リフォーム費用の相場と安く抑えるコツ

公開日:2022.09.07

住み始めた頃は問題ないと感じていても、月日の経過に伴って住まいに不便さを感じる場面も出てきます。今後の生活を快適にするためには、リフォームを検討してみるのも選択肢の1つです。しかし、実際にリフォームを行うと、費用がいくらかかるのか気になる方も多いでしょう。

この記事ではリフォーム費用の目安や安く抑えるコツ、活用できる補助金などを解説します。

部位別リフォーム費用の相場

住宅のリフォームは、どこを工事するかによって費用は異なります。ここでは、工事の種類別にかかる費用の目安とポイントなどを、国土交通省が公表している「部位別リフォーム費用一覧」のデータをもとに解説します。

水回りリフォーム費用の相場

水回りのリフォームは、タンクレストイレやシステムバス、システムキッチンなどの住宅設備の交換などが挙げられます。それぞれの費用相場について解説します。

トイレ

トイレのリフォームでは、8~16万円程度で温水式洗浄便座の設置ができます。タンクレストイレへの交換で30~50万円程度、トイレ全体の改修となると20~100万円程度を見積もっておく必要があります。なお、交換するトイレのグレードや床・壁の内装変更、手すりの設置などリフォームを行う箇所が多くなるほど費用は高くなります。

お風呂

お風呂のバスタブの交換は14~20万円程度が目安です。システムバスへの交換はマンションの場合で50~100万円程度、戸建てだと60~150万円程度がかかります。また、高効率給湯システムの設置には55~100万円程度がかかることを見込んでおきましょう。

洗面所

洗面所のリフォームは、洗面化粧台の交換が20~50万円程度、洗面所の改装を行うときは20~100万円程度を考えておきましょう。洗面所と脱衣所を兼ねている場合は、防寒対策として床暖房を入れたり、二重窓にしたりすることを検討することもあるかもしれません。作業工程が増えるほど、費用がかさんでしまうため注意が必要です。

居室リフォーム費用の相場

居室のリフォームは、フローリングへの変更や壁クロスの貼り替え、リビングそのものの全面改修などが挙げられます。それぞれの費用感について見ていきましょう。

リビング

壁クロスの貼り替えには6~30万円程度、段差の解消には8~20万円程度が必要です。リビングに収納棚を設ける場合は40~90万円程度がかかり、リビングそのものを全面改修するときは200~400万円程度を見込んでおく必要があります。

畳からフローリングに変更する費用は、広さにもよりますが15~60万円程度がかかります。床暖房を敷設する場合は50~150万円程度が必要です。使用する床材のグレードによって金額は大きく異なるため、予算にあった選択が重要です。

外装・構造リフォーム費用の相場

外装や構造のリフォームは、外壁や屋根の修理、雨どいの交換などが挙げられます。ここでは主に、外壁と屋根について見ていきましょう。

外壁

戸建ての場合、年月の経過によって外壁に劣化が生じてきます。そのままにしておくと、漏水の原因にもなるため、定期的なメンテナンスが必要です。

外壁材がモルタルなのか、サイディングなのかでも異なりますが、モルタルの重ね塗りには、壁の面積によって50~150万円程度がかかります。外壁材そのものを貼り替えるにはさらに費用が必要になるため注意しましょう。

屋根

屋根に関してはスレート屋根の塗り替えで20~80万円程度、金属屋根の重ね葺きで90~250万円程度かかります。瓦屋根の場合は、瓦の交換などで70~120万円程度を見込んでおく必要があるでしょう。

雨どいの交換を行うときは、5~40万円程度がかかります。屋根部分は自分でメンテナンスを行うのが難しいため、計画的にリフォーム費用を積み立てておくようにしましょう。

耐震補強

住宅の耐震補強を行う場合、金物を使用した補強工事なら20~60万円程度がかかります。基礎部分から補強工事を行う場合は、100~200万円程度必要です。

出典)部位別リフォーム費用一覧

全面リフォーム費用の相場

全面リフォーム費用の相場

リフォーム費用は工事を行う箇所によって金額が違ってきます。住宅の全面リフォームを行う場合はまとまった資金が必要になるため、計画的に資金を積み立てていくことが必要です。

次のようなケースで全面リフォームを行った場合に、どれくらいの費用がかかるのかを見ていきましょう。

リフォームを行う箇所費用の目安
太陽光発電システムの設置200~300万円
タンクレストイレへの交換30~50万円
システムバスへの交換60~150万円
耐震補強(基礎からの工事)100~200万円
スレート屋根の塗り替え20~80万円
内窓の設置6~12万円
壁クロスを珪藻土に変更18~30万円
システムキッチンの交換40~80万円
畳からフローリングに変更15~60万円
合計額489~962万円

上記のケースでは、489~962万円程度の費用が必要です。全面リフォームを行うには中長期の計画を立てて取り組んでいく必要がありますが、工夫次第でリフォーム費用を安く抑えることも可能です。

リフォーム費用を安く抑えるコツ

リフォーム費用を安く抑えるコツ

リフォームを行う箇所が多いほど、費用はかさんでしまうため注意が必要です。リフォーム業者によって費用感は異なるため、実際に工事を行うときには複数の会社に見積もりを出してもらいましょう。そのほかに、リフォーム費用をできるだけ抑えるコツについて解説します。

設備や建材のグレードを見直す

リフォーム費用を抑えるには住宅設備や建材のグレードを見直すことが重要です。質にこだわり過ぎれば、多くの予算が必要になるため、どのラインで妥協できるのかを検討してみましょう。

暮らしに必要な機能や性能を洗い出したうえで、それに見合った住宅設備や建材を選んでいくことが大切です。リフォーム業者と相談をして、既存の設備で再利用できるものがないかなどを細かく検討してみましょう。

複数の箇所をまとめてリフォームする

個別にリフォームを行うよりも、数ヶ所をまとめてリフォームしたほうが結果的に合計費用は抑えられます。たとえば、屋根と外壁のリフォームは工事を行うにあたって足場を組む必要があるため、別々に依頼をすればその分だけ費用がかさみます。

また、配管工事を伴う水回りのリフォームなども、まとめて行ったほうが費用を抑えられるでしょう。どのようなスケジュールで工事を進めていけば費用面での負担が少ないかをリフォーム業者に相談してみるといいでしょう。

補助金を活用する

リフォームの内容によっては国や自治体などが設けている補助金制度を活用できる場合があります。費用の一部を補助してもらうことで、負担の軽減につながるでしょう。どのような補助金制度があるのかを次に紹介します。

リフォーム時に活用できる補助金

リフォーム時に活用できる補助金

リフォームを行う際に活用できる補助金制度はさまざまあり、一定の条件を満たすことで補助金が支給されるケースがあります。補助金の種類や支給額、対象となる工事内容などを表にまとめると以下のとおりです。

補助金の種類対象となる工事内容補助額
こどもみらい住宅支援事業開口部・外壁・屋根・床などの断熱改修
エコ住宅設備*1の設置
子育て対応改修
バリアフリー改修など
対象のリフォームに応じて補助額が決定
上限額60万円
既存住宅における断熱リフォーム支援事業高性能建材を用いた断熱リフォームリフォーム費用の3分の1まで
上限額120万円
次世代省エネ建材の実証支援事業外張り断熱リフォーム
内張り断熱リフォーム
窓断熱リフォーム
リフォーム費用の2分の1まで
外張り断熱:上限額400万円
内張り断熱:上限額200万円
窓断熱:上限額150万円
長期優良住宅化リフォーム補助金三世代同居対応改修工事
子育て世帯向け改修工事
防災性の向上改修工事など
リフォーム費用の3分の1まで
一定の性能向上が認められる場合:上限額100万円
長期優良住宅の認定を受ける場合:上限額250万円

※太陽熱利用システム・節水型トイレ・高断熱浴槽など

上記のように多くの制度が設けられているため、リフォームを行うときには補助金の対象となる工事であるかを確認してみましょう。補助金の申請手続きなどに詳しいリフォーム業者を選んでみると、スムーズに進められるでしょう。

なお、制度ごとに下限額や上限額が細かく設定されているため、詳細は参考URLをご確認ください。

出典)
こどもみらい住宅支援事業
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
次世代省エネ建材の実証支援事業
長期優良住宅化リフォーム補助金

リフォーム減税制度の対象

リフォーム減税制度の対象

リフォームを行うときは費用負担ばかりが気になりますが、一方で減税の対象となることも押さえておくことが大切です。住宅のリフォームを行ったときには確定申告をすることで減税対象となり、所得税の負担を軽減できます。

一口に減税といっても、投資型減税・ローン型減税・住宅ローン減税の3つがあります。それぞれの特徴についてまとめると、以下のとおりです。

減税措置の種類控除要件最大控除額控除対象期間
投資型減税ローン利用の有無を問わず25万円1年
ローン型減税償還期間5年以上のローンを利用62.5万円5年
住宅ローン減税償還期間10年以上のローンを利用140万円*10年

※既存住宅のリフォームで、控除率0.7%、年間最大控除額の14万円が10年間適用された場合

出典)
リフォームの減税制度
国土交通省 住宅ローン減税

上記の減税措置は家屋の条件や所得、工事内容などの要件をすべて満たすことによって適用されます。詳しい要件などは、国税庁のホームページなどで最新の情報を確認しておきましょう。

まとめ

住宅のリフォームは、工事を行う箇所が多いほど、費用がかさんでしまう傾向があります。複数の会社から見積もりを出してもらい、どの部分のリフォームから優先的に行うかを精査してみましょう。

できるだけ安くリフォームを行うには、事前に大まかな相場を把握しておくことが大切です。活用できる補助金や減税の仕組みなどについても理解しておけば、リフォームの計画を立てやすくなるでしょう。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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