公開日:2023.08.02
マイホームなどの不動産を購入する前に、必ず確認しておきたいのが「ハザードマップ」です。日本は自然災害が多く、建物に被害が生じるリスクがあります。住宅購入などの重大な決断の際には、ハザードマップの見方を理解して、自然災害リスクの低い地域を選ぶことが重要です。
この記事では、ハザードマップで確認できる自然災害の種類や見方、活用ポイントを詳しく解説します。
ハザードマップとは、自然災害リスクの高い地域や避難場所、避難経路などを表示した地図のことです。地震や土砂災害などによる被害の軽減や防災対策に使用することを目的としており、国や市区町村が提供しています。
ハザードマップを見れば、災害の種類ごとに被災想定地域やリスクの高さ、避難場所などを確認できます。
ハザードマップで確認できる主な自然災害の種類は以下のとおりです。
洪水は河川の氾濫を意味するのに対し、内水は大雨で排水できず、マンホールなどから水が溢れることを意味します。
ハザードマップは想定される被害に応じて地図上の色が変わるため、一目でリスクの高い地域を把握することが可能です。
日本は傾斜が急な山が多いため、台風や大雨により、がけ崩れや土石流、地すべりなどの土砂災害が多く発生しています。政府広報オンラインによれば、2022年の土砂災害発生件数は795件です。直近10年間は、平均して年間1,446件もの土砂災害が発生しています。
また、日本は地震が多い国でもあります。2011年に発生した東日本大震災では、12万棟を超える住宅が全壊するなど甚大な被害が出ました。以降も2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震などの大地震が発生しており、住宅の全壊や半壊、一部破損といった被害が出ています。
これらの自然災害から身を守るには、ハザードマップを活用して日頃から必要な備えをしておくことが重要です。
出典)
・政府広報オンライン「土砂災害から身を守る3つのポイント あなたも危険な場所にお住まいかもしれません!」
・気象庁「日本付近で発生した主な被害地震」
国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」の2種類を提供しています。それぞれの使い方を紹介します。
▼ハザードマップポータルサイトトップ
重ねるハザードマップの使い方は以下のとおりです。
具体例として、災害種別で「洪水」と「道路防災情報」を選択した、東京駅周辺のハザードマップを見てみましょう。
▼東京駅周辺のハザードマップ
※編集者が赤文字で一部加工
出典)国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
洪水により浸水が想定される地域は、水の高さに応じて色が変わっています。また、浸水のリスクがある道路も警告のマークが表示されています。
続いて、わがまちハザードマップの使い方は以下のとおりです。
市区町村が作成したハザードマップを閲覧できるため、より詳しい情報を確認することが可能です。ただし、市区町村によって作成・公開しているハザードマップの種類は異なります。
マイホームなどの不動産を取得する場合は、物件購入前にハザードマップを確認しておくことが大切です。ここでは、ハザードマップの活用ポイントを3つ紹介します。
まずは、購入物件の周辺地域にどんな自然災害リスクがあるかを確認しましょう。地形や河川の有無などによって、想定される自然災害の種類やリスクの高さは異なります。また、同じ市内でも、場所によって自然災害リスクは変わってきます。
ハザードマップで被災想定地域を確認すれば、リスクの低い地域の物件を選択することが可能です。
ハザードマップ上では自然災害リスクは低くても、必ずしも被害に遭わないとは限りません。万が一に備えて、避難場所や避難経路を把握しておくことが大切です。
ハザードマップでは避難場所だけでなく、その避難場所が対応している災害の種別が表示されるので、事前に確認しておきましょう。避難場所の確認は家族全員で行っておくことも大切です。
自然災害が発生すると、交通規制でいつも利用している道路が通行できなくなる恐れがあります。周囲に比べて標高が低い地域では、道路が冠水することもあります。
帰宅時や避難時にあわてずに済むように、周辺に交通規制が発生しやすい道路がないかを確認しておきましょう。
日本は自然災害が多く、誰しもが自然災害に遭うリスクを抱えています。建物への被害を最小限に抑えるためにも、物件購入前にハザードマップで自然災害リスクを把握しておきましょう。
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