フラット35は頭金・自己資金なしで組める?

公開日:2025.03.12

フラット35は、最長35年間の全期間固定金利の住宅ローンです。マイホーム購入でフラット35を検討する際に、「頭金なしでローンを組めるのか」という疑問を持つ人もいるでしょう。この記事では、頭金なしでフラット35を組む方法や注意点、返済事例などを紹介します。

頭金なしでフラット35を組むことは可能

フラット35は、頭金(自己資金)なしでも借り入れが可能です。
フラット35は住宅の建設費や購入価額のほかに、融資手数料、登記費用、火災保険料などの諸費用も借り入れ対象に含まれます。 そのため、一定の要件を満たしていれば、10割までの融資(いわゆるフルローン)が利用できます。

ただし、フラット35は融資率が9割以下と9割超で金利が変わります。融資率とは、住宅の建設費または住宅の購入価額に対してフラット35の借入金額の占める割合のことです。
2025年3月時点の、新機構団信付きのフラット35(借入期間21年以上35年以下)の金利水準は以下のとおりです。

フラット35の金利水準(2025年3月)

融資率金利の範囲最も多い金利
9割以下年1.940%~年3.690%年1.940%
9割超年2.050%~年3.800%年2.050%

出典)住宅金融支援機構「金利情報」をもとに作成

頭金なしでフラット35を組むときの注意点

頭金なしでフラット35を組むときは、以下の点に注意が必要です。

返済比率が年収400万をボーダーに変わる

返済比率(総返済負担率)とは、すべての借り入れについて、年収に占める年間合計返済額の割合のことです。
フラット35を申し込むには、以下の返済比率の基準を満たす必要があります。

フラット35の返済比率の基準

年収400万円未満年収400万円以上
返済比率30%以下35%以下

出典)住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」をもとに作成

例えば、年収400万円の人であれば、年間のローン返済額を140万円以下にする必要があります。頭金なしでフラット35を組むと借入金額が増えるため、それに応じて返済比率も増えます。年収や借入金額によっては返済比率の基準を満たせず、申し込みできなくなるかもしれません。

また、申込要件を満たしたとしても、借入金額が増えると審査に影響する可能性があります。住宅金融支援機構のホームページには、「融資率が9割を超える場合は、融資率が9割以下の場合と比較して、ご返済の確実性などをより慎重に審査させていただく」と記載されています。

出典)住宅金融支援機構「融資率とは」

金利が高くなることで毎月の返済額が増加する

先述のとおり、フラット35は融資率によって金利が変わります。頭金なしでローンを組むと融資率は10割となり、融資率9割超の金利が適用されます。融資率9割以下に比べて金利が高くなるため、その分毎月の返済額や総返済額が増加します。

頭金なしでフラット35を組むのであれば、金利が高くなることを考慮し、無理のない返済計画を立てることが重要です。

フルローン融資が否決となったときは自己資金を用意できるまで待つ

フルローンの融資が否決となった場合は、自己資金が用意できてから改めてフラット35に申し込みましょう。頭金を入れて融資率が9割以下になれば、金利が下がり、毎月の返済額や総返済額を抑えることが可能です。

マイホーム購入に時間がかかってしまいますが、「比較的短期間で頭金を貯められる」「無理のない返済計画を立てたい」という場合におすすめの方法です。

頭金なしでフラット35を組んだときの事例

ここでは、3,000万円の物件(諸費用を含む)を購入する際に、頭金なしの場合と頭金を1割入れる場合でフラット35の返済額がどのように変わるかを見てみましょう。

頭金なしと頭金1割のフラット35返済比較

頭金なし(融資率10割)頭金1割(融資率9割)
頭金300万円
借入金額3,000万円2,700万円
金利年2.050%年1.940%
借入期間35年
返済方法元利均等返済
毎月の返済額10.1万円8.9万円
総返済額4,207万円3,722万円

※2025年3月の最も多い金利(新機構団信付き、借入期間21年以上35年以下)

出典)住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」をもとに作成

頭金なしの場合は、マイホーム購入時の自己資金を抑えられます。ただし、頭金を1割入れる場合に比べて、毎月の返済額は1.2万円増加します。

まとめ

フラット35は、返済比率などの要件を満たせば頭金・自己資金なしでも借り入れが可能です。ただし、融資率が9割を超えると金利が高くなり、審査も厳しくなる傾向にあります。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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