賃貸物件の家賃保証料とは?仕組みや相場、保証範囲を解説

公開日:2025.04.23

賃貸物件を借りる際、家賃保証会社(賃料保証会社)の利用を必須条件とする物件が増えています。この記事では、賃貸物件における家賃保証の仕組みや保証内容、家賃保証料の相場について解説します。

家賃保証料とは

家賃保証料とは、賃貸物件を借りる際に家賃保証会社を利用するためにかかる費用です。借主は、家賃保証会社の審査に通過したうえで所定の家賃保証料を支払う必要があります。

賃貸物件における家賃保証の仕組み

家賃保証の仕組みは、主に「一般保証型」と「支払委託型」の2種類です。一般保証型は、借主が家賃を滞納した場合に、代わりに家賃保証会社が貸主に弁済する仕組みです。滞納した家賃を立て替えた後、家賃保証会社は借主に弁済金を請求します。

支払委託型は、借主からの委託に基づいて家賃保証会社が毎月家賃の立替払いを行い、借主に立替金を請求する仕組みです。滞納の有無に関係なく、家賃保証会社が貸主に家賃を支払うため、貸主にとっては家賃滞納時の請求を借主に行う必要がなくなり、家賃管理の負担が軽減されるというメリットがあります。

[一般保証型と支払委託型の違い]
一般保証型と支払委託型の違い

出典)日本賃貸住宅管理協会「家賃債務保証は、借主と貸主の安心をつなぎます。」

家賃保証の保証範囲

賃貸物件における家賃保証の一般的な保証範囲は以下のとおりです。

  • 家賃
  • 原状回復費用
  • 訴訟費用
  • 残置物撤去費用

滞納された家賃のほかに解約通知義務違反による違約金や損害金なども保証に含まれる場合があります。保証範囲は家賃保証会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

家賃保証料の相場

家賃保証料の金額や支払い方法は、賃貸物件や家賃保証会社によって異なります。賃貸物件を借りる際は、初期費用として所定の金額を支払うのが一般的です。家賃保証料の初期費用の相場は家賃の0.5~1ヵ月分で、2年目以降は家賃保証会社の更新料として数万円程度の支払いが生じます。

家賃保証会社の利用は必須?

近年、多くの賃貸物件で家賃保証会社の利用が必須となっています。日本賃貸住宅管理協会の調査によれば、全国の賃貸物件で家賃保証会社の利用を必須としている割合は93.0%です。

家賃保証会社の利用が必須の賃貸物件を借りる場合、借主は連帯保証人を立てたとしても、家賃保証会社を利用しなければいけません。賃貸物件を借りる場合は、基本的に家賃保証料の支払いは避けられないと考えたほうが良いでしょう。

出典)日本賃貸住宅管理協会「第28回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』2023年4月~2024年3月」

家賃や家賃保証料を滞納するとどうなる?

家賃を滞納した場合、家賃保証会社は貸主に立替払いを行い、借主に立て替えた家賃を請求します。滞納が長期化すると遅延損害金が発生したり、家賃保証会社の更新料が高くなったりするケースもあるので注意が必要です。また、家賃保証料そのものを滞納すると家賃保証会社との契約が更新できず、最終的には強制退去となる可能性があります。

家賃保証会社を利用するメリット

家賃保証料の支払いが借主にとって費用負担となる一方で、家賃保証会社を利用することで以下のようなメリットがあります。

賃貸借契約をスムーズに進められる

家賃保証会社を利用すると、借主は賃貸借契約をスムーズに進めやすくなります。家賃保証会社が入居審査を行うことに加え、家賃滞納リスクを軽減できるため、貸主は安心して賃貸借契約を結ぶことが可能になります。

連帯保証人を立てる必要がない

多くの賃貸物件では、家賃保証料を支払えば連帯保証人を立てる必要がありません。特に単身者や高齢者、外国人など、連帯保証人を立てるのが難しい人にとっては大きなメリットといえるでしょう。ただし、中には連帯保証人を立てることを条件としているケース、連帯保証人を立てるか立てないかで家賃保証料の金額が変わるケースもあるので注意が必要です。

家賃保証料に関する注意点

賃貸物件における家賃保証料については、以下の点に注意が必要です。

初期費用として資金を準備しておく

多くの賃貸物件で、契約時に家賃の0.5~1ヵ月分の家賃保証料が発生します。敷金や礼金、引っ越し費用なども含めると、初期費用としてまとまった金額が必要になるかもしれません。賃貸物件を借りる場合は、初期費用を見積もる際に家賃保証料を考慮に入れるのを忘れないようにしましょう。

家賃保証会社は選べない

一般的な賃貸借契約において、貸主が指定した家賃保証会社の加入が求められます。そのため、自身で家賃保証料の安い家賃保証会社を探してきても、その家賃保証会社を利用できるとは限りません。

リースバックでも家賃保証料はかかる

リースバックとは、リースバック運営会社と不動産の売買契約および賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けることができるサービスです。賃貸借契約を結んで家賃を支払うため、リースバックも家賃保証会社の利用が必須となり、家賃保証料の支払いが発生するケースがあります。リースバック運営会社によって条件は異なるため、家賃保証会社の利用要否や費用について確認しておきましょう。

まとめ

家賃保証料は、賃貸物件を借りる際に家賃保証会社を利用するための費用です。多くの物件で支払いは必須となっており、初期費用として考慮しておく必要があります。保証内容や金額、支払い方法は物件や家賃保証会社によって異なるため、賃貸借契約を締結する前に確認しておきましょう。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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