2024.07.10

フラット35への借り換えにメリットはある?目的別に判断基準を紹介

公開日:2024.07.10

全期間固定金利型住宅ローンのフラット35は新規借り入れだけでなく、借り換えとしても利用することができます。フラット35への借り換えを検討する場合は、目的を明確にしたうえでメリットがあるかを見極めることが大切です。

この記事では、フラット35への借り換えの効果や判断基準を目的別に紹介します。

住宅ローンを借り換える目的

まず、住宅ローンを借り換える目的を整理すると、以下3つの目的が考えられます。

  1. 総返済額を軽減する
  2. 月々の返済額を軽減する
  3. 金利上昇リスクを回避する

総返済額や月々の返済額を減らすためには、現在借りている住宅ローンよりも低金利の商品に借り換えたり、返済期間を変更したりする方法があります。また、金利上昇リスクを避けるためには、固定金利に変更することが有効です。

それぞれの方法と特徴について見ていきましょう。

①総返済額を減らしたい場合

総返済額を減らすために、住宅ローンの借り換えを検討する人は多いでしょう。ここでは、現在借りている住宅ローンの金利タイプ別に、フラット35へ借り換えたときに想定される事例を紹介します。

変動金利型からフラット35への借り換え

昨今の変動金利型住宅ローンは金利が低い傾向にあるため、借入期間の短い人がフラット35へ借り換えると、基本的に金利は上がります。銀行の変動金利型は1%を下回る商品もありますが、2024年6月現在のフラット35の最低金利は1.850%です。

そのため、金利が下がるような事例は借入が20年以上前の人など、一部の人に限られるかもしれません。

出典)
【フラット35】金利情報
【フラット35】借入金利の推移

また、借り換えをするとき、借入先の金融機関によって、繰上げ返済手数料が求められます。さらに、借り換え後の適用金利が上がるとなれば、総返済額を減らす目的で、フラット35へ借り換えるメリットはないでしょう。

全期間固定金利型からフラット35への借り換え

全期間固定金利型からフラット35への借り換えは、金利タイプが同じであるため、金利を比較しやすいのが特徴です。借り換えによって金利が下がれば、基本的に総返済額を減らすことができます。

ただし、金利が低いローンへ借り換えればよいとは限りません。借り換えには繰上げ返済手数料などがかかります。借り換えによる総返済額の減少額が手数料より大きくならないと、経済的なメリットはありません。

手数料を加味したうえで総返済額が減るかシミュレーションを行い、借り換えの判断を行いましょう。

当初固定金利型からフラット35への借り換え

当初固定金利型では、固定金利期間が終了した後も固定金利期間を継続できる商品もあるため、「変動型に切り替える」「固定金利を継続する」「他の金融機関に借り換える」という3つの選択肢が生まれます。

また、固定金利期間が終わった後の優遇金利が小さくなる商品もあるため、このタイミングでフラット35へ借り換えると総返済額を減らせるかもしれません。

②毎月の返済額を減らしたい

フラット35への借り換えは、毎月の返済額を減らしたい場合にも有効です。金利は下がらなくても、借り換えによって現在より返済期間を長くすれば、毎月の返済額を減らすことができます。

手数料や返済期間の延長によって総返済額が増えることを理解したうえで、それでも毎月の返済額を減らしたいのであれば選択肢となるでしょう。

ただし、フラット35への借り換えが最適とは限りません。他の商品とも比較検討したうえで、借り換え先を判断する必要があります。フラット35へ借り換える場合、年齢や現在の住宅ローンの残返済期間によっては、返済期間を長くして毎月の返済額を減らすことができない場合もあるので注意が必要です。

参考)住宅金融支援機構「借換融資のご利用条件(借入期間)」

③金利を固定化したい

金利上昇リスクへの対策として、金利を固定化するためにフラット35への借り換えを検討する人もいるでしょう。当てはまるのは、次の2つのケースです。

  • 現在の住宅ローンが変動金利型の場合
  • 当初固定金利型で、固定金利期間終了後は変動金利型に切り替わる場合

借り換え時の条件によって総返済額が増えたとしても、変動金利型を続けることに不安があるなら選択肢となります。住宅ローンの残返済期間が長ければ、将来の不確実性が高くなり、金利を固定化する効果は高くなるという見方ができます。

フラット35への借り換えパターン

フラット35へ借り換える場合、一般的なフラット35(買取型)を利用する以外にも以下のような選択肢があります。

①フラット20

フラット20とは、フラット35のうち借入期間が15年以上20年以下のものです。フラット35に比べて適用金利が低いのがメリットです。2024年6月現在のフラット35の最低金利は1.850%ですが、フラット20は1.460%となっています。

ある程度返済が進んでおり、残返済期間が短い人はフラット20への借り換えが向いているでしょう。

出典)フラット35「金利情報」

②フラット35保証型

フラット35は、買取型と保証型の2種類があります。

保証型への借り換えを使えば、買取型よりも適用金利を下げることができるかもしれません。例えば、買取型と保証型を両方取り扱っている金融機関(SBIアルヒなど)であれば、保証型を利用するほうが金利面で有利といえます。

2024年6月実行金利商品名借入期間金利
保証型ARUHI スーパーフラット(団信加入)15年~35年年1.840%
買取型ARUHI フラット35(団信加入)21年~35年年1.850%

出典)ARUHI「住宅ローン金利一覧」

ただし、最も良い条件での比較であれば大幅に有利にはならないかもしれません。借り換えの融資条件については、保証型の取扱金融機関に確認しましょう。

その他の選択肢

リ・バース60への借り換えという選択肢

借り換え時の年齢や目的によっては、リ・バース60も選択肢になるかもしれません。リ・バース60とは、満60歳以上の人向けの住宅ローンです。
一般的な住宅ローンとは異なり、毎月の支払いが利息のみで、元金は債務者が亡くなったときに一括返済する仕組みです。

毎月の返済額が小さくなるうえに、借入時や完済時の年齢を心配しなくていいのがメリットです。自宅の売却によって借入金を完済する場合、相続で残すことはできませんが、ノンリコース型を選択すれば担保不動産の売却だけで元金を一括返済できなかったとしても、債務が残らないため安心です。

60歳以上の人が住宅ローンの借り換えを検討するなら、リ・バース60も選択肢となるでしょう。

繰上げ返済するかどうかも併せて検討する

総返済額を減らすことが目的であれば、繰上げ返済も有効な手段です。手元資金に余裕があるなら、手数料を支払って借り換えるより、繰上げ返済をした方が経済的なメリットを得られる可能性があります。借り換えと併せて検討するといいでしょう。

手元に余裕資金がない場合は、繰上げ返済の選択肢はなくなります。フラット35への借り換えでは、かかる手数料も元金に含めて借り換えが可能です。手元資金がなくても借り換えができるため、手数料分だけ元金が増えることを加味しても総返済額が減るなら検討の余地があるでしょう。

出典)フラット35「借換えの場合、融資手数料などの諸費用を借入額に含めることができますか。」

まとめ

フラット35への借り換えが有効かどうかは、現在の住宅ローンの返済状況や借り換えの目的によって異なります。まずは、現在の住宅ローンの金利や借入残高、残りの返済期間などを整理し、目的を明確にしましょう。

不利な条件で借り換えを行わないように事前にシミュレーションを行い、フラット35へ借り換えるメリットがあるかどうかを判断しましょう。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。