「住宅ローン」の記事一覧

  • 住宅ローンのペアローンと収入合算の違いとは?

    夫婦や親子が一緒に住宅ローンを組む方法として、「ペアローン」と「収入合算」があります。どちらも2人の収入で住宅ローンを組めるため、単独で契約するよりも借入可能額を増やすことが可能です。しかし、ペアローンと収入合算は仕組みが異なるため、どちらが向いているかを見極めることが大切です。 この記事では、住宅ローンのペアローンと収入合算の違い、選び方をわかりやすく解説します。 ペアローンとは ペアローンとは、1つの物件に対して、夫婦(または親子)がそれぞれ主たる債務者となって住宅ローンを組む方法です。 夫婦の場合、それぞれが債務者となって計2本の住宅ローンを組み、お互いが相手のローンの連帯保証人となります。物件は夫婦の共有名義となり、持分はそれぞれの借入金額に応じて決まるのが一般的です。 契約は2本ですが、同じ金融機関でローンを組む必要があります。また、原則として購入物件での同居が条件となります。 収入合算とは 収入合算とは、申込者本人(主たる債務者)の収入に、配偶者や親子の収入を合算して住宅ローンを組む方法です。 申込者が単独で住宅ローンを組むよりも借入可能額を増やすことが可能です。収入合算は「連帯保証型」と「連帯債務型」の2種類があり、どちらを取り扱っているかは金融機関によって異なります。 連帯保証型は、収入を合算する人が連帯保証人になるのが特徴です。主たる債務者が住宅ローンを返済できなくなった場合は、連帯保証人が代わりに返済義務を負います。 連帯債務型は、収入を合算する人が連帯債務者となります。連帯債務者は、最初から主たる債務者と同等の返済義務を負います。 ペアローンと収入合算の主な違い ペアローンと収入合算の違いは主に次の3つです。 ローン契約の形態(契約が2本か1本か) 団体信用生命保険(団信)の取り扱い 住宅ローン控除の適用条件 それぞれ詳しく見ていきましょう。 ローン契約の形態(契約が2本か1本か) 住宅ローンの契約数はペアローンが2本、収入合算が1本です。 住宅ローンを組む際は、事務手数料や保証料、印紙税、登記費用などの諸費用がかかります。ペアローンは2本分の諸費用が生じるため、1本のみの収入合算に比べると費用負担が増えることになります。 団体信用生命保険(団信)の取り扱い 夫婦でペアローンを組む場合、夫と妻はそれぞれ団体信用生命保険(以後、団信)に加入します。どちらかに万が一のことがあった場合、団信で住宅ローンが完済されるのは1人分のみです。残された人は、引き続き住宅ローンを返済する必要があります。 収入合算(連帯保証型)は、団信に加入している主たる債務者が亡くなった場合、住宅ローンは保険金で完済されます。ただし、収入合算者(主たる債務者ではない者)は団信に加入できないのが一般的です。収入合算者に万が一のことがあっても団信の保障は受けられず、主たる債務者は引き続き返済義務を負うことになります。 なお、収入合算(連帯債務型)は、「連生団信」を提供している金融機関もあります。連生団信とは、収入合算者に万が一のことがあった場合も保険金で住宅ローンが完済される団信です。取り扱いの有無は金融機関によって異なるので、詳細は各金融機関に確認しましょう。 住宅ローン控除の適用条件 ペアローンは、夫婦(または親子)がそれぞれ住宅ローン控除を受けられます。 一方、収入合算は連帯保証型と連帯債務型で取り扱いが異なります。連帯保証型は、住宅ローン控除の対象となるのは主たる債務者のみで、収入合算者は控除を受けられません。連帯債務型は、主たる債務者・収入合算者ともに住宅ローン控除が適用されます。 ペアローンと収入合算の違いをまとめると以下のようになります。 ペアローン 収入合算(連帯保証型) 収入合算(連帯債務型) 住宅ローンの契約数 2本(お互いに連帯保証人となる) 1本(収入合算者は連帯保証人) 1本(収入合算者は連帯債務者) 物件の所有権 共有名義 主たる債務者の名義 共有名義 団体信用生命保険 それぞれ加入 主たる債務者のみ加入 主たる債務者のみ加入(連生団信へ加入できる場合あり) 住宅ローン控除 それぞれ利用可能 主たる債務者のみ利用可能 それぞれ利用可能 ペアローンと収入合算の選び方 ペアローンと収入合算のどちらにするか迷った場合は、上記の主な違いに基づいて、メリットやリスクを比較検討することが大切です。 例えば、夫婦がどちらも安定した職業に就いており、収入に大きな差がない場合はペアローンが向いています。万が一のことがあっても、自身のローンは収入から返済できます。住宅ローン控除の恩恵も最大限に受けられるでしょう。 一方で、夫婦の収入に差がある場合は収入合算がよいかもしれません。パートナーを収入合算者とすることで、単独でローンを組むよりも借入可能額を増やすことが可能です。契約が1本のみのため、諸費用を抑えられるのもメリットです。 万が一のときのリスクや住宅ローン控除による経済的なメリット、諸費用などを考慮して、どちらが有利になるかを見極めましょう。 なお、ペアローン・収入合算はともに、どちらか一方が働けなくなった場合にローン返済が困難になる恐れがあります。一時的に世帯収入が減少する可能性も考慮して、無理のない返済計画を立てることが重要です。 まとめ ペアローンと収入合算は、どちらも夫婦または親子2人の収入で住宅ローンを組めるため、単独で契約するよりも借入可能額を増やすことが可能です。ただし、諸費用や団信、住宅ローン控除などに違いがあるため、どちらが向いているかを見極めることが大切です。 ペアローンと収入合算のどちらを選ぶ場合でも、一時的な世帯年収の減少などを考慮に入れた上で、無理のない返済計画を立てましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 ペアローンは離婚したらどうなる?よくある問題と対処法を紹介 住宅を購入する際にペアローンを組むことで、夫婦のどちらか一方が単独で住宅ローンを組むより借入額を増やせるなどのメリットがあります。しかし、ペアローンを組んだ夫婦が離婚する場合、自宅の扱いや住...記事を読む

  • フラット35の金利引き下げメニューについて詳しく解説

    フラット35には、家族構成や住宅の性能などに応じて利用できる金利引き下げメニューがあります。最大で年1.0%の金利引き下げを受けられるため、住宅ローンの返済負担の軽減が期待できます。 この記事では、フラット35の金利引き下げメニューの仕組みについて解説します。 フラット35とは フラット35とは、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。全国300以上の提携金融機関が取り扱っており、最長35年間の固定金利で融資を受けられます。借入時に毎月の返済額や総返済額が確定し、資金計画を立てやすいのがメリットです。 フラット35の詳細については、以下の記事をご確認ください。 関連記事はこちらフラット35とは?メリット・デメリットを解説 フラット35の金利引き下げメニューとは フラット35では、以下4つの商品プランに該当する場合に金利引き下げの対象となります。 家族構成 住宅性能 維持保全(管理・修繕) 地域連携(エリア) 各商品で該当する項目を選択すると、条件によってポイントが加算されます。そのポイントの合計に応じて金利引き下げの内容が決まる仕組みです。 1ポイントにつき当初5年間の金利が年0.25%引き下げられ、金利引き下げ幅は年1.00%が上限です。たとえば、合計5ポイントの場合、当初5年間は年1.00%、6~10年目は年0.25%の金利引き下げとなります。 出典)住宅金融支援機構「2024年2月より金利引下げメニュー変更のお知らせ」 フラット35の金利引き下げメニューの決まり方 フラット35の金利引き下げメニューの全体像は以下のとおりです。 ※1 借入申込時に夫婦(法律婚、同性パートナーおよび事実婚の関係をいいます。なお、婚約状態の方は対象外です。)であり、夫婦のいずれかが借入申込年度の4月1日において40歳未満である世帯をいいます。 ※2 借入申込年度の4月1日において18歳未満である子(実子、養子、継子および孫をいい、胎児を含みます。ただし、孫の場合はお客さまとの同居が必要です。また、別居しているこどもの場合は、お客さまが親権を有していることが必要です。)をいいます。 ※3 地方移住支援型のみを利用する場合は、上記によらず当初5年間年▲0.6%となります。 出典)住宅金融支援機構「2024年2月より金利引下げメニュー変更のお知らせ」 ここでは、ポイントの積算対象となる4つのメニューの内容を確認していきましょう。 家族構成 家族構成に関するメニューとして、「フラット35子育てプラス」があります。 フラット35子育てプラスとは、子育て世帯または若年夫婦世帯を対象に、子どもの人数などに応じて一定期間金利を引き下げる制度です。家族構成に応じて、以下のようにポイントが加算されます。 家族構成 加算ポイント数 若年夫婦世帯または子ども1人 1ポイント 子ども2人 2ポイント 子ども3人 3ポイント 子どもN人 Nポイント 若年夫婦世帯とは、夫婦(法律婚、同性パートナーおよび事実婚の関係をいいます。なお、婚約状態の方は対象外です。)であり、いずれかが借入申込年度の4月1日において40歳未満である世帯です。 子どもは借入申込年度4月1日において18歳未満である場合に限ります。フラット35子育てプラスの詳細は、以下の記事をご確認ください。 関連記事はこちらフラット35子育てプラスとは?金利引き下げの条件や注意点を解説 住宅性能 住宅性能に関するメニューは、「フラット35S」と「フラット35リノベ」の2つがあります。 フラット35Sとは、フラット35の申込者が長期優良住宅などの質の高い住宅を取得する場合に一定期間金利を引き下げる制度です。住宅の技術基準レベルが高い順に「ZEH」「金利Aプラン」「金利Bプラン」の3種類があります。加算ポイントは以下のとおりです。 住宅の技術基準レベル 加算ポイント数 フラット35S(ZEH) 3ポイント フラット35S(金利Aプラン) 2ポイント フラット35S(金利Bプラン) 1ポイント 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】S 金利引下げメニュー(2025年3月31日までの申込受付分に適用)」 フラット35リノベとは、中古住宅の購入とあわせて一定の要件を満たすリフォームを実施する場合に一定期間金利を引き下げる制度です。リフォーム工事後の住宅要件に応じて「金利Aプラン」「金利Bプラン」の2種類があります。加算ポイントは以下のとおりです。 住宅の技術基準レベル 加算ポイント数 フラット35リノベ(金利Aプラン) 4ポイント フラット35リノベ(金利Bプラン) 2ポイント 出典)【フラット35】リノベ「金利引下げメニュー(2025年3月31日までの申込受付分に適用)」 長期優良住宅やZEH住宅などを取得する場合、中古住宅を購入してリフォームをする場合は、フラット35Sまたはフラット35リノベが適用されるかを確認しましょう。なお、金利AプランとBプランは住宅の技術基準が異なり、Aプランはより厳しい基準をクリアする必要があります。 関連記事はこちらフラット35Sとは?種類や金利、利用条件について解説 維持保全(管理・修繕) 維持保全に関するメニューは、「フラット35維持保全型」があります。 フラット35維持保全型とは、維持保全・維持管理に配慮した住宅を取得する場合に一定期間金利を引き下げる制度です。対象住宅に応じて以下のポイントが加算されます。 対象住宅 加算ポイント数 長期優良住宅 1ポイント 予備認定マンション※1 1ポイント 管理計画認定マンション※2 1ポイント 安心R住宅※2 1ポイント インスペクション実施住宅※2 1ポイント 既存住宅売買瑕疵保険付保住宅※2 1ポイント ※1 新築マンションのみ ※2 中古住宅のみ 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】維持保全型 利用要件」 性能に関するメニューでフラット35リノベを選択する場合、フラット35維持保全型は利用できないので注意しましょう。 地域連携(エリア) 住宅金融支援機構と地方公共団体が連携しているエリアで住宅を取得する場合は、「フラット35地域連携型」や「フラット35地方移住支援型」が利用できる可能性があります。 フラット35地域連携型は地方公共団体による補助金、フラット35地方移住支援型は地方公共団体による移住支援金とあわせることで、借入金利を一定期間引き下げる制度です。エリアに応じて以下のポイントが加算されます。 エリア 加算ポイント数 フラット35地域連携型(子育て支援) 2ポイント フラット35地域連携型(空き家対策) 2ポイント フラット35地域連携型(地域活性化) 1ポイント フラット35地方移住支援型 2ポイント 住宅金融支援機構と連携している地方公共団体は、フラット35のホームページで確認可能です。 出典) ・住宅金融支援機構「【フラット35】地域連携型を連携している地方公共団体」 ・住宅金融支援機構「【フラット35】地方移住支援型」 フラット35における金利引き下げメニューの事例 具体例として、以下の条件でフラット35を申し込む場合に利用できる金利引き下げメニューを確認しましょう。 <条件> 家族構成 夫(32歳)、妻(30歳)、 子ども2人(3歳、1歳) 購入する住宅 中古戸建て ※フラット35リノベ(金利Aプラン)の対象 フラット35の借入金利 年1.860%※ ※借入金利:借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下(2024年12月) 子ども2人で2ポイント、フラット35リノベ(金利Aプラン)で4ポイント加算されるため、合計6ポイントです。当初5年間は年1.00%、6~10年目は年0.50%の金利引き下げを受けられます。金利引き下げのイメージは以下のとおりです。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】 金利引下げ内容確認」 フラット35の金利引き下げ内容の詳細は、フラット35のホームページで確認できます。 まとめ フラット35の借入金利がどれぐらい下がるかは、自分で調べることもできます。しかし、金利引き下げメニューは複数あるため、フラット35の取扱金融機関に相談するのが確実です。フラット35を利用するなら、取扱金融機関で実際に適用される金利を確認してみましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 フラット35の金利引き下げメニューについて詳しく解説 フラット35には、家族構成や住宅の性能などに応じて利用できる金利引き下げメニューがあります。最大で年1.0%の金利引き下げを受けられるため、住宅ローンの返済負担の軽減が期待できます。 この記...記事を読む

  • フラット35の新機構団信と一般団信の違いとは?保障内容と3大疾病保障について解説

    住宅ローンを利用する際、一般的に金融機関から団体信用生命保険(以下、団信)への加入を求められます。フラット35の新機構団体信用生命保険(以下、新機構団信)と民間金融機関の一般的な団信(以下、一般団信)では、保障内容にどのような違いがあるのでしょうか。 この記事では、新機構団信と一般団信の保障内容、3大疾病保障について詳しく解説します。 団体信用生命保険とは 団信とは、住宅ローン契約者が死亡または高度障害(所定の身体障害状態)となった場合に、以後の住宅ローン返済が不要となる生命保険です。家計を支えている契約者の死亡などにより住宅ローンが返済できなくなると、残された家族は自宅に住み続けられなくなってしまいます。 そのようなときに団信に加入しておけば、契約者に万が一のことがあっても、保険金で住宅ローンが完済されるため安心です。 多くの民間金融機関では、団信加入が住宅ローンの利用条件となっています。団信に加入するには健康状態を告知し、保険会社の審査に通過する必要があります。 団信の種類と保障内容 団信は、民間金融機関の「一般団信」とフラット35(住宅金融支援機構)の「新機構団信」の2種類があります。それぞれの保障内容を確認していきましょう。 一般団信の保障内容 一般団信では、住宅ローン契約者が死亡または高度障害となった場合はローン残高が0円となり、以後の返済は不要となります。これが団信の基本的な保障内容といえるでしょう。 高度障害については、金融機関によって詳細は異なり、たとえば次のような基準を設けている金融機関があります。 <一般的な高度障害状態> 両眼の視力を全く永久に失ったもの 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの 中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの 胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの 原則として団信加入が住宅ローンの利用条件になっているため、一般団信の保険料は金融機関が負担するケースが一般的です。 一方で、がんを含む3大疾病などの保障を特約として付加できる場合もありますが、この特約の保険料については、住宅ローン金利に上乗せするかたちで契約者が負担することが一般的です。 新機構団信の保障内容 フラット35の買取型を利用して住宅ローンを組む場合は、住宅金融支援機構が提供する新機構団信に加入することが可能です。0.2%の上乗せ金利で新機構団信に加入できます。民間金融機関の住宅ローンとは異なり、新機構団信への加入は任意となります。 p { line-height: 3.0; font-size: 16px; } 出典)住宅金融支援機構「新機構団体信用生命保険制度のご案内」 基本プランである新機構団信のほかに、保障内容をさらに充実させた「新3大疾病付機構団信」、連帯債務の夫婦向けプランの「ペア連生団信」も用意されています。融資金利は、新3大疾病付機構団信が新機構団信付きに0.24%、ペア連生団信は新機構団信付きに0.18%の上乗せとなります。 なお、フラット35の保証型でローンを組む場合は、新機構団信ではなく一般団信に加入します。 新機構団信の身体障害の認定基準 一般団信では、保険金支払いの条件として「高度障害」が設定されていますが、新機構団信では身体障害者福祉法に基づき、所定の「身体障害状態」と認定された場合に保険金が支払われます。新機構団信の保険金支払い基準は、以下のとおりです。 <保障内容の概要> 次のいずれかの場合に、保険金が支払われます。 死亡したとき 身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級または2級の障害に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき※ ※〈身体障害状態の例〉 例えば…ペースメーカーを植え込み、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されている(身体障害認定1級) 例えば…人工透析を受けており、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されている(身体障害認定1級) ・満80歳の誕生日の属する月の末日まで保障されます。 ・連帯債務者であるご夫婦ふたりで「デュエット」(ペア連生団信)に加入できます。 出典)住宅金融支援機構「新機構団信の加入要件・保障内容」 身体障害者手帳1級・2級の交付基準は以下のとおりです。 出典)厚生労働省「身体障害者障害程度等級表」 先ほど紹介した一般団信の高度障害と比べると、新機構団信で認定される身体障害認定はより広い範囲のリスクに対応しています。 例えば視力に関して、一般団信の例では「両眼の視力を完全に失ったもの」が対象ですが、新機構団信の2級では、以下の条件も認定対象となります。 両眼の視力の合計が0.02以上0.04以下である場合 両眼の視野がそれぞれ10度以内であり、かつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上である場合 新機構団信と一般団信の3大疾病保障の違い 3大疾病とは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3つの病気を指します。団信に3大疾病保障を付けることで、これら3つの病気になった場合に保険金が支払われ、住宅ローンが完済されます。 住宅金融支援機構の新3大疾病付機構団信は、3大疾病が原因で一定の要件に該当したときに加えて、公的介護保険制度における要介護2以上の状態(または所定の要介護状態)に該当したときも保障されます。 出典)住宅金融支援機構「新3大疾病付機構団信の加入要件・保障内容」 公的介護保険制度における、要介護度別の状態像は以下のとおりです。 要介護1 要支援状態から、手段的日常生活動作を行う能力がさらに低下し、部分的な介護が必要となる状態 要介護2 要介護1の状態に加え、日常生活動作についても部分的な介護が必要となる状態 要介護3 要介護2の状態と比較して、日常生活動作及び手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態 要介護4 要介護3の状態に加え、さらに動作能力が低下し、介護なしには日常生活を営むことが困難となる状態 要介護5 要介護4の状態よりさらに動作能力が低下しており、介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態 出典)厚生労働省「介護保険制度における要介護認定の仕組み」 既に身体障害者手帳を持っている場合、または既に要介護認定を受けている場合でも、新機構団信に加入できる場合があります。 民間金融機関の団信では、要介護保障が特約として提供されているケースがあり、その基準や保障範囲が異なることがあります。 出典)住宅金融支援機構「既に身体障害者手帳を持っている場合、または既に要介護認定を受けている場合でも、新機構団信制度に申込みできますか?Q&A番号:3403」 まとめ 民間金融機関の一般団信は原則加入が必要です。死亡または高度障害となったときに保険金が支払われ、住宅ローンが完済されます。 一方、フラット35の新機構団信は任意加入です。死亡時に保険金が支払われるのは同じですが、高度障害ではなく、所定の身体障害状態となった場合に保障されます。一般団信の高度障害に比べると、新機構団信の身体障害はより広いリスクに対応しています。 また、どちらも3大疾病保障はありますが、新機構団信は要介護2以上の状態も保障対象となるのが特徴です。 フラット35と民間金融機関の住宅ローンをどちらにするか迷ったら、金利や融資条件だけでなく、団信についても比較検討してみてはいかがでしょうか。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 フラット35の審査基準を徹底解説! フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利が確定するため、返済計画を立てやすく、金利変動リスクへの備えとなります。ただし、フラット3...記事を読む

  • 住宅ローンの保証料型と融資手数料型の違いとは?

    住宅ローンを借りるときは、保証料や融資手数料などの諸費用がかかります。支払方式に応じて「保証料型」と「融資手数料型」の2つに分けられますが、どのような違いがあるのでしょうか。 この記事では、住宅ローンの保証料型と融資手数料型の違い、返済シミュレーションの比較を紹介します。 住宅ローンの保証料型とは 住宅ローンの保証料とは、保証会社の保証を受けるために支払う費用です。契約者がローンを返済できなくなった場合、保証会社が契約者に代わってローンの残債を支払う仕組みです。 保証料型は、契約者が保証会社へ保証料を支払う必要がありますが、基本的に融資手数料はかかりません。保証料型の住宅ローンは、「一括前払い型」と「金利上乗せ型」の2種類があります。 一括前払い型(外枠方式) 一括前払い型(外枠方式)とは、住宅ローンの借入時に一括で保証料を支払うタイプです。保証料は、借入金額や借入期間によって変動します。一括で支払うため、初期費用は増えますが、金利上乗せ型に比べると毎月の返済額を抑えることが可能です。 途中で繰り上げ返済をすると、一括前払いをした保証料の一部が返還されます。これを戻し保証料と言います。戻し保証料を受け取る際は、手数料がかかることがあります。 金利上乗せ型(内枠方式) 金利上乗せ型(内枠方式)とは、住宅ローンの借入時に保証料を支払わない代わりに、毎月の金利が上乗せされるタイプです。一般的には、借入金利に0.2%程度が上乗せされます。仮に借入金利が年0.6%の場合、0.2%上乗せされて年0.8%となります。 借入時の初期費用は軽減されますが、外枠方式に比べると毎月の返済額が増える点に注意が必要です。 住宅ローンの融資手数料型とは 融資手数料とは、住宅ローンを借りる際に金融機関に支払う手数料です。金融機関によっては「事務手数料」と呼ばれることもあります。 融資手数料型は、契約者が金融機関に融資手数料を支払うタイプの住宅ローンです。保証会社への保証料は、契約者から受け取った融資手数料の中から金融機関が支払います。 融資手数料型の住宅ローンは、「定額型」と「定率型」の2種類があります。 定額型 定額型とは、借入金額にかかわらず一定金額の融資手数料を支払う方式です。借入金額が増えるほど、定率型と比較してお得になります。金融機関によって異なりますが、融資手数料は3~5万円程度が一般的です。 ただし、通常は定率型より適用金利は高くなります。そのため、融資手数料を含めた総支払額を比較して、定額型と定率型のどちらが有利かを判断する必要があるでしょう。 定率型 定率型とは、借入金額に対して一定の割合(例:2.2%)を手数料として支払う方式です。借入金額が増えるほど、手数料も比例して増加します。 例えば、融資手数料が借入金額の2.2%、借入金額3,000万円の場合、融資手数料は66万円(3,000万円×2.2%)です。 定額型よりも適用金利は低めですが、初期費用は高くなります。 住宅ローンの保証料型と融資手数料型の主な違い 保証料型の内枠方式を利用する場合、金利が上乗せされるという点で融資手数料型と大きな違いはありません。また、保証料と融資手数料は、どちらも住宅ローンを借りる金融機関に支払う諸費用という点では同じです。 しかし、保証料型の外枠方式は、以下2つが融資手数料型とは異なります。 借入期間が長いほど諸費用(保証料)は高額になり、短いほど少額になる 繰り上げ返済をした際にお金が戻ってくる なお、繰り上げ返済については、住宅ローンの借り換えも含まれます。そのため、保証料型(外枠方式)で借りた住宅ローンを借り換える場合は、保証料が返還されるでしょう。詳細は住宅ローンを利用する金融機関に確認してみましょう。 住宅ローンの保証料型と融資手数料型の比較 ここでは、住宅ローンの保証料型と融資手数料型の違いをイメージするために、以下の条件で保証料、融資手数料、総返済額(元金+利息)の合計額の比較を紹介します。 <比較条件> 「借入金額4,000万円、金利1.0%、借入期間35年、元利均等返済」で住宅ローンを借りるケースについて、以下4つの条件を比較 保証料型(外枠方式):保証料は借入金額100万円あたり20,000円 保証料型(内枠方式):保証料として金利に+0.2%上乗せ 融資手数料型(定額型):融資手数料は33,000円、加えて金利に+0.2%上乗せ 融資手数料型(定率型):融資手数料は借入金額×2.2% 保証料型(外枠方式) 保証料型(内枠方式) 融資手数料型(定額型) 融資手数料型(定率型) 保証料 800,000円 融資手数料 33,000円 880,000円 総返済額 47,453,342円 49,041,316円 49,041,316円 47,453,342円 合計 48,253,342円 49,041,316円 49,074,316円 48,333,342円 ※2024年12月1日付で試算 出典)住信SBIネット銀行「住宅ローン 新規借入シミュレーション」 上記条件では、保証料型(外枠方式)が最も有利な結果となりました。しかし、どのタイプが有利かは、借入期間や借入金額によって異なります。 また、金融機関によって金利や諸費用に違いがあるため、シミュレーションを行ったうえで自分にあったタイプを選択することが重要です。 まとめ 住宅ローンは、大きく「保証料型」と「融資手数料型」の2つがあります。さらに保証料型は「外枠方式」と「内枠方式」、融資手数料型は「定額型」と「定率型」に分けられます。 それぞれメリット・デメリットがあり、どのタイプが諸費用を抑えられるかは借入金額や借入期間などによって異なります。住宅ローンを借りる際は事前にシミュレーションを行い、どの手数料タイプが自分に向いているかを見極めましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンの保証会社とは?役割や種類、利用時の注意点を解説 銀行で住宅ローンを組む時、保証会社を利用することが一般的です。住宅ローンにおいて、保証会社はどのような役割を果たしているのでしょうか。この記事では、住宅ローンの保証会社の役割や種類、利用時の...記事を読む

  • フラット50とは?メリット・デメリットや条件について解説

    フラット50は、最長50年の借り入れが可能な全期間固定金利の住宅ローンです。一般的に住宅ローンの借入期間は最長35年ですが、フラット50ならより長期の借り入れが可能です。この記事では、フラット50の概要や条件、メリット・デメリットについて解説します。 フラット50の概要 フラット50とは、長期優良住宅を取得する場合に利用できる、最長50年の全期間固定金利の住宅ローンです。一般的な住宅ローンよりも借入期間が長い分、月々の返済額を抑えることができます。 出典)フラット35「【フラット50】」 また、借入時に返済終了までの適用金利と返済額が確定し、金利上昇リスクを回避できる点も特徴です。 関連記事はこちら長期優良住宅とは?認定制度の概要やメリット・デメリットを解説 フラット50の対象となる住宅・技術基準 フラット50は長期優良住宅であることに加えて、フラット35の技術基準に適合している住宅が借り入れの対象です。 フラット35では、新築住宅と中古住宅でそれぞれ技術基準が定められています。物件検査に合格し、技術基準に適合した住宅であることを証明する「適合証明書」を取得したうえで、取扱金融機関へ借り入れの申し込みをしなくてはなりません。 出典)【フラット50】及び金利引継特約付き【フラット35】の技術基準の概要(新築住宅) フラット35の適合証明書や住宅の技術基準については、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちらフラット35を利用するために必要な適合証明書とは? フラット50の利用条件と特徴 フラット50の主な特徴として、住宅金融支援機構は次の4つを挙げています。 最長50年の全期間固定金利 長期優良住宅取得時に利用可能 住宅ローン付きで売却が可能 フラット35またはフラット20との併用が可能 最長50年の借入期間を選択できるのは、申込時に30歳未満の人が対象です。30歳以上の人は、「80歳-申込時の年齢(1年未満切上げ)」が借入期間の上限となります。申込時の年齢が35歳であれば、借入期間は最長44年です。 また、長期優良住宅の特徴として、返済中に住宅を売却する場合、買主は売主が利用していた借入金利のままフラット50の債務を引き継ぐことができる「金利引継特約」を利用できます。 詳しくは以下の「フラット35のさまざまな優遇制度」の中で解説しています。 関連記事はこちらフラット35とは?メリット・デメリットを解説 また、住宅金融支援機構ではフラット50の借入額は物件価格の9割が上限ですが、フラット35またはフラット20を併用すれば、物件価格までの借り入れを希望することが可能としています。 出典)フラット35「【フラット50】」 フラット50への借り換え 既存の住宅ローンからフラット50への借り換えも可能です。借入額は100万円以上8,000万円以下(1万円単位)で、「借換対象となる住宅ローンの残高」または「住宅金融支援機構による担保評価額の200%」のいずれか低い額が上限となります。 なお、借入期間は既存の住宅ローンの借入開始時点から数えて、最長で50年となります。 出典)【フラット35】借換融資のご利用条件 フラット50のメリット・デメリット フラット50には、以下のようなメリットとデメリットがあります。 メリット フラット50やフラット35を申し込むには、次の総返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)の基準を満たす必要があります。 年収 400万円未満 400万円以上 総返済負担率 30%以下 35%以下 出典)住宅金融支援機構「フラット50」 返済期間が長くとれるフラット50では、フラット35と比較すると総返済負担率が小さくなります。そのため、35年では基準を満たせなくても、50年ならより高額な物件の借り入れが可能になるかもしれません。 例えば、以下の条件で借入期間を50年と35年で比較すると総返済負担率(小数点第三位以下切り捨て)の違いは下表のようになります。 年収:500万円 借入希望額:5,000万円 適用金利:1.960%(50年)、1.860%(35年) 返済方法:元利均等返済 フラット50 フラット35 借入期間 50年 35年 総返済負担率 31.39% 38.89% 年収500万円の人がフラット35を借りる場合は、総返済負担率35%以下の基準を超えてしまいますが、フラット50の場合は返済期間が長くなるため総返済負担率は35%以内に収まります。 そのため、フラット50を利用すれば、現在の年収ではローンを組むことが難しい高額な物件でも、購入の可能性が広がり、理想の住環境を手に入れられるかもしれません。 デメリット フラット50は、借入期間を長くできる一方で、その他の条件が同一であれば総返済額が増加します。これは、借入期間が長期化すると月々の返済額に占める利息の割合が増加し、元金の償還が遅くなるためです。 また、フラット20やフラット35に比べると金利が高いのもデメリットです。新機構団信付きの借入金利水準は、「最新の金利情報:長期固定住宅ローン【フラット35】」をご確認ください。 フラット50を利用した場合の返済シミュレーション ここでは、フラット50を利用した場合の返済シミュレーションを2つ紹介します。 ケース①フラット50とフラット35の毎月の返済額の比較 満29歳の人が3,000万円を借り入れる場合、フラット50とフラット35の返済シミュレーション結果はそれぞれ以下のとおりです。 フラット50 フラット35 適用金利 年1.960% 年1.860% 借入期間 50年 35年 月々の返済額 78,476円 97,236円 総返済額 47,129,266円 40,880,660円 完済時年齢 80歳 65歳 ※前提条件:2024年12月1日時点で試算。元利均等返済、ボーナス返済なし、2024年12月の最も多い金利(融資率9割以下) 月々の返済額はフラット35が約9.7万円であるのに対し、フラット50は約7.8万円に抑えられます。一方で、総返済額はフラット50のほうが約620万円増え、完済時年齢は80歳となります。 ケース②購入と賃貸の比較 新築住宅に賃貸で住む場合の家賃相場は、物件価格に対する「収益利回り」を基に算出されます。収益利回りは物件の価格に対する年間家賃収入の割合を指し、ここでは収益利回りを5%と10%の場合で見ていきます。 <5%の場合> 年間家賃収入 3,000万円 × 5% = 150万円 月額家賃 150万円 ÷ 12 = 12.5万円 <10%の場合> 年間家賃収入 3,000万円 ×10% = 300万円 月額家賃 300万円 ÷ 12 = 25万円 上記のとおり、賃貸で毎月12.5万円~25万円の家賃を支払うよりも、前述のフラット50を利用することで毎月の返済額は4.7万円~17.2万円も安く抑えることができます。 さらに、フラット50は賃貸と比較した際に次のようなメリットもあります。 賃貸物件よりも優れた物件への入居可能性 住宅ローン控除による税負担の軽減 長期固定金利による安心感 住環境の安定性と自由度 以上のように、フラット50を活用することで、賃貸と比較して毎月の住居費を抑えられるだけではなく、さまざまなメリットを享受できます。住宅ローン控除などの税制優遇措置を受けることで、さらに経済的な負担を軽減しながら理想の住まいを実現できる可能性が広がります。 また、フラット50は、将来の住み替えを視野に入れて若い世代が利用する手段としても有効です。フラット50を活用すれば、優良物件に安価で住みながら、ライフステージの変化や資産状況に応じて柔軟に住み替えを検討できる可能性が広がります。 ただし、将来売却しやすい物件や立地なのかを考えて購入することが重要です。新築住宅は価格が下落しやすい傾向にあるため注意しましょう。 まとめ フラット50は、長期優良住宅を対象とした最長50年の全期間固定金利の住宅ローンです。借入期間が長くとれるため、フラット35よりも月々の返済額を抑えることができます。長期優良住宅を取得する予定があるなら、フラット50を検討してみてはいかがでしょうか。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説 親子リレーローンは、親子二世代にわたって返済する仕組みの住宅ローン商品です。親子リレーローンを利用することで、単独でローンを組むより借入金額を増やせる可能性があります。一方で、親子リレーロー...記事を読む 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

  • 50年ローンはやばい?利用する際のポイントを解説

    一般的に住宅ローンの返済期間は最長35年とされていますが、近年最長50年の住宅ローンを提供する金融機関が増えてきています。50年ローンはリスクが高いといった声もありますが、本当に利用を避けるべきなのでしょうか。 この記事では、50年ローンができた背景と「やばい」と言われる理由、利用する際のポイントを解説します。 50年ローンができた背景 最長50年の住宅ローンができた背景には、住宅価格の高騰があります。以下は、国土交通省が公表している不動産価格指数の推移です。 出典)国土交通省「不動産価格指数(令和6年5月・第1四半期分)P.2」 2010年平均を100(基準)としたとき、令和6年(2024年)5月分の数値は住宅地116.1、戸建住宅115.8、マンション(区分所有)201.0です。いずれも上昇傾向にあり、マンションにいたっては約2倍に上昇しています。 住宅価格の上昇が続いている主な要因は次の3つです。 2013年から続いてきた大規模な金融緩和政策 資材価格の高騰 高性能住宅の普及 日銀はデフレを脱却し、物価上昇率2%の目標を達成するためにマイナス金利政策などを実施してきました。金融緩和政策で金利が下がり住宅ローンを利用しやすくなったことで、不動産需要の拡大と価格高騰につながりました。 近年では、円安や原油価格の上昇などの影響で建築資材の価格が高騰しています。また、長期優良住宅やZEHなどの高性能住宅の普及が進んでいますが、断熱性や気密性を高める必要があるため、一般住宅よりも建築費用は高い傾向にあります。 このような要因で住宅価格は高騰しており、特に若年層は住宅取得へのハードルが上がっているのが現状です。 住宅ローンは、返済期間を伸ばすと毎月の返済負担を軽減することができます。年齢が若いほど長期のローンを組みやすいため、50年ローンは主に若年層をターゲットにした商品といえるでしょう。 出典)日本銀行「(参考)2013年以降の「量的・質的金融緩和」のもとでの金融政策」 50年ローンのデメリットとやばいと言われる理由 「50年ローンはやばい」と言われるのは、次のようなデメリットがあるからです。 50年間のライフプランは見通しが立てづらい 老後(定年後)も返済が続く 総返済額(支払利息)が増える 元金の減るスピードが遅い 返済期間が50年の場合、20代で借り入れても完済時年齢は70代となります。住宅ローンは計画的に返済を進めることが重要ですが、今後50年間にどのようなライフイベントを迎え、費用がいくらかかるかを予測するのは簡単ではないでしょう。約定返済のみだと定年後も返済が続くため、老後資金への影響も懸念されます。 住宅ローンは返済期間が長くなるほど支払利息が増え、結果的に総返済額も増えてしまいます。元金の減るスピードが遅くなるのもデメリットです。 フラット50とフラット35の条件比較 50年ローンの具体例として、住宅金融支援機構が提供するフラット50を見てみましょう。一般的なフラット35との比較表は以下のとおりです。 フラット50 フラット35 申込時の年齢 満44歳未満 満70歳未満 完済年齢 80歳まで 返済期間 36年~50年 21年~35年 借入金利 (2024年11月現在) 年1.940~2.410% (最頻金利:年1.940%) 年1.840~3.470% (最頻金利:年1.840%) 返済比率 年収400万円未満:30%以下 年収400万円以上:35%以下 物件種類 住宅金融支援機構が定める技術基準に適合する長期優良住宅 住宅金融支援機構が定める技術基準に適合する住宅 仮に「借入金額3,000万円、元利均等返済、ボーナス払いなし」で上記の最頻金利を適用すると、毎月の返済額と総返済額は以下のようになります。 フラット50 フラット35 融資金利 年1.940% 年1.840% 返済期間 50年 35年 毎月の返済額 7.9万円 9.7万円 総返済額 4,689万円 4,072万円 なお、フラット50の借入額は物件価格の9割までです。ただし、フラット35またはフラット20と併用すれば、物件価格までの借り入れも申し込みできます。 出典) ・フラット50「ご利用条件」 ・フラット35「ご利用条件」 ・フラット35「借入希望額から返済額を計算」 50年ローンの繰上げ返済のポイント 50年ローンの「総返済額が増加する」というデメリットは、繰上げ返済を行うことで軽減できます。 繰上げ返済は、返済期間を短縮する「期間短縮型」と、毎月の返済額を軽減する「返済額軽減型」の2種類があります。余裕があれば、支払利息の節約効果がより高い期間短縮型の繰上げ返済を行うのがおすすめです。 ただし、住宅ローン控除を受けている場合は、最大13年間の控除期間が終わってから繰上げ返済をしたほうが経済的なメリットがあるかもしれません。繰上げ返済で住宅ローンの年末残高が減ると、住宅ローン控除による税負担の軽減効果も減少してしまいます。 関連記事はこちら老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳未満編) 50年ローンの返済が困難になった場合の対処法 50年ローンの返済が困難になった場合は放置せず、まずは金融機関に相談することが大切です。返済できない状況が一時的なものであれば、返済条件の見直しなどに応じてもらえるかもしれません。 滞納の解消が見込めない場合は、自宅の売却を検討することになります。フラット50の場合は、住宅ローン付きで売却が可能です。買主に債務や借入金利をそのまま引き継げる「金利引継特約」を利用できます。 関連記事はこちら住宅ローンを滞納したらどうなる?対処法も併せて解説 関連記事はこちらフラット35とは?メリット・デメリットを解説 50年ローンは使わないほうがいい? 50年ローンは毎月の返済額が下がり、返済比率が低くなるため、若年層でも借り入れがしやすい住宅ローンといえます。返済期間は長期にわたりますが、全期間固定金利であれば借入時に返済終了までの金利と返済額が確定するため、リスクを抑えられるでしょう。 収入が低い状態で50年ローンを借り、その後信用情報が良くなった際に他のローンに借り換えるという選択肢もあります。 住まいに対する価値観として、「賃貸で家賃を支払うならば、50年ローンを組んで持ち家を購入し、最終的に完済できればよい」という考え方もあるでしょう。同じ金額であれば、持ち家のほうが優れた物件に住める可能性もあります。 まとめ 住宅価格が高騰していますが、50年ローンなら毎月の返済額が減るため、収入がそれほど高くない若年層でも借りやすいでしょう。ただし、一般的な35年ローンに比べると総返済額が増加し、定年後も返済が続くことに注意が必要です。 50年ローンを利用する場合は繰上げ返済をうまく活用し、返済期間を短縮して総返済額を減らすことを検討しましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 フラット35子育てプラスとは?金利引き下げの条件や注意点を解説 フラット35子育てプラスとは、子育て世帯や若年夫婦世帯に向けた新たな金利引き下げ制度です。一定の要件を満たすと子供の人数などに応じて金利が引き下げられるため、住宅ローンの負担軽減が期待できま...記事を読む

  • 個人事業主が住宅ローンを借りる際のポイントを解説

    個人事業主は収入が給与所得者に比べて不安定であるため、住宅ローンの審査に通るか不安を感じる人もいるでしょう。金融機関の考え方や住宅ローンの特徴を理解すれば、個人事業主でも審査に通過する可能性を高めることができます。 この記事では、個人事業主が住宅ローンを借りる際のポイントや注意点を解説します。 個人事業主が住宅ローンを借りにくい理由 「個人事業主は住宅ローンを借りにくい」といわれる理由は、民間金融機関が申込者の収入の安定性を見るからです。返済が途中で滞ることがないように、申込者に安定収入があることを重視します。 一般的に、上場企業や公務員などの職業は安定していると評価される一方で、個人事業主などの自営業者は収入が不安定に見られる傾向にあります。 また、民間金融機関の収入や年収に対する見方も理由の一つです。通常、会社員は税込年収が基準ですが、個人事業主は収入から必要経費を差し引いた「所得」で判断されます。そのため、個人事業主はたとえ収入が高くても、経費を計上し所得が低いと審査が厳しくなる傾向にあります。 個人事業主が住宅ローンの審査で知っておきたいこと 個人事業主が住宅ローンの審査を受ける場合は、以下のポイントを押さえておくことが大切です。 収入ではなく所得で審査される 黒字経営が単年ではなく継続している 物件価格全額をフルローンで組めなくても頭金があれば借入可能な場合もある 税金、社会保険料などの支払遅延や未納がある場合は清算する 返済比率(総返済負担率)は他の借入額も含まれる 継続した安定収入があることを証明するために、複数年にわたって黒字経営が続いていることが求められます。会社員は給与天引きで税金や社会保険料を納めますが、個人事業主は自分で支払うため、支払遅延や未納がないか確認しておくことも重要です。 なお、不動産投資をしている場合は、収益不動産からの収入やその返済に対する見方が金融機関によって異なるので、事前に確認しておくとよいでしょう。 フラット35なら個人事業主でも利用しやすい フラット35は、民間金融機関の住宅ローンに比べると個人事業主でも利用しやすいといえます。理由は以下のとおりです。 事業年数の指定がない 総返済負担率の基準は前年度収入のみで判断される フラット35は「業歴〇年以上」のような事業年数の指定がないため、独立してそれほど年数が経過していなくても申し込みが可能です。 フラット35の年収条件は「年収400万円未満は総返済負担率30%以下、年収400万円以上は総返済負担率35%以下」です。個人事業主は所得金額が基準となりますが、複数年の平均ではなく前年分で判断されます。必ず借りられるわけではありませんが、申込要件を満たせば審査に通過できる可能性は高まるでしょう。 たとえ個人事業主でも基本的な審査内容は会社員と変わりません。ただし、前年および前々年の納税証明書(所得金額用)と確定申告書の写しを提出する必要があります。 出典) ・フラット35「【フラット35】ご利用条件」 ・フラット35「【フラット35】融資手続・必要書類」 連帯債務者との収入合算も可能 もしも単独で収入が足りない場合は、収入合算を検討してもよいでしょう。 例えば、配偶者を連帯債務者として収入合算すれば、総返済負担率の基準を通過しやすくなり、借入可能額も増えます。夫婦で連帯債務となる場合は、2名分の保障がついた「ペア連生団信」に加入できるのもメリットです。ペア連生団信に加入すれば、夫婦のいずれかが死亡または所定の身体障害状態となった場合に以後の返済が不要となります。 出典)住宅金融支援機構「ペア連生団信のポイント」 また、主に親子でローンを組み、親子二代にわたって返済していく「親子リレー返済」を利用する方法もあります。フラット35の場合は親子の同居が不要で、子(連帯債務者)の収入全額を合算できます。親子リレーローンについては、以下の記事で詳しく説明しています。 関連記事はこちら親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説 個人事業主が住宅ローン控除を利用する際の注意点 住宅ローン控除は、住宅ローンを借りて住宅の新築・取得などをした場合に各年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除する制度です。個人事業主でも、借入期間や住宅の環境性能、床面積などの要件を満たしていれば適用されます。 会社員の場合、初年度のみ確定申告が必要で、2年目以降は勤務先の年末調整で控除を受けられます。一方、個人事業主は毎年確定申告が必要になるので、手続きを忘れないように注意しましょう。 自宅兼事務所とする場合は要注意 個人事業主の場合、自宅兼事務所としてマイホーム購入を検討するケースもあるでしょう。住宅ローン控除を受けるためには「住宅の床面積が50㎡以上であり、かつ、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること」という要件を満たす必要があります。 事務所として利用する部分の床面積が全体の50%を超えると、住宅ローン控除の対象外となってしまいます。詳しくは、最寄りの税務署や税理士などの専門家にご確認ください。 まとめ 「個人事業主は住宅ローンを借りにくい」といわれますが、一定以上の所得があり、複数年にわたって黒字経営を続けていれば審査に通過することは可能です。事業年数や所得の関係で厳しいと感じる場合は、前年度の所得で判断されるフラット35を検討してみてはいかがでしょうか。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 フラット35の審査基準を徹底解説! フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利が確定するため、返済計画を立てやすく、金利変動リスクへの備えとなります。ただし、フラット3...記事を読む

  • フラット35は外国人でも利用できる?住宅ローンの申込要件を解説

    出入国在留管理庁によると、日本に在留する外国人の数は2023年末時点で340万人を超え、過去最高を更新しました。日本に住む外国人は増加傾向にあり、中には「マイホームを購入したい」と考える人もいるでしょう。外国人が日本で不動産を購入したり、住宅ローンを組んだりすることは可能なのでしょうか。 この記事では、外国人が日本で不動産を購入する方法やフラット35の利用可否について解説します。 外国人でも日本で不動産を購入できる 海外では、外国人による不動産購入を制限している国もあります。しかし、日本では外国人に対する不動産購入の規制はありません。永住権の有無にかかわらず、日本人と同様に購入可能です。 一般的なマイホーム購入の流れは以下のとおりです(住宅ローンを利用しない場合は物件購入のみ)。 ※筆者作成 外国為替及び外国貿易法(外為法)により、非居住者が日本の不動産または不動産に関する賃借権などの権利を取得した場合は、取得後20日以内に財務大臣へ報告書を提出しなくてはなりません。ただし、以下のいずれかに該当する場合は、報告書の提出は不要です。 非居住者本人やその親族などの居住用目的で取得した不動産(別荘、セカンドハウスは対象外) 非居住者が非営利目的の業務遂行のために取得した不動産 非居住者本人の事務所用として取得した不動産 他の非居住者から取得した不動産 出典) ・財務省「非居住者による本邦の不動産等取得に係る報告」 ・財務省「外為法に基づく「本邦にある不動産又はこれに関する権利の取得に関する報告書」の提出」 外国人が日本で住宅ローンを組む際の条件と審査基準 前述のとおり、日本は外国人による不動産購入の規制がないため、外国人が不動産を購入する場合も、日本人が購入する場合と同様に「現金で購入する」か「住宅ローンを組む」かを選択することとなります。 多くの金融機関では、住宅ローンの利用条件を「日本国籍の人、または永住許可を受けている外国籍の人」としています。そのため、永住者または特別永住者であるかが大きなポイントになるでしょう。 ただし、永住許可を受けていなくても、一定の条件を満たせば住宅ローンを組める金融機関もあります(詳細は後述)。 永住許可の審査基準 「永住許可がある」とは、外国人で永住者の在留資格を有することです。日本で「永住権がある」という場合、通常は在留資格の「永住者」を持っていることを意味します。 外国人が永住者の在留資格を取得するには、永住許可を申請して法務大臣の許可を得る必要があります。永住許可の法律上の要件は以下3つです。 素行が善良であること 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること その者の永住が日本国の利益に合すると認められること 1は法律を遵守していること、2は将来において安定した生活が見込まれることが求められます。3については、永住者以外の在留資格で日本に10年以上滞在していること、罰金刑や懲役刑などを受けていないこと、などが条件として挙げられています。 出典)出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和6年6月10日改訂)」 特別永住者とは 特別永住者とは、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(1991年施行)」で定められた在留資格を持つ外国人です。 具体的には、第二次世界大戦以前から日本に住んでいた外国人で、サンフランシスコ平和条約により日本国籍を失った人を指します。 また、特別永住者の子孫も対象となります。特別永住者の子として日本国内で出生、またはその他の事由(国籍離脱など)によって日本に在留することになった人は、特別永住許可申請が可能です。 出典)西宮市「特別永住許可申請について」 フラット35は外国人でも利用可能 フラット35は、住宅金融支援機構と提携する民間金融機関が取り扱う全期間固定金利の住宅ローンです。借入時の金利が全期間変わらず、申込時に毎月の返済額や総返済額が確定するため、資金計画を立てやすいメリットがあります。 永住者または特別永住者であれば、外国人でもフラット35に申し込みが可能です。融資実行後、これらの資格がなかったことが判明すると、借入金の一括返済を請求されるので注意しましょう。 出典)フラット35「Q.外国籍でも申込みできますか。」 フラット35以外で外国人が利用可能な住宅ローン 外国人が住宅ローンを組むには、基本的に永住者や特別永住者の資格が必要です。しかし、中には永住許可がなくても住宅ローンの申し込みが可能な金融機関もあります。 また、ノンバンク(融資に特化した金融機関)が取り扱う住宅ローンでも、申し込みができるかもしれません。銀行で住宅ローンの審査に落ちたとしても、ノンバンクなら対応可能な場合もあります。 関連記事はこちら外国人でも住宅ローンを借りることはできる? まとめ 外国人が住宅ローンを組む場合は、基本的に永住者または特別永住者の在留資格が必要です。永住許可があれば、フラット35も利用できます。 ただし、中には永住許可がなくても住宅ローンを申し込める金融機関もあります。また、銀行の審査に落ちてもノンバンクなら対応可能な場合もあるので、状況に応じて検討してみましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介 マイホームを購入するときは、住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし、住宅ローンには審査があるので、必ず利用できるとは限りません。金融機関は、どのような基準で住宅ローンの審査を行うのでしょ...記事を読む

    2024.11.06住宅ローン
  • フラット35は団信なしだと金利はどれくらい変わる?注意点も解説

    一般的に住宅ローンを組む時は、団体信用生命保険(以下「団信」という)の加入が必要となります。しかし、住宅金融支援機構の提供するフラット35は団信が任意加入です。団信なしの場合、フラット35の金利はどれくらい変わるのでしょうか。 この記事では、フラット35の団信の内容や借入金利、加入を検討する際のポイントについて解説します。 フラット35の新機構団体信用生命保険 フラット35の団体信用生命保険である新機構団体信用生命保険制度(以下「新機構団信」という)は、加入者が死亡または所定の身体障害状態になった場合などに、以後の住宅ローンの返済が不要となる生命保険です。 フラット35には買取型と保証型の2種類があり、それぞれ加入する団信の内容は異なりますが、買取型のフラット35において加入可能な団信は新機構団信に限られます。 新機構団信制度には、「新機構団信」と「新3大疾病付機構団信」の2種類があり、団信の保険料は毎月の住宅ローン返済額と合わせて支払います。次から詳しく見ていきましょう。 新機構団信の内容 新機構団信は、次の両方にあてはまる場合に加入できます。 満15歳以上満70歳未満の人 幹事生命保険会社の加入承諾がある人 また、次のいずれかの場合に保険金が支払われます。 死亡したとき 身体障害者福祉法に定める1級または2級の障害に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき 保障期間は、満80歳の誕生日の属する月の末日までです。夫婦で連帯債務者となる場合は、ペア連生団信である「デュエット」に加入することも可能です。夫婦のどちらかに万一のことがあれば、住宅持分や返済割合にかかわらず、以後の返済が不要になります。 デュエットを利用する場合の借入金利は、「新機構団信付きの借入金利+0.18%」です。なお、後述する新3大疾病付機構団信ではデュエットを利用できません。 出典) ・住宅金融支援機構「幹事生命保険会社」 ・住宅金融支援機構「新機構団信の加入要件・保障内容」 新3大疾病付機構団信の内容 新3大疾病付機構団信は、次の両方にあてはまる場合に加入できます。 満15歳以上満51歳未満の人 幹事生命保険会社の加入承諾がある人 また、次のいずれかの場合に保険金が支払われます。 死亡したとき(新機構団信と同様) 身体障害者福祉法に定める1級または2級の障害に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき(新機構団信と同様) 3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)が原因で一定の要件に該当したとき 公的介護保険制度に定める要介護2以上または所定の要介護状態に該当したとき 満75歳の誕生日の属する月の末日まで保障され、その翌日からは新機構団信の保障内容になります。新3大疾病付機構団信を利用する場合の借入金利は、「新機構団信付きの借入金利+0.24%」です。 出典)新3大疾病付機構団信の加入要件・保障内容 団信に加入できない人でも住宅ローンを利用できる 金融機関が提供する、いわゆる一般的な住宅ローンでは、団信加入が必須である場合がほとんどです。その中で、フラット35の団信が任意加入である点はメリットといえるでしょう。 健康状態の問題などで団信に加入できず、一般的な住宅ローンを利用するのが難しい人でも、フラット35であれば融資を受けられる可能性もあります。また、団信に加入しない場合に借入金利が下がるのも魅力です。 ※借入には所定の審査があり、借入ができない場合もあります。 フラット35の団信に非加入で利用する際の借入金利 団信なしでフラット35を利用する場合、借入金利がどれくらい変わるかは買取型と保証型で異なります。 買取型のフラット35の場合 買取型のフラット35で新機構団信に加入しない場合、借入金利は「新機構団信付きの借入金利-0.2%」となります。 具体例を確認しましょう。2024年10月の新機構団信付きフラット35で最も多い金利は、融資率9割以下で年1.820%です。このケースで団信なしにすると、借入金利は1.620%(1.820%-0.2%)となります。 出典)フラット35「新機構団信制度に加入しない(できない)場合の金利はどうなりますか。」 保証型のフラット35の場合 保証型のフラット35では、各金融機関が提供する団信を利用しますが、団信の加入義務については金融機関によって異なります。また、保証型のフラット35では新機構団信は利用できません。フラット35の買取型と保証型の違いについては、以下の記事で詳しく説明しています。 関連記事はこちらフラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい? フラット35の団信に非加入の際の注意点 フラット35で団信に加入しない場合の注意点は以下のとおりです。 住宅ローン契約者が病気や高度障害になってもローンの返済が続く 住宅ローン契約者が死亡しても家族にローンの残債が残る 団信に加入しない場合、万が一の際に住宅ローンの返済が困難になるでしょう。特に病気や高度障害を負った場合、収入が減少してもローン返済は続ける必要があります。 また、住宅ローン契約者が死亡した場合、家族にローンの残債が引き継がれるため、家計に大きな負担がかかる可能性があります。そのため、団信に加入しないのであれば、生命保険や収入保障保険など、万一のリスクに備えるために自身で備えておく必要があるでしょう。 健康面に不安がある場合は団信加入が安心? 一般的な生命保険の場合、加入時の年齢が高いほど保険料は高くなります。一方、団信は契約時の年齢によって保険料(金利)が増減することはありません。 ただし、契約する年齢が高くなると定年後もローンが残り、返済が苦しくなるかもしれません。また、健康面での問題が生じやすくなり、団信加入が難しくなる恐れがある点にも注意が必要です。 まとめ フラット35は団信が任意加入であり、加入するかどうかは利用者自身で判断できます。買取型で団信なしの場合、借入金利は新機構団信付きのフラット35から0.2%引き下げられます。 保証型は金融機関によって商品が異なるため、団信なしで借入金利がどれくらい変わるかは個別に確認が必要です。 借入金利は下がるのは魅力ですが、団信に加入しないと万一のときの保障を確保できないため、慎重に判断しましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 フラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい? フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。フラット35には「買取型」と「保証型」の2種類がありますが、自宅購入でフラット35を利用する場...記事を読む

  • 住宅ローンの保証会社とは?役割や種類、利用時の注意点を解説

    銀行で住宅ローンを組む時、保証会社を利用することが一般的です。住宅ローンにおいて、保証会社はどのような役割を果たしているのでしょうか。この記事では、住宅ローンの保証会社の役割や種類、利用時の注意点について解説します。 住宅ローンの保証会社とは 保証会社とは、住宅ローン申込者の信用を補完する会社です。住宅ローンでは長期かつ多額の借り入れを行うため、貸主である金融機関は融資金を回収できないリスクを抱えます。 住宅ローンを組む時に債務者となる借主が保証会社を利用すれば、万が一返済できなくなったとしても、保証会社が借主の代わりに返済してくれるため、金融機関の抱えるリスクはなくなります。 保証契約の仕組み 保証会社を利用する場合、住宅ローンを組む債務者と保証会社とで保証契約を締結します。保証契約とは、住宅ローンの契約者が金融機関に債務を返済できなくなった場合に、契約者に代わって保証会社が債務を一括返済(代位弁済)する契約です。 住宅ローンを滞納すると、貸主である金融機関は借主である住宅ローン契約者に対して督促を行います。それでも返済されない場合、金融機関は保証会社に債務の返済を求め、代位弁済が行われます。その後、保証会社から借主に対して立て替えた金額が請求されます。 ※筆者作成 関連記事はこちら代位弁済とは?仕組みや流れ、考えられるリスクについて解説 なお、保証会社というと、賃貸住宅を借りるときに利用する「賃貸保証会社」を指すこともあります。入居者が家賃を払えなくなった場合は、賃貸保証会社が入居者に代わって貸主に家賃を立て替え払いする仕組みです。 保証会社を利用するときの流れ 住宅ローンで保証会社を利用するときの流れは以下のとおりです。 金融機関に住宅ローンの申し込み 金融機関から保証会社へ保証申し込み 保証会社による審査・保証承諾 融資実行 住宅ローン契約者から保証会社へ保証料の支払い 保証会社が連帯保証を引き受け 金融機関に住宅ローンを申し込むと、保証会社は審査を行います。審査に通過した場合は、融資実行の際に保証会社に対して保証料を支払います。なお、保証会社を利用するかどうかは金融機関が提供する住宅ローンの商品説明などに記載されています。 住宅ローンにおける保証会社の役割 住宅ローンにおける保証会社の役割は、主に「保証審査」と「保証履行」の2つです。 保証審査 保証審査とは、住宅ローンの申込者の保証を引き受けるかを審査することです。多くの金融機関では、保証会社の保証を受けられることを住宅ローンの利用条件にしています。住宅ローンの本審査として実施されるため、保証審査に通らないと住宅ローンを利用できません。 保証履行 保証履行とは、住宅ローンの契約者が返済できなくなった場合に、その契約者に代わって金融機関にローン残債を一括返済することです。契約者が滞納しても保証会社が代位弁済してくれるので、金融機関にとっては大きなメリットといえます。 住宅ローンの契約者にとっては返済先が金融機関から保証会社に変わるだけであり、返済義務がなくなるわけではありません。 住宅ローンの保証会社の種類 保証会社の種類は、「金融機関の系列の保証会社」と特定の金融機関グループに属さない「独立系の保証会社」の2つに分けられます。 メガバンクや地方銀行などで住宅ローンを組む場合、その系列の保証会社を利用することが多いでしょう。具体的には、メガバンクの系列として「三菱UFJローンビジネス」「みずほ信用保証」「SMBC信用保証」「りそな保証」などの会社があります。 独立系の保証会社は、銀行や信用金庫など多くの金融機関と提携して住宅ローン保証を行っています。代表的な会社は「全国保証」で、全期間固定金利型住宅ローンのフラット35にも対応しています。 フラット35(保証型)の仕組み フラット35には、一般的な買取型のほかに「保証型」と呼ばれるタイプもあります。 保証型では、金融機関が提供する住宅ローンに対して住宅金融支援機構が保険を付けます。そして、フラット35の利用者が返済できなくなった場合は、住宅金融支援機構が金融機関に対して保険金を支払う仕組みです。 フラット35の買取型と保証型の違いは、以下の記事で詳しく説明しています。 関連記事はこちらフラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい? 住宅ローンの保証料の支払方法 住宅ローン保証料の支払方法は、「外枠方式」と「内枠方式」の2つがあります。 外枠方式 外枠方式とは、住宅ローンを組む時に保証料を一括で支払う方式です。借入金額と返済期間に応じて保証料の金額が決まります。通常は、借入金額が多く返済期間が長いほど保証料は高くなります。 外枠方式のメリットは、後述する内枠方式よりも毎月の返済額や総返済額が少なくなることです。一方で、借入時にまとまった支出が発生します。 内枠方式 内枠方式とは、住宅ローンの金利に上乗せして保証料を支払う方式です。一般的には、外枠方式の金利におおよそ0.2%程度が上乗せされます。例えば、外枠方式の借入金利が年0.6%であれば、内枠方式では年0.8%の金利でローンを返済することになります。 内枠方式のメリットは、外枠方式に比べて借入時の支出が抑えられることです。ただし、毎月の返済額や保証料を含めた総返済額は外枠方式よりも多くなります。 住宅ローンの保証会社を利用する際の注意点 保証会社を利用する住宅ローンを組むと、保証料を支払わなくてはなりません。前述のとおり、保証料の支払方法は外枠方式と内枠方式の2つがあります。両者の違いを理解して、自分に合った住宅ローンを選ぶことが大切です。 また、保証会社を利用するにあたって審査があります。審査に通過できない場合、住宅ローンを組むことができません。クレジットカードやカードローンなどを滞納すると、審査に影響が出る恐れがあるので注意しましょう。 まとめ 保証会社は、住宅ローン利用者の信用力を判断する「保証審査」と、利用者が返済できない場合に金融機関へ代位弁済する「保証履行」の2つの役割を担っています。保証会社の選択や保証料の支払い方式によっては、住宅ローンの総返済額に影響を与えることもあるため、金融機関や専門家のアドバイスを参考にしながら慎重に比較検討しましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンの5年ルールと125%ルールとは?メリット・デメリットを解説 住宅ローンを変動金利型で組んだ場合、金利が上昇し、返済額が増えるのではないか、と不安に感じるかもしれません。 しかし、多くの金融機関では、金利が上昇しても急に返済額が変わらない「5年ルール」...記事を読む