公開日:2024.10.30
一般的に住宅ローンを組む時は、団体信用生命保険(以下「団信」という)の加入が必要となります。しかし、住宅金融支援機構の提供するフラット35は団信が任意加入です。団信なしの場合、フラット35の金利はどれくらい変わるのでしょうか。
この記事では、フラット35の団信の内容や借入金利、加入を検討する際のポイントについて解説します。
フラット35の団体信用生命保険である新機構団体信用生命保険制度(以下「新機構団信」という)は、加入者が死亡または所定の身体障害状態になった場合などに、以後の住宅ローンの返済が不要となる生命保険です。
フラット35には買取型と保証型の2種類があり、それぞれ加入する団信の内容は異なりますが、買取型のフラット35において加入可能な団信は新機構団信に限られます。
新機構団信制度には、「新機構団信」と「新3大疾病付機構団信」の2種類があり、団信の保険料は毎月の住宅ローン返済額と合わせて支払います。次から詳しく見ていきましょう。
新機構団信は、次の両方にあてはまる場合に加入できます。
また、次のいずれかの場合に保険金が支払われます。
保障期間は、満80歳の誕生日の属する月の末日までです。夫婦で連帯債務者となる場合は、ペア連生団信である「デュエット」に加入することも可能です。夫婦のどちらかに万一のことがあれば、住宅持分や返済割合にかかわらず、以後の返済が不要になります。
デュエットを利用する場合の借入金利は、「新機構団信付きの借入金利+0.18%」です。なお、後述する新3大疾病付機構団信ではデュエットを利用できません。
出典)
・住宅金融支援機構「幹事生命保険会社」
・住宅金融支援機構「新機構団信の加入要件・保障内容」
新3大疾病付機構団信は、次の両方にあてはまる場合に加入できます。
また、次のいずれかの場合に保険金が支払われます。
満75歳の誕生日の属する月の末日まで保障され、その翌日からは新機構団信の保障内容になります。新3大疾病付機構団信を利用する場合の借入金利は、「新機構団信付きの借入金利+0.24%」です。
金融機関が提供する、いわゆる一般的な住宅ローンでは、団信加入が必須である場合がほとんどです。その中で、フラット35の団信が任意加入である点はメリットといえるでしょう。
健康状態の問題などで団信に加入できず、一般的な住宅ローンを利用するのが難しい人でも、フラット35であれば融資を受けられる可能性もあります。また、団信に加入しない場合に借入金利が下がるのも魅力です。
※借入には所定の審査があり、借入ができない場合もあります。
団信なしでフラット35を利用する場合、借入金利がどれくらい変わるかは買取型と保証型で異なります。
買取型のフラット35で新機構団信に加入しない場合、借入金利は「新機構団信付きの借入金利-0.2%」となります。
具体例を確認しましょう。2024年10月の新機構団信付きフラット35で最も多い金利は、融資率9割以下で年1.820%です。このケースで団信なしにすると、借入金利は1.620%(1.820%-0.2%)となります。
出典)フラット35「新機構団信制度に加入しない(できない)場合の金利はどうなりますか。」
保証型のフラット35では、各金融機関が提供する団信を利用しますが、団信の加入義務については金融機関によって異なります。また、保証型のフラット35では新機構団信は利用できません。フラット35の買取型と保証型の違いについては、以下の記事で詳しく説明しています。
フラット35で団信に加入しない場合の注意点は以下のとおりです。
団信に加入しない場合、万が一の際に住宅ローンの返済が困難になるでしょう。特に病気や高度障害を負った場合、収入が減少してもローン返済は続ける必要があります。
また、住宅ローン契約者が死亡した場合、家族にローンの残債が引き継がれるため、家計に大きな負担がかかる可能性があります。そのため、団信に加入しないのであれば、生命保険や収入保障保険など、万一のリスクに備えるために自身で備えておく必要があるでしょう。
一般的な生命保険の場合、加入時の年齢が高いほど保険料は高くなります。一方、団信は契約時の年齢によって保険料(金利)が増減することはありません。
ただし、契約する年齢が高くなると定年後もローンが残り、返済が苦しくなるかもしれません。また、健康面での問題が生じやすくなり、団信加入が難しくなる恐れがある点にも注意が必要です。
フラット35は団信が任意加入であり、加入するかどうかは利用者自身で判断できます。買取型で団信なしの場合、借入金利は新機構団信付きのフラット35から0.2%引き下げられます。
保証型は金融機関によって商品が異なるため、団信なしで借入金利がどれくらい変わるかは個別に確認が必要です。
借入金利は下がるのは魅力ですが、団信に加入しないと万一のときの保障を確保できないため、慎重に判断しましょう。
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