公開日:2023.03.15
貸付自粛制度とは、「借金をやめたいのにやめられない」という悩みを抱えている方に向けた支援制度です。本制度を利用することによって、さらに借金が増えるのを防止できる可能性があります。
この記事では、貸付自粛制度の仕組みやメリット・デメリット、手続き方法について解説します。
貸付自粛制度とは、「日本貸金業協会」または「全国銀行個人信用情報センター」のどちらかへ申告をすると、金融機関からの借り入れを5年間制限できる制度です。
浪費癖やギャンブル依存などにより、本人や家族の生活に支障が生じる借金を行わないようにサポートすることを目的としています。
自らを「自粛対象者」として登録することで、今後借り入れの申込みをしても金融機関はこれに応じなくなるため、借金に対する抑止力が期待できます。
貸付自粛制度の利用を申告できるのは、原則として本人のみです。たとえ家族であっても、本人に無断で登録することはできません。ただし、法定代理人や、一定の要件を満たす家族は申告可能です。
貸付自粛制度のメリットは以下のとおりです。
自粛対象者として登録すると、その後本人が借り入れの申込みをしたとしても、金融機関はこれに応じなくなります。そのため、「借金をやめたいが、どうしてもやめられない」といった悩みを抱えている人にとっては、借り過ぎを防ぐ効果が期待できます。
貸付自粛制度は登録手数料がかからず、無料で利用できます。費用の心配をせずに登録できるので安心です。ただし、郵送で申告する場合は、申告書控えを送るための返信用切手を自己負担で用意する必要があります。
一方で、貸付自粛制度には以下のようなデメリットもあります。
貸付自粛制度は、原則として本人が申告を行います。家族が手続きできるのは、本人が所在不明であることが条件です。本人に借金をやめる気持ちがない場合、家族が本制度を利用して借金をやめさせるのは難しいでしょう。
貸付自粛制度は、登録を依頼した日から3ヵ月経過すると自分で撤回できてしまいます。「借金をしない」という強い意志がないと、登録を撤回して再び借金をしてしまう恐れがあります。
貸付自粛制度は、「日本信用情報機構」「シー・アイ・シー」「全国銀行個人信用情報センター」に加盟している会員(貸金業者・銀行)が対象です。本制度に登録をしても、前述3つのいずれにも加盟していない違法な金融業者からであれば借り入れができてしまいます。
違法な金融業者から借り入れてしまうと、違法な高金利の請求や悪質な取り立てなどの被害にあうリスクが高まるので、絶対に利用しないようにしましょう。
貸付自粛制度を利用する場合は、日本貸金業協会または全国銀行個人信用情報センターのどちらかへ申告します。全国銀行個人信用情報センターで申告する際の手続きの流れは以下のとおりです。
・貸付自粛申告書
・貸付自粛申告確認書(申告理由がギャンブル等による場合)
・本人確認書類(2点)の写し
・返信用切手(404円分)
※日本貸金業協会はWeb申告が可能
ギャンブル等依存症対策のため、申告理由がギャンブル等による場合は「貸付自粛確認書」も作成して同封する必要があります。
また、申告書を送付した後は電話で本人確認が行われます。本人確認ができないと申告書が受理されないので、連絡が来たら必ず対応しましょう。
出典)
・日本貸金業協会「貸付自粛申告」
・全国銀行協会「貸付自粛制度のご案内」
貸付自粛制度は借り過ぎ防止が期待できる一方で、「申告できるのは原則本人のみ」「3ヵ月経過すると撤回できてしまう」などのデメリットもあります。自身もしくは家族の借金を何とかしたいと思っても、「貸付自粛制度では解決できない」という人もいるでしょう。
ここでは、貸付自粛制度以外の解決策として、自身や家族の借金に関する相談先を3つ紹介します。
全国の依存症専門相談窓口や依存症専門医療機関を探し、相談できます。借金の原因がギャンブル等依存症の場合、専門家に相談することで改善・解決が期待できるかもしれません。
金融庁が多重債務に関する相談窓口をまとめています。信頼できる相談窓口の中から、自身に合った相談先が見つかるかもしれません。
消費者ホットラインでも借金についての相談が可能です。特に金銭や商品、サービスなどで業者とトラブルになっている場合は消費者ホットラインに相談しましょう。
借金で自身や家族の生活に支障が生じている場合は、貸付自粛制度によって借り過ぎの防止が期待できます。「借金をやめたくてもやめられない」と悩んでいるなら、貸付自粛制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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