公開日:2025.04.16
一般的に注文住宅を建てるときは、住宅ローンの融資が実行される前に、事前に土地購入代金や建物の一部建築費用などを用意しなければなりません。手元資金で支払うことができない時に、つなぎ融資を利用すれば、これらの費用の支払いに対応できる可能性があります。
この記事では、つなぎ融資の概要やメリット・デメリット、利用時の注意点を解説します。
一般的に、つなぎ融資とは、住宅ローン実行前に必要な資金を一時的に立て替えるためのローンのことをいいます。通常、住宅ローンは住宅の引き渡し時に実行されますが、注文住宅のように住宅の引き渡し前に土地購入代金や着工金、中間金などの支払いが発生する場合、住宅ローンが決済される前に資金を用意しなくてはなりません。このようなときに、つなぎ融資を利用すれば、住宅ローン実行前の支払いに対応できます。
売却つなぎ融資とは、売却予定の不動産を担保にして、融資を受けられるローンです。持ち家の人が、住み替えに発生する費用として、現在借りている住宅ローンを完済したり、新居の手付金や頭金を支払ったりする際に利用できます。
つなぎ融資は住宅ローンの融資を利用して一括で返済するのに対し、売却つなぎ融資は不動産を売却して得た資金から一括で返済する仕組みです。
つなぎ融資には以下のようなメリットがあります。
注文住宅における土地購入代金や建築中の支払いはまとまった金額となるため、自己資金でまかなえる人は少ないでしょう。つなぎ融資を利用すれば、住宅ローン実行前に必要な資金を調達できます。
つなぎ融資の返済は、一般的に利息のみです。元金は住宅ローン実行時に一括返済するため、月々の返済負担を抑えることができます。
売却つなぎ融資を利用すれば、買い先行で住み替えをする際も便利です。買い先行とは、先に新居を購入してから自宅を売却する方法です。自己資金がない状態で住み替えを検討する場合、自宅の売却代金を新居の購入に使うことができないため、頭金や手付金を用意できず、新居の購入が難しくなる場合があります。つなぎ融資を受けることで、一時的な資金不足を解消できます。計画を延期することなく、住宅取得をスムーズに進められるでしょう。
つなぎ融資は、以下のようなデメリットや注意点もあります。
つなぎ融資を利用すると、契約時や完済時の手数料や借入期間中の利払いが発生します。また、融資年率も住宅ローンに比べて高い場合もあるので、期間が長期化すると想定よりもコストが大きくなる恐れがあります。
つなぎ融資は、住宅ローン実行時に、つなぎ融資を一括返済する必要があるため、同じ金融機関で住宅ローンとセットで契約するのが一般的です。つなぎ融資に対応している金融機関は少ないため、借入先の選択肢は限られるかもしれません。
つなぎ融資の取り扱いはなくても、金融機関が提携しているローン会社を紹介してもらえる場合もあります。「つなぎ融資はA銀行、住宅ローンはB銀行」のように、別々の金融機関で組むことができるかは借入先によって異なります。まずは住宅ローンを申し込む金融機関に相談するとよいでしょう。
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを新築・取得した場合に受けられる税制優遇措置です。つなぎ融資は「借入期間が10年以上」などの要件を満たさないため、住宅ローン控除の対象外となります。
つなぎ融資は、一般的に住宅ローンの本融資が実行されるまで、利息の支払いが発生します。悪天候などの諸事情によって、住宅の建築が当初の予定通りに工事が進まないこともあるでしょう。工事の進捗が遅れてつなぎ融資の借入期間が延びると、その分の金利負担が増えてしまいます。つなぎ融資を利用する際は、不測の事態が発生することも視野に入れ、資金やスケジュールに余裕を持つことが大切です。
つなぎ融資を利用する際の一般的な流れは以下のとおりです。
つなぎ融資を希望する場合は、ハウスメーカーや住宅ローンを申し込む金融機関に相談してみましょう。インターネット検索を利用して、つなぎ融資に対応している金融機関を調べるのも有効です。
つなぎ融資は、住宅ローン実行前に必要な資金を調達できる便利なローンです。ただし、つなぎ融資を利用するには借り入れコストが発生します。つなぎ融資のメリット・デメリットを比較検討したうえで、利用すべきかを判断しましょう。
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