公開日:2019.11.19
2020年を境に不動産価値が下がるという話題を耳にすることが多くなりました。実際に、2020年以降は、都市圏での人口の減少、地方の過疎化など、多くの懸念点が指摘されています。
しかし、30年後を見据えて、どのエリアのどういった物件の価値が下がらないのかは見当もつかないはずです。
そこで、今回は、不動産のプロ104人に、30年後に価値が上がる物件やエリア、30年後に価値が下がる物件やエリア、また、最近人気のタワーマンションの価値に関してアンケート調査を実施しました。
【回答者】不動産会社に勤務する代表者、物件仕入れ担当者、営業担当者 104名
【回答期間】2019年9月24日~2019年10月8日
【回答者の不動産業務経験年数】
3年未満 | 6.7% |
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5年未満 | 3.8% |
10年未満 | 17.3% |
20年未満 | 26.0% |
30年未満 | 26.0% |
30年以上 | 20.2% |
※すべての回答ではなく回答が有効なものとなります。
不動産査定のプロたちが選んだのは、1位が「一戸建て:33.7%」、2位が「タワーマンション:22.1%」、僅差で3位が「大規模マンション:21.2%」となりました。
戸建ての価値が下がらない理由を見てみると下記のコメントがありました。
□ 土地の価値が下がりにくいと考えるため。
□ 基本的には、土地の相場で判断しているため、あまり建物の築年数は関係ない。弊社の考えは建物に付加価値をみていないので、築20年も築30年も建物の価値は評価していない。
□ 近年の物件価格の推移をみる限り、マンション価格は長く上昇傾向にあるが、戸建て価格は一定の水準をキープしている。相場のピークアウトが見られる現在、先に価格が下落するのは、相場の上がっているマンション系が先と考えている。
□ 土地の価格は下がっていないため。相対的にマンションはタワマンにみられる外国人投資家の過剰投資の反動での冷え込みにより、マンション全体が引っ張られる形で調整される状況にある。
□ 建物そのものの価値が経過年数とともに評価0になるため、土地価格のみの評価になる。故に、2020年以後、今後の日本経済情勢・金融政策・土地税制・その他金利等を考慮し日本経済の成長などを考えた場合に、土地そのものが大きく上昇カーブをすることは考え辛く、現在乱立されているホテル・オフィスビル・収益用不動産(マンション・アパート)の需要供給のバランスが大きく崩れると思う。よって、土地そのものは下落傾向ではないかと予想する。都心中心部からドーナツ型に下落していくのではないかと予想している。但し、都心中心部の下落率は少ないと思うが、郊外に関しては、供給のだぶつきにより下落率はそれなりになると思う。
□ 土地そのものは変化しないことと、建物は古くなると目減りするため。
タワーマンションの価値が下がらない理由を見てみると下記のコメントがありました。
□ 人気エリアに立地していることが多いため。
□ 東京都港区に限る。
□ タワマンはその立地も評価されるため。
□ 新規で建てることが難しく絶対数に限りがあるため。
□ 敷地の持分が少なく、資産価値的にも、立地が良い場所に多いので。
□ 購入者が日本人だけに限らず外国人にも需要があるから。
□ 自然災害などで土地離れ傾向にあることと、若い世代が土地への執着がないこと。 マンションも規模が小さいと設備不足や計画段階での立地などで、自然災害など受けやすいと思われるし、価格帯が低い案件は好不況に左右されやすいため。タワーマンションを購入する客層はそれなりの富裕層であることやコミュニティがあることなどから価格が落ちにくいのではと考えている。実際に自分のマンションでそう感じるから。(購入後20年経過)
大規模マンションの価値が下がらない理由を見てみると下記のコメントがありました。
□ もっとも安定感があるため。世帯数が多いので管理費、修繕費も相対的に安くなり売りものが出てもすぐ売れるため。
□ 管理費修繕費の増額があまりないため。
□ 戸数が多くて、管理がしっかりしていると思うため。
□ 一戸建てについては、中古の評価基準が確立されていないので、マンションの方が資産の評価がしやすいと考えている。マンションに限定して考査した場合、共用部の充実度や長期修繕計画の財務面の有利性からすると、大規模マンションは評価しやすいと思います。(但し駅距離を徒歩10分以内が条件)タワーマンションも大規模の分類になりますが、低層部と高層部の新築時の価格乖離や長期修繕のコストからするとマイナス面もあると考えている。
□ 修繕計画上、資金面(積立金)で優位性があるため。
□ 修繕費の上がり具合が滑らかであることから。
□ 管理費・積立金が潤沢で、管理組合も正常に機能していると思うから。
【考察】
30年後の不動産の価値を左右するのは、「最寄駅からの距離や公共交通機関の利便性:32.7%」と他を引き離して一番多く、次いで「日常的な買い物施設、飲食店などへのアクセスの良さ:12.9%」、「築年数や建物のグレード:11.9%」「地震・台風などの自然災害に対する安全性:10.5%」となりました。
利便性の良い物件の価値が高くなるのは理解できますが、「地震・台風などの自然災害に対する安全性」が上位に入ったのは、最近の災害の多さを物語っているのではないでしょうか。
30年後に物件の価値が落ちる要因としては、「エリア周辺の過疎化:22.1%」、次いで「自然災害の発生:19.0%」、「近隣に嫌悪施設(高速道路、火葬場、刑務所等)の建設が予定:15.2%」となりました。
ここでも自然災害の要因が上位にきています。また、2020年以降に実施される国際的なスポーツイベントの終了についてはそれほど影響しないと考えている方が多いようです。
【考察】
事故物件でも価値が下がらないケースを聞いたところ、以下のような回答がありました。
□ 人気がある駅で、単身間取りであればニーズ高いのでそれほど下がらないと思う。
□ 駅近、近隣施設の利便性、良好な管理があれば問題ない。
□ 自殺等心理的瑕疵は難しいが、自然死等は価格的影響がないケースが多い。
□ 立地が良ければ比較的価値が下がらないと思う。
□ 屋上からの飛び降りのケースは、マンションではよくあることだし心理的にそんなに気にならないため、価値が下がらないケースが多い。
全体的に、利便性が良ければ、比較的価値が下がらないと考えている方が多く、やはり、不動産物件は、利便性が一番重要なポイントと言えそうです。
今回は、30年後に価値の落ちない物件に焦点を当てて調査したところ、土地の価値が評価される一戸建てが最も価値が下がらない物件だという見解が多い結果となりましたが、タワーマンションや大規模マンションのように管理が行き届いている物件も評価されていました。
逆に価値が下がる要因としては、「エリア周辺の過疎化」や「自然災害の発生」が挙げられ、2020年以降開催される大きなイベントの終了に関しては、それほど影響しないと考えられているようです。
今後、不動産物件の購入を予定されている方は、参考にしてみてください。
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