更新日: / 公開日:2019.03.12
ローン商品の金利タイプには、大きく分けて3種類あることはご存じでしょうか。その3種類とは「固定型」「変動型」「固定期間選択型」です。住宅ローンを利用する時など、昨今の低金利環境下では、「変動型」を選択する人も多いでしょう。一方で、「変動型」の金利がどのように決定されるのか、正確に理解している人は少ないかもしれません。
この記事では、「変動型」の金利がどう決まるのか解説します。
まずは、ローン商品の金利タイプを簡単に紹介します。前述のとおり、ローン商品の金利タイプは、「固定型」「変動型」「固定期間選択型」の3種類に大別されます。固定型は、ローンの返済が終了するまで、当初の金利が変わらない商品です。変動型は、一定期間ごとに、金利が見直される商品です。固定期間選択型は、一定期間の固定金利を経た後に、変動金利に移行する商品です。
メガバンクが提供する住宅ローンの場合など、前述の金利タイプがすべて用意されていることが一般的と感じるかもしれません。しかし、提供している金融機関や、ローン商品によっては、必ずしもそうとは限りません。
たとえば、ローン商品が不動産担保ローンの場合、「固定型」あるいは「変動型」のどちらか、ということもあります。また、短期ローンの場合は固定型、長期ローンの場合は変動型、というように返済期間によって、金利タイプが変わることもあります。
ローン商品や金利タイプにかかわらず、金利は審査により決定されます。一方で、固定型と変動型には違いがあります。それが「短期プライムレート」です。この短期プライムレートは変動型の金利における基準となります。
短期プライムレートとは、「最も信用力が高い企業向けの短期貸出に適用する最優遇金利」のことで、銀行が企業に対して融資をするときの基準となる金利です。なお、「長期プライムレート」も存在します。長期プライムレートも短期プライムレートと同様に、最優遇金利を指しますが、「期間」の点で異なります。1年未満の期間の貸出が短期、1年以上の期間の貸出が長期プライムレートと呼ばれます。
通常、銀行は企業向けの融資を行う際、短期プライムレートを基準として、融資先企業の信用力に応じて金利を上乗せします。この方式は銀行だけでなく、その他の金融機関でも広く用いられており、個人の変動型の住宅ローンにも使われています。
短期プライムレートは、2023年8月時点では年1.475%に設定されています。これは、メガバンクが公表しているもので、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行のいずれも同率です。実際の融資では、この短期プライムレートに、企業の信用力に応じた金利が上乗せされることとなります。
本来、短期プライムレートは金融市場の動向によって、毎月変動します。そして、短期プライムレートに連動する変動型のローンでは、あらかじめ決められたタイミングで金利の見直しが行われます。見直し時点での、短期プライムレートの水準によって、それ以降の金利が決まる仕組みです。一般的には、見直しのタイミングは「半年ごとの年2回」となっています。
しかし、実は短期プライムレートは2009年1月から変更されていません。その最大の理由は、日本銀行の政策金利が極めて低い水準に維持されていることにあります。日本銀行の政策金利は、2008年12月から、年0.1%以下に設定されたままになっています。そして、2023年8月現在は、2016年1月に設定された年▲0.1%のままです。そのため、金融市場では多少の金利変動はありますが、短期金利から長期金利まで低位安定が続いています。
金融市場では、当面、日本銀行の金融政策に変更はなく、国内金利の水準は現状維持が続くという見方が優勢です。したがって、しばらくは短期プライムレートも現在の低金利が続くと見て良さそうです。一方で、将来的に金利が上昇することも十分あり得るので、金利上昇の可能性は必ず念頭におきましょう。
変動型の金利は、短期プライムレートと金融機関の審査による上乗せ金利によって決定されます。また、短期プライムレートは、現在は低位安定しているものの、いずれは上昇する可能性もあります。変動型のローン商品を検討する際は、金利上昇の可能性も考慮したうえで、決定するようにしましょう。
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