更新日: / 公開日:2022.02.02
不動産担保ローンの利用を検討する際、自分がいくら借りられるのか、気になる人もいるでしょう。自分がいくら借りられるかの目安を知るために重要なのが、担保とする不動産の評価である「担保評価額」です。各金融機関は、この「担保評価額」に基づいて、融資額を設定しているからです。
この記事では、不動産担保ローンの担保評価額の算出方法や、借入可能額の目安を知る方法について、解説します。
不動産担保ローンの担保評価額とは、担保とする不動産を処分することになった際に、金融機関が処分可能と見込む金額のことです。
そもそも不動産担保ローンは、不動産を担保とすることで、債務者の与信だけでは貸せない金額を融資しています。そして、もし債務者がローンを返済できなくなった場合は、金融機関が抵当権を行使し、融資金を回収することになります。
このような理由から各金融機関は、それぞれの方法で算出した担保評価額に基づいて、万が一の際にも回収が可能と見込める融資額を設定しています。
担保評価額は不動産評価額に一定の担保掛目を乗算して算出されます。
例えば、不動産評価額が5,000万円の場合、担保掛目が80%の場合の担保評価額は、4,000万円(5,000万円 × 80%)となります。一方で、もし担保掛目が60%の場合、担保評価額は3,000万円(5,000万円 × 60%)となります。このように、不動産評価額が同じでも、担保掛目が異なることで、担保評価額も異なる場合があります。
また、不動産評価額を算出する指標は、一物五価とも呼ばれ、複数の指標がありますが、どの指標を採用するかは金融機関によって異なります。つまり、たとえ同じ担保不動産で申し込んだとしても、金融機関によって借入可能額が大きく異なる可能性があります。このような理由から、不動産担保ローンを利用する際には、複数の金融機関に相談すると良いでしょう。
上述の算出方法のとおり、正確な不動産評価額と担保掛目が分かれば、正確な担保評価額を算出することができます。
しかし、不動産評価額の算出に用いる指標や担保掛目の両方を公表している金融機関は多くありません。そのため、基本的に正確な担保評価額を算出することはできないと考えて良いでしょう。
正確な担保評価額を知ることは難しいですが、不動産評価額と担保掛目を推測することで、担保評価額の大まかな目安を知ることは可能です。
担保掛目については多くの金融機関が60~80%としているため、不動産評価額を推測することができれば、担保評価額の大まかな目安を把握することができます。不動産評価額を推測する方法をいくつかご紹介します。
1つ目は、不動産評価額の算出に用いる指標を、自身で算出する方法です。例えば、国土交通省が公表している「公示価格」、都道府県が公表している「標準地価」、国税庁が公表している「路線価」については、誰でも調べることができます。
他にも、「固定資産税評価額」であれば、毎年送付される固定資産税の納税通知書で、土地と建物の両方の評価額を確認することができます。ただし金融機関によっては、建物は経年劣化によって価値が減少してしまうことを考慮し、建物の評価を低く評価する場合や、そもそも評価対象から外す場合もあるので注意が必要です。
この方法は、特に担保不動産が戸建てである場合に利用しやすい方法だと言えます。土地の価値と建物の価値を分けて推測することで、建物の評価が低く見積もられた場合の目安も把握しておきましょう。
2つ目は、担保とする不動産の周辺の取引事例を調べる方法です。周辺の不動産が直近いくらで売買されたのか、現在いくらで売り出しているか、などを調べることで、担保とする不動産の大まかな不動産評価額を推測することができます。
ただし、地域によっては、そもそも取引事例が少なく、推測が難しい場合もあるので注意が必要です。また、築年数や立地条件など、全く同じ不動産は存在しない点にも注意しましょう。
この方法は、特に担保不動産がマンションである場合に利用しやすい方法だと言えます。同じマンション内であれば、近い階の売り出し価格や過去の取引事例を調べやすいため、不動産評価額の推測もしやすいでしょう。
3つ目は、不動産会社に不動産査定を依頼する方法です。戸建て、マンション問わず、担保とする不動産の不動産評価額を簡単に把握することができます。
ただし、不動産会社ごとに不動産査定の結果も異なるため、複数の不動産会社に依頼することが大切です。一度に複数の不動産会社に査定を依頼できる、一括査定サービスも展開されているので、必要に応じて活用しましょう。
基本的には、不動産の担保評価額が借入可能額の上限となります。しかし、住宅ローンの残債などがある担保不動産は、担保評価額からローンの残債を差し引いた残りの金額が借入可能額となります。
例えば、不動産評価額が5,000万円、担保掛目が80%の場合で、住宅ローンの残債が1,000万円のケースを考えてみましょう。住宅ローンの残債がない場合は、上述の例示と同様に担保評価額は4,000万円です。しかし、担保評価額から住宅ローン残債を差し引く必要があるので、実際の借入可能額の上限は3,000万円(4,000万円-1,000万円)となります。
また、借入可能額は不動産の担保評価額だけで決まるわけではありません。金融機関は担保不動産だけでなく、年収や職業、勤続年数、延滞履歴の有無といった申込者の信用情報も含めて審査を行います。たとえ不動産の担保評価額が高くても、返済能力を超える金額を融資してもらうことはできません。
さらに、借入可能額が問題ないとしても、「住宅ローンの残債がある」という理由で融資そのものが断られる可能性もあります。そのような時は、住宅ローンを完済することを承諾するか、2番抵当でも借り入れ可能な金融機関を探すことで対応が可能となります。
不動産担保ローンはカードローンのような無担保ローンに比べて金利が低く、まとまったお金を長期間借りられます。そして、不動産担保ローンの借入可能額の上限は、担保評価額の60~80%が目安となり、概算であれば自身で調べることもできます。一方で、急ぎで資金が必要な場合や融資可能額を正確に知りたい場合は、不動産担保ローンを扱う金融機関に相談てみるのもいいかもしれません。
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