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  • 設備資金とは?具体例や運転資金との違い、融資を受ける方法を解説

    設備資金とは?具体例や運転資金との違い、融資を受ける方法を解説

    企業の創業時や事業の拡大時など、事業運営では設備投資が必要になる場面があります。まとまった費用がかかるため、資金調達に悩む経営者や個人事業主の方も多いのではないでしょうか。この記事では、設備資金の概要や運転資金との違い、融資を受ける方法などを解説します。 設備資金とは 設備資金とは、事業用の設備の購入に必要となる資金のことです。創業時や事業の拡大時などは、設備や施設の購入などに伴い、一時的にまとまった費用が発生します。設備投資に必要な資金を自己資金でまかなうのが難しい場合は、設備資金として金融機関から資金を調達する方法もあります。 設備資金の具体例 設備資金の内容は業種によって異なり、例えば以下のような資金が設備資金として該当します。 業種設備資金の例 製造業事務所の敷金・保証金、事務所や工場などの増設、拡張など 建設業事務所の敷金・保証金、建設機械、事業用車両の購入など 飲食業店舗の敷金・保証金、厨房機器、テーブル、椅子の購入費など 小売業店舗の敷金・保証金、陳列棚、什器購入費など 設備資金に含まれないもの 事業に関連して一時的に発生する支出であっても、以下の資金は設備資金に含まれません。あくまでも、事業をする上で必要となる設備に対しての支出が設備資金となります。 法人設立の資本金 増資のための出資金 個人使用が目的の乗用車 設備資金と運転資金を比較 設備資金と混同しやすい資金として、運転資金があります。 運転資金とは 運転資金とは、事業を継続するために必要な資金です。具体的には、人件費や仕入れ代金、家賃、光熱費など事業を継続するうえで必要な資金が運転資金に該当します。 設備資金と運転資金の違い 設備資金と運転資金は、主に支払いのタイミングや継続性に違いがあります。設備資金は、設備などを購入する際に、一時的にまとまった費用がかかるのが特徴です。一方、運転資金は、事業を運営している限り継続的にかかります。 設備資金の融資を受ける方法 設備資金の融資を受ける方法は、主に以下の3つがあります。 銀行融資 銀行などの民間金融機関では、設備資金の融資を行っています。経営状況や事業計画、返済能力などを審査されます。事業の将来性や財政状態を審査したうえで、融資条件が決定されます。 公的融資 公的融資の一つである日本政策金融公庫は、主に中小企業や個人事業主の資金調達支援を行っている政府系金融機関です。設備資金の融資も取り扱っており、すでに事業を行っている企業だけでなく、これから新規開業する個人も利用できる可能性があります。 ノンバンクからの融資 銀行ではないノンバンクを利用して設備資金の融資を受ける方法もあります。無担保での融資だけでなく不動産担保ローンを利用する方法もあり、商品としてはビジネスローンに該当します。 不動産担保ローンは、土地や建物などの不動産を担保に借り入れができるローン商品です。資金使途が幅広く、設備資金としても利用できます。「開業したばかりで事業の実績がない」「赤字決算で資金調達が難しい」といったケースでも、担保不動産に価値があれば融資を受けられるかもしれません。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 設備資金の融資申し込みの必要書類 設備資金の融資を受けるには、借入先の審査に通過する必要があります。ここでは、融資申し込み時の必要書類について説明します。 調達した資金の使用目的がわかる書類 設備資金の融資に限らず、融資を受ける際には資金使途を明確にする必要があります。設備資金のみの融資を受けるのであれば、もちろん資金使途は設備投資に限られます。そのため、調達した資金を何に使うのか、使用目的や金額が記載された書類が必要になります。主な書類は以下のとおりです。 購入する設備の見積書 領収書 売買契約書 経営状況や事業の見通しがわかる書類 借主の財務の健全性や返済能力なども審査の判断基準になるため、経営状況や事業の見通しがわかる書類も必要です。主な書類は以下のとおりです。 決算書(直近3期分程度) 資金繰り表 事業計画書 設備資金の融資を受けるときの注意点 設備資金の融資を受ける際は、以下の点に注意しましょう。 無理のない返済計画を立てる 借入金額や返済期間は、経営状況に合わせて慎重に判断する必要があります。借入金額を増やしすぎたり、返済期間を短くしすぎたりすると、資金繰りの悪化を招く恐れがあります。事業運営に支障が出ることがないように、無理のない返済計画を立てましょう。 資金の使い道を変更しない 設備資金として融資を受けた資金は、設備投資にしか使えません。運転資金など、その他の目的に使用すると契約違反になる可能性があります。 まとめ 設備資金は、事業の成長・拡大に不可欠な設備投資に必要な資金です。 自己資金でまかなうのが難しい場合は、金融機関から融資を受ける必要があります。金融機関によって特徴が異なるため、経営状況にあわせて最適な借入先を選択しましょう。 無料相談してみる 不動産担保ローンの疑問にお答えします。 無料相談をしてみる 不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 事業資金の種類とそれぞれの特徴を紹介 事業資金は商売をする上で必要になる資金ですが、何に使うかによって呼び方が異なります。融資を受ける際には基本的に「どんなことに、いくら資金が必要なのか」を明確にさせなければ融資を受けられません...

    2025.04.09用語
  • 旧耐震基準とは?新耐震基準との違いやリスク、確認方法を解説

    旧耐震基準とは?新耐震基準との違いやリスク、確認方法を解説

    地震大国である日本において、耐震基準は住宅の安全性を左右する重要な要素です。旧耐震基準で建てられた住宅は、現行の新耐震基準に比べて耐震性能が劣る可能性があります。この記事では、旧耐震基準の概要や新耐震基準との違い、リスク、確認方法を解説します。 旧耐震基準とは 旧耐震基準とは、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準です。建築確認は、建築工事に着手する前に設計内容が法令に適合しているかを確認する手続きを指します。旧耐震基準では、震度5程度の地震に対して建物が倒壊しないような構造基準として設定されています。 新耐震基準との違い 新耐震基準とは、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準です。新耐震基準は、1977年に「新耐震設計法(案)」が公表されたのち、1978年(昭和53年)に発生した宮城県沖地震(震度5、マグニチュード7.4)により妥当性が実証されたこともあり、建築基準法の体系に盛り込まれることになりました。この地震では、現在の仙台市域で住宅の全半壊4,385戸、一部損壊86,010戸の甚大な被害が生じました。 新耐震基準では、震度5程度の地震では建物が損傷せず、震度6強~7程度でも倒壊しないような構造基準として設定されています。また、木造建築物について壁量の見直しや基礎の基準強化も実施されました。 過去に発生した大地震では、旧耐震基準と新耐震基準で被害状況に大きな差がみられます。例えば、下図は平成7年の阪神・淡路大震災における建築年別の被害状況ですが、旧耐震基準に比べて、新耐震基準は「軽微・無被害」の割合が小さいことがわかります。 出典)国立研究開発法人 建築研究所「「新耐震基準」から40年を振り返る」 出典)国土交通省「参考資料集」 旧耐震基準の住宅が抱えるリスク 旧耐震基準の住宅は、現行の基準を満たす住宅と比較して次のようなリスクを抱えています。 建物が損傷・倒壊するリスク 地震発生時に建物が損傷・倒壊するリスクが新耐震基準に比べて高いです。新耐震基準で想定されている震度6強~7程度の地震が発生した場合、旧耐震基準の建物は耐えきれず、人命に関わる重大な事故につながる恐れがあります。 資産価値が下落するリスク 旧耐震基準の住宅は、大地震で損壊・倒壊するリスクが新耐震基準の住宅に比べて高いため、新耐震基準の住宅よりも資産価値が低く評価される傾向にあります。 補修コストが増大するリスク 旧耐震基準の建物は築年数が経過しているため、耐震性以外の部分でも劣化が進んでいる可能性があります。地震による損傷がなかったとしても、将来的に大規模な修繕が必要になるかもしれません。そのため、新耐震基準の建物に比べて補修コストが高くなる場合があります。 旧耐震基準の確認方法 所有中の住宅や購入を検討している住宅が、旧耐震基準で建てられたものかどうかを確認する方法が次の2つです。 建築確認日で判断する 建築確認日とは、行政が建築確認の申請を受理した日のことです。建築基準法に基づいて確認が行われるため、建築確認日が1981年5月31日以前なら旧耐震基準、1981年6月1日以降なら新耐震基準だと判断できます。建築確認日は建築確認済証などに記載されています。 耐震診断を受ける 住宅の耐震性をより正確に把握するには、耐震診断を受けるのが有効です。耐震診断では、専門家が建物の構造や劣化状況などを調査し、耐震性の有無を評価します。耐震診断を受けるには費用がかかりますが、一定の要件を満たすと国や自治体の支援制度を利用できる場合があります。詳しくは、自治体の担当窓口などにご確認ください。 旧耐震基準の住宅の対策方法は? 旧耐震基準の住宅であることが判明した場合は、まずは耐震診断を実施したうえで、耐震性が不十分であった場合は、以下のような対策を講じることが重要です。 耐震改修工事を実施する 建物の耐震性を向上させるには、耐震改修工事を実施するのが有効です。例えば、木造住宅の場合は基礎や柱、壁などの補強、屋根の軽量化などを行う方法があります。耐震改修を行うことで、新耐震基準相当の耐震基準に近づけることが可能です。工事費用はかかりますが、国や自治体の支援制度を利用できる場合があるので、自治体の担当窓口に相談してみましょう。 建て替えを行う 建物の老朽化が進んでいる場合など、耐震改修に高額な費用がかかる場合などは、建て替えを行うのも選択肢です。建て替えであれば、生活環境を変えることなく、最新の耐震基準を満たす安全性の高い住宅を建てることができます。 耐震性の高い住宅へ住み替えをする 旧耐震基準の住宅から、新耐震基準を満たした住宅へ住み替える方法もあります。建て替えとは異なり、現居の売却代金を新居の購入資金に充てることが可能です。また、工事期間中の仮住まいが不要で、速やかに新居での生活をスタートできます。 一方で、旧耐震基準の住宅は売却しにくく、買い手が見つかっても高値で売却できない可能性があります。現居の住宅ローンが残っている場合、残債を一括返済する必要があることにも注意が必要です。 関連記事はこちら住み替えの方法と成功させるポイント まとめ 旧耐震基準は、1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準です。新耐震基準に比べて耐震性が劣り、地震による損壊・倒壊や資産価値の下落、補修コストの増大といったリスクを抱えています。 旧耐震基準の住宅に住んでいる場合は、安全性を確保するために耐震改修工事や建て替え、住み替えなどの対策を検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 日本は「地震大国」と言われており、過去には巨大地震が発生して住宅が倒壊するなどの被害が生じています。地震による建物や家財の被害に備えるには、地震保険を付帯するのが有効です。万が一被害にあった...

    2025.04.02用語
  • 家財保険とは?補償内容と必要性を解説

    家財保険とは?補償内容と必要性を解説

    家財保険とは、火災保険のうち家財を補償対象とする契約のことです。例えば、火災などが発生した場合、建物だけでなく、その建物の中にある家具や家電など(家財)も損害を受ける可能性があります。この時、家財も補償の対象としている火災保険に加入していれば、建物及び家財の損害についても補償されます。 この記事では、家財保険の概要と補償内容、必要性について解説します。 家財保険とは 火災保険の補償対象は、「建物」と「家財」の2つに分けられます。このうち、家財に生じた損害を補償する契約のことを、一般的に「家財保険」といいます。家財とは、建物に付属している設備(浴槽、調理台など)ではなく、引っ越すときに運び入れるようなものです。例えば、イスやテーブル、ベッドなどの家具、衣類、本、家電製品などが家財にあたります。 火災保険は、火災や自然災害などで被害を受けたときに、その損害を補償してくれる保険です。 しかし、建物のみを補償対象としている契約の場合、家財の損害は補償してもらえません。もしものときの損害に備えるなら、家財も補償対象に加えておく必要があります。 火災保険との違い 家財保険は、火災保険の一部です。火災保険の補償対象は建物と家財に分かれており、それぞれ保険金額を決めて契約します。建物と家財の両方を補償対象とすることも、どちらか一方のみを補償対象とすることも可能です。 家財保険の補償内容 家財保険の一般的な補償対象は以下のとおりです。 家財保険の補償対象補償対象となる原因 右記の事象により家財に生じた直接的な損害火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹(ひょう)災・雪災、水災、外部からの飛来物、水漏れ、盗難など 出典)一般社団法人 日本損害保険協会「火災保険」をもとに作成 ただし、保険会社や保険商品によって補償範囲が異なる場合があります。そのため、契約前に補償範囲について確認しておくことが大切です。 家財保険の補償対象外となるもの 地震や噴火、これらを原因とする津波で家財に損害が生じた場合、家財保険(火災保険)では補償されません。別途、地震保険に加入する必要があります。また、提供会社によって異なりますが、一般的に以下のようなものは家財保険の補償対象には含まれません。 家財保険の補償対象外となる主なもの 現金・小切手・有価証券 パソコン・スマホ等のデータ 動植物 自動車 現金やデータなどは、保管場所や管理方法を検討することが大切です。自動車は自動車保険(車両保険)の補償対象であるため、自宅の車庫で被害にあっても家財保険では補償されません。 なお、高価な貴金属や宝石、書画、骨董などは家財に含まれませんが、これらは保険会社へ申告することで、家財とは別枠で補償をつけることが可能です(明記物件)。明記物件を家財保険の補償対象にしたい場合は、事前に保険会社の担当者に相談しましょう。 家財保険の特約 家財保険(火災保険)は、特約として「借家人賠償責任補償」や「個人賠償責任補償」をつけることが可能です。それぞれの補償内容を確認していきましょう。 借家人賠償責任補償 借家人賠償責任補償とは、賃貸物件の借主が貸主に法律上の損害賠償責任を負ったときに補償される保険です。借主には原状回復義務があり、事故の内容によっては多額の損害賠償が生じるリスクがあります。そのため、賃貸物件に入居する際は、借家人賠償責任補償への加入を求められるのが一般的です。 補償対象となる事例として、「ストーブを消し忘れてボヤを起こした」「洗濯機のホースが外れた」などの理由で室内の床や壁を損壊させてしまったケースが考えられます。 個人賠償責任補償 個人賠償責任補償とは、日常生活において「他人にケガをさせてしまった」「他人のものを壊してしまった」などの理由で法律上の損害賠償責任を負ったときに補償される保険です。被保険者本人だけでなく、その家族も補償対象となります。補償対象となる事例として、「家族が自転車で通行人にケガをさせた」「水漏れで階下の部屋を水浸しにしてしまった」などが考えられます。 家財保険のほかに、自動車保険や傷害保険の特約として個人賠償責任補償に加入できるケースもあります。加入中の保険の補償内容を確認のうえ、必要に応じて家財保険に特約としてつけることを検討しましょう。 家財保険加入の必要性 ここでは、「賃貸物件」「持ち家」「リースバック」の3パターンについて、家財保険加入の必要性を紹介します。 賃貸物件の場合 賃貸物件の場合、一般的には貸主が建物の火災保険に加入するため、借主は家財のみを補償対象とする家財保険に加入します。その際、借家人賠償責任補償を付帯することが入居の条件になっているケースが多いです。貸主としては、借主が火災などを起こし、原状回復義務を履行できなくなるリスクに備える必要があります。そのため、賃貸物件では家財保険(特に借家人賠償責任補償)の必要性は高いといえます。 持ち家の場合 火災で建物に被害が生じると、通常は家財も損害を受けることになるでしょう。家具や家電などをすべて買い替えることになれば、多額の費用がかかる可能性があります。買い替えに必要な費用を見積もったうえで、家財保険の必要性を検討することが大切です。 リースバックの場合 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却して現金を得て、売却後は賃料を支払うことで引き続き同じ家に住むことができるサービスです。リースバックの場合、自宅の売却と同時に賃貸借契約を締結するため、賃貸物件の場合と基本的には同じで、借主は賃貸住宅用の家財保険に加入します。詳しくは、契約時にリースバック運営会社に確認しましょう。 関連記事はこちらリースバックの契約までの流れと必要書類、注意点を解説 まとめ 火災や自然災害で建物が損壊すると、通常は建物内にある家財にも損失が生じます。家具や家電をすべて買い替えるとまとまった費用がかかるため、不安な場合は家財保険を検討しましょう。 賃貸物件の場合は、借家人賠償責任補償がセットになった家財保険の加入を求められるケースがほとんどです。貸主から案内された家財保険の補償内容を確認し、不明点があれば契約前に確認しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 日本は「地震大国」と言われており、過去には巨大地震が発生して住宅が倒壊するなどの被害が生じています。地震による建物や家財の被害に備えるには、地震保険を付帯するのが有効です。万が一被害にあった...

    2025.03.26用語
  • 固定資産税評価証明書とは?必要な場面や取得方法、手数料などを解説

    固定資産税評価証明書とは?必要な場面や取得方法を解説

    固定資産税評価証明書は、不動産の取引や手続きで必要となる公的な書類です。普段の生活ではあまりなじみのない書類のため、どのように活用すればよいかわからない人は多いのではないでしょうか。 この記事では、固定資産税評価証明書の概要や必要な場面、取得方法、手数料などについて詳しく解説します。 固定資産税評価証明書とは 固定資産税評価証明書とは、市区町村が作成する固定資産課税台帳に登録された固定資産の評価額を証明する書類です。 固定資産税は、土地や家屋(建物)などの固定資産を所有している人に課税される税金です。課税対象となる固定資産の評価額に基づいて、市区町村 が税額を算出します。固定資産税評価証明書を取得すれば、固定資産税の算出根拠となる土地・家屋などの固定資産税評価額を確認できます。 固定資産税評価証明書の記載事項 固定資産税評価証明書の見本は以下です。 出典)東京都主税局「固定資産税・都市計画税 各種閲覧・証明の様式」 様式は自治体によって異なりますが、固定資産税評価証明書には主に次のような事項が記載されています。 土地・家屋の所有者の住所、氏名 土地・家屋の所在地、価格(評価額)、課税標準額 土地の地積(面積)、地目(利用状況)、共有持分 家屋の家屋番号、建物番号、床面積、種類(使用目的)、構造、敷地権(区分所有の場合)、共有持分 公課証明書には、評価証明書の記載事項に加えて税相当額も記載されています。固定資産課税台帳(名寄帳)は証明を目的としたものではなく、記載内容は納税通知書の課税明細書とほぼ同じです。名称は似ていますが、それぞれ記載内容や目的が異なるため、混同しないように注意しましょう。 固定資産税評価証明書はどんなときに必要? ここでは、固定資産税評価証明書が必要になる場面を紹介します。 不動産登記 不動産売買、相続、贈与などで不動産登記(所有権移転・保存登記など)を行う際は、登録免許税がかかります。その登録免許税の算定に必要になるため、固定資産税評価証明書の提出が求められます。 相続税や贈与税の申告 相続税や贈与税の申告では、土地・家屋の評価額を証明する書類として固定資産税評価証明書の提出が必要なケースがあります。 相続税・贈与税の計算において、土地は「路線価方式」と「倍率方式」のいずれかで評価します。路線価が設定されておらず、倍率方式で評価する場合は固定資産税評価額をもとに評価額を算出します。また、家屋は「固定資産税評価額×1.0」が評価額です。 不動産に関する訴訟 不動産に関する訴訟を起こす場合、裁判所に申立手数料を納めなくてはなりません。手数料は、訴訟の対象となる不動産の固定資産税評価額をもとに算出するため、固定資産税評価証明書の提出が必要です。 固定資産税評価証明書の取得方法 固定資産税評価証明書はどのように取得すればよいのでしょうか。申請場所や取得できる人、必要書類、手数料などについて説明します。 申請・取得できる場所 固定資産税評価証明書は、自治体の窓口で申請が可能です。窓口であれば、基本的にその場ですぐに交付されます。自治体によっては、郵送による申請や電子申請にも対応していますが、窓口よりも取得に時間がかかる点に注意が必要です。 取得できる人 固定資産税評価証明書を取得できるのは、原則として、不動産の所有者本人または住民票上同一世帯の親族です。ただし、所有者本人の代理人や相続人が取得することも可能です。代理人は委任状、相続人は戸籍謄本などが必要となります。 取得時の必要書類 固定資産税評価証明書を取得する際は、自治体に交付申請書を提出します。また、申請者に応じて以下の書類が必要です。 申請者 必要書類 本人本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど) 住民票上同一世帯の親族申請者の本人確認書類 代理人委任状代理人の本人確認書類 相続人所有者(被相続人)との相続関係がわかる書類(戸籍謄本など)相続人の本人確認書類 法人法人の実印を押印した申請書窓口に来た人の本人確認書類 借地借家人権利関係が確認できる書類(賃貸借契約書など)窓口に来た人の本人確認書類 出典)八王子市「固定資産評価証明書(土地・家屋)」 なお、固定資産税評価証明書の取得にかかる手数料は、1通あたり300円程度です(自治体によって異なる)。 まとめ 固定資産税評価証明書は、土地や家屋の評価額を証明する公的な書類です。不動産売買や相続、贈与などで提出を求められることがあります。取得方法や手数料は自治体によって異なるため、必要な場合は事前に確認しておきましょう。 無料相談してみる 不動産担保ローンの疑問にお答えします。 無料相談をしてみる 不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産の購入・売却にかかる税金をそれぞれ解説 不動産売買の際には、購入する側と売却する側のそれぞれに税金がかかります。不動産売買の予定がある場合は、あらかじめどのような税金が発生するのか知っておくことが重要です。 この記事では、不動産の...

    2025.03.19用語
  • 住宅ローンの団体信用生命保険とは?保障内容や特約を解説

    金融機関で住宅ローンを組む場合、通常は「団体信用生命保険(以下、団信)」への加入を求められます。団信に加入すれば、住宅ローン契約者に万が一のことがあっても、家族にローンの返済を残さずに済むため安心です。 この記事では、住宅ローンの団信の仕組みと保障内容について解説します。 団体信用生命保険とは? 団信とは、住宅ローン契約者が死亡または所定の高度障害状態になったときに、住宅ローンが完済される保険です。契約形態は、債権者である銀行が保険契約者および保険金受取人となり、住宅ローン契約者(債務者)が被保険者となります。 住宅ローン契約者に万が一のことがあった場合、家族が返済に困るケースがあります。団信に加入していれば、保険金で住宅ローンが完済されるため、家族にローンのない家を残すことができます。 保険金が支払われることで、金融機関側としても債務の回収リスクが抑えられるため、多くの民間金融機関では、住宅ローン契約時に団信加入が必須となっています。 団体信用生命保険の保障内容と加入条件 団信の保障内容は金融機関によってさまざまです。死亡や高度障害に加えて、3大疾病などを保障するタイプもあります。また、団信加入には保険会社による審査があり、健康状態などの告知が必要です。 団信に加入できるのは、住宅ローンの新規借り入れまたは借り換えを行うタイミングに限られるため、どのタイプに加入するか慎重に判断する必要があるでしょう。 団体信用生命保険の保障内容 一般的な団信(以下、一般団信)では、契約者が死亡または所定の高度障害になった場合に保障されます。高度障害とは、両眼の視力や言語機能を永久に失った状態などを指します。また、一般団信に特約を付けることによって、保障内容を充実させることが可能です。 特約付き団信には次のようなものがあります。 特約の種類 詳細 がん がんに罹患し、所定の状態に該当した場合に保障される特約 3大疾病 3大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞)に罹患し、 所定の状態に該当した場合に保障される特約 所定の身体障害状態 所定の身体障害状態(心臓ペースメーカーを装着している、 人工透析を受けているなど)に該当した場合に保障される特約 要介護状態 公的介護保険制度で要介護認定を受けた場合などに保障される特約 (要介護の条件は金融機関によって異なる) 基本的に、一般団信の保険料は金融機関が負担します。特約を付ける場合は、住宅ローン金利に上乗せするかたちで契約者(債務者)が負担することが一般的です。 団体信用生命保険の審査基準 団信に加入するには、保険会社に健康状態などを告知し、審査に通過する必要があります。団信の審査基準は公開されていませんが、一般的には年齢や職業、健康状態などをもとに審査が行われます。最も重要視されると考えられるのは健康状態です。 申込時点での健康状態(病気の有無)や健康診断の結果、過去の病歴など、一般的な告知事項についてできる限り正確に伝える必要があります。病歴を告知しなかったり、虚偽の告知を行ったりすると告知義務違反となり、保障を受けられなくなるため注意が必要です。 健康上の問題で一般団信に加入できない場合は、通常よりも引受範囲が広い「ワイド団信」を利用する方法もあります。高血圧などの持病で一般団信に加入できなくても、ワイド団信であれば加入できる可能性があるでしょう。保障内容は一般団信と変わりませんが、保険料として住宅ローン金利に一定幅が上乗せされるのが一般的です。 出典)公益財団法人生命保険文化センター「団体信用生命保険について知りたい」 住宅金融支援機構の新機構団体信用生命保険 新機構団体信用生命保険(以下、新機構団信)とは、全期間固定金利型の住宅ローン「フラット35」で利用できる住宅金融支援機構の団信です。加入者が死亡または所定の身体障害状態となった場合、以後のローン返済は不要となります。 新機構団信の保障内容については、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちらフラット35の新機構団信と一般団信の違いとは?保障内容と3大疾病保障について解説 民間金融機関の住宅ローンとは異なり、加入は任意です。新機構団信なしのフラット35に比べて、融資金利は+0.20%となります。 出典) ・住宅金融支援機構「新機構団体信用生命保険制度のご案内」 ・フラット35「健康上の理由その他の事情で新機構団信制度に加入しない場合も、【フラット35】は利用できますか。Q&A番号:599」 新機構団体信用生命保険の審査基準 新機構団信の加入要件は次の2つです。 「新機構団体信用生命保険制度申込書兼告知書」の記入・入力日現在、満15歳以上満70歳未満であること 幹事生命保険会社の加入承諾があること 一般団信と同じく健康状態などについて告知を行い、保険会社の審査に通過する必要があります。なお、住宅金融支援機構にはワイド団信の取り扱いはありません。 前述のとおり、フラット35は団信加入が任意のため、団信に加入できなくても借り入れは可能です。ただし、万が一のときに返済できなくリスクが高まります。必要に応じて、民間生命保険会社の引受基準緩和型の死亡保険を検討するとよいでしょう。 出典)住宅金融支援機構「新機構団信の加入要件・保障内容」 新3大疾病付機構団信とデュエット(ペア連生団信) フラット35では、基本プランである新機構団信のほかに以下2つのプランが用意されています。 新3大疾病付機構団信 デュエット(ペア連生団信) 新3大疾病付機構団信は、死亡・所定の身体障害状態に加えて3大疾病が原因で一定の要件に該当したとき、公的介護保険制度に定める要介護2以上の状態になったときなども以後のローン返済が不要となります。融資金利は、新機構団信付きの融資金利+0.24%です。 ペア連生団信は、夫婦で連帯債務者となる場合に利用できる団信です。夫婦のどちらかに万が一のことがあった場合、住宅の持分や返済割合にかかわらず、以後のローン返済が不要となります。融資金利は、新機構団信付きの融資金利+0.18%です。 出典)住宅金融支援機構「新機構団信の加入要件・保障内容」 団体信用生命保険の保険料は生命保険料控除の対象外 生命保険料控除は、保険金受取人が「自己または配偶者その他の親族」である生命保険契約などが対象となります。 団信の保険金受取人は、債権者である金融機関です。そのため、住宅ローン契約者が団信の保険料を負担しても、生命保険料控除を受けることはできません。 出典)住宅金融支援機構「特約料は生命保険料控除の対象にはならないのですか?Q&A番号:173」 まとめ 団信は、住宅ローン契約者に万が一のことがあったときに、保険金でローンが完済される保険です。多くの金融機関では、住宅ローン契約時に団信加入が必須となっています。健康上の問題で一般団信への加入が難しい場合は、通常よりも引受範囲が広いワイド団信であれば加入できるかもしれません。 また、団信加入が任意のフラット35を利用するのも選択肢の一つです。その場合はリスクへの備えとして、民間生命保険会社の引受基準緩和型の死亡保険などへの加入を検討しましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35は団信なしだと金利はどれくらい変わる?注意点も解説 一般的に住宅ローンを組む時は、団体信用生命保険(以下「団信」という)の加入が必要となります。しかし、住宅金融支援機構の提供するフラット35は団信が任意加入です。団信なしの場合、フラット35の...

  • 住宅ローンのペアローンと収入合算の違いとは?

    夫婦や親子が一緒に住宅ローンを組む方法として、「ペアローン」と「収入合算」があります。どちらも2人の収入で住宅ローンを組めるため、単独で契約するよりも借入可能額を増やすことが可能です。しかし、ペアローンと収入合算は仕組みが異なるため、どちらが向いているかを見極めることが大切です。 この記事では、住宅ローンのペアローンと収入合算の違い、選び方をわかりやすく解説します。 ペアローンとは ペアローンとは、1つの物件に対して、夫婦(または親子)がそれぞれ主たる債務者となって住宅ローンを組む方法です。 夫婦の場合、それぞれが債務者となって計2本の住宅ローンを組み、お互いが相手のローンの連帯保証人となります。物件は夫婦の共有名義となり、持分はそれぞれの借入金額に応じて決まるのが一般的です。 契約は2本ですが、同じ金融機関でローンを組む必要があります。また、原則として購入物件での同居が条件となります。 収入合算とは 収入合算とは、申込者本人(主たる債務者)の収入に、配偶者や親子の収入を合算して住宅ローンを組む方法です。 申込者が単独で住宅ローンを組むよりも借入可能額を増やすことが可能です。収入合算は「連帯保証型」と「連帯債務型」の2種類があり、どちらを取り扱っているかは金融機関によって異なります。 連帯保証型は、収入を合算する人が連帯保証人になるのが特徴です。主たる債務者が住宅ローンを返済できなくなった場合は、連帯保証人が代わりに返済義務を負います。 連帯債務型は、収入を合算する人が連帯債務者となります。連帯債務者は、最初から主たる債務者と同等の返済義務を負います。 ペアローンと収入合算の主な違い ペアローンと収入合算の違いは主に次の3つです。 ローン契約の形態(契約が2本か1本か) 団体信用生命保険(団信)の取り扱い 住宅ローン控除の適用条件 それぞれ詳しく見ていきましょう。 ローン契約の形態(契約が2本か1本か) 住宅ローンの契約数はペアローンが2本、収入合算が1本です。 住宅ローンを組む際は、事務手数料や保証料、印紙税、登記費用などの諸費用がかかります。ペアローンは2本分の諸費用が生じるため、1本のみの収入合算に比べると費用負担が増えることになります。 団体信用生命保険(団信)の取り扱い 夫婦でペアローンを組む場合、夫と妻はそれぞれ団体信用生命保険(以後、団信)に加入します。どちらかに万が一のことがあった場合、団信で住宅ローンが完済されるのは1人分のみです。残された人は、引き続き住宅ローンを返済する必要があります。 収入合算(連帯保証型)は、団信に加入している主たる債務者が亡くなった場合、住宅ローンは保険金で完済されます。ただし、収入合算者(主たる債務者ではない者)は団信に加入できないのが一般的です。収入合算者に万が一のことがあっても団信の保障は受けられず、主たる債務者は引き続き返済義務を負うことになります。 なお、収入合算(連帯債務型)は、「連生団信」を提供している金融機関もあります。連生団信とは、収入合算者に万が一のことがあった場合も保険金で住宅ローンが完済される団信です。取り扱いの有無は金融機関によって異なるので、詳細は各金融機関に確認しましょう。 住宅ローン控除の適用条件 ペアローンは、夫婦(または親子)がそれぞれ住宅ローン控除を受けられます。 一方、収入合算は連帯保証型と連帯債務型で取り扱いが異なります。連帯保証型は、住宅ローン控除の対象となるのは主たる債務者のみで、収入合算者は控除を受けられません。連帯債務型は、主たる債務者・収入合算者ともに住宅ローン控除が適用されます。 ペアローンと収入合算の違いをまとめると以下のようになります。 ペアローン 収入合算(連帯保証型) 収入合算(連帯債務型) 住宅ローンの契約数 2本(お互いに連帯保証人となる) 1本(収入合算者は連帯保証人) 1本(収入合算者は連帯債務者) 物件の所有権 共有名義 主たる債務者の名義 共有名義 団体信用生命保険 それぞれ加入 主たる債務者のみ加入 主たる債務者のみ加入(連生団信へ加入できる場合あり) 住宅ローン控除 それぞれ利用可能 主たる債務者のみ利用可能 それぞれ利用可能 ペアローンと収入合算の選び方 ペアローンと収入合算のどちらにするか迷った場合は、上記の主な違いに基づいて、メリットやリスクを比較検討することが大切です。 例えば、夫婦がどちらも安定した職業に就いており、収入に大きな差がない場合はペアローンが向いています。万が一のことがあっても、自身のローンは収入から返済できます。住宅ローン控除の恩恵も最大限に受けられるでしょう。 一方で、夫婦の収入に差がある場合は収入合算がよいかもしれません。パートナーを収入合算者とすることで、単独でローンを組むよりも借入可能額を増やすことが可能です。契約が1本のみのため、諸費用を抑えられるのもメリットです。 万が一のときのリスクや住宅ローン控除による経済的なメリット、諸費用などを考慮して、どちらが有利になるかを見極めましょう。 なお、ペアローン・収入合算はともに、どちらか一方が働けなくなった場合にローン返済が困難になる恐れがあります。一時的に世帯収入が減少する可能性も考慮して、無理のない返済計画を立てることが重要です。 まとめ ペアローンと収入合算は、どちらも夫婦または親子2人の収入で住宅ローンを組めるため、単独で契約するよりも借入可能額を増やすことが可能です。ただし、諸費用や団信、住宅ローン控除などに違いがあるため、どちらが向いているかを見極めることが大切です。 ペアローンと収入合算のどちらを選ぶ場合でも、一時的な世帯年収の減少などを考慮に入れた上で、無理のない返済計画を立てましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 ペアローンは離婚したらどうなる?よくある問題と対処法を紹介 住宅を購入する際にペアローンを組むことで、夫婦のどちらか一方が単独で住宅ローンを組むより借入額を増やせるなどのメリットがあります。しかし、ペアローンを組んだ夫婦が離婚する場合、自宅の扱いや住...

  • 住宅ローンの保証料型と融資手数料型の違いとは?

    住宅ローンを借りるときは、保証料や融資手数料などの諸費用がかかります。支払方式に応じて「保証料型」と「融資手数料型」の2つに分けられますが、どのような違いがあるのでしょうか。 この記事では、住宅ローンの保証料型と融資手数料型の違い、返済シミュレーションの比較を紹介します。 住宅ローンの保証料型とは 住宅ローンの保証料とは、保証会社の保証を受けるために支払う費用です。契約者がローンを返済できなくなった場合、保証会社が契約者に代わってローンの残債を支払う仕組みです。 保証料型は、契約者が保証会社へ保証料を支払う必要がありますが、基本的に融資手数料はかかりません。保証料型の住宅ローンは、「一括前払い型」と「金利上乗せ型」の2種類があります。 一括前払い型(外枠方式) 一括前払い型(外枠方式)とは、住宅ローンの借入時に一括で保証料を支払うタイプです。保証料は、借入金額や借入期間によって変動します。一括で支払うため、初期費用は増えますが、金利上乗せ型に比べると毎月の返済額を抑えることが可能です。 途中で繰り上げ返済をすると、一括前払いをした保証料の一部が返還されます。これを戻し保証料と言います。戻し保証料を受け取る際は、手数料がかかることがあります。 金利上乗せ型(内枠方式) 金利上乗せ型(内枠方式)とは、住宅ローンの借入時に保証料を支払わない代わりに、毎月の金利が上乗せされるタイプです。一般的には、借入金利に0.2%程度が上乗せされます。仮に借入金利が年0.6%の場合、0.2%上乗せされて年0.8%となります。 借入時の初期費用は軽減されますが、外枠方式に比べると毎月の返済額が増える点に注意が必要です。 住宅ローンの融資手数料型とは 融資手数料とは、住宅ローンを借りる際に金融機関に支払う手数料です。金融機関によっては「事務手数料」と呼ばれることもあります。 融資手数料型は、契約者が金融機関に融資手数料を支払うタイプの住宅ローンです。保証会社への保証料は、契約者から受け取った融資手数料の中から金融機関が支払います。 融資手数料型の住宅ローンは、「定額型」と「定率型」の2種類があります。 定額型 定額型とは、借入金額にかかわらず一定金額の融資手数料を支払う方式です。借入金額が増えるほど、定率型と比較してお得になります。金融機関によって異なりますが、融資手数料は3~5万円程度が一般的です。 ただし、通常は定率型より適用金利は高くなります。そのため、融資手数料を含めた総支払額を比較して、定額型と定率型のどちらが有利かを判断する必要があるでしょう。 定率型 定率型とは、借入金額に対して一定の割合(例:2.2%)を手数料として支払う方式です。借入金額が増えるほど、手数料も比例して増加します。 例えば、融資手数料が借入金額の2.2%、借入金額3,000万円の場合、融資手数料は66万円(3,000万円×2.2%)です。 定額型よりも適用金利は低めですが、初期費用は高くなります。 住宅ローンの保証料型と融資手数料型の主な違い 保証料型の内枠方式を利用する場合、金利が上乗せされるという点で融資手数料型と大きな違いはありません。また、保証料と融資手数料は、どちらも住宅ローンを借りる金融機関に支払う諸費用という点では同じです。 しかし、保証料型の外枠方式は、以下2つが融資手数料型とは異なります。 借入期間が長いほど諸費用(保証料)は高額になり、短いほど少額になる 繰り上げ返済をした際にお金が戻ってくる なお、繰り上げ返済については、住宅ローンの借り換えも含まれます。そのため、保証料型(外枠方式)で借りた住宅ローンを借り換える場合は、保証料が返還されるでしょう。詳細は住宅ローンを利用する金融機関に確認してみましょう。 住宅ローンの保証料型と融資手数料型の比較 ここでは、住宅ローンの保証料型と融資手数料型の違いをイメージするために、以下の条件で保証料、融資手数料、総返済額(元金+利息)の合計額の比較を紹介します。 <比較条件> 「借入金額4,000万円、金利1.0%、借入期間35年、元利均等返済」で住宅ローンを借りるケースについて、以下4つの条件を比較 保証料型(外枠方式):保証料は借入金額100万円あたり20,000円 保証料型(内枠方式):保証料として金利に+0.2%上乗せ 融資手数料型(定額型):融資手数料は33,000円、加えて金利に+0.2%上乗せ 融資手数料型(定率型):融資手数料は借入金額×2.2% 保証料型(外枠方式) 保証料型(内枠方式) 融資手数料型(定額型) 融資手数料型(定率型) 保証料 800,000円 融資手数料 33,000円 880,000円 総返済額 47,453,342円 49,041,316円 49,041,316円 47,453,342円 合計 48,253,342円 49,041,316円 49,074,316円 48,333,342円 ※2024年12月1日付で試算 出典)住信SBIネット銀行「住宅ローン 新規借入シミュレーション」 上記条件では、保証料型(外枠方式)が最も有利な結果となりました。しかし、どのタイプが有利かは、借入期間や借入金額によって異なります。 また、金融機関によって金利や諸費用に違いがあるため、シミュレーションを行ったうえで自分にあったタイプを選択することが重要です。 まとめ 住宅ローンは、大きく「保証料型」と「融資手数料型」の2つがあります。さらに保証料型は「外枠方式」と「内枠方式」、融資手数料型は「定額型」と「定率型」に分けられます。 それぞれメリット・デメリットがあり、どのタイプが諸費用を抑えられるかは借入金額や借入期間などによって異なります。住宅ローンを借りる際は事前にシミュレーションを行い、どの手数料タイプが自分に向いているかを見極めましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローンの保証会社とは?役割や種類、利用時の注意点を解説 銀行で住宅ローンを組む時、保証会社を利用することが一般的です。住宅ローンにおいて、保証会社はどのような役割を果たしているのでしょうか。この記事では、住宅ローンの保証会社の役割や種類、利用時の...

  • 不動産買取保証とは?メリット・デメリットや注意点を解説

    不動産仲介で物件を売却する場合、買主がなかなか見つからず、売却が予定通りに進まないことで現金化できないリスクがあります。このリスクを回避する手段として、「不動産買取保証」を利用することが選択肢の一つとなるでしょう。この記事では、不動産買取保証の仕組みとメリット・デメリットを詳しく解説します。 不動産買取保証とは 不動産買取保証とは、不動産仲介と不動産買取を組み合わせた売却方法です。「買取保証付き仲介」と呼ばれることもあります。まずは仲介で売却活動を行い、一定期間が経過しても売却できない場合に不動産会社が物件を買い取る仕組みです。 ※筆者作成 不動産の売却方法は、主に不動産会社が買主を探す「仲介」と、不動産会社が直接物件をを買い取る「買取」の2種類があります。仲介は相場に近い価格で売却できますが、買主が見つかるまでに時間がかかることがあります。買取は速やかに現金化できますが、売却価格は相場より安くなる傾向にあります。 不動産買取保証は、まずは相場で売却できるように販売活動を行い、売れない場合は最終的に不動産会社が買い取るため、仲介と買取の併用型といえるでしょう。 関連記事はこちら不動産買取のメリット・デメリットとは?不動産業者の選び方も解説 不動産買取保証のメリット・デメリット 不動産買取保証には次のようなメリット・デメリットがあります。両者を比較して、自分の意向に適しているかを確認しましょう。 メリット 不動産買取保証のメリットは、不動産が売却できないリスクを回避できる点にあります。仲介で一定期間が経過しても売却できない場合、不動産会社が買い取ってくれるため、現金化が必要な際にも計画通りに売却を進めることが可能です。 また、買取となった場合は買主が不動産会社になるため、「仲介手数料が無料になる」「契約不適合責任が免責になる」といったメリットがあります。 仲介手数料の上限額は「(売買価格×3%+6万円)+消費税(税率10%)」です(売買価格400万円超の場合)。売買価格が3,000万円であれば、仲介手数料の上限額は税込105.6万円となります。 契約不適合責任とは、売却した不動産が契約内容に適合していない場合に、売主が買主に対して負わなくてはならない責任のことです。不動産買取の場合、この契約不適合責任が免責となるため、売却後に修繕費用の負担や損害賠償が生じるリスクを避けられます。 関連記事はこちら不動産売買の仲介手数料とは?相場と上限額や計算方法を解説 デメリット 不動産買取保証のデメリットは以下のとおりです。 あらかじめ決めた仲介期限を迎えたら買取になる 取り扱える不動産会社は限られる 積極的に売却活動をしてもらえない恐れがある 仲介で一定期間が経過しても売却できない場合は、買取に切り替わり、相場よりも安い価格で現金化することになります。不動産買取保証を取り扱っている不動産会社は多くないため、依頼先を探すのに苦労するかもしれません。 また、不動産会社が「自社で買い取り再販したい」と考えている場合、仲介での売却活動が積極的に行われない恐れもあります。 不動産買取保証が向いている場合 不動産買取保証が向いているのは、できるだけ高い価格で物件を売却したいが、売却期限が決まっている場合です。具体的には、次のような状況が当てはまります。 新居への住み替えまでに売却したい 転勤日までに売却したい 離婚による財産分与のため期限を設けながらもできるだけ高く売却したい 相続した不動産を売却して現金で財産分与したい 住宅ローンの返済が困難で任意売却したい いずれもスケジュールを見据えながら、確実に不動産の売却を進めることが重要です。相続は相続税の納付期限があるため、納税資金を確保しなくてはなりません。任意売却では、売却価格などを決めたうえで金融機関の同意を得る必要があります。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 不動産買取保証での売却の流れ 不動産買取保証での売却の流れは以下のとおりです。 不動産会社を選ぶ 不動産会社と媒介契約を締結する 売却活動を行う 売却できなければ買取の手続きを行う 不動産買取保証を取り扱っている不動産会社を探し、安心して依頼できる会社が見つかったら媒介契約(専属専任媒介契約)を締結します。不動産会社と協力しながら、売買価格の設定や物件情報の掲載、内覧対応などの売却活動を行いましょう。 売却活動の期間中に買主が見つかれば、一般的な売買契約締結に向けて手続きを進めます。一定期間が経過しても売却できない場合には、不動産会社による買取手続きを行うことになります。 関連記事はこちら自宅売却の流れや損をしないためのポイントを解説 不動産買取保証を利用するときの注意点 不動産買取保証では専属専任媒介契約を締結するため、一度不動産会社を決めると媒介契約の期間である3か月程度は仲介会社の変更ができません。そのため、複数の不動産会社を比較検討して、契約する会社を選ぶことが大切です。 エリアや物件種別によって不動産会社ごとに得意とする分野が違うので、慎重に見極めましょう。不動産会社選びでは、営業担当者の対応が丁寧で信用できるかも重要なポイントになります。 まとめ 不動産買取保証は、仲介で一定期間が経過しても売却できなければ不動産会社が買い取るため、期限までに不動産を売却しなくてはならない場合に向いています。不動産買取保証を利用する場合は、複数の不動産会社を比較検討して信頼できる会社を選びましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産の購入・売却にかかる税金をそれぞれ解説 不動産売買の際には、購入する側と売却する側のそれぞれに税金がかかります。不動産売買の予定がある場合は、あらかじめどのような税金が発生するのか知っておくことが重要です。 この記事では、不動産の...

  • プロパー融資と保証付き融資とは?違いと特徴を解説

    銀行などの金融機関の融資は、「プロパー融資」と「保証付き融資」の2つに分けられます。自営業者が銀行から融資を受けようとする場合、どちらの方法を利用すればよいのでしょうか。金融機関に相談する前に、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。 この記事では、プロパー融資と保証付き融資の仕組みと違い、銀行融資が難しい場合の資金調達方法を紹介します。 プロパー融資とは プロパー融資とは、銀行などの金融機関が信用保証協会(第三者機関)の保証を付けずに行う融資のことです。 保証を付けずに直接融資を行うため、債務者の貸し倒れリスクは金融機関が負うことになります。万が一、借主が返済できなくなった場合は、金融機関は大きな損害を被ることになるので、融資審査は厳しい傾向にあります。 プロパー融資は、基本的に信用度の高い事業者しか利用できません。その分、好条件で融資を受けられる可能性があります。 保証付き融資とは 保証付き融資とは、銀行などの金融機関が信用保証協会の保証を利用して行う融資のことです。万が一、借主が返済できなくなった場合は、信用保証協会が金融機関に立て替え払いを行います。 プロパー融資とは異なり、金融機関は債務者の貸し倒れリスクを負わずに済みます。そのため、「事業の実績がない」「金融機関との取引歴が浅い」自営業者が融資申し込みをすると、保証付き融資を勧められるのが一般的です。 保証付き融資を利用する際、借主は所定の信用保証料を支払う必要があります。 出典)一般社団法人 全国信用保証協会「初めての融資と信用保証」 プロパー融資と保証付き融資の利用割合 日本政策金融公庫の「第222回 信用保証利用企業動向調査」によると、2024年7-9月期における保証利用状況は以下のとおりです。 保証を利用した企業の割合:54.6% 保証利用がない企業の割合:45.4% 「保証利用がない=プロパー融資」とすると、該当期間中に借り入れを実施した企業のうち、概算で全体の45%がプロパー融資を利用しており、この割合は2024年4-6月期よりもやや増加しています。 出典)日本政策金融公庫「第222回 信用保証利用企業動向調査結果の概要P.4」 プロパー融資と保証付き融資の違い プロパー融資と保証付き融資は、貸主である金融機関が債務者の貸し倒れリスクを負うかどうかが大きな違いです。 前述のとおり、プロパー融資は信用保証協会の保証を付けずに直接融資を行います。金融機関が債務者の貸し倒れリスクを負うため、融資審査は厳しい傾向にあります。「金融機関との取引歴が長い」「長期にわたって業績が安定している」など、金融機関からの信用度が高い事業者でなければ利用するのは難しいでしょう。 一方、保証付き融資は、万が一借主が返済できなくなっても信用保証協会が弁済してくれるため、金融機関としては融資がしやすくなります。このような特徴から、一般的にプロパー融資のほうが借りづらく、保証付き融資のほうが借りやすいといえます。 特に開業して間もない自営業者は金融機関との取引歴がなかったり、決算書で売上などの実績を示すことができなかったりするため、プロパー融資を受けるのは難しくなります。金融機関から融資を受けるなら、通常は保証付き融資となるでしょう。 保証付き融資も難しい場合は? 開業して間もない自営業者の場合、たとえ保証付き融資であっても断られてしまうかもしれません。「事業の実績がない」という理由で銀行から融資を受けるのが難しい場合、次のような方法であれば資金調達できる可能性があります。 政府系金融機関からの借り入れ 政府系金融機関の日本政策金融公庫では、新規開業資金の融資を行っています。新たに事業を始める人、または事業開始後概ね7年以内の人が対象です。適正な事業計画を策定し、その計画を遂行する能力が十分あると認められれば融資を受けられます。 新たに事業を始める人、または税務申告を2期終えていない人については、原則として無担保・無保証人で融資を受けられ、金利引き下げなどの優遇措置も用意されています。 ただし、融資審査があるため、審査結果によっては利用できないこともあります。まずは最寄りの日本政策金融公庫の支店に相談してみるといいでしょう。 出典)日本政策金融公庫「新規開業資金」 ビジネスローン ビジネスローンとは、主にノンバンクが取り扱っている事業者向けのローンです。無担保・無保証で申し込みできるローンもあるため、実績がない事業者でも利用しやすいでしょう。ただし、比較的金利は高く、少額しか借りられない傾向にあります。 不動産担保ローン 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保に借り入れができる商品です。自宅などの不動産を所有している場合、実績がなくても融資を受けられる可能性があります。 ノンバンクのビジネスローンに比べて、まとまったお金を低金利で借りられるのがメリットです。金融機関によっては、家族名義の不動産を担保に融資を受けることも可能です。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 リースバック リースバックとは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も自宅に住み続けられるサービスです。 リースバックは金融機関などのローン商品とは異なり、不動産取引となるため、与信面よりも「不動産の価値」「家賃の支払能力」などが重視されるため、売却できる自宅があれば、事業の実績がなくても資金調達ができます。引っ越しが不要で、住環境を変える必要がないのもメリットです。 ただし、自宅の売却価格は市場価格より安くなるのが一般的です。また、売却後は毎月家賃を支払う必要があります。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 まとめ プロパー融資は好条件で借り入れができますが、金融機関が債務者の貸し倒れリスクを負うため、基本的に信用度の高い事業者しか利用できません。自営業者の場合は、保証付き融資のほうが利用しやすいといえます。 開業して間もない自営業者で、銀行の保証付き融資を利用するのが難しい場合は、政府系金融機関や不動産担保ローン、リースバックなどを検討しましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い 不動産担保ローンで資金調達する場合、銀行とノンバンクのどちらを利用すべきか悩むかもしれません。ノンバンクとは、銀行のように預金業務を行わず、与信業務(融資)に特化した金融機関のことです。銀行...

  • 総量規制とは?利用者保護の仕組みと対象外のローンを詳しく解説

    総量規制とは、過度な借り入れから利用者を守るための仕組みです。貸金業者からの借り入れには、年収を基準に上限額が設けられています。ただし、借入先やローンの種類によっては、総量規制の対象外となることもあります。 この記事では、総量規制の概要や仕組み、総量規制の対象外のローンについて解説します。 総量規制とは 総量規制とは、借り入れができる金額の総額に制限を設ける規制です。貸金業法の改正により、平成22年(2010年)6月18日から実施されています。 個人が貸金業者から借り入れを行う場合、原則として年収の3分の1が上限となります。例えば、年収300万円の人が貸金業者から借り入れできる合計額は最大100万円です。住宅ローンなど、総量規制の対象外となる貸付もあります(詳細は後述)。 貸金業者とは、お金を貸し付ける業務を行っており、財務局または都道府県に登録されている業者です。具体的には、消費者金融や信販会社など(いわゆるノンバンク)が該当します。銀行もさまざまな融資を行っていますが、貸金業者ではありません。 出典) ・金融庁「貸金業法のキホン」 ・日本貸金業協会「お借入れは年収の3分の1まで(総量規制について)」 ・日本貸金業協会「貸金業法について」 ノンバンクと銀行の違い ノンバンクとは、銀行のように預金業務を行わず、与信業務(融資)に特化した金融機関です。貸金業法が適用されるため、ノンバンクが行う融資は総量規制の対象となります。 一方、銀行は貸金業法ではなく「銀行法」が適用されるため、総量規制の対象外です。銀行のローンなら、会社員でも年収の3分の1を超える借り入れができる可能性があります。 「何となく銀行のほうが安心」と思うかもしれませんが、ノンバンクと銀行では融資条件等の商品性が異なるため、自身の状況に合わせて最適な金融機関を選ぶことが大切です。詳しくは、以下の記事をご確認ください。 関連記事はこちら不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い 総量規制の対象となる貸付 総量規制は、貸金業者からの個人の借り入れに適用されます。具体的には、消費者金融のカードローン、クレジットカードのキャッシングなどが該当します。原則として、担保や保証人の有無、資金使途にかかわらず総量規制の対象です。 ただし、銀行のカードローンなど貸金業者以外の借り入れ、法人名義での借り入れは対象外となります。個人事業者が事業資金などを調達するために事業計画を提出し、返済能力があると認められる場合も年収の3分の1を超えて借り入れが可能です。 なお、クレジットカードのリボ払いや分割払い、ボーナス払いについては「割賦販売法」が適用されるため、総量規制の対象外となります。 出典) ・金融庁「カシキン Q&A(事業者編)」 ・日本貸金業協会「お借入れは年収の3分の1まで(総量規制について)」 総量規制の除外貸付 次の貸付は、「総量規制になじまない」という理由で総量規制の「除外貸付」に分類されます。総量規制にかかわらず、年収の3分の1を超える借り入れが可能です。 不動産購入のための貸付(住宅ローン) 自動車購入時の自動車担保貸付(自動車ローン) 高額療養費の貸付 有価証券を担保とする貸付 不動産(個人顧客または担保提供者の居宅などを除く)を担保とする貸付 売却予定不動産の売却代金により返済される貸付 など 総量規制になじまないとは、定型的で貸付金額が高額であるなど、「年収の3分の1基準」を適用するのが不適当と考えられるものを指します。 除外貸付は借入額が借入残高に算入されないため、その後の借り入れに影響は生じません。例えば、年収300万円の人(総量規制の上限は100万円)が除外貸付の契約で100万円を借り入れても、上限は100万円のままです。 出典)日本貸金業協会「2 総量規制にかかわらず、お借入れできる貸付けの契約があります」 総量規制の例外貸付 次の貸付は、「顧客の利益保護に支障が生じない」として総量規制の「例外貸付」に分類されます。総量規制にかかわらず、年収の3分の1を超える借り入れが可能です。 顧客に一方的に有利となる借り換え 借入残高を段階的に減少させるための借り換え 顧客やその親族などの緊急に必要と認められる医療費を支払うための資金の貸付 社会通念上、緊急に必要と認められる費用を支払うための資金(10万円以下、3か月以内の返済などが要件)の貸付 配偶者と併せた年収3分の1以下の貸付(配偶者の同意が必要) 個人事業者に対する貸付(事業計画などで返済能力があると認められる場合) など 除外貸付とは異なり、例外貸付は借入残高の算定に影響が生じます。借入残高が総量規制の基準を超えた場合、その後は「除外貸付」「例外貸付」を除いて借り入れができなくなります。 総量規制に関する注意点とポイント 年収の3分の1を超える借り入れに対する制限 貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超えても、すぐに返済する必要はありません。ただし、新たな借り入れは制限されます。 出典)金融庁「貸金業法Q&A」 複数の貸金業者からの借り入れ 複数の貸金業者からの借り入れを行う場合、1社単独での借入額だけでなく、全体の合計が年収の3分の1以内であることが必要です。借入残高が年収の3分の1を超えると、新たな借り入れはできなくなります。 貸金業者が借入残高と年収を確認する方法 貸金業者からの借入残高のデータは、「指定信用情報機関」に集約されています。貸金業者は、指定信用情報機関を利用して借り手の借入残高を確認します。年収については、借り手から「年収を証明する書類」を取得して把握しています。 まとめ 個人が貸金業者から借り入れを行う場合、総量規制により年収の3分の1が上限です。ただし、住宅ローンや銀行のカードローンなど、総量規制の対象外となる借り入れもあります。金融機関のローンを利用する前に、総量規制について理解を深めておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

    2024.10.16用語