更新日: / 公開日:2022.05.11
住宅を購入するときは、「住宅ローン控除」をはじめとしたさまざまな優遇制度が用意されています。一方で、どのような優遇制度があるのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、住宅購入で得られるさまざまな優遇制度について詳しく解説します。
住宅ローンを借りて住宅を購入する場合は、住宅ローン控除が利用できる可能性があります。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅取得者の住宅ローン金利負担の軽減を図るための制度です。住宅ローン年末残高の0.7%が10年間所得税から控除され、控除額と納税額に応じて所得税が還付されます。所得税から控除しきれない場合は、住民税から控除することも可能です。
住宅を購入する際は、売買契約書に収入印紙を貼付して印紙税を納めなくてはなりません。不動産売買契約書の印紙税は、軽減措置によって税率が引き下げられています。2024年3月31日までに作成される契約書については、以下の軽減税率が適用されます。
表 印紙税の軽減措置(単位:円)
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
100万円超 500万円以下 | 2,000 | 1,000 |
500万円超 1,000万円以下 | 10,000 | 5,000 |
1,000万円超 5,000万円以下 | 20,000 | 10,000 |
5,000万円超 1億円以下 | 60,000 | 30,000 |
1億円超 5億円以下 | 100,000 | 60,000 |
5億円超 10億円以下 | 200,000 | 160,000 |
印紙税は、物件価格(契約金額)が高くなるほど税負担も増える仕組みです。軽減措置の適用期間中に売買契約を締結すれば、印紙税の節税になります。
登録免許税とは、購入した住宅(土地、建物)の登記を行うときに納める税金です。課税標準額(固定資産税評価額)に税率を掛けて税額を計算します。
購入した住宅の所有権を設定するため、新築住宅は所有権保存登記、中古住宅の場合は所有権移転登記を行わなくてはなりません。住宅ローンを利用する場合は、抵当権設定登記も必要です。
住宅購入に関する登録免許税の軽減措置は以下のとおりです。
表 登録免許税の軽減措置(単位:%)
登記の書類 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
土地の所有権移転登記 | 2.0 | 1.5 |
住宅用家屋の所有権保存登記 | 0.4 | 0.15 |
住宅用家屋の所有権移転登記 | 2.0 | 0.3 |
抵当権設定登記 | 0.4 | 0.1 |
土地は2023年3月31日、住宅用家屋と抵当権は2022年3月31日まで軽減税率が適用される予定でしたが、令和5年度の税制改正により、その適用期限がが令和8年3月31日まで3年延長されました
不動産取得税とは、住宅などの不動産を取得したときに課される税金です。税額は、課税標準額(固定資産税評価額)に税率を掛けて計算し、税率は土地・家屋ともに3.0%です。
住宅購入では、土地・家屋にかかる不動産取得税の軽減制度があります。2024年までに取得した土地については、課税標準額が1/2となり、「土地を取得後3年以内に住宅が新築されている」などの要件を満たすと、さらに税額が軽減されます。家屋については、以下の床面積要件を満たす新築住宅を購入した場合、課税標準額から1,200万円が控除されます。
表 新築住宅の床面積要件
住宅の種類 | 床面積要件 |
---|---|
一戸建て | 50㎡以上 240㎡以下 |
一戸建て以外(マンションなど) | 40㎡以上 240㎡以下 |
中古住宅についても同様の軽減措置がありますが、現行の耐震基準に適合していることが要件です。住宅が新築された日に応じて、100万円から1,200万円の間で課税標準額から控除されます。
住宅を所有すると、毎年固定資産税が課税されます。固定資産税の税額は、土地・家屋ともに課税標準額(固定資産税評価額)の1.4%です。ただし、住宅用地には課税標準の特例措置があり、小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡までの部分)は課税標準額の1/6、一般住宅は課税標準額の1/3で税額を計算します。
家屋については、新築住宅で「50㎡以上 280㎡以下」という床面積要件を満たす場合、固定資産税額の2分の1が減額されます。減額期間は一戸建てが3年間、マンションが5年間で、2022年3月31日までに新築された住宅が対象となります。
なお、税制改正により、2024年3月31日までに延長されました。
父母や祖父母などの直系尊属から自ら居住する住宅の新築・購入、増改築のために金銭の贈与を受けた場合、以下の金額まで贈与税が非課税になります。
本措置を申請する受贈者(贈与を受ける人)は、下記の要件を満たす必要があります。
また、対象となる家屋は、床面積50㎡以上240㎡以下で中古住宅は耐震基準に適合するものである必要があります。なお、「質の高い住宅」とは下記のような要件を満たす住宅です。
本措置を受けるには、確定申告時に税務署に申請する必要があります。申請の際は「受贈者の戸籍謄本」「贈与年の所得金額を証明する書類」「売買契約書」「登記事項証明書」などが必要です。手続きの詳細は税務署に確認しましょう。
個人の住宅取得を後押しするため、国はさまざまな優遇制度を用意しています。この記事で紹介した優遇制度を利用すれば、住宅購入費用の負担軽減が期待できます。なお、それぞれの制度には終了期限が設けられているので、常に最新の情報をチェックするようにしてください。住宅購入を検討しているなら、優遇制度を最大限に活用しましょう。
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