シニアが自宅売却と物件購入を同時に実現する難しさ

公開日:2022.09.21

定年退職や子どもの自立などによって、現役世代とはライフスタイルが大きく変化する高齢者世帯は多いのではないでしょうか。ライフスタイルが変化すると、より快適な家を求めて住み替えを検討するかもしれません。

そこでこの記事では、現在持ち家所有者である60歳以上の男女104名を対象に、住み替えに関するアンケートを実施した調査結果をご紹介します。

住み替えたい理由はリフォームでは対応できないから

Q1. 住み替えたい理由を教えてください(複数回答可)

Q1. 住み替えたい理由を教えてください(複数回答可)

「建物の老朽化」と「間取りへの不満(広すぎる、狭すぎる)」がともに38%と、簡易なリフォームでは解決しにくい建物への不満であることがわかりました。これらの不満を解決するには建て替えや間取り変更を伴うリフォームが必要であるため、そういった手間や費用をかけるのであれば、自宅を住み替える選択をするのかもしれません。

住み替えで最も重視する点は利便性、最大の不安は資金面

Q2. 住み替えにあたって不安に感じることはありますか?(複数回答可)

Q2. 住み替えにあたって不安に感じることはありますか?(複数回答可)

やはり「資金面」に不安を抱える方が最も多く、38%が不安を感じていました。次点は「荷物の整理・処分」で35%、「生活環境の変化」が30%と続いています。

Q3.住み替えで最も重要視するのはどこですか?

Q3.住み替えで最も重要視するのはどこですか?

最も重視するのは「買い物、交通、病院などの利便性」の41%で他の選択肢を大きく引き離した結果となりました。シニア世代が普段の生活のしやすさを重視していることが分かります。一方で、住み替え先を選ぶ基準として、「家族との同居・近居」や「物件の資産価値」、「バリアフリー整備の充実」などの優先順位は低いようです。

約半数が住み替えの予定が立っていない、最大の理由は資金面

Q4. 実際に住み替える予定はいつですか?

Q4. 実際に住み替える予定はいつですか?

「住み替え意向がある」にもかかわらず、「実際に住み替える予定は立っていない」人が45%となりました。「10年以内」というやや住み替えへの意識が低い方も含めれば、半数以上の人が住み替えへの目途が立っていないようです。

Q5. 住み替える予定が立っていないのはなぜですか?

Q5. 住み替える予定が立っていないのはなぜですか?

住み替える予定が立っていない理由を見てみると、「希望に合う住み替え先がないから」が約半数という結果となりました。続いて、「住み替え費用が用意できないから」が36%となりました。

多くは住み替え先が見つからないためですが、資金不足が原因で積極的に情報収集に取り掛かれていないのかもしれません。なお、Q3でシニアが重視するのは圧倒的に利便性の高い物件でしたが、希望の利便性と購入可能予算内で物件を探すのは、シニアにとって非常に難しいことかもしれません。

住み替え資金を自宅の売却で考えるとハードルが高い

Q6. 住み替えの費用をどのように捻出する予定ですか?

Q6. 住み替えの費用をどのように捻出する予定ですか?

「自宅の売却」で住み替え費用を捻出しようとしている割合は約半数にのぼりました。
その一方、「住宅ローン」を利用しようとしている人はたった5%にとどまっています。

【考察】

一連のアンケートから、住み替え意向がある60歳以上の方の多くが、実際には”住み変えられない”という結果が得られました。約半数は希望に合う物件がないという理由でしたが、次いで資金面の課題が多いことがわかりました。

住み替え資金が用意できないという理由には、住み替え予算に自宅の売却資金を見込んでいることが原因でしょう。新居に自宅の売却資金を使うためには、新居の購入前に自宅を売却するか、購入と同時に自宅を売却することが一般的です。

上記のような一般的な売却を行うと、仮住まいが必要になってしまうこと、新居の選定か自宅の売却価格に妥協せざるを得ない場合があること、購入と売却のスケジュール調整が難しいことなど、いくつかの課題が発生します。これらがシニアの住み替えを難しくしている要因ではないでしょうか。

まとめ

住み替え意向がある60歳以上の人の約半数が、「実際に住み替える予定がない」という結果となりました。さらに、利便性を求めることで希望に合う住み替え先が見つからないほか、自宅の売却と住み替えの両立が難しいという理由で、住み替える予定が立たないことがわかりました。

資金面や仮住まいの問題のため住み替えが出来ないシニア世代の方々は、高齢者向けの住宅ローンであるリ・バース60やリースバックなどのサービス利用を検討してみましょう。既存のサービスでは実現出来なかった、スムーズで賢い住み替えができるかもしれません。

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執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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