更新日: / 公開日:2019.01.22
不動産は用いられる指標や利用状況などによって、算出される価値が異なるという特徴を持ちます。また、戸建てとマンションでも資産価値の考え方は異なる場合があります。
この記事では、不動産評価における重要なポイントや、戸建てとマンションで異なる資産価値の考え方などを紹介します。
自宅などの不動産を購入する際、その不動産を評価する方法を把握することが重要です。不動産の価値の考え方は、1つの土地に対して5つの種類があるとされ、一物五価とも呼ばれます。
このうちどれを適用するかによって計算結果は異なります。一方で、どの評価方法を用いたとしても重要なポイントは同じです。この重要なポイントを、SBIエステートファイナンス株式会社が実施したアンケート結果を基に紹介していきます。
まずは、不動産評価のプラス面から確認してみましょう。
「不動産物件の30年後を見据えた場合に、価値を左右する重要なポイントを重要度合いの高いものから3つまで選んでください。」という質問をしたところ、「最寄り駅からの距離や公共交通機関の利便性」が最も選ばれ、次点で「日常的な買い物施設、飲食店などへのアクセスの良さ」「築年数や建物のグレード」「地震・台風などの自然災害に対する安全性」という3つの項目が僅差で並びました。
不動産は基本的に駅に近い方が評価が高くなります。公共交通機関の利便性が高い都市部では、駅からの距離が重要な評価ポイントであり、公共交通機関が揃っているエリアでは土地そのものも高くなります。
逆に地方部では車での移動が中心であることから、都市部ほど最寄り駅からの距離が評価に影響しないこともあります。
自己居住用の不動産においては、日常的な買い物施設や飲食店などへのアクセスの良さが不動産評価に影響します。食料品や日用品を購入できるスーパーマーケットやドラッグストアのほか、単身者向けの物件ではコンビニエンスストアも評価ポイントです。
そのエリアの居住者の需要の高い飲食店があるかどうかもポイントです。例えば、単身者向けであればファストフードなどが挙げられます。
物件の築年数は、建物の状態や地域の人気度と異なり、誰でも確認できる客観的なデータであり、評価において重要な情報です。一般的に古いものほど資産価値は下がりますが、エリアや不動産の種類、室内の状況によって変化します。
例えば、築年数が古い不動産であっても、人気エリアや利便性の高いエリアであれば資産価値は下がりにくい傾向にあります。また、建物の耐用年数は木造が22年、鉄筋コンクリート造が47年と法律で定められおり、耐用年数が長い鉄筋コンクリート造の方が、不動産評価は高くなる傾向にあります。
大規模な地震や津波、台風などの自然災害に見舞われたとき、その物件が耐えられるかどうか、という点も重要なポイントです。地震については物件の耐震性や免震構造などの点、津波や台風などの水害においては、ハザードマップを確認することが重要です。
その他にも、客観的にわかりやすい情報として、不動産の階数や方位、位置などもポイントになります。
特にマンションでは、階層や部屋向きが重要です。低層階と高層階では、眺望の良い高層階が人気のため、価格が高くなる傾向にあります。反対に、1階はセキュリティなどの要因から価格は安くなる傾向にあります。
方位はそれぞれにメリット・デメリットがありますが、「南→東→西→北」の順に人気です。やはり日当たりの良い南向きを好む方が多く、日照が悪い北向きなどよりも価格は高くなる傾向です。ただし、この傾向もエリアや立地によって異なることを念頭に置いておきましょう。
次に、不動産評価のマイナス面を確認してみましょう。
「不動産物件の30年後を見据えた場合に、不動産価値が下落する要因として最も影響度が高いと思うものを3つまで選んでください。」という質問をしたところ、「エリア周辺の過疎化」「自然災害の発生」「近隣に嫌悪施設(高速道路、火葬場、刑務所等)の建設が予定」という3つが、最も多くの支持を集めました。
過疎化や少子化が進んでいる地域は土地の需要がなく、時価が低くなる事例も見られます。評価額もある程度は地域の情勢を取り込んで決定されますが、まったく人気のない土地は、想像以上に価格が下がってしまうこともあります。
今後そのエリアが発展するのか衰退するのかは、不動産評価に大きな影響を及ぼす恐れがあるので、「日本の地域別将来推計人口」などを参考に、情報収集を行っておくといいでしょう。
プラス面で「地震・台風などの自然災害に対する安全性」が挙げられたように、自然災害が発生することで不動産価値は大きく変化します。地震や台風などはあらかじめ予見できるものではありませんが、耐震性の高い物件を選定したり、沿岸部を避けて水害によるリスクを回避したりすることは可能です。
嫌悪施設は周辺の土地の地価に影響を及ぼすマイナス要因となる場合があります。嫌悪施設とは火葬場や刑務所、高速道路など生活をしていく上で不快に感じることのある施設のことです。
たとえば、準住居地域で、路線価が同じ2つの土地があるとします。一方の土地は隣にカラオケスナックがあり、深夜まで大音量の音楽が聞こえてきます。もう一方の土地の隣にあるのは美容院で18時には閉店するため、夜はいたって静かです。この場合、評価価格は当然後者のほうが高くなります。
その他にも、「日銀の金融政策の「金融の引き締め」」という回答もありました。日銀によって融資が引き締められると、不動産購入の需要が減少し、早期に利益確定をしたい売り手が徐々に価格を下げ、不動産価格が全体的に下落する恐れがあります。
ここからは、戸建てとマンションの資産価値の違いを見ていきましょう。「築年数や広さが同等の場合、下記の物件種別の中ではどの物件の価値が落ちにくいと考えますか?」という質問を行ったところ、一戸建てが最も価値が落ちにくいという回答が得られました。
一戸建ての価値が落ちにくい理由としては、以下のようなコメントがありました。
対して、タワーマンションや大規模マンションの価値が落ちにくい理由としては、以下のようなコメントがありました。
不動産の評価方法と不動産価値の考え方についてご紹介しました。今後、自宅を売買予定しているとき、収益用不動産の購入を検討しているときなど、今回紹介したポイントを参考に自分なりの不動産評価を考えてみるといいでしょう。
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