老後の住み替えに潜む恐ろしい罠!賃貸や持ち家に住み替える際に注意すべきことは?

公開日:2024.12.18

定年後に新しい生活をより快適にするため、老後に住み替えを行う人が増えています。しかし、きちんとした計画や準備が不足していると、住み替えをして後悔することもあります。この記事では、老後の住み替えを検討している方が直面する問題や、避けるべき落とし穴について具体的な事例を交えながら紹介します。

賃貸に住み替える際に注意すべきこと

自宅を売却して、賃貸物件に住み替える場合には高齢者特有の「落とし穴」がいくつかあります。たとえば、年齢を理由に契約が難しい状況や、希望の物件が見つからない問題が挙げられます。賃貸物件に住み替える際の注意点を詳しく解説します。

高齢になると賃貸が借りづらい

高齢者が賃貸物件を借りるのは簡単ではありません。貸主は、高齢になると健康面のリスクや家賃の支払い能力に不安を感じやすいため、入居を断ることがあります。特に保証人がいない場合には、契約が難しくなるでしょう。また、高齢者専用ではない物件では、年齢を理由に入居を拒否される場合もあり、選べる物件が限られてしまいます。

賃貸物件への住み替えの際には、事前に条件を確認したり、連帯保証人を確保したりする準備が必要です。さらに、自治体や支援団体が行う高齢者向けのサービスを利用する方法も検討するとよいでしょう。

関連記事:老後に賃貸物件は借りにくい?その理由や対策を紹介

希望の物件が見つかりづらい

シニア人口の増加に伴い、希望の条件に合う物件を見つけるのが難しくなっています。立地条件が良く介護サービスも受けられる「サービス付き高齢者向け住宅」は、需要が高いため、すぐに満室となることが多いです。そのため、入居待ちが長引き、計画した時期に住み替えができないケースもあります。

また、サービス付き高齢者向け住宅は地域ごとに数が限られているため、候補地を広げたり条件を柔軟にしたりする必要があるでしょう。あらかじめ情報を集め、長期的な視点で住み替えを計画することが成功への鍵となります。

持ち家へ住み替え際に注意すべきこと

持ち家への住み替えは、賃貸と比べ、資産として所有できる点や、家賃支払いから解放される点がメリットと言えます。しかし、持ち家には購入費用だけでなく、維持管理費用が必要になるほか、住宅ローンが組みづらいなど高齢者にとって特有の問題もあります。

持ち家でもランニングコストがかかる

持ち家に住み替える場合でも、維持するための費用が毎年かかります。固定資産税や都市計画税などの税金が定期的に必要です。さらにマンションの場合、修繕積立費や管理費が追加で発生します。こうした費用は物件の場所や規模によって異なるため、購入前に具体的な金額を確認しましょう。

一方、戸建てでは、外壁や屋根などの修理費用が自己負担になります。住み替えを検討する際には、これらのランニングコストを考慮し、無理のない資金計画を立てましょう。

高齢になると住宅ローンが組みづらくなる

高齢者が住宅ローンを組むのは、若い世代と比べてハードルが高くなります。多くの金融機関では完済年齢を制限しており、借入期間が短くなる傾向があります。その結果、毎月の返済額が増え、返済負担が重くなりやすいです。また、年齢が上がるほど収入が減ることもあり、審査に通りにくくなることが一般的です。

リ・バース60であれば70歳以上でも申し込み可能

高齢者が住宅ローンを利用する方法の一つに「リ・バース60」があります。この商品は、70歳以上の方でも申し込み可能で、元金の返済方法は契約者が亡くなった際に「相続人の方が一括返済する」か「担保物件の売却代金で返済する」のか選択できます。

毎月の支払いは利息のみに抑えられるため、老後の資金を圧迫せずに住宅を購入できます。ただし、借入金額は原則住宅及び土地の担保評価額の50%、または60%になります。

住み替えのメリットとデメリット

住み替えを計画する際には、タイミングを見極めることが大切です。高齢になってからの引っ越しは、体力的な負担が増えるだけでなく、条件に合った物件が見つかりにくくなる場合もあります。健康状態が良く、家族のサポートが得られる段階で住み替えを検討することで、スムーズな住み替えが期待できるでしょう。

一方で、急な病気や介護が必要になった場合には、選択肢が限られることがあります。将来の変化を考慮し、余裕を持った計画を進めることが成功の鍵と言えます。

住み替えのメリット

住み替えの利点は、新たな住環境で快適な暮らしを得られる点です。特に住んでいる家に対する不満を解消できる点が大きいです。高齢者向けの設備が整った住宅や利便性の高いエリアへの移動により、日々の生活が便利になります。実際に株式会社LIFULLが2023年に行った「住み替えに関する意識調査」でも、住み替えを検討した理由の1位は「住んでいる家に対する不満」となっています。

また、賃貸から持ち家に移る場合、資産を所有する安心感があります。一方、持ち家から賃貸へ移れば、修繕や維持管理の手間や費用が減るため、身軽な生活を送れる場合もあるでしょう。

住み替えのデメリット

一方で、住み替えのデメリットには費用と手間がかかることが挙げられます。新居の購入費用や賃貸の初期費用に加え、引っ越し費用や場合によっては仮住まい費用も発生します。さらに、新しい環境に慣れるには時間がかかることもあります。特に高齢者の場合、新しい場所に適応するのが難しく、ストレスになることも考えられます。

住み替えを考えるにはチェックリストを作成しよう

住み替えを進める際、以下のようなチェックリストを作ることで、計画の抜けや漏れを防ぎやすくなります。

【チェックリストの例】

  1. 現在の住まいの価値を調べる
  2. 新しい住まいの条件を整理する
  3. 住み替えの予算を見積もる
  4. 適切なタイミングを見つける
  5. 専門家に相談する

売却を予定している場合は、査定を依頼して自宅の市場価値を把握しましょう。賃貸として運用する選択肢も検討すれば、幅広い可能性が見えてきます。住み替え先では、立地や間取り、バリアフリーなどの条件をリストアップし、具体的に整理すると効率的です。

また、購入費用や引っ越し費用、家具購入費などを含めた資金計画も必要です。このようなチェックリストを活用して準備を進めれば、住み替えの進行をスムーズに行えるでしょう。

住み替えする前に家族との話し合いが大切

老後の住み替えを進める際は、家族との話し合いが大切です。住み替え先の場所や予算を決めるだけでなく、将来の介護や医療の計画についても家族で共有しておくと満足のいく住み替えができるでしょう。

たとえば、近くに住む家族がいる場合は、緊急時の対応がしやすくなります。そのため、住み替え先を選ぶ際には、親族の住居との距離や交通アクセスも慎重に検討しましょう。

住み替えを行うときは一度、専門家に相談しよう

住み替えを成功させるには、不動産や資金計画に詳しい専門家の助けを借りましょう。賃貸でも持ち家でも、住み替えには物件探しや契約手続き、資金調達など複雑な工程が含まれます。専門家に相談すれば、効率的に進めるための方法や、利用できる補助金や制度についての情報が得られるでしょう。

また、高齢者特有の課題にも適切なアドバイスが受けられるため、計画の漏れを防ぐことができます。一人で進めるよりも、専門家の知識を活用してスムーズに住み替えを進めましょう。

まとめ

本記事では老後の住み替えの注意点、メリットとデメリットについて解説しました。老後の住み替えには、持ち家でも賃貸でも、それぞれ注意すべきポイントがあります。

持ち家の場合、ランニングコストやローンの制限に気をつけながら、資金計画を立てる必要があるでしょう。また、リ・バース60のような制度を活用することで、高齢者でも住み替えがしやすくなる可能性があります。どの選択肢を取るにしても、専門家に相談して計画を立てたほうが、安定した老後の生活につながる可能性があるでしょう。準備を怠らず、住み替えを通じて快適な暮らしを実現してください。

執筆者紹介

「SBIシニアの住まいとお金」スタッフ
シニア世代の住まいから、住宅ローンや老後の資産形成などのポイントをわかりやすく丁寧に解説していきます。様々な資格と経歴を持った住まいとお金のプロフェッショナルが執筆、監修を行っています。
関連キーワード
#住み替え
お電話でもWEBフォームからでもお気軽にご連絡ください。
0120-755-677受付時間:9:00 - 19:00 年中無休