一棟アパート投資の特徴とメリット・デメリット、注意点を解説

公開日:2024.10.23

一棟アパートは、不動産投資における代表的な投資対象の1つです。区分マンションや一棟マンションに投資する方法もありますが、一棟アパート投資にはどのような特徴があるのでしょうか。この記事では、一棟アパート投資の特徴とメリットやデメリット、注意点を解説します。

一棟アパート投資の特徴

一棟アパート投資とは、購入または建築したアパートを一棟丸ごと賃貸に出して家賃収入を得る方法です。入居者がいれば毎月家賃が入ってくるため、長期の安定収入が期待できます。

物件価格が同じエリアの区分所有物件に比べて高額であることから、金融機関の融資を利用して取得するケースが一般的です。家賃収入からローンを返済することで、効率的に資産形成ができます。

出典)日本FP協会「知っておこう!現物不動産投資の種類と方法」

マンション投資との違い

不動産投資では、区分マンションや一棟マンションに投資する方法もあります。

区分マンション投資

区分マンション投資は、マンションの一部屋だけを取得して賃貸に出す方法です。エリアや物件によっても異なりますが、一棟アパートよりも取得価格が低い傾向にあります。流動性が高く、売却しやすいのもメリットです。

一方で、新築や築浅、都心の物件は実質利回りが低くなりやすい特徴があります。また、複数物件を所有していないと、空室時に家賃収入が途絶えるリスクもあります。

出典)日本FP協会「知っておこう!現物不動産投資の種類と方法」

一棟マンション投資

一棟マンション投資は、マンションを一棟丸ごと取得して賃貸に出す方法です。一棟アパートと同様に複数の部屋を貸し出すことにより、空室リスクを分散できます。一棟を丸ごと所有することから区分マンションに比べて、物件管理の自由度が高いのもメリットです。

ただし、一棟マンションは一棟アパートよりも物件価格が高く、都内の場合は小規模マンションであっても価格が数億円単位になることも珍しくありません。

一棟アパート投資のメリット・デメリット

ここでは、一棟アパート投資のメリットとデメリットについて紹介します。

一棟アパート投資のメリット

一棟アパート投資は主に以下のようなメリットがあります。

空室リスクを分散できる

一棟アパート投資は複数の部屋を貸し出すため、1つの部屋が空室になっても、他の部屋の家賃収入で損失を補填できます。一部屋だけを購入する区分マンションに比べると、空室リスクを分散することが可能です。

減価償却費が大きい

不動産投資では、建物の取得価額を法定耐用年数にわたって分割して税務上の必要経費に計上していきます。この手続きによって計上される経費が減価償却費です。減価償却費は計上時に現金の支出はありませんが、課税所得は減少します。そのため、税負担の軽減につながり、手元にお金が残りやすくなります。

住宅用の建物の法定耐用年数は鉄筋コンクリート造が47年、木造が22年です。木造のアパートは鉄筋コンクリート造のマンションより法定耐用年数が短く、1年あたりの減価償却費が大きくなるため、税負担の軽減効果を得やすいでしょう。

出典)国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」◆参考 主な減価償却資産の耐用年数表(PDF/406KB)

利回りが相対的に高い

一棟アパートは、一棟マンションよりも物件価格が安いことから、相対的に高い利回りが期待できます。運営の自由度が高く、修繕費などをコントロールしやすいため、区分マンションを複数戸所有するよりもコストを抑えることが可能です。

一棟アパート投資のデメリット

一方で、一棟アパート投資には以下のようなデメリットもあります。

まとまった自己資金が必要

一棟アパートを購入する時、金融機関の融資を利用したとしても満額融資は難しく、一定の頭金が必要となることが一般的です。それとは別に仲介手数料や登記費用、ローン事務手数料などもかかるため、ある程度の自己資金を準備する必要があります。

維持費がかかる

一棟アパート投資では、区分所有のマンションに比べて維持費が多くかかります。アパートの賃貸管理を管理会社に任せる場合は、家賃収入の5%程度の委託手数料を毎月支払う必要があります。

そのほか、共用部分の水道光熱費や火災保険料、地震保険料も必要です。木造である程度の築年数が経つと、不定期で退去時のリフォーム費用、アパートの修繕費用なども発生します。

災害リスクの損失が大きい

一棟アパートは、地震や火災、台風などの災害により建物が毀損するリスクがあります。鉄筋コンクリート造のマンションに比べると、木造アパートは災害による損失が大きくなる恐れがあるので注意が必要です。

一棟アパート投資の物件の選び方

一棟アパート投資は、新築物件と中古物件でメリットとデメリットが異なります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った物件を選ぶことが大切です。

新築アパート

新築アパートは建物や設備が新しいため、入居者を見つけやすく、当初は家賃も高めに設定できます。好条件で融資を受けやすく、しばらくは修繕費用を抑えられるのもメリットです。

一方で、物件価格(建築費用)が中古よりも高く、利回りは低い傾向にあります。また、新築時はすべての部屋が空室のため、入居者を一から探す必要があります。

中古アパート

中古アパートは新築より物件価格が安く、高い利回りが期待できます。すでに入居者がいる物件であれば、取得後すぐに家賃収入を得られます。新築よりも法定耐用年数が短く、減価償却費による税負担の軽減効果を得やすいのもメリットです。

ただし、物件の管理状態や築年数によっては、取得後に多額の修繕費がかかる場合があります。また、新築よりも融資を受けにくく、一度入居者が退去すると入居者募集も新築に比べると難しいので、空室リスクが高くなりやすい点にも注意が必要です。

一棟アパート投資の注意点

土地価格が安い地方のアパートは物件価格も安いため、満室時の利回りは高くなります。しかし、人口が多い都市部のアパートに比べると、入居者や買い手を見つけるのが難しい特徴があります。利回りの高さだけでなく、空室リスクや売却のしやすさなども考慮して物件を選ぶことが重要です。

また、災害リスクへの対策として、火災保険や地震保険には加入したほうがいいでしょう。ハザードマップを活用し、災害リスクの高い地域を避けるのも有効です。

まとめ

一棟アパート投資は、相対的に高い利回りが期待できます。複数の部屋を貸し出すことによって、空室リスクを分散できるのも魅力です。

物件価格は高額ですが、金融機関の融資を利用すれば自己資金を抑えることは可能です。一棟アパート投資のメリットとデメリットを理解したうえで、物件を取得する場合は不動産投資ローンの利用を検討しましょう。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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