老後のマンション住まいのメリット・デメリットを解説

公開日:2024.08.14

老後の住まいとしてマンションを検討することがあるかもしれません。マンションは利便性が高いイメージがありますが、実際に住んだことがない人は、自分に合っているか不安に感じることもあるでしょう。

この記事では、戸建てと比較しながら老後の住まいにマンションを選ぶメリットやデメリット、注意点について解説します。

老後の住み替えの主な理由

SBIエステートファイナンス株式会社が2022年6月に実施したアンケート調査によると、60歳以上の持ち家所有者で「自宅を住み替えたい」と考えている人の主な理由は、「建物の老朽化」と「間取りへの不満(広すぎる、狭すぎる)」がともに38%を占めていました。

これらの理由から簡易的なリフォームでは解決しにくい建物への不満があると考察できます。また、建物自体に問題がなくとも、定年退職や子どもの独立といったライフイベントがタイミングとして考えられるでしょう。

高齢になるほどマンションは困りごとが少ない

住宅金融支援機構の調査によると、住宅について困っていることについて「特に困っていることはない」と回答した50代~70代の割合は以下のとおりです。

「特に困っていることはない」の割合

年代/住まいマンション戸建て
50代51.4%42.3%
60代62.3%39.0%
70代80.0%43.4%

マンションと戸建てを比較すると、全年代でマンションのほうが「特に困っていることがない」という回答が多い結果となりました。さらに、マンションは高齢になるほど「特に困っていることはない」の割合が増加しており、70代では8割にのぼります。

出典)住宅金融支援機構「高齢者の住宅ニーズ等の分析」P.16

項目別では、マンションは「住宅が狭い」、戸建ては「庭の手入れや冬の雪かきが面倒」「内壁や外壁がところどころ傷んでいる」の割合が高くなっています。

困っていること(マンション)

困っていること(戸建て)

出典)住宅金融支援機構「高齢者の住宅ニーズ等の分析」P.16

老後の住まいにマンションを選ぶメリット

老後のマンション住まいは、戸建てに比べて次のようなメリットがあります。

管理が楽

マンションでは、毎月管理費と修繕積立金を支払うことで管理会社が共用部の清掃や修繕を行います。エントランスや廊下、庭などの清掃は管理人に任せることができます。さらに、エレベーターなどの設備の故障、建物の劣化なども管理会社が修繕工事を手配してくれます。

戸建てでは、基本的に清掃や修繕はすべて自分で行うことになるので、マンションのほうが管理は楽といえます。

利便性が高い

高齢になるにつれて、体力面で長距離の移動は難しくなるかもしれません。郊外に位置する戸建ての場合、エリアによっては買い物や通院に時間がかかります。

マンションは都市部の駅近など、利便性の高いエリアに供給されていることが多いです。公共交通機関が利用しやすく、商業施設や病院などが近くにあるマンションなら老後も快適に暮らせるでしょう。

セキュリティが高い

マンションは、セキュリティが高いのもメリットです。近年では、オートロックや防犯カメラ、宅配ボックスなどが標準でついているところもあります。外部から侵入しにくい環境が整っているため、防犯面以外でも無理な勧誘などのトラブルを回避できるでしょう。

戸建てもセキュリティ対策は可能ですが、共用のエントランスや常駐の管理人がいないため、マンションに比べると外部から侵入しやすく、防犯強化のための費用もかかります。

資産価値が維持されやすい

戸建ては、築年数が古くなると建物の評価が下がることが一般的です。それに対して、マンションは資産価値が維持されやすく、立地が良ければ築年数が古くなっても値上がりする可能性もあります。

万が一、老後の生活費が不足した場合、資産価値が維持されていれば、不動産売却や自宅を担保にした借り入れにより、まとまった資金を作ることも可能です。

老後の住まいを選ぶ際のポイント

老後の住まいを選ぶ際の主なポイントは次の3つです。

  • 持ち家か賃貸か
  • マンションか戸建てか
  • 都市部か郊外か

住まいを選ぶうえではさまざまな要因が関係しますが、基本的には上記3つを組み合わせて考えるといいでしょう。それぞれの特徴を理解できれば、自分に合った理想の住まいが見えてきます。老後の住まいを選ぶ3つのポイントについては、以下の記事で詳しく説明しています。

老後の住まいにマンションを選ぶ注意点

老後の住まいにマンションを選ぶ場合は、次のような点に注意が必要です。

騒音やプライバシーのトラブルがある

マンションは、同じ建物内に多くの人が住む集合住宅です。部屋は別でも近隣との居住空間は近いため、騒音やプライバシーに関するトラブルが発生しやすい環境といえます。

生活音だけでなく、ゴミの出し方や駐車場の使い方などでトラブルになり、人間関係がうまくいかなくなる場合もあります。

戸建ても近隣トラブルが発生する恐れはありますが、近隣とは建物が分かれており、一定の距離が保たれているため、マンションに比べるとトラブルは発生しにくいでしょう。

リフォームやリノベーションの制限がある

マンションでは管理規約が定められており、その規約を守って生活する必要があります。規約において、リフォームやリノベーションに制限が設けられているケースも少なくありません。

希望に合わせてリフォームやリノベーションができる戸建てに比べると、マンションは自由度は低いといえるでしょう。

マンションならではの制限がある

マンションは「ペット禁止」などの制限が設けられていることもあり、戸建てに比べると自由度が低い傾向にあります。また、思わぬエレベーターの故障など、マンションならではの問題が発生することもあります。

まとめ

マンションのメリットは、物件管理に手間がかからず、利便性やセキュリティが高いことです。また、戸建てに比べて資産価値が維持されやすい傾向にあります。一方で、騒音などのトラブルが発生しやすく、リフォームなどの制限が設けられていることがあります。

それぞれのメリットとデメリットを比較検討したうえで、老後の住まいにマンションを選ぶかを検討しましょう。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

関連キーワード