更新日: / 公開日:2022.02.24
リースバックを検討するにあたり、どのように契約が進んでいくのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。リースバックの契約が終わってから後悔することが無いように、契約がどのような流れで進み、何に注意しなければならないかを正しく認識しておきましょう。
この記事では、リースバックの契約までの流れや注意点について詳しく解説します。
一般的なリースバックの契約の流れは以下のとおりです。
それぞれどういった手続きなのか、順番に詳しく解説します。
まずはリースバック運営会社に問い合わせをします。一般的には、所有物件の状況や売却価格、家賃などの希望条件について確認されます。相談して問題がなければ、仮査定の申込を行いましょう。なお、仮査定の際には固定資産税額やマンションの場合には管理費や共益費などを確認されるので、問い合わせの際には正しく把握しておくといいでしょう。
問い合わせ時に提示した情報から仮査定が行われ、概算の売買金額と家賃が提示されます。仮査定では、あくまでその周辺地域の成約事例を基に算出されるので、戸建てなどの個別要因が強い不動産の場合は、本査定との乖離が大きくなることもあります。
運営会社が実際に現地に訪問し、物件の状況確認や図面との照合、境界線の確認などが実施されます。仮査定時には分からなかった建物の不具合や図面との相違などがないかを確認したうえで、最終的な売買金額と家賃が確定します。
運営会社から本審査の結果が通知されます。売却価格や家賃などの契約条件が提示されるので、内容を確認して契約するかどうかを判断しましょう。なお、運営会社によっては売買価格や家賃の調整が一定の範囲内で可能な場合もあるので、自身の希望を伝えてみるといいでしょう。
契約条件に同意する場合は契約手続きに進みます。契約の意思を伝えると、必要書類の確認と契約日の日程調整が行われます。ここで締結される契約は売買契約と賃貸借契約で、物件の買い戻しのための売買予約契約を締結する会社もあります。
売買代金の支払いが完了すると、売買が成立して物件の所有権が運営会社に移転します。それと同時に賃貸借契約も成立し、自宅の賃貸が開始されます。
リースバックを契約するまでに必要書類の提出を求められるタイミングは、本査定時と契約締結時の2つです。それぞれに必要な書類と取得方法を解説します。
リースバックの本査定時に必要な書類は以下のとおりです。
身分証明書や住民票は、本人確認や住所確認のために使用します。住民票は自治体の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニで発行することも可能です。
固定資産税通知書は、不動産の評価額を確認する際に使用します。固定資産税通知書は自治体から毎年送付されるもので、査定価格の算出のために必要な書類です。なお、固定資産税を確認するために使用するため、場合によっては提出までは求められないかもしれません。
また、リースバックでは賃貸となっても支払いが滞りなくできるかを確認するため、収入状況も審査されます。収入証明書として、勤務先から受け取った源泉徴収票や年金通知書などを準備しておきましょう。
リースバックは、査定時と契約時で必要書類が異なります。また、契約は「不動産売買契約」と「賃貸借契約」の2つに分かれており、それぞれ必要な書類は異なりますが、売買契約に伴って利用される書類がほとんどです。
不動産売買契約時には、身分証明書の他に以下の書類が必要です。
売買契約時に必要な書類は、一般的な不動産売却と同じです。印鑑証明書は、印鑑が登録されたもの(実印)であることを証明する書類です。虚偽の申請で買主が不利益を受けないように、不動産売買では印鑑証明書を添付する必要があります。印鑑証明書は自治体の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニで発行することも可能です。
権利証は、不動産の所有者であることを証明する書類です。リースバックで自宅を売却すると、所有権が運営会社に移転します。この所有権移転登記を行う際に、権利証が必要になります。権利証は自宅を取得したときに発行されていますが、万が一紛失している場合にも代替措置があるので、運営会社に相談してみましょう。
賃貸借契約時には、身分証明書や収入証明書を準備します。連帯保証人をたてる場合は、連帯保証人の承諾書も必要です。ただし、保証会社と契約することで連帯保証人が不要となる運営会社もあります。
リースバックの契約時に以下の書類の提出を求められる場合もあります。
一般的に、リースバックの契約に用いられるのは「売買契約書」と「賃貸借契約書」の2つです。それぞれの契約書の注意点を解説します。
売買契約書は、物件の売却価格や売却代金の支払方法、支払日を確認しましょう。その他、通常の不動産売却と同様に、売主が負う契約不適合責任がどのように記載されているか確認しておくことが大切です。
また、リースバックは売却した自宅の買い戻しが可能な場合、買い戻しの可否や可能期間、買い戻し金額などが売買契約書に特約として記載されています。将来買い戻しを想定しているなら、買い戻し事項の有無と内容を確認しておきましょう。なお、運営会社によっては、売買契約書上の特約ではなく、売買予約契約書を別途締結する場合もあります。
賃貸借契約書を確認する際に最も重要なのが、賃貸借契約が「普通借家契約」か「定期借家契約」かです。どちらも契約期間が定められていますが、普通借家契約は借主であるリースバックの利用者が希望すれば契約更新が可能です。一方、定期借家契約は更新がなく、再契約するためには運営会社の合意が必要となります。
契約の種類を確認したうえで、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用、更新料の有無、退去の申出期限、原状回復費用の負担割合といった基本的な内容も確認しておきましょう。
リースバックを利用する際は、複数の運営会社を比較することが大切です。運営会社によって売却価格や家賃、賃貸借契約の期間・種類が異なります。複数の運営会社に相談したうえで、希望条件に近い会社と契約しましょう。
また、リースバックで自宅を売却する前に、相続人と相談することも重要です。売却後は自宅の所有権が運営会社に移転するため、自宅は相続財産の対象外となります。あらかじめ相続人と相談しておかないと、相続発生後に相続人がリースバックに気づき、トラブルとなるケースもあります。リースバックを利用する場合、自宅を売却することをあらかじめ契約前に相続人に伝えるようにしましょう。
リースバックは、老後資金の確保や相続トラブルの回避に有効です。しかし、どのように契約が進行し、何に注意すべきかを把握しておかないと、トラブルになる恐れもあります。特に普通借家契約と定期借家契約の違いには注意が必要です。
リースバックで自宅を売却してから後悔しないように、正しく契約の流れと注意点を理解してから実際の契約を進めましょう。
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