定年後に家を買うのはあり?シニア世代が住み替えをする理由とは

公開日:2024.10.25

定年後の新たな生活を迎えるにあたり、多くの人が「家を買う」という選択肢を考えます。長年の仕事を終え、自由な時間が増える中で、自分たちの理想の住まいを手に入れることは、大きな喜びですよね。
しかし、定年後の住宅購入には、経済的な側面やライフスタイルの変化、将来の健康状態など、さまざまな要素を考慮する必要があります。本記事では、定年後に家を買う際のメリットとデメリット、資金計画の立て方、理想の住まいを見つけるためのポイントなどを詳しく解説します。

住み替えタイミングと理由

不動産流通経営協会の「シニアの住宅に関する実態調査」によると、住み替えた理由については、「より便利なところに住みたかったから(16.8%)」「老後を見据えた家に住み替えたかったから(16.8%)」と最も多くなっています。

確かに、高齢になると階段やちょっとした段差が不便になり、バリアフリー対応の住宅や医療施設が近かったらと思うことも多いのではないでしょうか。こうした状況を踏まえるとシニア層が住み替えを考える際には、現状の家に対する不満を洗い出すだけではなく、70歳・80歳になった時にどのような不自由が発生するかを考えた家の購入が必要になるでしょう。

老後の住まいは持ち家か賃貸か?

持ち家と賃貸には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

【持ち家と賃貸のメリット・デメリット】

持ち家賃貸
メリット相続税対策
住環境の安定
転居の柔軟度の高さ
デメリット維持費用や修繕費の負担長期的な費用負担

持ち家と賃貸には、それぞれメリットとデメリットがあります。持ち家のメリットは、相続税対策になることや、安定した住環境が得られる点が挙げられます。しかし、家の維持費や修繕費の負担が生じるため、計画的な資金管理が必要です。

一方、賃貸のメリットは、家のメンテナンスに悩む必要がなく、ライフスタイルや健康状態に応じて柔軟に住まいを変えられます。ただし、賃料の支払いが生涯続くため、最終的な費用負担が多くなる場合もあるので注意しましょう。何よりも未来の生活を見据え、自分にあった選択をすることが大切です。

持ち家が相続税対策になる理由

持ち家は相続税対策として有効な主な理由は以下のとおりです。

  • 現金よりも評価額が低く見積もられるから
  • 小規模宅地等の特例が適用されれば評価額を最大で80%軽減するから

被相続人が住んでいた家に関しては「小規模宅地等の特例」が適用されれば、最大で80%もの評価額を軽減できます。小規模宅地等の特例や相続税に関しては「相続時の不動産評価方法は?評価に関する特例も併せて解説」も参考にしてください。

高齢者が賃貸を借りづらい理由

高齢者が賃貸物件を借りるのが難しいのは、以下の要因が関係しています。

  • 高齢者の健康リスクの不安
  • 賃料の支払い能力に対する不安

また、高齢者が単身である場合、孤独死のリスクが大きな問題となり、貸主にとって契約を避けたい要因となるでしょう。このような状況を改善するためには、連帯保証人を立てる、家賃保証会社を利用するなどの対策をしましょう。

老後の賃貸物件についての詳しい内容は「老後に賃貸物件は借りにくい?その理由や対策を紹介」も参考にしてください。

住宅ローンは70歳以上でも利用可能

高齢になると住宅ローン組めないと思いがちですが、60歳以上の方でも借りられる住宅ローンは存在します。例えば、住宅ローンの【フラット35】は「申込時の年齢が満70歳未満の方」かつ「日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者の方」であれば借り入れ可能です。

【フラット35】には以下のような特徴があります。

  • 繰り上げ返済手数料が無料
  • 最大融資額が8,000万円
  • 長期の返済期間を選択できる
  • 長期固定金利で将来的な金利上昇のリスクを避けられる

また、【フラット35】は、親子リレー返済を利用する場合、満70歳以上の方も申込可能です。将来の金利変動を避け、返済計画を安定させたい方におすすめで、定年後も安定した返済計画を立てられるので、必要に応じて活用しましょう。

【フラット35】について詳しく知りたい方は「60歳以上のフラット35利用者が増加傾向!最新の実績調査を考察」も参考にしてください。

住宅ローンのリ・バース60とは

リ・バース60は、民間金融機関が提供する住宅ローンの1つです。リ・バース60の特徴は以下のとおりです。

  • 満60歳以上の方を対象にした住宅ローン
  • 毎月の元本返済が不要で亡くなるまでの毎月の支払いは利息のみに限定される
  • 債務者が死亡した際に住宅を売却してローンを返済するか現金でローンを返済

リ・バース60は、住宅の建設、購入、リフォームなどに加え、住宅ローンの借り換えにも利用できます。リ・バース60について詳しく知りたい方は「リ・バース60とは?メリット・デメリットを解説|住まいとお金の知恵袋」も参考にしてください。

移住する際の注意点

株式会社フージャースコーポレーションが行った「移住に関するアンケート」によると住まい・暮らしに関心のある人が地方移住をはじめたいタイミングは、51.3%が定年退職するタイミングと回答しました。しかし、定年後に移住する際には、以下の3つの点に注意しましょう。

  1. 生活環境の変化
  2. 医療施設や買い物場所の充実度
  3. 地域コミュニティとの関わり方

この3つの中で特に注意しておきたいのは、医療機関や買い物場所の充実度です。都会とは違い地方では、自宅から病院までの距離、スーパーまでの距離が遠くなりがちです。また、電車が通っていない地域も多く、車での移動が必須になるケースも多いです。そのため、自宅から歩いて行ける距離にスーパーや病院があると、70歳・80歳になった時も安心して暮らすことができるでしょう。

まとめ

本記事では定年後に家を買うメリットやデメリット、活用できる住宅ローンについて紹介しました。定年後に家を買う際は、住み替えのタイミングや今後起きうるリスクについても考慮しましょう。住宅ローンや移住の注意点も理解して、暮らせる住まい探してください。

執筆者紹介

「SBIシニアの住まいとお金」スタッフ
シニア世代の住まいから、住宅ローンや老後の資産形成などのポイントをわかりやすく丁寧に解説していきます。様々な資格と経歴を持った住まいとお金のプロフェッショナルが執筆、監修を行っています。
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