自宅購入はより安全で優れた不動産投資!?

公開日:2020.11.25

不動産投資といえば、マンションやアパートを貸し出して家賃収入を得ることをイメージするのではないでしょうか。しかし、考え方によっては賃貸暮らしの家賃支出をなくし、ローンの返済とともに資産を増やすことが出来る自宅購入も不動産投資の一種といえるでしょう。

不動産投資には空室リスクをはじめ、さまざまなデメリットが存在しますが、自宅購入ならこれらのデメリットをカバーできます。自宅購入で失敗を避けるには、不動産投資と同様に物件選びやローンの借り方に注意することが大切です。

この記事では、自宅購入が不動産投資より優れている理由や自宅購入の失敗例について解説します。

自宅購入が不動産投資より優れている5つの理由

自宅購入が不動産投資より優れている理由は以下の5つです。

空室リスクがない

マンションやアパートといった収益不動産への投資では、入居者がいれば毎月家賃収入を得られますが、空室になってしまうと家賃は入ってきません。不動産投資では家賃収入でローンを返済していくこととなりますが、空室期間が長くなると自己資金の持ち出しが発生し、返済が困難になる可能性があります。

一方で自宅購入の場合は、自身が居住するため空室はありません。もちろん自身が居住するため家賃収入は得られませんが、ローンを完済すれば自宅は資産となります。そのまま住み続けられるのはもちろん、ある程度残債が減ることで「売却してまとまった現金を手に入れる」「自宅を担保にお金を借りる」など、資金調達手段として活用できるのも魅力です。

自らの努力で資産価値を維持できる

不動産投資の場合、たとえオーナーであっても、賃貸中は入居者の許可なく部屋に入ることはできません。入居者やその使い方によっては資産価値を低下させる恐れがありますが、賃貸中にオーナーができることは限られてしまいます。

一方で自宅購入であれば、自らの努力で資産価値を維持することが可能です。定期的にメンテナンスをしたり、必要に応じてリフォームをしたりすることで、建物を健全な状態に保てます。

ローンをより低金利で借りることができる

不動産投資ローンに比べると、住宅ローンは低金利で借りることができます。不動産は物件価格が高額なので、少しの金利差で総返済額は大きく変わります。

不動産投資ローンの場合、物件の担保評価や債務者の属性などによって適用金利は変わってきます。一般的に金利は2%以上になることが多く、住宅ローンのような低金利で借りることは難しいでしょう。

一方で住宅ローンの場合、変動金利なら0.5%未満で借りることも可能です。また、最長35年間固定金利で借りられる「フラット35」の適用金利は1.310%~2.060%(返済期間21~35年の場合:2020年11月現在)で、固定金利でも低金利で借りられます。

出典)
価格.COM 住宅ローン商品一覧
【フラット35】

団信がより優れている

不動産の購入でローンを借りる場合、万一に備えて団体信用生命保険(団信)に加入するのが一般的です。そして、団信の保証内容は、不動産投資ローンより住宅ローンのほうが手厚い傾向にあります。

団信の仕組みとして、被保険者が死亡または所定の高度機能障害になったときに、ローン残高を保険金で一括返済するのは同じです。しかし、住宅ローンの場合は「がん保障特約」「疾病保障付き」など内容が充実しており、上乗せされる金利も比較的低くなっています。

税制面での優遇が非常に大きい

自宅購入は、不動産投資に比べて税制面での優遇も非常に大きいものがあります。具体的には、以下2つの税制優遇が受けられます。

  • 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
  • 売却時の3,000万円の特別控除

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して自宅を購入した場合に当初10年間(2020年12月31日までに居住した場合は13年間)、住宅ローン年末残高の1%(控除限度額40万円)が所得税から控除される制度です。所得税の節税によって、金利負担を軽減できます。

また、自宅を売却したときは、所有期間にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。自宅を売却して利益が出たとしても、譲渡所得が3,000万円までは税金がかかりません。

出典)
国税庁 所得税 No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
国税庁 譲渡所得 No.3302 マイホームを売ったときの特例

自宅購入の3つの失敗例を紹介

このように、自宅購入は不動産投資にはないメリットがありますが、購入物件やローンの借り方によっては失敗してしまうこともあります。ここでは、自宅購入の失敗例を3つ紹介します。

必要以上の家を購入する

たとえば、こだわりの注文住宅を建てるなど、必要以上の家を購入すると失敗しやすくなります。注文住宅は、あくまでも建てた人にとって利便性が高いだけで、一般に受け入れられるとは限りません。

そのため、建築に係るコストと市場評価との乖離が広がり、思うような価格で売却できなくなる恐れがあります。将来の売却を視野に入れるのであれば、必要以上の家を購入するのは避けたほうがいいでしょう。

今買える物件を買ってしまう

購入物件を十分に検討せず、今買える物件を買ってしまうのも失敗例のひとつです。たとえば、長期間売れ残っている物件は、需要が少ないと考えられます。このような物件は市場の流通性が低いので、なかなか買い手が見つからず、売却時に苦労する可能性があります。

そのため、購入したいと思った時に売り出している物件の中から選ぶのではなく、市場価値のある(=需要のある)不動産の売り出しを待つことが良いと言えるでしょう。

今借りれるローンを借りてしまう

住宅ローンは、金利によって数年後の残債が大きく変わります。転職直後など条件が悪くなりやすいときに高い金利で住宅ローンを借りると、毎月の返済額や総返済額が増えてしまいます。

今住宅ローンを借りれたとしても、状況によっては、もう少し待ったほうがより良い条件で借りれるケースもあります。住宅ローンを借りる際は、より有利な条件で借りられるタイミングを見極めることも大切です。

まとめ

ここまで紹介したように、自宅購入は不動産投資にはないメリットがたくさんあります。もし賃貸暮らしのまま、不動産投資を始めようとしているのであれば、収益不動産を購入して家賃収入を得ることと、自宅を購入して家賃の支出を無くすことと、どちらがお得かを検討してみましょう。また、自宅を購入する方がより安全な投資になるかもしれないということを頭に入れておいてください。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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