不動産担保ローンを選ぶために比較すべき5つのポイントとは?

更新日: / 公開日:2020.08.12

不動産担保ローンの利用を検討する場合、どこの金融機関を選ぶかが重要です。しかし、インターネット上では様々な金融機関がおすすめされており、実際に何を基準に金融機関を選べば良いか、分からない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産担保ローンを比較するために大切な5つのポイントを解説します。

金融機関は大きく2種類に分けられる

不動産担保ローンを比較するために大切なポイントを解説する前に、不動産担保ローンを提供する金融機関が大きく「銀行系」と「ノンバンク系」の2種類に大別されることを理解しておきましょう。

銀行系の不動産担保ローンとは、その名のとおり銀行もしくは銀行の子会社が提供する不動産担保ローンを指します。銀行系の不動産担保ローンは、一般的にノンバンク系よりも比較的金利が低いメリットがある反面、ノンバンク系よりも審査が厳しく、融資までの時間がかかる傾向があります。

一方でノンバンク系の不動産担保ローンとは、銀行のように預金業務を行わない、融資専業の会社が提供する不動産担保ローンを指します。ノンバンク系の不動産担保ローンは、一般的に銀行系よりも融資までの時間が短く資金使途などにも融通が利きやすい反面、金利は銀行系よりも比較的高くなる傾向があります。

比較するポイント1 ― 融資金額

不動産担保ローンは無担保ローンに比べて融資限度額が大きいローン商品ですが、金融機関によっては、そもそも自身の希望額に対応していない場合もあります。特に銀行系はノンバンク系と比較して融資限度額が低い場合もあるため、まずはそもそもの融資限度額を、金融機関がホームページなどで公開している融資条件表で確認しておきましょう。

ただし、実際の債務者に対して適用される融資限度額は、必ずしも融資条件表の数字と一致しません。最終的な不動産担保ローンの融資限度額は、担保不動産と債務者の与信で決定されます。担保不動産の評価は会社ごとに行われ、そこから担保掛目を乗じた金額を基準に、年収や勤務先、勤続年数といった個人の与信等を考慮したうえで、最終的な融資限度額が決定されます。

一般的に担保掛目は不動産評価額の60%から80%程度に設定されており、金融機関によって差があります。また、担保不動産の評価方法も金融機関によって異なるため、同じ担保不動産でも融資金額に差が生まれます。不動産担保ローンを利用する場合は、複数の金融機関に相談して自身の希望する融資額を融資してもらえるかを確認しましょう。

比較するポイント2 ― 費用(金利、手数料など)

不動産担保ローンでは金利や手数料がかかるため、これらの費用も比較することが大切です。不動産担保ローンでは、主に以下のような費用がかかります。

  • 金利
  • 事務手数料
  • 登記費用(司法書士報酬、登録免許税など)
  • 審査に必要な書類の取得費用(住民票、印鑑証明書など)
  • 印紙代
  • 繰上返済手数料(一部繰上返済と全部繰上返済で手数料が異なる)

これらの中で、まず比較しておきたいのは金利です。融資金額と返済期間が同じ場合、金利によって月々の返済額や総返済額は大きく異なります。月々の返済額に注目しがちですが、必ず総返済額も比較しましょう。

また、事務手数料をはじめとする諸費用も無視できません。特に事務手数料は「融資金額の~%」という形でかかるため、少しの差でも負担する費用は大きく変わります。借り換えの場合は、今まで借りていたローンの一括返済時にも繰上返済手数料がかかるので、諸費用を考慮しても借り換えたほうが有利なのか判断する必要があります。

かかる費用は少ないに越したことはないため、他の4つのポイントを比較して問題がないようであれば、費用面で最終的にどの金融機関を選択するかを決めるのも良いでしょう。

比較するポイント3 ― 融資までのスピード

不動産担保ローンの融資までのスピードは「最短即日」「1週間程度」など、金融機関によって異なります。早期に資金を用意しなくてはならない場合は、借り入れが必要なタイミングを伝えて、希望する時期に間に合うかを確認しましょう。早期に資金が必要なことを事前に伝えておけば、優先的に対応してくれる場合もあります。

ただし、融資までのスピードは早いほどいいとは限りません。担保不動産を評価する際、物件によっては現地調査なども必要になるため、ある程度の時間を要します。「即日融資が可能」とうたっている金融機関もありますが、あくまでも不動産評価に時間を要しない他、必要書類がすべてそろっているなど限られた前提である可能性が高いので注意が必要です。

なお、自分の希望する融資までの期間が短いと、それだけ対応可能な金融機関が絞られます。その場合の注意点を以下の記事で詳しく解説しているので、確認しておくことをおすすめします。

比較するポイント4 ― 融資担当者の対応

不動産担保ローンを利用するときは、融資担当者の対応についても比較しましょう。初めて借りる人にとって不動産担保ローンの手続きは複雑で、理解が難しい用語も多く出てきます。融資担当者が手続きや用語についてわかりやすく解説し、サポートしてくれれば安心して利用できます。

金融機関によっては、専属の担当者をつけてくれたり、電話でサポートを受けられたりするところもあります。金利や費用はもちろん大事ですが、融資担当者の対応が適切でないと、スムーズに契約できずにトラブルになる恐れもあるので、安心して任せられる担当者を選びましょう。

比較するポイント5 ― 金融機関の信頼性

不動産担保ローンは、金融機関選びも重要なポイントになります。上述のとおり、担保不動産の評価は金融機関によって異なるため、有利な条件で融資を受けるには信頼性の高い金融機関を選ぶことが大切です。

不動産担保ローンを借りている中で、融資を受けた金融機関が倒産する恐れもあります。また、金利や費用、融資までのスピードなど、1つのポイントだけで判断すると、返済中にトラブルに巻き込まれるかもしれません。営業年数や融資実績、ブランド、提案内容などを比較したうえで、安心して利用できる金融機関かどうか判断しましょう。

まとめ

不動産担保ローンは資金使途が基本的に自由なので、運転資金や開業資金など、まとまった現金が必要になった場合や長期で融資を受けたい場合に活用できます。ただし、金融機関によって担保不動産の評価方法は異なり、融資金額や金利などの融資条件、諸費用にも差があります。

不動産担保ローンを利用する際は、必ず複数の金融機関に相談して比較検討することが大切です。この記事で紹介した5つのポイントを参考に、不動産担保ローンを提供する金融機関を比較してみてください。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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