公開日:2025.04.02
地震大国である日本において、耐震基準は住宅の安全性を左右する重要な要素です。旧耐震基準で建てられた住宅は、現行の新耐震基準に比べて耐震性能が劣る可能性があります。
この記事では、旧耐震基準の概要や新耐震基準との違い、リスク、確認方法を解説します。
旧耐震基準とは、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準です。建築確認は、建築工事に着手する前に設計内容が法令に適合しているかを確認する手続きを指します。旧耐震基準では、震度5程度の地震に対して建物が倒壊しないような構造基準として設定されています。
新耐震基準とは、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準です。新耐震基準は、1977年に「新耐震設計法(案)」が公表されたのち、1978年(昭和53年)に発生した宮城県沖地震(震度5、マグニチュード7.4)により妥当性が実証されたこともあり、建築基準法の体系に盛り込まれることになりました。この地震では、現在の仙台市域で住宅の全半壊4,385戸、一部損壊86,010戸の甚大な被害が生じました。
新耐震基準では、震度5程度の地震では建物が損傷せず、震度6強~7程度でも倒壊しないような構造基準として設定されています。また、木造建築物について壁量の見直しや基礎の基準強化も実施されました。
過去に発生した大地震では、旧耐震基準と新耐震基準で被害状況に大きな差がみられます。例えば、下図は平成7年の阪神・淡路大震災における建築年別の被害状況ですが、旧耐震基準に比べて、新耐震基準は「軽微・無被害」の割合が小さいことがわかります。
出典)国立研究開発法人 建築研究所「「新耐震基準」から40年を振り返る」
出典)国土交通省「参考資料集」
旧耐震基準の住宅は、現行の基準を満たす住宅と比較して次のようなリスクを抱えています。
地震発生時に建物が損傷・倒壊するリスクが新耐震基準に比べて高いです。新耐震基準で想定されている震度6強~7程度の地震が発生した場合、旧耐震基準の建物は耐えきれず、人命に関わる重大な事故につながる恐れがあります。
旧耐震基準の住宅は、大地震で損壊・倒壊するリスクが新耐震基準の住宅に比べて高いため、新耐震基準の住宅よりも資産価値が低く評価される傾向にあります。
旧耐震基準の建物は築年数が経過しているため、耐震性以外の部分でも劣化が進んでいる可能性があります。地震による損傷がなかったとしても、将来的に大規模な修繕が必要になるかもしれません。そのため、新耐震基準の建物に比べて補修コストが高くなる場合があります。
所有中の住宅や購入を検討している住宅が、旧耐震基準で建てられたものかどうかを確認する方法が次の2つです。
建築確認日とは、行政が建築確認の申請を受理した日のことです。建築基準法に基づいて確認が行われるため、建築確認日が1981年5月31日以前なら旧耐震基準、1981年6月1日以降なら新耐震基準だと判断できます。建築確認日は建築確認済証などに記載されています。
住宅の耐震性をより正確に把握するには、耐震診断を受けるのが有効です。耐震診断では、専門家が建物の構造や劣化状況などを調査し、耐震性の有無を評価します。耐震診断を受けるには費用がかかりますが、一定の要件を満たすと国や自治体の支援制度を利用できる場合があります。詳しくは、自治体の担当窓口などにご確認ください。
旧耐震基準の住宅であることが判明した場合は、まずは耐震診断を実施したうえで、耐震性が不十分であった場合は、以下のような対策を講じることが重要です。
建物の耐震性を向上させるには、耐震改修工事を実施するのが有効です。例えば、木造住宅の場合は基礎や柱、壁などの補強、屋根の軽量化などを行う方法があります。耐震改修を行うことで、新耐震基準相当の耐震基準に近づけることが可能です。工事費用はかかりますが、国や自治体の支援制度を利用できる場合があるので、自治体の担当窓口に相談してみましょう。
建物の老朽化が進んでいる場合など、耐震改修に高額な費用がかかる場合などは、建て替えを行うのも選択肢です。建て替えであれば、生活環境を変えることなく、最新の耐震基準を満たす安全性の高い住宅を建てることができます。
旧耐震基準の住宅から、新耐震基準を満たした住宅へ住み替える方法もあります。建て替えとは異なり、現居の売却代金を新居の購入資金に充てることが可能です。また、工事期間中の仮住まいが不要で、速やかに新居での生活をスタートできます。
一方で、旧耐震基準の住宅は売却しにくく、買い手が見つかっても高値で売却できない可能性があります。現居の住宅ローンが残っている場合、残債を一括返済する必要があることにも注意が必要です。
旧耐震基準は、1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準です。新耐震基準に比べて耐震性が劣り、地震による損壊・倒壊や資産価値の下落、補修コストの増大といったリスクを抱えています。
旧耐震基準の住宅に住んでいる場合は、安全性を確保するために耐震改修工事や建て替え、住み替えなどの対策を検討しましょう。
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