固定資産税評価証明書とは?必要な場面や取得方法を解説

公開日:2025.03.19

固定資産税評価証明書は、不動産の取引や手続きで必要となる公的な書類です。普段の生活ではあまりなじみのない書類のため、どのように活用すればよいかわからない人は多いのではないでしょうか。
この記事では、固定資産税評価証明書の概要や必要な場面、取得方法、手数料などについて詳しく解説します。

固定資産税評価証明書とは

固定資産税評価証明書とは、市区町村が作成する固定資産課税台帳に登録された固定資産の評価額を証明する書類です。
固定資産税は、土地や家屋(建物)などの固定資産を所有している人に課税される税金です。課税対象となる固定資産の評価額に基づいて、市区町村 が税額を算出します。固定資産税評価証明書を取得すれば、固定資産税の算出根拠となる土地・家屋などの固定資産税評価額を確認できます。

固定資産税評価証明書の記載事項

固定資産税評価証明書の見本は以下です。
固定資産税評価証明書見本

出典)東京都主税局「固定資産税・都市計画税 各種閲覧・証明の様式」

様式は自治体によって異なりますが、固定資産税評価証明書には主に次のような事項が記載されています。

  • 土地・家屋の所有者の住所、氏名
  • 土地・家屋の所在地、価格(評価額)、課税標準額
  • 土地の地積(面積)、地目(利用状況)、共有持分
  • 家屋の家屋番号、建物番号、床面積、種類(使用目的)、構造、敷地権(区分所有の場合)、共有持分

公課証明書には、評価証明書の記載事項に加えて税相当額も記載されています。固定資産課税台帳(名寄帳)は証明を目的としたものではなく、記載内容は納税通知書の課税明細書とほぼ同じです。名称は似ていますが、それぞれ記載内容や目的が異なるため、混同しないように注意しましょう。

固定資産税評価証明書はどんなときに必要?

ここでは、固定資産税評価証明書が必要になる場面を紹介します。

不動産登記

不動産売買、相続、贈与などで不動産登記(所有権移転・保存登記など)を行う際は、登録免許税がかかります。その登録免許税の算定に必要になるため、固定資産税評価証明書の提出が求められます。

相続税や贈与税の申告

相続税や贈与税の申告では、土地・家屋の評価額を証明する書類として固定資産税評価証明書の提出が必要なケースがあります。
相続税・贈与税の計算において、土地は「路線価方式」と「倍率方式」のいずれかで評価します。路線価が設定されておらず、倍率方式で評価する場合は固定資産税評価額をもとに評価額を算出します。また、家屋は「固定資産税評価額×1.0」が評価額です。

不動産に関する訴訟

不動産に関する訴訟を起こす場合、裁判所に申立手数料を納めなくてはなりません。手数料は、訴訟の対象となる不動産の固定資産税評価額をもとに算出するため、固定資産税評価証明書の提出が必要です。

固定資産税評価証明書の取得方法

固定資産税評価証明書はどのように取得すればよいのでしょうか。申請場所や取得できる人、必要書類、手数料などについて説明します。

申請・取得できる場所

固定資産税評価証明書は、自治体の窓口で申請が可能です。窓口であれば、基本的にその場ですぐに交付されます。自治体によっては、郵送による申請や電子申請にも対応していますが、窓口よりも取得に時間がかかる点に注意が必要です。

取得できる人

固定資産税評価証明書を取得できるのは、原則として、不動産の所有者本人または住民票上同一世帯の親族です。ただし、所有者本人の代理人や相続人が取得することも可能です。代理人は委任状、相続人は戸籍謄本などが必要となります。

取得時の必要書類

固定資産税評価証明書を取得する際は、自治体に交付申請書を提出します。また、申請者に応じて以下の書類が必要です。

申請者必要書類
本人本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
住民票上同一世帯の親族申請者の本人確認書類
代理人
  • 委任状
  • 代理人の本人確認書類
相続人
  • 所有者(被相続人)との相続関係がわかる書類(戸籍謄本など)
  • 相続人の本人確認書類
法人
  • 法人の実印を押印した申請書
  • 窓口に来た人の本人確認書類
借地借家人
  • 権利関係が確認できる書類(賃貸借契約書など)
  • 窓口に来た人の本人確認書類

出典)八王子市「固定資産評価証明書(土地・家屋)」

なお、固定資産税評価証明書の取得にかかる手数料は、1通あたり300円程度です(自治体によって異なる)。

まとめ

固定資産税評価証明書は、土地や家屋の評価額を証明する公的な書類です。不動産売買や相続、贈与などで提出を求められることがあります。取得方法や手数料は自治体によって異なるため、必要な場合は事前に確認しておきましょう。

不動産担保ローンの疑問にお答えします。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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