公開日:2025.03.05
リースバックは、自宅を売却した後もリースバック運営会社(売却先)と賃貸借契約を結ぶことで同じ家に住み続けられるサービスです。
基本的には戸建てもマンションも取引可能ですが、運営会社によってはどちらか一方に限定される場合もあります。この記事では、マンションのリースバックの特徴やメリット・デメリット、注意点を解説します。
まずは、一般的なリースバックのメリット・デメリットを紹介します。
リースバックには以下のようなメリットがあります。
自宅を売却した後も同じ家に住み続けられる
一般的な不動産売却でもまとまった資金を得ることはできますが、新居の準備や引っ越し費用が発生してしまいます。一方でリースバックは、自宅を売却して資金を得た後も自宅にそのまま住み続けられるので、引っ越し費用などが発生しません。
月々の支出が定額化される
自宅を所有していると、管理費や固定資産税などさまざまな費用が発生します。しかし、リースバックを利用すれば、管理費や固定資産税などを含めた一定の家賃(リース料)を運営会社に払うことなるため、支払いが一本化されます。
家を所有することで発生するリスクがなくなる
自宅の所有には、「災害により建物が損壊するリスク」「金利上昇によって変動金利の住宅ローン返済額が増加するリスク」などがあります。リースバックは所有者が運営会社となるため、これらのリスクがなくなります。
一方で、リースバックには以下のようなデメリットもあります。
売却価格が市場価格よりも安くなる
リースバックは、基本的に自宅の売却価格が市場価格より安くなります。運営会社によりますが一般的な不動産売却価格の70%ぐらいがリースバック利用時の買取金額と言われています。
リフォームや建て替えが自由にできなくなる
リースバックを利用すると、自宅の所有者は運営会社となります。リフォームや建て替えをするには、運営会社の許可が必要です。
ずっと住み続けられるとは限らない
リースバックの賃貸借契約が定期借家契約の場合、貸主との合意がないと再契約できないため、ずっと住み続けられる保証はありません。
マンションをリースバックする場合は、特有のメリット・デメリットが存在します。
マンションを所有していると、管理費や修繕積立金の支払いが毎月生じます。また、毎年固定資産税もかかりますが、リースバック後はこれらの支払いが不要になります。ただし、家賃に含まれている場合もあり、単純に減額になるわけではない点に注意が必要です。
なお、駐車場代については家賃に含まれず、通常はリースバック後も支払額に変更はありません。ただし、運営会社を通じて管理会社に支払うことになります。
マンションによっては、過去に何らかの事故があった物件(いわゆる事故物件)、建築基準法などに適合していない違法物件に該当するかもしれません。そのような物件の場合、物件評価が下がる可能性があり、そもそも取引ができないケースもあります。
リースバックにおける物件の評価方法は、マンションと戸建てで以下のような違いがあります。
マンションの場合、同じマンション内や近隣マンションの過去の成約事例から評価します。戸建てとは異なり、同じような広さ、方角の部屋が多数あることから取引事例が多く、価格を算出しやすいです。
戸建ての場合、土地と建物を分けて評価します。
土地は広さや形状、接道状況、用途地域などをもとに評価されます。住宅には、「建築基準法で定められている道路に敷地が2m以上接していなければならない」という接道義務があります。また、市街化区域内では土地の用途を13種類に区分し(用途地域)、建築できる建物や規模などを制限しています。そのため、接道状況や用途地域も土地の評価に影響を与えます。
建物は間取りや構造、築年数などをもとに評価されます。一般的に戸建ては木造が多いため、鉄筋コンクリート造のマンションに比べると、築年数の経過により資産価値が下がりやすい傾向にあります。また、戸建ては将来的な土地利用計画が評価に影響することもあります。
リースバックを利用する場合は、物件種別を問わず、自宅の価値を正確に把握することが大切です。運営会社によって売買価格や家賃、手数料だけでなく、賃貸借契約の期間や種類、買い戻し条件も異なります。必ず複数社から見積もりをとり、比較検討することが大切です。
自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるリースバックは、老後資金の確保や住宅ローンの返済負担軽減に有効な手段です。マンションでリースバックをする場合は、特有のメリット・デメリットや戸建てとの違いを理解したうえで複数社から見積もりをとり、しっかりと比較検討しましょう。
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