおりです。 売買価格1,750万円 家賃12万円 手元資金1,250万円 Aさんは売却代金で、無事に事業用ローンを完済することができました。毎月の支出は2万円増えたものの、手元に1,000万円以上の資金を確保でき、老後の生活資金に関する不安も軽減されました。 関連記事はこちら老後にリースバックを利用すると得られる4つのメリット ②住宅ローン返済の不安を解決した事例 Bさんの状況 年代・職業60代男性・アルバイト 物件種別マンション 借入状況残債1,500万円(住宅ローン) 月返済額(管理費等含む)12.5万円 Bさんは勤めていた会社を定年退職し、アルバイトを始めました。会社員時代に比べて収入は大幅に減少しており、住宅ローンや管理費などの支払いを負担に感じています。少しでも返済負担を軽減したいと考えていますが、新居探しや引っ越しが負担であることや、住み慣れた生活圏を変えたくないため、できれば引っ越しはしたくありません。 そこでリースバックを活用し、自宅マンションを売却することにしました。 リースバック運営会社から提示された条件と手元に残った資金は以下のとおりです。 売買価格1,600万円 家賃8.6万円 手元資金100万円 Bさんは売却代金で、住宅ローンを完済することに成功しました。また、運営会社と交渉したところ、売買価格を抑えることで家賃を下げることができたため、毎月の支出を約4万円減らすことができました。 関連記事はこちら住宅ローン残債がある物件はリースバックを利用できない? ③相続トラブルの不安を解決した事例 Cさんの状況 年代・職業80代女性・無職 物件種別マンション 借入状況残債なし 月返済額(管理費等含む)5.3万円 Cさんは2年前に夫を亡くし、自宅マンションでの一人暮らしです。住宅ローンなどの残債はなく、住居費用は管理費や修繕費用のみのため、貯金と年金で生活に必要な資金は確保できています。しかし、自分が亡くなった後の相続について心配しています。 Cさんは親の自宅に関する相続トラブルを経験しており、子どもたちには同じ思いをさせたくないと考えています。解決策を模索していたところ、知人からリースバックを紹介され、マンションを売却することにしました。リースバック運営会社から提示された条件と手元に残った資金は以下のとおりです。 売買価格1,800万円 家賃11.5万円 手元資金1,800万円 不動産を現金化すれば、複数の相続人に財産を分配しやすくなるので、不動産に関する相続トラブルを回避できます。 また、生前に必要な金額をシミュレーションすることで、家賃を無理のない金額に抑えながら十分な手元資金を確保できました。 関連記事はこちら相続争いを生まないためのリースバックという選択肢 ④離婚による財産分与のトラブルを解決した事例 Dさんの状況 年代・職業50代男性・会社員 物件種別マンション 借入状況残債2,000万円(住宅ローン) 月返済額(管理費等含む)16万円 会社員のDさんは妻と離婚することになりましたが、財産分与に関する話し合いがまとまっていません。というのも、Dさん所有のマンションは住宅ローンが残っており、Dさんは売却を考えていましたが、子供の学区の問題などから妻と子は同じ家に住み続けることを希望しています。 そのため、住宅ローンを完済しながらも妻と子が同じ家に住み続けることのできるリースバックを活用し、マンションを売却することにしました。リースバック運営会社から提示された条件と手元に残った資金は以下のとおりです。 売買価格2,800万円 家賃12万円 手元資金800万円 Dさんは売却代金で住宅ローンを完済し、妻を賃借人とすることで、お互いが納得する形で離婚による財産分与の問題を解消することに成功しました。また、毎月の支払負担を減らしたいという希望もあったため、運営会社と条件について話し合い、相場賃料よりも低い金額で借りることができました。 関連記事はこちらリースバックの家賃設定を解説!賃料相場よりも高い? ⑤自宅の住み替え時の難題を解決した事例 Eさんの状況 年代・職業40代男性・会社員 物件種別マンション 借入状況残債3,000万円(住宅ローン) 月返済額(管理費等含む)15万円 会社員のEさんは、現在住んでいるマンションが手狭になったため、住み替えを検討しています。しかし、自宅の住宅ローンの残債が大きく、融資の面から先に新たな物件を購入するのが難しい状況です。 そこで、自宅を売却した後に物件を探すことを検討します。通常の不動産売買では引っ越しが必要になるため、リースバックを活用することにしました。リースバック運営会社から提示された条件と手元に残った資金は以下のとおりです。 売買価格3,500万円 家賃15万円 手元資金500万円 自宅の売却代金で、住み替えの重荷となっていた住宅ローンを完済することができました。また、現在の自宅に住み続けながら、余裕をもって物件選びができるようになりました。 関連記事はこちら住み替えにリースバックを利用するメリットを解説 まとめ リースバックは老後資金の確保だけでなく、資金調達やローン返済、相続対策など、さまざまな活用方法があります。今回紹介した5つの事例を参考に、リースバックの活用を検討してみましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む
住宅ローンの返済が困難になって自宅を売却せざるを得なくなった場合、任意売却をすることで競売を回避できます。任意売却なら自分の意志で自宅を売却できるため、市場価格に近い値段で売却できる可能性があります。しかし、任意売却でも競売でも、自宅の売却後には新たに住む家を探す必要があります。 そこで、任意売却にリースバックを利用すれば、住宅ローンの返済に充てる資金を確保しながら、そのまま自宅に住み続けることが可能です。この記事では、任意売却にリースバックを利用するメリットや注意点について解説します。 任意売却とは 任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になったときに、債権者と債務者の間で合意し、担保不動産を売却することです。任意売却では通常の不動産売買と同じ方法で売却できるので、「経済的な事情を知られずに売却できる」「市場価格に近い値段で売却できる」といったメリットがあります。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 任意売却にリースバックを利用するメリット 任意売却にリースバックを利用するメリットは以下のとおりです。 売却後も自宅に住める 通常の不動産売却の場合は、売却後に自宅を手放すことになります。別に住む家を見つけて引っ越しが必要になるため、手続きに手間がかかり、引っ越し費用も用意しなくてはなりません。一方で、リースバックであれば、売却後も慣れ親しんだ自宅に住み続けることができます。引っ越しも不要のため、経済的にも利点があると言えるでしょう。 将来的に買い戻しができる リースバックで売却した不動産は、将来的に買い戻しができます。多くのリースバック運営会社では、買い戻しができる期間が定められています。任意売却後に仕事や経済状況が安定すれば、買い戻して再び自宅を所有することも可能です。 任意売却にリースバックを利用する注意点 任意売却にリースバックを利用する場合は、以下の点に注意が必要です。 売却価格が住宅ローンの残債を上回る必要がある 通常、リースバックの売却価格は単独で決まるものではなく、家賃とのバランスによって決まります。売却価格が安くなれば家賃も安くなる関係にあるため、通常はリースバック運営会社との調整が可能です。 しかし、任意売却では担保不動産を売却することで債務を返済しなければならないため、家賃を安くするために価格を下げようと思っても、金融機関(債権者)に認められなければ、リースバック運営会社が提示する売却価格で利用できるとは限りません。 売却価格が安くなる恐れがある リースバックでは、不動産の売却価格が市場価格の7割程度となるのが一般的です。そのため、仲介による不動産売却よりも売却価格が安くなる恐れがあります。また、リースバック運営会社は数が限られるため、通常の不動産買取業者への売却よりも価格が安くなる恐れもあります。 自宅に住み続けることにこだわりがなければ、仲介で売却するほうが自宅を高く売ることができるかもしれません。 リースバック以外の選択肢は? 住宅ローンの返済が困難になった自宅の所有権を手放したくない場合は、「親子間売買」という方法もあります。具体例として、親が住宅ローンを返済するのが難しくなったときに、そのまま住み続けるために親から子に自宅を売却するケースが挙げられます。 親子間売買の注意点は、売買価格と実勢価格の乖離が大きいと贈与とみなされて贈与税が発生する恐れがあることです。また、親子間売買は通常の不動産売買と同じ税金が発生し、譲渡益が生じる場合は所得税や住民税が課税されます。 関連記事はこちら不動産の親子間売買は難しい?デメリットと手続きについて解説 親子間売買で住宅ローンを組むのは難しい 親子間売買は金融機関の審査が厳しいので、住宅ローンを組むのが難しいです。加えて、不動産は高額であるため、購入資金を全額自己資金でまかなうのも現実的ではありません。 親子間売買の資金調達方法として、不動産担保ローンが挙げられます。不動産担保ローンは住宅ローンと比較して金利がやや高くなりますが、まとまった資金を長期間借りることができるので、選択肢のひとつとして検討してもよいでしょう。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 まとめ 住宅ローンの返済が厳しい場合は、任意売却としてリースバックを利用することで自宅に住み続けながら返済に充てる資金を確保することができます。一方で、通常の任意売却と比較して売却価格が安くなる恐れがあるのがデメリットです。 もし、リースバックを選択肢のひとつと考えるのであれば、まずはリースバックの仮査定を申し込み、売却価格の目安を把握しましょう。具体的な目安を知ることで、本当に自分がリースバックに向いているかどうかを判断しやすくなるのでおすすめです。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む
近年、まとまった老後資金を確保する手段として「リースバック」や「リバースモーゲージ」が注目されています。もし、まとまった老後資金の確保を目的として利用を検討する場合には、リースバックとリバースモーゲージの違いをしっかりと理解しておくことが大切です。 この記事では、リースバックとリバースモーゲージの違いと、どちらが自分に向いているかを判断する基準について解説します。 リースバックとリバースモーゲージの概要 リースバックの概要 リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結して毎月家賃を払うことで、売却後も同じ家に住み続けられます。 リースバックは不動産取引であるため、基本的に年齢制限や年収基準、家族の同居制限はありません。また、賃借権は相続されるので、契約者にもしものことがあっても配偶者は住み続けられます。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リバースモーゲージの概要 リバースモーゲージとは、自宅を担保に借り入れができる高齢者向けのローン商品です。毎月の支払いは利息のみで、債務者の死亡後に相続人が自宅の売却もしくは現金一括で元本を返済します。一般的なローンとは異なり、毎月の支払いは利息のみなので、月々の返済額を抑えられるのがメリットです。 ただし、元金は据え置きなので、長生きするほど利息負担が増えるリスクがあります。また、自宅の売却代金よりローン残債の方が多かった場合、残った債務が相続人に引き継がれることがあります。 関連記事はこちらリバースモーゲージとは?メリット・デメリットや仕組みを解説 リースバックとリバースモーゲージの共通点と違い リースバックとリバースモーゲージの共通点 まず、リースバックとリバースモーゲージの共通点は以下のとおりです。 不動産を活用した資金調達方法 不動産を売却する商品・サービス リースバックとリバースモーゲージは、自宅を活用して資金調達できるのは同じです。タイミングは異なりますが、どちらも最終的には自宅を売却するため、相続後に不動産が残らないのも共通点です。 リースバックとリバースモーゲージの違い リースバックとリバースモーゲージは不動産を活用して資金を調達できるという点から似ていると感じるかもしれませんが、リースバックは不動産売買+賃貸借契約、リバースモーゲージは不動産担保融資であり、その特徴や仕組みは大きく異なります。 具体的には、以下のような違いがあります。 所有権移転のタイミング 資金の受け取り方(売却と融資) 月々の支払い(家賃と利息) リースバックは、自宅を売却して賃貸に切り替えた時点で所有権は運営会社に移転します。それに対して、リバースモーゲージは債務者の死亡後、自宅を売却して元本を返済する仕組みなので、債務者が生きている間は自宅の所有権は移転しません。 また、リースバックは売却資金を受け取り、その後は毎月家賃を払うのに対し、リバースモーゲージは融資金を受け取り、毎月利息を払う点も異なります。 リバースモーゲージと比較したリースバックのメリット リバースモーゲージと比較したリースバックのメリットは以下の4つです。 誰でも利用できる リースバックは不動産売却なので、基本的に与信面で断られることはありません。また、年齢制限や年収基準がないので、持ち家があれば高齢者でも利用しやすいでしょう。 一方で、リバースモーゲージは自宅を担保とした融資であるため、金融審査があります。年齢制限や年収基準が設定されていることが多く、一定の収入がないと与信面で否決される可能性があります。 ローンを完済できる リースバックは不動産売却なので、住宅ローンが残っていても売却資金で完済できます。ただし、売却資金が住宅ローンの残債を上回る必要がある点には注意が必要です。 一方で、リバースモーゲージは融資なので、ローンが残っている状態がずっと続きます。毎月の支払いは利息のみですが、市場金利が上昇すれば、毎月の返済額が増えて支払いが困難になる可能性があります。 相続対策になる リースバックは自宅を売却して現金化するため、相続時に財産分与しやすいのがメリットです。特に複数の相続人がいる場合、自宅をどのように分けるかを考える必要がないので、相続問題を回避しやすくなります。 一方で、リバースモーゲージは、債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する仕組みですが、売却資金がローン残債より少ない場合、残った債務は相続人に引き継がれます(リコース型の場合)。ノンリコース型なら債務が残っても相続人に返済義務は生じませんが、リコース型に比べて適用金利が高い傾向にあります。 持ち家の所有リスクを移転できる リースバックで自宅を売却すれば、持ち家の所有リスクを移転できます。そのため、自宅の維持管理のためのメンテナンスコストが不要である点や、突発的な地震や台風といった自然災害で住居に被害が出ても、修繕費用は運営会社が負担してくれるので安心です。 一方で、リバースモーゲージは、資金調達後も持ち家であることに変わりはないので、メンテナンスコストや建物に被害が出たときの修繕費用は自身で負担しなくてはなりません。住まいに関する資金も借り入れする事ができますが、借入金が膨らんでしまう点には注意が必要です。 リバースモーゲージと比較したリースバックのデメリット 一方で、リバースモーゲージと比較したリースバックのデメリットは以下の2つです。この2つのデメリットを考慮したうえで、どちらがいいかを判断しましょう。 所有権を手放すことになる リースバックを利用する場合は自宅を売却するので、所有権を手放すことになります。所有権を手放せばその家は自分のものではなくなり、自由にリフォームを行うこともできなくなります。 一方で、リバースモーゲージは資金調達後も持ち家であることに変わりはないので、自由にリフォームを行うことができます。 自宅を相場より安い金額で売却してしまう リースバックを利用した場合、自宅の売却価格は相場の7割程度となってしまいます。そのため、売却価格にだけ着目すると、リースバックは取引時点で損失を確定することになります。 一方で、リバースモーゲージの場合、リバースモーゲージを利用することが自宅の売却価格に影響を及ぼすことはありません。ただし、最終的に自宅を売却するまでに価値が下がり、結果的に損失が出る場合もあるので注意しましょう。 まとめ リースバックとリバースモーゲージを比較すると、利用しやすさや相続対策、所有リスクを移転できる点などはリースバックの方が優れています。しかし、自身の状況によっては必ずしもリースバックがいいとも限りません。 リースバックとリバースモーゲージのどちらを利用すべきか悩んでいる場合は、専門家や金融機関に相談するのも有効です。両者の違いを十分に理解したうえでどちらを利用すべきかを判断しましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックと不動産担保ローンの違いとは リースバックと不動産担保ローンは、不動産を活用して資金調達するところは同じですが、特徴や仕組みには違いがあります。両者の違いを理解しておくことで、ご自身のライフスタイルや考え方に合わせて最適...記事を読む
リースバックは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるサービスです。リースバックを利用することで老後の不安を解消し、より快適な生活が送れるようになるかもしれません。この記事では、老後にリースバックを利用すると得られる4つのメリットを紹介します。 メリット①:老後資金を確保できる 持ち家があって老後の生活費が足りない場合、通常は自宅の売却を検討するのではないでしょうか。しかし、自宅を売却すると転居先を決めたり、引っ越しの手間や費用が発生したりします。また、慣れ親しんだ自宅に住み続けたいのであれば、リースバックも選択肢のひとつとなるでしょう。 リースバックで自宅を売却すれば、まとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられます。また、住宅ローンの返済が苦しくて老後資金を貯められない場合も、リースバックの売却資金で住宅ローンを一括返済すれば、家計収支を改善できます。 関連記事はこちら老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳以上編) メリット②:相続問題が解決される リースバックは、複数の相続人がいる場合に、相続問題を解決する手段としても利用できます。不動産は実物資産であるため、複数の相続人がいる場合は簡単に分けられません。相続資産の大部分を自宅が占める場合、財産をどのように分けるか折り合いがつかず、相続争いが起こることもあります。 しかし、リースバックで自宅を売却すれば、所有権がリースバック運営会社に移転するため、自宅をどう分けるかを考えなくて済みます。特に相続財産が自宅と預貯金のみの場合、不動産を現金化すれば相続財産は預貯金のみとなるので、均等に分配しやすくなります。 関連記事はこちら相続争いを生まないためのリースバックという選択肢 メリット③:固定費の増加要因や突発的な支出がなくなる 老後の家計収支を安定させるには、固定費を下げたり、突発的な支出を減らしたりすることが大切です。 持ち家の場合、家賃を払う必要はありませんが、固定資産税がかかります。また、マンションなら、管理費や修繕積立金の支払いも必要です。他にも、設備の故障などで急にまとまった支出が発生する可能性もあるでしょう。 そのようなときにリースバックで賃貸に切り替えて、毎月一定額の家賃を払うようにすれば、家計管理がしやすくなります。また、固定資産税や管理費・修繕積立金がなくなり、家賃のみの支払いになるほか、老朽化などで設備が故障した場合の費用がオーナー負担となるのも安心材料です。 関連記事はこちら老後に賃貸と持ち家ではどう違う?メリット・デメリットを解説 メリット④:自然災害リスクを減らせる リースバックで自宅を売却して賃貸に切り替えれば、自然災害で住居に被害が出ても、修繕費用などはリースバック運営会社が負担してくれます。しかし、持ち家の場合は、修繕や建て替えにかかる費用は自分で負担しなくてはなりません。 持ち家の場合には火災保険や地震保険に加入することで備えることもできますが、保険に加入していても、保険金で費用を全額カバーできず、持ち出しが発生する場合があります。また、災害などで住むことができない状態になったとしても、住宅ローンが残っている場合、基本的にローン返済は免除されません。 近年では、地球温暖化の影響により、台風や洪水などの自然災害リスクが高まっています。また、日本は地震大国でもあり、過去には阪神・淡路大震災や東日本大震災といった大地震も発生しているので、楽観視できないでしょう。そのため、自宅に住み続けながら自然災害リスクに備えたいなら、リースバックは有効な手段となるでしょう。 関連記事はこちら地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 老後のリースバックに関するよくあるご質問 老後にリースバックを利用するにあたり、よくあるご質問を3つ紹介します。 Q. リースバックを利用した後、ずっと住み続けられますか? リースバックの賃貸借契約には、「定期借家契約」と「普通借家契約」の2種類があります。定期借家契約の場合は再契約できる保証がなく、2~3年の契約期間満了後に退去しないといけなくなる恐れがあります。できるだけ長く住み続けたい場合は、普通借家契約が可能な運営会社を選ぶと安心です。 Q. 毎月の家賃を安くすることはできますか? リースバックの家賃は売却価格と家賃のバランスで決まり、売却価格が安くなると家賃も安くなります。そのため、運営会社と交渉して売却価格を抑えることで、周辺の賃料相場より家賃をかなり安く設定することも可能です。ただし、売却価格を抑えすぎると調達できる資金が少なくなります。リースバックの家賃を安くしたい場合は、売却価格とのバランスを検討してから交渉しましょう。 Q. 配偶者が契約を引き継ぐことができますか? 自宅をリースバックで売却した場合、残された配偶者が契約者である夫(妻)が死亡した後も住み続けられるか気になるのではないでしょうか。賃貸借契約は相続の対象になるため、夫(妻)の死亡後も配偶者が契約を引き継ぐことが可能です。念のため、運営会社に契約を引き継げるかを確認しておくと安心です。 デメリットは「家を遺せないこと」 リースバックの最大のデメリットは、家を遺せないことにあります。自宅の所有権が運営会社に移転してしまうので、子供に家を遺したい場合は、リースバックを利用すべきではありません。 家を遺すことにこだわりがなければ、老後資金や相続問題など、自身の抱えている悩みがリースバックによって解決できるのかどうかを考えてみましょう。ご自身で判断が難しければ、専門家に相談してみるのもおすすめです。 まとめ 「家を遺せない」というデメリットを許容できるのであれば、老後のリースバックはいくつかの問題を解決する選択肢となります。持ち家があり、老後資金や相続、自然災害などの不安を抱えているなら、リースバックを検討してみてはいかがでしょうか。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む