更新日: / 公開日:2021.10.27
登記簿謄本(登記事項証明書)は、登記記録の全部または一部の事項を証明する書類です。不動産の情報が記載されている「不動産登記簿謄本」と、法人の情報が記載されている「法人登記簿謄本」の2種類に分かれます。登記簿謄本には、どのようなことが書かれていて、どのように取得できるのか、詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、登記簿謄本の記載内容や取得方法、費用について紹介します。
登記簿謄本とは、上述のとおり、登記記録の全部または一部の事項を証明する書類で、不動産取引やローンを利用する際などに求められます。このような場面で、登記簿謄本ではなく「登記事項証明書」を求められることがありますが、基本的には同じ書類を指していると考えて差し支えないでしょう。
登記簿謄本も登記事項証明書も証明内容自体は同じで、作成元である登記情報の保存方法に違いがあります。登記情報は、以前まで紙で保管されていましたが、現在は電子データとして保管されるようになりました。
そのため、紙で保管されているものと電子データで保管されているものができ、紙で作成された登記用紙を複写したものを登記簿謄本、コンピュータで管理されたデータを印刷したものを登記事項証明書と呼んでいます。
出典)松山地方法務局 よくある質問「登記簿謄本と登記事項証明書の違いは?」
不動産登記の情報が記載されている書類が、不動産登記簿謄本です。不動産登記簿謄本の記載事項は、下図のように大きく4つの項目に分かれます。
表題部では土地や建物の所在地や状態など、「どのような不動産であるのか」が記載されています。所在地や面積だけでなく具体的な建物の種類や構造・地番が記載されています。
権利部は甲区と乙区に分かれます。甲区では、「だれが不動産の所有者か」が記載されています。所有者の住所や氏名・取得日などが記載されており、いつ誰が誰から不動産を相続したなどの入手の経緯まで把握できます。
乙区では、所有権以外の権利に関しての記載がされています。たとえば、抵当権や地上権などの、その不動産にどのような権利が設定されているのかはこの部分を見ると分かります。不動産によっては、利用に制限があるため、購入前にどんな権利が設定されている不動産なのか、確認することが重要です。
抵当権が複数の不動産に設定されている場合、この共同担保目録にその旨が記載されています。不動産を購入し住宅ローンを組む場合は、一般的には購入する不動産を担保として抵当権が設定されます。この時、基本的に建物と土地の両方に抵当権が設定されるので、それぞれの共同担保目録に記載されます。
法人の情報が記載されているのが、法人登記簿謄本です。法人登記簿謄本は、以下の画像のように法人に関する様々な情報が記載されています。
記載されている内容を大まかにまとめると、大きく4つの項目に分類できます。
商号や会社法人等番号だけでなく、いつから(会社成立の年月日)どこで(本店、支店の住所)何を(目的)行っている法人であるかが記載されています。加えて、公告をする方法、設置機関(取締役会、監査役会)の設置状況、法人の存続期間といった、法人の運営に関わる内容も記載されています。
株式について、単元株式数や発行可能株式総数、株式の譲渡制限に関する規定と、そもそも株券を発行するのかどうかが記載されています。加えて、発行済み株式の総数、種類、数も記載されています。法人登記簿謄本を見ることで、その法人がどのように株式を取り扱っているのかが分かるようになっています。
法人の役員(取締役、監査役等)の氏名と、役員となった年月日が記載されています。また、代表取締役のみ住所も記載されています。
法人登記簿謄本は、以下の4つの種類があります。ここでは、どのような場面で登記簿謄本の交付請求が必要になるのかについて紹介します。
現在事項証明書とは、現時点で有効な登記事項のみが記載された証明書で、過去の情報は含まれていません。現在の会社情報や不動産情報の確認が必要な場合に利用されます。
履歴事項全部証明書とは、その不動産や法人に関する全ての登記事項が記載された証明書です。一般的に「会社の登記簿謄本」と呼ばれる場合、この履歴事項全部証明書を指します。法人登記では、役員情報や事業内容など、不動産登記では所有者や抵当権の情報が含まれます。
閉鎖事項証明書は、すでに閉鎖された不動産や法人の登記事項が全て記載された証明書です。会社が合併により消滅した場合や本社が移転した場合など、登記簿が閉鎖される際に利用されます。
代表者事項証明書には、会社の代表者の氏名や住所、会社法人番号などが記載されており、法人の取引先や契約先に対して代表者の情報を提示する際に利用されます。
必要な情報に応じて、適した種類の証明書を取得することが大切です。
不動産登記簿謄本と法人登記簿謄本は、以下の方法で取得できます。
法務局や地方法務局・支所などの窓口で申請することで取得できます。以前は、取得する不動産の管轄地域の法務局でしか取得できませんでしたが、登記の電子化により、管轄外であっても最寄りの法務局で取得可能です。窓口申請の場合、手数料として600円が必要です。
法務局に出向けないという場合は、郵送での申請・受け取りも可能です。申請書類に記載し、手数料と返信封筒を同封し郵送すれば、返送されます。郵送の場合は、手数料として500円と返信封筒用の切手代が必要です。
オンラインでの申請であれば、いつでも申請できるので便利です。法務局のホームページから申請し、郵送か窓口受け取りで取得できます。オンラインで申請する場合、窓口で受け取る場合は480円、郵送で受け取る場合は500円と送料が必要です。郵送であれば、申請してから手数料の納付後1~2日で発送されるのが一般的です。
登記簿謄本を取得する際に、注意すべき点がいくつかあります。不動産登記簿謄本と法人登記簿謄本に分けて紹介します。
いずれの申請方法であっても、取得する不動産の土地の所在地を示す「地番」が必要です。地番は普段目にしている住所表示とは異なることが多いので注意しましょう。正確な地番は、以下のような方法で調べられます。
なお、ブルーマップとは、株式会社ゼンリンが提供する地図帳のことで、住居表示だけでなく地番も確認できるサービスです。その他、用途地域・容積率・建ぺい率なども確認することができます。
法人登記簿謄本を取得する場合は、必要な情報が「現在」だけでいいのか、「履歴」も必要なのかをあらかじめ確認しておくことが大切です。現在の登記情報のみ確認したい場合は「現在事項(全部)証明書」で足りますが、過去の登記情報も含めて確認したい場合は「履歴事項(全部)証明書」が必要になります。
なお、履歴事項(全部)証明書には現在の登記情報も記載されています。困った場合は履歴事項(全部)証明書を取得しておくのも手段のひとつです。
登記簿謄本の記載内容や取得方法、費用について紹介しました。不動産登記簿謄本は不動産の状態や所有者・権利などが記載された重要な記録です。また、法人登記簿謄本は資金調達など、会社運営において重要な記録です。登記簿謄本が必要になった際には、オンラインなどを活用して準備するようにしましょう。
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