公開日:2025.02.12
フラット35は、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。自宅の購入でフラット35を利用する場合、諸費用はいくらかかるのでしょうか。
この記事では、フラット35を組む際の主な諸費用とその他の関連費用、負担を抑えるためのポイントを解説します。
フラット35を組む際は、以下のような諸費用がかかります。なお、フラット35は借り入れ時に別途保証料を支払う必要はなく、保証人も不要です。
融資手数料とは、フラット35の事務手続きにかかる費用として金融機関に支払う手数料です。計算方法に応じて、「定率型」と「定額型」の2種類があります。
金融機関によって融資手数料の金額は異なりますが、定率型は借入金額の1~2%程度、定額型は3~5万円程度が目安です。
借り入れ時に支払う手数料は、定額型のほうが低い傾向にあります。ただし、借入金利は定率型のほうが低めに設定されるのが一般的です。定率型と定額型のどちらが有利かは、総返済額も含めて判断する必要があるでしょう。
出典)住宅金融支援機構「「金融機関」と「商品タイプ」の選択」
印紙税は、フラット35を契約する際に借入金額に応じて納める税金です。「金銭消費貸借契約書」に収入印紙を貼付し、消印する必要があります。印紙税額は以下のとおりです。
借入金額 | 印紙税額 |
---|---|
500万円超 1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超 5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超 1億円以下 | 6万円 |
金融機関によっては収入印紙ではなく、諸費用に含めるかたちで印紙税を納めることもあります。
出典)国税庁「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
登記費用には登録免許税や司法書士報酬があります。
抵当権設定登記や所有権移転登記の手続きなどは、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士報酬は依頼先や借入金額によって異なりますので、司法書士に確認しましょう。
フラット35を利用するには、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たす住宅であることを証明するために、物件検査を受けて適合証明書を取得しなくてはなりません。
物件検査や適合証明書発行にかかる費用は検査機関や物件種類によって異なり、5~10万円程度が目安となります。
フラット35では、原則として火災保険の加入が義務付けられています。
一方、地震保険の加入は任意です。地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで加入する必要があります。火災保険のみでは地震を原因とする火災の損害は補償されないため、必要性は高いといえます。
火災保険料や地震保険料は建物の構造や所在地などによって異なるため、事前に見積もりをとって金額を確認しておきましょう。
不動産取得税は、土地や建物などを取得した際にかかる地方税です。通常は、取得から6ヵ月~1年程度で都道府県から納税通知書が届きます。
不動産取得税額は、原則として不動産価格(固定資産税評価額)の4%ですが、土地と住宅は3%に軽減されています(軽減措置は令和9年3月まで)。詳細は国土交通省「不動産取得税に係る特例措置」をご覧ください。
必ずかかるわけではありませんが、フラット35では以下のような費用が発生することもあります。
フラット35は、団体信用生命保険(団信)の加入は任意です。ただし、契約者に万が一のことがあった場合は家族に債務が残る可能性があるため、住宅ローン利用時は団信に加入するのが一般的です。
フラット35で加入できる団信は以下の3種類です。
団信の種類 | フラット35の借入金利 |
---|---|
新機構団信 | 新機構団信付きの借入金利 |
新3大疾病付機構団信 | 新機構団信付きの借入金利+0.24% |
デュエット(ペア連生団信) ※連帯債務の夫婦で加入 | 新機構団信付きの借入金利+0.18% |
健康上の理由などで新機構団信に加入しない場合の借入金利は、「新機構団信付きの借入金利▲0.2%」となります。
不動産会社が仲介する物件を購入する場合は、仲介手数料がかかります。仲介手数料の上限額は、宅地建物取引業法において以下のように定められています。
不動産売買価格(税別) | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万円以下 | 売買価格×5%+消費税 |
200万円超400万円以下 | 売買価格×4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 売買価格×3%+6万円+消費税 |
売買価格が3,000万円(税別)、消費税率10%の場合、仲介手数料の上限額は105.6万円です。売主から直接購入する場合は、仲介手数料はかかりません。
住宅ローンや物件購入の諸費用のほかに、新居への引越し費用もかかります。費用は荷物の量や時期などに左右されるため、事前に見積もりをとって金額を確認しておきましょう。繁忙期の3~4月を避ければ、引越し費用を抑えられるかもしれません。
フラット35の諸費用を抑えるには、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
フラット35は、金融機関によって融資手数料に違いがあります。そのため、複数の金融機関を比較して融資手数料が低い商品を選ぶことで、諸費用を抑えることができます。
ただし、融資手数料が低い分、金利は高く設定されている可能性があります。融資手数料だけでなく、金利も含めて有利な商品を選ぶことが大切です。
フラット35は団信加入が任意のため、新機構団信ではなく、一般的な死亡保険に加入してリスクに備える方法もあります。年齢が若く、健康状態に問題がなければ、定期保険や収入保障保険などに加入するほうが団信よりも保険料が安く済むかもしれません。
フラット35を組む際は、融資手数料や登記費用、物件検査手数料などの諸費用がかかります。諸費用は安ければよいとは限りません。フラット35を選ぶときは、諸費用も含めた総支払額を比較して有利な商品を選択しましょう。
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